2016年7月20日水曜日

とと姉ちゃん(93)使う布地も少なく簡単に作れる洋服とは?

常子(高畑充希)「あ…あの…私…」 
梢(佐藤仁美)「あれ?あんた昨日店の前で…」 
常子「えっ?」 
梢「店の前でボサ~ッと」 
常子「あ…確かにそうです…えっ、えっ?」 
立ち上がる梢「私だよ、分かんないのかい?」と着物を体にあて
「この赤い着物着てた」 
常子「あっ!」 
 
(常子の回想) 
「しげさんの事、奥さんからとっちゃおうかな~」と客にキスをしている梢 

常子「あの時の!…すみません気付きませんで」(頭を下げる) 
梢「失礼な女だね、化粧なしじゃ別人だってのかい!」 
別の女給「梢ねえさんのは化粧じゃなくて変装ですから」 
梢「うるさいよ!」 
女給たちの笑い声と少しだけ緊張が解けたような3姉妹 

タイトル、主題歌イン 

綾(阿部純子)「こちらがお話しした雑誌を作っている
小橋常子さんと妹の鞠子さん美子さんです」
3人「よろしくお願いします」
梢「雅の同級生なんだって?あんたらもいいとこの子か」
常子「いえ、私たちは普通の…」
お蝶(早織)「雑誌作ってるなんて余裕がなきゃできないだろうさ」
常子「余裕はありませんが女の人の役に立つ雑誌を作ろうと
奮闘している次第です」
艶子(谷澤恵里香)「女性の役に立つなんていいじゃないか!」
美子がカバンからスタアの装ひを取り出す
「先日作った雑誌です、ご一読頂けますか?」
美子が艶子に渡そうとするが梢がそれをかっさらう
ページをめくる梢「へえ~」(他の女給たちが後ろから雑誌をのぞき込む)
「洋服の作り方が載ってるのかい」
美子「はい、そうなんです」
艶子「毎日もんぺじゃ嫌になっちまうからねえ
洋服なんか着ておしゃれしてみたいよ」
常子「私たちもそう思いましてこういう雑誌を」
さくら(森絵梨佳)「雑誌なんか買う余裕ないの…
私みたいな戦争未亡人にゃ夢のまた夢です」
美子「ご主人はじゃあ…」
梢「戦争未亡人なんてごまんといるよ
うちじゃあ私とさくらと艶子…雅もだったね」
綾「はい」
弓子(寺島咲)「私ら売れ残りも苦しいですわね」
お蝶「ああ、嫁ぐつもりで花嫁修業ばかりしてたのに
肝心な時に結婚する男はみんな兵隊にとられて
気付いたらこの年で嫁のもらい手もないし手に職もなし」
さくら「婦人雑誌作りたいなら男に聞いた方がいいんじゃないかしら」
常子「えっ?」
さくら「婦人雑誌なんて名ばかりで男が男に都合よく作ったものだもの」
鞠子「そうでしょうか…」
お蝶「殿方の喜ぶ献立…とか、殿方に好まれるおもてなし…とか
男から見た女の記事だよね」
常子「私たちの雑誌はそうではありません、女の人の役に立つように…」
梢「同じだよこれも…確かにこんな洋服着てみたいとは思ったけど
私らには手の届かないもんだ」
美子「そんな事ありません、雑誌では自分の手で洋服が…」
さくら「一体何で作れっていうの?
家にある布地なんてとっくに米に換わってます」
お蝶「手に入る布地なんてスフくらいさ」
(ステープルファイバー 当時安価で手に入った化学繊維)
さくら「あんな貧相な化学繊維で作ったってゴワゴワして着づらいし
洗ったら使いもんになりゃしません」
弓子「軍隊の放出品の布地なんて手を出せる額じゃないですしね」
艶子「だから店でも洋服なんか諦めて…(立ち上がり着物を肩にかける)
着物着るしかないのさ」
お蝶「ちょっと艶子、そろそろ臭ってきたね」
艶子「皆も臭いじゃないか!」
弓子「確かに」
綾「私も皆さんも毎日同じ着物を着るしかないの…それしかないから」
梢「これで分かったろ?服が欲しい気持ちは切実だけど
手に入るかどうかは別問題、女の人の役に立つ雑誌って言ったって
私らには実際役に立ってないんだよ」
美子「でも布地ならカーテンか何かの布地で代用…」
梢「分かんない子だね、布地だけの問題じゃないんだよ」
さくら「服を作る技術すら私らにはないんです」
弓子「私も家さえ焼け残ってたら洋裁学校に行けたのに」
常子「洋裁学校ですか?」
梢「私も家さえ焼けなきゃ通う金くらい工面できたのにな」

日の出洋裁学校
校長・小山内節子(ふせえり)「へえ~新しい雑誌をねえ」
花山(唐沢寿明)「雑誌の名前も出版社の名前も
いまだ決まっていないのですが」
小山内「何だかうさんくさいけど
会社を銀座に構えておいでのようなので信用致しましょう」
花山「恐れ入ります」
小山内「こちらにとっても悪い話ではないですからね
我が校を雑誌で紹介して下さるなんて」
花山「お約束はできません、あくまでも面白ければ載せるという事で」
小山内「どういう事?取材を受けても掲載されないの?」
花山「その可能性はあります」
小山内「じゃあさっさと済ませて下さる?」
花山「では…現在いくつかの洋裁学校が再開されていますが
こちらの学校の特色を挙げるなら何でしょうか?」
小山内「そうねえ…我が校では高級仕立ての洋服作りに
対応できる技術を教えています
海外からの服飾事情もいち早く取り入れておりますので
是非ご入学下さい…これで書いてちょうだい」
花山「なるほど…どうりで授業料も高い訳だ」(年額700円)
小山内「高級な生地を使った方が仕上がりもよく生徒の反応もいいんです」
花山「それでは通えない人もたくさんいるのでは?」
小山内「慈善事業ではありませんから」
授業をのぞく花山
型紙で切り取られた布地は大量に端切れを生み出している

事務所で花山に報告している3姉妹
美子「皆さんがおっしゃるにはとにかく余裕などないと」
鞠子「作り方が書いてあってもそもそも洋裁の技術がないし
布地も手に入りづらいとも言っていました」
常子「布地をそれほど使わず
難しい技術もなく作れる洋服ってないものなんですかね…」
花山「私も同じ事を考えていた
洋服を作るためにはどうしても布地を無駄にしてしまう」
美子「でも洋服は曲線が多く複雑なので
型紙どおり裁断するとはぎれは出てしまうものですよ」
鞠子「じゃあどうすれば…」

小橋家
ちゃぶ台で型紙を作っている美子
君子「頑張ってるわね」
美子「はい…作りがいのある雑誌というのもありますしそれに…」
君子「それに?」
美子「花山さんに認めてもらいたいんです…
口は悪いけどやっぱりすごいと思うんです
今はただあの人に認めてもらえるよう頑張ってます」
君子「…そう」
美子「ゃ…恋心やそういう気持ちではありませんよ…
どちらかというと、ととに褒めてもらいたいのに近いのかな…」
君子「とと?」
美子「はい、私とととの思い出ほとんどないから
だから代わりに褒めてもらいたいのかもしれません」
君子「そう」
美子「はい」
2人で「フフフ…」と笑う

事務所で机に両肘をつき掌にあごを乗せ
「どうしたもんじゃろのぉ…」と呟く常子
鞠子「ねえ、とと姉」
常子「うん?あっ、新しいアイデア浮かんだ?」
鞠子「あっ、ごめん違うの…水田さんの事なんだけど」
常子「うん」
鞠子「経理で迎えられないかな?」
常子「えっ?」
鞠子「水田さん、一緒に雑誌作りたいって言ってくれたの
お給金安くてもいいからって…」
常子「あ…申し訳ないけど今うちも余裕がなくて…」
鞠子「そうよね…」
常子「ん…?鞠ちゃんもしかして水田さんの事…」
慌てる鞠子「あっ、全然全然!そうじゃないの!
いい方なのは分かるからもし力になれるならと思っただけ
それに…

(鞠子の回想)水田「今、世の中に必要な雑誌だと」

それがうれしくてね…
こういう方と一緒に作るべきだと思って」
笑顔でうなずく常子「うん」
鞠子「けどっ、今は雑誌を売って経営を安定させる事の方が先よね」
常子(笑顔のまま)「ん~…」
鞠子「簡単に作れる洋服か…」

自宅でも知恵の輪をしている花山
三枝子(奥貫薫)は鼻歌で♬「赤いリンゴに口びるよせて~」
と歌いながら縁側で茜の髪を切りそろえている
と、カットケープの代わりに茜が頭を通した
真ん中をくりぬいただけの新聞紙を見て花山が何かをひらめく
すぐに机に向かい資料を漁りデッサンを始める花山

小橋家、型紙を布地に当てている美子

デッサンに色付けしている花山

闇市で働く女性に取材している鞠子「今一番知りたい事は何ですか?」

雑貨店のような店を取材する常子「どんな服が人気ですかね?」


天気のいい早朝、花山が小橋家を訪ねる

居間
常子「花山さん、どうなさったんですか?」
帽子を取り挨拶する花山「おはようございます!」
(一同)「おはようございます」
花山「分かったんだ」
常子「えっ?簡単に作れる洋服ですか?」
花山「ああ!」
3姉妹「え~!」
「しかも一着に使う布地は…これだけだ」
と、ちゃぶ台に布地をひろげる花山
君子「着物1枚分の半分もないですね」
花山「お母さん、裁ち台をお借りできますか?」
「はい」と席を立つ君子
鞠子「和服を作るんですか?」
花山「寝ぼけた事を言うな!これがすぐさま洋服になる!」(ご機嫌)
驚いて花山とちゃぶ台の布地を見比べる常子

(つづく)

花山が「雑誌の名前も出版社の名前も決まっていない」と言ってたけど
KT出版はボツになったのだろうか?
ドラマのモデルになった雑誌と同じように
雑誌名と会社名を同じにする展開なのかもしれない

美子はやっぱり花山に父を見ていたんだね
俗にいうファザコンってやつかな
常子と花山の恋愛的なものはもしかしたらあるかなあと思っていたが
さすがに美子はないだろうな
やるべきじゃないし、このドラマはそんなドロドロしたものにはしないだろう
もしかしたら会社内で花山・美子と水田・鞠子の
対立軸みたいなものを作る下地なのかな?

鞠子が常子に水田の件を相談したね
恋愛的なものじゃないと否定していたけどもう好きになっているのだろう

花山はいつも常子たちに高圧的な態度なのに
なぜか朝の「おはようございます」の挨拶だけは
礼儀正しく元気に頭を下げるねえ
何か理由でもあるのだろうか?

今回は女給として働かなければいけない身の上の梢たちと
高い授業料を払える生徒が通う日の出洋裁学校が登場したが
これは「あなたの暮し」の立ち位置を明確にするためだろう
(目玉企画のアイデアが誕生するための要素でもあるが)
もちろん梢たちのような貧しい女性に寄り添う雑誌になるのだろう
だから劇中でも花山があらかじめ校長に断っている通り
日の出の取材記事はボツになるかな

2016年7月19日火曜日

とと姉ちゃん(92)綾の職場を訪ねる常子だがそこは…~水田の事で悩んでいるような鞠子

家の中 
常子(高畑充希)「綾さんが…お金を貸してほしいと」 
君子(木村多江)「あら…」 
常子「よほどお困りだと思うんです
なんとかして少しだけでも工面してあげたいんですが」 
君子「あなたが働いて稼いだお金なのよ、好きに使っていいの」 
常子「はい、ありがとうございます」 

タイトル、主題歌イン 

紙袋を抱えた常子が綾の家を訪ねる 
常子「こんにちは」 
家の前でしゃがみタライで洗濯している登志子(中村久美)が振り向く
「常子さん」
常子「御無沙汰してます」
登志子「お久しぶり」
常子「あの…綾さんは?」
登志子「ああ…ごめんなさいね、今仕事でいないの」
常子「お仕事ですか…」
傍らに座る太一に話しかけた常子が紙袋からリンゴを取り出して渡す
登志子「そんな…悪いわ」
「いいんです、大したものではありませんから…よかったら」
と、登志子に紙袋を手渡す常子
登志子「ありがとう」
常子が太一の服が破れているのに目を留めると
登志子「また穴…
昔はこんなに穴が大きくなるまで放っておく子じゃなかったのよ」
常子「えっ?」
登志子「綾よ…
いくら貧しくても太一の着るものだけには気を遣う子だったのに」
常子「…綾さんはどこにお勤めなんですか?」
登志子「ああ…新橋の浪漫とかいう食堂で配膳をしていると聞いてるわ」
常子「食堂…」

知恵の輪を解きながら人混みを歩く花山(唐沢寿明)
壁に貼ってあるポスターが大きく曲がっているのに気が付く
「あ~きっちりしなさいきっちり」と言いながら
破れないように慎重に一度剥がしてから真っすぐに貼りなおす
「よし」と微笑んだ花山がポスターの文言に注視する
(来たれ受講生!洋裁知らぬは女の恥
今こそ女性に洋服を 日の出洋裁学校)

事務所でやかんを火にかける鞠子(相楽樹)
そこへ水田(伊藤淳史)が訪ねてくる「あれ?お一人ですか?」
鞠子「事務所番なんです
姉と美子は作家先生に原稿を取りに伺っていて
花山さんは…よく分かりません」
水田「花山さんというのは先日の…」
鞠子「ああ…そうです」
水田「あの時はすみませんでした…戸惑ってしまいうまく話せず…
以前はもう少し堂々と話せていたんですが…
軍隊で上官にしごかれまして
情けない話なんですが年上の男性と接するのがどうも…」
鞠子「…そうだったんですか
それなのに私たちのためにいろいろとありがとうございました」(頭を下げる)
水田「あっ、いえ…そういうつもりで言ったのでは…」
(少しの沈黙)
鞠子「あっ、先日何かお話があるって…」
水田「ああ…ええ
あの…僕をこちらで雇って頂けませんか?」
鞠子「…?」
水田「今、闇市で働いていますがいずれ閉鎖されるでしょうから
他の仕事を探していたんです
そしたら皆さんが新しい雑誌を作ると聞いて
しかも暮らしを豊かにする雑誌だって…」
鞠子「少しでもお役に立てれば…くらいですけど」
水田「細かい事は分かりませんがとてもいいなと思えたんです
今、世の中に必要な雑誌だと」
微笑む鞠子(水田に好意を持った感じ?)
水田「お願いできませんか?」
困ったような?恥ずかしそうな?表情でうつむく鞠子
火にかけたやかんから湯気が出ている

「浪漫…浪漫…」と呟きながら雑踏を歩く常子
(カフェー浪漫 疲れをとるなら當店へ)の看板を見上げる

<この時代のカフェは現代とは違い
女給の接待を目的とした社交場でした>

客を見送りに出てきた女給(梢・佐藤仁美)と目が合う常子
常子が目を逸らす
常子を見据えるように梢は店に入る
常子「ここな訳ないか…」
と、踵を返すが後ろから別の女給が客を送りに出てきた声がする
「今日はありがとうございました、またのお越しをお待ちしております」
振り向く常子、口紅を塗り綺麗な着物を着た綾(阿部純子)と目が合う
振り向いたままで静止する常子と気まずそうにうつむく綾

綾が店の裏口のような空間に常子を連れてくる
「どうなさったの?」
常子「ごめんなさい、お店にお金を届けようと思って」
顔をそむける綾「そう…」
常子「あ…あの…」
綾「心配かけてごめんなさい…だけど母と太一が生きていくためには
働かなくてはいけないの」
何度も何度もうなずく常子(綾を正視できない)
「あっ、」とカバンから封筒を取り出し
「これ少ないけどよかったら使って」と差し出す
「…ありがとう」と受け取る綾「必ず返します」
少し微笑む綾「稼げると思ってお店に入ったんだけど
思いの外チップも少なくてね
でも他に仕事も見つからなくて…」
「雅(みやび)さん!雅さん!」と男の店員が呼びにきてすぐにひっこむ
綾「フフフ…笑っちゃうでしょ?お店では雅なの」
首を振って笑う常子
綾「これありがとう」
常子「うん」

事務所で文章を書く常子
花山の言葉「戦争で一番ひどい目に遭ったのは庶民なんだ」と
お金を借りに来たやつれた綾を思い出す
鞠子もなんだか元気がない
美子(杉咲花)「2人ともどうかした?」
常子「ん?いや何も」
鞠子「ううん」
美子「あっ、目玉企画の事でしょ
いい加減花山さんから答えを頂かないと4月の出版には間に合わないわ」
常子「そうよね…」
「おはようございます」と出社して一礼する花山
3人「おはようございます」
鞠子「あっ、また遊んでらっしゃる」
知恵の輪を手に机に向かう花山「遊んでなどいない考えをまとめているんだ」
美子「知恵の輪でですか?」
花山「明確な答えを導き出せない時にこれをすると思考が整理される」
3人「え~」
花山「声を合わせるな、理解してもらおうとは思わん」
常子「という事は雑誌の企画の答えは
まだ見つかっていないという事ですよね?」
花山「案ずるな、これがほどける頃にはきっといいアイデアが…」
と、知恵の輪が解けてしまう!
常子「浮かびました?」
知恵の輪を机に投げる花山「それより頼んであった画材道具は?」
鞠子と美子「もう…」
常子「ごめんなさい、すぐに探しに行ってきます」
花山「おいおい…そんな頼まれ事、子どもでもできるぞ」
常子「すみません、ちょっと考え事をしていて」
花山「その場しのぎの言い訳は結構」
常子「あ…本当なんです
女学生時代の友人が働いていると聞いて行ってみたらそこがカフェーで…」
花山「ほう…」
美子「友人て?」
鞠子「ひょっとして綾さん?」
常子「うん…今お金に困ってるみたいでちょっと心配になってしまって」
花山「それでどうだった?」
常子「えっ?」
花山「格好だよ、カフェーに行ったんだろ?女給はどんな服を着ていた?」
常子「いや、会いには行きましたけどそんな店内までは…」
花山「友達には会ったんだろ?服は自前か?新品か?」
常子「私その子の事で頭がいっぱいで服を見る余裕なんてそんな…」
花山「なんて君は愚かなんだ!」
常子「えっ?」
花山「分からんのか?君は絶好の機会を無駄にしたんだぞ!」
常子「機会?」
花山「君は社長でもあるが編集者だ
どこにネタが転がっているかわからない
常に取材する気持ちで生きるべきだ!
この雑誌を届けたいのは
生活に困りすさんだ暮らしをしている全ての女性たちなんだ
友達がカフェーにいたのなら取材すべきだろう!」
常子「すみません」
花山「明日にでも彼女たちに話を聞いてきたまえ!」
常子「私がですか?できれば花山さんも一緒に…」
花山「私は洋裁学校に取材に行く事になっている」
(また知恵の輪を手に取り今度は結ぼうとする)
常子「えっ、でも私一人では…」
花山「暇な編集者がそこに2人いるだろう」
鞠子と美子が振り向く「えっ?」
2人を見て力なく笑う常子

カフェーの裏口に並ぶ3姉妹
今日はまだもんぺ姿の綾が戸を開ける「お待たせしてごめんなさいね」
常子「突然ごめんなさいね」
綾「ううん、少しでもお役に立てるなら」
常子「ありがとう」
「さあどうぞ」と綾に案内される3姉妹

綾が赤いカーテンを開ける
常子「失礼致します」
女たちが振り向く
そこは女給の待機室だろうか
まだ私服姿の女たちが食べたり遊んだり化粧したりしている
リーダー格らしい梢が口を開く「何だい?話って」
少しひるんだように梢たちを見つめる常子

(つづく)

水田がいつもおどおどしているのには理由があったんだね
「以前はもう少し堂々と…」と語っているから
もともと多少は気が弱い性格なのだろうが…

水田が新雑誌の趣旨に賛同してくれて鞠子は嬉しそうだったね
自分には水田に好意を持ったように見えた
このシーンのラストでアップになったやかんから湯気が出ているのは
2人の恋が熱くなっていくとか…そんな意味の演出かな

しかしその後、鞠子が悩んでいるようなのはどうした事だろう?
水田が鞠子に好意を持っているのは明らかだから恋の悩みではなく
水田が一緒に働きたいと言った事で悩んでいるのだと思うのだが
鞠子的には水田と共に働きたいがそのためには給料を支払わねばならず
資金繰りが苦しい常子に頼み難いという事なのかなあ?

知恵の輪は特に意味はなく普通のオチだったね
このシーンで3姉妹が超マイペースの花山に振り回されるのは
鉄郎との関係に似ていると思った

綾の「母と太一が生きていくためには…」が気になった
母と太一と…が普通だと思うのだがこれは
自分一人なら女給に身を落としてまで生きてはいないという意味だろうか?
あるいは一人なら他の仕事でも…という事かなあ

生活に困窮して女給をしている綾の源氏名が雅なのは秀逸
綾も自虐的に笑ってたね

綾は恥をしのんで金を無心に来たんだから簡単に妹たちに話すな常子w
しかもぞろぞろと取材に行くし…
まあでも綾は快く協力してくれたみたいだけど



2016年7月18日月曜日

とと姉ちゃん(91)新雑誌の編集長に就任し目玉企画を考えるはずの花山だが…

<終戦から1年以上たっても戦禍の荒廃からの復興は進まず
食べるものも着るものも手に入らない状況が続き
国民の生活は困窮を来しておりました> 

昭和二十一年十二月 

人でごった返す闇市を歩く常子(高畑充希)と花山(唐沢寿明) 
「我々が雑誌を届けたいのは今ここにいる我々と同じ庶民だ…
戦争で一番ひどい目に遭ったのは庶民なんだ」 
常子「ええ」 
女の声「何すんだい!?私が見てたもん横から取るんじゃないよ」 
常子が振り向くと女2人が何か品物(衣類かな)を引っ張り合っている 
女2「買うまではあんたのもんじゃないだろ!」 
女1「何だって?」 
女2「金もないくせにガタガタ言うんじゃないよ!」
横から女3が加わる「だったら私が頂くよ」 
女3人がもみ合いになり女1がはね飛ばされ転ぶ 
駆け寄る常子「大丈夫ですか?」 
女1「やだねえ…昔はこんなじゃなかった…
日本の女だよ…戦争で負けて変わっちまった
それに身なりへの気遣いもない
(品物を奪い合っている女たちは汚れ破れた衣服を身に着けている)
自分がどう思われようがどうでもいいみたいじゃないか
女である事を捨てちまったのかね」 
立ち上がりその場を去る女1の背中を見ている常子 
花山「まず戦うべきはこれかもしれんな」 
常子「戦う?」 
花山「我々は雑誌を通して暮らしを変えようとしているんだ
立派な戦いじゃないか」 
常子「ええ」 
花山「まずは衣服と戦わんか?」 
常子「賛成です…きれいなものを身に着けると少しだけでも
気持ちが豊かになるような気がするんです…
それができればこの国の暮らしぶりも変わるかもしれません」

甲東出版
谷(山口智充)「経営のヒントねえ…
結局読者はいかに魅力的な記事があるかどうかで雑誌を選ぶ
目玉企画に話題性があるかどうかが売り上げの鍵を握っているんだな
当たり前だけどな」
常子が笑顔でうなずく
書類を手に現れる五反田(及川光博)
「ほら、うちの帳簿と一号当たりの経費の内訳まとめておいたよ」
常子「あ~ありがとうございます」
五反田「どういたしまして」
谷「小橋君はいくつになったんだ?」
五反田「社長!レディーに年を聞くなんて…」
谷「あっ、これは失敬」
常子(笑っている)「いえ、今年で26になりました」
谷「26で社長か、それも女の身で…大したもんだなあ」
常子「いえ、肩書だけです」
(常子に顔を近づけてニコニコしている五反田に常子が笑ってしまう)
谷「先輩社長として一つ助言するとだな…」
常子「はい」
谷「接待だ何だと言って女の店に入り浸るようなろくでなしは雇わん方がいいぞ」
五反田「うん…?あっ…それは必要経費です…失敬」(と席を立つ)
常子「その辺はうちは大丈夫そうです、花山さん以外全員女ですから」
谷「そうか」
書類を見る常子「あ~やはり印刷代と紙代にお金がかかるんですねぇ~」

<常子たちはこれまでの蓄えに借金を加えて資金を作り
限られた予算の中で事務所を探していました>

不動産屋「銀座で焼け残ったビルなんて限られるよ
人形町辺りだったら…」
美子(杉咲花)「いえ銀座は譲れません、会社は銀座じゃないと」
鞠子(相楽樹)「よっちゃん、花山さんの言いなりになり過ぎよ」
美子「だって全国の人に売るには東京の中心に会社を構えろ…って
我々は無名な出版社だ、銀座に事務所があるというだけで
読者は信頼してくれるものさ…おっしゃる通りだと思うわ」
鞠子「だからって全部要求を聞く余裕はないんだから…」
美子「まり姉ちゃん花山さんの事が嫌いなの?」
鞠子「嫌いなんて言ってないわ無理すべきじゃないってだけ」
美子「でも…」

夜、小橋家
君子「そう、結局決まらなかったの…」
美子「はい、明日別のビルあたってみます」
鞠子「銀座は諦めようよ、事務所なんかどこでも…」
美子「そんなに不満なら直接花山さんに言ったら?」
鞠子「苦手なのよ…何言っても怒られそうで…よっちゃんから言って」
美子「嫌よ!私、花山さんに不満なんかないもの」
鞠子「じゃあ…とと姉から伝えてよ」
ノート(新しい事務所 家賃1200圓から1400圓
電気代95圓 水道代70圓 ガス代55圓 電話代180圓
花山さんのお給料1600圓 新しい机や椅子500圓 文具等消耗品費360圓)
を見ながらそろばんをはじく常子
「花山さんが銀座っておっしゃるなら私は従います…頂きます」(とお茶を飲む)
君子「すっかり社長の顔ねぇ」
常子「うん?」
君子「まさかあのおてんば常子が社長さんだなんて、ウフフ」
常子「フフッ、胸を張って社長とは言えません、早くも資金不足ですから」
君子「…そんなに厳しいの?」
常子「はい、4月までに雑誌を出さないとスタアの装ひで作った資金が
家賃や光熱費などの必要経費に消えていきます」
美子「だったらすぐにでも…」
常子「いい加減な本を出す方が苦しむ事になると思う」
鞠子「けど私たちは花山さんが創刊号の目玉企画を
思いつくのを待つしかないの?」
常子「でもお一人で考えたいそうだから…」

常子の回想
花山「何をすれば衣料品不足を解消できるのか考えてみようと思う
君は社長としていつでも出版できるよう準備をしてくれ」

常子「まずは新しい出版社の土台作りを進めましょう」

銀座でいい物件を見つける鞠子と美子
男「ただ家賃がねえ…希望は1300円だろ?こっちは1600円だから」
美子「そこはなんとかなりませんかね?」
男「駄目駄目これ以上安くならねえ」
美子「あぁ…」
鞠子「じゃあ…しかたないわね」
美子「まり姉ちゃん?」
男「よし決まりだ」
鞠子「ここはやめて昨日のビルにしましょう」
慌てる美子「え~ちょっとちょっと…」
鞠子「無理する事ないわ、昨日のお部屋の方が安かったし」(美子に目配せ)
理解する美子「あぁ~そうね、そうしましょう」(と、2人で部屋を出ようとする)
男「ちょっ…ちょっと待ちな…1500円」
2人がまた歩き出す
男「ま…ま…待ち…じゃあ間をとって…1400円でどうだ?」
顔を見合わせ笑った2人が男に駆け寄り頭を下げ「ありがとうございます!」
男「おい…まさか芝居だったんじゃないだろうな?」
とぼけた顔で手を横に振る2人「いえいえいえいえ…」

(一週間後)
事務机などを運び込む鞠子と美子に水田(伊藤淳史)
鞠子「すみませんお手伝い頂いて」
水田「あ~いえ、僕はやりたくてやってますから
しかし男手がいない中、準備するのも大変ですね」
鞠子「本当は1人いるんですけどすぐにどこかに行ってしまうので」
水田「いやあ闇市でいろいろ荷物抱えて歩いてたから
思わず気になって声かけちゃったんです」
鞠子「本当に助かります」(頭を下げる)
水田「あっ、いえいえ!そんなそんな!」
2人を笑って見ている美子
水田「あの…一つお話ししたい事が」
鞠子「えっ?何でしょう?」
水田「あの…実は…」
と、「おはようございます!」とダンボール箱を抱えた花山が現れる
その後ろには青い机を運ぶ2人の男
花山「その机はこの奥の部屋にね」
男たち「へい」
花山が水田に「誰だ?君は何なんだ」と尋ね
花山が恐いのか「何なんでしょう?僕」と訳のわからない事を言う水田
鞠子「あっ、この方は…」
花山「彼に聞いてるんだ!」
水田「僕は…あの…僕は…」
花山「はっきりしゃべりなさい!」
「あ~すみません!お…お…お邪魔しました!」と逃げ出す水田
美子「えっえっえっ?あっ!お話が…」
花山「何だ?あいつは」

常子「本当ですか?」
印刷所の男「女の社長なんか初めてだけど面白いじゃねえか
カラーの挿絵も多くて大変だけど頑張るよ」
常子「ありがとうございます」

小橋家 すいとんを作る4人
君子「これで一安心ね」
常子「ええ、いつ花山さんが目玉企画を決められても大丈夫です」
と、鞠子と美子に振り向き「ねっ?」
だが2人の様子に「うん?」となる常子
鞠子「ちゃんと考えて下さってるのかしら…」
美子「うん…」
君子「美子まで…どうかしたの?」
美子「いや花山さんここ数日、机を探していただけのようですし」
常子「えっ?」
美子「今日も机運び込んだら編集長室に閉じこもっちゃって…」
常子「それは…集中されてただけなんじゃない?」
鞠子と美子「いやぁ…」
鞠子「お白湯をお持ちしようと声をかけたのね
でも返事がなかったからのぞいたら…知恵の輪で遊んでたのよ」
常子「えっ?」
鞠子「それ見たら急に不安になっちゃって…
ず~っとやってたの、ず~っと…結局外れなかったし」
君子「それは…きっと何かお考えがあって…」
美子「私もそう思いたいんですが
どう見ても遊んでいるようにしか見えなくて…」
鞠子「目玉企画考えて下さってるのかしら…」
常子「さすがに遊んでるなんて事は…」
と、表で「ごめんください」と戸を叩く音がする

玄関を出る常子「あら、綾さん」
綾(阿部純子)「ご無沙汰ね」
常子「何だかお疲れね」
うつむく綾「ええ…食べてないだけ」
常子「いずこも同じね、よかったら入って」
綾「いや、ここでいいの…
少し…お金を貸してもらえないかしら?
家賃を値上げされて困ってるの…お願いします」(頭を下げる)
ショックなのか戸惑っているような表情の常子

(つづく)

五反田が常子に顔を近づけてニコニコしていたのはアドリブだろうか?
高畑の笑い方にそんな気がした
常子が退職してからはセクハラをやめてしまった五反田だが
今回は久しぶりにそれっぽい雰囲気だった

五反田の「レディー」に何か違和感があるなあ…と思ったら
ミッチー的にはベイべーと言ってほしかったよね
(それはさすがに真面目な視聴者から苦情がくるか)

花山への信頼度に美子と鞠子で温度差があるのはなぜだろう?
美子は小さい頃に父を亡くしているので
「ととの事もう思い出せないの」(56話)と語っているが
父を知らない美子は花山の中に父性のようなものを見ているのだろうか?
あるいは鞠子側の演出上の問題で
水田が花山を恐れ逃げ出すシーンがあったが
この2人の関係で鞠子が今後も水田を庇うポジションを作るために
鞠子は花山に対して批判的なのだろうか?
(まあ鞠子はいつでも冷静に人を批判するが…特に鉄郎を)

鞠子が水田の事をどう思っているのか早く本人の口から聞きたいのだが
水田が逃げ出したシーンではよく判らなかった
心配していたようだががっかりしたとまでは読み取れなかった
むしろ水田の話(もしかして鞠子に告白?)を聞きたそうだったのは美子だw
(美子「えっえっえっ?あっ!お話が…」)

花山の知恵の輪は何だろうね?
単純にインスピレーションを導き出すため…とかではないだろうから
ここはなるほど~と唸らせてくれるオチがあると思う

ラストの常子がショックの表情だったのは綾とは友達でいたいからかな?
お金の貸し借りは本当の友達とはしないほうがいいものね