2016年9月24日土曜日

とと姉ちゃん(150)子育てをする寿美子のような社員のために家庭と仕事を両立できる社内整備に悩む常子

たまきの最終試験から一週間後… 
玄関前で潤(14歳)が野球のバットを素振りしている 
が、なにやら通りの向こうを気にしている様子 
その潤が臨める和室で本(老いても愛す 五反田一郎)を
手にしたたまき(吉本実優)も落ち着かない様子だ 
真由美(13歳)がやってきてそんなたまきを見て微笑む 
家事の合間に通りかかった鞠子(相楽樹)もたまきを気にしているようだ 
と、表で「郵便です」と声がする 
潤が「姉ちゃん!来た来た来た来た」と叫んでたまきに封書を届ける 
(効果音:ベートーベンの「運命」♬ジャジャジャジャーン)
3人に見守られ封を開け恐る恐る中身を確認するたまき 
返却された履歴書の下部に「採用」の赤印 

編集長室でたまきの採用通知を見せられている常子(高畑充希)
花山(唐沢寿明)「ホッとしたかい?縁故入社などでは断じてないよ
あの環境の中でも自分を持ち率先して動けていた
料理の記事は分かりやすい言葉で書かれ
(常子がたまきの答案を確認している)
一般家庭で作る事が想定できていた
我が社でやっていくには大事な才能だよ」
やっと笑顔になりうなずく常子「ホッとしました…フフ」

タイトル、主題歌イン

昭和四十九年四月
仏壇に竹蔵と君子のそれぞれの写真
手を合わせているたまきと常子
「行ってきます」と囁いたたまきが常子に振り向く
「常子おばさん…行きましょう」
常子「…行きましょう、フフフ」

新入社員(男女2名)の文章を確認する男性社員
「う~んちょっと硬すぎるかな…
まあまずは俺が見せて雰囲気よくするから大丈夫、心配いらない」
と3人で花山のデスクに向かい男性社員「失礼します確認お願いします」
と、「すみません、通ります!通ります!」と慌てて駆け込んでくるたまき
水田(伊藤淳史)、美子(杉咲花)、常子もたまきが気になる様子
机で何かを探しているたまきに寿美子(趣里)
「炊飯器の試験中じゃなかった?」
たまき「3年前の試験からどのくらい安全性が高まったのか
比較した方がいいと思って資料を作ったのですが…」
寿美子「無くしたら大変って保管棚にしまってなかった?」
たまき「あっ、そうでした!ありがとうございます!(と駆け出し)
すみません失礼します!通ります!失礼します」
そんなたまきに笑顔の常子
と今度は花山の怒鳴り声が聞こえる「バカ者!何だこの原稿は?
取材をしていないだろう!2年目でもまだ学生気分が抜けきらんか!」
男性社員「申し訳ありません!」
立ち上がる花山「新入社員の手本とならんでどうする!やり直し!」
男性社員「はい」
花山はそのまま編集長室に向かう
男性社員「すまないね…君たちの文章を見てもらう前に」
新入社員・女「いえ、私書き直してきます」
男性社員「えっ?」
新入社員・男「僕も」
男性社員「えっ?」
新入社員の2人は男性社員を残し去っていく
美子「早速花山さんに圧倒されたようね」
常子「ねえ…あ…私も見て頂かないと(と原稿を手にして)
学生気分が抜けてるといいけど」(と笑う)
美子「何年前の話よ」

編集長室のドアをノックする常子「常子です」
中から「どうぞ」と声がする
「失礼します」とドアを開け原稿に目を落としながら中に入る常子
「あの…『小さなしあわせ』の確認…」
と、ベッドに横たわっている花山を見て「失礼しました」と戻りかける
花山「ああ…いいんだいいんだ…机の上に置いといてくれ」
「はい…」と部屋に入り奥の机に向かう常子
花山「駄目だな…ちょっと怒鳴ったぐらいで疲れるようじゃ」
常子「いえ、少しでも異変を感じたらすぐにここでお休みになって下さい」
花山「ここでねえ…鬼社長は家に帰してくれんからな」
笑う常子「倒れた次の日から働こうとしたのはどこのどなたです?
だからここにベッドを置いたんじゃありませんか
心筋梗塞がいつまた起こるか…」
花山「もう心配ない、あれから5年だ
それに最近は体に障らないよう感情を抑えるようにしている」
常子「あれ?さっき怒鳴ってらしたような…」
「フフフフ」と笑った花山が身を起こし常子がそれに手を貸す
花山「今年はそんな場面は少なくて済みそうだよ
今年の新入社員は優秀だねぇ…特に女の子が元気だ」
常子「私もそう思います」
花山「私は常子さんと出会うまで男としか仕事をしてこなかった
それがいざこうして女性たちと同じ職場で働いてみると
柔軟な考えや粘り強さに驚かされる事ばかりだ」
常子「フフフ」
花山「そんな女性を家庭に閉じ込めておいてはもったいない
もっと女性が活躍できる世の中になるべきだよ」
常子「そうですね」

編集部に戻り元気に働く女性社員たちを眺める常子
『女の人を手助けできればと…』と会社を起こした頃の事を思い出す
そんな常子を寿美子が訳あり顔で見つめている
常子が席に着くと寿美子が進み出て「あの…常子さん」
常子「はいはい」
寿美子「実は…会社を辞めさせて頂きたいんです」
常子「…!?」

別室の2人
寿美子「以前から考えてはいたんですが
やはり家庭との両立が難しくて…
確かにうちは子育てをしながら働く女性も何人かいますし
よそに比べたらとても働きやすい環境です
でも私が遅く出社したり早く上がる事で
皆さんにしわ寄せが行くのを感じます
新入社員も入りましたしどこかいい時期に私は…」
常子「どうしても…続けて頂けないかしら?」
寿美子「すみません…皆さんにご迷惑をかけたくないので(と立ち上がり)
迎えがあるので今日もお先に失礼します…すみません」(と部屋を出ていく)
掛ける言葉もなく見送るだけの常子

常子のメモ帳
あなたの暮しの取り組み
「働く機会を充実させる」
本人の希望する就業時間を重視
出産、育児の一定期間休職し再雇用をする
(効果は大きいが育児をしながら働く人の助けになるには不十分)
家庭と仕事を両立できる取り組み

居間の長卓で頬杖をつきメモ帳を見つめる常子「どうしたもんじゃろのぉ…」
「とと姉」と鞠子が果物(いちごとオレンジ)を前に置く
常子「あっ、ありがとう」
鞠子「お仕事大変ね」
常子「うん…」
美子「あら…懐かしいもの引っ張り出して」
たまきと水田がソファーであなたの暮しのバックナンバーを見ている
南(上杉柊平)「たまきちゃん仕事の方はどう?慣れた?」
たまき「それが全く…ついていくだけでもう…
皆さんすごいんですよ、テキパキテキパキ」
鞠子「花山さんも想像以上だったでしょ」
たまき「うん、厳しさも想像以上だけど何より発想力とか洞察力とか
どうやったらこんな原稿が書けるんだろうなあ…」
(と直線裁ちの記事を読んでいる)
美子「しかも文字数もぴったりだからね」
南「ぴったり?」
鞠子「ああ、そうそう…花山さんの原稿はいつも初稿から必ず
行数ぴったりに仕上げてきて最後の1行までぴったり埋まってるのよ」
南「へえ~」
鞠子「今でもそうなのね…」
美子「会社の雰囲気とかは?想像とは違ってた?」
たまき「ううん、思ったとおり女性が働きやすい会社でした
友達の入った会社は男性に『これだから女は…』って言われたり
お茶くみばかりさせられたり
その点うちの会社は男と女の別なく実力主義で仕事をさせてもらえるから
本当に幸せな職場だと思います(それを聞いて常子も微笑む)ただ…」
水田「ただ?」
たまき「寿美子さんのように育児をしながら働くのは大変そうで…」
美子「うちみたいなのが特殊なのよね
ほらうちはまり姉ちゃんとかかが家事も育児もしてくれたじゃない?」
南「そうだよな」
美子「だから私は仕事しながら子どももなんてできたのよ」
鞠子「いえいえ」(と首を振る)
水田「時代が変わって今は大家族で暮らしてる家なんて少ないからね
寿美子さんちみたいに旦那と子どもだけの家庭じゃそりゃあ大変だよな」
家族の話を聞いて思案顔の常子

編集部のデスクでも考え込んでいる常子
寿美子やたまきの言葉を思い出し何かを思い立ったように立ち上がる

編集長室で絵筆を持つ花山
「失礼します」と常子が入ってくる
花山が筆を置く
机の前に立つ常子「実は昨日寿美子さんから
会社を辞めたいとのお話がありました
やはり家庭との両立は難しいみたいで」
花山「残念だな…有能な編集者だっただけに」
常子「ええ…それで考えたのですが
社内の仕組みを変えたいと思っています…
もちろんそれで寿美子さんが残って下さるかは分かりません
ですが今後ますます核家族が増え
寿美子さんのような方は増えると思うんです」
花山「ああ」
常子「女性の役に立ちたいと創刊したあなたの暮しですから
女性が働きにくい今の社会に一石を投じるような
社内環境の整備をするべきではないかと考えました
我が社が率先してそのような姿勢を見せれば
他の会社も変わるかもしれません
そうすればより多くの働く女性たちの力になれるのではないかと思ったんです」
花山「随分な意気込みようだな
鼻の穴が広がっているよ」
笑い出す常子「もう…ちゃんと聞いて下さい」
花山「ハハ…それで具体的に何をする?」
常子「それは次の会議で皆さんと一緒に」
花山「自信がありそうだね」
常子「はい…では失礼します」(と退室していく)
微笑んで常子を見送った花山が立ち上がりかけ顔をしかめる
と、ガクンと腰が落ち胸のあたりを押さえ「うっ…くっ…」と呻く花山

(つづく)

なるほど、採用の決定権は編集長の花山にあるという設定なんだね
それにしても採用通知をわざわざ郵便で送らんでもw

おそらく初出社の日、人生の節目の朝には仏壇に手を合わせるシーンから
入るのも常子と同じでさすが後継者と思われるたまき
服の色も常子のイメージカラーの青だった

会社で資料を無くして走り回っているのも
常子と同じでおっちょこちょいなところもあるという描写だろうか

花山が「今年の新入社員は優秀だ(特に女の子)」と言っていたのも
たまきが後継者になる事の伏線なのかな?

それにしても新入社員に先輩風を吹かしていたが
花山に罵倒されてしまった男性社員がかわいそう
もうあの新入社員の2人に一生なめられるよねw

寿美子もあんな人が大勢いる場所でいきなり会社辞めたいとか言うなよ
常子も焦ったと思うぞw

花山の「鼻の穴が広がっているよ」は脚本だろうか?
まさか唐沢でもこんなシーンでアドリブはしないと思うのだが…
どちらにしても高畑の演技のクセをからかっているようで笑えた

2016年9月23日金曜日

とと姉ちゃん(149)活気溢れる編集部を見たたまきは常子に…

2階へ移動する一同 
島倉「花山さん!花山さん!」 
花山(唐沢寿明)「何だ騒々しい」 
木立「これ事件です、これを見て下さい」(と試験資料を見せる) 
島倉「一回に出るスチーム量なんですがアメリカ製の9ccに対して
トーチクは10ccです」 
木立「スチームの広がり具合でも澄浦のアイロンが一番でした!」 
扇田「スチームが安定して出るまでの時間はアメリカ製は2分35秒
ハルデンは温度は低いですが2分20秒でした!」 
花山「ほう…とうとうこんな日がやって来たか!」 
常子(高畑充希)「アメリカ製を…」 
美子(杉咲花)「信じられませんね」 
たまきに説明する水田(伊藤淳史)「スチームアイロンの試験で
日本の製品がアメリカ製を上回る結果を出したらしい」 
驚くたまき(吉本実優) 
水田「メードインジャパンは安かろう悪かろうと言われて
アメリカのまねをするだけで性能が追いついていないというのが
日本製品のお定まりだったんだけど…
そうか…ついにこの日がね…」 
たまきも感慨深げに微笑む 
花山「日本人の職人気質が改良に改良を重ねさせ
品質向上につながったんだろう
日本のメーカーが力をつけた証拠だな」 
常子「こういう瞬間に立ち会えると
長年商品試験に関わってきてよかったと心から思います」 
花山「ただし調べる項目はまだ山ほどある
メイドインジャパンの製品が真に世界に誇れるものなのか
徹底的に調べ発表していこう!」 
(一同)「はい!」 
寿美子(趣里)「これから繊維別のメモリ温度の試験を開始します」
「じゃあ私たちはスチーム量のデータを原稿にまとめます」
花山「それぞれ作業に入ってくれ」(と手をたたく) 
(一同)「はい!」
活気溢れる編集部を見て顔がほころぶたまき

タイトル、主題歌イン 

夜、たまきが部屋をノックする「たまきです」
机に向かい椅子に座っている常子が振り向く「どうぞ」
ドアを開けるたまき「ちょっとよろしいでしょうか」
常子「よろしくてよ、フフフ」
部屋に入ったたまきが常子の横に立つ
常子「何か相談?」
うなずくたまき「私…おばさんの会社で働きたい」
少し驚く常子「でもあなた卒業したら銀行にお勤めしたいって…」
たまき「本当は今までも何度か考えてたんです
だけど縁故入社だと思われるのが嫌で…
でも今日久しぶりに会社にお邪魔して思いが固まりました
私は世の中の役に立つ仕事がしたいです
あなたの暮しがずっと掲げている『暮しを豊かにするお手伝い』
というモットーもとてもいいなと思いますし
この前もテレビで広海の社長さんが話してました
あなたの暮しの商品試験がなければ
日本の電気製品は進歩しなかっただろうって」
少し嬉しそうに顔をしかめて笑う常子「大げさよ」
たまき「影響は僅かかもしれませんが
私も商品試験が粗悪な商品を淘汰し
進歩する手助けをしたのは間違いないと思います」
常子「ありがとう」
たまき「それに多くの女性が働くあなたの暮し出版には
女性の夢がたくさん詰まってる気がします
そんな場所で私も自分の力を試したいです」
常子「……分かったわ…そこまで言うならやってみなさい(と微笑み)
ただし(と立ち上がり)審査は公正に行いますよ」
笑顔でうなずくたまき「はい」
常子「フフフ」

台所で牛乳瓶の蓋を開けた鞠子(相楽樹)がたまきを見つめる
たまきは居間の長卓で履歴書を書いている(…編集員を希望)
風呂上りの水田が廊下からガラス越しにたまきを見る
台所に向かう水田「まさかたまきがうちに入りたいなんて…」
鞠子「世の中の役に立つ仕事がしたいって言ったそうよ」
水田「そんな目標を?まだまだ子どもだと思ってたけど…」
鞠子「ねえ…でもあの子なら花山さんに怒鳴られてもくじけないでしょうね」
水田「おいおい、まだ入社が決まった訳じゃないんだから…
もしかしたら僕の娘って分かったら落とされちゃうかもしれない
あっ…それに…もしたまきが合格したら僕がクビになっちゃうかも…」
あきれる鞠子「(もう…)正平さん黙って飲んで!」

履歴書を確認しながら廊下を歩くたまき

<両親の心配をよそにたまきは1次選考2次選考を無事通過し
最終試験を迎えました
しかしあなたの暮し出版の最終試験は一風変わったものでした>

最終試験会場に集められた18人の受験者たち
その中で唯一スーツ姿の青年が
隣に座る柄シャツのメガネをかけた男に尋ねる
「なしてそだ格好してんだ?」
メガネ「ここの編集長はスーツ嫌いで有名だろ」
その隣の女「そんな事も知らないの?」
さらに隣の女「ちょっと静かにして」
その横に座るやや緊張した表情のたまき
ドアが開き入ってきた花山が受験者たちの前に立つ
「諸君、本日はご苦労
やっと最終試験になった訳だが入社試験というのは甚だ憂鬱なものだね
こちら側は果たして人を判断する事ができるのかという
気持ちを持ちながらそれ以外に方法がないから
気を引き締め採点や面接をしなければならない
君たちはわざわざ試験を受けるのに落とされる
どちらにとってもあまり愉快なものではないよな
だから早く終わらせてしまいたいのはやまやまだが
手順というものがあるので問題は後で出す」
(受験者たち)「…?」
花山「まずは1階に移動してもらおう」

受験者たちが1階に移動すると部屋の中央に寄せられた台の上には
様々な食材が並びコンロに中華鍋といった調理器具もある
美子「皆さん荷物は棚に置いて下さい」
(受験者)「何か私たちが作るのかしら」
(スーツ)「まずは腹ごしらえですかね」
(受験者)「出版社の試験だろ?」
常子が調理服姿の男を伴い現れ受験者たちの前に立つ
「では今から調理を始めます、よく見ていて下さいね
メモや質問は自由です(調理人に)ではお願い致します」
(ドラの音が鳴る演出w)
調理人(陳健一)「え~私銀座で中華料理やってる楊といいます
こちらの材料で青椒肉絲作ります」
受験者たちが首を傾げる(たまきは不安そうな表情)
花山が彼らを見つめている
楊「はい、まずねこの肉切りますね
肉はですね繊維ね今日絲でしょ、薄切りにしていきます(と肉を切る)
繊維に沿って切るね(たまきを含む何人かがメモをとっている)
後で火通した時ちぎれない、きれいね
次タケノコ切ります、同じ幅にこれ切りますね
(タケノコに続きピーマンを切っている)繊維を断ち切るようにこれは切る
(油がいっぱいの鍋に肉を入れ)すぐタケノコも入れる
ピーマンはね火通り早いね、最後、ピーマン色きれいね
(調理の様子を見ながらメモを続けるたまき)
油通しこれで完了、はいきれいにね
ネギ炒める、香りねネギいい香りします(と鍋をあおる)
(炒めた料理を皿に盛り)はいこれでね青椒肉絲出来上がりました
私ね帰ります、再見(ツァイチェン)」(と手を振り退室していく)
常子「ありがといございました」
(ドラの音)
受験者の前に立つ常子「はい、ここまで…
では皆さん今見た青椒肉絲の作り方を伝える記事を書いて下さい」
受験者たちがざわめく
美子「解答用紙をお配りします」
(受験者)「記事?」
(受験者)「だったら最初にちゃんと観察するよう教えてくれても…」
常子「メモや質問は自由…よく見るように…と言いましたよね」
(受験者)「…はい」
水田が布をはらい時計を模した大きな表示板を見せ
「制限時間は20分です」
(受験者)「20分?」
手を挙げるたまき「あの…」
常子「はい」
たまき「答案はどこで書けばいいのでしょうか」
常子「ここです、皆さんそれぞれ工夫してお書き下さい」
水田「それでは始め!」
(受験者)「工夫ったって…」
と、突然膝をつき床の上で答案を書き始めるたまき
他の受験者もたまきに倣う(一部は小さな台の上などで書いている)
すると花山がプレイヤーのレコードに針を落とし
大音量で「運命」をかける♬「ジャジャジャジャーン」
(受験者)「何ですかこれ?集中できないのでやめてもらえませんか?」
(スーツ)「あの…集中できないんで止めてもらえませんか?」
花山が音を止め「記者たるものどんなにやかましい場所でも
原稿を書かねばならんのだよ!そしてこんな時もある」
と今度はラジカセで工事現場の「ガガガガガッ」という音を大音量で流す
追い込まれながらも懸命に答案に記入するたまきたち受験者
見守る水田や常子
大盤の時計が20分の経過を告げる
水田「はい、時間です」
美子「では答案用紙を回収します」
花山が拍手をし、受験者たちも拍手をする
花山「次が最後の問題だ」
(受験者)「まだあるんですか?」
花山「いいかい?この試験の前に別の部屋で私が君たちに言った事を
原稿用紙1枚にまとめなさい」
ざわめく受験者たち
(受験者)「それって『本日はご苦労…』ってやつですか?」
花山「そうだ、記者たるものいかなる時でも
人の話をぼやぼや聞いていてはいけない
目だけでなく耳による観察力も備えていなければ記者は務まらんぞ!」
水田「それでは始め!」
また床に座り込み書き始めるたまきたち受験者
常子たちが見守る中懸命に答案を書くたまき

(つづく)

常子がたまきに「審査は公正に行いますよ」と言って笑い合うシーンが
なんだか気持ち悪かったw(腹の探り合いみたいで)
公正になんかできる訳ないしその必要もないと思う
一般企業の縁故入社は自由だと思うし縁故で入ったからこそ
へたな事はできないから会社側も安心して雇えるだろう
ただし税金で運営されている公務員の世界では縁故はよくないと思う…

最終試験はいかにもありそうな感じw
確かにあれをやれば受験者の能力を見極められそう
けど花山のレコードとラジカセはやり過ぎだと思う(ドラマだからいいけど)

2016年9月22日木曜日

とと姉ちゃん(148)君子の教えを記事にする常子~さらに8年が過ぎ…

昭和四十年一月 

玄関から出てきた真由美が背伸びをして門柱の牛乳箱から牛乳を2本取り出し
郵便受けに差さっている新聞も抱えて家に戻ると潤が玄関を拭き掃除している
 
君子の部屋 
目を閉じ手を合わせている常子(高畑充希) 
その前には位牌と骨壺、花や果物が供えられた祭壇がある 

<君子は73年の生涯を閉じました> 

タイトル、主題歌イン 

常子の「では頂きます」でいつものように一族の朝食が始まる
しかし箸を持たずぼんやりとしている常子を見て水田(伊藤淳史)が目を伏せる
美子(杉咲花)「真由美お口拭いて、ベタベタよ」
真由美が「うん」と手拭いを取り出し口をゴシゴシと拭く
それを見て微笑んだ常子がみそ汁の中の飾り切りされたニンジンを箸でつまみ
「見た目も楽しい方がいいと思って」とニンジンを切っていた君子を思い出す
ニンジンを口に入れ汁を飲む常子
「うんと…両端を合わせて…こっちとこっちを合わせて…」と
真由美が君子に教えてもらった通りに手拭いを畳んでいる
それを見てまたも君子を思い出す常子
(君子)「小さな幸せっていうのかしら…その積み重ねで今の幸せがあるのね」

あなたの暮し出版
編集長室にはクレヨンの試験資料が貼られたボードが立ち並んでいる
それをどけて花山の前に立つ常子
コーヒーを淹れていた花山(唐沢寿明)がカップを手に席に座る
常子「葬儀ではお世話になりました(と頭を下げ)ありがとうございました」
花山「うん…さみしくなるね」
常子「ええ…花山さん先日私に何か書いてみないかとおっしゃいましたよね」
花山「ああ」
常子「見つかったんです…書いてみたい事…
母と過ごした時間の中で何気ない日常の愛おしさに改めて気付かされました
それを心に留めておくためにも
ごく普通の暮らしについてつづってはどうかと思ったんです
誰の周りにも起きていて、でも誰も取り立てて話さないような事の
一つ一つに心を向けて言葉にする
決して押しつけがましくならないようにそっとお知らせするような雰囲気で」
花山「お知らせか…」
常子「私は母から教わった事を自分の子どもに伝える事はできません
ですが記事にすれば多くの読者に伝えられます
母が私たちにしてくれたように人生に僅かでも
彩りや安らぎを添えられるような言葉や知恵を読者に伝えたいんです」
少し考え込んだような花山がカップを置き常子を見上げる「常子さん」
常子「はい」
花山「何をしている、すぐに行きなさい」
常子「えっ?」
花山「すぐに1行目を書き始めなさい
何より私がすぐに読みたいんだ!」
嬉しくて笑顔になる常子「はい!失礼します」
ボードを避けて部屋を出る常子を見て楽しそうに笑いコーヒーを飲む花山

編集部で席に着いた常子がペンをとり早速書き始める

<この常子の企画は『小さなしあわせ』と題されたエッセーとなり
読者の支持を集めていきました
君子が亡くなって8年が過ぎた頃には単行本として発売されていました>

昭和四十八年

<昭和48年
東洋の奇跡といわれる未曾有の高度経済成長を成し遂げた日本は
世界第2位の経済大国になりました
このころになるとあなたの暮し出版で働く女性の割合は7割を超え
男性と同様に女性が活躍できる職場になっていました>

多くの女性スタッフがスチームアイロンの試験をしていて
中には妊娠してお腹の目立つ社員もいる
寿美子(趣里)「常子さん」
振り向く常子「はい」
資料を見ながら寿美子「スチームアイロンの試験の…」
常子「寿美子さんお子さん熱出したんじゃ…」
寿美子「近所の方に見て頂ける事になりました
ご迷惑をおかけしてすみません」
常子「迷惑だなんてことないわ」
寿美子「でも…少し早く上がらせて頂きたいのですが…」
(男性スタッフ)成田「私交代しますよ」
寿美子「すみません」
成田「いいんですよ」
常子「ありがとうございます成田さん」
成田「あ~いえいえ」
寿美子はまだ何か話がありそうだが常子は別のスタッフに呼ばれる

編集部で談笑する若い社員たち「すごい!」「でしょ?だから買ったのよ」
「似合わないわね~」「似合うわよ、かけてみる?」「いいわよ」
横に立っている常子に気付き「あっ、すみません」
常子「ああいいのよ、休憩中でしょ
それより何?盛り上がってるわね」
「あ~実はこの雑誌で紹介されているサングラスを買ったんです」
手渡された雑誌を見て常子「あ~これ最近創刊された…」
「そうですそうです、取り上げられているお洋服や小物が
どれもおしゃれなんですよ」(とサングラスをかけて微笑んでみせる)
(一同のキャピキャピした笑い)
白髪交じりの常子「へえ~ここに載ってるの?」

<1970年を過ぎた頃から既製品の洋服を取り上げる女性誌が
次々と創刊され若い女性の間で人気を博しておりました>

常子の後ろから雑誌をのぞき込む緑(悠木千帆)
「婦人雑誌の様相も随分変わりましたね」
常子「そうですね」
緑「服なんて既製品の紹介ばかり
小物だってどこどこの何々がおしゃれだから買いましょうって…
自分で作る事を基本にしたうちとはまるで趣が違いますよ」
常子「豊かな暮らしの表れなんですかね」
緑「物がなくてもったいない精神が染みついた
我々の世代からは考えられませんね」
「…ですね」とサングラスをはずす女性社員(他の若手社員たちが笑う)
常子「フフフ…いいのよ別に…今日一日かけといたら?」

<花山は5年前に心筋梗塞で倒れ
職場にベッドを持ち込んで休みながら仕事を続けておりました>

編集長室のベッドの上で件の雑誌を見ている花山「若い子たちがねえ…」
スチームアイロンの試験資料のボードを設置している常子
「ええ、みんな目を輝かせて読んでいました」
花山「時代が変わってきている証拠じゃないか」
常子「私もそう思います、でも感覚の違いもすごく感じてしまって」
花山「仕方ないさ、今の若い世代はあの戦争を知らないのだから」
コンセントから延長コードを伸ばしていた水田
「新しく入ってきた社員たちは戦後に生まれた子ですからね
感覚に違いが生じるのは当然ですよ」(と部屋を出る)
常子「戦後生まれか…私たちも年をとる訳だ」
花山「ハハ」
常子「フフフ」
寿美子「失礼します、トーチクのスチームアイロンをお持ちしました」
アイロン台を手に戻ってきた水田
「寿美子さんは戦後生まれじゃないよね?」
寿美子「若くなくてすみません」(と台にアイロンを置き試験の準備をする)
水田「いやいや違う違う、君は最近のどんどん服や物を買う風潮を
どう思ってる?」
寿美子「私は…便利だとは感じています
働きながらですと服や小物を作る時間がとれないですから…」
水田「そうだよな…」
寿美子「それと子どものためにも…」
常子「子どものため?」
寿美子「ええ、働く女性が増えてきたといっても
まだまだ世間の目は厳しくて…うちの子
『貧乏だから母ちゃんも働いているんだろう』ってからかわれているんです
近所の人にも『旦那の収入が低いから共働きしてる』ってうわさされて…
私はお金のためだけではなく
この仕事にやりがいを感じて働いているんです」
花山「女性が働く理由を貧しいからとしか思えんのだね
そもそも働く理由が金だとしても揶揄されるいわれはないさ」
水田「そういう訳ですか…」
寿美子を気の毒そうに見つめる常子

お昼の弁当を食べている年配女性社員たち
康恵(佐藤仁美)「そんなの寿美子さんだけじゃないよ
私だって子どもほったらかしてパートタイマーで小銭稼いでるって
こそこそ言われてさ」
綾(阿部純子)「私も…働いている上に片親じゃない?
息子にろくにごはんも食べさせてないってうわさされた事もあったわ」
常子「いくら時代が移り変わっても
働く女性に対する偏見はいまだに強いままなんですね」

<常子は自分に何ができるのかを考え始めました>

本木がビルの前で本を販売している

<昼過ぎ、一人のお客さんが訪ねてきました>

本木がその若い女性を見つめている
女性が1階の試験室に入りスチ-ムアイロンの試験をしている様子を見る
と、水田に肩をたたかれビクッとする女性
水田「たまき」
女性・たまき(吉本実優)「何だお父さんか」
水田「何だって言い方はないだろう、大学は?」
たまき「授業は午前中だけだったの」
常子「あら」 美子「どうしたの?」
と2人がやってくる
たまき「常子おばさんに用があって、忘れ物
(と紙袋を手渡し)お母さんからです」
袋の中をのぞく常子「あ…わざわざありがとう
これ午後の打ち合わせに必要だったのよ」
たまき「お役に立てて光栄です」
試験室を眺めるたまき「今日もいろいろと試験してるんですね」
常子「ええ、スチームアイロンの試験がそろそろ佳境でね
すると「おいおいおいおい…」「よし間違いない」と興奮した声が聞こえる
「ちょっと失礼」と常子が向かう
「えらい事になったな」「常子さん!」「花山さんに報告しましょう!」
「よし!」「行きましょう行きましょう」
常子「とりあえず行きましょう」
その一団は資料を手に慌てて花山の元へと向かっていく
それを見て「どうしたんだろう…」と目を丸くしたたまきが後を追う

(つづく)

また時間が飛んだ
昭和48年だと常子は53歳くらい
今まで老けメイクで役年齢に見えていたがさすがに53は無理みたいw

寿美子が子どもがいるのに仕事を続けていて少し意外だった
自分もこの時代に子どもだったが母親は家にいるのが普通だった
昼間に買い物などは済ませて子どもが学校から帰る時間には
母親は当たり前に家にいた
だから家の鍵など持たなかった
母親が働いていて鍵を持っている子どもを
今では死語だろうが「鍵っ子」と呼ぶ言葉があったくらいだ

このドラマで専業主婦になったのは結局鞠子だけだろうか?
なぜ鞠子だけが仕事を辞める設定になったのだろう?
たまきは小さい頃から常子に似ているという描写があった
今回、常子たちの仕事にたまきが興味を持ったようだが
たまきが常子の後継者になるのだとしたらそれが理由なのだろうか
なぜなら鞠子が仕事を続けていたとすれば
夫の水田は経理の責任者で娘のたまきが後を継いで…となれば
鞠子の色が強すぎてまるで鞠子が中心の会社みたいになってしまう
それではヒロインの常子(高畑)の立つ瀬がないので
モデルの史実も鞠子が女性の自立を宣言した
らいてうに傾倒していた事も無視して強引に
専業主婦にしてしまったのかなあ…とちょっと思った

2016年9月21日水曜日

とと姉ちゃん(147)娘たちにそれぞれ言葉を贈る君子~小さな幸せの積み重ねで今の幸せがある…

君子の部屋 
常子(高畑充希)が「どうぞ」とお茶を置く 
花山(唐沢寿明)「ありがとう」 
布団の上に半身を起こした君子(木村多江)が肩掛けを掴む 
「あ~かか」と常子がそれを羽織らせる 
花山「お加減はいかがですか」 
君子「今日は少し気分がよくて…常子…」 
常子「はい」 
君子「少し2人にしてもらえるかしら」 
常子「…ええ…では」(と部屋を出る) 
花山の顔を見る君子 

タイトル、主題歌イン 

君子「わざわざお越し頂きありがとうございます(花山が礼で返す)
ず~っとね…花山さんにお礼を申し上げたいと思っていたの」
花山「礼ですか?」
君子「娘たちを立派に育てて頂き感謝しております」
花山「感謝なんてとんでもない…私は…
私は常子さんにとって本当にこれでよかったのかと
考えてしまう時があるんです」
君子「なぜ?」
花山「『雑誌を作るならば人生を賭けます』と
常子さんは全てをなげうってあなたの暮しに打ち込んでくれました
ですが常子さんにはもっと別の人生があったのではなかろうかと…
お母様としても思うところがあるのではないですか?
ただ仕事だけに邁進させてしまって申し訳ありません」(と頭を下げる)
君子「いいえ…常子は幸せなのだと思います
自分で選んだ道ですし…何より
そんなふうに思って見守って下さる方がいるんですもの」
花山「…」
君子「あの子は幼い頃からずっと無理をして生きてきたように思えます
人に頼るのが下手で何でも一人で抱えて…
花山さんに出会って叱られてようやく
常子は心から誰かに頼って生きる事ができたんだと思います
本当にありがとうございます」
花山が頭を垂れる
君子「よかった…お伝えできて…」
花山「…長居してお体に負担をかけてはいけませんね
この辺で失礼します」
君子「花山さん…これからも娘たちをよろしく…お願い致します」
うなずいて礼を返した花山が立ち上がり「失礼致します」と部屋を出る
一人になって何か心のつっかえがとれたようにうなずく君子

玄関を出た花山を3姉妹が見送る
常子「今日はわざわざすみませんでした」
美子(杉咲花)「ありがとうございました」
(常子と鞠子)「ありがとうございました」
鞠子(相楽樹)「花山さんにお会いでき母もとても喜んでいると思います」
花山「こちらこそだよ…すばらしいお母さんだね」(と背を向け歩いていく)

君子が仏壇に手を合わせている
常子「かか、よろしいですか?」
君子「ええどうぞ」
3姉妹が部屋に入り君子の前に並んで座る
常子「花山さんをお送りしてきました」
君子「ありがとう…どうしたの?3人そろって」
美子「ちょっとかかと話したくなっちゃって」
君子「な~に?」
鞠子「ととへご挨拶ですか?」
君子「ええ、ちょっとね…さあ何を話そうかしら?」
顔を見合わせる3姉妹「ん~フフフ…」
美子「こう改まると特には…」
常子「フフフ…そうね」
鞠子(常子に)「あっ、よっちゃんが電話で言い間違えた話は?」
常子「えっ?」
美子「えっ?」
鞠子「ほら会社で電話受けて『少々お待ち下され』って言ったらしいじゃない」
美子「ちょっとどうして言うのよ」
常子「ごめんね、何だか愛らしいなと思っちゃって…フフフ」
美子「もう恥ずかしいわ」
常子「ごめんごめんごめん」
美子「もう…」
常子「フフフフ」
笑い合う娘たちを笑顔で眺めている君子「あなたたちがいてくれたから
幸せだったわ」
鞠子「かか…どうされたんです?」
君子「……美子」
美子「はい」
君子「美子はいつも私たちを和ませて笑わせてくれている
あなたが笑うと私たちみんな幸せな気持ちでいっぱいになるのよ…
いつも伸びやかで美子には笑っていてほしいわ」
美子が「はい」とうなずく
君子「……鞠子」
鞠子「はい」
君子「鞠子はね…いつもさりげなく心配りしてくれる
だからみ~んな甘えてしまうの
おかげで私は安心していられる」
鞠子が微笑んでうなずく
君子「……常子」
常子「はい」
君子「あなたはいっつも一生懸命でみんなの幸せのために走り続けて…
どんな時でも私を支えてくれた
本当にありがとう」
潤んだ瞳で母を見つめる常子が小さくうなずく
立ち上がった君子が(美子に体を支えられ)
押し入れから小さめのつづらを取り出す(つづらは美子から常子へ)
君子「それ…私の宝箱なの」
美子「宝箱?」
常子「開けていいですか?」
君子「ええ」
常子が蓋を開けると中にはいろいろなものが収められている
「あ…うわぁ…これ」と常子が布で作った桜の花びらを手に取る
思い出される竹蔵とのエピソード
鞠子が「懐かしい…」と『KT歯磨』と書かれた小袋を手に取る
思い出される森田屋での練り歯磨きの破裂騒ぎ
君子「一つ一つが愛おしくてね…つい取って置きたくなるの
小さな幸せっていうのかしら…その積み重ねで今の幸せがあるのね」
常子「ととも昔おっしゃってましたね」
君子「…みんな…本当にありがとう…
あなたたちは私の自慢の娘よ」
3姉妹も目が潤んでいる
君子「ああ…明日の昼…久しぶりに常子の親子丼が食べたいわ」
「フフフ…」と顔を崩して笑った常子が
こぼれる涙をぬぐい「はい、ご用意しますね」とうなずく
君子が仏壇に向かい竹蔵の写真を納得したような笑顔で見つめる
母の背中を見つめている3姉妹

<君子が亡くなったのは10日後の事でした>

(つづく)

花山が言う常子の別の人生とはもちろん
結婚したり子どもをもうけたりという生き方の事だろう
ここは視聴者的にとても気になるところでそのモヤモヤを
作者が君子のセリフを借りて説明したといったところだろうか
もちろん結婚しないと幸せになれない訳ではない
現実には結婚した事で逆に不幸になる人もいるだろう
けれどもこれはドラマでそれも朝ドラだ
朝ドラのヒロインには現実を生きる我々の普通の人生よりももっとこう
「輝かしい何か」を自分は期待してしまう
星野を諦めとと姉ちゃんとして生きた常子の物語は美しいし
ドラマも面白かった
モデルの大橋鎭子さんの人生も素晴らしいと思う
けれどもやはり朝ドラのヒロインには好きな相手と結ばれてほしい…
と個人的には思ってしまう

常子は時々親子丼を作っているみたいだ
長谷川に教えてもらった親子丼だけが常子の得意料理なのかもしれないね

君子が竹蔵や滝子と同じくナレ死した
この臨終を描かないスタイルはいいと思う
朝から死に別れで泣き叫ぶシーンとか見たくないから


2016年9月20日火曜日

とと姉ちゃん(146)孫たちとふれあい娘たちの幼い頃を思い出す君子

昭和三十九年十月 
(ラジオ)「昨夜東京オリンピック注目の女子バレーボール決勝戦が行われ
東洋の魔女が3対0でソビエトを破り金メダルを獲得しました
日本女子としては実に28年ぶりの…」 
部屋の布団の上で君子(木村多江)があなたの暮しを読んでいる
(記事・砂時計は正確か) 
部屋の外から家族らの「行ってきます」と「行ってらっしゃい」が聞こえてくる 
玄関に向かい「行ってらっしゃい…」と穏やかな笑顔で呟く君子 

タイトル、主題歌イン 

真由美の髪をとかしているたまきがせきをする
振り向く真由美「たまきちゃん大丈夫?」
たまき「うん…ちょっと風邪っぽくて」
さらにせきをするたまき
君子が心配そうに部屋をのぞく「たまき」
たまき「おばあ様寝てなきゃ」
君子「いいのよ…それよりあなた風邪ひいたって…」
たまき「平気ですよ、大した事なさそうですし」
たまきの額に手のひらを当てる君子「どこが平気なの…熱があるじゃない
(部屋の外に向かい)鞠子!」(鞠子の返事「はあい!」)
たまき「大丈夫ですってこのくらい」
君子「ほら、私がやるから(真由美の世話は)休んでなさい」
「準備できた?」と鞠子(相楽樹)がやってくる「かかどうしました?」
君子「たまきが熱があるみたいなのよ」
鞠子「えっ」
君子「部屋で休ませた方がいいわ」
たまきの額に手を当てる鞠子「そうします…たまき…」
たまき「はい」(と立ち上がり鞠子と部屋を出ていく)
(ラジオ)♬「明日がある明日がある明日があるさ~」
たまきの代わりに櫛を持つ君子
真由美「私、髪やってもらうの好き」
君子「アハハ、そう?何だか小さい頃の美子を思い出すわ」
真由美「お母さんの?」
真由美の髪をすく君子「うん、美子もね…同じ髪形だったのよ
毎日欠かさずやってたの…さあできた」
真由美「ありがとう」
君子「こちらこそありがとう」
部屋に戻ってくる鞠子「え~っと…」
君子「氷枕用意しなくちゃね」
鞠子「ええ私が」
君子「鞠子は子どもたち送っていきなさい」
鞠子「けどかかだって…」
君子「心配ないわ…今日は調子がいいの」
鞠子「…すみません…お願いします…潤、真由美、行きましょう」
(2人)「はい」
君子「行ってらっしゃい」
(3人)「行ってきます」

布団に寝かされたたまきの額に君子が手ぬぐいをのせている
目を開き君子を見るたまき「ごめんなさい…おばあ様もご病気なのに」
君子「今日はおばあ様よりあなたの方が重病人よ…
そういえば昔…鞠子も体調を崩した事があったわね…
あれは確か戦時中の大変な時だったわ」
たまき「お母さんが?」
君子「あなたは常子に似ているところがあるけどやっぱり鞠子似ね」
たまき「お母さんに似てますか?」
君子「ええ…勉強を始めたら止まらないでしょう
決めた事をやり抜こうとするところも似ているし
ちょっと頑固なところもそっくり…フフフフ」
たまき「そうなんだ」
たまきの両頬に手を当てる君子「昔ね…母が私が具合が悪い時に
こうして優しく手を当ててくれたの
少~し心も体も楽になるような気がしない?」
うなずくたまき「うん…」
優しい笑顔でたまきの顔をのぞきこんでいる君子

夜、玄関に常子と美子と水田が帰宅する
美子(杉咲花)「あら、風邪ひいたの」
鞠子「ええ」
水田(伊藤淳史)「何で早く言わないの(と慌てて部屋に向かい)たまき!」
鞠子「今寝てますから!」(水田の動きが止まりスローになる)
常子(高畑充希)「それでもう大丈夫なの?」
鞠子「うん、もう熱は下がったから」
常子「そう、よかった」
美子「でも子どもたちの面倒も見ながらで大変だったでしょう」
鞠子「ううん、かかがいろいろ手伝ってくれるから」
美子「えっ?」
常子「かかが?」

台所で南(上杉柊平)たちと夕食の準備をしている君子
常子「かか」
美子「寝てなくていいんですか?」
君子「たまきのごはんを作りたくなっちゃったの…
これどうかしら?」(と飾り切りをしたニンジンを見せる)
南「きれいですね」
真由美「すご~い!」
君子「見た目も楽しい方がいいと思って」
南「きっと喜びますよ」
君子「まあ…じゃあもっと切るわね」
南「お願いします」
楽しそうにニンジンを切る君子を見つめる常子が医師の告知を思い出す
常子「…私も手伝います」

夕食を運ぶ鞠子「たまき、具合はどう?
(身を起こしたたまきに)食べられそう?」
たまき「うん」
鞠子がたまきに椀を手渡す
粥飯の上には飾り切りのニンジン
たまき「わぁ…きれい」
鞠子「おばあ様お手製よ」
最初にニンジンを食べるたまき「おいしい」(と微笑む)
元気そうになった娘を見て微笑む鞠子

君子が真由美に手拭いの畳み方を教えているようだ
(隣で潤はお絵描きをしている)
真由美「こう?」
君子「そうよ、角と角をしっかり合わせて…そうそう…あ~いいわね」
台所からそれを見て微笑む常子
戻ってきた鞠子「あっ、みんなありがとう…さあごはんにしましょう」
常子「そうね」
鞠子「ほら潤も!」
潤「もうちょっと」
水田「後にしなさい」
潤「は~い」(と立ち上がる)
美子「あれ?ゴミはちゃんと捨てるんじゃなかったっけ?」
「分かったよ…」と潤が描いていた絵を手に取る
君子「潤、これおばあ様に頂戴」
潤「いいよ」(と家の中に9人の笑顔が描かれた絵を手渡す)
君子「ありがとう」(と絵を眺め大切そうに折る)
常子の「頂きます」で夕食が始まるが君子は箸を取らず
食事をする家族を幸せそうな笑顔で眺めている

眠っているたまきの部屋の戸が開けられ明かりが差し込む

君子の手を取り階段を下りる常子「たまき大丈夫そうでしたね」
君子「ああ…そうね…よかったわ(と下に着き)ありがとう」
廊下を歩く君子が鼻歌を歌う(♬明日があるさ)
部屋に入り常子が君子を見つめる
君子「どうかした?」
常子「いえ…昔からかかが鼻歌を歌う時は悲しげな時が多かったので」
君子「あらそうだったかしら私…
あ…知らず知らずのうちに心配かけてたのね…ごめんなさい」
常子「いえいえ」(と君子の腕をさする)
君子「でもこれは違うの…うれしい時の鼻歌」
(2人)「フフフフフ」
君子「うれしくてね…懐かしくなったの(と仏壇の前に座り)
髪をといてあげて料理をしてみんなでにぎやかに笑い合って
…あと何回みんなでごはんを食べられるのかしら」
常子「…(辛い表情になりかける)もう…かか何をおっしゃってるんですか
そんなの数えだしたら切りがありませんよ」
君子「そうね(と常子に振り向き)今日はぐっすり眠れそうよ」
常子がうなずく
君子「おやすみ」
常子「おやすみなさい」
(2人)「フフフ」
立ち上がった常子が部屋を出て戸を閉める
と、部屋でまた君子が鼻歌を歌う
常子の歩みが止まる

美しい月

昭和三十九年十二月

<君子の病状は悪くなる一方でこのころには一日の大半を
床で過ごすようになっておりました>

編集部で働く綾(阿部純子)がどこか元気のない美子、水田、常子を見つめる

一家の大きな家
(ラジオ)♬「つたの絡まるチャペルで祈りを捧げた日~」
長卓でアイロンがけをしている鞠子
(子どもたちはそれぞれ勉強したり遊んだりしている)
と、玄関で常子と美子の「ただいま帰りました」という声がする
「え~早いわね…は~い!お帰りなさい!」
と玄関に向かい驚く鞠子「花山さん!」
花山(唐沢寿明)「やあ、しばらく」
子どもたちも「こんにちは!」と玄関に集まる
花山「こ~んにちは~」(と、なぜか幽霊のように挨拶する)
笑う常子「かかのお見舞いに来て下さったの」
鞠子「そうでしたか、お忙しいのにありがとうございます」
美子「さあどうぞどうぞ」
「ああ」と家に上がる花山

(つづく)

前回、なぜあんなにしょぼい砂時計の試験なんかやってるんだろうと思ったら
どうやら砂時計は君子の残りの命を暗示する演出という事らしい
今回の冒頭で君子がその記事を読んでいるのは
「砂時計は正確か」がそのまま君子の命が医師の告知通りに終わるのか…
に対応しているといったところだろうか?

ならば♬「明日があるさ~」は君子には逆に明日がない事の
♬「祈りを捧げた日~」は常子たちにはもう祈る事しかできない事の
暗示なのだろうか?

そこまでこじつけて考えるとラストの花山の幽霊のマネ(おそらくアドリブ)は
君子の死期が近い事を考えるとシャレになっていないと思えてくるw

2016年9月19日月曜日

とと姉ちゃん(145)常子が建てた大きな家で幸せに暮らす一族~しかし君子が病に倒れ…

<昭和33年、常子は美子を嫁に出し
とと姉ちゃんとして目標の一つをかなえました 
そして6年がたち昭和39年、東京オリンピックが目前に迫り
東海道新幹線の開通が世間をにぎわせたこの年
常子は次の目標をかなえました> 

洋式机の上に立てかけられた常子の3つの目標の短冊 
その横の携帯ラジオを手に取った常子(高畑充希)が
「ん~!」と大きく伸びをする 

台所に顔を出す常子「おはよう」 
エプロン姿の鞠子(相楽樹)と美子(杉咲花)「おはよう」 

<家族4人で戦争を乗り越えた思い出の土地を購入し
そこに新たに大きな家を建てたのです> 

門柱に「小橋」「水田」「南」の3つの表札が並んでいる 
庭でラジオ体操をする常子、水田(伊藤淳史)、南(上杉柊平)、
それに中学生になったたまきと小さな男の子と女の子 
(一同)「5、6、7、8、1、2、3、4…」 
せつと稲子が「おはようございます」とやってくる
(せつの手のザルにとうもろこし、稲子は回覧板を抱えている) 
(一同)「おはようございます」 
空を見上げる稲子「今日もいいお天気ねえ」 
常子(体操で腕を振りながら空を見て)「そうですね」 
せつ「今年もたくさん採れたから召し上がって」 
常子「あっ、すみません」(と受け取りに向かう) 
せつ「いいのいいの、ここ置いとくから」 
稲子「回覧板もよろしくね」 
常子「はい、分かりました」 
縁側にのぞむ部屋から笑顔の君子(木村多江)がそれを眺めている 
(せつと稲子)「失礼します」 
(一同)「ありがとうございます」 
稲子「元気よく~」 
腕を振る常子「元気よく!」 

タイトル、主題歌イン 

<小橋家はこの大きな家に9人で暮らす大家族になりました>

台所に続く居間の長卓で正座をして朝食をとる一同
たまき(13歳)「あら潤、ニンジン食べられるようになったの?」
水田潤(5歳)「うん」
水田「偉いぞ、たまき姉ちゃんはな
10歳までニンジンが食べられなかったからな」
たまき「今は好き嫌いないもん」
鞠子「そうよね」
潤「でもピーマン食べられないんだ」
南真由美(4歳)「私もピーマン嫌い」
美子「真由美はシイタケもトマトも嫌いでしょ?」
真由美「シイタケもトマトも嫌い」
(一同の笑い声)
水田「じゃあ潤がピーマン食べられるようになったら
おもちゃを買ってあげよう」
潤「本当!?」
水田「うん!」
南「じゃあ真由美が食べられるようになったら絵本を買ってあげようかな」
真由美「ほんとに?」
(鞠子と美子が同時に)「いけません」
弱り顔の水田と南(潤と真由美も顔をしかめる)
鞠子「駄目よ物で釣るなんて」
美子「そうよ、教育上よくありません」
(水田と南)「は~い…」(潤と真由美も)「は~い…」
水田「いかんな男親は…そんな発想しかできなくて…なあ?大昭君」
南「ええ…女性陣には頭が上がらないです」
水田「我々男は肩を寄せ合って生きていこう!」
南「ええ!」
水田「うん!」
君子「みんなにぎやかで毎日楽しいわ」
常子「そうですね」
君子「常子がこの家を建ててくれたおかげよ」
常子「フフフフフ」

<美子は結婚し出産をしたあとも編集者として仕事を続けていました>

あなたの暮し出版編集部
砂時計が落ちる時間をストップウォッチで計る美子「26秒もずれてるわ」
本木「26秒も?え~…ひどいもんですなあ」
島倉「美子さん、これいい企画ですよ」
笑顔の美子「後でまとめておきます」
水田「皆さん、74号も80万部を超えました!」
(一同)「お~」(と拍手が起こる)
美子のところにやってくる水田「夢が現実になるかもしれませんね…
100万部まであと少し…」
美子「私も今同じ事考えてました」
水田「えっ?ハハハ…」
綾(阿部純子)「美子さん、少しいいかしら」
美子「はい」
綾「確認お願いします」(と書類を提出する)
美子「拝見します」(と受け取り確認する)

<あなたの暮し出版女性を多く採用し
育児が一段落した綾も正社員として入社していました>

美子「分かりやすいですね、ご苦労さまです」(と書類を返す)

編集長室で花山(唐沢寿明)がカップの上にフィルターを立て
コーヒーを淹れている
常子「あの…」
「○×△…!」と手で制する花山
やっと淹れ終わりカップを手に席に着いた花山がコーヒーをすする
常子「あの…お話というのは?」
花山「ああ…提案なんだがね」
常子「はい」
花山「また何か書いてみないか?」
目を丸くする常子「私がですか?」
花山「驚く事じゃない、台所の連載も好評だったじゃないか」
常子「ですが今はもう社長の仕事だけで手いっぱいで…」
花山「君の文章にもファンがついている
常子さんの文章が読みたいといまだに手紙も届くじゃないか」
常子「ありがたい話です…」
花山「社員も増えて負担も少なくなってるだろう
そろそろ書いてもいいんじゃないか?」
逡巡する常子「…」
花山「ならば結構」
常子「いえ…あ…やりたいです…あの…あ…(と手帳を取り出し)
例えば…(とページをめくり)『子どもの好き嫌いをなくす料理』ですとか
『洗濯槽は汚れている?』ですとかそういった題材はいかがでしょう?」
大きく顔をしかめる花山「その辺りは常子さんじゃなくても書けるだろう
私が望むのは君にしか書けないものだよ」
常子「私にしか書けないもの…」
花山「まあ焦って今決めんでもいい…ゆっくり考えてくれれば」
常子「ええ」(と笑顔になる)
花山「あ~このところ会社に顔を出さんがお母さんは元気かい?」
常子「はい、おかげさまで今でも家の事をいろいろやってくれています
これまで苦労かけてきたのでこれからは恩返しをできればと思っています」
花山「うんそれがいい、存分にお母さんをいたわってあげなさい」
笑顔でうなずく常子「はい」

縁側で君子がのんびりとお茶を飲んでいる
目の前の庭では洗濯物を取り込む鞠子が
鼻歌で「明日があるさ」を歌い
七夕なのか鉢植えの木には色とりどりの短冊が吊るされている
(店が大繁盛しますように 大昭)
(ゆうぎかいでじょうずにおどれるよおに まゆみ)
(家族全員が幸せでありますように 鞠子)
(かけっこでいちば… じゅん)
(家族も社員もみんなが元気でいられますように 常子)
短冊を眺めていた君子が突然「あっ…」と腰のあたりを押さえる
苦痛の表情に変わる君子
異変に気付いた鞠子が「かか?大丈夫ですか?」と駆け寄る
君子「うん…平気よ…ちょっと痛かっただけ」
鞠子「少し横になられた方が…」
君子「ああ、いいのいいの…それよりあれ…どうなった?」
鞠子「あれって?」
君子「ほら、潤と真由美の衣装…お遊戯会来週でしょ?」
鞠子「そうなんですけど裁縫がちょっと…
だからよっちゃんに作ってもらおうかと思って」
君子「それなら…私にやらせてもらえないかしら」
鞠子「えっ?」
君子「美子も忙しいでしょう…それくらいできるわよ」
鞠子「…」
と、「一番!金メダル!」と潤が戻ってくる(たまきと真由美も続いて戻る)
たまき「潤、勝手に走んないでよ」
潤「銀と銅だよ」(と2人をそれぞれ指さす)
鞠子「お帰り」
(3人)「ただいま帰りました」
鞠子「お迎えありがとう」
たまき「ううん、帰り道だもん」
君子も立ち上がり庭に降りてくる「潤、真由美、おばあ様が
お遊戯会のお洋服作ってあげるわね」
「やった~」と真由美が飛び上がる
潤「シェー!」(とポーズをとる)
君子「ウフフフフ」
鞠子「カバン置いてきなさい」(と潤と真由美を家の中に促す)
たまき「おばあ様が作る事になったの?」
鞠子(君子に)「じゃあ…お願いします」
君子「ありがとう」
たまき「私も手伝っていいですか?」
君子「もちろんよ…フフフフ」

ミシンを操る君子の手元を真由美が真横からじっと見ている
卓で裁縫をするたまきの手元は潤がのぞき込んでいる
潤「怖くないの?針」
たまき「怖くないよ、潤くらいの年からやってたからね」
潤「すごいね」
それを君子が笑顔で聞いている
台所でジャガイモの皮をむく鞠子「潤、邪魔しちゃ駄目よ」
潤「はい」
子どもたちを見る穏やかな表情の君子

夜、お遊戯会の衣装を着た潤と真由美が振り付きで歌っている
♬「幸せなら手をたたこう 幸せなら手をたたこう 
(一同がそれに手拍子を合わせている)
幸せなら態度でしめそうよ ほらみんなで手をたたこう」
水田「アハハハ!2人ともうまいぞ」
常子「うん、上手」
潤と真由美「ありがとう」「まあね」
美子「それにしてもさすがかかとたまきよね
まり姉ちゃんだったら絶対こんなかわいい衣装作れないもの」
鞠子「悪かったわね」
南「お母さん、たまきちゃん、ありがとうございます」
君子「いえ、いいのよ」
水田「ありがとうございます(君子がうなずく)
いや~本当センスがいいよなぁ…(と衣装を眺め)
うん、ここのこれ…葉っぱのところが僕は好きですね」
鞠子「私はこのお花のところがお気に入り」
常子「うんそうよね、私も」
美子「うん私もここが好き」
南「うん俺も」
南を見る水田「裏切ったな…男同士協力していこうと誓い合っただろ?」
南「これはどっちでもいいじゃないですかぁ…」
「僕もここが好き!」と潤が花の部分を指さす
常子「ねえ」
水田「潤まで!」
(君子が腹のあたりを押さえる)
常子「かか?」
君子「平気平気…」
うずくまるような君子を心配する一同
水田「少し横になりましょう、大昭君布団を」
常子「たまきごめん、お水取ってきて…かか…」
「おばあちゃん!」

四日後

蝉の声が聞こえる病室(個室)のベットの上に横たわる君子

診察室で医師の説明を聞く3姉妹
常子「母の病状はそんなによくないんですか?」
医師「最善は尽くしますが…」
常子「…母はもう長くないという事ですか…」
医師「正確には申し上げられませんが
お母様もご家族の方にも悔いのないように
一日一日を大切に過ごして頂いた方がいいかと存じます」

<君子の体はがんに侵されていました>

病室の君子と3姉妹
(常子と鞠子は部屋の備品などを整え美子はリンゴの皮をむいている)
機嫌よく話す君子「新聞を買いに行った時
待合室にあなたの暮しを読んでる方がいらっしゃったの
アハハハ!ついついお声をかけて話し込んでしまったわ、フフフフフ」
美子「そう」
君子「…それで…何ておっしゃってたの?
吉永先生とお話ししたんでしょ?」
笑顔の常子「ええ、はい」
やはり笑顔の鞠子「それがね、具体的な事は特に」
美子「そう…ご挨拶くらいしか」(と微笑む)
君子「あなたたち…ちゃんと正直に教えてちょうだい」
常子「…お医者様は何の心配もないっておっしゃってました
これからきちんと治療すればきっと治るだろうって」
君子「……そう……だったら…退院したいわ…ここで一人はさみしくてね」
常子「…分かりました…お医者様に聞いておきますね」
君子「お願いね」
「はい」と口元に笑みを浮かべ答える常子

(つづく)

109話で常子と鞠子が東堂に土産で持っていった「たくさん届いた」という
とうもろこしはいったいどこから貰ったものなのか気になっていたのだが
もしかするとせつにお裾分けしてもらったものなのかもしれないね

南は男らしくてイケメンだったのにすっかり牙が抜けてしまったようだ
嫁の姉が建てた家に入ってしまったから仕方ないのだろうか…

砂時計の商品試験のなんとみみっちい事!
島倉の「これいい企画ですよ」は完全にヨイショだろw
あんなもの秒針つきの腕時計を持っていれば
店先で消費者でも確認できる事だろうに

祝!綾がいつのまにかやっと正式採用されたとの事!
ところが6つも年下で女学校では落ちこぼれだった
美子に評価される立場なのがなんだか哀しい
学校一の才媛だった綾なのに…
今回は秀才だった大卒の鞠子も美子に裁縫下手をからかわれていたが
このドラマの作り手は何か学歴に恨みでもあるのだろうか?

前回の次週予告に吉本実優が出ていたので
6年でたまきは随分と大きくなるんだと思っていたが勘違いだった
今週の木曜日からまた時間が飛ぶとのこと(吉本実優はそこから)

そしてたまきの「潤の年(5歳)くらいからやってた(針を)」が気になった
前回のたまきは6年前だから7歳
「お母さん、ポテトサラダお皿によそって」と甘え
シャボン玉で遊び大人たちの膝に抱かれていたたまきは
すでに針を持ち始めてから2年という事になってしまう…

君子が作ったお遊戯会の衣装はクオリティ高すぎw