2016年9月24日土曜日

とと姉ちゃん(150)子育てをする寿美子のような社員のために家庭と仕事を両立できる社内整備に悩む常子

たまきの最終試験から一週間後… 
玄関前で潤(14歳)が野球のバットを素振りしている 
が、なにやら通りの向こうを気にしている様子 
その潤が臨める和室で本(老いても愛す 五反田一郎)を
手にしたたまき(吉本実優)も落ち着かない様子だ 
真由美(13歳)がやってきてそんなたまきを見て微笑む 
家事の合間に通りかかった鞠子(相楽樹)もたまきを気にしているようだ 
と、表で「郵便です」と声がする 
潤が「姉ちゃん!来た来た来た来た」と叫んでたまきに封書を届ける 
(効果音:ベートーベンの「運命」♬ジャジャジャジャーン)
3人に見守られ封を開け恐る恐る中身を確認するたまき 
返却された履歴書の下部に「採用」の赤印 

編集長室でたまきの採用通知を見せられている常子(高畑充希)
花山(唐沢寿明)「ホッとしたかい?縁故入社などでは断じてないよ
あの環境の中でも自分を持ち率先して動けていた
料理の記事は分かりやすい言葉で書かれ
(常子がたまきの答案を確認している)
一般家庭で作る事が想定できていた
我が社でやっていくには大事な才能だよ」
やっと笑顔になりうなずく常子「ホッとしました…フフ」

タイトル、主題歌イン

昭和四十九年四月
仏壇に竹蔵と君子のそれぞれの写真
手を合わせているたまきと常子
「行ってきます」と囁いたたまきが常子に振り向く
「常子おばさん…行きましょう」
常子「…行きましょう、フフフ」

新入社員(男女2名)の文章を確認する男性社員
「う~んちょっと硬すぎるかな…
まあまずは俺が見せて雰囲気よくするから大丈夫、心配いらない」
と3人で花山のデスクに向かい男性社員「失礼します確認お願いします」
と、「すみません、通ります!通ります!」と慌てて駆け込んでくるたまき
水田(伊藤淳史)、美子(杉咲花)、常子もたまきが気になる様子
机で何かを探しているたまきに寿美子(趣里)
「炊飯器の試験中じゃなかった?」
たまき「3年前の試験からどのくらい安全性が高まったのか
比較した方がいいと思って資料を作ったのですが…」
寿美子「無くしたら大変って保管棚にしまってなかった?」
たまき「あっ、そうでした!ありがとうございます!(と駆け出し)
すみません失礼します!通ります!失礼します」
そんなたまきに笑顔の常子
と今度は花山の怒鳴り声が聞こえる「バカ者!何だこの原稿は?
取材をしていないだろう!2年目でもまだ学生気分が抜けきらんか!」
男性社員「申し訳ありません!」
立ち上がる花山「新入社員の手本とならんでどうする!やり直し!」
男性社員「はい」
花山はそのまま編集長室に向かう
男性社員「すまないね…君たちの文章を見てもらう前に」
新入社員・女「いえ、私書き直してきます」
男性社員「えっ?」
新入社員・男「僕も」
男性社員「えっ?」
新入社員の2人は男性社員を残し去っていく
美子「早速花山さんに圧倒されたようね」
常子「ねえ…あ…私も見て頂かないと(と原稿を手にして)
学生気分が抜けてるといいけど」(と笑う)
美子「何年前の話よ」

編集長室のドアをノックする常子「常子です」
中から「どうぞ」と声がする
「失礼します」とドアを開け原稿に目を落としながら中に入る常子
「あの…『小さなしあわせ』の確認…」
と、ベッドに横たわっている花山を見て「失礼しました」と戻りかける
花山「ああ…いいんだいいんだ…机の上に置いといてくれ」
「はい…」と部屋に入り奥の机に向かう常子
花山「駄目だな…ちょっと怒鳴ったぐらいで疲れるようじゃ」
常子「いえ、少しでも異変を感じたらすぐにここでお休みになって下さい」
花山「ここでねえ…鬼社長は家に帰してくれんからな」
笑う常子「倒れた次の日から働こうとしたのはどこのどなたです?
だからここにベッドを置いたんじゃありませんか
心筋梗塞がいつまた起こるか…」
花山「もう心配ない、あれから5年だ
それに最近は体に障らないよう感情を抑えるようにしている」
常子「あれ?さっき怒鳴ってらしたような…」
「フフフフ」と笑った花山が身を起こし常子がそれに手を貸す
花山「今年はそんな場面は少なくて済みそうだよ
今年の新入社員は優秀だねぇ…特に女の子が元気だ」
常子「私もそう思います」
花山「私は常子さんと出会うまで男としか仕事をしてこなかった
それがいざこうして女性たちと同じ職場で働いてみると
柔軟な考えや粘り強さに驚かされる事ばかりだ」
常子「フフフ」
花山「そんな女性を家庭に閉じ込めておいてはもったいない
もっと女性が活躍できる世の中になるべきだよ」
常子「そうですね」

編集部に戻り元気に働く女性社員たちを眺める常子
『女の人を手助けできればと…』と会社を起こした頃の事を思い出す
そんな常子を寿美子が訳あり顔で見つめている
常子が席に着くと寿美子が進み出て「あの…常子さん」
常子「はいはい」
寿美子「実は…会社を辞めさせて頂きたいんです」
常子「…!?」

別室の2人
寿美子「以前から考えてはいたんですが
やはり家庭との両立が難しくて…
確かにうちは子育てをしながら働く女性も何人かいますし
よそに比べたらとても働きやすい環境です
でも私が遅く出社したり早く上がる事で
皆さんにしわ寄せが行くのを感じます
新入社員も入りましたしどこかいい時期に私は…」
常子「どうしても…続けて頂けないかしら?」
寿美子「すみません…皆さんにご迷惑をかけたくないので(と立ち上がり)
迎えがあるので今日もお先に失礼します…すみません」(と部屋を出ていく)
掛ける言葉もなく見送るだけの常子

常子のメモ帳
あなたの暮しの取り組み
「働く機会を充実させる」
本人の希望する就業時間を重視
出産、育児の一定期間休職し再雇用をする
(効果は大きいが育児をしながら働く人の助けになるには不十分)
家庭と仕事を両立できる取り組み

居間の長卓で頬杖をつきメモ帳を見つめる常子「どうしたもんじゃろのぉ…」
「とと姉」と鞠子が果物(いちごとオレンジ)を前に置く
常子「あっ、ありがとう」
鞠子「お仕事大変ね」
常子「うん…」
美子「あら…懐かしいもの引っ張り出して」
たまきと水田がソファーであなたの暮しのバックナンバーを見ている
南(上杉柊平)「たまきちゃん仕事の方はどう?慣れた?」
たまき「それが全く…ついていくだけでもう…
皆さんすごいんですよ、テキパキテキパキ」
鞠子「花山さんも想像以上だったでしょ」
たまき「うん、厳しさも想像以上だけど何より発想力とか洞察力とか
どうやったらこんな原稿が書けるんだろうなあ…」
(と直線裁ちの記事を読んでいる)
美子「しかも文字数もぴったりだからね」
南「ぴったり?」
鞠子「ああ、そうそう…花山さんの原稿はいつも初稿から必ず
行数ぴったりに仕上げてきて最後の1行までぴったり埋まってるのよ」
南「へえ~」
鞠子「今でもそうなのね…」
美子「会社の雰囲気とかは?想像とは違ってた?」
たまき「ううん、思ったとおり女性が働きやすい会社でした
友達の入った会社は男性に『これだから女は…』って言われたり
お茶くみばかりさせられたり
その点うちの会社は男と女の別なく実力主義で仕事をさせてもらえるから
本当に幸せな職場だと思います(それを聞いて常子も微笑む)ただ…」
水田「ただ?」
たまき「寿美子さんのように育児をしながら働くのは大変そうで…」
美子「うちみたいなのが特殊なのよね
ほらうちはまり姉ちゃんとかかが家事も育児もしてくれたじゃない?」
南「そうだよな」
美子「だから私は仕事しながら子どももなんてできたのよ」
鞠子「いえいえ」(と首を振る)
水田「時代が変わって今は大家族で暮らしてる家なんて少ないからね
寿美子さんちみたいに旦那と子どもだけの家庭じゃそりゃあ大変だよな」
家族の話を聞いて思案顔の常子

編集部のデスクでも考え込んでいる常子
寿美子やたまきの言葉を思い出し何かを思い立ったように立ち上がる

編集長室で絵筆を持つ花山
「失礼します」と常子が入ってくる
花山が筆を置く
机の前に立つ常子「実は昨日寿美子さんから
会社を辞めたいとのお話がありました
やはり家庭との両立は難しいみたいで」
花山「残念だな…有能な編集者だっただけに」
常子「ええ…それで考えたのですが
社内の仕組みを変えたいと思っています…
もちろんそれで寿美子さんが残って下さるかは分かりません
ですが今後ますます核家族が増え
寿美子さんのような方は増えると思うんです」
花山「ああ」
常子「女性の役に立ちたいと創刊したあなたの暮しですから
女性が働きにくい今の社会に一石を投じるような
社内環境の整備をするべきではないかと考えました
我が社が率先してそのような姿勢を見せれば
他の会社も変わるかもしれません
そうすればより多くの働く女性たちの力になれるのではないかと思ったんです」
花山「随分な意気込みようだな
鼻の穴が広がっているよ」
笑い出す常子「もう…ちゃんと聞いて下さい」
花山「ハハ…それで具体的に何をする?」
常子「それは次の会議で皆さんと一緒に」
花山「自信がありそうだね」
常子「はい…では失礼します」(と退室していく)
微笑んで常子を見送った花山が立ち上がりかけ顔をしかめる
と、ガクンと腰が落ち胸のあたりを押さえ「うっ…くっ…」と呻く花山

(つづく)

なるほど、採用の決定権は編集長の花山にあるという設定なんだね
それにしても採用通知をわざわざ郵便で送らんでもw

おそらく初出社の日、人生の節目の朝には仏壇に手を合わせるシーンから
入るのも常子と同じでさすが後継者と思われるたまき
服の色も常子のイメージカラーの青だった

会社で資料を無くして走り回っているのも
常子と同じでおっちょこちょいなところもあるという描写だろうか

花山が「今年の新入社員は優秀だ(特に女の子)」と言っていたのも
たまきが後継者になる事の伏線なのかな?

それにしても新入社員に先輩風を吹かしていたが
花山に罵倒されてしまった男性社員がかわいそう
もうあの新入社員の2人に一生なめられるよねw

寿美子もあんな人が大勢いる場所でいきなり会社辞めたいとか言うなよ
常子も焦ったと思うぞw

花山の「鼻の穴が広がっているよ」は脚本だろうか?
まさか唐沢でもこんなシーンでアドリブはしないと思うのだが…
どちらにしても高畑の演技のクセをからかっているようで笑えた

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