「一体どうしたんです?」と席に着く常子(高畑充希)
腕組みをしている花山(唐沢寿明)が松永を見て
「私に話した事を常子さんたちの前で言いなさい」
松永「はい…テスターの情報を週刊誌に漏らしたのは俺です」
常子「松永君が?」
美子(杉咲花)「どうして?」
松永「金が必要だったんです…毎月毎月月賦で欲しいものを買っていたら
首が回らなくなってしまって…」
水田(伊藤淳史)「…だから言ったじゃないか」
常子「それで…誰に頼まれてテスターの情報を?」
松永「それが…どこの誰かは分からないんです…
ただ協力すれば5万円やると言われて…
そいつらは俺にテスターの情報を持ち出すように言ってきました
それを基にテスターに接触し恐らく金を使って
あなたの暮しの商品試験は嘘だと証言させたんだと思います」
水田「その男まさかアカバネの…?」
美子「本当に何者か分からないんですか?」
松永「申し訳ありません……あの…常子さん」
常子「はい」
松永「僕…会社辞めます」
常子「松永君…」
松永「もう耐えられないんです…
僕は編集者になりたくてこの会社に入りました
それなのに仕事といったら電球がどれだけつくか見張ったり
ひたすら鉛筆削ったり繰り返し繰り返し飯を炊いたり…
もううんざりなんですよ
今日限りで辞めさせて下さい」(と頭を下げる)
花山「それがいい、クビにしないでやるのがせめてもだ」
常子「花山さん」
花山「止めても仕方あるまい」(と席を立つ)
常子「松永君」
立ち上がる松永「本当にお世話になりました」(と頭を下げる)
常子「…」
夜、縁側から外を見ている水田
鞠子(相楽樹)が隣に座り「もうお休みになったらいかがです?」
水田「うん…」
鞠子「松永さんの事気にしてらっしゃるの?」
水田「ずっと前から様子がおかしいと気付いてたんだ…
なのに止める事ができなかったよ」
鞠子「正平さんのせいじゃないわ」
水田「松永君が辞めるって言った時の常子さんの顔が忘れられなくて…
すごく悲しそうな顔してた
そりゃそうだよな…一緒に働いてきた社員に裏切られてあんな記事が出て…
社員を大切にしてきた常子さんだからね
自分を責めたりしてなきゃいいんだけど…」
常子を心配しているような鞠子
布団の中で常子が目を開けている
隣の布団から美子「眠れないの?」
常子が美子を見る
美子「そうよね…」
常子「独り善がりだったのかな…(と体を起こし)今日ね国実さんに
あなたの暮しは社会的に大きな影響力がある会社だって言われたわ
(美子も体を起こす)
私たちの雑誌の影響で物が売れたり売れなくなったりする
よく考えたらそれって恐ろしい事よね」
美子「恐ろしい事?」
常子「大きな責任を伴うって事よ
だからそれだけ一つ一つの企画に命を懸けて臨まなければならない
だけど…それを強いられている社員は苦しかったのかなあって…
私たちは終戦の日から一緒になって雑誌を作ってきたじゃない?
毎日の暮らしを取り戻すために試行錯誤して
それでやっとたどりついたのが商品試験だった」
美子「うん」
常子「前にも言ったように商品試験は今の時代に私たちがやるべき事だと
私は自信を持ってるわ
それを社員のみんなも理解してくれるものだとばかり…
だけど私は自分の意見を押しつけているだけだったのかもしれない」
会議用の長机に集まっている一同
常子「みんな、お仕事を中断させてしまってごめんなさい
でもどうしても聞いておきたい事があるんです
それはみんなにとってのあなたの暮しを作る事の意味です…
今や物があふれて豊かな時代になりつつあります
景気もいいし職業の選択肢だって多くある
そんな中でみんなには編集者として我が社を選んでもらったのに
商品試験のために他の雑誌ではやらなくていいような仕事まで
やらせてしまっています…
もしこの中に連日商品を試験するためだけに編集者になったのではない
という方がいらっしゃるなら正直に言って頂けませんか
(一同がそれぞれ顔を見合わせる)
心配しないで下さい、辞めてもらうとかではなくて
担当業務を見直そうかと考えています」
緑(悠木千帆)「………あの…」
常子「はい緑さん」
緑「私はその…」
常子「いいんですよ、率直なご意見をお願いします
意味のない事と思いながらお仕事をするのはつらい事でしょうから」
緑「いいえそうじゃありません…何て言えばいいんでしょう…
私はとてもやりがいを感じています」
扇田「俺もです、何たって俺たちの仕事一つ一つで
物を買う人の気持ちを左右するんですから」
寿美子(趣里)「よそじゃなかなかできない仕事だと思います」
木立「責任ある仕事に身が引き締まります」
島倉「この仕事に誇りを感じています」
本木「私も誇りを持ってまっせ」
笑い声が起こり「俺もです」「私もです」と次々と声が上がる
ほっとしたのか少し涙ぐんでいるように笑う常子「みんなありがとう」
緑「お話ってそれですか?」
常子「ええ」
緑「ああ…ひょっとして商品試験を中止するのかと思ってもう緊張しちゃったわぁ」
(一同が笑う)
常子「それはないです」
扇田「そんな訳ありませんよ、まだまだ洗濯機の商品試験もね
始まったばっかりですから」
寿美子「これからが本番ですね」
扇田「そう、これからが本番です!」
常子が笑顔でうなずく
美子が安心したように常子を見ている
花山も微笑んでうなずく
美子「皆さん準備はいいですか?」
(一同)「はい」
「では始め」と美子がストップウォッチを押す
洗濯機を試験する一同
<洗濯機の商品試験は汚れを落とす力と
洗ったあとの布地の傷み具合の確認を中心に行われ
試行錯誤を重ねました
更にそれぞれの機種の絞り器や操作つまみの使い勝手なども
さまざまな観点からチェックしていきます
ベランダや庭先での使用を想定して屋外に洗濯機を設置して
耐久性のテストも念入りに行われました>
昭和三十三年一月
<試験を始めて半年余りがたった頃…>
新聞を読んでいる宗吉(ピエール瀧)と照代(平岩紙)
宗吉「何だこの記事…」
照代「常子ちゃんが読んだら…」
宗吉「こりゃ相当落ち込むなあ」
照代「そうですねぇ…」
と、「こんにちは」と常子と扇田が店に入ってくる
照代「あら常子ちゃん」
慌てて新聞を畳んで背中に隠す宗吉
常子「えっ…何か隠しました?」
笑顔の宗吉「い~や…それより何だよ?」
常子「あっ、あの…最新号をお届けに上がりました」(と照代に雑誌を渡す)
照代「ありがとう」
宗吉「おぉそうか…あ~…用が済んだら早く帰れ、忙しいんだろ?」
常子「はあ…」
そこに厨房から顔を出した南(上杉柊平)「大将、肉を焦がしちゃいました」
宗吉がため息をついて「バカ野郎何べん言ったら分かるんだよお前は~」
と新聞紙で南の頭をたたく
常子「宗吉さん…」
宗吉「え?」
常子「その新聞…」
新聞を隠し笑ってごまかそうとする宗吉夫婦
常子「見せて頂いていいですか?」
新聞の記事を読む常子「雑誌あなたの暮しに迫る」
続きを読む扇田「あなたの暮し出版は読者テスターを脅迫し
商品試験データを偽装しているという記事が週刊誌に掲載された
当紙でもあなたの暮しに疑問を投げかけるコラムを掲載し反響を呼んだ」
常子「そこであなたの暮し出版が行っている商品試験に関して
電化製品の販売店およそ500店を対象にアンケート調査した結果を
ここに掲載する
商品試験のやり方に疑問があるという声は47.2%という結果だった」
記事の数字を凝視する常子
(つづく)
松永は初登場の時から少し生意気だったのだが
だいたいこの手のキャラは見所があって
大きく成長するパターンかと思っていたが逆だったw
金に詰まって会社を裏切り仕事の内容にまで不満を持っていたとは…
常子が叱って改心させて松永が心を入れ替え仲間もそれを温かく迎える…
というような甘ったるい展開にならなくて本当によかった
その手の非現実な性善説に依った仲良しドラマは大嫌いだ
でも常子は甘ちゃんだから自分を責めたみたいだ
「独り善がりだったのかな…」と不安になり
社員を集めて商品試験に対する思いを確認するのだが
残ったやつらは熱血漢ぞろい…
まあこれはドラマだから本当にそうなのだろうが
現実なら場の空気を読んで仕方なく合わせる人間もいるだろうし
そもそも社員全員が理想を共有でき同じ方向を向く事などありえないだろう
だからああいうシーンを見ると自分は逆にちょっと醒めてしまう
もうちょっとテンションの低いキャラが2~3人いてもいいと思うんだ…うん…
珍しく南が宗吉に叱られていた
新聞を隠すコントをやるために無理やり作ったセリフかもしれないが…
それでも南が長谷川と同じようにバカ呼ばわりされてちょっと嬉しかった
今まであまりにも南を可愛がり持ち上げすぎる描写ばかりだったから
2016年9月10日土曜日
2016年9月9日金曜日
とと姉ちゃん(137)商品試験の結果は偽装されているという記事が週刊誌に出て…
あなたの暮し出版 商品試験場
洗濯機の蓋を開け中をのぞき込む水田(伊藤淳史)
「これが三種の神器の一つ、洗濯機か~」
寿美子(趣里)「ボタンひとつで洗濯ができるなんて信じられません」
木立「まさに夢の道具ですね」
緑(悠木千帆)「これがあればどれだけ家事が楽になるか」
部屋に常子(高畑充希)と花山(唐沢寿明)がやってくる
花山「では試験開始といくか、常子さん」
「はい」とうなずく常子「え~皆さん、今日からまた新たな戦いが始まります
長期間になりますが心して頑張っていきましょう」
(一同)「はい!」
常子「はい、それでは皆さん、手元にある取扱説明書をよく確認して下さい」
と、「大変です!大変です大変です!」と扇田が駆け込んでくる
「これ見て下さい、今日発売の週刊誌なんですが…このページ見て下さい!」
扇田が広げたページには『あなたの暮しは嘘だらけ』の見出し
週刊誌を手に取る常子「どうしてこんな記事が…」
花山「こんな週刊誌の書く事など気にするな」
扇田「いやしかし…商品試験の結果が偽装されているっていう
テスターの証言まで載っています」
花山「どうせでっちあげ記事だ、最近増えてきたこの手の週刊誌ってやつは
もともと信憑性に欠けた記事が多いので大衆も信用していない
部数も少ないし取るに足らんよ」
水田「つまり影響力はほとんどないという事ですか?」
花山「気にするだけ時間の無駄という事だ」(と部屋を出ていく)
寿美子「花山さんにああおっしゃって頂くと安心しますね」
緑「そうね」
週刊誌を手に記事を食い入るように見つめる常子
編集長室で執筆する花山
常子と水田がやってくる
常子「お仕事中すみません
週刊誌の記事について気になったので調べてみたんですが…」
水田「記事の中で証言しているテスターの人は
実在している可能性が高いんです」
花山「どういう事だ?」
常子「記事に出てくるテスターは中野区のY・Sさん…というように
皆イニシャルで出ています
念のためうちの名簿と照らし合わせてみたんですが全て一致したんです」
水田「つまりテスターの情報が週刊誌に漏れているのかもしれません」
常子「週刊誌がテスターに接触して虚偽の証言をさせているんだとしたら…」
花山「そんなむなしい詮索はやめなさい」
常子「しかし…」
花山「これを機に気を取り直してやるべき仕事を変わらずやればいいんだ
我々の本分を忘れてはならない」
「分かりました」と返事をするが晴れない表情の常子(水田も)
小売電器店で呼び込みをしている赤羽根(古田新太)
「いらっしゃいませ!いらっしゃいませ!ご来店の皆様
こちらが我がアカバネから発売中の最新型の洗濯機でございます!
どうぞ近くに寄ってご覧下さいませ
いかかですか?舶来品にも負けないモダンなスタイル」
電器店倉庫
赤羽根「何だ?報告っていうのは」
酒井(矢野聖人)「はい、例の記事が載った週刊誌がいよいよ発売になりました」
赤羽根「そうか…これで少しでも向こうの読者が離れてくれればな」
村山(野間口徹)「しかし、今や40万部の売り上げを誇るあなたの暮しです
カストリ雑誌まがいの週刊誌に載ったところで果たして…」
赤羽根「いいか?小さな一歩でも踏み出す事が大切なんだ
同じように何度も繰り返していけばいずれ大きな一歩になる」
村山「…はい」
赤羽根「とにかくあの新しい洗濯機はやつらにとやかく言わせん
時間と金をかけたアカバネの金の卵だからな」
商品試験場(洗濯機は場所をとるためか屋外でもやっている)
脱水ローラーを手で回す木立「さすがに何時間も同じ事ばっかやってると
こたえるなあ(と隣の松永を見る)松永、手が止まってるぞ、おい!」
振り向く松永「えっ?」
木立「何ぼんやりしてんだよ、手が止まってるぞ」
松永「はいはい、言われたとおり絞りますよ」
それを後ろから水田が見ている
人がいなくなった試験場で水田が洗濯機を覗いている
何かに気付きかけているような表情の水田
そこに常子と美子がやってくる
美子(杉咲花)「水田さん?」
水田「ああ…花山さん顔を見せませんでしたね」
常子「あ…まだ表紙を描いているんじゃないかしら
今日は一日中バタバタしていたから」
美子「あの週刊誌の記事だけど、明らかに私たちに敵意があるわよね
あれもアカバネの仕業なのかな」
水田「あ…それはありえませんよ
いくらアカバネでもテスターの情報まではつかめませんから」
美子「じゃあ一体誰が何の目的で…」
水田「それは…」
常子「もう忘れましょう…真相がどうであれ花山さんがおっしゃっていたように
世間への影響は少なそうだし」
美子「そうね」
大東京新聞
国実(石丸幹二)「デスク、この週刊誌読みました?」
「あ~どうせガセだろ?」
国実「いや、この週刊誌の記者に裏を取ったんですが
この記事に載ってるのはあなたの暮しの本物のテスターで間違いありません」
「そうなのか」
国実「ええ…この件で田村先生にコラムを書かせてみませんか」
「あの辛口の評論家か…面白そうだな」
国実「きっと世間が騒ぎ出しますよ」
小橋家の小さな庭
タライと洗濯板で常子が洗濯をしている
「ご苦労さま」と君子(木村多江)がやってくる「その辺にしてもう会社に行って」
常子「いえ、今朝はまだ時間がありますから」
君子「いいのよ、洗濯は私の仕事なんだから」
常子「いつもすみません、かかにこんな力仕事させてしまって」
君子「何言ってるの、体が動くうちは自分の事は自分でしないと
…さあ、交代しましょ」
常子「いえ、もう少しだけお手伝いさせて下さい」(と笑って洗濯を続ける)
試験場(屋内)を歩く常子と美子
美子「これまでの苦労は何だったのってくらい簡単に洗濯ができちゃうわね」
常子「ねえ(とそのまま屋外の試験場に出る)革命的よね
毎日何時間もかかっていた洗濯が1時間かからないなんて」
美子「うん、洗濯機にお神酒あげたくなっちゃうね」
常子「フフフフフ、そうね」
と、「常子さん、至急ご報告したい事が」と水田がやってくる
常子「どうかしました?」
「これ見て下さい」と水田が新聞を台の上に置く
それに書かれている記事を読む美子「あなたの暮しへの疑惑…?」
水田「大東京新聞があの週刊誌に目をつけ記事にしたようなんです」
美子「評論家の田村先生がコラムを寄稿してる」
「あっ、ここ」と水田が記事の一部を指す
常子「果たして試験が本当に公正公平に行われているかどうか
十分に検証されるべきではないか…」
水田「週刊誌だからそれほどの騒ぎにはなりませんでしたけど
こんな全国紙にとりあげられたら…」
記事を見つめる常子
アカバネ社長室
新聞を手に赤羽根「大東京新聞が食いつくとはうれしい誤算だな」
酒井「はい」
赤羽根「さすがにこれはこたえてるだろう
この手の雑誌は信頼を失えば終わりだからな」
酒井「不憫ですねえ、まさか自分のところの社員に背かれてるとは知らずに」
赤羽根「金を積めば大抵の人間は転ぶもんだ」
酒井「これで洗濯機の商品試験は中止で間違いないでしょう」
赤羽根「そうか…しばし相手の出方をうかがおう」
編集部
受話器を持つ常子「はい…ですからあの週刊誌の記事は事実無根です
(他の電話機が鳴っている)ご安心下さい…はい…はい失礼します…はい」
と受話器を置いた電話機もすぐに鳴る「はい、あなたの暮し出版です…」
緑や島倉、他の社員たちも電話の対応に追われている
現れた花山「何の騒ぎだ?」
水田「新聞記事が出てから問い合わせの電話が殺到しています
週刊誌と全国紙では信用度がまるで違います
このままでは売り上げにも影響があるかと…
何か手を打つべきではないでしょうか」
花山「そんな事で離れていく読者はそれまでだ」
水田「えっ…」
花山「我々を信じてくれる読者だけを相手にすればいいんだ!」(と編集長室に)
残った水田「理想はそうですが…」
受話器を手に美子「とと姉ちゃん、大東京新聞の国実さんという方から…」
「国実さん?」と常子が受話器を受け取る「はい、お電話代わりました小橋です
はい…今からですか?…はい…はい分かりました」
受話器を置いてバッグを手にする常子に美子
「国実ってうちの事いろいろ調べてた人でしょ、まさか会いに行くの?」
常子「うん、お会いしてくる」
大東京新聞編集部
常子を案内する国実「お忙しいところどうもすみません」
常子「失礼します」(と部屋に入る)
国実「小橋社長なら取材に応じて頂けると思ってましたよ
どうぞこちらに」(と応接椅子をすすめる)
着座する常子「手短にお願いします」
国実「では単刀直入に伺います
あの雑誌で証言していたテスターはあなたの暮しで働いていた人たちで
間違いないんですよね?(常子は肯定も否定もしない)
という事は結果の改ざんは本当にあったんじゃないですか?」
常子「違います、あれは虚偽の証言です」
国実「しかしあの記事を見た人間はこう思うんじゃないですか?
結果を偽装し特定の企業から金を受け取り
その会社を持ち上げるために他の商品を叩いてる」
常子「そんな事はありえません
商品試験使うものは全て自分たちで購入し
企業からの協力は一切拒否しています
広告をとっていないのも特定の企業の影響を受けないためでもあるんです」
国実「口では何とでも言えますよね」
常子「何を言っても無駄なようですね」
国実「すみませんね、私たちは疑うのが仕事ですから
それに『火のない所に煙は立たない』というじゃないですか」
常子「『根がなくとも花は咲く』ともいいます(国実が小ばかにしたように笑う)
なぜそんなに我々を追及なさるんですか?
何か恨みでもお持ちなんですか?」
国実「めっそうもない
私はただあなたの暮しがどれほど大きなものに成長しているのか
あなた方がちゃんと理解してるのか知りたいだけですよ」
常子「理解しております」
国実「では40万部という売り上げがどれだけのものか分かっていますか?」
常子「何をおっしゃりたいんです?」
国実「今や電気屋に行けば多くの客があなたの暮しを手に商品を選んでいます
つまり世の中のほとんどの人があなたの暮しを
物を買う買わないの指標にしているんですよ
その事の重みをお分かりですか?
あなたの暮しがいいと言ったものは売れそうでないものは売れない
それだけ影響力のある存在なんですよ
その雑誌が本当に正しいものなのかそうでないのか
それは追求されて当然じゃありませんか」
静かに国実の話を聞いている常子
(つづく)
松永がどんどんやる気をなくしてダメ社員になっていくw
酒井が「自分のところの社員に背かれてるとは知らずに」と言っていたが…
でもアカバネの村山も少し元気がないような気がする
常子の洗濯シーンは何だったのだろう?
洗濯機を試験するにあたってそもそものその存在価値を実感したかった…
とかいう事なのかな?
このシーンは先週の予告にもあったのだが今週のタイトル
「仕事と家庭の両立に悩む」からてっきり星野家で洗濯してるんだと思ってた
まさか視聴者に常子と星野が同居?結婚!?とか
ミスリードさせるためだけに作ったシーンじゃあるまいな…
花山はどっしり構え過ぎw
あんなデタラメな記事を書かれてるんだからちゃんと対応しないとダメだろ
「そんな事で離れていく読者はそれまでだ」には
水田と一緒に「えっ?」ってなったわ
国実が最後に言ったのはその通りだと思う
あなたの暮しは世の商品をガチに試験して評価を公表しているのだから
あなたの暮し自身が公正なのかが検証されるべきなのは当たり前の事だ
洗濯機の蓋を開け中をのぞき込む水田(伊藤淳史)
「これが三種の神器の一つ、洗濯機か~」
寿美子(趣里)「ボタンひとつで洗濯ができるなんて信じられません」
木立「まさに夢の道具ですね」
緑(悠木千帆)「これがあればどれだけ家事が楽になるか」
部屋に常子(高畑充希)と花山(唐沢寿明)がやってくる
花山「では試験開始といくか、常子さん」
「はい」とうなずく常子「え~皆さん、今日からまた新たな戦いが始まります
長期間になりますが心して頑張っていきましょう」
(一同)「はい!」
常子「はい、それでは皆さん、手元にある取扱説明書をよく確認して下さい」
と、「大変です!大変です大変です!」と扇田が駆け込んでくる
「これ見て下さい、今日発売の週刊誌なんですが…このページ見て下さい!」
扇田が広げたページには『あなたの暮しは嘘だらけ』の見出し
週刊誌を手に取る常子「どうしてこんな記事が…」
花山「こんな週刊誌の書く事など気にするな」
扇田「いやしかし…商品試験の結果が偽装されているっていう
テスターの証言まで載っています」
花山「どうせでっちあげ記事だ、最近増えてきたこの手の週刊誌ってやつは
もともと信憑性に欠けた記事が多いので大衆も信用していない
部数も少ないし取るに足らんよ」
水田「つまり影響力はほとんどないという事ですか?」
花山「気にするだけ時間の無駄という事だ」(と部屋を出ていく)
寿美子「花山さんにああおっしゃって頂くと安心しますね」
緑「そうね」
週刊誌を手に記事を食い入るように見つめる常子
編集長室で執筆する花山
常子と水田がやってくる
常子「お仕事中すみません
週刊誌の記事について気になったので調べてみたんですが…」
水田「記事の中で証言しているテスターの人は
実在している可能性が高いんです」
花山「どういう事だ?」
常子「記事に出てくるテスターは中野区のY・Sさん…というように
皆イニシャルで出ています
念のためうちの名簿と照らし合わせてみたんですが全て一致したんです」
水田「つまりテスターの情報が週刊誌に漏れているのかもしれません」
常子「週刊誌がテスターに接触して虚偽の証言をさせているんだとしたら…」
花山「そんなむなしい詮索はやめなさい」
常子「しかし…」
花山「これを機に気を取り直してやるべき仕事を変わらずやればいいんだ
我々の本分を忘れてはならない」
「分かりました」と返事をするが晴れない表情の常子(水田も)
小売電器店で呼び込みをしている赤羽根(古田新太)
「いらっしゃいませ!いらっしゃいませ!ご来店の皆様
こちらが我がアカバネから発売中の最新型の洗濯機でございます!
どうぞ近くに寄ってご覧下さいませ
いかかですか?舶来品にも負けないモダンなスタイル」
電器店倉庫
赤羽根「何だ?報告っていうのは」
酒井(矢野聖人)「はい、例の記事が載った週刊誌がいよいよ発売になりました」
赤羽根「そうか…これで少しでも向こうの読者が離れてくれればな」
村山(野間口徹)「しかし、今や40万部の売り上げを誇るあなたの暮しです
カストリ雑誌まがいの週刊誌に載ったところで果たして…」
赤羽根「いいか?小さな一歩でも踏み出す事が大切なんだ
同じように何度も繰り返していけばいずれ大きな一歩になる」
村山「…はい」
赤羽根「とにかくあの新しい洗濯機はやつらにとやかく言わせん
時間と金をかけたアカバネの金の卵だからな」
商品試験場(洗濯機は場所をとるためか屋外でもやっている)
脱水ローラーを手で回す木立「さすがに何時間も同じ事ばっかやってると
こたえるなあ(と隣の松永を見る)松永、手が止まってるぞ、おい!」
振り向く松永「えっ?」
木立「何ぼんやりしてんだよ、手が止まってるぞ」
松永「はいはい、言われたとおり絞りますよ」
それを後ろから水田が見ている
人がいなくなった試験場で水田が洗濯機を覗いている
何かに気付きかけているような表情の水田
そこに常子と美子がやってくる
美子(杉咲花)「水田さん?」
水田「ああ…花山さん顔を見せませんでしたね」
常子「あ…まだ表紙を描いているんじゃないかしら
今日は一日中バタバタしていたから」
美子「あの週刊誌の記事だけど、明らかに私たちに敵意があるわよね
あれもアカバネの仕業なのかな」
水田「あ…それはありえませんよ
いくらアカバネでもテスターの情報まではつかめませんから」
美子「じゃあ一体誰が何の目的で…」
水田「それは…」
常子「もう忘れましょう…真相がどうであれ花山さんがおっしゃっていたように
世間への影響は少なそうだし」
美子「そうね」
大東京新聞
国実(石丸幹二)「デスク、この週刊誌読みました?」
「あ~どうせガセだろ?」
国実「いや、この週刊誌の記者に裏を取ったんですが
この記事に載ってるのはあなたの暮しの本物のテスターで間違いありません」
「そうなのか」
国実「ええ…この件で田村先生にコラムを書かせてみませんか」
「あの辛口の評論家か…面白そうだな」
国実「きっと世間が騒ぎ出しますよ」
小橋家の小さな庭
タライと洗濯板で常子が洗濯をしている
「ご苦労さま」と君子(木村多江)がやってくる「その辺にしてもう会社に行って」
常子「いえ、今朝はまだ時間がありますから」
君子「いいのよ、洗濯は私の仕事なんだから」
常子「いつもすみません、かかにこんな力仕事させてしまって」
君子「何言ってるの、体が動くうちは自分の事は自分でしないと
…さあ、交代しましょ」
常子「いえ、もう少しだけお手伝いさせて下さい」(と笑って洗濯を続ける)
試験場(屋内)を歩く常子と美子
美子「これまでの苦労は何だったのってくらい簡単に洗濯ができちゃうわね」
常子「ねえ(とそのまま屋外の試験場に出る)革命的よね
毎日何時間もかかっていた洗濯が1時間かからないなんて」
美子「うん、洗濯機にお神酒あげたくなっちゃうね」
常子「フフフフフ、そうね」
と、「常子さん、至急ご報告したい事が」と水田がやってくる
常子「どうかしました?」
「これ見て下さい」と水田が新聞を台の上に置く
それに書かれている記事を読む美子「あなたの暮しへの疑惑…?」
水田「大東京新聞があの週刊誌に目をつけ記事にしたようなんです」
美子「評論家の田村先生がコラムを寄稿してる」
「あっ、ここ」と水田が記事の一部を指す
常子「果たして試験が本当に公正公平に行われているかどうか
十分に検証されるべきではないか…」
水田「週刊誌だからそれほどの騒ぎにはなりませんでしたけど
こんな全国紙にとりあげられたら…」
記事を見つめる常子
アカバネ社長室
新聞を手に赤羽根「大東京新聞が食いつくとはうれしい誤算だな」
酒井「はい」
赤羽根「さすがにこれはこたえてるだろう
この手の雑誌は信頼を失えば終わりだからな」
酒井「不憫ですねえ、まさか自分のところの社員に背かれてるとは知らずに」
赤羽根「金を積めば大抵の人間は転ぶもんだ」
酒井「これで洗濯機の商品試験は中止で間違いないでしょう」
赤羽根「そうか…しばし相手の出方をうかがおう」
編集部
受話器を持つ常子「はい…ですからあの週刊誌の記事は事実無根です
(他の電話機が鳴っている)ご安心下さい…はい…はい失礼します…はい」
と受話器を置いた電話機もすぐに鳴る「はい、あなたの暮し出版です…」
緑や島倉、他の社員たちも電話の対応に追われている
現れた花山「何の騒ぎだ?」
水田「新聞記事が出てから問い合わせの電話が殺到しています
週刊誌と全国紙では信用度がまるで違います
このままでは売り上げにも影響があるかと…
何か手を打つべきではないでしょうか」
花山「そんな事で離れていく読者はそれまでだ」
水田「えっ…」
花山「我々を信じてくれる読者だけを相手にすればいいんだ!」(と編集長室に)
残った水田「理想はそうですが…」
受話器を手に美子「とと姉ちゃん、大東京新聞の国実さんという方から…」
「国実さん?」と常子が受話器を受け取る「はい、お電話代わりました小橋です
はい…今からですか?…はい…はい分かりました」
受話器を置いてバッグを手にする常子に美子
「国実ってうちの事いろいろ調べてた人でしょ、まさか会いに行くの?」
常子「うん、お会いしてくる」
大東京新聞編集部
常子を案内する国実「お忙しいところどうもすみません」
常子「失礼します」(と部屋に入る)
国実「小橋社長なら取材に応じて頂けると思ってましたよ
どうぞこちらに」(と応接椅子をすすめる)
着座する常子「手短にお願いします」
国実「では単刀直入に伺います
あの雑誌で証言していたテスターはあなたの暮しで働いていた人たちで
間違いないんですよね?(常子は肯定も否定もしない)
という事は結果の改ざんは本当にあったんじゃないですか?」
常子「違います、あれは虚偽の証言です」
国実「しかしあの記事を見た人間はこう思うんじゃないですか?
結果を偽装し特定の企業から金を受け取り
その会社を持ち上げるために他の商品を叩いてる」
常子「そんな事はありえません
商品試験使うものは全て自分たちで購入し
企業からの協力は一切拒否しています
広告をとっていないのも特定の企業の影響を受けないためでもあるんです」
国実「口では何とでも言えますよね」
常子「何を言っても無駄なようですね」
国実「すみませんね、私たちは疑うのが仕事ですから
それに『火のない所に煙は立たない』というじゃないですか」
常子「『根がなくとも花は咲く』ともいいます(国実が小ばかにしたように笑う)
なぜそんなに我々を追及なさるんですか?
何か恨みでもお持ちなんですか?」
国実「めっそうもない
私はただあなたの暮しがどれほど大きなものに成長しているのか
あなた方がちゃんと理解してるのか知りたいだけですよ」
常子「理解しております」
国実「では40万部という売り上げがどれだけのものか分かっていますか?」
常子「何をおっしゃりたいんです?」
国実「今や電気屋に行けば多くの客があなたの暮しを手に商品を選んでいます
つまり世の中のほとんどの人があなたの暮しを
物を買う買わないの指標にしているんですよ
その事の重みをお分かりですか?
あなたの暮しがいいと言ったものは売れそうでないものは売れない
それだけ影響力のある存在なんですよ
その雑誌が本当に正しいものなのかそうでないのか
それは追求されて当然じゃありませんか」
静かに国実の話を聞いている常子
(つづく)
松永がどんどんやる気をなくしてダメ社員になっていくw
酒井が「自分のところの社員に背かれてるとは知らずに」と言っていたが…
でもアカバネの村山も少し元気がないような気がする
常子の洗濯シーンは何だったのだろう?
洗濯機を試験するにあたってそもそものその存在価値を実感したかった…
とかいう事なのかな?
このシーンは先週の予告にもあったのだが今週のタイトル
「仕事と家庭の両立に悩む」からてっきり星野家で洗濯してるんだと思ってた
まさか視聴者に常子と星野が同居?結婚!?とか
ミスリードさせるためだけに作ったシーンじゃあるまいな…
花山はどっしり構え過ぎw
あんなデタラメな記事を書かれてるんだからちゃんと対応しないとダメだろ
「そんな事で離れていく読者はそれまでだ」には
水田と一緒に「えっ?」ってなったわ
国実が最後に言ったのはその通りだと思う
あなたの暮しは世の商品をガチに試験して評価を公表しているのだから
あなたの暮し自身が公正なのかが検証されるべきなのは当たり前の事だ
2016年9月8日木曜日
とと姉ちゃん(136)常子「幸せでした」星野「常子さんは…僕の誇りです」
星野(坂口健太郎)「大樹、青葉、お父さんおばちゃまに大事な話があるんだ
ちょっと外で遊んできなさい」
(2人)「はい」(と外に出ていく)
常子(高畑充希)「お話って…」
星野「僕は…名古屋に転勤する事になりました」
言葉が出てこず茫然と星野を見つめるだけの常子
タイトル、主題歌イン
星野「実は…常子さんと再会する前に自分から異動願を出していたんです
異動すれば残業が今よりかなり少なくなりますし
子どもたちとの時間も今よりずっとつくれます」
常子「……はい」
星野「異動の希望がかなえられる事はないと思っていたんですが
先日突然辞令が出たんです
正直に言いますと辞令が出てからは気持ちの整理ができずに
どうしようかと悩んでいました
辞令の撤回を頼もうかとも何度も考えました
でも…心を決めたのは大樹の事でした
同級生の女の子からやけどの痕を気持ち悪いと言われたそうです
それで大樹はやけどを隠すように毎日長ズボンをはいて
登校するようになっていたのですが…
僕はそれにずっと気付けなかった
毎朝自分が用意した半ズボンではなく長ズボンをはいているのに
僕は全く気付いてやれなかったんです
その間も大樹は誰にも言えずに自分一人で悲しんで…苦しんで悩んで…
何度も僕に向けて合図を送っているはずなのに
僕は忙しさのあまりそれに気付いてやれなかった
親としての責任を果たしていなかったんです
親子の絆とは自然に出来上がるものではなく
作り上げていくものなんだと実感しました
そう思うと子どもたちとの時間を増やすためには
名古屋へ行くのが一番なんだと決断したんです
常子さんに相談もしないで自分一人で決めてしまって申し訳ありません
常子さんの事はとても大切です
一緒になる事ができたらどれだけすばらしい人生が送れるだろうかと
そう思いましたが…
親の責任はとても重いものだと感じています
身勝手な事を言いますが…名古屋へ行く事を許して下さい」(と頭を下げる)
常子(涙目で)「許すだなんて……星野さんのお気持ちは痛いほど分かります」
星野が顔を上げて常子を見る
常子「親子の絆を作り上げる事はとても大切な事だと思います
お子さんの事を真剣に考える人だからこそ
私は星野さんの事を好きになったんです」(常子の瞳から涙がこぼれる)
星野「常子さん…ありがとう」
静かに星野を見つめている常子
小橋家
常子をじっと見つめている美子(杉咲花)「転勤…」
常子(平然と)「ええ、会社の辞令ですって」
美子「とと姉ちゃんはどうなるの?」
常子「ん~私は変わらないわよ、今までどおり
いや…今まで以上にお仕事頑張ります」(と君子を見る)
切ない表情で常子を見ている君子
常子「何だかおなかすいてきちゃった、着替えてきますね」(と部屋を出る)
美子「また無理しちゃって…本当はつらいのに元気なふりして」
君子(木村多江)「そうね…つらい選択だったと思うけど
常子は納得して選んだのだと私は思うわ」
自室の机の上の「あなたの暮し40号」の上に右手をのせている常子
編集部
電話で話す常子「はい…申し訳ございません…恐らくこちらの手違いではないかと
はい…36号をすぐに送るように手配しますので少々お待ち下さい
はい…失礼します」(美子が常子を心配そうに見ている)
受話器を置いた常子に寿美子(趣里)「常子さん」
常子「はい」
寿美子「お客様がお見えです」
と、ちとせ製作所の田中(螢雪次朗)が箱を抱えて階段を上がってくる
「よう、久しぶり」
常子「田中さん!」
田中「今日はあんたらに見せてえもんがあってよ」
常子「はあ…」
テーブルの上のトースター
田中「これなんだけどよ、うちの新しいトースター」
(常子と美子がまじまじとそれを見つめている、後ろには編集部員も集まっている)
田中「すごい勢いで売れてんだよ」
常子「そうなんですか?」
美子「取っ手が大きくなって使いやすくなってますね」
田中「だろ?おまけに性能だってもう段違いさ」
美子が嬉しそうに田中の顔を見る
田中「商品試験で使ってくれ、5個ばかし持ってきたんだ」
常子「あ…そういう訳にはまいりません…でしたら買い取らせて下さい」
田中「いいっていいって!」
花山(唐沢寿明)「いくらです?(美子に)水田君に言って金を持ってきてくれ」
美子「はい」
田中「あ~分かった分かった…相変わらず融通の利かねえ会社だなあ」
常子「フフフ…すみませんあなたの暮しはこういうところなんです」(と頭を下げる)
田中「あんたらの商品試験のおかげで一時は倒産しかかったがね…
あんたに言われて安全で使いやすいトースター
なんとか作り上げたらおかげさまでよ…
いろいろあったけどあんたらには感謝してる」
常子「…そう言って頂けて何よりです」
星野が自宅の表札をはずしてバッグに入れる
「星野さん!」と常子が駆けて来る
星野「常子さん」
常子「よかった間に合って…あの…これよかったら汽車の中で食べて下さい」
(と包みを渡す)
星野「すみません、わざわざ」
子どもたちに目をやる常子「2人とも元気でね」
青葉「青葉お別れするのやだ」
青葉の前にしゃがむ常子「青葉ちゃん…
おばちゃま絶対青葉ちゃんの事忘れないからね」
青葉「ほんと?」
常子「ほんと」
青葉「ほんとにほんと?」
常子(少し吹き出して)「ほんとにほんと」
青葉「ほんとにほんとにほんと?」
常子「ほんとにほんとにほんとにぃ…青葉ちゃんの事忘れないからね」
青葉「青葉も忘れない」
大樹を見る常子「大樹君」
なぜか固くなっているような大樹「うん」
常子「大樹君は優しくてとってもいい子だと思う…でも…
お父さんの前ではしっかり者のお兄ちゃんじゃなくてもいいんじゃないかな…
つらい時は我慢せずにお父さんに頼ってみてね」
大樹「おばちゃん…ありがとう」
常子「うん」
星野に向かう常子「星野さん…今までありがとうございました
星野さんと大樹君と青葉ちゃんと過ごした時間は掛けがえのないものでした
幸せでした」(と右手を差し出す)
常子の右手を握る星野「常子さんは…僕の誇りです
小橋常子という女性と出会えた事を…僕はこれからもずっと
誇りに思い続けます」
二人の右手が名残惜しそうに離れる
星野を見つめながら小さくうなずく常子
星野「では」
常子(清々しい顔で)「では」
子どもたちを見て星野「じゃあ行こうか」
大樹「さようなら」(常子がうなずく)
青葉「じゃあねおばちゃま」
常子「じゃあね」
青葉「さようなら」
常子(青葉の髪を撫で)「さようなら」
大樹の頭を撫で常子「さようなら」
大樹「さようなら」
星野「よし、じゃあ行こう」
大樹と青葉「うん…」
と、3人が常子に背を向けて歩き始める
少しだけ辛そうな顔した常子がそれでも顔を上げ「元気でね」
3人が振り向く
大樹「うん」
青葉「さようなら」
常子が笑って手を振る「さようなら」
大樹「さようなら」
先の角を曲がる青葉が常子に手を振り、そして3人の姿は消える
涙を流し立ちつくしている常子
ほんの少しだけ口元に笑みを作ろうとしたような常子が振り向いて歩いていく
(つづく)
ああ、なるほど
長ズボンのエピは星野がそれに気付いてやれなかったという事が
ポイントだったのか
だから親としての責任を果たすために(子どもたちとの時間を増やすために)
残業の少ない名古屋に行くと…
一応理屈は通ったね(常子がかわいそうで納得はできないが)
こんな事なら再会なんてしなければよかったとちょっと思ったが
常子は最後に「幸せでした」と言っている
そうか…モデルの人が生涯未婚だったのだから常子の結婚を描くのは難しい
だから少しの時間だけでも常子に家庭に入る妻や母親のような
女としての幸せを与えてあげようと作者は思ったのかもしれないね
星野に転勤を告げられた常子が「…痛いほど分かります」と言ったのは
今の星野が17年前の自分と同じだからだろう
家族を助ける事を優先して結婚を諦めた常子と
子どもたちと過ごす時間を優先して常子を置いていく星野
「お子さんの事を真剣に考える人だからこそ
私は星野さんの事を好きになったんです」という常子のセリフも
17年前に別れる時の星野の「自分の事は後回しにして
ご家族のために全力で走り回る常子さんだから恋に落ちたんです」とそっくりだ
ちょっと外で遊んできなさい」
(2人)「はい」(と外に出ていく)
常子(高畑充希)「お話って…」
星野「僕は…名古屋に転勤する事になりました」
言葉が出てこず茫然と星野を見つめるだけの常子
タイトル、主題歌イン
星野「実は…常子さんと再会する前に自分から異動願を出していたんです
異動すれば残業が今よりかなり少なくなりますし
子どもたちとの時間も今よりずっとつくれます」
常子「……はい」
星野「異動の希望がかなえられる事はないと思っていたんですが
先日突然辞令が出たんです
正直に言いますと辞令が出てからは気持ちの整理ができずに
どうしようかと悩んでいました
辞令の撤回を頼もうかとも何度も考えました
でも…心を決めたのは大樹の事でした
同級生の女の子からやけどの痕を気持ち悪いと言われたそうです
それで大樹はやけどを隠すように毎日長ズボンをはいて
登校するようになっていたのですが…
僕はそれにずっと気付けなかった
毎朝自分が用意した半ズボンではなく長ズボンをはいているのに
僕は全く気付いてやれなかったんです
その間も大樹は誰にも言えずに自分一人で悲しんで…苦しんで悩んで…
何度も僕に向けて合図を送っているはずなのに
僕は忙しさのあまりそれに気付いてやれなかった
親としての責任を果たしていなかったんです
親子の絆とは自然に出来上がるものではなく
作り上げていくものなんだと実感しました
そう思うと子どもたちとの時間を増やすためには
名古屋へ行くのが一番なんだと決断したんです
常子さんに相談もしないで自分一人で決めてしまって申し訳ありません
常子さんの事はとても大切です
一緒になる事ができたらどれだけすばらしい人生が送れるだろうかと
そう思いましたが…
親の責任はとても重いものだと感じています
身勝手な事を言いますが…名古屋へ行く事を許して下さい」(と頭を下げる)
常子(涙目で)「許すだなんて……星野さんのお気持ちは痛いほど分かります」
星野が顔を上げて常子を見る
常子「親子の絆を作り上げる事はとても大切な事だと思います
お子さんの事を真剣に考える人だからこそ
私は星野さんの事を好きになったんです」(常子の瞳から涙がこぼれる)
星野「常子さん…ありがとう」
静かに星野を見つめている常子
小橋家
常子をじっと見つめている美子(杉咲花)「転勤…」
常子(平然と)「ええ、会社の辞令ですって」
美子「とと姉ちゃんはどうなるの?」
常子「ん~私は変わらないわよ、今までどおり
いや…今まで以上にお仕事頑張ります」(と君子を見る)
切ない表情で常子を見ている君子
常子「何だかおなかすいてきちゃった、着替えてきますね」(と部屋を出る)
美子「また無理しちゃって…本当はつらいのに元気なふりして」
君子(木村多江)「そうね…つらい選択だったと思うけど
常子は納得して選んだのだと私は思うわ」
自室の机の上の「あなたの暮し40号」の上に右手をのせている常子
編集部
電話で話す常子「はい…申し訳ございません…恐らくこちらの手違いではないかと
はい…36号をすぐに送るように手配しますので少々お待ち下さい
はい…失礼します」(美子が常子を心配そうに見ている)
受話器を置いた常子に寿美子(趣里)「常子さん」
常子「はい」
寿美子「お客様がお見えです」
と、ちとせ製作所の田中(螢雪次朗)が箱を抱えて階段を上がってくる
「よう、久しぶり」
常子「田中さん!」
田中「今日はあんたらに見せてえもんがあってよ」
常子「はあ…」
テーブルの上のトースター
田中「これなんだけどよ、うちの新しいトースター」
(常子と美子がまじまじとそれを見つめている、後ろには編集部員も集まっている)
田中「すごい勢いで売れてんだよ」
常子「そうなんですか?」
美子「取っ手が大きくなって使いやすくなってますね」
田中「だろ?おまけに性能だってもう段違いさ」
美子が嬉しそうに田中の顔を見る
田中「商品試験で使ってくれ、5個ばかし持ってきたんだ」
常子「あ…そういう訳にはまいりません…でしたら買い取らせて下さい」
田中「いいっていいって!」
花山(唐沢寿明)「いくらです?(美子に)水田君に言って金を持ってきてくれ」
美子「はい」
田中「あ~分かった分かった…相変わらず融通の利かねえ会社だなあ」
常子「フフフ…すみませんあなたの暮しはこういうところなんです」(と頭を下げる)
田中「あんたらの商品試験のおかげで一時は倒産しかかったがね…
あんたに言われて安全で使いやすいトースター
なんとか作り上げたらおかげさまでよ…
いろいろあったけどあんたらには感謝してる」
常子「…そう言って頂けて何よりです」
星野が自宅の表札をはずしてバッグに入れる
「星野さん!」と常子が駆けて来る
星野「常子さん」
常子「よかった間に合って…あの…これよかったら汽車の中で食べて下さい」
(と包みを渡す)
星野「すみません、わざわざ」
子どもたちに目をやる常子「2人とも元気でね」
青葉「青葉お別れするのやだ」
青葉の前にしゃがむ常子「青葉ちゃん…
おばちゃま絶対青葉ちゃんの事忘れないからね」
青葉「ほんと?」
常子「ほんと」
青葉「ほんとにほんと?」
常子(少し吹き出して)「ほんとにほんと」
青葉「ほんとにほんとにほんと?」
常子「ほんとにほんとにほんとにぃ…青葉ちゃんの事忘れないからね」
青葉「青葉も忘れない」
大樹を見る常子「大樹君」
なぜか固くなっているような大樹「うん」
常子「大樹君は優しくてとってもいい子だと思う…でも…
お父さんの前ではしっかり者のお兄ちゃんじゃなくてもいいんじゃないかな…
つらい時は我慢せずにお父さんに頼ってみてね」
大樹「おばちゃん…ありがとう」
常子「うん」
星野に向かう常子「星野さん…今までありがとうございました
星野さんと大樹君と青葉ちゃんと過ごした時間は掛けがえのないものでした
幸せでした」(と右手を差し出す)
常子の右手を握る星野「常子さんは…僕の誇りです
小橋常子という女性と出会えた事を…僕はこれからもずっと
誇りに思い続けます」
二人の右手が名残惜しそうに離れる
星野を見つめながら小さくうなずく常子
星野「では」
常子(清々しい顔で)「では」
子どもたちを見て星野「じゃあ行こうか」
大樹「さようなら」(常子がうなずく)
青葉「じゃあねおばちゃま」
常子「じゃあね」
青葉「さようなら」
常子(青葉の髪を撫で)「さようなら」
大樹の頭を撫で常子「さようなら」
大樹「さようなら」
星野「よし、じゃあ行こう」
大樹と青葉「うん…」
と、3人が常子に背を向けて歩き始める
少しだけ辛そうな顔した常子がそれでも顔を上げ「元気でね」
3人が振り向く
大樹「うん」
青葉「さようなら」
常子が笑って手を振る「さようなら」
大樹「さようなら」
先の角を曲がる青葉が常子に手を振り、そして3人の姿は消える
涙を流し立ちつくしている常子
ほんの少しだけ口元に笑みを作ろうとしたような常子が振り向いて歩いていく
(つづく)
ああ、なるほど
長ズボンのエピは星野がそれに気付いてやれなかったという事が
ポイントだったのか
だから親としての責任を果たすために(子どもたちとの時間を増やすために)
残業の少ない名古屋に行くと…
一応理屈は通ったね(常子がかわいそうで納得はできないが)
こんな事なら再会なんてしなければよかったとちょっと思ったが
常子は最後に「幸せでした」と言っている
そうか…モデルの人が生涯未婚だったのだから常子の結婚を描くのは難しい
だから少しの時間だけでも常子に家庭に入る妻や母親のような
女としての幸せを与えてあげようと作者は思ったのかもしれないね
星野に転勤を告げられた常子が「…痛いほど分かります」と言ったのは
今の星野が17年前の自分と同じだからだろう
家族を助ける事を優先して結婚を諦めた常子と
子どもたちと過ごす時間を優先して常子を置いていく星野
「お子さんの事を真剣に考える人だからこそ
私は星野さんの事を好きになったんです」という常子のセリフも
17年前に別れる時の星野の「自分の事は後回しにして
ご家族のために全力で走り回る常子さんだから恋に落ちたんです」とそっくりだ
田中のエピは何だったのだろう?
今回は常子が可哀想すぎる話なので元気が出るような話をはさんだのだろうか
それとも今後のアカバネとの対決に田中が加勢でもしてくれるのかな?
トースターを「商品試験で使ってくれ」ってどういう意味だろう
食パンの試験をする時に使ってくれという事だろうか?
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