2016年10月1日土曜日

とと姉ちゃん(156)最終話 私はとと姉ちゃんでいられて幸せです 

常子の家 
家族全員が揃い食卓を囲んでいる 
(笑顔の一同)「乾杯~!」 

<あなたの暮しは長年の功績が認められ雑誌の最高栄誉といわれる
日本出版文化賞を受賞したのです> 

長卓にはちらし寿司、おはぎ、ポテトサラダなどが並んでいる 
常子(高畑充希)に拍手を送る一同(常子が礼で応える) 
たまき(吉本実優)「常子おばさん、この度は受賞おめでとうございます!」 
(一同)「おめでとうございます!」 
常子「ありがとうございます」 
真由美「ありがとうは私のセリフです」 
常子「えっ?」 
真由美「常子おばさんのおかげでこ~んなごちそうが食べられるんだもん」
常子「ああ…」(と一同とともに笑う)
美子(杉咲花)「いつになったら花より団子じゃなくなるのかしら?」
鞠子(相楽樹)「よっちゃんだってず~っとそうだったじゃない」
真由美「お母さんもそうだったの?」
美子(鞠子に)「どうして余計な事言うのよ」
鞠子「ごめんごめん」
(一同の笑い)
常子「ではそろそろ頂きましょうか」
(一同)「はい」
常子「頂きます」
(一同)「頂きます」(一同の礼)
水田(伊藤淳史)「あっ、常子さん取りますよ」
常子「あ…ありがとうございます」
小皿に料理を取り分ける水田「潤、こういう時にな
ず~っと女性に気を遣えるかどうかがモテるかどうかの分かれ道だからな
どうぞ」(と常子の前に皿を置く)
常子「ありがとう」
潤「あっ、そう」
水田「おい、真面目に聞いておきなさい大事な事だぞ(と南を見て)なあ?」
微妙な表情の南(上杉柊平)「そう…ですねぇ」
水田「まあこの家に育てばいやがおうにも身につく事になるか…」
たまき「どういう意味よそれ!」
鞠子「それじゃ私たちが無理やりやらせてるみたいじゃない」
水田「いや…違う違う違う違う!ごめんごめんごめん…ごめん!
(南に)ほら…謝ってよ」
笑う南「僕は謝りませんよ、言ってないですもの」
水田「潤…怖いぞ…アハハハハ!」
鞠子(潤を見て)「もうから揚げしか食べてないんだから」
一同の笑いの中、卵焼きを口に入れる常子

タイトルイン

夜になってもガヤガヤと仕事が続いている編集部
作業で机に目を落としながら常子「そうそう水田さん、昨日言っていた…」
と目を向けるとさっきまでそこにいた部員たちの姿が見えない
突然静まり返った部屋を立ち上がって見回す常子
不思議な面持ちで階段を下りていくと
一人の男が背中を向けて暗い試験室でボードを眺めている
常子が部屋の照明を点け静かに男に近づき「あの…」
みかんを手で揉んでいるその男が振り向き常子が固まる
「やあ常子」
目の前に死んだはずの竹蔵(西島秀俊)が立っている
常子「とと?」
常子に近づく竹蔵「どうかしましたか?」
常子「いえ…少し驚いてしまって…」
竹蔵「そうですよね…突然こんなふうに現れては驚くのも無理はありません」
常子「ととはあのころのままですね」
さらに近づく竹蔵「常子は大きくなりましたね」
恥ずかしそうに笑う常子「大きくなったといいますか…年を取りました
今ではととよりも年上です、とてもご自分の娘とは思えないでしょう」
竹蔵「いくつになっても常子は僕の娘です」
常子「そうでしょうか」
笑顔の竹蔵「そうですよ」
常子も嬉しそうに笑顔でうなずく
部屋を見渡す竹蔵「ここが常子の作った会社なんですね?」
常子「はい」
竹蔵「案内してくれませんか?」
常子「はい、喜んで(と部屋で手を広げ)こちらは商品試験をする場所です
今は扇風機の性能を調べる試験をしています」
竹蔵「暮らしに役立つための商品試験ですね」
常子「はい、47名の社員以外にもテスターさんがいらっしゃって
150名ほどの方がこの会社に関わって下さっています」
竹蔵「そんなに大勢が?」
常子「はい…とと、2階も見て頂けませんか?」
竹蔵「はい」
常子「こちらです」

編集部に上がる常子「もともとは鞠子と美子と
それから編集長の花山さんと4人だけで始めた会社だったんです」
常子が額に飾られたその頃の3姉妹の写真を竹蔵に手渡す
それをまじまじと見つめる竹蔵「鞠子も美子も立派になりましたね」
嬉しそうに笑う竹蔵に常子「はい」
写真を常子に返し編集部を見回す竹蔵「よくぞここまで…」
常子「いろんな方と出会って助けて頂きました…
皆さん一人一人のお力添えがあったからこうして…
(と竹蔵の様子に心配そうな表情になり)とと?」
涙を流し息遣いも荒くなっている竹蔵「ここまで来るのには…
…相当な苦労があったでしょう」
常子「ええ…まあ(と、笑顔を作り)平坦な道のりではなかったですけれど」
竹蔵「僕が常子に父親代わりを託したために
随分と苦労をさせてしまったね…すまなかった」(と頭を下げる)
常子「そんな事はありません…とと…私ととの代わりだから
とと姉ちゃんって呼ばれてるんです」
竹蔵「とと姉ちゃん…」
うなずく常子「はい…出版社を起こして女の人の役に立つ雑誌を作りたいって
夢が持てたのも私がとと姉ちゃんだからです
それに鞠ちゃんもよっちゃんも結婚して子どもも3人授かって
今では8人で暮らす大家族ですよ
もう毎日がにぎやかで楽しくて…
みんなと過ごすささやかな日常が私の生きる糧です(竹蔵が微笑む)
私はとと姉ちゃんでいられて幸せです」
常子に近寄る竹蔵「常子」
常子「はい」
竹蔵「頑張ったね」
竹蔵が常子の頭に右手を置く
涙目で竹蔵を見つめる常子
竹蔵が常子の髪を撫で「ありがとう」
涙をこぼして笑い出す常子「フフフフ…フフッ」
と、子どものように涙を鼻でぬぐう
幸せそうに笑う常子

ベッドで眠る常子が目を開く
おぼつかない表情で身を起こすと窓の外からは小鳥の鳴き声と
家族の笑い声が聞こえてくる
カーテンを開ける常子

庭の木の下に集まっている一同
木に登った潤が「おじさんこれは?」と南に何かを手渡し
南「おっ、いいじゃないか~」
鞠子「今年も随分実をつけてくれたわね」
たまき「こんだけあったらジャムご近所さんに配ってもまだ余りそうね」
鞠子「そうね」

その様子を眺めていた常子がふと机に目を向ける
椅子に座り3つの目標の短冊(家族を守る)を手に取り見つめる常子
そして残りの2枚(鞠子美子を嫁に出す・家を建てる)も手に取り
3つを重ねて机の引き出しにしまう

昭和六十三年夏

<時は流れ昭和63年>

会社の入り口に入る常子「行ってらっしゃい」
麦わら帽子を被りベビーカーを押してすれ違う何人ものスタッフ
「行ってまいりま~す」
「行ってきます」
常子「はい、言ってらっしゃい」
(一同)「お帰りなさい!」
常子「ただいま~ご苦労さまです」
階段を上がり編集部に入る常子「ただいま戻りました!」
(一同)「お帰りなさい!」
常子が席に着くと「とと姉ちゃん、確認お願いします」と
美子が書類を持ってくる
常子「はいはい」
美子「それと…お客様よ」
向こうで振り向く鞠子
常子「フフフ…鞠ちゃん」
歩いてきてお重を見せる鞠子「ちょっとかんぴょう巻きの差し入れをね」
常子「いつもありがとう」
鞠子「取材に出てたんでしょ?社長さん自らよく働くわねえ」
笑う常子「休んでる方が疲れちゃうのよ」
と、「常子さん!」と若い社員がやってくる
常子「はいはい」
社員「すみませ~ん!桜井先生の原稿なんですが…
僕がテーマを間違えてお伝えしてしまっていたようで…」
ざわめく編集部

主題歌イン

常子「だったら一からやり直しじゃない!」
美子「気難しい方だから応じて下さるかしら…」
常子「どうしたもんじゃろのぉ…」
社員「取り急ぎ先生にお詫びの電話を致します」
立ち上がる常子「あ~あ~!電話じゃ駄目よ!」
社員「へっ?」
常子「お詫びだろうが原稿依頼だろうが
ちゃんとお目にかかってお伝えしないと
先生には私がお詫びに行ってきます(とカバンを肩にかけ駆け出し)
行ってきます」
(エンドロールが流れる)
社員「常子さん」
美子「とと姉ちゃん!」
常子を目で追い階段下を見る一同
鞠子「呆れた…あれじゃ花山さんとやってた時と一緒じゃない」
美子「花山さんも苦笑いしてるわね」
2人が編集部に飾られた花山と3姉妹の写真に振り向く

主題歌が流れる中、東京タワーに向かって通りを駆ける常子

(おわり)

冒頭の食事のシーンは家族それぞれにセリフを用意したのと
後半の伏線になるにぎやかな家族の描写かな

竹蔵が出るのは予告で知っていたが幻視するような感じだと
勝手に想像していて夢オチは逆に意外だった
考えればそれが一番自然なのかもしれない
(夢オチを予想しなかったのは心のどこかで
それは反則だと思っているからかもしれない
夢の話ならばいくらでも視聴者をミスリードする事もできるからだ)

このドラマでは常子が父との約束に縛られ犠牲になったのでは…
とどうしても考えてしまうがそこのところを補完するようなシーンがあった
まず竹蔵がすまなかったと謝り
常子はだからこそ、とと姉ちゃんになったからこそ夢を持てたのだと答える
今では大家族でにぎやかで楽しくて私はとと姉ちゃんでいられて幸せだと…

ちなみにこのとと姉ちゃんでいられて幸せ…だというフレーズは
最終回にあたって主演の高畑にかけているというか
シャレみたいな意味にもなっていると思う

目が覚めた常子が3つの目標を引き出しにしまったのは
竹蔵に褒めてもらった事でその責任を果たせたと思ったからだろう

ラストのエピソードはデジャブかと思ったw
1話の冒頭のエピ(昭和33年)といろいろそっくりで
焼き直したというか踏襲したというか…
まあ最初と最後は同じで…というところだろうか
最後に駆けていく常子(推定68歳)は1話ほどではないが
結構な速さで走っていたと思うw

これで常子の物語はおしまいだが
個人的に一番印象に残っているシーンは
五反田が常子に出征を告げたシーンかなあ…

次回作「べっぴんさん」は視聴はする予定ですがレビューはしません
(冬場の早起きは苦手だし…)
半年間おつきあい頂きありがとうございました
またどこかでお会いできれば幸いです

2016年9月30日金曜日

とと姉ちゃん(155)花山死す!~日本出版文化賞を受賞してテレビ出演を果たす常子

前回から二日後 

美子(杉咲花)「えっ?花山さんの原稿まだ入稿してないの?」 
常子(高畑充希)「ええ、まだあるわ」 
綾(阿部純子)「いつもに比べて随分のんびりしてるのね」 
常子「いつ花山さんが『やはり直したい』って言ってくるかわからないでしょ?」 
美子「そうね、花山さんならそういう連絡がありそうね」 
3人が編集部への階段を上がっていくと電話が鳴る 
水田(伊藤淳史)「はい、あなたの暮し出版です…」 
それを見て笑顔の美子「もしかして…」 
常子「フフフ」 
水田「はい…お待ち下さい…常子さん」 
常子「はい」 
水田「花山さんの奥様からです…」 
常子「…」と受話器を受け取り「お電話代わりました…常子です」 
(三枝子)「常子さん…お忙しいところすみません…
先ほど花山が息を引き取りました」 
常子「…分かりました…すぐに伺います…(編集部員たちが異変を察知して
立ち上がる)失礼します…(と受話器を置き)水田さん…」 
うなずく水田「こちらの事は僕が…常子さんと美子さんはすぐに」 
常子「お願いします」と社員たちが立ちつくす中、美子と外出の支度をする 

タイトル、主題歌イン 

花山家
ダイニングではみのりがお絵描き(花山の顔)をしている
茜に案内される常子と美子がその向かいの部屋の前に立つ
茜(水谷果穂)「どうぞ」(と戸を開ける)
一礼して中に入る常子と美子
部屋のベッドでは花山(唐沢寿明)が静かに眠り
その横に三枝子(奥貫薫)が寄り添っている
着座する常子たち
常子「この度はご愁傷さまでございました」(礼を交わす)
三枝子「…ごめんなさい…容体が急変してね…間に合わなかったわ」
首を振る常子「いえ…お知らせ下さりありがとうございます…」
三枝子「花山の顔見てあげて下さい…(花山に)あなた…
常子さんと美子さんがいらして下さいましたよ」
花山の傍に寄る常子と美子
美子が泣き声を上げる
三枝子「あの日…常子さんが帰られたあと花山は満足そうでした
これからこの国がどうなっていくのかは分からないけれど
あなたの暮しは常子さんに任せておけば大丈夫だとも申しておりました」
常子の両頬を涙が伝う「そんなふうに褒めて下さったのは…
初めてですね…花山さん」
泣き続ける美子
部屋の戸が開き画用紙を手にしたみのりが「じいじ!」と駆けてくる
「絵、描けたよ!起きて!じいじ起きて!」
常子が堪らず顔を覆う
茜「みのり、じいじは眠っているから…もう少し寝かせてあげよう…」
みのり「うん…」
号泣する常子

夜、常子の家
原稿を手にした常子がリビングにやってくる
美子「それ…」
常子「三枝子さんからお預かりした花山さんの最後の原稿よ」
それぞれが原稿を手にして美子「花山さんの字…」
「うん?」と何かに気付いたたまき(吉本実優)が
「これ…」と常子に一部を渡す
それを手に常子「…!?」
読み上げる常子「美子さん、初めて出会った頃きつく責める私の言葉に…」
(花山の声)「必死に涙を堪えていた君の顔は今でも覚えている
それから私が一時期会社を辞めた時、説得しに来た時の顔もね
君の情熱がなければあなたの暮しはあの時終わっていたかもしれない
鞠子さん、今でも君が仕事を続けていたらどうなっていただろうと考える
だが君は結婚で大きな幸せと
たまきさんというすばらしい娘さんを得る事ができた
たまきさんはきっと会社を支えるいい編集者になるだろう
常子さん、君に感謝を伝えるには原稿用紙が何枚必要だろうね
たくさんの事を君に教えた
それと共にたくさんの事を君に教えられた
君がいなければ今の私はいなかった…
ありがとう…」
原稿用紙の「ありがとう」の文字を見つめる常子
「ねえ見て」と美子が1枚のイラストを見せる
常子「うわぁ…」
そこには3姉妹をはじめ、水田や綾などの編集部員たちが描かれている
美子「そっくり」
常子「水田さんこれ…アハハ」

<花山が亡くなってふたつきがたった頃>

編集部
花山が遺した編集部員たちのイラストが額に入れられ飾られている
その位置をまるで生前の花山のように几帳面に微調整している美子
納得してうなずいた美子が「よし」と手を打つ
綾「美子さん、もうすぐ始まりますよ」
笑顔でうなずく美子「はい」
部員たちは部屋の隅のテレビの前に集まっている
美子がデスクの椅子に座る
島倉「美子さんは見なくてもいいんですか?」
美子「あ…毎日会ってますからわざわざテレビで見なくたって…」
「いや、またまた…美子さんほら早く」
「本当は緊張してるんでしょ?」
笑う美子「そんな事ない」

テレビ局のスタジオ
「開始10分前で~す!」
(一同)「はい」

<あなたの暮しは長年の功績が認められ
雑誌の最高栄誉といわれる日本出版文化賞を受賞しました>

スタジオの隅で出番を待つ緊張した様子の常子が左手で右肩をさすり
「花山さん花山さん…どうしたもんじゃろのぉ…」と語りかける
それで少し落ち着いたのか安心したように微笑む常子
「小橋さん」
振り向く常子「はい」
司会の沢(阿川佐和子)「よろしくお願いします、そろそろこちらに」
立ち上がる常子「よろしくお願い致します」

「よいしょよいしょよいしょ」と仏壇の竹蔵と君子の写真を持ち
「え~っと始まりますからね…一番いい所で見ましょうかね」
と写真をテレビの前のテーブルに置いた鞠子が「よいしょ
あ~疲れた」と腰を伸ばしてからテレビのスイッチを入れる
「あ~もうこっちまで緊張してきちゃった」
テレビの画面には「時代のスケッチ」のタイトル
拍手をする鞠子「あ~始まった!」

編集部の一同「お~!」と拍手が起こる
「静かに、静かに!聞こえないだろ」
やはり気になるのか遠くからテレビをのぞく美子
(画面の沢)「皆様こんにちは、『時代のスケッチ』の時間です
司会の沢静子でございます
さて今日は皆様よくご存じの雑誌あなたの暮しを通して…」

スタジオ
沢「…戦後の日本の人々の生活を豊かにした事が評価されまして
日本出版文化賞を受賞なさいました
あなたの暮し出版社長でいらっしゃる小橋常子さんにおいで頂いております
いろいろお話を伺っていきたいと存じます
どうぞよろしくお願い致します」
常子「あ…はい…よろしくお願い致します」

編集部
気をもんでいる様子の康恵(佐藤仁美)「表情が硬いねぇ」
綾「常子さん、しっかり!」

鞠子「とと姉…緊張し過ぎ…(写真に)ねえ…とと…かか」
(画面の常子)「ひとえに私たちを支えて下さり応援して下さった
読者の方のおかげだと思っております
私たちの編集長の花山も草葉の陰で喜んでいると思います」
(沢)「あなたの暮しは第1号から2世紀第35号まで出版されている訳ですけれど
この誌面作りに一貫した方針が感じられるんですが
そこら辺はどのようにお考えなのかお聞かせ頂けますか?」
(常子)「はい、花山も私たちもとにかく庶民の生活暮らしを
何よりも大切に考えてまいりました…」

スタジオ
常子「戦争で奪われた豊かな暮らしを取り戻し
その暮らしの役に立つ生活の知恵を提案していければと
そしてそれが暮らしの中心にいる女の人たちの
役に立つ雑誌になっていければと…
今も昔もただただその事だけを念頭に置いてやってきております」

(沢)「あなたの暮しはにとってやはり戦争の影響というのは
大きくあるのですね」
(常子)「そうですね…戦後生まれの方々はご存じないかもしれませんが
当時はおうちのフライパンなんかも供出しましたからね」
(沢)そうでしたね、本当にそうでしたね」
編集部に飾られたあなたの暮しのバックナンバー
花山が最後に描いた女性のイラストの35号と
防空頭巾とフライパンが描かれた戦争体験談の特集号(32号)

(つづく)

ビックリ!
花山はナレ死じゃなかったw
臨終には間に合わなかったとはいえ死者との対面を描くとは…
竹蔵も滝子も君子もそうだったんだからナレ死でよかったんじゃないのか?

みのりの「じいじ起きて!」で常子が号泣するのは
ベタだけどまあ良かったかな
あそこで視聴者も泣きやすかった事だろう

美子の額縁を微調整しての「よし」もグッドw

戦争特集号の表紙がフライパンだったのはうっかりしていたが
これは花山が常子に説得されて新雑誌の起ち上げを決意したシーンで
穴の開いたフライパンを持っていたのを回収したという事だったのかな?

2016年9月29日木曜日

とと姉ちゃん(154)読者への遺言を常子に託す花山

病室のベッドの上、届けられた読者からの手紙を手に花山(唐沢寿明)
「ありがたいね…我々の思いに共感してもらえた」 
常子(高畑充希)「これでやっとゆっくりできますね」 
花山「ん?」 
美子(杉咲花)「またおうちに戻られるんですよね?
まずはお体を治さないと」(常子がうなずく) 
花山「次号があるだろう、準備を始めんと」 
静かに花山を見つめる常子と美子 
花山「フッ…安心しなさい、決して無理はせんよ~」(とふざけた感じ) 
可笑しそうに顔を崩して笑う常子「はい」 

タイトル、主題歌イン 

昭和五十年一月 

<次号の出版に向けて編集部員たちは会社と花山家を行き来して
仕事を進めていました> 

席に着いた扇田がため息をつく
向かいに座る美子が楽しそうに「花山さんに怒鳴られたんですね?」
扇田「分かります?」
島倉「私も昨日行ったら『やり直せ!』って」
一同が笑う
木立「僕なんか『辞めちまえ!』ですよ
「私も」
「私もです」
扇田「この会社入って何回花山さんに怒鳴られたんだろう
ちゃんと数かぞえておけばよかったな」
島倉「だけど怒られるのも久しぶりだったから
私は懐かしかったですね」
木立「僕もですよ、心のどこかではあなたの暮しはこうでなくちゃって」
緑「確かにね」
寿美子「今頃たまきさんも怒鳴られてるのかしら」
緑「そうかもしれないですね」
常子と綾(阿部純子)も顔を見合わせて笑っている
と、「ただいま戻りました」とたまき(吉本実優)が帰社する
(一同)「お帰りなさい」
元気のないたまきに木立「あ~あ~
たまきちゃんも花山さんに怒鳴られちゃったか」
たまき「…怒鳴られた方がよっぽどよかったです」
木立「えっ?」
たまき「…花山さんの原稿を口述筆記してきたのですが…
今日はそれもつらそうで…」
(一同)「…」

静かに降る雪、花山家の表札 

ベッドの上で原稿を確認する花山「うん…これでいい」
常子「はい(と原稿を受け取り)残りの原稿は来週の中頃に
またお持ちできると思います、よろしいですか?」
花山「ああ」
常子「では来週またお邪魔しますね」
(と立ち上がり録音機のスイッチを切り帰り支度を始める)
花山「常子さん」
常子「はい」
花山「すまんがもう一つ筆記を頼みたい」
常子の動きが止まる「でも今日はもうお休みになった方が…」
花山「(いや…)平気だよ」
「分かりました…」と腰を下ろす常子
「何の原稿ですか?」と録音機を置く
花山「あとがきをね…」
常子「ああ…(と録音機のボタンを押し)では…」
花山「ハァ(と苦しそう)…書き出しはそうだな…
今まであなたの暮しをご愛読下さった皆様へ…」
常子が花山を見る
花山「私が死んだらね…その時の号のあとがきに載せてほしいんだよ」
常子の声が震える「まだお元気なのに何をおっしゃってるんですか
もうめったな事言わないで下さい」
花山「人間誰だっていつ死ぬか分からない
帰りに交通事故に遭って君が先に死ぬかもしれないよ…
…書いてくれないか?
常子さんにしか頼めない事だ」
常子「……分かりました」
花山「ハァ…読者の皆様…
長い事あなたの暮しをご愛読下さりありがとうございます
昭和22年の創刊以来27年たって部数が100万になりました
これは皆様が一冊一冊を買ってくれたからです
創刊当初から本当によい暮らしを作るために
私たちがこの雑誌で掲げてきたのは庶民の旗です
私たちの暮らしを大事にする一つ一つは力が弱いかもしれない
ぼろ布はぎれをつなぎ合わせた暮らしの旗です
…ハァ(と苦しそうにうつむく花山を常子が真っすぐに見つめている)
世界で初めての庶民の旗
それはどんな大きな力にも負けません
戦争にだって負けやしません
そんな旗をあげ続けられたのも一冊一冊を買って下さった
読者の皆様のおかげです(筆記を続ける常子)
広告がないので買って下さらなかったら
とても今日まで続ける事はできませんでした
そして私たちの理想の雑誌も作れなかったと思います
力いっぱい雑誌を作らせて下さり…ありがとうございました…
それに甘えてお願いがあります
今まであなたの暮しを読んだ事がない人1人に
あなたがあなたの暮しをご紹介して下さり…ハァ…1人だけ
新しい読者を増やして頂きたい
それが私の…最後のお願いです」
固まったように花山を見つめる常子の頬を涙が伝う
録音機を止めた花山が「あぁ…」と苦しそうにベッドにもたれる
「さあ…もう帰りなさい」
まだ動けない常子(涙声)「花山さん…もし花山さんがいなくなったら…
私どうしたらいいんですか…」
花山「常子さん…大丈夫だよ…君はね
27年一緒にやってきて…大体僕の考えと一緒だよ
君の考えだけでやっていけるだろうけれど
悩んだ時は君の肩に語りかけろ
君に宿ってやるから
『おい花山…どうしたもんじゃろのぉ…』と…ハハ…」
常子「フフフ……はい…」

玄関でお辞儀をする常子「お邪魔致しました」
三枝子(奥貫薫)「いえ、ご苦労さまでした」
と、壁に手を沿わせながら花山が廊下に出てくる
三枝子「あなた寝ていませんと…」
花山「うん」
三枝子に支えられ玄関まで来た花山が「これをね忘れていた」と
女性を描いたイラストを常子に渡す
花山「次号の表紙だ」
イラストに目を落としながら常子「すてきな人ですね」
花山「初めて私の絵を見た時も君はそんな顔をしていた」

(回想)常子「すてきな家ですね」

花山「常子さん…どうもありがとう」(と頭を下げる)
「嫌だわ花山さん、また来ますね」
とイラストを封筒に入れ傘を手にする常子
花山が三枝子に支えられながら手を振る
お辞儀をした常子が玄関を出るとガクリと頭を垂れる花山
三枝子「さあ…あなた…」
花山「ああ…」

まだ降り続いている雪の中、立ち止まった常子が玄関を振り返る
そして…前を向いて歩き始める

(つづく)

もうこのドラマのパターンだと次回の冒頭で花山はナレ死しそうだよね
<花山が亡くなって3年が過ぎました…>みたいな感じだろうか?
今週の予告を見ても花山のいいシーンは全部済んでると思うし…

花山の読者への最後の願いが新しい読者を増やす事だったのは
あなたの暮しの行く末を案じての事なのだろうか?
常子と花山を仮想夫婦とするなら2人が産んだあなたの暮しはその子どもだ
死にゆく花山がその子の行く末を案じたから
常子は泣いてしまったのだろうか?
「もし花山さんがいなくなったら私どうしたらいいんですか」と聞く常子は
とと姉ちゃんではなくて夫を亡くす普通の女性のようだった

常子に礼を言って頭を下げる花山の表情を
三枝子がのぞき込むように見ていたがこれはただ意外だったからだろうか?
三枝子の解釈は苦手でどうもよくわからないw