2016年9月21日水曜日

とと姉ちゃん(147)娘たちにそれぞれ言葉を贈る君子~小さな幸せの積み重ねで今の幸せがある…

君子の部屋 
常子(高畑充希)が「どうぞ」とお茶を置く 
花山(唐沢寿明)「ありがとう」 
布団の上に半身を起こした君子(木村多江)が肩掛けを掴む 
「あ~かか」と常子がそれを羽織らせる 
花山「お加減はいかがですか」 
君子「今日は少し気分がよくて…常子…」 
常子「はい」 
君子「少し2人にしてもらえるかしら」 
常子「…ええ…では」(と部屋を出る) 
花山の顔を見る君子 

タイトル、主題歌イン 

君子「わざわざお越し頂きありがとうございます(花山が礼で返す)
ず~っとね…花山さんにお礼を申し上げたいと思っていたの」
花山「礼ですか?」
君子「娘たちを立派に育てて頂き感謝しております」
花山「感謝なんてとんでもない…私は…
私は常子さんにとって本当にこれでよかったのかと
考えてしまう時があるんです」
君子「なぜ?」
花山「『雑誌を作るならば人生を賭けます』と
常子さんは全てをなげうってあなたの暮しに打ち込んでくれました
ですが常子さんにはもっと別の人生があったのではなかろうかと…
お母様としても思うところがあるのではないですか?
ただ仕事だけに邁進させてしまって申し訳ありません」(と頭を下げる)
君子「いいえ…常子は幸せなのだと思います
自分で選んだ道ですし…何より
そんなふうに思って見守って下さる方がいるんですもの」
花山「…」
君子「あの子は幼い頃からずっと無理をして生きてきたように思えます
人に頼るのが下手で何でも一人で抱えて…
花山さんに出会って叱られてようやく
常子は心から誰かに頼って生きる事ができたんだと思います
本当にありがとうございます」
花山が頭を垂れる
君子「よかった…お伝えできて…」
花山「…長居してお体に負担をかけてはいけませんね
この辺で失礼します」
君子「花山さん…これからも娘たちをよろしく…お願い致します」
うなずいて礼を返した花山が立ち上がり「失礼致します」と部屋を出る
一人になって何か心のつっかえがとれたようにうなずく君子

玄関を出た花山を3姉妹が見送る
常子「今日はわざわざすみませんでした」
美子(杉咲花)「ありがとうございました」
(常子と鞠子)「ありがとうございました」
鞠子(相楽樹)「花山さんにお会いでき母もとても喜んでいると思います」
花山「こちらこそだよ…すばらしいお母さんだね」(と背を向け歩いていく)

君子が仏壇に手を合わせている
常子「かか、よろしいですか?」
君子「ええどうぞ」
3姉妹が部屋に入り君子の前に並んで座る
常子「花山さんをお送りしてきました」
君子「ありがとう…どうしたの?3人そろって」
美子「ちょっとかかと話したくなっちゃって」
君子「な~に?」
鞠子「ととへご挨拶ですか?」
君子「ええ、ちょっとね…さあ何を話そうかしら?」
顔を見合わせる3姉妹「ん~フフフ…」
美子「こう改まると特には…」
常子「フフフ…そうね」
鞠子(常子に)「あっ、よっちゃんが電話で言い間違えた話は?」
常子「えっ?」
美子「えっ?」
鞠子「ほら会社で電話受けて『少々お待ち下され』って言ったらしいじゃない」
美子「ちょっとどうして言うのよ」
常子「ごめんね、何だか愛らしいなと思っちゃって…フフフ」
美子「もう恥ずかしいわ」
常子「ごめんごめんごめん」
美子「もう…」
常子「フフフフ」
笑い合う娘たちを笑顔で眺めている君子「あなたたちがいてくれたから
幸せだったわ」
鞠子「かか…どうされたんです?」
君子「……美子」
美子「はい」
君子「美子はいつも私たちを和ませて笑わせてくれている
あなたが笑うと私たちみんな幸せな気持ちでいっぱいになるのよ…
いつも伸びやかで美子には笑っていてほしいわ」
美子が「はい」とうなずく
君子「……鞠子」
鞠子「はい」
君子「鞠子はね…いつもさりげなく心配りしてくれる
だからみ~んな甘えてしまうの
おかげで私は安心していられる」
鞠子が微笑んでうなずく
君子「……常子」
常子「はい」
君子「あなたはいっつも一生懸命でみんなの幸せのために走り続けて…
どんな時でも私を支えてくれた
本当にありがとう」
潤んだ瞳で母を見つめる常子が小さくうなずく
立ち上がった君子が(美子に体を支えられ)
押し入れから小さめのつづらを取り出す(つづらは美子から常子へ)
君子「それ…私の宝箱なの」
美子「宝箱?」
常子「開けていいですか?」
君子「ええ」
常子が蓋を開けると中にはいろいろなものが収められている
「あ…うわぁ…これ」と常子が布で作った桜の花びらを手に取る
思い出される竹蔵とのエピソード
鞠子が「懐かしい…」と『KT歯磨』と書かれた小袋を手に取る
思い出される森田屋での練り歯磨きの破裂騒ぎ
君子「一つ一つが愛おしくてね…つい取って置きたくなるの
小さな幸せっていうのかしら…その積み重ねで今の幸せがあるのね」
常子「ととも昔おっしゃってましたね」
君子「…みんな…本当にありがとう…
あなたたちは私の自慢の娘よ」
3姉妹も目が潤んでいる
君子「ああ…明日の昼…久しぶりに常子の親子丼が食べたいわ」
「フフフ…」と顔を崩して笑った常子が
こぼれる涙をぬぐい「はい、ご用意しますね」とうなずく
君子が仏壇に向かい竹蔵の写真を納得したような笑顔で見つめる
母の背中を見つめている3姉妹

<君子が亡くなったのは10日後の事でした>

(つづく)

花山が言う常子の別の人生とはもちろん
結婚したり子どもをもうけたりという生き方の事だろう
ここは視聴者的にとても気になるところでそのモヤモヤを
作者が君子のセリフを借りて説明したといったところだろうか
もちろん結婚しないと幸せになれない訳ではない
現実には結婚した事で逆に不幸になる人もいるだろう
けれどもこれはドラマでそれも朝ドラだ
朝ドラのヒロインには現実を生きる我々の普通の人生よりももっとこう
「輝かしい何か」を自分は期待してしまう
星野を諦めとと姉ちゃんとして生きた常子の物語は美しいし
ドラマも面白かった
モデルの大橋鎭子さんの人生も素晴らしいと思う
けれどもやはり朝ドラのヒロインには好きな相手と結ばれてほしい…
と個人的には思ってしまう

常子は時々親子丼を作っているみたいだ
長谷川に教えてもらった親子丼だけが常子の得意料理なのかもしれないね

君子が竹蔵や滝子と同じくナレ死した
この臨終を描かないスタイルはいいと思う
朝から死に別れで泣き叫ぶシーンとか見たくないから


2016年9月20日火曜日

とと姉ちゃん(146)孫たちとふれあい娘たちの幼い頃を思い出す君子

昭和三十九年十月 
(ラジオ)「昨夜東京オリンピック注目の女子バレーボール決勝戦が行われ
東洋の魔女が3対0でソビエトを破り金メダルを獲得しました
日本女子としては実に28年ぶりの…」 
部屋の布団の上で君子(木村多江)があなたの暮しを読んでいる
(記事・砂時計は正確か) 
部屋の外から家族らの「行ってきます」と「行ってらっしゃい」が聞こえてくる 
玄関に向かい「行ってらっしゃい…」と穏やかな笑顔で呟く君子 

タイトル、主題歌イン 

真由美の髪をとかしているたまきがせきをする
振り向く真由美「たまきちゃん大丈夫?」
たまき「うん…ちょっと風邪っぽくて」
さらにせきをするたまき
君子が心配そうに部屋をのぞく「たまき」
たまき「おばあ様寝てなきゃ」
君子「いいのよ…それよりあなた風邪ひいたって…」
たまき「平気ですよ、大した事なさそうですし」
たまきの額に手のひらを当てる君子「どこが平気なの…熱があるじゃない
(部屋の外に向かい)鞠子!」(鞠子の返事「はあい!」)
たまき「大丈夫ですってこのくらい」
君子「ほら、私がやるから(真由美の世話は)休んでなさい」
「準備できた?」と鞠子(相楽樹)がやってくる「かかどうしました?」
君子「たまきが熱があるみたいなのよ」
鞠子「えっ」
君子「部屋で休ませた方がいいわ」
たまきの額に手を当てる鞠子「そうします…たまき…」
たまき「はい」(と立ち上がり鞠子と部屋を出ていく)
(ラジオ)♬「明日がある明日がある明日があるさ~」
たまきの代わりに櫛を持つ君子
真由美「私、髪やってもらうの好き」
君子「アハハ、そう?何だか小さい頃の美子を思い出すわ」
真由美「お母さんの?」
真由美の髪をすく君子「うん、美子もね…同じ髪形だったのよ
毎日欠かさずやってたの…さあできた」
真由美「ありがとう」
君子「こちらこそありがとう」
部屋に戻ってくる鞠子「え~っと…」
君子「氷枕用意しなくちゃね」
鞠子「ええ私が」
君子「鞠子は子どもたち送っていきなさい」
鞠子「けどかかだって…」
君子「心配ないわ…今日は調子がいいの」
鞠子「…すみません…お願いします…潤、真由美、行きましょう」
(2人)「はい」
君子「行ってらっしゃい」
(3人)「行ってきます」

布団に寝かされたたまきの額に君子が手ぬぐいをのせている
目を開き君子を見るたまき「ごめんなさい…おばあ様もご病気なのに」
君子「今日はおばあ様よりあなたの方が重病人よ…
そういえば昔…鞠子も体調を崩した事があったわね…
あれは確か戦時中の大変な時だったわ」
たまき「お母さんが?」
君子「あなたは常子に似ているところがあるけどやっぱり鞠子似ね」
たまき「お母さんに似てますか?」
君子「ええ…勉強を始めたら止まらないでしょう
決めた事をやり抜こうとするところも似ているし
ちょっと頑固なところもそっくり…フフフフ」
たまき「そうなんだ」
たまきの両頬に手を当てる君子「昔ね…母が私が具合が悪い時に
こうして優しく手を当ててくれたの
少~し心も体も楽になるような気がしない?」
うなずくたまき「うん…」
優しい笑顔でたまきの顔をのぞきこんでいる君子

夜、玄関に常子と美子と水田が帰宅する
美子(杉咲花)「あら、風邪ひいたの」
鞠子「ええ」
水田(伊藤淳史)「何で早く言わないの(と慌てて部屋に向かい)たまき!」
鞠子「今寝てますから!」(水田の動きが止まりスローになる)
常子(高畑充希)「それでもう大丈夫なの?」
鞠子「うん、もう熱は下がったから」
常子「そう、よかった」
美子「でも子どもたちの面倒も見ながらで大変だったでしょう」
鞠子「ううん、かかがいろいろ手伝ってくれるから」
美子「えっ?」
常子「かかが?」

台所で南(上杉柊平)たちと夕食の準備をしている君子
常子「かか」
美子「寝てなくていいんですか?」
君子「たまきのごはんを作りたくなっちゃったの…
これどうかしら?」(と飾り切りをしたニンジンを見せる)
南「きれいですね」
真由美「すご~い!」
君子「見た目も楽しい方がいいと思って」
南「きっと喜びますよ」
君子「まあ…じゃあもっと切るわね」
南「お願いします」
楽しそうにニンジンを切る君子を見つめる常子が医師の告知を思い出す
常子「…私も手伝います」

夕食を運ぶ鞠子「たまき、具合はどう?
(身を起こしたたまきに)食べられそう?」
たまき「うん」
鞠子がたまきに椀を手渡す
粥飯の上には飾り切りのニンジン
たまき「わぁ…きれい」
鞠子「おばあ様お手製よ」
最初にニンジンを食べるたまき「おいしい」(と微笑む)
元気そうになった娘を見て微笑む鞠子

君子が真由美に手拭いの畳み方を教えているようだ
(隣で潤はお絵描きをしている)
真由美「こう?」
君子「そうよ、角と角をしっかり合わせて…そうそう…あ~いいわね」
台所からそれを見て微笑む常子
戻ってきた鞠子「あっ、みんなありがとう…さあごはんにしましょう」
常子「そうね」
鞠子「ほら潤も!」
潤「もうちょっと」
水田「後にしなさい」
潤「は~い」(と立ち上がる)
美子「あれ?ゴミはちゃんと捨てるんじゃなかったっけ?」
「分かったよ…」と潤が描いていた絵を手に取る
君子「潤、これおばあ様に頂戴」
潤「いいよ」(と家の中に9人の笑顔が描かれた絵を手渡す)
君子「ありがとう」(と絵を眺め大切そうに折る)
常子の「頂きます」で夕食が始まるが君子は箸を取らず
食事をする家族を幸せそうな笑顔で眺めている

眠っているたまきの部屋の戸が開けられ明かりが差し込む

君子の手を取り階段を下りる常子「たまき大丈夫そうでしたね」
君子「ああ…そうね…よかったわ(と下に着き)ありがとう」
廊下を歩く君子が鼻歌を歌う(♬明日があるさ)
部屋に入り常子が君子を見つめる
君子「どうかした?」
常子「いえ…昔からかかが鼻歌を歌う時は悲しげな時が多かったので」
君子「あらそうだったかしら私…
あ…知らず知らずのうちに心配かけてたのね…ごめんなさい」
常子「いえいえ」(と君子の腕をさする)
君子「でもこれは違うの…うれしい時の鼻歌」
(2人)「フフフフフ」
君子「うれしくてね…懐かしくなったの(と仏壇の前に座り)
髪をといてあげて料理をしてみんなでにぎやかに笑い合って
…あと何回みんなでごはんを食べられるのかしら」
常子「…(辛い表情になりかける)もう…かか何をおっしゃってるんですか
そんなの数えだしたら切りがありませんよ」
君子「そうね(と常子に振り向き)今日はぐっすり眠れそうよ」
常子がうなずく
君子「おやすみ」
常子「おやすみなさい」
(2人)「フフフ」
立ち上がった常子が部屋を出て戸を閉める
と、部屋でまた君子が鼻歌を歌う
常子の歩みが止まる

美しい月

昭和三十九年十二月

<君子の病状は悪くなる一方でこのころには一日の大半を
床で過ごすようになっておりました>

編集部で働く綾(阿部純子)がどこか元気のない美子、水田、常子を見つめる

一家の大きな家
(ラジオ)♬「つたの絡まるチャペルで祈りを捧げた日~」
長卓でアイロンがけをしている鞠子
(子どもたちはそれぞれ勉強したり遊んだりしている)
と、玄関で常子と美子の「ただいま帰りました」という声がする
「え~早いわね…は~い!お帰りなさい!」
と玄関に向かい驚く鞠子「花山さん!」
花山(唐沢寿明)「やあ、しばらく」
子どもたちも「こんにちは!」と玄関に集まる
花山「こ~んにちは~」(と、なぜか幽霊のように挨拶する)
笑う常子「かかのお見舞いに来て下さったの」
鞠子「そうでしたか、お忙しいのにありがとうございます」
美子「さあどうぞどうぞ」
「ああ」と家に上がる花山

(つづく)

前回、なぜあんなにしょぼい砂時計の試験なんかやってるんだろうと思ったら
どうやら砂時計は君子の残りの命を暗示する演出という事らしい
今回の冒頭で君子がその記事を読んでいるのは
「砂時計は正確か」がそのまま君子の命が医師の告知通りに終わるのか…
に対応しているといったところだろうか?

ならば♬「明日があるさ~」は君子には逆に明日がない事の
♬「祈りを捧げた日~」は常子たちにはもう祈る事しかできない事の
暗示なのだろうか?

そこまでこじつけて考えるとラストの花山の幽霊のマネ(おそらくアドリブ)は
君子の死期が近い事を考えるとシャレになっていないと思えてくるw

2016年9月19日月曜日

とと姉ちゃん(145)常子が建てた大きな家で幸せに暮らす一族~しかし君子が病に倒れ…

<昭和33年、常子は美子を嫁に出し
とと姉ちゃんとして目標の一つをかなえました 
そして6年がたち昭和39年、東京オリンピックが目前に迫り
東海道新幹線の開通が世間をにぎわせたこの年
常子は次の目標をかなえました> 

洋式机の上に立てかけられた常子の3つの目標の短冊 
その横の携帯ラジオを手に取った常子(高畑充希)が
「ん~!」と大きく伸びをする 

台所に顔を出す常子「おはよう」 
エプロン姿の鞠子(相楽樹)と美子(杉咲花)「おはよう」 

<家族4人で戦争を乗り越えた思い出の土地を購入し
そこに新たに大きな家を建てたのです> 

門柱に「小橋」「水田」「南」の3つの表札が並んでいる 
庭でラジオ体操をする常子、水田(伊藤淳史)、南(上杉柊平)、
それに中学生になったたまきと小さな男の子と女の子 
(一同)「5、6、7、8、1、2、3、4…」 
せつと稲子が「おはようございます」とやってくる
(せつの手のザルにとうもろこし、稲子は回覧板を抱えている) 
(一同)「おはようございます」 
空を見上げる稲子「今日もいいお天気ねえ」 
常子(体操で腕を振りながら空を見て)「そうですね」 
せつ「今年もたくさん採れたから召し上がって」 
常子「あっ、すみません」(と受け取りに向かう) 
せつ「いいのいいの、ここ置いとくから」 
稲子「回覧板もよろしくね」 
常子「はい、分かりました」 
縁側にのぞむ部屋から笑顔の君子(木村多江)がそれを眺めている 
(せつと稲子)「失礼します」 
(一同)「ありがとうございます」 
稲子「元気よく~」 
腕を振る常子「元気よく!」 

タイトル、主題歌イン 

<小橋家はこの大きな家に9人で暮らす大家族になりました>

台所に続く居間の長卓で正座をして朝食をとる一同
たまき(13歳)「あら潤、ニンジン食べられるようになったの?」
水田潤(5歳)「うん」
水田「偉いぞ、たまき姉ちゃんはな
10歳までニンジンが食べられなかったからな」
たまき「今は好き嫌いないもん」
鞠子「そうよね」
潤「でもピーマン食べられないんだ」
南真由美(4歳)「私もピーマン嫌い」
美子「真由美はシイタケもトマトも嫌いでしょ?」
真由美「シイタケもトマトも嫌い」
(一同の笑い声)
水田「じゃあ潤がピーマン食べられるようになったら
おもちゃを買ってあげよう」
潤「本当!?」
水田「うん!」
南「じゃあ真由美が食べられるようになったら絵本を買ってあげようかな」
真由美「ほんとに?」
(鞠子と美子が同時に)「いけません」
弱り顔の水田と南(潤と真由美も顔をしかめる)
鞠子「駄目よ物で釣るなんて」
美子「そうよ、教育上よくありません」
(水田と南)「は~い…」(潤と真由美も)「は~い…」
水田「いかんな男親は…そんな発想しかできなくて…なあ?大昭君」
南「ええ…女性陣には頭が上がらないです」
水田「我々男は肩を寄せ合って生きていこう!」
南「ええ!」
水田「うん!」
君子「みんなにぎやかで毎日楽しいわ」
常子「そうですね」
君子「常子がこの家を建ててくれたおかげよ」
常子「フフフフフ」

<美子は結婚し出産をしたあとも編集者として仕事を続けていました>

あなたの暮し出版編集部
砂時計が落ちる時間をストップウォッチで計る美子「26秒もずれてるわ」
本木「26秒も?え~…ひどいもんですなあ」
島倉「美子さん、これいい企画ですよ」
笑顔の美子「後でまとめておきます」
水田「皆さん、74号も80万部を超えました!」
(一同)「お~」(と拍手が起こる)
美子のところにやってくる水田「夢が現実になるかもしれませんね…
100万部まであと少し…」
美子「私も今同じ事考えてました」
水田「えっ?ハハハ…」
綾(阿部純子)「美子さん、少しいいかしら」
美子「はい」
綾「確認お願いします」(と書類を提出する)
美子「拝見します」(と受け取り確認する)

<あなたの暮し出版女性を多く採用し
育児が一段落した綾も正社員として入社していました>

美子「分かりやすいですね、ご苦労さまです」(と書類を返す)

編集長室で花山(唐沢寿明)がカップの上にフィルターを立て
コーヒーを淹れている
常子「あの…」
「○×△…!」と手で制する花山
やっと淹れ終わりカップを手に席に着いた花山がコーヒーをすする
常子「あの…お話というのは?」
花山「ああ…提案なんだがね」
常子「はい」
花山「また何か書いてみないか?」
目を丸くする常子「私がですか?」
花山「驚く事じゃない、台所の連載も好評だったじゃないか」
常子「ですが今はもう社長の仕事だけで手いっぱいで…」
花山「君の文章にもファンがついている
常子さんの文章が読みたいといまだに手紙も届くじゃないか」
常子「ありがたい話です…」
花山「社員も増えて負担も少なくなってるだろう
そろそろ書いてもいいんじゃないか?」
逡巡する常子「…」
花山「ならば結構」
常子「いえ…あ…やりたいです…あの…あ…(と手帳を取り出し)
例えば…(とページをめくり)『子どもの好き嫌いをなくす料理』ですとか
『洗濯槽は汚れている?』ですとかそういった題材はいかがでしょう?」
大きく顔をしかめる花山「その辺りは常子さんじゃなくても書けるだろう
私が望むのは君にしか書けないものだよ」
常子「私にしか書けないもの…」
花山「まあ焦って今決めんでもいい…ゆっくり考えてくれれば」
常子「ええ」(と笑顔になる)
花山「あ~このところ会社に顔を出さんがお母さんは元気かい?」
常子「はい、おかげさまで今でも家の事をいろいろやってくれています
これまで苦労かけてきたのでこれからは恩返しをできればと思っています」
花山「うんそれがいい、存分にお母さんをいたわってあげなさい」
笑顔でうなずく常子「はい」

縁側で君子がのんびりとお茶を飲んでいる
目の前の庭では洗濯物を取り込む鞠子が
鼻歌で「明日があるさ」を歌い
七夕なのか鉢植えの木には色とりどりの短冊が吊るされている
(店が大繁盛しますように 大昭)
(ゆうぎかいでじょうずにおどれるよおに まゆみ)
(家族全員が幸せでありますように 鞠子)
(かけっこでいちば… じゅん)
(家族も社員もみんなが元気でいられますように 常子)
短冊を眺めていた君子が突然「あっ…」と腰のあたりを押さえる
苦痛の表情に変わる君子
異変に気付いた鞠子が「かか?大丈夫ですか?」と駆け寄る
君子「うん…平気よ…ちょっと痛かっただけ」
鞠子「少し横になられた方が…」
君子「ああ、いいのいいの…それよりあれ…どうなった?」
鞠子「あれって?」
君子「ほら、潤と真由美の衣装…お遊戯会来週でしょ?」
鞠子「そうなんですけど裁縫がちょっと…
だからよっちゃんに作ってもらおうかと思って」
君子「それなら…私にやらせてもらえないかしら」
鞠子「えっ?」
君子「美子も忙しいでしょう…それくらいできるわよ」
鞠子「…」
と、「一番!金メダル!」と潤が戻ってくる(たまきと真由美も続いて戻る)
たまき「潤、勝手に走んないでよ」
潤「銀と銅だよ」(と2人をそれぞれ指さす)
鞠子「お帰り」
(3人)「ただいま帰りました」
鞠子「お迎えありがとう」
たまき「ううん、帰り道だもん」
君子も立ち上がり庭に降りてくる「潤、真由美、おばあ様が
お遊戯会のお洋服作ってあげるわね」
「やった~」と真由美が飛び上がる
潤「シェー!」(とポーズをとる)
君子「ウフフフフ」
鞠子「カバン置いてきなさい」(と潤と真由美を家の中に促す)
たまき「おばあ様が作る事になったの?」
鞠子(君子に)「じゃあ…お願いします」
君子「ありがとう」
たまき「私も手伝っていいですか?」
君子「もちろんよ…フフフフ」

ミシンを操る君子の手元を真由美が真横からじっと見ている
卓で裁縫をするたまきの手元は潤がのぞき込んでいる
潤「怖くないの?針」
たまき「怖くないよ、潤くらいの年からやってたからね」
潤「すごいね」
それを君子が笑顔で聞いている
台所でジャガイモの皮をむく鞠子「潤、邪魔しちゃ駄目よ」
潤「はい」
子どもたちを見る穏やかな表情の君子

夜、お遊戯会の衣装を着た潤と真由美が振り付きで歌っている
♬「幸せなら手をたたこう 幸せなら手をたたこう 
(一同がそれに手拍子を合わせている)
幸せなら態度でしめそうよ ほらみんなで手をたたこう」
水田「アハハハ!2人ともうまいぞ」
常子「うん、上手」
潤と真由美「ありがとう」「まあね」
美子「それにしてもさすがかかとたまきよね
まり姉ちゃんだったら絶対こんなかわいい衣装作れないもの」
鞠子「悪かったわね」
南「お母さん、たまきちゃん、ありがとうございます」
君子「いえ、いいのよ」
水田「ありがとうございます(君子がうなずく)
いや~本当センスがいいよなぁ…(と衣装を眺め)
うん、ここのこれ…葉っぱのところが僕は好きですね」
鞠子「私はこのお花のところがお気に入り」
常子「うんそうよね、私も」
美子「うん私もここが好き」
南「うん俺も」
南を見る水田「裏切ったな…男同士協力していこうと誓い合っただろ?」
南「これはどっちでもいいじゃないですかぁ…」
「僕もここが好き!」と潤が花の部分を指さす
常子「ねえ」
水田「潤まで!」
(君子が腹のあたりを押さえる)
常子「かか?」
君子「平気平気…」
うずくまるような君子を心配する一同
水田「少し横になりましょう、大昭君布団を」
常子「たまきごめん、お水取ってきて…かか…」
「おばあちゃん!」

四日後

蝉の声が聞こえる病室(個室)のベットの上に横たわる君子

診察室で医師の説明を聞く3姉妹
常子「母の病状はそんなによくないんですか?」
医師「最善は尽くしますが…」
常子「…母はもう長くないという事ですか…」
医師「正確には申し上げられませんが
お母様もご家族の方にも悔いのないように
一日一日を大切に過ごして頂いた方がいいかと存じます」

<君子の体はがんに侵されていました>

病室の君子と3姉妹
(常子と鞠子は部屋の備品などを整え美子はリンゴの皮をむいている)
機嫌よく話す君子「新聞を買いに行った時
待合室にあなたの暮しを読んでる方がいらっしゃったの
アハハハ!ついついお声をかけて話し込んでしまったわ、フフフフフ」
美子「そう」
君子「…それで…何ておっしゃってたの?
吉永先生とお話ししたんでしょ?」
笑顔の常子「ええ、はい」
やはり笑顔の鞠子「それがね、具体的な事は特に」
美子「そう…ご挨拶くらいしか」(と微笑む)
君子「あなたたち…ちゃんと正直に教えてちょうだい」
常子「…お医者様は何の心配もないっておっしゃってました
これからきちんと治療すればきっと治るだろうって」
君子「……そう……だったら…退院したいわ…ここで一人はさみしくてね」
常子「…分かりました…お医者様に聞いておきますね」
君子「お願いね」
「はい」と口元に笑みを浮かべ答える常子

(つづく)

109話で常子と鞠子が東堂に土産で持っていった「たくさん届いた」という
とうもろこしはいったいどこから貰ったものなのか気になっていたのだが
もしかするとせつにお裾分けしてもらったものなのかもしれないね

南は男らしくてイケメンだったのにすっかり牙が抜けてしまったようだ
嫁の姉が建てた家に入ってしまったから仕方ないのだろうか…

砂時計の商品試験のなんとみみっちい事!
島倉の「これいい企画ですよ」は完全にヨイショだろw
あんなもの秒針つきの腕時計を持っていれば
店先で消費者でも確認できる事だろうに

祝!綾がいつのまにかやっと正式採用されたとの事!
ところが6つも年下で女学校では落ちこぼれだった
美子に評価される立場なのがなんだか哀しい
学校一の才媛だった綾なのに…
今回は秀才だった大卒の鞠子も美子に裁縫下手をからかわれていたが
このドラマの作り手は何か学歴に恨みでもあるのだろうか?

前回の次週予告に吉本実優が出ていたので
6年でたまきは随分と大きくなるんだと思っていたが勘違いだった
今週の木曜日からまた時間が飛ぶとのこと(吉本実優はそこから)

そしてたまきの「潤の年(5歳)くらいからやってた(針を)」が気になった
前回のたまきは6年前だから7歳
「お母さん、ポテトサラダお皿によそって」と甘え
シャボン玉で遊び大人たちの膝に抱かれていたたまきは
すでに針を持ち始めてから2年という事になってしまう…

君子が作ったお遊戯会の衣装はクオリティ高すぎw