2016年8月26日金曜日

とと姉ちゃん(125)星野に励まされた常子はちとせ製作所に向かい…

台所で卵を割る青葉を見守る常子(高畑充希)と大樹「お~」 
常子「すごい、きれいに割れた」 大樹「すごい」 
青葉「黄身混ぜるの楽しそう」 
子どもたちに料理を教えている笑顔の常子 

光和医薬品 
片瀬「やっと終わったな」 
星野(坂口健太郎)「はい、今月は本当にきついですね」 
片瀬「ああ、お前も家政婦さんに遅くまでいてもらって大変だろ金かかって」 
星野「ですが木曜の夜だけは友人に来てもらっているので」 
片瀬「友人って女か?」 
星野「ええ、はい」 
片瀬「お前が?家政婦さん以外の女性を家に入れるなんて…
えっ、えっ、もしかして…」 
星野「僕の状況を知って今月だけ助けてもらってるだけです」 
片瀬「今月だけなんて言わずこれからも来てもらえばいいじゃないか
これを機に再婚なんて事も…」 
星野「再婚なんてありえません
手伝いに来てもらうのも残業がある来週で最後ですから」 
片瀬「お前…加奈子さんに申し訳ないと思ってるのか?」 
星野「…」 
宇田川「よ~し、全体会議も終わったしまだまだ今月頑張ってもらわにゃならん
今日は景気づけにパ~ッといくか!」
片瀬「おっ、いいですねえ」
「行きますか」
「早く片づけましょう」
宇田川「星野はどうだ?」
星野「僕は子どもが家で待ってるので」
宇田川「ああ、そうだな…じゃあまた今度な」
星野「すみません」

夜道を鞄を抱えて走る星野

居間に飛び込み「遅くなってすみません」
隣の間の襖から常子が顔をのぞかせ「し~っ」(と唇に指を立てる)
もう布団で眠っている子どもたちを眺める星野と常子

星野「へえ~青葉がホットケーキをですか?」
常子「そうなんです、自分でも焼いてみたいから作り方を教えてほしいって」
星野「今まで料理に興味なんかなかったのになあ…
それでうまく出来たんですか?」
常子「ええ、とっても
形もきれいに円くできましたし味もバッチリで
大樹君なんておいしいおいしい…ってペロッと2枚も食べちゃって」
星野「アハハ」
常子「青葉ちゃんもうれしそうでした
私もちなみに…2枚ほど…フフフ…だって本当においしかったんです
やっぱり青葉ちゃんが一生懸命生地を混ぜてくれたのがよかったんでしょうね
私も今度青葉ちゃんにコツを教わりたいくらいです、ええ」
いつになく饒舌に話す常子を見ている星野から笑顔が消えていく
常子「どうかされました?」
星野「お仕事で…何かありましたか?」
常子「えっ?」
星野「常子さんは昔からつらい時ほど周囲に気付かれないように
明るく振る舞う人ですから」
虚をつかれ黙り込んでしまう常子
姿勢を正す星野「僕でよければおっしゃって下さい」
(少しの沈黙)
常子「…トースターの商品試験で…
ある会社の商品が粗悪品だと記事を出したんです
もちろん公正に試験した結果です
でも、その記事のせいでその会社が苦しい状況になっており…
商品試験はたくさんの人の暮らしを守りたくて私が提案した企画です
なのに結局…誰かの暮らしを奪う事になってしまった
誰かを路頭に迷わせてまで商品試験をする必要があるのかどうか
わからなくなってしまって…
社長が弱音を吐く訳にはいかず…誰にも言えなくて…
すみません、お仕事で疲れてらっしゃるのにこんな話…」
星野「いえ…話してくれてうれしいです
それに…何だか安心しました
すみません、常子さんがつらい時にこんな言い方…
常子さんが昔と変わらずいつも誰かのために頑張っているんだなあと思って」
常子「それが…私の幸せなんだと思います
だから結局は自分のためですね」(と笑う)
星野「だからあんなにすばらしい雑誌を作る事ができるんじゃないですか?
誰かの暮らしを守る事が自分の幸せだと感じられる常子さんだからこそ
あなたの暮しのような雑誌が作れるんですよきっと」
常子「でも…その雑誌で一人でも不幸になる人がいるのなら…」
星野「…大樹の足、見ましたか?右足にやけどの痕があるんです」
常子「はい」
星野「長ズボンをはいていると隠れて見えませんがふくらはぎの辺りに
そんなに目立つものじゃないけど一生残ると言われました…
以前電気釜を買ったんです、妻を亡くしてすぐ
高価でしたが慣れない家事をどうにかしようと思って
でも…その商品には不備があって
子どもたち2人だけの時に、おなかがすいたと青葉が言うので
大樹が自分でごはんを炊いたそうなんです
なんとか炊き上がり出来上がりを確認しようと蓋のつまみに触れた時…
(回想シーン:つまみが熱くて倒れてしまった大樹の足が蓋の上に)
あのやけどを負いました
…確かに商品試験で粗悪品だと書かれた会社の人たちは
厳しい状況に置かれるかもしれません
でもそれによってよいものを作ってくれるようになるのだとしたら
それは必要な事なんじゃないでしょうか?」
常子「…そうですね
星野さん、ありがとうございます」
星野「いえ…」
常子「15年たってもやっぱり星野さんに励まされてる
フフフ…私の気持ちがかすんでいるといつもまっすぐに光をさしてくれた
星野さんは昔からそうでした」
星野「そうですかね…」(と照れたように笑う)
「はい」と笑顔でうなずく常子

ちとせ製作所前
田中(螢雪次朗)「帰れって言ってんだろうが!」
常子「お願いします、お話だけでも聞いて下さい!」
田中「あんたらと話す事なんかねえんだよ」
常子「少しだけでもいいんです、少しだけでもお話を…」
田中「さぞいい気分だろうなあ、うちの商品コケにして
あんたらは消費者の味方だもんなあ」
常子「それは違います、商品試験は消費者のためだけのものではありません」
田中「あ?」
常子「商品試験は生産者の方々に向けたものでもあるんです」
田中「うちの会社をあんだけたたいといて笑わせんじゃねえよ
どこが俺らのためなんだよ!」
常子「私たちは特定のメーカーを否定したい訳ではありません
全ての生産者の方に安全で使いやすい商品を作ってほしいと
呼びかけているだけなんです
2か月かけていろいろな商品試験をしてきましたが
何の落ち度もない完璧なトースターは一つもありませんでした
これは生産者の方々から見ても非常に残念な結果ではないでしょうか」
田中「…」
常子「予算のない小さなメーカーが
大手と比べられても困るとおっしゃってましたよね?
でも、いくら予算のある大手の商品でもたくさんの問題が見つかったんです
これは、まだまだ改良の余地があり努力するメーカーに
成功する機会があるという事ではないでしょうか
安全で使いやすいトースター…
どんな基準でどんな商品が求められているのか紹介する事で
消費者の思いを生産者の方々にもお伝えしています
私たちは今回の結果を踏まえて
安全でいいトースターを作って頂きたいだけなんです」
黙って常子の話を聞いている田中
その後ろには田中の妻や社員たちもいる
「突然…押しかけて申し訳ありませんでした(と頭を下げ)失礼します」
と歩き出した常子を田中が呼び止める
「待ちなよ…何を偉そうにって…言いてえ事はいっぱいあるけどよ…
あんたの言う事も一理あるかもしれねえな
うちは決して手抜き作業なんてしてねえし自分とこの商品に自信だってある
だけどよ、売るためには大手より安くする事が必要だって思ってた
そのためにはこれだけの予算しかかけられねえ…それでいいんだって
どっかで妥協してたところがあったのかもしれねえ…
ねえんだよな?」
常子「えっ?」
田中「いや…本当にいいトースターはまだどこも作ってねえって
あんた言ったよな?」
微かにうなずく常子
田中「だったらうちが作ってやるよ
うちは小さいけどな、技術は一流だっていう自負はある
よし、作ってやるよ」
少し目を潤ませた常子がうなずき「はい…期待してます」
なんだが居心地の悪そうな田中と後ろで笑っている田中の妻

元気を取り戻したような常子が「ただいま帰りました」とビルに入っていく

(つづく)

「再婚なんてありえません」と言う星野は同僚に
「加奈子さんに申し訳ないと思っているのか?」と訊かれていたが
そういう事なのだろうか?
そのうち星野から答えが聞けるのだろうがこんなシーンがあるという事は
いよいよ常子との結婚エンドが現実味を帯びてきた

前回、花山が常子を心配そうに見ていたが
落ち込んだ常子を慰めて励ましたのは星野だった
花山のはまた別に回収されるのだろうか?

星野の言葉をヒントに
商品試験は消費者のためだけのものではなく生産者に向けたものでもある…
というロジックを得た常子がちとせ製作所に乗り込むんだけど
田中の技術者としてのプライドと相まってうまく和解できたね
常子は商品試験を続けられるし田中はいいトースターを作る事だろう

このドラマは民放ドラマとは違い結構硬派で
これまで常子と敵対してそれっきりのキャラ(タイピスト多田や山岸課長)
もいるが今回の田中はちゃんと補完された
これは商品試験の存在意義にも関わっている案件だからという事かな?

朝ドラは人生を長く描いているから敵対キャラや
すれ違っただけのようなキャラ(キャラメルおじさんとか)がいてもいいと思う
清や早乙女のその後も気になるが人生には別れや疎遠になる事もある
だけど鉄郎は身内なんだからそろそろ顔見せろよな!

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