2016年5月28日土曜日

とと姉ちゃん(48)仕事を振ってもらえない常子は…

山岸(田口浩正)「早乙女君、あとはよろしく」 
早乙女(真野恵里菜)「はい」 
山岸が部屋を出ていくと再びタイプを打ち始める女たち 
早乙女が立ち上がる「早乙女朱美です」 
常子「小橋常子です、今日から…」 
早乙女「先ほど聞きましたから結構、時間がないので仕事の説明に移ります」 
常子「はい」 
早乙女「まずは出勤時の説明をします、一旦廊下に出て」 
「はい」と、早乙女に付いてタイプを打つ音だけがする部屋を出る常子 

タイトル、主題歌イン 

早乙女にタイムカードの説明を受ける常子 

部屋に戻る2人 
早乙女「では業務内容を説明します」
常子「はい」
早乙女「こっちに来て、タイピストは英文と和文に分かれていて
あなたは和文だからこっちね」と、3列目右の席を与えられる常子
どうやら1列目と2列目の6席は英文で3列目の2席が和文のようだ
早乙女「多田さん」
多田(我妻三輪子)「はい」
早乙女「今日から入った新人さん、あなたと同じ和文なので仲よくしてあげて」
多田「はい」と、立ち上がり「多田かをるです、よろしく」
常子「小橋常子です、よろしくお願いします」
早乙女「以上になります、分からない事があったら何でも聞いてちょうだい」
と、仕事に戻ろうとする早乙女に常子「あっ、あっ…朱美さん
あの…私は何をすれば?」
早乙女「何を?」
常子「はい、あの…作業というか…業務は?」
早乙女「タイプする原稿は私が確認してから皆さんに割りふっています
いつ仕事を振られてもいいよう待機していて下さい」
常子「はい!」
早乙女「それから…下の名前ではなく苗字で呼んで下さい」
常子「すみません」
部屋にタイプの音が鳴り響く
前列中央の席に着いて原稿を手に取る早乙女「諸橋さん」
諸橋(野村麻純)「はい」(前列左の席)
早乙女「この原稿今日の午後一番までにお願いできる?」
諸橋「はい」と、原稿を受け取る
早乙女「先週の営業会議の書類
誤字が1か所ありました、気を付けてちょうだい」
諸橋「すみませんでした、今後注意します」
早乙女「織田さんちょっと」
織田「はい」
早乙女「輸出品の明細…清書をお願い」
織田「分かりました」
早乙女「なるべく急いでちょうだい」
織田「はい」
常子が左の席の多田に話しかける「すごいですね朱美さんって」
多田「朱美さんじゃなくて早乙女さんです」
常子「ああ…早乙女さんってどうして苗字で呼べっておっしゃるんですか?」
多田「ああ、それは…」と、難しい顔になる
早乙女「多田さん」
多田「はい!」
早乙女「和文の原稿お願いできる?」
多田「もちろんです」と、立ち上がり原稿を受け取ると仕事に戻る
タイプの音が鳴る部屋で自分の席の機械にかけられた布カバーをめくり
和文のタイプを見て眉をそびやかし笑顔になる常子

<職業婦人を目の当たりにした常子は
その姿に感激し負けずに頑張らねばと奮い立ちました>

傾いた陽が差し込むタイプ室

<しかし夕方になっても仕事が回ってくる事はありませんでした>

カバーがかけられたままの機械の前に座っているだけの常子
「多田さん」と、早乙女が後ろの席にやってくる
多田「はい」
早乙女「これ、明日までにお願いできる?」と、原稿を差し出す
目の前の原稿を見る常子
多田「あ…明日までですか?」
早乙女「無理ならしかたないけど」
原稿と多田を見やる常子
多田「いえ…大丈夫です」と、立ち上がり原稿を受け取る
「じゃあお願いね」と、席に戻っていく早乙女
再びタイプの音だけになった部屋で常子が立ち上がり
早乙女の席の前まで行き「すみません早乙女さん」
タイプの音が止まり部屋が静かになる
手に持った原稿に目を落としたままの早乙女「何かしら?」
常子「あの…私まだ何もしていないのですが」
早乙女「だから?」
常子「だから…お仕事を回して頂けませんか?
和文の原稿はたくさん来ているようですし私にも少し…」
常子の顔を見る早乙女「そのうち回します、待機していて下さい」
常子「はい…」
と、引き下がる常子と再び部屋に響き始めるタイプの音

<結局この日、常子は何の仕事もさせてもらえませんでした>

夜、森田屋の厨房
鞠子(相楽樹)「本当に?」
常子「うん、今日は何も」
宗吉(ピエール瀧)「新米なんてそんなもんじゃねえか?」
常子「そうなんですかねえ」
照代(平岩紙)「何か言われるまでじっとしてていいんじゃない?」
富江(川栄李奈)「下手に動いてヘマされると周りが混乱するもんね」
君子(木村多江)「ですよね、私も入ったばかりの頃、皆さまにご迷惑を」
富江「いえいえ」
照代「君子さんだけ悪い訳じゃないのよ
うちも忙しくて教えられる時間なくて」
まつ(秋野暢子)「まあ話聞く限り常子の会社も忙しそうじゃないか
そのうち嫌でも仕事回ってくるよ
せっかく雇っといて飼い殺しなんかしないだろ?」
常子「そうですよね」
長谷川(浜野謙太)「う~ん、どうかな?」
常子「うん?」
長谷川「いや俺ね、ここ来る前料亭の板場にいたんだけど
新米の頃常子みたいにさ、何もするなって言われて何もしなかったんだよね
そしたらすぐクビになっちゃった、アハハ…」
常子「そんな…」
長谷川の頭を叩く宗吉「脅してどうすんだお前」
長谷川「あっ」
まつ「安心おし常子、あんたは長谷川なんかと違って出来る子なんだから
クビになんかなるもんか」
宗吉「確かになあ、使えねえ長谷川とは大違いだ」
長谷川「大将勘弁して下さいよ~」
宗吉「本当の事だろ」
笑顔になった常子「皆さんありがとうございます、そう…ですよね、うん
明日になれば…うん」

<しかし翌日も…>

タイプの音が鳴る部屋で座っているだけの常子

<そのまた翌日も…>

スルーされる常子の眼前、早乙女から多田に渡される原稿

<常子に仕事は回ってきませんでした>

退社時のタイムカードを打ち3日間の出社記録
1日.8:45→5:03 2日.8:42→5:06 3日.8:40→5:05 を見て退社する常子

店屋でおしるこを食べている常子と星野(坂口健太郎)
「そうですか、職場でそんな事が…」
常子「あ…すいません突然お誘いしてしまって」
星野「いえ、僕も植物採集で疲労困憊のため
糖分を補給したいと思っていたところだったんです」
常子「このまま帰って家族の前で笑える自信がなくて…
不安なんです、このまま何もさせてもらえないと
クビになってしまうかもしれないし…」
常子の様子が気になったのか箸を置く星野「常子さんらしくもない」
常子「えっ?」
星野「どうしたもんじゃろのぉ…の時は思い悩んだりせず動いてみる
今まで常子さんはそうしてきたはずですよ」
常子「フフッ、私の事をそんなふうにご覧になっていたんですか?」
星野「はい、僕の観察によるとそうです
…あっ!いや、あの…観察という言い方は不適切ですね」
常子「フフッ、でも…確かにおっしゃるとおりだわ」
星野「うん」
常子「星野さんといると不思議です」
星野「不思議?」
常子「家族には話せないような事もこうやって素直に…」
星野「あ…いや…」と、照れて頭をかく
その右手がケガをしている事に気付きハンカチで巻いてあげる常子
少しドギマギしたような星野

タイプ室
早乙女の席の前に常子が立っている
早乙女「分からない人ね」
部屋のタイプの音が止まる
早乙女「仕事はそのうち回すとお伝えしたはずですよ」
常子「そうなんですがそのうちと言いましても一向に何も…」
早乙女「私のやり方に不満があるんですか?」
常子「いえ、そういう訳では」
諸橋道子「あなた、新人なんだから早乙女さんのやり方に従うべきよ」
2列目の女「道子さんの言うとおりよ」 「生意気ね」
早乙女「仕事に戻って」
(一同)「はい」と、再びタイプの音が響く

廊下を歩く山岸に訴える常子
山岸「はいはい話は分かりましたよ」
常子「では課長から早乙女さんに打診して頂けますか?」
山岸「でもねえ、タイピストに関しては早乙女君に一任してるから…
早乙女君とうまくやってよ」と、行ってしまう
その後ろ姿を見ているだけの常子

廊下を歩く他の男性社員に常子「何かお手伝いできる事はありませんか?
電話番でも書類整理でも何でも構いません」と、営業部の部屋に入る
「女にできる訳がない邪魔だ」と言われる常子
部屋の扉が開き早乙女が常子の様子を見る
常子が机を整理しようと勝手に書類に触り男性社員に「出ていけ」と叱られる
早乙女が常子に声をかける「小橋さん、ついてらっしゃい」
常子「…はい」

タイプ室(浄書室)
タイプの音が止まっている部屋で原稿を確認している早乙女
「それじゃあ小橋さん、この原稿4時までにお願いできる?」と、差し出す
常子「えっ?」
早乙女「できますか?できませんか?」
常子「はい!できます!」と、嬉しそうに原稿を受け取る

やっとカバーがはずされた常子のタイプライター
常子が原稿をセットする
口元に少しの笑みを浮かべた常子が一つずつ文字を打ち込んでいく
前の席から常子に振り向いている早乙女
部屋の壁に立ち常子を見ている諸橋
そして隣の席でまばたきをしながら常子を見る多田
音が止まった部屋で常子のタイプライターが動き始める

(つづく)

早乙女がわざと常子の前に原稿を見せびらかしてから
多田に渡しているように見えるw
なんだかいじめられているみたいな常子だけど
今までのパターンからいくと早乙女も諸橋も悪い人じゃないんだろうね
森田屋の最初とかもっとひどかった気がする
早乙女が多田に「仲よくしてあげてね」と言ってるし
だけど仕事を振ってもらえないのは困るなあ
それにも何か理由があるのだろうが…

早乙女が苗字で呼ばせるのはもしかしたら女性蔑視への抵抗?
常子は意識せずに男は苗字、女は下の名前で呼んでるけど…
やはり鳥巣商事編はそれがテーマになるのだろうか?

常子が早乙女に意見した時に皆のタイプの音が止まるのが怖い
彼女に逆らうのはタブーなんだろう

常子が仕事を与えられて初めて部屋の名前(浄書室)が映し出されたが
これは主人公にとってやっと意味のある仕事の部屋になったという
細かい演出なのだろうか?
(それまではタイプの音がするただの「部屋」だった)

仕事を振られなくて不安な常子を励ます森田屋の面々
常子は家族に笑える自信がないと星野を誘う
もうこれ常子と星野はつきあってる感じ?
常子にはその自覚はないのだろうが…

星野が常子に対して「僕の観察によると…」と言ってしまったのは
植物を愛し花に「きれいだよ」と語りかける星野にとって
観察する対象=愛する対象という事なのだろう









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