2016年9月17日土曜日

とと姉ちゃん(144)「どうしたもんじゃろのぉ」があるから人生は楽しい?

水田(伊藤淳史)を指さす鉄郎(向井理)
「お前…ん?お前…どっかで見た気が…」 
水田「えっ…ああ…」 
常子(高畑充希)「水田さんです、叔父さん闇市で会ってるはずですよ」 
鉄郎「ああ…ああ…ああ!(と思い出した様子)
えっ…だからって何でその男がここでくつろいでるんだ?」 
美子(杉咲花)「まり姉ちゃんの旦那さんだから」 
鉄郎「(グワッ)…何…?」 
水田(満面の笑みで)「あっ、そうなんです」 
立ち上がった鉄郎が「あ…あ…お前あれか?」と水田の肩をつかみ
「すげえ金持ちなのか?」 
水田「いやいや特には…」 
鉄郎「おいおい…金持ちでないならこんなやつのどこがいいんだよ」
鞠子(相楽樹)「すてきなところがいっぱいあるんです」 
鉄郎「いやだけどよ…えっ…そうなると…さっきから視界に入ってくる
この子はひょっとして(と水田の膝の上のたまきを見て)鞠子の…?」 
鞠子「そうよ」(とたまきを促す) 
たまき「初めまして、水田たまきです」 
鉄郎「はぁ~そうかぁ…おじさんはね、お母さんの叔父さんだから…
えっ?…つまりその…うん…鉄郎おじさんと呼んでくれ」 
たまき「はい、鉄郎おじさん」 
鉄郎「あ~いい子いい子」(とたまきの頭を撫でる)
南(上杉柊平)「俺もご挨拶を」 
鉄郎「ん?あんたは?」 
南「今度、美子さんと結婚させて頂きます南大昭です」 
鉄郎「えっ…美子も結婚すんのか?」 
美子「フフフ…そうなの」 
鉄郎「そうか~美子もなあ…」 
君子(木村多江)「鉄郎さん、ちょうどいいところに来てくれたわ」 
鉄郎「何が?」 
常子「今ちょうどよっちゃんと南さんのお祝いをしてたところだったんです」
鉄郎「バカ野郎お前…だったら先に言えよ(と立ち上がり)
祝いの品がねえじゃねえか、買ってくる」(と背中を向けて玄関に向かう) 
(一同)「えっ?」 
常子「叔父さん?」 
鉄郎が出ていってしまい一同の視線が幸子(岩崎ひろみ)に集まる

タイトル、主題歌イン 

幸子「すみません…あの人思い立ったら人の話を聞かないもので…」
一同がうなずき
君子「ええ、知ってます…フフフフフ」
幸子「そうですよね」(と笑う)
鞠子「叔父さん農業やってるって本当なんですか?」
幸子「ええ…うちの実家を継いでくれたんです
半分売って半分自分たちで食べていくような小さな農家なんですけど」
美子「叔父さんとご一緒じゃご苦労されるでしょう」
幸子「そんなとんでもない…私感謝しっ放しなんです
さっき鉄郎さんハタハタ漁で失敗したって…」
常子「ええ」
幸子「失敗したのうちの兄なんです
鉄郎さんは手伝っていただけです
うちの兄の失敗でうちは多額の借金を抱えて
家も土地も取られそうになりました
その時に助けてくれたの鉄郎さんなんです
失敗したのは自分にも責任があるって言って借金取りと掛け合ってくれて
その上うちの田んぼまで手伝ってくれて
おかげで借金も返す事ができたんです」
鞠子「あの叔父さんが…」

ちゃぶ台に「よいしょ」と一升瓶を3つ置く鉄郎
常子「こんなに?」
鞠子「お酒ばかりじゃない」
鉄郎「まずは美子の結婚だろ?
それに鞠子の結婚と出産も祝ってやらねえといけねえからな」
美子「そう言ってもらえるのはうれしいけど…」
鞠子「私の結婚と出産ってだいぶ前よ」
鉄郎「ガタガタ言ってねえでみんなで祝おうじゃねえか
なあ?お前ら」(と南の肩をたたく)
南「俺お酒あんまり強くないんですが…」
水田「僕も…」
鉄郎「さあ始めようぜ、はい注いだ注いだほらほらほら」
一同のグラスに酒が注がれ常子「では改めて…」
鉄郎「おう待った待った!まずは俺の挨拶が先だ」
常子「挨拶?」
グラスを手に立ち上がる鉄郎「え~美子それに…」
南「南です」
鉄郎「南…南君…ご結婚おめでとう」
(2人)「ありがとうございます」
鉄郎「うん…あ…それからついでに鞠子も結婚出産おめでとう
(鞠子が鉄郎を睨んでいる)常子も姉さんもうれしいだろ」
常子「はい」
君子「ええ」
鉄郎「だよな…兄貴にもお前らの事見せてやりたかったなあ
はぁ~思い出しちまうなあ(一同が仏壇の竹蔵の写真を見る)
美子が生まれた頃『みんな女じゃ嫁に行ってさみしいだろう』って話したら
兄貴のやつ『そんな事ない』ってよ
きっとみんな姉さんに似てきれいなお嫁さんになるだろうって
誇らしげにしてた
なんとか…見せてやりたかったなぁ…
…おっとおっと…しめっぽくなる前に乾杯だ、おいグラス持て
では…乾杯」
(一同)「乾杯」
幸子「おめでとうございます」
美子「ありがとうございます」
鉄郎「ではしばしご歓談を」(と席に着く)
鞠子「しゃべりたいだけしゃべって…」
たまき「お母さん、ポテトサラダお皿によそって」
鞠子「はいはい」
美子「うん、おいしい!」
常子「アハハ!ほれたのも分かるわ」
美子「そうでしょう?」
飲んで食べる一同

台所で君子が椀に汁をよそっている
鉄郎がやってきて「姉さん梅干しもらうよ」
君子「ええ」
壺の蓋を開け梅干しを口に入れ鉄郎「あれからいろいろあったんだろ?」
君子「ええ…でも鉄郎さんもでしょ?」
鉄郎「えっ?」
君子「さっき幸子さんから少し」
鉄郎「何だよ…おしゃべりだな…まあよ…兄貴が死んでから俺なりに
姉さんや常子たちの事なんとかしようとは思ってたんだ
パ~ッと成功してさ、金作って楽にしてやろうと思ってたんだけど
結局何もできなかったなあ…
それどころかむしろいろいろ迷惑かけちまって…
すまなかったな…姉さん」
君子「そんなぁ…」
鉄郎「俺が持ってきた米食ってくれよ
昔俺がほら食っちまった事あっただろ?
あれの罪滅ぼしっつうか…」
君子「アハハハハ!そんな昔の事…アハハ
迷惑だなんて思った事もありませんよ
それに鉄郎さんがいてくれたおかげで心強かった事もありましたし」
鉄郎「そうかい?」
君子「ええ」
小さくうなずいて酒をあおった鉄郎が居間に向かい「おいおい水田に南
お前らちっとも飲んでねえじゃねえか
鉄郎おじさんの酒は飲めねえってのか?え?」
(2人)「いやいやいや」
水田「そんな事は…」(鉄郎が2人に飲ませようとする)
たまき「無理しないで」
台所に立つ常子「かか、叔父さん止めた方がいいですよね?
水田さんも南さんもあんまりお酒飲めないって…」
君子「フフフ、まあ好きにさせてあげましょう
みんなに会えてよっぽどうれしいのよ」
機嫌よく飲んでいる鉄郎を見て微笑む常子

たまきが庭でシャボン玉を吹いている「見て、きれい!」
そのシャボンを鉄郎が扇子で扇ぎ空に舞い上げる
(一同は居間で歓談しているが南はダウンして横になっている)
常子がやってきて縁側で鉄郎に「スタアの装ひ第二號」を見せる
鉄郎「お~2号まで出てたんだなあ」
常子「それがあるから今があるんです」
鉄郎「…よかったじゃねえか…夢がかなって」
常子「はい」
鉄郎「まあ…うまくいったらいったで大変か」
常子「そうですね…結局悩みは尽きません
思わぬ悩みが次から次へと湧いてきます」
鉄郎「みんなそうだよ…悩みのない人間なんかいねえよ」
常子「叔父さんも?」
鉄郎「当ったりめえよ、俺だって成功して大金つかんだ事もあるけどよ
悩みがなくなった事なんかねえよ
いつだって『ああ…これからどうしたもんじゃろのぉ』って」
常子「フフフ」
鉄郎「だけどよ、その『どうしたもんじゃろのぉ』があるから
人生は楽しいんじゃねえか?」
常子「そうかもしれませんね」
鉄郎「ああ…きっとそうだ」
「フフフ」と笑ったたまきが鉄郎に向かってシャボンを吹きかける
鉄郎「お~」
常子「おっ」
空に舞い上がるシャボンを穏やかな笑顔で見つめる常子

夕刻、一同が玄関に出てくる
君子「せっかくなんですから泊まっていけばいいのに…」
鉄郎「いやいや…農家ってのは休みはねえんだよ
今だって畑や田んぼがどうなってんのか気が気じゃねえし
離れていても雑誌は読めんだ
お前らの事はず~っと見守ってやるからな」
鉄郎を見つめる3姉妹と君子
鉄郎(幸子に)「じゃあ行くか」
幸子「はい」
鉄郎「達者でな…あばよ」(と背中を向けて歩き出す
幸子がお辞儀をしてそれに続く)
お辞儀をする一同
一同が顔を上げたまきが叫ぶ「鉄郎おじさ~ん!またね!」
振り返る鉄郎「おう、またな」(と手を振る)
たまきも「アハハ!」と手を振る
そして去っていく鉄郎を見送る常子

部屋で3つの目標の一つ(鞠子美子を嫁に出す)を手に微笑む常子

<6年が過ぎ昭和39年
東京オリンピックが目前に迫り秋には東海道新幹線が開通とあって
それらのニュースが連日テレビや紙面をにぎわせている中…
あなたの暮しは更に読者を増やし発行部数75万部を突破しておりました>

昭和三十九年四月

編集部で怒鳴る花山(唐沢寿明)「何度言ったら分かるんだ!やり直し!」
木立「いやあのでも…」
花山「でも~!?でもでもでも…でも~!」
木立「すみません、やり直します!」
美子と水田が顔を見合わせて笑っている
「常子さん、これお願いします」
「はぁい」と元気に働いている常子

(つづく)

ここのところ商品試験の熱くて理屈っぽい話が続いていたので
なんだか久しぶりにまったりとしたいい回だった

冒頭で鉄郎に水田をけなされたせいもあるのかもしれないが
鞠子が鉄郎に厳しいのは相変わらずで懐かしかった

タイトル前、一同が幸子に注目するシーンの常子の目w
あの目はどう表現していいのかわからないがとにかく
何でそんな目で幸子を見るんだw
まあ高畑の演技力は普通じゃないという事なのだろう

鉄郎の最後の「またな」は予告にも使われていて
このセリフの喋りが爺くさいので
鉄郎は老いぼれているんだと思っていたのだが
今回の鉄郎は全然若々しかった
君子(木村)もここのところ老け演技だったのだが
今回は鉄郎(向井)に合わせたのか若々しく見えた

老け演技といえば感心するのは常子(高畑)だ
常子は本当におばちゃんに見えるw
もともと年齢を超越しているような体型と声の持ち主だからなのだろうか?

鉄郎は思い出話をいっぱいして君子に謝罪もして
人生を総括するような言動だったのでおそらくこれが最後で
物語にはもう登場しないのだろう
思えば鉄郎はフラフラと生きてきたようだが
最後には自分の場所を見つけたんだね
向井さんお疲れ様でした!(まだ出番があったらごめんなさい)

来週は6年飛んで昭和39年のお話との事
常子は44歳くらいの計算になる
予告ではたまきが6年ですごく大きくなっていたw

それと宗吉夫婦も南に店を譲ったからもう登場しないのかもしれない
(高崎の富江のところに行くとか言ってたね)
前回冒頭のタイトル前に客が入ってきて宗吉が応対するシーン
タイトル前にあんな特に意味のないシーンが入る事はなかったので
「あれっ?」って思ったんだけど
あれには宗吉夫婦の最後のシーンなのだという意味があったのかもしれない

2016年9月16日金曜日

とと姉ちゃん(143)南が美子にプロポーズ~2人を祝う宴には珍客が…

南(上杉柊平)「行こう」 
美子(杉咲花)「うん…じゃあまた」 
宗吉(ピエール瀧)「おう」 
照代(平岩紙)「はいはい」 
2人が店を出ていき宗吉がため息をつく 
照代「継いでくれるかしらね」 
宗吉「俺らの思いは伝えたよ…あとはあいつ次第だ…
人生何があるか分かんねえもんだな」 
照代「ええ」 
戸が開き客がやってくる「大将!」 
2人「いらっしゃい」 
客「やってる?」 
笑顔の宗吉「へい」 

タイトル、主題歌イン 

道を歩く2人
美子「どこ行こうか?映画にする?」
南「ああ…」
美子「それかどこかでおしゃべりするだけでもいいけど」
南「なあ美子」
美子「うん?」
南「俺のためにおみおつけを作ってくれないかな?」(と立ち止まる)
美子「いいけど…私が作るより大昭さんが作った方がおいしいと思うわ」
南「そういう事じゃねえんだ」
美子「えっ?」
南「だから…おみおつけを作ってくれっていうのはその…
毎日俺のために作ってくれって事で…」
美子「それって…」
南「結婚しよう」
南の顔を見つめたままの美子が小さくうなずく 

夜、小橋家
ちゃぶ台の向こうに座る南と美子
南「お母さん…常子さん…美子さんを僕に下さい」
南と美子が頭を下げる
顔を見合わせた常子(高畑充希)と君子(木村多江)が
南たちと同じく座布団をはずし
常子「ふつつかな妹ですがよろしくお願い致します」
君子「よろしくお願い致します」
顔を上げる南と美子
南「よろしくお願い致します」(と2人でもう一度頭を下げる)
笑顔の常子「おめでとうよっちゃん」
君子「おめでとう美子、南さん」
美子「ありがとうかか…とと姉ちゃん」
南「ありがとうございます」
見つめ合い幸せそうに笑う美子と南

<次の休日、2人を祝うためのささやかな宴が開かれました>

小橋家
水田(伊藤淳史)が庭でタライの水にスイカを入れて冷やしている
ちゃぶ台の上には卵焼き、煮物、ロールキャベツ、コロッケ、エビフライなどの
料理が並ぶ
たまき「わぁ~」
鞠子(相楽樹)「たまき駄目よ、まだ食べちゃ」
たまき「分かってます、みんなで一緒に『頂きます』するんでしょ?」
部屋に戻ってきた水田「偉いねえたまきは」
たまき「アハハハハ!」
鞠子「でも本当によかったの?披露宴やらないで」
美子「うん、大昭さんと話し合って…
これからお店の家賃とか経営とかいろいろお金がかかるからためとこうって」
君子「あんなに自分が結婚する時は派手な式にしたいって言ってたのに」
美子「何だか今更派手なのも恥ずかしいわ」
常子「2人がそれでいいならいいけど」
水田「そうそう、2人がおつきあいするきっかけって何だったんですか?」
美子「きっかけは…ポテトサラダ」
水田「ポテトサラダ?」
美子「森田屋さんには何度も行ってて
で、大昭さんの事も知ってたんですけど話した事はなくて…
その日私お腹が空いてて取材終わりにごはんを頂いたんです
そのごはんの付け合わせにあったポテトサラダが今までにないくらいおいしくて
感動して宗吉さんに聞いたら大昭さんが作ったって」
南「付け合わせは作らせてもらってたんです」
美子「その時大昭さんと初めて話したんです
私がポテトサラダおいしかったって言ったら大昭さん
『研究のかいがあった』ってうれしそうにしてて
何かそういう料理の腕にもほれたけど…フフフ…」
君子「付け合わせとはいえ熱心に研究してる姿に惹かれたって訳ね」
美子「そうはっきり言われると恥ずかしいけど…」
水田「南さんは美子さんのどこに?」
南「俺はただ…美子が料理を食べている時の顔が幸せそうで…いいなあって…」
笑う一同
水田「く~っ…やけるねえ!」
常子「熱い!フフフ」
君子「ごちそうさま」
たまき「たまきもお料理が上手な人と結婚したい」
鞠子「うん」(とたまきの髪をなでる)
水田(低い声でたまきに)「まだ早いよ結婚なんて」
鞠子「当たり前よ!何むきになってるの?」
水田「あっ、ご…ごめん!つい…」
笑う常子「水田さん顔が怖かったです」

仏壇にも料理が供えられている
常子「南さん、よっちゃん、おめでとうございます…乾杯!」
(一同)「乾杯!」
拍手が起こり祝福される南と美子
常子「では頂きますか?…頂きます」
(一同)「頂きます」
食事を始める一同
水田「それで住まいはどうするんですか?」
美子「2人で団地を借りたんです」
水田「団地か」
鞠子「じゃあこの家はかかととと姉の2人っきりになるのね?」
常子と君子がうなずく
顔を見合わせる水田と鞠子
水田が箸を置き「あの…以前常子さん言ってましたよね?」
常子「えっ?」
水田「いやあの…いずれ大きな家を建てたいって」
常子「ああ、はい」(と笑ってうなずく)
水田「その日が来たらその家に
僕たち家族も一緒に住まわせてもらえませんか?」(鞠子もうなずく)
常子「えっ?」
水田「鞠子ずっと言ってたんです…お母さんが心配だって
常子さんもお仕事で家を空ける事もありますからその間一緒にいられればと」
君子「そんな気を遣わないで私に」
水田「あっ、いえいえあの…僕としても仕事で遅くなってたまきと鞠子が
家で2人でいるよりお母さんと一緒にいて頂いた方が安心ですし」
君子「ありがとう」
常子「ありがとうございます…そんなふうにおっしゃって頂いて」
水田「じゃあ…いずれは一緒に?」
常子「ええ…こちらこそ是非よろしくお願い致します」
水田「ありがとうございます」
鞠子「ありがとうとと姉、かか」
美子と南がうなずき合い
南「俺たちもいいですか?」
常子「えっ?」
南「美子とお義兄さんが言ってたような事話してたんです」
美子「うん」
常子「だけどいいの?2人きりでいたいと思うかもしれないわよ」
美子「いいのいいの、そうなったらその時に決めればいいんだし
(と南を見て)ねっ?」
南「うん」
君子「何だか夢みたいな話ね」
常子「そうですね…でもそうなったら楽しいでしょうね…フフフ」
美子(常子を見て)「まずは大きいおうちね」
皆が笑う
鞠子「そうそう、とと姉お願いしますよ」
(一同)「お願いします」
常子「承りました…働き続ける頑張る」
と、玄関で「ごめんくださ~い」と声がする
「あっ、私が」と常子が玄関に向かう
「はい」と玄関の戸を開けそこに立っている男の顔を見て叫ぶ常子「あぁ~!」
鉄郎(向井理)「おう、久しぶりだなあ」
常子「え~!」
玄関に集まった君子鞠子美子が鉄郎を見て口を開けて驚く
美子「うそ…」
まだ驚いている常子「ええっ…」
鉄郎「何だよ冷てえなあ…久しぶりに会った叔父さんだぞ
もっと温か~く出迎えられないもんかねえ」
常子「いやだって…ず…ずっと音信不通で
こんなふうに突然現れたらみんなこうなりますよ」
鞠子「もう…心配してたんですよ!」
美子「今までどこにいたの?」
鉄郎「まあまあまあまあ…んな事よりよお前らびっくりさせてやる
(と外に向かって)あ~こっちこっちこっち」
するとひとりの女性が玄関に入ってきて鉄郎の横に並ぶ
鉄郎「嫁の幸子だ」
絶句する常子
(一同)「えっ…」
鞠子「奥さん…?」
幸子(岩崎ひろみ)「初めまして、小橋幸子です」
君子「初めまして…(鉄郎に)いつ結婚なさったの?」
鉄郎「もう7年も前かなあ」
幸子「ええ」
君子「あ~そうだったの」
美子「叔父さんが結婚…」
鉄郎「何だよ、そんな驚く事でもねえだろ…いいから上げてくれよ
長旅で疲れちまったよ…ほら上がろうぜ」(と玄関を上がる)
幸子「はい、お邪魔致します」(と後に続く)

「よいしょ」と鉄郎がちゃぶ台の前に腰を下ろす
「すみません、お邪魔致します」と幸子がその隣に座る
鉄郎「これ土産な(と米袋を見せ)…ってもう飯食ってんのか
一同も席に着く(水田と南は後ろに控えて座る)
常子「そんな事より聞きたい事がいろいろと…」
鉄郎「ああ…この米か、うちの田んぼで作ったんだ…盗んだんじゃねえぞ」
常子「うちの田んぼ?」
美子「叔父さん農家なの?」
鉄郎「おう、新潟の魚沼ってとこでな」
君子「新潟なら…」
鞠子「私が結婚する時も新潟の住所に招待状を送ったわ」
鉄郎「お~鞠子も結婚したのかぁ~おめでとう」
鞠子「ありがとう…(とノリツッコミ風に)いやいいから
どうして返事くれなかったのよ」
鉄郎「何年前の話だよ?」
鞠子「8年前」
鉄郎「あ~…だったら無理だな…(幸子がうなずく)
その頃はハタハタ漁で失敗してそれどころじゃなかったからなあ…うん」
君子「相変わらずだったのね」
常子「でもだからって10年以上音信不通にしなくたって…」
美子「そうよ、清さんだって戦後落ち着いてから手紙くれるようになって
今では年賀状も…」
鉄郎「だったら俺も言わせてもらうけどな
こっちだってお前らの事気になってたんだぞ
あんなに張り切って雑誌を出すだの言ったのに全然本屋で見かけねえしな」
常子「…何をおっしゃってるんですか?」
美子「雑誌はずっと出してましたけど」
鉄郎「俺が待ってたのは『スタアの装ひ』だよ
この前新聞に常子が出るまでまるで気付かなかったんだからな」
常子「ああ…あの新聞見て来て下さったんですか」
うなずく鉄郎「まあみんな元気そうで何よりだ」(と君子と3姉妹を眺める)

<いやはやどうなるのでしょう…美子と南を祝う会は…>

混乱した表情で鉄郎を見つめる常子

(つづく)

美子の「何だか今更派手なのも…」の今更とはどういう意味だろう?
当時としては30過ぎての初婚は晩婚だっただろうから今更なのだろうか…
それとも付き合いが長いから…とかって事なのかな?

美子と鞠子に冗談っぽく大きい家をせがまれて
「働き続ける頑張る」と自虐っぽく返す常子がなんだか可哀想…
水田も「一緒に住まわせてもらえませんか?」じゃなくて
自分もお金を出しますから一緒に建てましょう…とか言えばいいのに
それとも水田は会社の経理を任されているから
常子ががっつり貯め込んでいる事を知っているのだろうかw
まあ実際は家を建てる事は常子が立てた3つの目標のうちのひとつだから
物語的には常子ひとりの力で建てなければいけないという事なのだろう

やっと鉄郎が登場した、随分と久しぶり
幸子を嫁だと紹介された時の君子の驚いた顔が何回観ても笑える
マンガだったら頭の上に「ガーン!」てつく感じにアゴが下に下がってるw

清の話題が出てビックリ
戦争で死んじゃった訳じゃなかったんだ!良かったぁ

2016年9月15日木曜日

とと姉ちゃん(142)アカバネの部品偽装を暴く花山~宗吉夫婦は南に森田屋を…

赤羽根(古田新太)「欲しいものを安く買いたいと願うのは
当たり前の事だろうが!ええっ!(と花山に詰め寄り)
あれこれ欲しいと思うのは消費者だ、どれを買うか決めるのも消費者だ、
我々はお望みどおり商品を提供してやってるんだ 
我々の責任は商品を作り上げた時点で終わってるんだよ!
安くて何が悪い
安いものにはそれなりに理由があってそれでも欲しがる人間がいる
後は買った人間の責任だろう!」
花山(唐沢寿明)「安かろうがメーカーが絶対に守らねばならないのは
消費者の安全だ!
あなた方はその視点が全く抜け落ちている!
消費者は日々のやりくりの中で積み立てたなけなしの金を使うんだよ
あなた方には責任を持って商品を作って頂きたい!」
赤羽根「弱小出版社ごときが偉そうに…
今は物を買えば幸せになれる世の中なんだ
国民は貧しさと戦争を耐え抜いた
金を得て豊かになれば皆幸せになれる世の中なんだ!
どこが悪い
私だけじゃない(と一同に向き直り)
今のこの世の中そう思っている人間ばかりだ!
そうやって全国民が幸せになろうと躍起になっている
(再び花山に向かい)それをなぜお前らが邪魔するんだ!」
常子(高畑充希)「お金を得て豊かになりたいと私も思います
でも…そのためにささやかな幸せを犠牲にしたくないだけなんです」
赤羽根「ささやかな幸せだ?」
常子「私たちは読者の方々からたくさんのお葉書を頂きます
その中の一つに家に冷蔵庫が来て大喜びする子どもの事が書いてありました
その子は家でいつでも冷たいジュースが飲めると
前の晩から眠れなかったそうで
だけどその冷蔵庫が不良品で壊れたとしたら
そのせいで怪我をしたとしたら
高いお金を出して冷蔵庫を手に入れたのに
そのせいでささやかな幸せが奪われてしまうんです」
(一同が沈黙する少しの間)
花山「一つ赤羽根さんに確認したい事がある」
赤羽根「は?確認だ?」
花山「アカバネの洗濯機を調べ直していた中で発覚したんですがね…」

台の上に液体の入ったシャーレが置かれている
花山「この液体は剥離剤です(とコンセントプラグを手に取り)
そしてこれはお宅の洗濯機のプラグです
注目して頂きたいのは…(とプラグを分解してネジを取り出し)
中に使われているネジです」(とネジを一同に見せる)
酒井(矢野聖人)が村山(野間口徹)を見る(村山は目線が下を向いている)
赤羽根「それがどうした?」
花山が液体の中にネジを落とす
ネジに注目する一同
と、ネジから金色の粉が剥がれていき…
「何だ?」
「メッキじゃないですか?」
「そうだ、鉄にメッキしてあるんだ」
花山「そう…どうやらアカバネでは
鉄ネジをメッキで真鍮に見せかけていたんです」
赤羽根「…」
国実(石丸幹二)が赤羽根の表情を注意深く観察する
花山「これは大問題ですよ…鉄はさびやすい
さびた鉄では電気抵抗が高くなりネジやプラグの温度が上昇して
最悪発火のおそれも出てくる
近くに衣類なんかがあれば燃え移る可能性も十分にあるだろう」
国実「それはスジ規格違反では?」
花山「ええ」
国実「これは偽装じゃないですか、どういう事ですか赤羽根さん!」
赤羽根「…私は何も知らん(と後ろを振り返り)村山酒井これはどういう事だ!」
酒井「技術部の事は私は何も…その辺は村山さんしか…」(と村山を見る)
赤羽根「答えろ村山!なぜこんなものが使われてるんだ!」
村山「仕方ないでしょう!
あの低予算で真鍮のネジなんか使える訳ないじゃないですか!」
赤羽根「貴様…」
村山「社長のおっしゃる予算どおりに収めようとしたら
こうするしかなかったんですよ!」
赤羽根「だからといって偽装しろとは言ってないぞ!」
村山「我々は精いっぱいあなたの言うとおりやってきただけです!」
国実「ネジの偽装は記事にさせて頂きますから!」
「勝手にしろ」と赤羽根が会場を立ち去る
酒井がそれに続き村山も常子たちに一礼をして後に続く
国実「…今日の事はありのまま記事にさせて頂きます」
常子「はい」
国実「私はね…何とか戦後を終わらせようと奮闘してる人たちに
あなたの暮しが水をさしてるように思えてたんだ
だがあなたたちの信念も少しは理解できる気がします」
常子「そうおっしゃって頂けると…」
少し笑ってうなずいた国実が会場を後にする
あなたの暮しスタッフがお互い安心したようにうなずき合う
花山「さあ、帰ろう」
(一同)「はい」
花山を見て笑顔になる常子

<こうして公開試験が終るとともに最新の
あなたの暮し第45号は発行されたのです>

小橋家のちゃぶ台で君子(木村多江)が最新号を読んでいる
と、向いの常子に目をやり「常子がそうやって新聞読んでるのも久しぶりね」
常子「フフ…お休みの日におうちにいるのも久しぶりですから」

<大東京新聞はありのままの結果を報じ
あなたの暮しは世間の信用を取り戻し売り上げも再び伸びていきました
一方、アカバネ電器製造は社長のアカバネが謝罪会見を開き
安全な電化製品を開発するため社内の体制を見直すと発表したのです>

玄関に向かう美子が居間をのぞき「それじゃ行ってきます」
(2人)「行ってらっしゃい」
君子「南さんによろしくね」
美子「はい」(と玄関を出る)
顔を見合わせる常子と君子「フフフフフ」

森田屋カウンター内で新聞の公開試験の記事を読む宗吉(ピエール瀧)
「照代、よかったなあ」
照代(平岩紙)「そうですね」
と、「ただいま帰りました」と買い物カゴを提げた南(上杉柊平)が戻る
宗吉「おう」
南「大将、頼まれたもの買ってきました」
照代「ご苦労さま」
南「いいえ」(と厨房に向かう)
宗吉「タイショウ」
南「はい」
宗吉「ちょっと…ここ座れや」
南がカウンターの席に着く
宗吉「…実はなタイショウ…そろそろこの店をお前に譲ろうと思ってな」
南「えっ?」(と照代の顔を見る)
照代が南にうなずく
宗吉に目を戻し南「いや、お言葉はうれしいですが俺まだ半人前だし…」
宗吉「謙遜すんなって…間違いなくコックとしての才能があるんだ…
いいか?自分の店を持って
自分の責任で料理をしなくちゃいけないようになると
もう一つ腕は上がるんだ
どうだ?やってみねえか?」
南「……料理の道から身を引くつもりですか?」
宗吉「ああ…そろそろ腰もつらくなってきたしな」
南「だからって俺じゃなくて身内の富江さんや長谷川さんに任せる事だって
できるんじゃないですか」
宗吉「何言ってんだ
お前が身内じゃなかったら一体誰が身内だっていうんだよ」
照代「それにね、長谷川さんが高崎でやっと店を任せられるようになったの
向こうの暮らしも安定してきて『こっちに来て一緒に暮らそう』って
前々から富江に誘われていたのよ」
宗吉「いい年して東京戻ってきて
なんとか悔いのない時間を過ごせたと思ってる
もう思い残す事もねえしな
そろそろあっちに戻ってもいいだろうってな
だから…お前にこの店を任せてえんだ」
照代「南君も店を持って一人前になれば美子ちゃんだってきっと喜ぶでしょう」
宗吉「最近な…しみじみ思うんだ
なんていう巡り合わせだったんだろうってなぁ…
常子や鞠子や美子のこの先の人生も気になるしなあ
あいつらがかわいくてしかたなくってよ
別に身内でもねえからこんな事を心配するのもおかしな話なんだが…
美子とお前が結婚して少しでもつながりを持てるという事は
俺たちにとっちゃ幸せな事なんだ」
照代がうなずく
南「…」
と、店の戸が開き「こんにちは」と美子が現れる「あれ?もう終わりですか?」
照代「待ってたのよ、そろそろ美子ちゃんが来るかと思って」
宗吉「大事なデートの時間に合わせてやったぞ」
美子「えっ?」
照代「フフフ…冗談よ…フフフ」
宗吉「客足が落ち着いたんで休憩してただけだ」
美子「もう!そうですよね
まだ閉めるのには少し早いですものね…フフフ」(と南を見つめる)
照代「だけどもう今日はそろそろお客さんも来ないんじゃないかしら」
宗吉「おう、そうだなあ…タイショウ、今日はもう帰っていいぞ」
照代「ご苦労さま」
顔を見合わせる南と美子
宗吉「どうした?タイショウ…早く帰れ」
南「……大将…女将さん…ありがとうございます」(と深く頭を下げる)
宗吉と照代が静かにうなずく
いまひとつ事情がのみ込めず3人の顔を見る美子

(つづく)

常子の冷蔵庫と子どもの例え話がいまいちな感じがした
いや、理屈はちゃんと通ってるんだけど無理やりでやっつけな感じがして…
劇中ではこの話に一同が感じ入って聞き入り沈黙する演出だったが
一同が実は内心「はあ?」となっているのを想像してしまったw
今週のタイトル「常子、小さな幸せを大事にする」は
まさかこの例え話の事ではないだろうな…

花山がネジの偽装を暴く件は痛快だった
ああいうハッキリと目で見てわかる暴露はわかりやすくていい

村山が遂にキレたw
前回、赤羽根に叱責され
発表する役を降ろされたりしてもう限界だったのだろう
ドラマの演出では赤羽根が間違っていて
村山は無理な予算で商品開発を押しつけられた
被害者のように描かれていたと思うが自分は違うと思う
上司からどんなに無理な要求をされようと
出来ない事は出来ないとハッキリと言わなければいけない
それが言えなくて上司に内緒で部品を偽装するのは
上司に対しても会社に対しても(大げさに言えば社会に対しても)裏切り行為だ
ネジの偽装の件で一番悪いのは村山だと思う
とにかく嘘をつくやつが一番悪い

国実は最後にもっと常子たちに感服するかと思っていたが
「少しは理解できる気がします」という表現にとどめたね
新聞記者は常に中立のスタンスをとるという事なのかな

アカバネは体制を見直すと発表したとの事だが
赤羽根に盾ついた村山はどうなってしまったのだろう?

南が初登場の頃から宗吉がいずれ店を譲りたいとか言っていたので
今回の話はインパクトがなかった
娘夫婦も飲食業なのに南に森田屋を任せるのは不自然なので
今回まで隠していたほうがよかったのでは?と思うのだが…
そうすれば視聴者も劇中の南ももっと驚けたのではないだろうか?
いや、南は驚いた芝居をしていたが視聴者的には
前から言われてたやん!とツッコミを入れたくなってしまった

2016年9月14日水曜日

とと姉ちゃん(141)各メーカーが発表する独自の試験方法に焦りを感じた赤羽根は…

常子(高畑充希)「え~私たちは3種類の洗剤を使用し汚染布だけではなく
家庭での洗濯物、つまりシャツや靴下、シーツなどを洗って
基本的には目視で汚れ落ちを判断しています」 
国実(石丸幹二)「目視ですか」  
メーカーの担当者たちがバカにしたように笑う(赤羽根も) 
常子「おおむね時間をかければ汚れは落ちましたので
落第点のものは1種もありませんでした…
しかし生地の傷み方に関しては注目すべき点がありました」 

タイトル、主題歌イン 

常子「…特に洗い時間が短い事を売りにしている澄浦のものが
一番生地の痛みが激しく…」
(澄浦)「そんなはずはない、我が社では同じ生地を500回以上洗って
痛みが出ないかテストしてるんだ」
花山(唐沢寿明)「それは綿で出来た汚染布を使っているからでしょう
実際の洋服で洗濯してみると澄浦のものは渦の力が強いため
ナイロンやビニロンなどの合成繊維の服は(と洋服を取り出し掲げ)
このように破けてしまいました」(胸のポケットが破れ垂れている)
(会場がどよめく)
酒井(矢野聖人)「おいおいひどいな」(赤羽根が嬉しそうに笑っている)
(澄浦)が着席して下を向く
花山「また汚れ落ちが不十分な生地もありました
これはどのメーカーもですがね」
常子「各メーカーが試験用の布でテストしたがゆえの問題がもう一つ…
(と白いワイシャツを取り出し掲げ)こういったシャツにあります」

常子「洗濯したシャツを脱水するのにローラーを使いますよね」
あなたの暮しスタッフがシャツを脱水ローラーに通し実演して見せている
その中の美子(杉咲花)「あ~またなった」
村山(野間口徹)「また?」
常子「このようにボタンつきのシャツを絞ろうとすると
かなりの確率で途中で引っ掛かってしまいます
そして無理やり絞ろうとすると…(物が割れる音)ボタンを見て下さい」
スタッフの掲げるシャツを確認する国実「全てのシャツで割れてますねえ」
常子「ボタンのついていない試験用の布では
このような結果は出なかったと思います
これではたとえ絞り率がスジ規定の40%以上であったとしても
誰も使いたいとは思わないのではないでしょうか」

国実「次に著しい騒音や振動がないかという点について
各社の試験内容をお聞かせ下さい
それではトーチクさんお願いします」
(トーチク)「我が社では騒音計を使って
規定以上の騒音が出ていないか調べるほか
機械に聴音機を当てて人間の耳に聞こえない異常音がないかどうか
徹底的に調べています」
(広海)「我々は水を入れずに空回しをしてその状態を観察する事で
振動の度合いを計算しています
洗濯機は水を入れる事で重みで安定します
空回しをする事でより過酷な状況下で
振動に問題が出ないかを調べているのです」
常子「それはすごいです、そこまでされているとは思いませんでした
私たちは騒音計を使って騒音や振動のテストをしているに過ぎません
次の試験からはそのような視点も取り入れたいと思います」
国実「ほう…」
赤羽根(古田新太)が酒井に耳打ちする「おい、うちもアピールしろ」
酒井「しかしうちは騒音計を使って試験しただけなので…」
赤羽根「くそぉ…」
(トーチク)「国実さん、ここをしっかり書いて下さいね
トーチクはトーチク独自のやり方で検証している事が証明されました」
(広海)「私ども広海もいかに努力をしているかお分かり頂けたと思います」
(トーチク)「この一点はほんの一例に過ぎません
我がトーチクは努力を惜しまず独自の試験をし
よりよい商品作りを心がけております
我が社では脱水までも自動で行えないかと会議をしておるところです」
会場がどよめく
(トーチク)「記者の方、これ書いて下さいね」
と、焦ったのか赤羽根が立ち上がりアピールを始める
「え~我がアカバネは脱水だけではなく乾燥もできる洗濯機を
開発しておる次第でございます
会場が激しくどよめく(村山と酒井も驚いている様子)
赤羽根「2年後、いや来年には商品化されるかもしれません、ご期待下さい
…と、記事に書いておいて下さいな」
国実「来年ですか、それは楽しみですね」
赤羽根「ハハハハ」
赤羽根に耳打ちする酒井「社長そんな話は…」
赤羽根「黙ってろ、ここで他社よりも強いアピールができるかが肝心なんだ」
村山「社長今のは…」
赤羽根「お前には落胆したぞ村山…代われ、ここからは私が発表する
かませ犬にされてたまるか!」(と担当者席に座ってしまう)

国実「次に耐久性について各社どのような試験を行っているのか
発表して下さい、ではニッカデンさん」
(ニッカデン)「我が社では無作為に選んだ100台の洗濯機を
それぞれ500回ずつ回してモーター等に損傷がないか調べています」
国実「500回というのは多い方なんですか?」
(トーチク)「弊社は700回回しております」
(広海)「うちもです」
赤羽根「甘いですなあ皆さん…我がアカバネは1,000回回し
更に様々な電圧で使用しても故障しないかを検証している次第であります」
国実「1,000回ですか…ニッカデンさんの2倍ですね」
赤羽根「そうなりますかね…ハハハハ」
(ニッカデン)「しかし回数だけで耐久性の全てが測れる訳ではありませんからね
我々は洗濯機本体の鉄板の強さを調べるために
ハンマーでたたくなどして過酷な耐久試験も行っています
いくらアカバネさんでもそこまではやっていないでしょう?」
赤羽根が(かなわんなあ…)という顔で笑ってごまかす
花山「皆さん様々な耐久テストを行われてるようですが
私たちの試験の結果ではどのメーカーも満足のいく結果は出ませんでした」
(担当者一同)「何!?」
赤羽根「冗談じゃない!我が社では2年分に値する回数を回して
耐久テストをやっているんだぞ、おかしいじゃないか!」
花山「アカバネさんはどのような場所で耐久テストをなさいましたか?」
赤羽根「場所?」(と村山を見る)
村山「工場の中にある試験用の部屋ですが」
花山「なるほど…確かに屋内で試験をしていても故障はしないでしょう
問題が起こるのは屋外で洗濯機を使用している時なんですよ」
村山「屋外?」
花山「洗濯機を持っているご家庭の多くは排水の問題から
ベランダや庭先など屋外で洗濯機を使用しています
そこで私たちは洗濯機を屋内だけでなく屋外にも置いて試験しました
結果…ある問題を発見した」

美子たちスタッフが会場に2台の洗濯機を運んでくる
美子「これは私たちが屋外でテストしたアカバネの洗濯機です」
花山「このタイマーの操作つまみはプラスチックで出来ています
質の悪い安物のプラスチックは日光の紫外線によって少しずつ溶け
劣化します…ほらここ…つまみが割れてタイマーの操作ができなくなれば
いくら耐久テストに合格していても元も子もありません」
常子「屋外で洗濯機を使い続けるとここまで劣化してしまいます
そして普段見ないような箇所が実はもっと危ないんです」
スタッフが「せ~の」と洗濯機を倒して底を見せる(一面が錆びている)
国実「それはサビですか?」(と近寄り間近で確認する)
常子「洗濯機自体が鉄で出来ていますから
雨などの湿気でサビが出やすくなります
底が空いているこのような構造ですと内部に湿気が入りモーターがさび付き
発火するおそれがあります」
国実「これはどれほどの期間試験したんです?」
常子「1年間です」
国実「1年?…来る日も来る日も試験したんですか?」
常子「そうです」
国実「なるほどね…」
常子「他にもホースでの給水の問題があります
中でもひどかったのはアカバネのもので…
他のメーカーは10センチ近く余裕がありましたが
アカバネのものは水位が3センチ超えると
回した時に水があふれ出してしまいました」
赤羽根「給水時にきちんと見ていればいいだけの話だ」
(康恵たちが赤羽根を睨む)
常子「アカバネさん、3万円ものお金を出して洗濯機を購入した
主婦の立場に立って発言なさってますか?」
赤羽根「何だと?」
常子「主婦の皆さんは常に働いています
子どもが転んだ事に気を取られたり台所でお湯を沸かしていたり
少し気を取られている間に水があふれ出してしまうような洗濯機は
それ自体問題なのではないでしょうか」
康恵(佐藤仁美)「その通りだよ!私たちは目まぐるしく働いてるんだ
ひとところにいる訳じゃないんだよ!」
綾(阿部純子)や緑(悠木千帆)たちも「そうですよ!」と声を上げる
机を叩く赤羽根「こんなもんは認められん!(と立ち上がり)
あんたらがやってるのは結局あら探しだ
うちが不利な立場になるよう無理やりやってるだけだ!」
国実「そうでしょうか…あなたの暮し出版の試験に虚偽はなく
むしろ使用者の目線に立ち行われた公正な結果だと
証明された気がするんですが?」
「そうだ!」「そのとおりだ!」とスタッフが声を上げる
常子「赤羽根さん、洗濯機は屋外でも使うものですし
いろんな衣類を洗うものです」
赤羽根「だから何だ?そんな事は分かっている」
常子「使うのは普通の主婦で子どもの面倒を見ながらの環境です
一家に何人もの子どもがいれば汚れた服を
毎日たくさん洗わなければなりません
洗濯は本当に重労働で主婦の方々は手や腰を痛めながら
それでも毎日洗濯し続けなければならないんです
アカバネ電器の洗濯機のキャッチフレーズは何ですか?」
赤羽根「え~…」(と村山を見る)
村山「洗濯機が主婦を解放する…」
常子「確かに洗濯機は主婦の方々を重労働から解放する夢の機械です
いえ…洗濯機だけではありません…そうよね?よっちゃん」(と美子を見る)
美子が「…?」という顔で常子を見る
少し焦る常子「ほら…例の」
やっと気付いた様子の美子が「あ…え~っと、え~っと」と資料を探す
その手際の悪さに花山が顔をしかめる
美子(たどたどしく)「戦後すぐには夢物語だった電化製品が今主婦の方々に
時間を与えているのは間違いありません
え~調べたのですが電気釜があれば薪で火をおこす時間や
かまどに付きっきりの時間が省略できます」
国実「それはどのように調査したんです?」
美子「緑さん」
緑「はい」(とふたつの風呂敷包みを開けアンケート用紙の山を見せる)
美子「主婦の方1,000人にご協力頂き聞き取り調査を行った結果です」
国実「1,000人?」
美子「はい」
常子「つまり電化製品は一日中家事に追われてる女性たちを
解放する事ができるんです
だからこそメーカーの方々には志を持って作って頂きたいと思います」
(各メーカー担当)「…」
村山と酒井も神妙な顔をしている
赤羽根「志を持って…?
志を持ってなきゃこの仕事は務まらんよ!
我々は1円でも安く商品を消費者のもとへ届ける事を社のモットーとして…」
花山「いくら安くとも不良品を売りつけられてはたまったもんじゃないよ
赤羽根さん」
赤羽根「何が悪い…安いものを作って何が悪い
欲しいものを安く買いたいと願うのは当たり前の事だろうが!ええっ!?」
恫喝するような赤羽根を寂しそうな目で見つめる常子

(つづく)

今回は公開試験という事で単調な説明や発表のセリフが延々と続くのだが
赤羽根が面白くしてくれた
乾燥機もない時代に乾燥もできる洗濯機とは…
しかも来年にも商品化するかもとかはったりにもほどがある

さらに村山に代わって自分で発表しようとするが
質疑に答えられずその度に村山に助けを求めるw

ラストでは村山や酒井も常子の志という言葉に何かを感じたようだが
赤羽根だけは暴れ続ける
次回はこの赤羽根にとどめを刺す展開になるのだろうか?

国実は以前からあなたの暮し出版を執拗に調査していて
何か私怨でもあるのだろうか?と思っていたのだが
そういう訳でもないようだ
公開試験を企画したのも記者としての社会正義みたいなものからなのだろう

常子はあんな場でも美子を「よっちゃん」と呼ぶんだw
美子が「とと姉ちゃん」と呼んだりする場面がなくて本当によかった

2016年9月13日火曜日

とと姉ちゃん(140)そして洗濯機の公開試験が始まる

社長室に掛けられた町工場の写真を見る赤羽根(古田新太)「村山」 
村山(野間口徹)「はい」 
赤羽根「あの工場を覚えてるか?」 
村山「ええ」 
赤羽根「12年前あの小さな町工場から始まってようやくここまで来たんだ
いつ潰れてもおかしくない町工場をなんとか必死にやりくりして
這い上がる機会を待ち続けた
お前らはあの頃の貧しかった暮らしに戻りたいか?」
酒井(矢野聖人)「いえ」 
村山「とんでもないです」 
赤羽根「俺もごめんだ…あの戦争をなんとか生き抜き帰ってきたんだ
焼け野原の中ろくな食い物がない中でも生きてきたんだ
戦争では負けたがな、日本は今かつてない黄金の国になろうとしている
世界一の経済大国も夢ではない
庶民の手の届く夢を与える事が経済成長を生み
日本を世界に負けない豊かな国にする
我々はそれに貢献しているんだ!
金持ちになる事が幸福なんだ
これは我が社の正しさを証明する戦いだ、絶対に負けられん」

タイトル、主題歌イン 

<メーカー各社との電気洗濯機公開試験は6月末に行われる事が決まり
あなたの暮し出版では洗濯機の商品試験が佳境を迎えていました
そして万全を期すため新たに数多くのテスターを招いていました
その中にはもちろんこの2人も>

洗濯機を試験する2人を見て笑顔になって駆け寄る常子(高畑充希)
「康恵さんも綾さんもお二人ともありがとうございます」
康恵(佐藤仁美)「聞いたよ、公開試験だって?」
常子「はい」
康恵「新聞記者だか何だか知らないけど疑り深いやつもいるもんだねえ」
美子(杉咲花)「ええ」
康恵「さっさと対決して敵の鼻を明かしてやろうじゃないか」
(常子と美子)「フフフフ」
綾(阿部純子)「康恵さんったら熱くなっちゃって」
康恵「何言ってんだい、あんただって『悔しい』って歯ぎしりしてたじゃないかい」
常子「そうなの?」(康恵がうなずく)
綾(とぼける感じ)「私は別に…」
康恵「してたんだよ」
綾(康恵に)「早く脱水して下さい」
常子が楽しそうに笑う

福助人形の飾られた森田屋
美子「休みの日にもかかわらずお集まり頂きありがとうございます」
客席に座る君子(の膝に上にたまき)、鞠子、康恵、綾、照代
康恵「一体全体こんなに集めて何しようってんだい?」
美子「はい、あの…皆さんにお願いしたい事があって(と用紙を配り)
主婦の方々の一日の時間の使い方を調べるのを手伝ってほしいんです
用紙を見る照代(平岩紙)「一日の時間の使い方…」
美子「はい、朝起きてまず何をするのか…
それが終ったら次に何をするのかなど」
康恵「まずは朝ごはんの支度だろ?」
綾「私は…家の前の掃除…そうしないと一日が気持ちよく始まらないの」
鞠子(相楽樹)「うちはたまき次第、私よりも先に起きちゃう事もあるから」
照代「私は商売やってるから皆さんとは少し違うかも」
美子「はい、人によってそれぞれだと思います
主婦の方が一つ一つの家事にどれだけの時間を費やすのか
あらゆる年代の主婦の方々に伺ってみたいんです
ここ数年便利な電気製品が増えて昔は一日中家事に追われていたのが
少しずつその時間が減ってきたと思うんです」
君子(木村多江)「なるほど、興味あるわ」
鞠子「そう言われてみると昔のかかは
一日中家事をしていた姿しか思い浮かばないわ」
たまき「おばあ様大変だったの?」
君子「そうね…今と違って時間がかかったわね」
(南が厨房から出て来てお茶を配る)
美子「それで皆さんのお知り合いの主婦の方々にもご協力頂きたいんです」
康恵「お安い御用さ、みんなに聞いてみるよ」
綾「私も喜んで協力するわ」
君子と鞠子もうなずく
照代「私もできるだけ聞いてみるわ」
美子「ありがとうございます!」
南(上杉柊平)「また忙しくなりそうだな」
美子「うん」
南「頑張れよ」
美子「ありがとう」
南「おう」
一同から2人を冷やかすような笑いが漏れる
照れて退散する南とまんざらでもない感じの美子

厨房で卵焼きを焼く宗吉(ピエール瀧)「美子のやつ張り切ってるみてえだな」
南「まあ」
宗吉「タイショウよ、気取ってねえでたまには泣きついてみたらどうだ?」
キャベツを切っている南が宗吉を見る
宗吉「『さみしいよ~早く結婚してくれ~』ってな」
笑う南「そんな柄じゃないですよ
それに落ち着いたらぼちぼちって話はしてますから」
宗吉「そうかい」
南「はい」

電器店を手伝う村山と酒井
酒井「では社長はその事を…」
村山「わざわざ知らせる必要はないだろう」
酒井「しかしあなたの暮しが試験の中で
気付いてしまう可能性はないのでしょうか」
村山「何年も使って初めて異変が出てくるくらいだ
商品試験ごときで分かるもんじゃない
社長にはうちの洗濯機に不備はないと思ってもらったままの方がいいだろう」
酒井「…」(とうなずく)
奥から出てくる赤羽根「おい酒井」
酒井「はい」
赤羽根「お買い上げだ」
(村山と酒井)「ありがとうございます」
赤羽根「来月出る商品のカタログもおつけしろ」
酒井「はい」(と奥に走り)「さあさあこちらへ」
赤羽根「公開試験もいよいよだな」
村山「ええ、今も洗濯機はこれだけ店頭で売れているんですから
客はうちを選んでいるという事です
我が社の勝利は間違いありません」
赤羽根「これまでの分、あなたの暮しには恥をかいてもらわねばな」
村山「おっしゃる通りです」

洗濯機の試験場(屋外)
扇田「それでは本日2回目、666回目の試験を行います
今回は1キロの衣類、15分の洗濯時間、洗剤はアリオスです」
(一同)「はい」
扇田「では洗剤入れて下さい」
試験を進めていく一同
と、花山が現れ「扇田君、何回目だ?」
扇田「666回目、1キロ15分で試験しています…何か?」
花山「いや…さっきと回っている音が違うと思わないか?」
扇田「そうですか?」
するとバチッという大きな音がしてスタッフから悲鳴が上がる
見ると洗濯機から伸びたコンセントから白い煙が上がっている
花山「みんな下がりなさい!扇田君どいた!」
コンセントを見つめる花山「扇田君工具箱!」
扇田「はい!」
コンセントを調べる花山に島倉「危ないですよ、感電します」
花山「大丈夫だ」
コンセントを抜き工具で解体して中を調べる花山「これは…」
花山の一連の作業を本木がカメラに収める
コンセントが異常をきたしたのはアカバネ製の洗濯機…

編集部で風呂敷包みを2つ置く照代
水田(伊藤淳史)「これって…」
照代「美子ちゃんに頼まれていた
主婦の一日の過ごし方について聞き取ったものよ、はい」(と包みを開ける)
美子「こんなにたくさんどうやって?」
照代「私…主婦の知り合いがあまりいないから
お店に来るお客さんに声をかけてみたのよ」
美子「そこまでして下さったんですか」
照代「お料理を待っている間いい時間潰しだって
皆さん喜んで協力して下さったわ」
常子が笑顔でうなずく
照代「主婦の方にも近くで働いている方にもいろんな方に聞けたわ
少しでもお役に立つといいのだけど」
美子「ありがとうございます、とってもいい資料になります」

<美子と照代が用意したこのアンケートは公開試験の秘策となるのです
そして数か月がたち、いよいよ公開試験の当日>

昭和三十三年六月

屋外試験場
国実(石丸幹二)「それではこれより電気洗濯機の公開試験を始めたいと
思います、まず私から質問致しますので澄浦、広海、トーチク、ニッカデン、
アカバネのメーカー5社、それとあなたの暮し出版はそれぞれ各項目に対して
どのような試験を行っているのか発表して下さい
疑問や意見などある方は随時発言して頂いて構いません
よりしいでしょうか?」
(メーカー5社担当一同)「はい」
常子「はい」(花山もうなずく)
関係者席から赤羽根が余裕の笑みで常子を睨んでいる
ゆっくりと目を逸らし前を向く常子
花山「気負う事はない、これまでやってきた事をありのまま伝えるだけだ」
常子「はい」
社員たちの他に康恵と綾も常子と花山を見守っている

国実「試験はスジ(SJI)規格の定める必須検査項目を基準に行います
まずは洗浄率について
スジ企画では35%以上の洗浄率が義務づけられています
この点、各社いかがでしょうか?
まずは澄浦さんからお聞かせ下さい」
(澄浦)「はい、え~我が社の洗濯機の売りは
何と言いましても他社製品より洗濯時間が短い事です
渦の強度を強める事でたった5分で
たった5分で規定の洗浄率35%を達成できるよう設計されています」
国実「なるほど…では広海さんはいかがですか?」
(広海)「はい、え~我々は汚染布の汚しの材料として…」
国実「ちょっと待って下さい…汚染布というのは?」
(広海)「ああ…洗濯機の実験で使用する故意に汚す布です」
国実「布?実際のシャツなどで実験する訳ではないんですか?」
(広海)「ええ…こういったものですね(と汚染布を掲げ左右を見回し)
他のメーカーさんもそうですよね?」
同意する各メーカー担当
国実「なるほど…この布は何で汚したものなんですか?」
(広海)「炭やベビーオイル、牛脂などです
我が社はこれだけでなく(と別の汚染布を取り出し掲げ)
しょうゆ、泥、コーヒー、口紅、ケチャップなど
生活上想定しうる全ての汚れを試し
規定数値の倍である洗浄率70%を確保してます」
メモをとる常子
(トーチク)「我が社は泥の洗浄については特に力を入れておりまして
汚染布だけではなく(と作業着を取り出し)地方から実際に使った
農作業着を送ってもらって草の染みや泥が滞りなく落ちるかも試験して
スジ規定を上回っております」
(ニッカデン)「私たちは市販されている全て(と洗剤を取り出し)
10種類の洗剤を試して試験しています
更には井戸水と水道水、湯冷ましなどの水を使用して試験し
洗浄率35%を守っています」
興味深く話を聞く美子たち(水田がメモをとる)
国実「アカバネさんはいかがですか?」
(アカバネ)村山「ああ…うちは大容量でも洗浄率45%を保持しております」
国実「なるほど…あなたの暮し出版さんは洗浄率に対して
どのような事を行っていますか?」
常子「はい(と立ち上がり)え~私たちは…」

<こうして公開試験は始まっていったのです>

(つづく)

あなたの暮しが侮辱されて康恵の前では「悔しい」と漏らしたらしい綾だが
常子の前ではそれをとぼけたのは
女学校時代からの友人である常子に対して照れ臭かったのだろう
常子に張り合っているという訳ではないだろうが
お嬢様だった頃のクールな自分を知られているからかもしれない
常子はすごく嬉しそうだったね

村山が赤羽根に隠している洗濯機の不備は
おそらく花山たちが発見したコンセントの事なのだろう
もうアカバネが惨敗するフラグが立ってしまった…

なのに公開試験で常子をニッタリと見ている赤羽根が哀れだ
村山の答弁も他社の担当に比べたら弱いし…

冒頭で「絶対負けられん」と意気込んでいた赤羽根は
負けたらどうなるのだろう?
冒頭の長セリフから自分がどこかで間違ってしまった…
ぐらいの反省はありそうだが
急にいい人になってしまうのだけはやめてほしい

2016年9月12日月曜日

とと姉ちゃん(139)国実が提案する公開試験を拒絶する花山と常子だが…

扇田「また自由回答では『使用面だけでなくデザインも評価すべき』
『まったくの素人テストで話にならない』などという声も…」 
記事の内容にショックを受けているような常子(高畑充希) 
扇田「半数近くが『やり方に疑問がある』か…」 

タイトル、主題歌イン 

大東京新聞 
「これほとんどがあなたの暮しの件をはっきりさせてほしいっていう
投書じゃないか」
国実(石丸幹二)「ええ…予想どおりですよ、世間は確実に騒ぎ始めた」
「これからどんな手を打つ?」
国実「あの女社長と編集長を逃げ隠れできない場所まで
引きずり出したいんですがね」
「ああ…確か今、洗濯機の商品試験やってるっていう話だよな
メーカーもヒヤヒヤしてる事だろうよ、ハハハハ」
国実「メーカー?…そうか…」(と何かを思いついた様子)

アカバネ電器
電話を受ける村山(野間口徹)「大東京新聞の国実さん?
…ええ…それはどういった?…ほう…なるほど」(口元に笑み)

「ただいま帰りました」と常子が編集部に戻る
と、花山の怒鳴り声が聞こえてくる「いい加減しつこいぞ君たちは!」
花山(唐沢寿明)の後を追うようについてくる国実
(と村山を含む数名の男たち)「だったら受けて下さいよ花山さん」
常子「今日はどうされたんですか?」
国実「ああ…小橋社長、お待ちしておりました
今日は洗濯機の公開試験を提案しに参りました」
常子「公開試験?」
国実「あなたの暮しの商品試験のやり方を開示してほしいんです
皆さんの前で各メーカーの洗濯機を
どういうやり方で試験していたのかを説明して頂きたい」
(男たち)「そうだ!」
常子「あの…こちらの方々は?」
国実「洗濯機を製造販売している各メーカーの担当者の方々です
私がお声がけして集まって頂きました
実は新聞社にもあなたの暮しの商品試験に信憑性があるのか
調べてもらいたいという声が多く届いてましてね」
村山「我々も疑っておりましてね」
男1「ああ」
男2「本当に正しい試験をやってるというなら目の前で見せて頂きたい!」
男3「そうだ」
男4「やましいところがないのなら見せられるはずでしょう!」
常子「やましいところなどございません!
私どもは正しい結果を載せております」
村山「疑わしいですな、現にテスターに結果を改ざんさせたという記事が
週刊誌に載ったではありませんか」
美子(杉咲花)「事実無根です!」
水田(伊藤淳史)「そうだ!お前らがでたらめを言わせたんだろ!」
(編集部員たち)「そうだ!」
村山「失敬な言いがかりはよせ!」
編集部に怒号が飛び交う
国実「まあまあ、まあまあ!ここでいがみ合ってても仕方ないでしょう
こうした疑いを晴らすためには公開試験がうってつけだと思うんですよ
これまであなたの暮しで行った商品試験は社内の密室で行われたものです
それを正しいと主張するなら衆人環視の中
自分たちのやった事を見せるしかないでしょう!」
(男たち)「そうだ!」
花山「一方的に疑いをかけているのは君たちだろう!
私たちは疑われるような事は何もしていない
記事の中で試験方法も記載している
これからも自分たちのやり方を貫くだけだ」
村山「逃げるんですか?」
花山「そんな挑発には乗らんよ」
国実「ではいつまでも疑いの目を持たれたままでいいんですか?
私も追及の手を緩めるつもりはありませんよ」
花山「ご勝手に…我々は自分たちの力だけで信用を取り戻してみせる」
(と知恵の輪を手に解き始めてしまう)
国実「小橋社長も同じ考えですか?」
常子「もちろんです…私たちの商品試験に間違いはありませんから」
村山「どうだかね…口では何とでも言える」
(男たち)「そうだ!」
扇田「もう帰ってくれよ!仕事の邪魔なんだよ!」
(編集部員たち)「帰れ!」
国実「分かりました!考えが変わりましたらいつでも連絡を下さい
さあ皆さん、今日のところは一旦撤退しましょう」

<次の休日、常子と美子は久しぶりに鞠子を訪ねました>

縁側から庭に飛び出すたまき「おばちゃん早く早く!これこれ!」
常子たちも続いて庭に降りる
美子「これかぁ」(と皆で一台の洗濯機を囲む)
鞠子(相楽樹)「そんなに感心しなくても商品試験で見慣れてるでしょ?」
常子「まあそうなんだけどこうやってやっぱ
おうちにあるのを見ると興奮するのよ」
水田「同感です、僕もこれが届いた日はそんな感じでしたから
たまきなんか朝からず~っと待ってたよな?たまき」
たまき「うん!だってお洗濯み~んなやってくれるなんてすごい!
これが来てからお母さんお洗濯が大好きになったんだよ、ねえ~?」
鞠子「そうね」(と笑う)
美子「あのまり姉ちゃんが?」(と常子と顔を見合わせ笑う)
と、「ごめんください鞠子さん」と表で声がする
鞠子「どうぞ、庭にいます」
美子「お客様?」
鞠子「近所のお友達よ」
やってきた3人の女性たちが「あ~本当に来た~!」と洗濯機に群がり
常子と美子を見て驚く
鞠子「いつも言ってるじゃないですか、姉と妹はたまに遊びに来るって」
「私たちあなたの暮しを毎号欠かさずに読んでるんです」
美子「それはありがとうございます」
常子「励みになります」
「でも最近批判するような週刊誌だとか新聞記事が出てるでしょう?」
常子「ええ…」
「あれ見ると私、腹が立って自分の事のように悔しくって」
「ねえ本当…」
「うちの旦那なんて新聞の方が信頼できるとか言って
もうそっちの方ばっかり信じちゃって…」

編集部で一人執筆する花山がふと立ち上がり資料棚の中をのぞく

水田家の玄関から出てくる常子たち
鞠子「それじゃ、かかによろしくね」
美子「うん」
たまき「バイバイ」
美子「バイバイ(と、隣でぼーっとしている常子に)とと姉ちゃん」
常子「うん?バイバイ」(とたまきに手を振る)
常子(美子に)「私ちょっと会社行ってくる」
鞠子「えっ、今から?」
常子「うん、よっちゃん先に帰ってて」(と一人で歩き出す)

編集部で手紙を読んでいる花山
「やっぱり…」と常子が現れる(後ろに美子と水田)
「お休みですが何かしらお仕事をなさっているのではないかと思っていました」
花山「君たちは?」
常子「花山さんにお話があって」
花山「そうか…私もだよ…ふと読者からの手紙が気になってね
(花山の前に資料棚から出した手紙の山)3割くらいが批判の手紙だ」
水田「ええ…新聞記事が出てから少しずつ増えていて…」
花山「7割は応援してくれている人の声だった」
手紙を手に取り読む常子「頑張れ読者はここにいる」
花山「今のあなたの暮しには安定した発行部数と根強い愛読者がいる
新聞でたたかれようが部数を落とさない自信もある
だからこそ批判の声など無視していいと思ったんだ
まともに雑誌を読んでいない連中を相手にしなくても
自分たちを信じてくれる読者がいるからな
しかし…」
常子「『悔しい』って読者の声が手紙から聞こえてきたんですね」
花山が常子を見る
美子「私たちも同じです」
水田「売られたけんかを買うようで子どもじみていますけど
我々を信じてくれている読者のためにも…」
常子「戦う姿を見せましょう」
花山「戦う姿か…(と、常子を見上げ)そうだな」
(3人)「はい」

電話で話す国実「はい…いえいえ…あなた方は必ず受けて立ってくれると
思ってましたよ…では詳しい話は後日」

社長室に入る赤羽根(古田新太)
「そうか、あなたの暮し側が公開試験を受け入れたか」
村山「はい」
酒井(矢野聖人)「またとない機会ですね」
赤羽根「洗濯機は我が社の主力商品だ
社運をかけて金も時間もかけて作っている
他のメーカーよりも優れているとなれば売り上げも伸びるだろう
それにあなたの暮しの試験方法におかしな点を見つけてそこを指摘すれば
向こうの信頼もガタ落ちだ」

試験場で稼働するアカバネ製の洗濯機
試験を監督している常子

(つづく)

「ご勝手に…」と知恵の輪をやり始めた花山に笑った
社内の人間だけでなく外の人間に対してもそんな痛い行動をとるなんて…

国実の公開試験はナイスアイデア
常子たちにやましいところはないのだから受けて立つべき
一旦は断ったけど読者の「悔しい」という声を聞いて常子たちは考え直したね