2016年9月30日金曜日

とと姉ちゃん(155)花山死す!~日本出版文化賞を受賞してテレビ出演を果たす常子

前回から二日後 

美子(杉咲花)「えっ?花山さんの原稿まだ入稿してないの?」 
常子(高畑充希)「ええ、まだあるわ」 
綾(阿部純子)「いつもに比べて随分のんびりしてるのね」 
常子「いつ花山さんが『やはり直したい』って言ってくるかわからないでしょ?」 
美子「そうね、花山さんならそういう連絡がありそうね」 
3人が編集部への階段を上がっていくと電話が鳴る 
水田(伊藤淳史)「はい、あなたの暮し出版です…」 
それを見て笑顔の美子「もしかして…」 
常子「フフフ」 
水田「はい…お待ち下さい…常子さん」 
常子「はい」 
水田「花山さんの奥様からです…」 
常子「…」と受話器を受け取り「お電話代わりました…常子です」 
(三枝子)「常子さん…お忙しいところすみません…
先ほど花山が息を引き取りました」 
常子「…分かりました…すぐに伺います…(編集部員たちが異変を察知して
立ち上がる)失礼します…(と受話器を置き)水田さん…」 
うなずく水田「こちらの事は僕が…常子さんと美子さんはすぐに」 
常子「お願いします」と社員たちが立ちつくす中、美子と外出の支度をする 

タイトル、主題歌イン 

花山家
ダイニングではみのりがお絵描き(花山の顔)をしている
茜に案内される常子と美子がその向かいの部屋の前に立つ
茜(水谷果穂)「どうぞ」(と戸を開ける)
一礼して中に入る常子と美子
部屋のベッドでは花山(唐沢寿明)が静かに眠り
その横に三枝子(奥貫薫)が寄り添っている
着座する常子たち
常子「この度はご愁傷さまでございました」(礼を交わす)
三枝子「…ごめんなさい…容体が急変してね…間に合わなかったわ」
首を振る常子「いえ…お知らせ下さりありがとうございます…」
三枝子「花山の顔見てあげて下さい…(花山に)あなた…
常子さんと美子さんがいらして下さいましたよ」
花山の傍に寄る常子と美子
美子が泣き声を上げる
三枝子「あの日…常子さんが帰られたあと花山は満足そうでした
これからこの国がどうなっていくのかは分からないけれど
あなたの暮しは常子さんに任せておけば大丈夫だとも申しておりました」
常子の両頬を涙が伝う「そんなふうに褒めて下さったのは…
初めてですね…花山さん」
泣き続ける美子
部屋の戸が開き画用紙を手にしたみのりが「じいじ!」と駆けてくる
「絵、描けたよ!起きて!じいじ起きて!」
常子が堪らず顔を覆う
茜「みのり、じいじは眠っているから…もう少し寝かせてあげよう…」
みのり「うん…」
号泣する常子

夜、常子の家
原稿を手にした常子がリビングにやってくる
美子「それ…」
常子「三枝子さんからお預かりした花山さんの最後の原稿よ」
それぞれが原稿を手にして美子「花山さんの字…」
「うん?」と何かに気付いたたまき(吉本実優)が
「これ…」と常子に一部を渡す
それを手に常子「…!?」
読み上げる常子「美子さん、初めて出会った頃きつく責める私の言葉に…」
(花山の声)「必死に涙を堪えていた君の顔は今でも覚えている
それから私が一時期会社を辞めた時、説得しに来た時の顔もね
君の情熱がなければあなたの暮しはあの時終わっていたかもしれない
鞠子さん、今でも君が仕事を続けていたらどうなっていただろうと考える
だが君は結婚で大きな幸せと
たまきさんというすばらしい娘さんを得る事ができた
たまきさんはきっと会社を支えるいい編集者になるだろう
常子さん、君に感謝を伝えるには原稿用紙が何枚必要だろうね
たくさんの事を君に教えた
それと共にたくさんの事を君に教えられた
君がいなければ今の私はいなかった…
ありがとう…」
原稿用紙の「ありがとう」の文字を見つめる常子
「ねえ見て」と美子が1枚のイラストを見せる
常子「うわぁ…」
そこには3姉妹をはじめ、水田や綾などの編集部員たちが描かれている
美子「そっくり」
常子「水田さんこれ…アハハ」

<花山が亡くなってふたつきがたった頃>

編集部
花山が遺した編集部員たちのイラストが額に入れられ飾られている
その位置をまるで生前の花山のように几帳面に微調整している美子
納得してうなずいた美子が「よし」と手を打つ
綾「美子さん、もうすぐ始まりますよ」
笑顔でうなずく美子「はい」
部員たちは部屋の隅のテレビの前に集まっている
美子がデスクの椅子に座る
島倉「美子さんは見なくてもいいんですか?」
美子「あ…毎日会ってますからわざわざテレビで見なくたって…」
「いや、またまた…美子さんほら早く」
「本当は緊張してるんでしょ?」
笑う美子「そんな事ない」

テレビ局のスタジオ
「開始10分前で~す!」
(一同)「はい」

<あなたの暮しは長年の功績が認められ
雑誌の最高栄誉といわれる日本出版文化賞を受賞しました>

スタジオの隅で出番を待つ緊張した様子の常子が左手で右肩をさすり
「花山さん花山さん…どうしたもんじゃろのぉ…」と語りかける
それで少し落ち着いたのか安心したように微笑む常子
「小橋さん」
振り向く常子「はい」
司会の沢(阿川佐和子)「よろしくお願いします、そろそろこちらに」
立ち上がる常子「よろしくお願い致します」

「よいしょよいしょよいしょ」と仏壇の竹蔵と君子の写真を持ち
「え~っと始まりますからね…一番いい所で見ましょうかね」
と写真をテレビの前のテーブルに置いた鞠子が「よいしょ
あ~疲れた」と腰を伸ばしてからテレビのスイッチを入れる
「あ~もうこっちまで緊張してきちゃった」
テレビの画面には「時代のスケッチ」のタイトル
拍手をする鞠子「あ~始まった!」

編集部の一同「お~!」と拍手が起こる
「静かに、静かに!聞こえないだろ」
やはり気になるのか遠くからテレビをのぞく美子
(画面の沢)「皆様こんにちは、『時代のスケッチ』の時間です
司会の沢静子でございます
さて今日は皆様よくご存じの雑誌あなたの暮しを通して…」

スタジオ
沢「…戦後の日本の人々の生活を豊かにした事が評価されまして
日本出版文化賞を受賞なさいました
あなたの暮し出版社長でいらっしゃる小橋常子さんにおいで頂いております
いろいろお話を伺っていきたいと存じます
どうぞよろしくお願い致します」
常子「あ…はい…よろしくお願い致します」

編集部
気をもんでいる様子の康恵(佐藤仁美)「表情が硬いねぇ」
綾「常子さん、しっかり!」

鞠子「とと姉…緊張し過ぎ…(写真に)ねえ…とと…かか」
(画面の常子)「ひとえに私たちを支えて下さり応援して下さった
読者の方のおかげだと思っております
私たちの編集長の花山も草葉の陰で喜んでいると思います」
(沢)「あなたの暮しは第1号から2世紀第35号まで出版されている訳ですけれど
この誌面作りに一貫した方針が感じられるんですが
そこら辺はどのようにお考えなのかお聞かせ頂けますか?」
(常子)「はい、花山も私たちもとにかく庶民の生活暮らしを
何よりも大切に考えてまいりました…」

スタジオ
常子「戦争で奪われた豊かな暮らしを取り戻し
その暮らしの役に立つ生活の知恵を提案していければと
そしてそれが暮らしの中心にいる女の人たちの
役に立つ雑誌になっていければと…
今も昔もただただその事だけを念頭に置いてやってきております」

(沢)「あなたの暮しはにとってやはり戦争の影響というのは
大きくあるのですね」
(常子)「そうですね…戦後生まれの方々はご存じないかもしれませんが
当時はおうちのフライパンなんかも供出しましたからね」
(沢)そうでしたね、本当にそうでしたね」
編集部に飾られたあなたの暮しのバックナンバー
花山が最後に描いた女性のイラストの35号と
防空頭巾とフライパンが描かれた戦争体験談の特集号(32号)

(つづく)

ビックリ!
花山はナレ死じゃなかったw
臨終には間に合わなかったとはいえ死者との対面を描くとは…
竹蔵も滝子も君子もそうだったんだからナレ死でよかったんじゃないのか?

みのりの「じいじ起きて!」で常子が号泣するのは
ベタだけどまあ良かったかな
あそこで視聴者も泣きやすかった事だろう

美子の額縁を微調整しての「よし」もグッドw

戦争特集号の表紙がフライパンだったのはうっかりしていたが
これは花山が常子に説得されて新雑誌の起ち上げを決意したシーンで
穴の開いたフライパンを持っていたのを回収したという事だったのかな?

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