営業中のキッチン森田屋
カウンターの席に座る常子(高畑充希)が新聞を読んでいる
昭和二十五年
<常子にとって毎日、新聞にくまなく目を通す事は
雑誌作りのための大事な習慣になっていました>
照代(平岩紙)「どう?気になるニュースはあった?」
常子「ん~…今日は…後楽園球場でナイター設備を完備…ですかね」
照代「そんな事まで気にするの?」
常子「はい、あなたの暮しに直接関係なくても
流行を知れば読者が気になる事が分かりますから
それにこのニュース、戦時中の灯火管制があった頃からしたら
もう考えられません」
照代「そうよねえ…」
宗吉(ピエール瀧)「随分と変わってきたよな
食材だっていろいろ手に入るようになってきたしな」
照代「少しずつ暮らしが変わりつつあるのねえ」
宗吉「お前んとこの雑誌が一役買ってんじゃねえか?」
常子「いやそんな…お役に立ててればうれしいですけど」
照代「立ってるわよ!みんな毎号楽しみにしてるんだもの
部数だって伸びてるんでしょ?」
笑みがこぼれて新聞で口元を隠す常子
「宗吉さんが料理監修して下さっているおかげです」
宗吉「よせやい、そんなおだてなくても頑張ってやるよ」
「よろしくお願いします」と頭を下げた常子が腕の時計を見て
「あっ…あ~いけないもうこんな時間だ…原稿取りに行かないと」
と店を飛び出す
バックを手に道を駆ける常子
タイトル、主題歌イン
<「あなたの暮し」の出版部数は順調に推移して社員も増やし
(扇田弘栄と島倉勝)経営も確固たるものになってきておりました>
デスクの電話が鳴り応対する常子
<順調なのは売り上げだけではなく…>
水田(伊藤淳史)「常子さん受話器相手にあんなに頭下げちゃって…」
鞠子(相楽樹)「あら、水田さんだっていつもあんな感じですよ」
水田「え…いつもって…鞠子さんそんなに僕の事を見てたんですか?」
鞠子「何ですか!意地悪言わないで下さい」
2人を観察している美子(杉咲花)
水田「いや…意地悪なんてそんなとんでもない」
常子も2人を見て口を手で押さえる
夜、食事中の小橋家(鞠子は不在)
美子「まだなのかしら」
常子「まだって?」
美子「まり姉ちゃんの結婚…もうおつきあいして随分たつわ
水田さんがそろそろはっきりするべきよ」
君子(木村多江)「美子…」
常子「水田さんには水田さんの考えがあるのよ」
美子「いや、こういう時はやっぱり周りの配慮が肝心だと思うの
しっかり背中を押してあげないと…」
常子と君子が笑う
君子「もう余計な事はよしなさいよ
周囲がとやかく言う事じゃないんですから」
美子「じゃあかかは2人がいつまでも結婚しないままでいいんですか?」
君子「それは…」
美子「まり姉ちゃんだって待ってると思うの…水田さんの言葉」
「うん…」と常子がうなずく
夜道を歩く鞠子と水田
「あの…ずっと言おうと思っていた事があるんですけど…」
少し緊張する鞠子「はい…」
2人の足が止まり見つめ合う(小橋家玄関前に到着)
水田(鞠子の足元を見て)「あ…その赤い靴すてきですね」
鞠子「えっ…?ああ…あっ、これですか?ありがとうございます
実は水田さんと『赤い靴』を見に行ったあと、つい買っちゃったんです」
水田「あの映画で赤い靴がはやっているらしいですからね」
鞠子「男の方なのによくご存じですね」
水田「鞠子さんのおかげです
鞠子さんとおつきあいしてからいろいろな事を知るようになりました」
鞠子「私もそうです…水田さんのおかげで楽しく過ごす事ができています
いつもありがとうございます」
水田「あ…いえ………鞠子さん」(息が荒い)
鞠子「はい」
水田「……おやすみなさい」
鞠子「…おやすみなさい」
うなだれるように礼をして帰っていく水田と横目で見送る鞠子
事務所で美子と水田がお弁当を食べている
美子「昨夜は何を食べに行ったんですか?」
水田「昨日は鞠子さんの好きなおそばを」
美子「おいしかったですか?」(常子も弁当を手にやってくる)
水田「鞠子さんと一緒ならどんなものでもおいしいです
常子と美子が口を押えて笑う
美子「仲のいいこと……だったらそろそろ結婚…」
常子「よっちゃ…!よっちゃん」
常子を見て美子が「はい…」とうなずく
水田「どうしました?」
美子「いえ、何でもありません」
と、編集長室のドアが開き出てきた花山(唐沢寿明)
「水田君、鞠子さんとの結婚はいつだ?」
せきこむ水田「えっ?いや…」
花山「次号で新婚女性に役立つ家事のやり方を伝えようと思ってね」
水田「そうですか…あの…ですが僕たちはまだ…」
美子「結婚したくないんですか?」(常子も興味津々で水田を見る)
水田「いえ、もちろんしたいですよ、今すぐにでも!」
美子「だったら求婚すればいいじゃないですか」
気迫の表情で常子「ええ!」
水田「でももし断られたらと思うと…」
美子「そんな事ありませんよ!ねえ緑さん」
緑(悠木千帆)「ええ、お似合いの2人だと思います」(常子もうなずく)
美子「ほらもう絶対大丈夫ですって
花山さんもそう思いますよね?」
花山「そんなもの知らん
本人が断られると思うならそうなんじゃないのか?」
「はぁ…やっぱり…」と水田がうなだれる
美子が花山の前に行きジェスチャアで(水田をなんとかしろ)
花山「大丈夫じゃないか?君たちは好き合ってるように見える」
水田「えっ…本当ですか!?」
「何度も言わせんでくれ忙しいんだ!」と花山が部屋に戻る
水田「いつも冷静な花山さんが言うなら間違いないですよね
何だか勇気が湧いてきました…」
美子「よかった…」
水田「早速今晩、鞠子さんにプロポーズします!」
思わず立ち上がる常子「今晩!?」
水田「はい…!思い立ったが吉日…ですから」
気合の表情の美子「頑張って下さいね」
並んで歩く鞠子と水田
鞠子「今月小津安二郎の新作が公開になるんです
姉妹の話なので見てみたいのですがご興味あれば一緒に…水田さん?」
「はい」と立ち止まる水田
笑う鞠子「どうかしました?ずっとうわの空で」
言いよどむ水田「……鞠子さん」
鞠子「はい」
水田「僕と夫婦になって下さい…僕と結婚して下さいませ!
あっ!ませ…なんて気取った口調にするつもりなかったのに…
すみません……でも…どうですか?お受け頂けませんか?…鞠子さん」
鞠子「…いいんですか?…私なんかで」
水田「なんか…って…鞠子さんほどすてきな方はいません!」
首を振る鞠子「嘘です…私なんかどこがいいんでしょうか」
水田「あなたの全てを愛しています」
鞠子「……水田さん」
水田「はい」
鞠子「少し考えさせてもらってもいいですか?」
水田「…」
鞠子「…今は…お返事する事ができません…すみません」(と去っていく)
ため息をつく水田
小橋家
美子「まり姉ちゃんどんな顔して帰ってくるかなあ」
常子「ニヤニヤじゃない?」
美子「そうよねえ」
常子「ねっ」
美子「私ですらそうなんだもん」
常子「フフフ」
料理を運んでくる君子(木村多江)「あなたたちが盛り上がってどうするのよ
まだ正式に結婚が決まった訳じゃないんだから」
常子(料理の巻き寿司を見て)「…それにしては今日豪勢じゃないですか?」
美子「結婚のお祝いみたい」
君子「ついつい…ねえ」
常子「おいしそう」
「ただいま帰りました」と鞠子が帰ってくる
鞠子「遅くなってすみません」
常子「まあまあまあまあ、座って座って座って(と鞠子の腕を引っ張り)
鞠ちゃんが帰ってこないと話にならないんだから」
鞠子「何が?」
美子「それでどうだった?」
鞠子「どうって何が?」
美子「だから私たちに何か言う事あるでしょ?」
鞠子「…ただいま…?」
美子「じゃなくて…」
鞠子(料理を見て)「あっ、どうしたの?いつもより…
何かおめでたい事でもありました?」
君子「えっ…あ~そういう訳じゃないんだけど…(かなりとぼける)」
「おいしそう~着替えてまいります」と鞠子が部屋を出る
常子「あれ?…えっ、どういう事?」
顔を寄せ合う3人
君子「求婚されたようには見えなかったわ」
美子「もしかして水田さん言えなかったんじゃ…」
常子「ええっ~…」
事務所でそろばんをはじく水田「はぁ…」
美子「ため息なんかついて幸せが逃げちゃいますよ」
水田「もうとっくに逃げてますから」
美子「またそんな悲観的な事…」
水田「実は…昨日鞠子さんに求婚をして…」
美子「したんですか?」(常子も目がまんまる)
水田「はい」
常子「で…で…鞠ちゃんは」
水田「少し考えさせてほしい…と」
美子「どうして…」
水田「僕と人生を共にしていいのか不安になったんでしょう
僕なんか気が小さくて頼りなくて何をやらせても下手くそな男ですから
僕がきっと嫌になったんです…だから鞠子さんは…」
常子「考え過ぎですって、そんな事気にしてたら
そもそもおつきあいしてませんから」
水田「ではどうして…すぐに返事してくれなかったんでしょうか?」
常子「それは…」
ぼんやりと道を歩く鞠子が女の子連れの3人家族を見て微笑む
<鞠子の気持ちは大きく揺れていたのです>
家族連れの背中を見つめている鞠子
(つづく)
冒頭のシーンで「あなたの暮し」の部数が伸びてるんでしょ?と聞かれて
口元を隠していやらしく笑う常子が可愛い
まだ大金持ちではないかもしれないが余裕はできたのだろう
常子はずっとお金で苦労してきたからもうそろそろ楽になってほしい
鞠子の恋の進展にやきもきする美子と冷静を装う君子と常子
が、実は気が気じゃなかった常子とごちそうを作ってしまう君子
このあたりの常子の表情やとぼける君子が面白い
「気が小さくて頼りなくて何をやっても下手くそ…」と自虐の水田に
「考え過ぎですって、そんな事気にしてたらそもそもおつきあいしてませんから」
と言う常子のセリフはよく考えたら失礼だよね
普通なら「そんな事ありませんよ、みんな水田さんを頼りにしています」
と言いそうなところだが「そんな事気にしてたら…」では
水田の自己否定を肯定する事になってしまっているw
常子はこういうところが間抜けで可愛い
あの時代なら結婚するなら順番からいって
姉の常子が先に…と家族なら考えそうなものだが
常子は妹を嫁に出すと公言しているからそれは問題ないのかな
だから鞠子が返事を保留した理由もそれではないと思う
ではなぜ鞠子はすぐに返事が出来なかったのだろう?
3姉妹のイメージカラーは常子が青、鞠子が赤、美子が桜色
映画の影響で鞠子が赤い靴を履いていたのは不自然ではないが
何かそれ以上の意味があるのだろうか?
『赤い靴』は1948年のイギリス映画で
童話の赤い靴のバレエ劇に主演する少女が恋愛とバレエの間で悩むが
成功して劇中の少女のようにバレエを続けなければ
(踊り続けなければ)ならなくなる悲劇的なお話らしい
これを今の鞠子に当てはめると雑誌が成功を続ける事と恋の成就は
両立しないという事なのだろうか?
もうひとつのヒントはラストシーンで
家族連れを見送る鞠子の寂しそうな表情だろう
父を早くに亡くした事が何か関係しているのだろうか?
例えばどんなに幸せな結婚をしても
相手がととのように突然死んでしまうかも…
心配性な鞠子はそれが怖くて結婚に踏み出せないとか…
そんな時は水田が走ってくるトラックの前に飛び出して
「僕は死にましぇん!」と叫んだら神ドラマだけどね!
次週予告は鞠子、鞠子、鞠子、鞠子、最後だけ常子
タイトルも「鞠子、平塚らいてうに会う」w
もう来週から鞠子がヒロインじゃん!
過去の朝ドラで結婚しなかったヒロインはいないらしいから
次週だけ鞠子を主役にして伝統を守るって算段なのだろうか?
2016年8月6日土曜日
2016年8月5日金曜日
とと姉ちゃん(107)ホットケーキの記事が完成~鞠子と水田の恋もホットに進展!?
宗吉の店の厨房
ボウルの小麦粉を溶く水田(伊藤淳史)
「あの…やっぱり僕でないと駄目ですか?料理はからきし…」
花山(唐沢寿明)「いいから、原稿どおりに作業を続けなさい」
水田「はい」
原稿を手に花山「次に泡立てた卵の白身を
牛乳と卵黄の入ったボウルに入れ混ぜ合わせます」
「こうかな?」と中身を合わせるが
鞠子「(相楽樹)「あ~そうじゃなくて…」
花山「口を出さない!」
鞠子「はい」
花山「そこに小麦粉とふくらし粉を加えて固くなるまでかき混ぜます」
水田が粉をドサッと投入する
鞠子「うわぁ…」
花山「かき混ぜて早く、繊細にね繊細に」
超不安な顔で見守る常子(高畑充希)
タイトル、主題歌イン
水田の作ったホットケーキを試食する一同
常子「あぁ…う~んこれは」
美子(杉咲花)「お世辞にもおいしいとは…」
水田「僕は言われたとおりに作っただけです」
宗吉(ピエール瀧)「だからよ小麦粉は一度に入れちゃ駄目なんだって」
水田「いや、そんな事言われなかったし…」
宗吉「それになんだよこりゃ…カチンカチンじゃねえかよ」
水田「だって固くなるまでかき混ぜるっていうから…」
宗吉「固すぎなんだよ」
花山「鞠子さん、もう分かったね?」
うなずく鞠子「書いてあるものの受け取り方が人によって違う…」
花山「ご名答!固くなるまでと書かれていてもその判断は人によって違う
だが料理記事を読んで100人いたら100人が同じように
作れなきゃいけないと思わないか?」
常子「そうですね」
美子「でもそれは難しいですよね」
花山「今世の中にある雑誌ではどれも
料理の作り方は文章だけで表現されている
しかしそれでは限界がある、そこで必要となるのが…」
美子「写真ですか?」
鞠子「そうか…最初と最後の写真があれば調理の変化が見えますね」
花山「フフフ、惜しかったな」
鞠子「えっ?」
花山「写真は2枚では足りない
何枚も使って調理工程をそのつど見せるんだ
粉を混ぜる段階、フライパンに入れる段階、ひっくり返す段階
そのつど見せれば読者は分かりやすいじゃないか
つまり料理の分解写真だ!」
宗吉「分解写真…」
水田「なるほど!」
美子「そんな記事今まで見た事ないです」
鞠子「ええ、革命的な記事になりそうね」
常子「そうね」
花山「よし、早速撮影を始めよう」
調理服姿の常子がホットケーキを作り花山がカメラを構える
工程ごとにシャッターが押されていく
宗吉「それにしても何だかすごいな…花山っていう人」
「そうなんです、ええ」と誇らしげな美子
それを見て笑った鞠子と水田の目が合うがなんだか気まずそうな2人
小橋家
君子(木村多江)「じゃあお店で撮影を?」
照代(平岩紙)「そうなの」
君子「それはご迷惑をおかけしてすみません」
照代「いいのよ、うちのも楽しんでやってるみたいだし
私もお店にいるとつい考えちゃうから」
君子「もう一度宗吉さんと話し合ってみてはいかがですか?」
照代「さんざん話したんだけどうちのは洋食の店を出す…
私は深川でやっていた仕出し屋にしよう…で譲らないんでね…
片仮名で キッチンモリタ って店にしたいらしいんだけど
私はどうしても納得できないのよ」
君子「照代さんの気持ちも分かります」
照代「やっぱり…亡くなったお母さんに申し訳なくて…
でもうちのは今は洋食がもうかる…の一点張りだから」
<数日後、写真入りの記事はできあがり早速試作が行われました>
宗吉の店
例の元女給メンバーたちが記事の解説と写真を見ながらホットケーキを作る
それぞれに完成して試食する一同
綾(阿部純子)「うん!ふっくらしておいしいです」
(一同)「うん!」
「うまく出来るもんだねえ」
「うん本当!」
(一同)「おいしいねぇ」
美子「大成功」
鞠子「うん」
常子もうなずく「これで記事は完成ですね」
花山「これで誰が作ってもおいしいホットケーキが作れるだろう」
試食する綾たちを寂しそうに見つめる常子
花山「まだ不安かね?」
常子「これが最後のあなたの暮しになるかもしれませんから…」
写真入りの記事を眺める照代
「ああ…なるほど…これなら分かりやすいわねぇ」
宗吉「ああ、常子たちはすごいもんを作ってると思うぞ」
照代「ええ」
店に飾られた福助人形
宗吉「なあ…」
照代「はい」
宗吉「この店の事なんだがな…
あいつら見てて気付いたんだ
そもそも親から受け継いで料理作ってきたのは
客にうまいもんを届けたかったからだ
うまけりゃ洋食和食にこだわる必要はねえと思ってな…
両方出そうじゃねえか」
照代「両方?」
宗吉「うん、和食洋食何でもござれの キッチン森田屋 だ」
照代「キッチンモリタヤ?」
宗吉「キッチンが片仮名で、漢字で森田屋だ……どうだ?」
うなずいた照代が声を弾ませ「いいじゃない」
ほっとしたように笑う宗吉「そうか…」
美しい満月
<そしていよいよ発売日
常子の不安をよそに分解写真による調理解説は大きな話題となり…>
編集長室で知恵の輪を解く花山のところに3姉妹と水田が駆け込んでくる
常子「売れました、売れてます!」
水田「昨日までで15,000部を越えました
このままの調子だと次号の製作費も捻出できる計算になります!」
鞠子「会社が潰れなくて済むんです!」
知恵の輪を操りながら花山「そうか」
美子「次も続けられるんです!花山さんうれしくないんですか?」
花山「そんな事で一喜一憂してもなあ…
ひとまず次号の構想が無駄にならずに済みそうだから喜んではおくか」
常子たちが顔を見合わせて笑う
花山家
三枝子(奥貫薫)がホットケーキを茜に食べさせている
茜「おいしい」
三枝子「じゃあお母さんも一口…うん本当においしい」
茜「お父さんありがとう、ホットケーキ考えてくれて」
「フフフ…ああ、まあな」と微笑む花山
笑顔の三枝子「嘘はいけません…思いついたのはあなたじゃないでしょ」
花山が「う~ん…」と頭に手をやり「常子さんによろしく言っておくよ、茜」
「へっ?」と首を傾げる茜
闇市の飲食店、鞠子が落ち着かない様子で座っている
水田が「お待たせしました」と現れる
立ち上がる鞠子「いえ…こちらこそお呼び立てしてしまって」
店を見て水田「おでん屋…ですか?」
鞠子「よっちゃんに教えてもらったんです」
「最後の晩餐ですね」と水田が椅子に腰かける
鞠子「えっ?」
水田「いいんです、僕なんかに気を遣って頂かなくても」
「おっしゃってる事がよく…」と鞠子も腰かける
水田「僕と話す事などもうないでしょう…
先日交際を迫った事で2人の関係は壊れてしまいました
それ以来ずっと…」
突然立ち上がる鞠子「先日のその申し出の事ですが
(水田を見れなくて下を向いている)正式にお受けしたいと思って…」
「はぁ…ですよね」と、「え~っ!?」と驚いて立ち上がる水田
「そ…それって…おつきあいして頂けるという事でしょうか?」
「何度も言わせないで下さい」と鞠子が腰を下ろす
同じく腰を下ろし水田「だって…もう嫌われてしまったのかと」
鞠子「お断りした時言いましたよね?
今は社内がこんな時ですから…って」
水田「それは建て前で本音は嫌っているのだと…」
鞠子「どこまで悲観的な方なんですか?」
水田「あの告白以来…
鞠子さんは僕を避けてしゃべらないようになっていきました」
鞠子「それはだって…意識してしまって…
私…器用じゃないんです」
水田「では…本当に僕と?」
水田を見つめて微笑んだ鞠子が強くうなずく
水田「あぁ…アハハハハハハ!(店に振り向き)おやっさん!おでん山盛りで!」
店主「はいよ!」
水田「じゃああの…か…乾杯」
鞠子「乾杯」
小橋家
君子、常子、美子の前にホットケーキの皿が並んでいる
美子「どうですか?」
君子「うんうん、おいしい」
<こうして大きな苦難を乗り越えた「あなたの暮し」は
新たな読者の獲得に成功し主婦の強い味方として受け入れられていきました>
おいしそうにホットケーキを食べる常子と美子
(つづく)
鞠子は水田を意識してしゃべりにくくなっているはずなのに
冒頭の調理シーンでは水田にツッコミ入れまくってるよねw
母性本能恐るべしっ
2人の恋愛は常子がまとめてくれるんだと予想していたけど
鞠子は自力で一歩踏み出したね
水田に「どこまで悲観的な方なんですか?」と言う鞠子だけど
戦時中にネガティブモードに入っていた事を考えると似たもの同志とも思える
2人がそんな時に家族とホットケーキを食べている常子は鞠子に負けているw
一瞬だけだが鞠子が本作のヒロインに思えてしまった
やはり恋愛要素は重要だね
常子にも同世代のお相手が現れるといいのだが…
相変わらず花山の家の外と中でのキャラが違い過ぎる
登場人物の誰かに早くそこを突っ込んでほしいのだが
なにかそれでひとつのエピソードにでもなるのだろうか?
ボウルの小麦粉を溶く水田(伊藤淳史)
「あの…やっぱり僕でないと駄目ですか?料理はからきし…」
花山(唐沢寿明)「いいから、原稿どおりに作業を続けなさい」
水田「はい」
原稿を手に花山「次に泡立てた卵の白身を
牛乳と卵黄の入ったボウルに入れ混ぜ合わせます」
「こうかな?」と中身を合わせるが
鞠子「(相楽樹)「あ~そうじゃなくて…」
花山「口を出さない!」
鞠子「はい」
花山「そこに小麦粉とふくらし粉を加えて固くなるまでかき混ぜます」
水田が粉をドサッと投入する
鞠子「うわぁ…」
花山「かき混ぜて早く、繊細にね繊細に」
超不安な顔で見守る常子(高畑充希)
タイトル、主題歌イン
水田の作ったホットケーキを試食する一同
常子「あぁ…う~んこれは」
美子(杉咲花)「お世辞にもおいしいとは…」
水田「僕は言われたとおりに作っただけです」
宗吉(ピエール瀧)「だからよ小麦粉は一度に入れちゃ駄目なんだって」
水田「いや、そんな事言われなかったし…」
宗吉「それになんだよこりゃ…カチンカチンじゃねえかよ」
水田「だって固くなるまでかき混ぜるっていうから…」
宗吉「固すぎなんだよ」
花山「鞠子さん、もう分かったね?」
うなずく鞠子「書いてあるものの受け取り方が人によって違う…」
花山「ご名答!固くなるまでと書かれていてもその判断は人によって違う
だが料理記事を読んで100人いたら100人が同じように
作れなきゃいけないと思わないか?」
常子「そうですね」
美子「でもそれは難しいですよね」
花山「今世の中にある雑誌ではどれも
料理の作り方は文章だけで表現されている
しかしそれでは限界がある、そこで必要となるのが…」
美子「写真ですか?」
鞠子「そうか…最初と最後の写真があれば調理の変化が見えますね」
花山「フフフ、惜しかったな」
鞠子「えっ?」
花山「写真は2枚では足りない
何枚も使って調理工程をそのつど見せるんだ
粉を混ぜる段階、フライパンに入れる段階、ひっくり返す段階
そのつど見せれば読者は分かりやすいじゃないか
つまり料理の分解写真だ!」
宗吉「分解写真…」
水田「なるほど!」
美子「そんな記事今まで見た事ないです」
鞠子「ええ、革命的な記事になりそうね」
常子「そうね」
花山「よし、早速撮影を始めよう」
調理服姿の常子がホットケーキを作り花山がカメラを構える
工程ごとにシャッターが押されていく
宗吉「それにしても何だかすごいな…花山っていう人」
「そうなんです、ええ」と誇らしげな美子
それを見て笑った鞠子と水田の目が合うがなんだか気まずそうな2人
小橋家
君子(木村多江)「じゃあお店で撮影を?」
照代(平岩紙)「そうなの」
君子「それはご迷惑をおかけしてすみません」
照代「いいのよ、うちのも楽しんでやってるみたいだし
私もお店にいるとつい考えちゃうから」
君子「もう一度宗吉さんと話し合ってみてはいかがですか?」
照代「さんざん話したんだけどうちのは洋食の店を出す…
私は深川でやっていた仕出し屋にしよう…で譲らないんでね…
片仮名で キッチンモリタ って店にしたいらしいんだけど
私はどうしても納得できないのよ」
君子「照代さんの気持ちも分かります」
照代「やっぱり…亡くなったお母さんに申し訳なくて…
でもうちのは今は洋食がもうかる…の一点張りだから」
<数日後、写真入りの記事はできあがり早速試作が行われました>
宗吉の店
例の元女給メンバーたちが記事の解説と写真を見ながらホットケーキを作る
それぞれに完成して試食する一同
綾(阿部純子)「うん!ふっくらしておいしいです」
(一同)「うん!」
「うまく出来るもんだねえ」
「うん本当!」
(一同)「おいしいねぇ」
美子「大成功」
鞠子「うん」
常子もうなずく「これで記事は完成ですね」
花山「これで誰が作ってもおいしいホットケーキが作れるだろう」
試食する綾たちを寂しそうに見つめる常子
花山「まだ不安かね?」
常子「これが最後のあなたの暮しになるかもしれませんから…」
写真入りの記事を眺める照代
「ああ…なるほど…これなら分かりやすいわねぇ」
宗吉「ああ、常子たちはすごいもんを作ってると思うぞ」
照代「ええ」
店に飾られた福助人形
宗吉「なあ…」
照代「はい」
宗吉「この店の事なんだがな…
あいつら見てて気付いたんだ
そもそも親から受け継いで料理作ってきたのは
客にうまいもんを届けたかったからだ
うまけりゃ洋食和食にこだわる必要はねえと思ってな…
両方出そうじゃねえか」
照代「両方?」
宗吉「うん、和食洋食何でもござれの キッチン森田屋 だ」
照代「キッチンモリタヤ?」
宗吉「キッチンが片仮名で、漢字で森田屋だ……どうだ?」
うなずいた照代が声を弾ませ「いいじゃない」
ほっとしたように笑う宗吉「そうか…」
美しい満月
<そしていよいよ発売日
常子の不安をよそに分解写真による調理解説は大きな話題となり…>
編集長室で知恵の輪を解く花山のところに3姉妹と水田が駆け込んでくる
常子「売れました、売れてます!」
水田「昨日までで15,000部を越えました
このままの調子だと次号の製作費も捻出できる計算になります!」
鞠子「会社が潰れなくて済むんです!」
知恵の輪を操りながら花山「そうか」
美子「次も続けられるんです!花山さんうれしくないんですか?」
花山「そんな事で一喜一憂してもなあ…
ひとまず次号の構想が無駄にならずに済みそうだから喜んではおくか」
常子たちが顔を見合わせて笑う
花山家
三枝子(奥貫薫)がホットケーキを茜に食べさせている
茜「おいしい」
三枝子「じゃあお母さんも一口…うん本当においしい」
茜「お父さんありがとう、ホットケーキ考えてくれて」
「フフフ…ああ、まあな」と微笑む花山
笑顔の三枝子「嘘はいけません…思いついたのはあなたじゃないでしょ」
花山が「う~ん…」と頭に手をやり「常子さんによろしく言っておくよ、茜」
「へっ?」と首を傾げる茜
闇市の飲食店、鞠子が落ち着かない様子で座っている
水田が「お待たせしました」と現れる
立ち上がる鞠子「いえ…こちらこそお呼び立てしてしまって」
店を見て水田「おでん屋…ですか?」
鞠子「よっちゃんに教えてもらったんです」
「最後の晩餐ですね」と水田が椅子に腰かける
鞠子「えっ?」
水田「いいんです、僕なんかに気を遣って頂かなくても」
「おっしゃってる事がよく…」と鞠子も腰かける
水田「僕と話す事などもうないでしょう…
先日交際を迫った事で2人の関係は壊れてしまいました
それ以来ずっと…」
突然立ち上がる鞠子「先日のその申し出の事ですが
(水田を見れなくて下を向いている)正式にお受けしたいと思って…」
「はぁ…ですよね」と、「え~っ!?」と驚いて立ち上がる水田
「そ…それって…おつきあいして頂けるという事でしょうか?」
「何度も言わせないで下さい」と鞠子が腰を下ろす
同じく腰を下ろし水田「だって…もう嫌われてしまったのかと」
鞠子「お断りした時言いましたよね?
今は社内がこんな時ですから…って」
水田「それは建て前で本音は嫌っているのだと…」
鞠子「どこまで悲観的な方なんですか?」
水田「あの告白以来…
鞠子さんは僕を避けてしゃべらないようになっていきました」
鞠子「それはだって…意識してしまって…
私…器用じゃないんです」
水田「では…本当に僕と?」
水田を見つめて微笑んだ鞠子が強くうなずく
水田「あぁ…アハハハハハハ!(店に振り向き)おやっさん!おでん山盛りで!」
店主「はいよ!」
水田「じゃああの…か…乾杯」
鞠子「乾杯」
小橋家
君子、常子、美子の前にホットケーキの皿が並んでいる
美子「どうですか?」
君子「うんうん、おいしい」
<こうして大きな苦難を乗り越えた「あなたの暮し」は
新たな読者の獲得に成功し主婦の強い味方として受け入れられていきました>
おいしそうにホットケーキを食べる常子と美子
(つづく)
鞠子は水田を意識してしゃべりにくくなっているはずなのに
冒頭の調理シーンでは水田にツッコミ入れまくってるよねw
母性本能恐るべしっ
2人の恋愛は常子がまとめてくれるんだと予想していたけど
鞠子は自力で一歩踏み出したね
水田に「どこまで悲観的な方なんですか?」と言う鞠子だけど
戦時中にネガティブモードに入っていた事を考えると似たもの同志とも思える
2人がそんな時に家族とホットケーキを食べている常子は鞠子に負けているw
一瞬だけだが鞠子が本作のヒロインに思えてしまった
やはり恋愛要素は重要だね
常子にも同世代のお相手が現れるといいのだが…
相変わらず花山の家の外と中でのキャラが違い過ぎる
登場人物の誰かに早くそこを突っ込んでほしいのだが
なにかそれでひとつのエピソードにでもなるのだろうか?
2016年8月4日木曜日
とと姉ちゃん(106)常子と花山…2人じゃないと作れないもの
花山家居間
三枝子(奥貫薫)が出してくれた水を飲む美子(杉咲花)
花山(唐沢寿明)「慣れない酒など飲んで…」
美子「酔ってはいません」
花山「酔っ払いほどそう言うんだ…(三枝子に)先に休んでいなさい」
三枝子「はい…失礼します」
三枝子が部屋を出ると花山「君の言いたい事などわかる
あなたの暮しが最後になるかもしれないから最後に私と…という事だろう?
君らの思い出作りに協力する気などない」
谷(山口智充)「あなたの暮しは花山さんにとっても大事な雑誌でしょう?」
花山「何を言われようが私に戻る気は…」
美子「自分でおっしゃった事は守って下さい」
花山「何?」
美子「花山さん教えて下さいましたよね?
自分が出した企画は最後まで責任を持てと…
だったら最後までやり遂げて下さい
次の企画は花山さんが出した小麦粉の新しい料理なんですから」
花山「小麦粉…?まさか君たちは私の企画を盗んだのか?」
美子「私が悪いんです…花山さんの考えた企画が掲載される事になれば
とと姉ちゃんと花山さんがもう一度話し合う機会が出来ると思ったんです
でも…その…花山さんの企画だと明かす前に
次の出版が最後になりそうになって…
出版の準備をしているとやっぱりとと姉ちゃんには
花山さんが必要だと思ったんです
あなたの暮しは花山さんがいらっしゃらないと成り立たないんだって
だからお願いします…戻って企画を完成させて下さい!」(と頭を下げる)
腕を組みうつむき目を閉じ話を聞いていた花山
「随分勝手な言いぐさだな…断る」
顔を上げた美子「…分かりました…諦めます」
谷「おい、いいのか?」
美子がバックから新品の鉛筆を2本取り出し膳の上に置く
花山「これは?」
美子「闇市で探されていた鉛筆です
私が気に入ったものを2本選びました
お気に召さなければ誰かにあげて下さい
(谷に向き直り)谷さんわざわざありがとうございました」
そして「失礼します」と立ち上がり部屋を出て行く
谷「おい…おい君!」
花山は動かない
ため息をつく谷「花山さんの気持ちも分かりますが
広告も載せない事になったんだし戻ってやってもいいんじゃないですか?
やりたい事を全部やれる編集長なんていません
それに小橋君のところ以上に好きな事をやらせてくれる環境なんか
ないでしょう…
花山さんは小橋君とだから
小橋君は花山さんとだからあなたの暮しはできるんだ」
花山「おっしゃる事は分かります
…が、あの子が気持ちを改めない限り…」
それを聞いて一計を案じたような表情の谷「ああ…それなら
もう小橋君は気持ちを改めてますよ」
花山が谷を見る
目を逸らせて谷「あ…実は妹さんだけじゃなく小橋君からも
泣きつかれてるんですよ…
どうしても花山さんを説得してほしいと」
花山「彼女が?」
谷「ええ、自分の過ちに気付いて謝罪したいらしいんですよね
今になって花山さんの言ってた事が身にしみて分かったんでしょうねえ
あっ、だいぶん泣き腫らした顔してましたよ」
花山「そうですか…」
あなたの暮し社
原稿を確認する宗吉「よし、ホットケーキの作り方はこれで間違いねえ」
鞠子(相楽樹)「そうですか…」
常子(高畑充希)「ご苦労さまでした…」
宗吉「お~いお前ら!お通夜みてえな顔すんじゃねえよ!」
ため息をついた美子のそばにいき宗吉「どうした?美子
まだ廃刊と決まった訳じゃないだろ?ん?」
と、「よう」と谷が現れる
常子「谷さん!どうされたんですか?」
谷「まあ…ちょっとね」と廊下に振り向き「皆さんおそろいですよ」
すると入口に花山が姿を見せる
水田(伊藤淳史)「え~!」
目を伏せる常子
美子が前に出る「花山さん」
花山「しばらく来ない間にここも変わったな」
常子(強がる感じで)「そうですか?特には変わりないと思いますが」
部屋を指さし花山「あそこの机が曲がってる!そこの机も
私が毎日帰る前に直していたのに」
常子「私はあまりそういう事は気にしませんので」
花山「広告を載せないと決めたそうだね」
常子(毅然と)「はい」
花山「だから最初から言ったんだ!結局君はその場しのぎの考えで
余計に事態を悪化させただけじゃないか」
常子「申し訳ありません、ただ…
私は社長として最善の方法を選んできたつもりです
わざわざそんな事をおっしゃりにここまでいらしたんですか?」
花山「何を言っている!君が私に謝罪したいというから
ここに来たんじゃないか」
常子「何で私が謝らなければならないんです?」
花山「私に戻ってきてほしいからだ」
常子「何をおっしゃってるんですか?誰がそんな事…」
花山「やせ我慢をするな、私に戻ってきてほしいと
谷さんに泣きついたんだろ?泣き腫らした顔をして!」
常子「そんな事は言ってません!」
花山(谷に)「言ってた話と違うじゃないか!」
谷「あ…脚色だよ…脚色
(常子と花山を指でさし)お互い素直になれないから俺なりのプレゼント」
花山「全く不愉快だ!失礼する」
美子「待って下さい」
常子「お帰りになる前にお伝えしたい事があります
次の号でものすごくいい企画を美子が思いついたんです
私たちだけでも今まで以上の雑誌を作ってみせますから…」
美子「それは違うの…小麦粉の企画は花山さんの発案なの」
驚いて美子を見る常子「どういう事?」
美子「私が花山さんから企画の話を聞いててそれをみんなに…ごめんなさい」
常子「…」
谷「あ…それで…その小麦粉を使った料理ってのは?」
鞠子「ホットケーキです」
花山「ホットケーキ?」
宗吉「ああ…パンの代用品になってどの家庭でも簡単に作れる」
花山「ああ…確かにいいアイデアだな…結局私は何も思いつかなかった」
水田「そうか…花山さんでもそうなんですね…
ホットケーキには2人じゃなきゃたどりつけなかったって事ですよね」
鞠子「うん、やっぱり2人じゃなきゃ作れないって事ですね」
美子「花山さんお願いします…戻ってきて下さい
(常子の背中を押し)とと姉ちゃんからもお願いして」
宗吉「あ~辛気くせえのは嫌なんだよ
ま~るく収めようぜ、ホットケーキみてえによ」
谷「小橋君…折れるべき時には折れる事も社長業の秘訣だよ」
常子「私は折れません」
鞠子「とと姉!」
常子「花山さん……この度は申し訳ありませんでした!(と頭を深く下げる)
あなたの暮しの理念を決して折らないためには
花山さんがどうしても必要なんです
今回の出版が最後になってしまうかもしれませんが
どうかもう一度だけ帰ってきて頂けませんか?お願いします!」
鞠子と美子も「お願いします!」と並んで頭を下げる
水田となぜか宗吉までが頭を下げる
花山「うん…まあ…そこまで言われてはしかたがないね」
一同が顔を上げる
涙ぐむ常子「今…花山さんがおっしゃっていた広告をとる事の恐ろしさを
身にしみて感じております
ですがあの時あの判断をしなければ5号でおそらく潰れていたでしょう
私はこの会社と雑誌を守らなければなりません
ですからこれからぶつかる事もあるとは思いますが
私は販売拡大と管理に一生懸命努力していきたいと思います
花山さんは一切の妥協をせずによりよい雑誌作りに集中して下さい」
花山「分かった」
常子「今後ともよろしくお願いします!」
(鞠子と美子)「お願いします」
花山「こちらこそぉ」
常子が笑顔になる
美子「谷さん、ご尽力頂きありがとうございました」
谷「何言ってんだ…礼なんていらないよ」
美子(常子たちに)「ゆうべ一緒に花山さんを説得しに行って下さったの」
常子「そうだったんですか、ありがとうございました」
谷「本当にもういいって、礼ならもう貰ってるしね」
美子「えっ?」
谷「君が買った一本…あの鉛筆…そしてもう一本は
花山さんが気に入ったんだとさ」
「そうなんですか?」と嬉しそうに笑う美子
花山は余計な事を言うなという感じでしかめ面だ
谷「小橋君、皆さん、これからも応援してますよ」
礼を言う一同
会議の席
どっかりと腰を下ろす花山「さあ時間がない、作業はどこまで進んでる?」
鞠子がドヤ顔でホットケーキの原稿を見せるが「これでは駄目だ」と花山
鞠子「えっ?」
花山「やはり私がいなくては何もできないようだねぇ」
鞠子「どうしてです?どこが悪いか具体的に言って下さい」
花山「どこ…ではない、全部駄目だ!」
鞠子「そんな…」
水田「ひどいなあ…そんな言い方…」
緑(悠木千帆)「何か久しぶり…この感じ」
美子たちも微笑む「やっぱりこれがないと我が社じゃないわ」
宗吉(小声で)「そうなのか?常子」
常子「ええ」
宗吉を見る花山「あなたは?」
宗吉「ああ…俺ですかい、こいつらとは昔からの知り合いで」
常子「近所にお店を出される料理人の森田宗吉さんです
料理記事の監修もして頂いてます」
花山「そうでしたか…突然で申し訳ない、今からお店へ伺っても?」
宗吉「今からですかい…?構わねえけど…」
花山「それから…君にも協力してもらおう」
水田「え…僕ですか?」
<花山が何を企んでいるのか…常子は戸惑いながらも
ワクワクとした思いが込み上げているのを感じていました>
穏やかな笑顔で花山を見つめている常子
(つづく)
思慕する花山が会社に戻るようにと頑張った美子には少し酷だが
花山が戻る気になったのは常子が泣き腫らした顔で謝りたいと泣きついた
…という谷の嘘だったね
常子にとってそうであるように花山にとって常子は特別な存在のようだ
花山が事務所に登場するシーンはとても面白かった
まず強がる常子が可愛い!
最初はバツが悪くて目を伏せるが心の中では嬉ションしてただろうにw
そして花山が部屋を指して机の位置がどーのこーの言うの笑った
花山らしいし彼なりの照れ隠しなのかもしれない
谷に「折れる事も…」と言われた常子が
「私は折れません」と意外な事を言ったのは後のセリフから
「あなたの暮し」の理念を折る事はできません…という意味だろうね
(これは花山への謝罪になっている)
最終的には常子が詫びて花山は復職した訳だが
あのあたりは花山よりも常子の方が大人なのかなあと感じた
ラストシーンでまた以前のように
一同が花山に振り回される終わり方も良かった
三枝子(奥貫薫)が出してくれた水を飲む美子(杉咲花)
花山(唐沢寿明)「慣れない酒など飲んで…」
美子「酔ってはいません」
花山「酔っ払いほどそう言うんだ…(三枝子に)先に休んでいなさい」
三枝子「はい…失礼します」
三枝子が部屋を出ると花山「君の言いたい事などわかる
あなたの暮しが最後になるかもしれないから最後に私と…という事だろう?
君らの思い出作りに協力する気などない」
谷(山口智充)「あなたの暮しは花山さんにとっても大事な雑誌でしょう?」
花山「何を言われようが私に戻る気は…」
美子「自分でおっしゃった事は守って下さい」
花山「何?」
美子「花山さん教えて下さいましたよね?
自分が出した企画は最後まで責任を持てと…
だったら最後までやり遂げて下さい
次の企画は花山さんが出した小麦粉の新しい料理なんですから」
花山「小麦粉…?まさか君たちは私の企画を盗んだのか?」
美子「私が悪いんです…花山さんの考えた企画が掲載される事になれば
とと姉ちゃんと花山さんがもう一度話し合う機会が出来ると思ったんです
でも…その…花山さんの企画だと明かす前に
次の出版が最後になりそうになって…
出版の準備をしているとやっぱりとと姉ちゃんには
花山さんが必要だと思ったんです
あなたの暮しは花山さんがいらっしゃらないと成り立たないんだって
だからお願いします…戻って企画を完成させて下さい!」(と頭を下げる)
腕を組みうつむき目を閉じ話を聞いていた花山
「随分勝手な言いぐさだな…断る」
顔を上げた美子「…分かりました…諦めます」
谷「おい、いいのか?」
美子がバックから新品の鉛筆を2本取り出し膳の上に置く
花山「これは?」
美子「闇市で探されていた鉛筆です
私が気に入ったものを2本選びました
お気に召さなければ誰かにあげて下さい
(谷に向き直り)谷さんわざわざありがとうございました」
そして「失礼します」と立ち上がり部屋を出て行く
谷「おい…おい君!」
花山は動かない
ため息をつく谷「花山さんの気持ちも分かりますが
広告も載せない事になったんだし戻ってやってもいいんじゃないですか?
やりたい事を全部やれる編集長なんていません
それに小橋君のところ以上に好きな事をやらせてくれる環境なんか
ないでしょう…
花山さんは小橋君とだから
小橋君は花山さんとだからあなたの暮しはできるんだ」
花山「おっしゃる事は分かります
…が、あの子が気持ちを改めない限り…」
それを聞いて一計を案じたような表情の谷「ああ…それなら
もう小橋君は気持ちを改めてますよ」
花山が谷を見る
目を逸らせて谷「あ…実は妹さんだけじゃなく小橋君からも
泣きつかれてるんですよ…
どうしても花山さんを説得してほしいと」
花山「彼女が?」
谷「ええ、自分の過ちに気付いて謝罪したいらしいんですよね
今になって花山さんの言ってた事が身にしみて分かったんでしょうねえ
あっ、だいぶん泣き腫らした顔してましたよ」
花山「そうですか…」
あなたの暮し社
原稿を確認する宗吉「よし、ホットケーキの作り方はこれで間違いねえ」
鞠子(相楽樹)「そうですか…」
常子(高畑充希)「ご苦労さまでした…」
宗吉「お~いお前ら!お通夜みてえな顔すんじゃねえよ!」
ため息をついた美子のそばにいき宗吉「どうした?美子
まだ廃刊と決まった訳じゃないだろ?ん?」
と、「よう」と谷が現れる
常子「谷さん!どうされたんですか?」
谷「まあ…ちょっとね」と廊下に振り向き「皆さんおそろいですよ」
すると入口に花山が姿を見せる
水田(伊藤淳史)「え~!」
目を伏せる常子
美子が前に出る「花山さん」
花山「しばらく来ない間にここも変わったな」
常子(強がる感じで)「そうですか?特には変わりないと思いますが」
部屋を指さし花山「あそこの机が曲がってる!そこの机も
私が毎日帰る前に直していたのに」
常子「私はあまりそういう事は気にしませんので」
花山「広告を載せないと決めたそうだね」
常子(毅然と)「はい」
花山「だから最初から言ったんだ!結局君はその場しのぎの考えで
余計に事態を悪化させただけじゃないか」
常子「申し訳ありません、ただ…
私は社長として最善の方法を選んできたつもりです
わざわざそんな事をおっしゃりにここまでいらしたんですか?」
花山「何を言っている!君が私に謝罪したいというから
ここに来たんじゃないか」
常子「何で私が謝らなければならないんです?」
花山「私に戻ってきてほしいからだ」
常子「何をおっしゃってるんですか?誰がそんな事…」
花山「やせ我慢をするな、私に戻ってきてほしいと
谷さんに泣きついたんだろ?泣き腫らした顔をして!」
常子「そんな事は言ってません!」
花山(谷に)「言ってた話と違うじゃないか!」
谷「あ…脚色だよ…脚色
(常子と花山を指でさし)お互い素直になれないから俺なりのプレゼント」
花山「全く不愉快だ!失礼する」
美子「待って下さい」
常子「お帰りになる前にお伝えしたい事があります
次の号でものすごくいい企画を美子が思いついたんです
私たちだけでも今まで以上の雑誌を作ってみせますから…」
美子「それは違うの…小麦粉の企画は花山さんの発案なの」
驚いて美子を見る常子「どういう事?」
美子「私が花山さんから企画の話を聞いててそれをみんなに…ごめんなさい」
常子「…」
谷「あ…それで…その小麦粉を使った料理ってのは?」
鞠子「ホットケーキです」
花山「ホットケーキ?」
宗吉「ああ…パンの代用品になってどの家庭でも簡単に作れる」
花山「ああ…確かにいいアイデアだな…結局私は何も思いつかなかった」
水田「そうか…花山さんでもそうなんですね…
ホットケーキには2人じゃなきゃたどりつけなかったって事ですよね」
鞠子「うん、やっぱり2人じゃなきゃ作れないって事ですね」
美子「花山さんお願いします…戻ってきて下さい
(常子の背中を押し)とと姉ちゃんからもお願いして」
宗吉「あ~辛気くせえのは嫌なんだよ
ま~るく収めようぜ、ホットケーキみてえによ」
谷「小橋君…折れるべき時には折れる事も社長業の秘訣だよ」
常子「私は折れません」
鞠子「とと姉!」
常子「花山さん……この度は申し訳ありませんでした!(と頭を深く下げる)
あなたの暮しの理念を決して折らないためには
花山さんがどうしても必要なんです
今回の出版が最後になってしまうかもしれませんが
どうかもう一度だけ帰ってきて頂けませんか?お願いします!」
鞠子と美子も「お願いします!」と並んで頭を下げる
水田となぜか宗吉までが頭を下げる
花山「うん…まあ…そこまで言われてはしかたがないね」
一同が顔を上げる
涙ぐむ常子「今…花山さんがおっしゃっていた広告をとる事の恐ろしさを
身にしみて感じております
ですがあの時あの判断をしなければ5号でおそらく潰れていたでしょう
私はこの会社と雑誌を守らなければなりません
ですからこれからぶつかる事もあるとは思いますが
私は販売拡大と管理に一生懸命努力していきたいと思います
花山さんは一切の妥協をせずによりよい雑誌作りに集中して下さい」
花山「分かった」
常子「今後ともよろしくお願いします!」
(鞠子と美子)「お願いします」
花山「こちらこそぉ」
常子が笑顔になる
美子「谷さん、ご尽力頂きありがとうございました」
谷「何言ってんだ…礼なんていらないよ」
美子(常子たちに)「ゆうべ一緒に花山さんを説得しに行って下さったの」
常子「そうだったんですか、ありがとうございました」
谷「本当にもういいって、礼ならもう貰ってるしね」
美子「えっ?」
谷「君が買った一本…あの鉛筆…そしてもう一本は
花山さんが気に入ったんだとさ」
「そうなんですか?」と嬉しそうに笑う美子
花山は余計な事を言うなという感じでしかめ面だ
谷「小橋君、皆さん、これからも応援してますよ」
礼を言う一同
会議の席
どっかりと腰を下ろす花山「さあ時間がない、作業はどこまで進んでる?」
鞠子がドヤ顔でホットケーキの原稿を見せるが「これでは駄目だ」と花山
鞠子「えっ?」
花山「やはり私がいなくては何もできないようだねぇ」
鞠子「どうしてです?どこが悪いか具体的に言って下さい」
花山「どこ…ではない、全部駄目だ!」
鞠子「そんな…」
水田「ひどいなあ…そんな言い方…」
緑(悠木千帆)「何か久しぶり…この感じ」
美子たちも微笑む「やっぱりこれがないと我が社じゃないわ」
宗吉(小声で)「そうなのか?常子」
常子「ええ」
宗吉を見る花山「あなたは?」
宗吉「ああ…俺ですかい、こいつらとは昔からの知り合いで」
常子「近所にお店を出される料理人の森田宗吉さんです
料理記事の監修もして頂いてます」
花山「そうでしたか…突然で申し訳ない、今からお店へ伺っても?」
宗吉「今からですかい…?構わねえけど…」
花山「それから…君にも協力してもらおう」
水田「え…僕ですか?」
<花山が何を企んでいるのか…常子は戸惑いながらも
ワクワクとした思いが込み上げているのを感じていました>
穏やかな笑顔で花山を見つめている常子
(つづく)
思慕する花山が会社に戻るようにと頑張った美子には少し酷だが
花山が戻る気になったのは常子が泣き腫らした顔で謝りたいと泣きついた
…という谷の嘘だったね
常子にとってそうであるように花山にとって常子は特別な存在のようだ
花山が事務所に登場するシーンはとても面白かった
まず強がる常子が可愛い!
最初はバツが悪くて目を伏せるが心の中では嬉ションしてただろうにw
そして花山が部屋を指して机の位置がどーのこーの言うの笑った
花山らしいし彼なりの照れ隠しなのかもしれない
谷に「折れる事も…」と言われた常子が
「私は折れません」と意外な事を言ったのは後のセリフから
「あなたの暮し」の理念を折る事はできません…という意味だろうね
(これは花山への謝罪になっている)
最終的には常子が詫びて花山は復職した訳だが
あのあたりは花山よりも常子の方が大人なのかなあと感じた
ラストシーンでまた以前のように
一同が花山に振り回される終わり方も良かった
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