2016年5月28日土曜日

とと姉ちゃん(48)仕事を振ってもらえない常子は…

山岸(田口浩正)「早乙女君、あとはよろしく」 
早乙女(真野恵里菜)「はい」 
山岸が部屋を出ていくと再びタイプを打ち始める女たち 
早乙女が立ち上がる「早乙女朱美です」 
常子「小橋常子です、今日から…」 
早乙女「先ほど聞きましたから結構、時間がないので仕事の説明に移ります」 
常子「はい」 
早乙女「まずは出勤時の説明をします、一旦廊下に出て」 
「はい」と、早乙女に付いてタイプを打つ音だけがする部屋を出る常子 

タイトル、主題歌イン 

早乙女にタイムカードの説明を受ける常子 

部屋に戻る2人 
早乙女「では業務内容を説明します」
常子「はい」
早乙女「こっちに来て、タイピストは英文と和文に分かれていて
あなたは和文だからこっちね」と、3列目右の席を与えられる常子
どうやら1列目と2列目の6席は英文で3列目の2席が和文のようだ
早乙女「多田さん」
多田(我妻三輪子)「はい」
早乙女「今日から入った新人さん、あなたと同じ和文なので仲よくしてあげて」
多田「はい」と、立ち上がり「多田かをるです、よろしく」
常子「小橋常子です、よろしくお願いします」
早乙女「以上になります、分からない事があったら何でも聞いてちょうだい」
と、仕事に戻ろうとする早乙女に常子「あっ、あっ…朱美さん
あの…私は何をすれば?」
早乙女「何を?」
常子「はい、あの…作業というか…業務は?」
早乙女「タイプする原稿は私が確認してから皆さんに割りふっています
いつ仕事を振られてもいいよう待機していて下さい」
常子「はい!」
早乙女「それから…下の名前ではなく苗字で呼んで下さい」
常子「すみません」
部屋にタイプの音が鳴り響く
前列中央の席に着いて原稿を手に取る早乙女「諸橋さん」
諸橋(野村麻純)「はい」(前列左の席)
早乙女「この原稿今日の午後一番までにお願いできる?」
諸橋「はい」と、原稿を受け取る
早乙女「先週の営業会議の書類
誤字が1か所ありました、気を付けてちょうだい」
諸橋「すみませんでした、今後注意します」
早乙女「織田さんちょっと」
織田「はい」
早乙女「輸出品の明細…清書をお願い」
織田「分かりました」
早乙女「なるべく急いでちょうだい」
織田「はい」
常子が左の席の多田に話しかける「すごいですね朱美さんって」
多田「朱美さんじゃなくて早乙女さんです」
常子「ああ…早乙女さんってどうして苗字で呼べっておっしゃるんですか?」
多田「ああ、それは…」と、難しい顔になる
早乙女「多田さん」
多田「はい!」
早乙女「和文の原稿お願いできる?」
多田「もちろんです」と、立ち上がり原稿を受け取ると仕事に戻る
タイプの音が鳴る部屋で自分の席の機械にかけられた布カバーをめくり
和文のタイプを見て眉をそびやかし笑顔になる常子

<職業婦人を目の当たりにした常子は
その姿に感激し負けずに頑張らねばと奮い立ちました>

傾いた陽が差し込むタイプ室

<しかし夕方になっても仕事が回ってくる事はありませんでした>

カバーがかけられたままの機械の前に座っているだけの常子
「多田さん」と、早乙女が後ろの席にやってくる
多田「はい」
早乙女「これ、明日までにお願いできる?」と、原稿を差し出す
目の前の原稿を見る常子
多田「あ…明日までですか?」
早乙女「無理ならしかたないけど」
原稿と多田を見やる常子
多田「いえ…大丈夫です」と、立ち上がり原稿を受け取る
「じゃあお願いね」と、席に戻っていく早乙女
再びタイプの音だけになった部屋で常子が立ち上がり
早乙女の席の前まで行き「すみません早乙女さん」
タイプの音が止まり部屋が静かになる
手に持った原稿に目を落としたままの早乙女「何かしら?」
常子「あの…私まだ何もしていないのですが」
早乙女「だから?」
常子「だから…お仕事を回して頂けませんか?
和文の原稿はたくさん来ているようですし私にも少し…」
常子の顔を見る早乙女「そのうち回します、待機していて下さい」
常子「はい…」
と、引き下がる常子と再び部屋に響き始めるタイプの音

<結局この日、常子は何の仕事もさせてもらえませんでした>

夜、森田屋の厨房
鞠子(相楽樹)「本当に?」
常子「うん、今日は何も」
宗吉(ピエール瀧)「新米なんてそんなもんじゃねえか?」
常子「そうなんですかねえ」
照代(平岩紙)「何か言われるまでじっとしてていいんじゃない?」
富江(川栄李奈)「下手に動いてヘマされると周りが混乱するもんね」
君子(木村多江)「ですよね、私も入ったばかりの頃、皆さまにご迷惑を」
富江「いえいえ」
照代「君子さんだけ悪い訳じゃないのよ
うちも忙しくて教えられる時間なくて」
まつ(秋野暢子)「まあ話聞く限り常子の会社も忙しそうじゃないか
そのうち嫌でも仕事回ってくるよ
せっかく雇っといて飼い殺しなんかしないだろ?」
常子「そうですよね」
長谷川(浜野謙太)「う~ん、どうかな?」
常子「うん?」
長谷川「いや俺ね、ここ来る前料亭の板場にいたんだけど
新米の頃常子みたいにさ、何もするなって言われて何もしなかったんだよね
そしたらすぐクビになっちゃった、アハハ…」
常子「そんな…」
長谷川の頭を叩く宗吉「脅してどうすんだお前」
長谷川「あっ」
まつ「安心おし常子、あんたは長谷川なんかと違って出来る子なんだから
クビになんかなるもんか」
宗吉「確かになあ、使えねえ長谷川とは大違いだ」
長谷川「大将勘弁して下さいよ~」
宗吉「本当の事だろ」
笑顔になった常子「皆さんありがとうございます、そう…ですよね、うん
明日になれば…うん」

<しかし翌日も…>

タイプの音が鳴る部屋で座っているだけの常子

<そのまた翌日も…>

スルーされる常子の眼前、早乙女から多田に渡される原稿

<常子に仕事は回ってきませんでした>

退社時のタイムカードを打ち3日間の出社記録
1日.8:45→5:03 2日.8:42→5:06 3日.8:40→5:05 を見て退社する常子

店屋でおしるこを食べている常子と星野(坂口健太郎)
「そうですか、職場でそんな事が…」
常子「あ…すいません突然お誘いしてしまって」
星野「いえ、僕も植物採集で疲労困憊のため
糖分を補給したいと思っていたところだったんです」
常子「このまま帰って家族の前で笑える自信がなくて…
不安なんです、このまま何もさせてもらえないと
クビになってしまうかもしれないし…」
常子の様子が気になったのか箸を置く星野「常子さんらしくもない」
常子「えっ?」
星野「どうしたもんじゃろのぉ…の時は思い悩んだりせず動いてみる
今まで常子さんはそうしてきたはずですよ」
常子「フフッ、私の事をそんなふうにご覧になっていたんですか?」
星野「はい、僕の観察によるとそうです
…あっ!いや、あの…観察という言い方は不適切ですね」
常子「フフッ、でも…確かにおっしゃるとおりだわ」
星野「うん」
常子「星野さんといると不思議です」
星野「不思議?」
常子「家族には話せないような事もこうやって素直に…」
星野「あ…いや…」と、照れて頭をかく
その右手がケガをしている事に気付きハンカチで巻いてあげる常子
少しドギマギしたような星野

タイプ室
早乙女の席の前に常子が立っている
早乙女「分からない人ね」
部屋のタイプの音が止まる
早乙女「仕事はそのうち回すとお伝えしたはずですよ」
常子「そうなんですがそのうちと言いましても一向に何も…」
早乙女「私のやり方に不満があるんですか?」
常子「いえ、そういう訳では」
諸橋道子「あなた、新人なんだから早乙女さんのやり方に従うべきよ」
2列目の女「道子さんの言うとおりよ」 「生意気ね」
早乙女「仕事に戻って」
(一同)「はい」と、再びタイプの音が響く

廊下を歩く山岸に訴える常子
山岸「はいはい話は分かりましたよ」
常子「では課長から早乙女さんに打診して頂けますか?」
山岸「でもねえ、タイピストに関しては早乙女君に一任してるから…
早乙女君とうまくやってよ」と、行ってしまう
その後ろ姿を見ているだけの常子

廊下を歩く他の男性社員に常子「何かお手伝いできる事はありませんか?
電話番でも書類整理でも何でも構いません」と、営業部の部屋に入る
「女にできる訳がない邪魔だ」と言われる常子
部屋の扉が開き早乙女が常子の様子を見る
常子が机を整理しようと勝手に書類に触り男性社員に「出ていけ」と叱られる
早乙女が常子に声をかける「小橋さん、ついてらっしゃい」
常子「…はい」

タイプ室(浄書室)
タイプの音が止まっている部屋で原稿を確認している早乙女
「それじゃあ小橋さん、この原稿4時までにお願いできる?」と、差し出す
常子「えっ?」
早乙女「できますか?できませんか?」
常子「はい!できます!」と、嬉しそうに原稿を受け取る

やっとカバーがはずされた常子のタイプライター
常子が原稿をセットする
口元に少しの笑みを浮かべた常子が一つずつ文字を打ち込んでいく
前の席から常子に振り向いている早乙女
部屋の壁に立ち常子を見ている諸橋
そして隣の席でまばたきをしながら常子を見る多田
音が止まった部屋で常子のタイプライターが動き始める

(つづく)

早乙女がわざと常子の前に原稿を見せびらかしてから
多田に渡しているように見えるw
なんだかいじめられているみたいな常子だけど
今までのパターンからいくと早乙女も諸橋も悪い人じゃないんだろうね
森田屋の最初とかもっとひどかった気がする
早乙女が多田に「仲よくしてあげてね」と言ってるし
だけど仕事を振ってもらえないのは困るなあ
それにも何か理由があるのだろうが…

早乙女が苗字で呼ばせるのはもしかしたら女性蔑視への抵抗?
常子は意識せずに男は苗字、女は下の名前で呼んでるけど…
やはり鳥巣商事編はそれがテーマになるのだろうか?

常子が早乙女に意見した時に皆のタイプの音が止まるのが怖い
彼女に逆らうのはタブーなんだろう

常子が仕事を与えられて初めて部屋の名前(浄書室)が映し出されたが
これは主人公にとってやっと意味のある仕事の部屋になったという
細かい演出なのだろうか?
(それまではタイプの音がするただの「部屋」だった)

仕事を振られなくて不安な常子を励ます森田屋の面々
常子は家族に笑える自信がないと星野を誘う
もうこれ常子と星野はつきあってる感じ?
常子にはその自覚はないのだろうが…

星野が常子に対して「僕の観察によると…」と言ってしまったのは
植物を愛し花に「きれいだよ」と語りかける星野にとって
観察する対象=愛する対象という事なのだろう









2016年5月27日金曜日

とと姉ちゃん(47)常子が採用された理由とは?

宴が始まった 
常子(高畑充希)の隣に座る綾(阿部純子)「ねえ、本当に私いて平気?」 
常子「いいのいいの、森田屋さんはにぎやかなのが大好きだから、ねえ~?大将」 
宗吉(ピエール瀧)「おうよ、大体よ、常子の友達って事は
森田屋全員の友達って事になるんだからな」 
まつ(秋野暢子)「まあこんな豚みたいなのと友達になりたかないだろうけどね」 
宗吉「誰が豚なんだよおいおいおい…」 
星野(坂口健太郎)「まあまあまあまあ」 

タイトル、主題歌イン

滝子(大地真央)の三味線で♬「かっぽれかっぽれ」と踊る
清(大野拓朗)と隈井(片岡鶴太郎)

長谷川(浜野謙太)がリズムをとっての宗吉の腹芸踊り

まつの南京玉簾

と、宴は進み
照代(平岩紙)「さあ皆さん、いよいよ最後のごちそうがやって来ますよ」
(一同)「お~!」
「お待たせ致しました~」
と、君子(木村多江)が盆を運んで来て置く「はいどうぞ」
常子「あっ!」
美子(根岸姫奈)「おはぎだ!」
常子「かか、これって…?」
君子「あなたと綾さんの卒業と就職、それから…」
富江(川栄李奈)「小橋三姉妹のお誕生日祝い」
常子「ありがとうございます」
鞠子(相楽樹)と美子「ありがとうございます」
照代「この3人誕生日が近いからまとめてお祝いするのが恒例でね」
綾「そうなんですか」
君子「綾さんもよかったら召し上がってね」
綾「ありがとうございます」
滝子「君子、上手にできたね」
君子「ありがとうございます」
常子「かか、お仕事の合間に作って下さったんですね」
君子「ええ、照代さんと富江ちゃんに手伝って頂いて」
常子「ああ…照代さん、富江ちゃん、ありがとうございます…では…
おはぎを頂く前にこの場をお借りして皆さんにお伝えしたい事があります」
(一同)「えっ?」
常子「まずはかか」
君子「はい…」
常子「今まで育てて下さってありがとうございます」
「何よ急に…」と、恥ずかしそうな君子
澄んだ笑顔の常子「きちんとお伝えしておきたくて
これからちゃんと働いて稼いで、必ずかかに楽をしてもらいます」
君子「…うん、ありがとう」
常子「鞠ちゃんが進学するお金もちゃんと稼ぐから」
鞠子「うん、合格できるように頑張って勉強するね」
常子「うん…よっちゃんは私と鞠ちゃんの分も家の中でかかの事支えてあげてね」
美子「はい、いっぱいお手伝いします」
(一同の笑い声)
照代「立派だわ、常子ちゃん」
まつ「うん、大したもんだ」
常子「立派なのも大したものなのも森田屋の皆さんのほうです」
宗吉「よせよ」
富江「私たちは別に」
常子「青柳の家を出た頃、皆さんが受け入れて下さらなかったらと思うと…
宗吉さんも富江ちゃんもまつさんも照代さんも長谷川さんも
皆さんの支えがあったからこそ私たちは今までやってこられました
いつか必ず恩返しします」
長谷川「いいねえ、期待してるよ」
常子「はい!…それから綾さん、星野さん、困った時にいつも助けて下さって
ありがとうございました」
星野「いやいや…」
綾「楽しんだこっちがお礼を言いたいくらいよ」
常子「うん?」
綾「困っている常子さんは面白かったから」
常子「綾さん!」
(一同の笑い声)
常子「そして…おばあ様、清さん、隈井さん
女学校に行かせて下さってありがとうございました
学費は必ず働いてお返しします」
滝子「いいんだよ、あれは」
常子「いえ、返させて下さい…私は小橋家の家長であり父代わりですから」
滝子「そうかい」
常子「はい」
滝子「不思議なもんだねえ」
常子「不思議?」
滝子「いや、こうして常子と話してる事がさ」
宗吉「えっ、何か変ですかい?」
まつ「孫とばあさんが話してるだけじゃないのかい?」
滝子「その孫が私にはずっといないようなもんだった
会える事などないと思っていたのさ…なのにあんたらは現れてくれた
しかもみんないい子で、私はなんて幸運なんだってつくづく思うよ」
常子「私も…おばあ様の孫で幸せです」
笑顔でうなずく鞠子と美子
滝子「そう思ってくれるならもっと甘えな」
常子「えっ?」
滝子「困った事があったら、意地を張らずにいつでも甘えなさい
三途の川を渡るまで助けてやるつもりなんだから」
常子「ありがとうございます」
滝子「うん」
君子「お母様、いつも私たち家族を支えて下すって本当にありがとうございます」
鞠子と美子「ありがとうございます」
隈井「ありがとうございます」
滝子「何でお前なんだよ」
(一同笑い)
常子「あ~!皆さんにお礼が言えてすっきりしました
明日からも頑張れそうです!
一同の拍手
泣き出している隈井に皆の笑い声

玄関を出る綾と見送りの常子
綾「今日はありがとう、お母様のおはぎとってもおいしかったわ」
常子「明日からもう会えないのね」
綾「どうかしら、常子さんとはご縁があるから
また妙なところで出くわすんじゃないかしら」
常子「そうかなあ」
星野も玄関を出て来る
駅まで送ると言う常子に「大丈夫、その角で車が待ってるの」と綾
綾「常子さん、またね」
常子「またね」
帰っていく綾を見送る星野が常子に「また会えますよ…きっと」
常子「だといいんですけど」

昭和十二年四月

<常子は職業婦人として初めての朝を迎えました>

お部屋で美子の髪をとかしている常子
美子「もういいよ、あとは自分でやるから」
常子「いいのいいの、ちゃんと余裕持って準備したから」

常子「それでは皆さん、行ってまいります」
君子、美子、まつ、富江「行ってらっしゃい」
常子「はい」と、振り向き歩き出すと
「とと姉とと姉!」と、鞠子が玄関を出て来る
常子「うん?」
鞠子「カバン忘れてるよ!もう!」
常子「ありがとう」と、カバンを受け取り「改めて行ってまいります!」
そして振り向き小走りに先の角を曲がる
君子「大丈夫かしら?」
まつ「結局、いつもの常子だね、アハハハハハハ!」

鳥巣商事
廊下を歩く常子と山岸
山岸(田口浩正)「うちは外国とも取引をしていて
とにかく書き起こす書類が多いのさ」
常子「はい」
山岸「タイピストの業務は常に繁忙、即戦力として期待してるよ」
常子「はい!頑張ります!」
山岸「タイプ室は狭いから大きな声は必要ない」
常子「はい…この度は採用して頂きまことにありがとうございました」
山岸「あ?」
常子「面接の時は駄目かと思って落ち込んだんですが」
山岸「あ~まあ今年は不作だったからねえ」
常子「えっ?」
山岸「いつもはもう少しかわいい女の子が多いんだけどね
その中でも君がまあまあかわいかったから」
常子「それが採用理由なんですか?」
山岸「そうだよ、実技試験もしないんだから判断基準がないじゃない」
言葉を失う常子
「ここだよ、早く入って」と、山岸が扉を開ける
「はい」と、部屋に入る常子
たくさんのタイプライターを打つ音が聞こえてくる
部屋でタイプを打つ7人の女性は常子たちに目もくれない
山岸「みんな、ちょっといいかな?」
前列中央の赤い服の女が右手を真っすぐに上げ
それが合図のように女たちの手が止まる
山岸「この子、今日から入った…え~っと何だっけ?」
常子「あ…小橋常子です、よろしくお願いします」
と、おじぎして顔を上げた常子の目に入ってきたのは
刺すような先輩タイピストたちの視線と3列目のまばたきの多い若い女
ちょっと不安気な表情の常子…

(つづく)

常子は自分が働いて鞠子の大学資金から援助してもらった女学校の費用まで
返済するような事を言ってたけど滝子が言ってるように甘えればいいのにね
それだと竹蔵から家長を引き継いだとと姉ちゃんではないという事なのかなあ…

綾は車を待たせてるってさすがお嬢様!
でもしばらくは登場しないみたいだね、「妙なところで」再会するまで

出勤する時にカバンを忘れて手ぶらで歩きだすのはないな普通
現実にいたらうっかりさんでは済まされないと思うよw

常子はかわいかったから採用されたんだね
鞠子に比べて不器量だという描写はあったが
常子は「まあまあかわいい」(山岸談)設定だという事がわかった
まあ確かに高畑が会社にいたら「まあまあかわいい」ぐらいかもしれんw

常子は採用理由を知って不本意な表情だったけど
これはこの先掘り下げるんだろうか?
そういえば面接時に山岸以外の男性社員2名も女性蔑視の態度だった
青鞜の影響で女性でも…と、そのあたりの意識は高そうな常子だが…



2016年5月26日木曜日

とと姉ちゃん(46)ささやかな心がけを大切にして

鳥巣商事の就職試験 
常子(高畑充希)の前には3人の男が座っている 
山岸(田口浩正)「何でタイピストを志望したのかな?」 
常子「はい、手先が器用なのでお役に立てるのではないかと思った事が一つと
技術を身につけたかったのが一つです 
でも一番の理由は正直に申しますと高給取りになりたかったからです」 
山岸「女のくせに高給取りって」 他の2人は失笑している 
男1「こりゃいいや」 
男2「全くだ」 
常子「…」 
男1「では女学校時代に何か特別な事をやったりしましたか?」 
常子「あ…歯磨きを作って売りました」(気を取り直して明るく) 
山岸「歯磨き?」 
常子「はい」 
山岸「何だそれ?」 
常子「人のお役に立てるのではないかと思って作ったんですが破裂してしまって」
山岸「破裂?」
常子「はい、失敗してしまって」
山岸「それは大変だったね」(もう興味がないという感じであっさりと)
常子「はい」
山岸「じゃあ質疑応答はこれまで」
面接官たちの態度に焦った様子の常子

<このままでは不採用になってしまう
常子は実技試験で挽回しようと思いました、しかし…>

山岸「もう帰っていいよ」
常子「えっ?」
山岸「じゃあ次の人を呼んで」
常子「えっ、ちょっと待って下さい、実技試験は?」
山岸「今年からやめにしたんだよ、わざわざ試験しなくても
うちに推薦で来る子はみんなうまいからね」
常子「そんな…これだけは聞いて下さい!」と、立ち上がる
「熱意は誰にも負けません!必ず皆さんのお役に立ってみせます
だからどうか私を雇って下さい、お願いします!」と、頭を下げる
山岸「はい分かった、分かりましたよ、山田君、次の人呼んじゃって!」
顔を上げて茫然としている常子
山岸「何突っ立ってんの?もうおしまい、帰っていいよ」

森田屋居間
一同の前で報告している常子「就職試験で…笑われました」
(一同)「えっ?」
常子「何を答えても滑稽そうに笑われて…」
まつ(秋野暢子)「バカにされたのかい?」
富江(川栄李奈)「でもタイプの腕は見せつけたんでしょ?」
長谷川(浜野謙太)「そうだよ」
照代(平岩紙)「あんなに練習したんだし」
常子「今年から…実技試験はないそうです」
まつ「ないって…じゃあ練習の成果は?」
首を振る常子
まつ「え~…」
常子「鞠ちゃんごめんね、大学行かせてあげるって約束したのに…ごめん」
首を振る鞠子(相楽樹)
君子(木村多江)「常子はやるだけの事はやったんだから」
美子(根岸姫奈)「頑張ったもん」
(一同)「うん」
まつ「頑張った頑張った」
星野(坂口健太郎)「大丈夫、常子さんは採用されるから大丈夫です、うん」
皆に慰められて泣きそうな顔の常子

<2週間が過ぎても常子はふさぎ込んだままでした>

お部屋で机に頬杖をつく常子
鞠子「とと姉、いつまで暗い顔してるつもり?」
常子「ごめん…」
美子(悪戯っぽく)「こっち向いて、暗い顔のお姉ちゃん描いちゃうから」
振り向いた常子(しょんぼりと)「ごめんね、気遣わせて」
顔を見合わせる鞠子と美子「…」
常子が美子の筆入れを見る「よっちゃん、その筆入れどうしたの?」
美子「いいでしょ、おばあちゃまがね…」
鞠子「はぎれで作って下さったんだって」
常子「おばあ様が?」と、筆入れを手に取って「何だかいいわね
飾りもかわいいし、そういう事なさるおばあ様もとってもすてき」
美子「とと姉の笑ってる顔久しぶりに見た」
鞠子「そうね」
と、君子が部屋に飛び込んでくる「常子!常子常子常子!あっあっあっ…
おめでとう!」と、常子の前に座る
常子「えっ?」
君子「たった今これが」と、常子に葉書きを見せる
葉書きを手に取り「採用」の文字を見る常子「採用!?」
鞠子と美子「とと姉!」と、葉書きを覗きにくる
常子「えっ、何で?だって全然駄目だったのに」
君子「あなたのよさが伝わったのよ!頑張ったわね常子!」
常子「あ~!」と君子と抱き合う「よかった~…」

星野の下宿前
鉢植えの植物に水をやっている星野
葉書きを手に大喜びの常子が駆けて来る
「星野さ~ん!これ、これ、これ見て下さい!」
葉書きを手に星野「えっ、えっ、え~!」
常子「アハハ!無事に就職が決まりました」
星野「よかった~実は駄目かと諦めてました」
常子「えっ?星野さん絶対大丈夫だ採用されるって」
星野「あ…それは…」
常子「もしかして思ってもないのにおっしゃったんですか?」
星野「あっ、いやあの時は励まそうと…」
星野を疑うように目を細くして見る常子
星野「ごめん!もう二度とうそはつきません!」
星野の手から葉書きを取り「ハハハハ!」と、笑いだす常子

<常子が女学校を卒業する日がやって来ました
同じ教室で過ごしてきたクラスメートたちは今日からそれぞれの道を歩んでいく
それがうれしくもあり少し寂しくもありました>

常子と綾(阿部純子)が廊下の窓から中庭の満開の桜を見ている
綾「私たちは涙を見せずにお別れしましょうね」
常子「えっ?」
常子を見る綾「だって今日はお互い新しい未来に向かって歩きだす
おめでたい日でしょ?」
微笑む常子

<中でも綾との思い出は常子にとって忘れられないものばかりでした>

東堂(片桐はいり)に挨拶している2人
常子「先生のおかげでタイピストになれました」
東堂「ですからそれは小橋さんの努力のたまもの」
常子「フフ…」
綾「私は先生のおかげで女としての生き方を意識する事ができました」
東堂「私にではなくらいてうに感謝して下さい、そしてこの青鞜に」
と、カバーがかかった雑誌を掲げる
常子「先生」
東堂「どうしました?」
常子「そのカバー」
東堂「これですか?こうしておくと大事な本が汚れませんから
見場もよいでしょう?」
常子「はい、少しだけ見せて頂いてもよろしいですか?」
東堂「どうぞ」と、常子に雑誌を渡す
綾「この紙、元は帝国百貨店の包み紙ですね?」
東堂「そう!きれいな包装紙を頂いた時は工夫して本のカバーにしているの」
常子「へえ~」
東堂「私のささやかな心がけです」
東堂を見る常子
綾「いいですね、私もやってみようかしら?」
東堂「是非やってごらんなさい、ささやかですがこうした心がけが
小さな幸せを生むと私は思っています
そんな瞬間を大事にしていく人でありたいと
…おっと、おしゃべりは嫌われますね」
綾「フフフ…いえ」
東堂の話に感じ入ったのか少し口が開いたままの常子
綾「常子さん?」
東堂「そんなに私の話が胸に刺さって?」
笑顔でうなずく常子「はい!ささやかな心がけってすてきな言葉ですね
昔からそういう感じ方を大事にしてきたんですが
何て言葉にしていいか分からなくて
あ…先日祖母が妹の筆入れにはぎれで作った飾りをつけてくれたんです
妹はお古の筆入れが自分だけのものになったってもうすっごく喜んで…
だから私もそんなふうにささやかな心がけを大切にして
小さな幸せを見いだせるような人になりたいと思います
東堂先生、ありがとうございました!」
東堂「思わぬところで感謝されました」
綾も笑っている
常子「いえ、ありがとうございました」と、何度も笑顔でうなずく

森田屋居間
富江「常子さんが卒業か」と、卓を拭いている
まつ「ああ…あっという間だったね」
富江「あっ、ねえねえ、伝統ある森田屋としては盛大にお祝いするんでしょ?」
まつ「当たり前だよ、青柳の女将驚かしてやろう、ハハハハハ!」

厨房
照代「あらそう、じゃあ常子ちゃん泣かなかったの?」
君子「ええ全く、卒業証書もらう時も凜としたものでした」
照代「フフッ、あの子らしいわ」
「お待たせしやした!」と、長谷川がざるに鯛を持って帰って来る
刺身ですか?と聞く長谷川に祝い事は鯛の尾頭付きに決まってると宗吉
「それより一番でけえのにしたんだろうな?」
長谷川「そりゃあもう、ハハッ」と、ざるにかかった布を取る
宗吉(ピエール瀧)「お~」 君子「まあ立派!」
まつ「まあね、常子は孫みたいなもんだから景気よく祝ってやらなきゃ」
富江「三姉妹の誕生日もあるしね」
君子「本当にありがとうございます」
まつ「気にしない気にしない、こんな金魚に、アハハ!」
すると表で「ごめんくださいまし!」と、滝子の声

表に出る宗吉「こりゃあ青柳の女将さんに若旦那、お待ちしておりました」
滝子(大地真央)「この度はお招き頂きありがとうございます」
まつも出て来る「わざわざ足をお運び頂き申し訳ございません」
滝子「いいえ」
そこへ築地に買い出しに行っていたという隈井(片岡鶴太郎)がやって来るが
まつが鯛ならあると見せるとそれを見た滝子が金魚みたいな鯛だと言いだし
隈井の鯛を見せたところその大きさに驚くまつと宗吉
滝子「さあどうぞ、こちらを尾頭付きにしてそのちっちゃい方は
お刺身か煮つけにしちゃどうです?」
まつ「いえいえ…うちのを尾頭付きにしますんで」
滝子「いえいえ、大きい方が尾頭付きによろしいいんじゃございません?」
まつ「いえいえ、こっちの方が身が引き締まってございますから」
滝子「まあご冗談を!何をおっしゃいますやら」
と、そこへ招かれてやって来た星野が滝子の鯛を大きい
森田屋の鯛を普通だと言い…ふくれて店に入るまつ

<この日、常子の卒業と就職、そして三姉妹の誕生日を祝う宴が
森田屋で始まろうとしていました>

卒業証書の入った筒を手に楽しそうに語り合い歩く常子と綾

(つづく)

常子が面接で手先が器用とか言ってたけど嘘だよねw
鞠子に不器用過ぎて見てらんない…とか言われてたよね歯磨き作りで

そして実技試験ないのかよw
前回ラストで試験に向かう常子のあの右手のイメージトレーニングが
間抜けに思えて笑えてくる

お部屋のシーンで美子が常子に「暗い顔のお姉ちゃん描いちゃうから」
ここで美子が「とと姉」と呼ばないのは
美子的には明るく元気な常子じゃないと「とと姉」じゃないって事かな?
直後に笑顔を見せた常子に「とと姉の笑った顔久しぶりに…」と言ってるし

常子と星野のシーンはよくドラマにある主人公カップルの
将来は奥さんの尻に敷かれるんだろうなあ…という描写にも見える
嘘をついていた星野が浮気したのがバレた亭主みたいになってたね

ささやかな心がけのシーンの常子(高畑)は良かった
長セリフは役者の力量が試される
前回の滝子の筆入れの飾りはこのシーンの伏線だったんだね
そこから東堂への感謝の言葉と卒業の挨拶にきれいに繋げた脚本も良い

三姉妹は誕生日が近くてみんな春に生まれた設定のようだ
なんだか発情期のある人間以外の動物みたいだねw

滝子とまつが相変わらずの関係で良かった
あの2人にはずっとやりあってもらって仲直りなんかはやめてほしい
鯛の件は次回もひきずるのだろうか?





2016年5月25日水曜日

とと姉ちゃん(45)あすなろとしてちゃんと育てば…

「行ってまいります!」と、常子(高畑充希)が慌ただしく出ていく 
(一同)「行ってらっしゃい」 
宗吉(ピエール瀧)「あれ?学校行くには早くねえかい?」 
君子(木村多江)「ああ、練習ですタイピストの」 
まつ(秋野暢子)「タイペスト?」 
富江(川栄李奈)「タイピスト」 
まつ「タイ…」 
富江「…ピスト」 
まつ「まあいいわいいわ、それよりそれはそんなお給金いいのかい?」 
照代(平岩紙)「そりゃあ職業婦人の花形ですから」 
富江「専門的な技術がいるから誰でもなれる訳じゃないのよ」 
まつ「で…常子は大丈夫なのかい?」 
君子「あ~…」と、困ったように首をかしげて笑う 

東堂(片桐はいり)に指導を受けている常子
タイプライターを前に悪戦苦闘している
それをもどかしそうに見ている東堂「小橋さん、ひょっとして暗記は苦手?」
常子(明るく)「はい」
困ったように目を閉じる東堂
常子「何かこの…文字列を覚えるコツってありますか?」
東堂「ありません、とにかく慣れて下さい」
常子「でもタイプライターが空いてないと練習できません」
東堂「そうね、ではこの文字の並びを紙に書き写して覚えたらどうかしら?」
常子「2273文字?」
東堂「当然です」
常子「わかりました、やってみます」

教室の机を二つ並べた上に広げられた巨大な紙
綾(阿部純子)「2273文字
これがあればいつでもタイプの練習ができるって訳ね」
常子「うん…」
綾「どうしたの?元気ないじゃない」
常子「ゆうべやっと完成して朝まで練習したんだけど」
綾「朝まで?」
常子「全然上達しないの」
綾「試験まであと半年あるわ、大丈夫、慌てないで」
常子「ありがとう」

常子たちのお部屋
タイプの練習をする常子と勉強している鞠子(相楽樹)
うちわで扇いでくれる美子(根岸姫奈)に2人が
「ほっといてごめんね、一緒に遊ぼうか?」と言うのだが
美子「いいの、私の事は気にしないで…それより2人ともがんばって」

滝子(大地真央)の部屋
滝子「どうなんだい?常子と鞠子の勉強の方は」
美子「この調子なら2人とも大丈夫だと思います」と、カステラにかぶりつく
滝子「あっ、そんなに慌てたら胸につかえちまうよ」
美子「早くお絵描き完成させたいんだもの」
美子の筆入れを手に取る滝子「随分と年季の入った筆入れだねえ」
美子「お姉ちゃんたちのお古だから」
滝子「そうなのかい」
美子「洋服でも何でも私のは全部お古
破れたらかかがいつも直してくれるから新しいものなんて一つもないの」
気になるような表情の滝子

女学校の廊下であくびをする常子
綾「ちゃんと寝てるの?あなたの事だからどうせ徹夜で…」
常子「12月までの勝負だもん、入社試験までは無理してでも」
(他の生徒たちの話し声)「あのお見合いうまくいったのね?」
常子「結婚か~どんな気持ちなんだろう」
綾「特に何も変わらないわ」
笑う常子「今のはおかしいわ、まるで結婚する方の気持ちを知ってるみたい」
綾「だって知ってるもの」
常子「えっ?どういう事?」
綾「実は…私も結婚が決まったの」
常子「ええ!?聞いてないけど」
綾「だって言ってないもの、特に聞かれなかったから」
常子「いや、えっ、聞かないでしょ普通…
ねえ結婚なさる?…聞かない聞かない」
綾「でもいいじゃない、今こうして言ったんだから」
常子「え~…でもお相手はどんな方なの?」
綾「医大生って事以外は何も、親が決めた結婚だから」
常子「お会いするのが楽しみね」
綾「うん…少し怖い」
常子「怖い?」
綾「だって顔も知らない人に自分の人生を委ねるって事でしょ
それって何だか…」
綾を見つめている常子
綾「常子さんがそんな顔する事ないでしょ」
常子「でも…」
綾「大丈夫、お相手に会えば不安もなくなるわよ
それよりあなたの方が心配だわ…体壊さないように気を付けてね」
常子「うん、ありがとう」

森田屋の店先でタイプの練習をする常子と
それにつきあっている星野(坂口健太郎)
そんな2人を見た君子が微笑む

青柳商店前
隈井(片岡鶴太郎)「ありがとうございました、お気を付けて」
紳士「あっ、女将がいたらちょいと挨拶したいんだがな」
隈井「ああ、女将さんちょっと先客がありやしてね」
紳士「先客?」
隈井「ええ」

滝子の部屋
お絵描きしている美子
滝子「よし、出来た…さあ美子、見てごらん」
と、りぼん?が結ばれた筆入れを渡す
美子「とってもすてき」
滝子「こうすれば常子とも鞠子とも違う美子だけの筆入れだろ?」
美子「ありがとうおばあちゃま!」
筆入れを眺める美子「かわいい」

疲れて首のこりをほぐしながら朦朧と帰宅する常子「ただいま帰りました」
まつ「あ~常子!お使い頼まれてくれないかい?」
常子「あ~…」
まつ「手違いでお重のお弁当余っちまって、ヘヘッ
葉っぱのあんちゃんに食わしてやろうと思って」
常子「星野さんに?」

とある民家の前
おそらく住所が書かれた紙片を見ながらお重を抱えた常子
「あっ、すみません、あの…こちらに星野武蔵さんっていらっしゃいます?」
鉢植えの世話をしている女「驚いた~」
常子「えっ?」
女「葉っぱの学生さんにも女友達なんてものがいたんだねえ」
常子「はぁ…」
女「部屋にいますよ、どうぞ」

星野の部屋の前
廊下に座り声をかける常子
「すみません、常子です、まつさんのお使いで来ました」
返事はない
常子「星野さん?…星野さん大丈夫ですか?開けますよ」
と、襖を開けると目隠しして耳を押さえてうずくまり花を見ている星野の姿が…
常子「えっ?…星野さん…?」
星野の肩を叩く常子「星野さ…」
星野「あっ!」と、驚いて身を起こし目隠しを取る星野
常子「んあ!んあ!」
星野「ああっ…あ~常子さんか…」

きちんと座り説明している星野「植物の香りを調べていたんです
視覚と聴覚に左右されないよう目と耳を覆い…」
常子「ああ~」
なんだか気まずそうな様子の星野が「あっ」と立ち上がり
隣の部屋の襖を開ける
常子「えっ?」
星野「みょ…妙齢の女性と二人きりですから誤解を招かぬよう念のため」
常子「ああ…すみません」と、少し目が動き意識した表情
星野「あ…その後タイプライターの練習はいかがです?」
常子「紙を使った練習で一応順調に」
星野「それはよかった」
沈黙
星野「順調…なんですよね?」
常子「あ~…練習…は?…でも不安でいっぱいです」
星野「不安?」
常子「いくら必死に練習しても
今まで長い間特訓してきた人に勝てるのかどうか…
不採用になったらほかに働く所が見つかるかどうかもわかりませんし
仕事が決まらなければ妹を大学に行かせてあげられない…
星野さんが羨ましいです、植物の研究というしっかりとした目標があって」
星野「実は…先日、実家にいる弟が兵隊に行きました」
常子「それは…おめでとうございます…」
星野「ありがとうございます…本当は大学院に進学して
まだまだ研究を続けたいところですが、こうなった今
就職して弟の代わりに親を支えるべきなのではないかとも考えたり
卒業後の進路を決められないでいるのが現状です」
常子「はぁ…」
星野「ああ、すみません、僕の話にすり替わってしまって」
常子「あ~いえいえいえ」
星野「常子さんの話を聞いてあすなろを思い出しました」
常子「うん?あすなろ?」
星野「はい、檜に似ている樹木です
(明日は檜になろう)そう願っているのになれないので
翌日の翌に檜と書いて翌檜(あすなろ)と
呼ばれるようになったという説があります」
常子「へえ~…でも何だかかわいそう」
星野「そんな事はありませんよ、うん
あすなろはあすなろで立派な樹木で僕も大好きです
だから常子さんも他と比べて自分を卑下する必要はないんです
あすなろとしてちゃんと育てば檜にだって負けない立派な樹木になる」
うなずく常子「あ…そうですね」
星野「常子さんなら必ずタイピストになれます」
嬉しそうにうなずく常子「はい、ありがとうございます」

昭和十一年十二月

<12月になり、いよいよ就職試験の日>

仏壇の前で手を合わせる常子「とと、行ってきます」

玄関で常子を見送る小橋一家
常子「それでは行ってまいります」
君子「車にひかれないようにね」
鞠子「道に迷わないようにね」
美子「指、つらないようにね」
うなずいた常子が振り向いて歩き出す
宙に右手の人差し指を動かせてイメージトレーニングしながら…

(つづく)

東堂は初登場の時はかっこよくて熱意のあるキャラだったけど
鞠子の秘密を喋った件とか常子にタイプを教える件とか
間抜けだったり投げやりだったりイメージ崩れてきたw
まあ片桐はいりが演るんだからこれがあたりまえか

綾が常子に結婚の事をあえて話さなかったのは
常子がタイプの練習で大変だったからだろうか?(結局話したが)
「少し怖い」と言う綾は本当は常子に相談したかったのかもしれないが
常子が心配そうな顔をすると「あなたの方が心配、体壊さないで…」
綾の結婚の件は今後、何か展開があるのかもしれない

隈井が「先客」と言ったのは美子の事だろうが
これは単に隈井が滝子の孫との時間を大切にしたくて気を利かせた?
このドラマには役者を登場させるために余分なシーンを
作る事があるが、まあ他に意味がなければそれでいいのだが

滝子が美子に新しい筆入れを買うのではなくて
りぼんをつけてあげたのは君子への配慮なのかもしれないが
君子たちの暮らしや生き方を尊重するという
滝子自身の変化なのかもしれないね

帰ってきた常子にまつが待ってましたとお使いを頼んだのは
もしかしたら気を利かせた?
常子の級友たちの結婚話もあったが常子はそういう歳だ(当時では)
君子が星野を気に入ってるような描写もあった
常子と星野の件は周りは応援ムードなのかもしれない

星野も常子をはっきりと意識している
常子の事を「妙齢の女性」と言ってたし
さらにあすなろを大好きだと言った上で常子をあすなろに例えた
これはもう愛の告白といってもいいのかもしれない
(28話の漱石の月の件は違っていたが…)

「あすなろ」という言葉にはその木の特性から「まっすぐに成長する」
というような意味(イメージ)があるようだ

ラストの小橋一家は常子を侮り過ぎだろw
車に轢かれるなとか道に迷うなとか小学校低学年扱いだ


2016年5月24日火曜日

とと姉ちゃん(44)常子、タイピストを目指す!

歯磨きチューブが次々に破裂して大混乱の森田屋を訪れた
星野(坂口健太郎)「うわっ!うわ~!あっ」
と、床の大鍋を手にして飛んでくる練り歯磨きから顔をガードする 
常子(高畑充希)「星野さん!」と、隣に来る 
星野「アルミ製のチューブを使ったんですか?」 
常子「はいはいはい」 
星野「アルミと歯磨きが反応して気体を発生させたんです
つまりその気体が原因でこの破裂…」 
常子「ああ、もうなな…なんとかして下さい!」 
星野「そう言われましても…」 

やっと破裂が収まった現場
それぞれ顔を歯磨きで汚し力なくチューブの残骸を囲んでいる一同
突然、常子が笑い始める「フッ…フフッ…」そして口を押えて「ハハハ…」
鞠子(相楽樹)「とと姉?」
星野「どうしました?」
常子「いや…失敗しちゃいました、ハハハ…」と、可笑しそうに笑う
照代(平岩紙)「うん、見れば分かる」と、笑いだす一同
まつ(秋野暢子)「滑稽だねえ!ハハハ!」
長谷川の顔を指す宗吉(ピエール瀧)「お前ものすごい顔してんな!」
君子(木村多江)も「全員ですよ!」と、笑っている

<失敗はしましたが常子は後悔していませんでした
歯磨き作りに夢中になったこの1か月は
それはそれは刺激的な日々だったのです>

帰っていく滝子(大地真央)たち

居間で森田屋の面々が滝子はかっこよかったなどと話していると
鉄郎(向井理)が「いや~すまんすまん、ヘヘッ」と、ひょっこり帰って来る
(一同)「あ~!」
「よお」と、左手を上げて「何だよみんなして怖い顔して~
ここは優しくお帰りなさいって迎えるとこだろ?」
借金押し付けて森田屋さんにまで迷惑かけて…と口々に非難する一同
鞠子「よく戻ってこれましたね今更」
「へいへいへいへい」と、常子の前にいき「ほらよ」と封筒を置く鉄郎
常子が中身を確かめると札束が入っている「これは?」
鉄郎「方々頼み込んでかき集めたんだよ
もうお前らには迷惑かけねえよ」
借金の件は片が付いたと一同が説明する
鉄郎「…んだよもう!もっと早く言ってくれよ!
大変だったんだぞ、さんざん頭下げてさぁ」
鞠子「叔父さん、逃げたんじゃなかったんですね」
鉄郎「当たりめえだろお前!俺が逃げる男に見えるか?」
長谷川(浜野謙太)「見えるよ」
鉄郎「見えるよなあ、それは俺もわかってた、うん
でもそこを見えないって言ってほしかった俺のいじらしさ…」
立ち上がり「俺だけはよ信じてたぜ鉄ちゃんの事をよ!」
と、鉄郎と肩を組む宗吉
鉄郎「お~宗吉っつぁん!」と、宗吉の頭をなでる
常子「あれ~?確か叔父さんの事
腹巻きバカとか言ってませんでしたっけ?」
確かに言ってたという一同に少しすねる鉄郎
宗吉「言う訳ねえじゃねえかよそんな事よ、ハハハッ」

辺りが暗くなって鉄郎が森田屋から出ていく
追いかけてきた常子たちが戸を開ける「叔父さん!またどこかへ?」
腹を押さえる鉄郎「ああ…仲間の大事な金だからすぐに返してやんねえと」
常子「そっか…」
鉄郎「その名残惜しさを次会う時の笑顔に変えてくれ…あばよ」
と、ちょっと気障に夜空を見上げたりしながら言って去っていく
鞠子「何?今の」
首を振る君子「さぁ…」

美子(根岸姫奈)が眠っている部屋
ちゃぶ台を囲む常子鞠子君子
常子「鞠ちゃんごめんね」
鞠子「うん?何が?」
常子「本当は歯磨きで一山当てて
鞠ちゃんの大学進学のお金に充てようと思ってたんだけど…」
君子「進学?」
鞠子「何でその事…」
常子「東堂先生に問い詰めて教えて頂いたの」
鞠子「そっか」
君子「鞠子、どういう事?」
君子に向き直る鞠子「私…大学へ行きたいんです」
君子「大学?」
鞠子「黙っていてごめんなさい!何度も迷ったんだけど
どうしても大学で文学を勉強したくて」
常子「私は応援するわよ」
君子「私は賛成できないわ」
常子「どうしてですか?」
君子「当たり前でしょう、学費がいくらかかるか分かってるの?」
常子「お金なら私が」
君子「常子、お金を稼ぐというのは容易な事ではないんです」
鞠子「初めてなんです!」
鞠子を見る2人
鞠子「平塚らいてうの文を読んで今まで感じた事がないぐらい
胸が熱くなりました、自分もこんなふうに人の心を熱く焦がせるような
女の人の生き方を後押しできるような文章を書きたい
私の文章でたくさんの女の人を勇気づけたいってそう思ったんです!
だからもっと勉強がしたい…
私も内職するし今以上におうちのお手伝いもやります
だからかか…許して下さい、お願いします」
常子「私からもお願いします
鞠ちゃんの夢をかなえさせてあげて下さい」
頭を下げる2人の娘を見て君子「確かに初めてね…」
顔を上げて母を見る鞠子
君子「いつもみんなに合わせてばかりの鞠子がこんなわがまま言うの…
分かったわ、ただし常子がきちんと仕事を見つける事が条件よ」
何度もうなずく常子
ほっとした顔の鞠子「本当?」
君子「鞠子には立派な文豪になってもらって
いずれ家でも建ててもらいましょうか」と、軽口を言う
常子「かか…アハハハ」
鞠子「かか、ありがとうございます」と、礼を言い
常子に向き直る「とと姉、よろしくお願いします」と、頭を下げる
常子「うん、頑張ってお給金のいい勤め先見つけないと~」
鞠子「私も勉強頑張る」
常子「うん、歯磨き作りも終わっちゃったし頑張ってよ勉強」
鞠子「そっか、明日からもう歯磨き作らないのか」
常子「またいつか家族みんなでやれる事があるといいわね」

<将来また家族で仕事をする日が来る事を
この時は誰も想像していませんでした>

女学校で常子は東堂に歯磨き作りが失敗に終わった事を話し
事業を起こすよりも堅実な就職をと思いまして…と
就職先を紹介してほしいと相談する
タイピストの職に推薦が決まっていた後藤が急きょ結婚する事になり
推薦が取り消され枠が空いたためタイピストを目指す事になる常子
ただタイプライターの技術を習得するのはとても困難で
東堂でも苦しんだほどだという
東堂「小橋さん、あなたにその覚悟はおあり?」
常子「はい!」
東堂「タイプライターには英文と和文の2種類あります
推薦する社は文具などを扱う商社なので
英文タイピストの方が多数ですが推薦枠は和文タイピストです」
和文タイプライターの前に座る常子
「これを使って書類を作成する訳ですね」
東堂「いいえ、基本的には男性社員の作った書類を
会議出席者に配る資料として清書する…
それがタイピストの仕事です」
常子「手書きじゃ駄目なんですか?」
東堂「想像なさい」
目を閉じる常子
東堂「手書きで何十枚も清書する苦労を
来る日も来る日も文字を書き続け腱鞘炎になって…
ところが!」
驚いて目が開いてしまう常子
東堂「このタイプライターではカーボン紙なるものを挟んでタイプすれば
なんと一度に6枚分も作成できるのです」
口を手で押さえる常子「お~!じゃあこれを使えば
あっという間に清書ができる訳ですね」
東堂(淡々と)「はい、夢を見るのはここまで」
常子「えっ?」
東堂「和文タイプライターはアルファベットの鍵盤を両手で打つだけの
英文タイプライターとは全く違います
右手は本体のレバーを左手は文字盤のハンドルを
それぞれ操作して打ちたい文字を探す
見つけたら右手のレバーを下げて文字を打つ
ここには平仮名片仮名常用漢字など2273文字あります」
目を丸くする常子「2273文字?」
東堂「タイピストは時間が勝負ですからどこにどの文字があるのか
きちんと把握していなければなりません
つまりこの文字の並びを全て暗記して頂きます」
またもや目を丸くする常子「暗記?」
東堂「いちいち驚いている時間はありません、即刻覚えましょう」
常子「はい!」
東堂「ではまず平仮名から…さくらがさいた」
常子「さ…さ…さ…ありました!」と、文字を打つ
東堂「報告はいいから…」

<鞠子を大学に入れるため思いがけずタイピストという職に
飛びついた常子。その試練の日々が始まりました>

「ありました、さ…さ…さ…あっ」と、ちょっと楽しそうな常子

(つづく)

一度失敗しただけで歯磨き事業から撤退するのはもったいない
ような気がするけど、君子が出した条件が就職だから事業を諦めて
鞠子のために常子はタイピストを目指す事にしたんだろうね
それにしても2273文字の場所を覚えるなんて気が遠くなる…
昔の人はすごかったんだね

金を持って戻ってきた鉄郎が株を上げたみたいな展開だったけど
みんな甘すぎるだろw
結局、常子たちが肩代わりしたようなものなんだから

夜になってからそっと鉄郎が出ていくのはいかにも「寅さん」だった 
それっぽい事を言って気障に去っていく鉄郎に
君子たちが首をひねるのも無理はない
なぜなら君子たちは「寅さん」を知らないのだからw
このあたりのユーモアはいい演出だったと思う

2016年5月23日月曜日

とと姉ちゃん(43)改良!?チューブ入り歯磨き

前回の続き、朝から途方に暮れる常子(高畑充希)たちのもとに
「大事な話がある」と、星野(坂口健太郎)が訪れる 
星野「こんなに早くにすみません、すぐお伝えした方がいいかと」
と、語り始めた話の内容は常子に貰った歯磨きの製品自体は良いのだが
紙にくるまれた状態だとどうしても多くつけ過ぎてしまうので
つける分だけ取り出せるなど容器に工夫があればより使いやすくなるのでは…
というものだった 
常子「容器にね…」 
鞠子(相楽樹)「でも容器を工夫したって搾取されるだけだし…」 
常子「あ~…」 
君子「そうよねぇ」 
星野「搾取?」 
常子「それが…」 

事情を聞いた星野「そうですか…それはひどい話だ」
「はい…」と、うなずく常子たち
星野「じゃあ容器の改良どころでは…」
鞠子「ええ、まずは借金取りをどうにかしなきゃ
二兎を追う者は一兎をも得ず…よ」
常子「ん~…」
君子「すみません星野さん、せっかく助言して下すったのに」
星野「いえ」
そのとき星野のノート(植物雑記帳)を見ていた美子(根岸姫奈)
「あっ、これきれい、かか見て、とってもきれい」
ノートを覗く一同
君子「本当にきれいなヒナゲシ…あ…確か前に見せて頂いた時は色って…」
星野「ええ、あのあと色づけしたんです、絵の具で」
常子の目が動く「ん?絵の具?」

居間
「ひでえ話だ!」と、膳を叩く宗吉(ピエール瀧)
照代(平岩紙)「借金返すまで作らされるって事でしょ?」
まつ「金返してもそのあと分かりゃしないよ
イチャモンつけて骨までしゃぶるつもりかねえ」
富江「叔父さんいつ戻ってくるの?」
長谷川(浜野謙太)「いや、きっと戻ってこねえよ」
宗吉「あの腹巻きバカ、とんずらする気だ
常子たちが馬車馬のように働かされるってのによ!」
「いえ、心配はご無用です」と、自身満々の常子
宗吉とまつ「は?」
従来品の歯磨きを手に常子「借金取りにはこの紙で包んだ歯磨きを渡します」
常子の横で小橋一家がうなずく
「500個作って完売すれば借金とほぼ同額になるので向こうも納得するでしょう
ですがそれだと私たちの利益にならない
そこでこれよりも優れた製品を開発して売り出す事を考えました」
まつ「借金取りを出し抜く訳かい」
宗吉「で、何なんだ?その優れた製品ってのは」
絵の具を見せて、このチューブに入れれば必要な分だけを取り出せると説明する
常子と鞠子
それはいい考えだと納得する森田屋の面々
常子「ただ…大量に作るにはちょっとお部屋では狭くて…
あの…どこか場所をお貸し頂けませんか?」
宗吉「う~ん…」
君子「お仕事に差し支えないようにいたしますのでお願いします」
と、頭を下げる小橋一家
宗吉「場所があったってよ、どうせお前らじゃそんなに作れねえだろ」
まつ「また反対すんのか、お前はいつだって…」
宗吉「4人じゃ足りねえって言ってんだよ!」
まつ「えっ?」
宗吉「一つ屋根の下に暮らしてんだ、知らんぷりもできねえだろ」
「えっ、それって…」と、笑顔になる常子
「素直に最初から協力するって言やぁいいものを…宗ちゃんいい子いい子」
と、まつが宗吉の頭をなでる
宗吉「触んなよ」
まつ「私も乗ったよ」「私も」「私も」「俺も」と、森田屋の面々

部屋でねり歯磨きを作る3姉妹

厨房でチューブ入り歯磨きを生産している君子と森田屋の面々

<そしてあっという間に1週間が過ぎ…>

厨房
富江「予定どおりいくかな…」
長谷川「いざとなりゃね…あっしがなんとかしてやりまさぁ」と、腕をまくる
宗吉「いや、おめえには無理な相手だ俺に任せろ」
長谷川「いいや大将が出るまでもねえですって、あっしがピシッと…」
(激しくガラス戸を叩く音)「ごめんよ!」
ビクッと硬直する一同
「あ~来たよ~」と、うろたえるまつ
常子が走って来る「皆さん、落ち着いて下さい
いつもどおりに振る舞って下さいね」
常子と鞠子が箱に入った紙入りの歯磨きを2人の男に渡すが
着流し「これで全部か?思ったより少ねえな!」
常子「1週間じゃこれが限界で…」
鞠子「何しろ手作りですから…」と、泣きの小芝居をする姉妹
「まあしかたないか」と、納得しかけた男たちだが
「いい匂いだな…」と、調理場に立ち入った着流しが
鍋に隠していたチューブ入りの歯磨きを発見してしまう
常子と鞠子を責める男たち
着流し「この野郎こんなに隠しやがって
おい!俺たちを出し抜くつもりだったのか!」
そこに「おい!」と、海老の串刺しを持った宗吉とおたまを手にした長谷川が
調理場から出てくるのだが手が震えている…
宗吉「さっき渡した分で借金の返済には…十分だろうが!」
長谷川「そうだ!そうだそうだ!」と、宗吉の影に隠れる
着流し「なめた口利いてっと一生包丁握れねえ体にすんぞオラ!
指の一本や二本切り落とすなんざ朝飯前なんだよ!
文句あったら手ぇ出せ、おい!」
串とおたまを持った手を後ろに隠して沈黙する宗吉と長谷川
常子に向き直る着流し「おい、これから毎週受け取りに来るからな」
常子「そんな…」
着流し「ガタガタぬかすんじゃねえ!
言うとおりにしねえと店ごとメチャクチャにすんぞオラ!
分かったら返事だ返事!」
怯えて動けない森田屋の面々
「それくらいにしな!」と、声がして表のガラス戸が開かれる
滝子(大地真央)を先頭に隈井(片岡鶴太郎)や清(大野拓朗)もいる
その後ろには日焼けしたマッチョを含めた青柳商店の若い衆が5、6人
滝子「これ以上派手に暴れたら私らが黙っちゃいないよ!」
着流し「何だ?てめえ」
隈井「てめえら誰にアヤつけてると思ってんだ!」
清「言っとくけど」と、マッチョの肩を叩いて振り向く「こっちは本気だぜ」
滝子「深川と喧嘩する覚悟があるってんなら受けて立つよ!」と、啖呵を切る
背広が着流しにアゴをしゃくってやれと合図するが動けない
着流し「兄貴…」と、怯えて首を振る
(長い間、成り行きを見守る一同)
背広がやっと口を開く「しかたねえ、手打ちだ」
「フッ」と笑った滝子「顔色一つ変えないのは立派だが…」
と、背広の足元を見る「足が震えてるよ」
ガタガタと足が震えている背広と固まっている着流し
滝子「とっとと帰んな!」
慌てて逃げ出す2人の男(早送りw)

「ありがとうございました、おばあ様」と、頭を下げる常子たち
滝子「何やってんだい!どうして相談しなかった?」
常子「心配かけたくなくて」
隈井「…ったくもう!水くさいじゃありませんか、家族だってのに」
常子「ごめんなさい」
チューブを手に取る清「ん?これって絵の具?」
常子「あ、自分たちで作った歯磨きです」
隈井「かぁ~やるもんだねえ」
滝子「こんなにたくさん作ったのかい、大したもんだねえ!」
と、笑った顔になにやら白いものが飛んでくる
常子「おばあ様?」
そして次々と破裂し始めるチューブ入り歯磨き
常子「あっ!えっ?えっ?」
破裂音と逃げまどう一同で現場は大混乱に…

(つづく)

宗吉と長谷川にも鉄郎がどんな人間なのかが分かってもらえたようだ
「きっと戻ってこねえ」「腹巻きバカ」って言われてたw

宗吉と長谷川は怖い人たちにも果敢に立ち向かったけど
指落とすって言われたらそりゃびびるよね
板前できなくなるし…

次週予告で観てたとおり滝子がやっぱり助けてくれた
清はマッチョがついてるからやたら強気だったね
着流しはきっとあのマッチョにびびったんだろうw

背広はやっと喋ったと思ったら大した事なかった
滝子の方が上手だったようだ

チューブが破裂したのはなぜだろう?
鍋に入っていたから間違えて温めてしまっただけとかならいいのだが
(それでも1週間の苦労が水の泡だが…)
製品自体に欠陥があるとしたら大問題だ
今週は常子が職業婦人になるという事でお勤めでもするのだろうから
歯磨きビジネスは何らかの理由で頓挫するんだろうなあ…

ヒナゲシの花言葉は「恋の予感」「いたわり」「思いやり」
「陽気で優しい」等とのこと