2016年5月7日土曜日

とと姉ちゃん(30)ごはんも大事

ゲラニウム・カロリニアヌムは既に別の人が発見していた事を知り
居間に集まった森田屋の面々は沈んだ面持だ 
君子(木村多江)「星野さんは知ってるのかしら…」 
常子(高畑充希)「今日、教授にご報告に行くとおっしゃっていたので
知らされてるんじゃ…」 
その時「ごめんくださ~い」と、表の方で星野(坂口健太郎)の声がする 
浮足立つ一同 
宗吉(ピエール瀧)「…おう!入ってこいよ!」 
さらに慌てる一同 
泣きそうな顔の常子にまつ(秋野暢子)「そんな暗い顔しない、笑顔笑顔笑顔笑顔!」 
泣きそうな顔のまま、両手で頬の肉を持ち上げようとする常子 頬を叩いてもみる 
そして現れた星野の前で取り繕う一同 
挨拶して着座する星野に皆ぎこちない対応だ 
常子「あの…教授にご報告は?」 
星野「それが、大学が休みだったもので行ってません」 
(一同)「えっ!」 
長谷川(浜野謙太)「じゃあ知らねえのか」 
星野「何をです?」 
常子「あっ、いやいやいや…楽しみですねお祝い」と、笑顔でごまかす 
星野「ええ、このように飾りつけまでして頂いて目頭が熱くなります」 
その言葉を聞いて、本当に辛そうな常子 
宗吉が「準備しないと…」と、一同が立ち上がると
「僕も準備…」と、星野も立とうとする
まつが「あ~!あんたはここにいなさい、ここにいていい」と、肩を押さえて座らせる 
宗吉「主役はさ、何もしねえでで~んと構えてりゃいいんだで~んとな」 
星野「で~ん…」 
宗吉「で~んだよ、で~ん」 
星野「いや、やはり…」と、また立ってついてこようとする 
宗吉が前に立ちふさがり「ア~ハハ~!で~ん!」と、畳を指さす 

タイトル、主題歌イン 

厨房に集まった一同
宗吉「何だよ、何にも知らねえじゃねえかよ」
まつ「ますます不憫だねえ…」
照代(平岩紙)「あっ!新聞…」
「私が持ってきました」と、新聞を掲げる鞠子(相楽樹)
ホッとして鞠子に抱きつく常子
宗吉「やるじゃねえか」
長谷川が「見つかったら大変だ、後でどっか隠しとくよ」と言って新聞を受け取る
富江(川栄李奈)「でも今秘密にしたって、そのうち分かっちゃう事でしょ」
君子「そうねえ、後になればなるほどつらいかも」
宗吉が「こうなったら…」と
長谷川に伝えてこいと命じるが、逆に大将が言ってくださいと言い合いになる
その時「私が伝えます!」と、目を固く閉じた常子が宣言する
目を開き、弱った様子の常子「私がキノコがあるって青柳に行かなければ
こんな事にはならなかった訳だし、星野さんを傷つけるような事もなかったから…」

居間
星野にお茶を出す常子
廊下では一同が襖に聞き耳をたてている
星野「実は今朝、国の両親に手紙を出したんです、今回の発見の報告で
僅かながら恩返しができました、これも常子さんのおかげです、ありがとう」
幸せの絶頂にいる星野に礼を言われ、困り果てる常子
星野「それで常子さんのお話は?」
常子「えっ?ああ…私は…あの…え~と…好きな食べ物は?」
星野「え?」
襖の外では一同が落胆して目を閉じている
常子「あの…星野さんのお祝いなので宗吉さんが聞いてこいって」
星野「そうだなあ…みそ汁かな」
常子「みそ汁?」
星野「うん、田舎にいた頃母が作ってくれた」
常子「へえ~…」
星野「あっ、お祝いして頂く席でみそ汁はおかしかったか」
常子「いえいえいえ…宗吉さんに伝えてきますね」と、逃げ出す
襖の外の一同も慌てて退散する

厨房
一同を見渡し、「言えなかった~!」と顔を隠す常子
富江「しかたないよ」
照代「あんな事言われたらねえ」
宗吉「しょうがねえ、祝ってやるか?」
(一同)「えっ?」
宗吉「このまま何も伝えねえで
一日ぐらい幸せな気分にしてやってもいいんじゃねえか?」
鞠子「知らぬが仏か…」
宗吉「それだ」
君子「でも楽しかった分、知った時の落胆も大きいのではないでしょうか?」
宗吉「だよな…」
まつ「かわいそうで言葉もないねえ」
その時、居間の方から星野の声「ああ~っ!」
(一同)「えっ?」

皆が駆けつけると星野がお茶をこぼしただけで一同はホッとするのだが
長谷川が例の新聞紙でこぼれたお茶を吸い取ろうと畳に置いてしまう…
記事に目を止め自分の発見が新発見ではなかった事を知り
皆の様子がおかしい理由も察した星野が卓に突っ伏して失神する

部屋で布団に寝かされている星野
心配して取り囲んでいる一同
君子「また貧血かしら」
照代「昨日から何も食べていないのかもねえ」
富江「うれしすぎてそれどころじゃなかったのかも」
まつが「しばらく寝かせてあげよう」と言って皆は席を立つ
常子「宗吉さん、お台所貸して頂けませんか?」

豆腐を切り調理している常子
味見をしてみて笑顔になる

部屋で星野が目をさまし、布団に起き上がり眼鏡をかける
盆を持った常子が前に座る「お食事ができたのでお持ちしました」
星野「ありがとう…みそ汁…常子さんが?」
畳に置かれた盆の上には、ご飯と漬物とみそ汁
常子「はい」
布団の上に正座して「頂きます」と、みそ汁を飲む星野
星野を凝視する常子
星野「これは…母のと同じだ…」
笑顔になる常子「お国が飛騨高山だとおっしゃっていたのでもしかしたら赤みそかなあと」
星野「おいしい…」
常子「よかった~」と、本当に嬉しそう
みそ汁をもう一口すすった星野が黙り込み、そして辛そうな顔になる…
常子「あ…あの…余計なお世話かもしれませんが…ごはんも大事だと思います
あ…もちろん研究も大切だと思うんですけど、しっかりごはんを食べて元気でいる事も
大事だと思います、その方がほら、頭も回るし…だから…
元気でいて下さい、お国のご両親のためにも」
少し驚いたように常子を見ている星野
常子「すみません、差し出がましい事を…」
首を振り、泣きそうになる星野「いや、常子さんの言うとおりだ
とても合理的な考えだと思います、確かに体を壊しては何もできない
ちゃんと食べてちゃんと寝て、いつか必ず新しい植物を発見してみせます!」
と、笑顔でみそ汁をすすった星野がむせる
常子「アハハ!大丈夫ですか?ゆっくり、ゆっくり食べて下さい」
星野「すみません、おいしいですとても」
「よかったです」と、優しい笑顔で星野を見ている常子

森田屋前
「今日もありがとうございました」と、明るく挨拶する星野
見送る一同、ごはん食べないと駄目だよとまつが土産を持たせる
「はい、ありがとうございます、では失礼します」と、笑顔で去っていく星野
森田屋の人たちが中に入り小橋一家が残る
常子「ん~よかった」
君子「おいしいもの食べると人は力が出るものよ」
常子「はい」
美子(根岸姫奈)「分かる、私もおいしいもの食べると元気が出るもん」
常子「本当?じゃあ私、料理の腕磨いちゃおっかな~」
鞠子「星野さん、とと姉のおみそ汁飲んでお母さん思い出したのかもね」
うなずく一同
常子「かかはどうですか?」
君子「えっ?」
常子「おばあ様と」
君子が目を泳がせ「後片づけがあるんだった、ねっ」と、中に入ってしまう
沈黙する姉妹たち
常子が美子の両頬を押さえおどけたため息を吐いて肩を抱き、鞠子を見る
常子「戻りましょうか」
2人「うん」
美子「とと姉ちゃん、ごはんできるまで遊ぼう」
常子「うん」
鞠子「いやいや、とと姉は私と勉強するのよね」
「あら、えっ、私人気者?」と、おどけて見せる常子

その様子を中で聞いている君子

部屋でひとり、木箱の中から手紙の束を取り出して何かを思う滝子(大地真央)

<果たして君子と滝子の関係が修復される日は来るのでしょうか>

(つづく)

あれ?今週常子は新種を発見するんじゃないの?
「常子、新種を発見する」は何かの比喩なの?
かつて三姉妹の行動が「名画」を生んだように
植物じゃなくても抽象的なものでもいいのだが
今週常子は何かを発見したのだろうか?
自分には解らない…
新種を発見したと思ったら違ってた(ヒメヒラタケ)…てだけの事なのかなw

今回は星野に悲しい現実を告げられない心優しい森田屋の面々や
落ち込んだ星野を励ます常子の奮闘などが描かれた

さすが鞠子はしっかりキャラで新聞を持ってきたのだが
隠しておくと言って預かった長谷川が…
弁当の誤配達のときもそうだったが
長谷川がヘマをすることで物語が展開するのだろう

「ごはんも大事…」と言った常子に「とても合理的な考えだ…」と答えた星野
こんな時でも理屈っぽいね、キャラ守ってるw
高畑と坂口の細かい表情も良かったと思う

ラストの三姉妹のシーンは
家族の事を第一に考える常子の立ち位置がよくでてたかな
滝子との関係に折り合いをつけられない君子を見て沈む妹たち
そんな妹たちにおどけてみせる常子の、ととの代わりとしてがんばってる感じが…
















2016年5月6日金曜日

とと姉ちゃん(29)常子、星野と奔走する!

星野(坂口健太郎)の新種発見に懸ける思いに常子(高畑充希)と森田屋の面々が
心を打たれた翌日、厨房で立ち働く一同と
かまちに座りそれをスケッチしている美子(根岸姫奈) 
作業台で包丁を持つ常子が「できた!」と、移動しようとすると
美子が「あっ、とと姉ちゃん動いちゃ駄目!」 
「えっ、あ…こう?」と、元の場所に戻りポーズをとる常子 
「ただいま」と、戻ったまつ(秋野暢子)が「お客さんだよ、ほら上がんなさい」
すると「お邪魔します」と、星野が入ってくる
宗吉(ピエール瀧)「お~早速飯食いに来たのか」と、声をかける 
星野「いえ、昨日のお礼を言いたくて」 
照代(平岩紙)「わざわざいいのに」 
美子「学生さん、このノート何書いてるんですか?」 
星野「ああこれね、この辺りで見つかる可能性がある海外の植物を写しておいたんだ」 
美子「すごい!」 
ノートを開いた星野のまわりに集まりのぞき込む一同 
常子「絵、上手なんですね」 
星野「いや、それほどでは…」 
長谷川(浜野謙太)「いや、てえしたもんだよ」 
富江(川栄李奈)「これなんか本物みたい」 
まつ「この中の一つでも見つかったら大発見って事なのかい?」 
星野「はい」 
(一同)「お~」 
星野がページをめくると常子が声を出す「あっ…えっ?…このキノコどこかで見た気が…」
(一同)「えっ?」 
君子(木村多江)「教科書で見たとか、そういう事なんじゃないの?」 
(一同)「あ~」 
常子「いや、確かどこかで実物を見た気がするんです」 
(一同)「えっ?」
少し興奮気味の星野「どこです?どこで見たんですか?」 
目を閉じて考え込んだ常子が「あっ」と、目を開く 

タイトル、主題歌イン 

青柳商店の前まで小走りで来る常子、後ろには星野もいる
常子「ここです、確かここの中庭に…」
星野「え…ここですか…」
常子「ん?どうかしました?」
星野「あ…ここは…」
すると「こら!またお前か、帰れ帰れほら」と隈井(片岡鶴太郎)と職人たちが現れる
隈井「みんな、つまみ出せほれ」
(職人たち)「へい」
常子が止めようとすると隈井が「何だってこんな押し売りと一緒にいるんですかい?」
常子「まただ…」
常子が星野は帝大の学生で植物の調査をしていると説明して
星野を中庭に入れる許可を求める
隈井「今日のところは常子さんの顔に免じて許してやりやすけどね
おかしなまねしたら即刻出ていってもらいますよ
あっしはね、こんな頭でっかちな青瓢箪でえ嫌えなんだよ、虫ずが走らあ!」
隈井の話では、滝子は秋田の荷主の所へ丸太の検品に出かけて留守とのこと
星野「あの…常子さん、この家とは…?」
常子「あっ、私ここの孫娘なんです
いろいろあって森田屋さんにお世話になっているんですけど」
星野「そうですか」

中庭
「あれ?確かこの辺りに…」と、常子が茂みを探すが目当てのものが見つからない
常子「隈井さん、この辺りにキノコ生えてませんでした?」
茂みを調査する星野「常子さんのおっしゃるとおり、ここに生えていたのは
確かなようです、けどつい最近、採られた跡がある」
隈井「ああ、だったら清(大野拓朗)さんだ!断りもなく朝帰りしたもんで
女将さんカンカンに怒らせちまって掃除命ぜられたんでさぁ」
顔を見合わせる常子と星野

しょぼくれた顔であくびをしながら、枯葉などのゴミが載ったざるを手に道を歩く清
職人たちがたき火をしているのを見つけて、笑顔になりちょこちょこ駆け寄る

清を探している常子と星野

たき火の前で職人たちと談笑する清が
「あっ、そうだ!ついでにここで燃やしちまおうかな」

歩いている職人に清の居場所を尋ねる常子
職人「ああ、眠たそうにあくびをしながら向こうに…」

たき火の前にしゃがんだ清が、ざるの枯葉を火にくべている
そして黄色いキノコをつかんで投げようとしたとき
「あ~あ~!清さんそのキノコ!」と、駆けつける常子 後ろには星野と隈井
「ちょっと失礼します」と、星野が清の手からキノコを奪う
事情がわからない清に、このキノコは新発見かもしれないと説明する常子
私が採ったキノコだから私が発見者という事に?…と、言い出す清
常子「いやいや、でも気付いたのは星野さんだから」
すると隈井まで、キノコの在りかを教えたのは俺だ…と、言い出す
常子「お二人には必要のない手柄じゃないですか
星野さんはこれのために今までの日々を…」
しかし「採集された方に権利があるのは当然です」と、星野が清にキノコを返す
「ただ…残念ながら、それは新発見ではありません
これはヒメヒラタケ、平野部では珍しいキノコですが
12年前に富士山麓で確認されています」
落胆する一同
そこに「隈井さん!大変です!」と、ひとりの職人が走ってくる

青柳商店裏
月島製材から来たケヤキ材の前に集まる一同
清「ああ何だよ、ズブ生じゃないか」
常子「ズブ生?」
清「生乾きなんだ、乾き切ってないの、あ~駄目だねえ…」
職人「どうしましょう?来週、日本橋に納めなきゃいけないってのに…
これ、乾燥させるのに随分かかりますよね?」
隈井「いや、1週間もありぁ十分だ」 清も「ああ」と、うなずいている
生乾きの材を全部一晩堀にぶっこんどけ、と指示する隈井に
「水につけるんですか?」と、驚く職人
一晩たって引き上げたら林場に炭をたいて温める
そして扇風機を借りてきてこまめに材の向きを変えて風を当てろ、と指示する隈井
職人が「承知しました!」と、走り去る
「どうして乾燥させるのに一晩水につけるんですか?」と、質問する常子
理屈で説明できずに困る隈井と清
眼鏡をクイッと上げて笑顔の星野「毛細管現象ですね、木から水分を抜くために
わざと水を多く吸わせるんです、多く水を含んだ木を内側から温めて
そのあとに風で表面を冷やせばどんどん水分が抜けていく
人間が汗をかくのと一緒です」
常子「へえ~、そういう事だったんですね」
星野「すばらしいですね、実に理にかなっている」
隈井「だろ、あんたなかなか分かってるじゃないか」
隈井も星野の事を気に入ってくれたようだ
星野が背後の足元をのぞき込み声を上げる「ああっ!ああっ!」
そして虫眼鏡で観察し、ノートを開いて確認する
そして常子たちに振り向き「ゲラニウムです!ゲラニウム・カロリニアヌムなんです!」

森田屋の居間
卓の上の新聞紙に乗せられた植物を見つめている星野と、周りを囲む森田屋一同
新発見を祝福する一同に、明日教授に報告すると星野が語る
常子も幸せそうだ
宗吉がお祝いしようと言い出すが、何もないよと言う富江
じゃあ明日は休みだし改めて昼間から祝おうと言う宗吉に、喜ぶ一同

翌日の森田屋厨房、上機嫌でお祝いの準備をする森田屋の面々

居間ではまつが金屏風を立てている
君子が花を生け、常子と美子は千代紙で箸置きを折っている
そこへ「大変です!」と、やって来る鞠子
「見て、ここ」と、新聞を広げるがそこには
「ゲラニウム・カロリニアヌム国内で初の確認」の記事が…
興奮して喜ぶ一同に鞠子「これ、今日の新聞じゃないんです」
(一同)「えっ?」
鞠子「掃除してて偶然見つけちゃったんですけど、既に別の人が発見してたみたいで…」
新聞の記事に目を落とし、困惑している常子

(つづく)

冒頭、美子がスケッチをしていたけど将来絵画好きにでもなるんだろうか
鞠子は文学好きで、常子は滝子に褒められてた裁縫好き設定かな?
常子にはお転婆でそそっかしいイメージがあるが
将来婦人雑誌を創刊するのだから女性的な一面もあるのかもしれない
まあ美子のスケッチは星野のノートに繋がったわけなのだが…

今回は星野の研究に協力して奔走する常子と
星野の新発見を喜ぶ、人のいい森田屋の面々などが描かれた

植物に関しての質問にスラスラ答えていた記憶力のいい星野だが
2度目に会った時常子の事を忘れていた謎は、まだ明かされないね

たまたま出張していたが
常子を清の嫁にさせたい滝子は星野の存在をどう思うのだろう?

たき火にちょこちょこ駆け寄る清は途中で一瞬、スキップになってたねw

第5週もあと1回、常子は新種を発見するはずなのだが…

ゲラニウム・カロリニアヌムの花言葉は「変わらぬ信頼」「陽気」「慰める」「妬み」
等とのこと







2016年5月5日木曜日

とと姉ちゃん(28)常子は色気?食い気?

お寺にお参りして目を閉じ手を合わせている常子(高畑充希) 

<常子は君子と滝子の関係をどうにか修復できないかと考えていました> 

常子が戻ろうとすると、参道の脇でしゃがみこみ植物を観察している
星野(坂口健太郎)の姿が… 
声をかける常子「こんにちは、今日は何の採集ですか?」 
振り向いて立ち上がった星野が常子の方まで来て、そして抱きつく 
驚いて手が下に伸びたまま棒立ちで動けない常子「あ…あの…」 

タイトル、主題歌イン 

星野「すいません、クラクラしてしまって…」と、常子から離れる 
星野「恐らく貧血です、ご心配なく…」と、振り向いて歩き始めたがすぐに倒れこむ 
常子「あ~あ~大丈夫ですか?」 

森田屋玄関 
「ただいま帰りました」と、戻った常子の後ろに星野もいる 
「お帰り」と、照代(平岩紙)とまつ(秋野暢子)の声 

厨房に入る常子と星野 
常子「お客様をお連れしました」 
星野「失礼します」 
星野を見て「あ~!」と、悲鳴を上げる照代 
宗吉(ピエール瀧)が奥から飛び出てくる「照代どうした!?」 
まつも大きなしゃもじを構えて出てくる「何しに来た何しに来た」 
後ろには得物を手にした長谷川(浜野謙太)と富江(川栄李奈)もいる 
宗吉「あ~!常子そいつから離れろ!」
常子「えっ?」  
星野「え、あの…」 
まつ「それ以上近づいたら容赦しないよ!宗吉いけ!」と、けしかける 
宗吉「はいよ!」と、なぜか手にしている霧吹きで水を吹きかける 
星野「うわっ!ちょちょちょ…」 
君子(木村多江)と鞠子(相楽樹)と美子(根岸姫奈)も駆けつけてくる 
君子「何かあったんですか?」 
鞠子「あっ、お寺にいた方!」 
美子「お寺?」 
鞠子「配達に行った時、偶然」 
まつ「変なやつに近づくんじゃないよ
こいつはね、まがいもん売りつける押し売りなんだよ」 
常子「押し売り?」 
星野「僕がですか?」 
宗吉「しら切ろうったってそうはいかねえぞ、いつもでっけえ荷物持ってんじゃねえかよ!」 
常子「確かに」 
星野「それは…」 
照代「えっ、寝床を探してるんじゃないんですか?」 
富江「私もそういう噂を」 
常子「そうなんですか?」 
星野「違います」 
長谷川「空き巣でしょ、いつも人んちの庭先のぞき込んでるから」 
君子たちが悲鳴を上げる 
星野「僕は押し売りでも迷子でも空き巣でもありません!」 
君子「では…どちら様ですか?」 
星野「星野といいます、帝国大学で植物の研究をしています」 
鞠子「帝国大学!?」 
まつ「こりゃ驚いた、あ…あんた帝大の学生さんかい?」 
「はい、このとおり」と、学生証を見せる星野 裏には写真も貼ってある 
(一同)「お~」 
常子「妙な方だと思ったら立派な方だったんですね」 
君子「常子、何も知らないでお連れしたの?」 
常子「はい、何だか貧血でフラフラされていたのでそれで」 
美子「あらま大変」 
照代「どうぞ中で休んで下さい」 
星野「いえ、やはり帰ります、お騒がせしました」と、頭を下げて出て行こうとする 
「いや~悪かった、悪かった悪かった
せっかく来たんだ、ゆっくりしていけよ」と、引き留める宗吉 
まつ「ごはん食べていきなさい、ねっ、勘違いしたおわび、ごはん」 
ごはん…と聞いて唾をのみ込み目がうつろになる星野 

居間で常子が口を半分開け、驚いた顔をしている
目の前で猛烈な勢いでごはんをかき込み味噌汁にむせる星野
君子「誰も取り上げませんからごゆっくり」
星野「はい」
長谷川「よっぽど腹が減ってたんだね星田君」
星野「星野です、星野武蔵」
常子「たけぞう?」
常子たちの父の竹蔵と同じ名前だという話になる 
星野は宮本武蔵の武蔵でたけぞうとのこと
日本一の剣豪と同じ名前が重圧だという話から、帝大の学生だから名前負けしてない
十分です…の流れで星野が十分という言葉に引っかかる
十分?それはどうでしょう、十分とは満ち足りていて不足がない事をいいます
まだ研究者として成果を上げていないから十分という表現は当てはまりません云々…
照代「ごめんなさい…」
宗吉「面倒くさそうなやつだなあ」
こっそりうなずく森田屋ファミリー
常子がどんな研究なのかを訊ねる
星野「僕はフロラを…」
鞠子「フロラ?」
星野「分類学です、特定の地域の植物を調べる事をフロラ研究と」
鞠子「具体的にはどういった事を?」
星野「草花を採集して標本にしたり…」
常子「どうしてその研究をしようと…」
君子が常子と鞠子に、質問攻めにしたら失礼だと言うのだが
「いえ、お気になさらず、質問は探究心の表れ」と、眼鏡を上げ
「探究心が欠如した時点でその人の成長は止まってしまう」と、星野
君子「ごめんなさい…」
まつ(小声)「やっぱり面倒なお人だね」
宗吉「あの、眼鏡クイッてやるのがくせ者だなあ」
こっそりうなずく森田屋ファミリー…

厨房で星野のおかわりを準備している常子と君子
常子「変わった方が多いんですかね、帝大の方って」
「あんなにおいしそうに食べる方だから悪い人じゃない」と、君子
すると鞠子がやってくる「とと姉も隅に置けないわね、お寺では気味悪がってたのに
いつに間にか仲よくなって」
常子「仲よくなんか…」と、笑う
鞠子「でも2人で会ってたんでしょ?」
君子「そうなの?」
常子「今日はたまたまお会いしただけです」
鞠子「あらそうなの」と、ニンマリうなずく
常子「何?その言い方」と、笑っている

常子たちが居間に戻ると、星野が好きな研究をさせてくれている両親への
恩返しの話から、新種を発見したらその植物に両親の名前をつけたいと語っている
しかし新種発見などは雲をつかむような話なので、今の目標は日本初の発見とのこと
日本以外の国で確認されている植物を日本で見つけるだけでも大発見らしい
深川は木材が集まってくるところで、近年は南洋材も入っており
海外の植物の種子がこの地に運ばれていても不思議はないと話す星野
美子が星野に「これ新種ですか?」と、しおりの押し花を見せる
星野「秋明菊(アネモネの一種)か…残念だけど江戸時代に確認されているね」
新種ではないと聞いてガッカリする照代と長谷川
親孝行の話を聞いて田舎の両親や、奉公に出たときの事を思い出したらしい
星野に新種発見と親孝行をガンバレと言う森田屋の人たち
宗吉「俺たちもよ、珍しい草見つけたら教えっからよ」

森田屋前
見送りにきている森田屋の人たちに食事の礼を言って帰る星野
常子「お気を付けて」
皆が家に入ると鞠子が星野の忘れ物だと言って常子に手拭いを手渡す
慌てて星野を追いかける常子
すると星野は、なぜかすぐ先で立ち止まり空を見上げている
走り寄り、忘れ物を渡す常子
「わざわざありがとう」と言って、常子を見つめる星野
常子「どうかしました?」
また空を振り返って星野「常子さん、月がきれいですね」
常子も美しい月を見て微笑む「そうですね」

その様子を玄関先から見ている小橋ファミリー
驚いたように口を手で押さえた鞠子が君子と美子に耳打ちする
「あの方、とと姉の事気に入ってるのかも」
君子「気に入ってるって?」
鞠子「その…とと姉を女として…」
口を押える君子「えっ!?いや…そんなだって…」と、慌てふためく
鞠子「だってだって今、月がきれいって言ってたもの!」
君子「それがどうしてその話になるの?」
鞠子「かの夏目漱石はね、英語教師をしていた時に
生徒がI love youの一文を 我君を愛す と訳したら
日本人はそんな事を言わない、月がきれいですね…とでもしておきなさいって
言ったそうなの!もしかしたら星野さんもそれを知っていて…」と、盛り上がるファミリー
すると、すぐ後ろで星野の声がする「そうなんですか」
驚いて振り向く鞠子たち
鞠子「あっ、いや…」
君子「あのあの…なんて言うか…」と、笑ってごまかそうとする2人
星野「違いますよ」と、こちらも笑っている
鞠子「えっ?」
星野「いつもは植物を探して下ばかり向いているんですが
皆さんと過ごして背筋が正され視線が上がった気がします
だから夕暮れの月に気付く事ができた、それで嬉しくなって月がきれいだと」
鞠子「そのままの意味でしたか…」と、笑ってうなずく
君子「アハハハ…」
常子「そうに決まってるじゃない…うちの鞠子はね、物知りなんです」
星野「ええ、感心しました…では」と、去っていく
星野を見送っている常子の様子を、後ろから見ている君子

夜、薄明りの廊下で繕いものをする君子
(常子を清の嫁に迎え…)と言った滝子の言葉を思い出す
襖を開けると娘たちが眠っている
常子の寝顔

<無邪気な寝顔を見て、改めて常子の幸せを願う君子でした>

寝言を言う常子「鞠ちゃんのジャガイモの方が大きい…」

(つづく)

今回は前半のドタバタを始めコメディ色が強かった
あとは星野の人物設定紹介みたいな感じかな
それと、食べている星野を見ている常子のカットが多かったかな
常子の表情で、星野に好意を抱いていく過程を見せる演出なんだろうか
だがラストで常子の寝言は「ジャガイモ…」
これは、まだまだ色気よりも食い気という事?
恋愛に関しては常子よりも鞠子の方がおませなようだが
常子は妹を先に嫁に出すと宣言しているのでこれは自然かな
常子の初恋は、いったいこの先どうなることやら(清はノーカウントで)

秋明菊の花言葉は「薄れゆく愛」等、恋愛の行方にネガティブなものが多いようだが
それ以外では「淡い思い」「多感なとき」等とのこと











 


2016年5月4日水曜日

とと姉ちゃん(27)森田屋の娘

宗吉(ピエール瀧)が振り上げた拳を力無く下げ膝をつき
君子(木村多江)たちに向かって「すまなかった!」と、頭を下げる 
まつ(秋野暢子)「すみません」 照代(平岩紙)「ごめんなさい!」 
富江(川栄李奈)「申し訳ございませんでした!」 

タイトル、主題歌イン

常子「富江さん悪気はなかったんです、盗んだんじゃありません」 
顔を上げる宗吉たち 
常子「ただ制服を着てみたくて袖を通したら
破れてしまって言い出せなかっただけなんです」 
まつ「何で制服なんか着たかったんだい?」 
富江「それは…」 
常子「それは、富江さんも女学校に行ってみたかったからです」 
(一同)「えっ?」 
「本人驚いちゃってますけど」と、長谷川(浜野謙太)が富江を指さす 
常子「小学校を出て働き始めてからも、女学校へ行ってみたいという思いがずっと…」 
富江「そうじゃないの」 
常子「ちゃんと打ち明けた方がいいわ」 
富江「そうじゃないんだって!」 
富江が宗吉たちに向かって「別に、女学校に行きたい訳じゃないの
ただ…ちょっと着てみたかっただけ」 
まつ「着てみたかった…?」 
富江「そう、毎朝鞠子さんの制服姿見てかわいいなってずっと思ってて」 
「えっ…」と、少し照れ笑いの鞠子(相楽樹) 
富江も照れて笑顔になる「それでちょっと着てみたくなっちゃったの」 
居心地が悪いのか目が泳ぐ常子 
鞠子「とと姉のよくないところが出たね」 
美子(根岸姫奈)「出ちゃったね」 
君子「申し訳ありません、そそっかしくて」 
首を振る照代たち
常子「失礼しました…」 
照代「でも、何だか安心した
かわいい服を着てみたいって、女の子らしいところがあんたにもあって」 
富江「そりゃ私だって…」と、照れる 
まつ「富江が不平不満言わず家業手伝ってくれてた事に
私ら甘え過ぎていたのかもしれないねえ」 
照代「ええ」 
常子「あの…差し出がましいかもしれませんが
富江さんに特別に一日だけ、お休みを頂けないでしょうか」 
富江を見る常子「その日一日制服を着て、思う存分お出かけするの
いろいろな場所を巡って、やりたい事をとことんやってみる」 
富江「でも仕込みが…」 
鞠子「私が代わりに働きます、代わりになれる力はないけどやれるだけは」
笑顔になる富江 
まつ「私らに何の文句もないよ」 
照代「甘えさせてもらったら?」と、宗吉を見て「ねっ」 
宗吉「やりてえならやりゃあいいんだよ、お前に窮屈な思いをさせるほど
俺は落ちぶれちゃいねえんだバカ野郎!」と、立ち上がってどこかへ行く 
まつ「…ったく、素直に物が言えない豚だあ」 
(笑う一同) 

<そして迎えた日曜日> 

セーラー服の常子と、鞠子の制服を着た富江が森田屋から出てくる
浅草の方に行ってみようと思うの…と、常子
富江は制服姿がスースーして恥ずかしいと言う

富江のいない森田屋の厨房で、なんだか仕事のリズムが狂う宗吉 

浅草を楽しそうに歩く常子と富江

森田屋では、富江の事が心配なのか照代とまつも仕事の調子が出ない

路上の大道芸を観て拍手する富江

森田屋の居間でぐったりと休憩する、宗吉、照代、まつ
照代「富江が女学校行ったら毎日こんなふうなんですかねえ」
宗吉「はぁ?何言ってんだ?そのつもりはねえって富江もはっきり言ってた」
まつ「口ではそう言ってるけど本音はどうだかね」
宗吉「何だよ」
照代「遠慮して私たちには言えないのかもしれません」
富江の心に思いを巡らせる宗吉

「喫茶アンリ」前
富江「ねえ何だかこの店おかしいわ…見てこの値段、オームレット玉子焼が五十銭よ
玉子焼が松弁当と同じ値段なんて納得できないわ
あからさまに儲けようとしてるとしか思えない」
富江の肩をたたき常子「まあまあ、まあまあ、店の前で言う事でも…」
今度は窓から店内を覗き込む富江「接客もなってないわ」
店内でライスカレーの注文を受けるウエイトレス
富江「チャッチャと動きなさいよチャッチャと!お客さんの事なんか全然考えてない」
常子「言われてみたらそうかも…」
「失礼ですが…どういった御用でしょうか?」と、支配人風の男が後ろから声をかける
常子「え~と、あの…」
富江「あの…お店の接客の事なんですけど…」
常子「いやいや富江さん富江さん」
富江「でも…」
「すみませんでした、はいはいはいはい…」と、常子が富江を引っ張ってその場を離れる

路地裏の常子と富江
富江「はぁ…ごめんなさい」
常子「フフフフ大丈夫、ちょっと驚いただけ
ふだんおとなしい富江さんがあんなふうにワ~ッて」
笑う2人
常子「さあ、次どこ行こうか、博物館とかサーカスもいいかなって思ったんだけど
あ~でも一緒に銀座に行っても楽しいかもなあ、あっ、でも文房具屋も…」
常子の話が耳に入らず何かが気になっている様子の富江

森田屋の厨房
相変わらず調子の出ない宗吉
「ただいま帰りました!」と、富江の声
戻ってくるなり制服の袖をまくり、手を洗う富江
宗吉「早すぎんだろ、まだ昼にもなってねえじゃねえか…もっと楽しんでこいよ」
「ただいま帰りました!」と、入ってくる常子「あ~富江さん、やっと追いついた」
富江「あっ、ごめんなさい」
君子「常子、何があったの?」
常子「いや、富江さんが突然、ごめんなさいって言って走りだしちゃって」
富江「何だか楽しめなくて」
鞠子「どうして?」
富江「気になっちゃうの、ぬか床が」と、動き始める
「ずっと気になってしかたなかったの、一日一回はしっかり混ぜないと
味が落ちちゃうから、よいしょ」と、床下からぬか床を取り出す
宗吉「お前…ぬか床混ぜに戻ってきたのか?」
宗吉を見上げる富江「そうよ父ちゃん、私は根っからの森田屋の娘みたい」と、笑う
なんだか笑顔になる常子、照代とまつも笑っている
宗吉「バカ野郎!そんな格好でぬか床混ぜたら鞠子の制服が汚れちまうだろ!」
富江「あ…」
宗吉「仕事すんならさっさと着替えてこい!」
富江「はい」と、出て行く
宗吉「さあ、仕事だ仕事!」と、少しうるっとしたのを隠すように声を出す

廊下で富江を見送る常子と鞠子
常子「富江ちゃん、本当にここの仕事が好きなのね」
「本当ね…さあ勉強しますか」と、鞠子も行く
常子は先日の滝子の言葉を思い出す

<自分はいずれどんな職業に就くのだろう…常子は初めて将来を意識したのです>

夜、小橋一家の部屋
鞠子と美子は眠っている
布団の中の常子「かかは15歳の頃、何してましたか?」
ミシンの前に座る君子「何?女学校に行ってたわよ」
常子「かかも?」
君子「そう、おばあ様の方針でね
でも、私もあのころは家業を継ぐ事に何の疑問も持ってなくて
女学校を卒業したらお婿さんを取って継ぐもんだと思ってたの」
常子「そうだったんですか」
君子「うん…でも、その考えが変わったのは女学校で勉強したり
いろいろな経験をしたおかげかな
だからおばあ様の作戦は大失敗だったって訳」
笑う2人
君子「ミシン、借りに行ったのよね」
常子「はい」
君子「おばあ様どうだった?」
常子「ん?」
君子「元気だった?」
常子「はい」
君子「…そう」
常子「やっぱり親子」
君子「うん?」
常子「おばあ様もそんなふうにかかの事心配してました
君子は元気か?君子はどうしてる?…って
かかもおばあ様も2人とも癖で腰をトントンってやるんです…似てるなあって思って
だから…だから仲直りできませんか?」
君子「ごめんね、心配かけて…でも似てるからうまくいかないって事もあるのよ…
駄目ねえ、このミシン…本当に壊れちゃったみたい」
滝子と君子の間にできた溝の深さに何も言えず、母の背中を見ている常子

(つづく)

なるほどね、富江は女学校に行きたい訳じゃなくて
森田屋の仕事が本当にやりたい事なんだと知った常子が
初めて自分の将来を意識するという脚本なんだね
てっきり富江も女学校に行く展開になるんだと思ってたw

富江がアンリ前で宗吉の口癖「チャッチャと…」を使ったのは
滝子と君子の腰トントンとの対比でからめた演出なんだろうね
似た者親子ってことで

滝子との関係修復が難しい君子が「ミシン本当に壊れちゃった…」
これで壊れたミシンは、滝子と君子の壊れた親子関係のメタファーになった
このミシンを修理するエピソードで
親子関係も修復させる展開にするつもりなんだろうか?









2016年5月3日火曜日

とと姉ちゃん(26)親の心、子の心…

物陰から青柳商店の様子を窺う常子(高畑充希)と富江(川栄李奈) 
富江「もしかして青柳さんでミシン借りるつもり?」 
常子「ん~…だったんだけど…」 
富江「気まずいのね?」 
常子「うん?」 
富江「事情は知らないけど青柳の女将さんと何かあったからうちに来た訳でしょ?」 
常子「そう…母の事を思うと、おばあ様を勝手に頼るのは気が引けちゃって」 
その時「じゃあ清、頼んだよ」と、滝子(大地真央)がどこかへ出かけて行く 
それを見て立ち上がる常子 

タイトル、主題歌イン 

清(大野拓朗)を物陰に誘う常子
「あの…清さんにお願いがあるんですけど、ミシン貸して頂けませんか?」
清「えっ?」
常子「訳あってすぐに縫い物しなくちゃいけなくなっちゃって」
富江「お願いします」
清「いや、そういうのはお母さんに聞いてみないと、私一人じゃ決められないなあ」
常子「できれば、おばあ様には内緒で…」
清「いや~お母さんに許しをもらわないと…」
常子「あっ、そういえば森田屋の皆さんが言ってたなあ…青柳の若旦那は有能で
今すぐにでも一人で店を切り盛りできるなあ…って、ねえ」と、富江を振り向く
「うん」と、富江が合わせる
ゆっくりと間をとり、カッコよく振り向く清「そうかい?」

休憩中の森田屋
「う~ん、今日もおいしい」と、漬物を食べる君子(木村多江)
宗吉(ピエール瀧)「だろ?」
君子「うん、評判いいのもうなずけます
毎日富江さんが丁寧にぬか床返してますもんね」
宗吉「あいつは物心付いた時から母ちゃんに仕込まれてっからな」
君子「まつさんに?」
宗吉「ああ、こんな小せえ頃から臭えだ何だのって嫌な顔せず毎日さぁ
根っからの森田屋の娘なんだろうな
女学校行きたいなんてひと言も言わなかったからねえ
小学校出た日に、うちで働くつもりです…だとよ」
君子「あら、ご自慢の娘さんですね」
照れる宗吉

青柳商店の表でひとり待つ富江

部屋でミシンを使う常子と、ビクビクしながら見張りをしている清
「早くしてくれよ!勝手に使ってるってお母さんに知られたら…」
常子「そんなに怖いんですか?おばあ様の事」と、笑う
清「そりゃあもう厳しい人だよ!こんだけ大きな店を守ってきたんだ
自分の流儀に絶対の自信を持ってるからね
自分が正しいと思う事から外れた事すると、雷落ちるよ雷」
常子「そうなんですね」
清「ねえ、どうしてここ出ていく事になったんだい?」
常子「あ…清さんも知らないんですね、私も理由は聞かされていません…
ただ、おばあ様と母が分かり合えなかったという事だけ」
清「そっか…実の娘でもそうなんだ…」
常子「ん?」
清「あっ、いや…いや~養子の私が分かり合う事なんて到底無理な話かな~あ~あ…」
と、突然荒々しく戸が開けられる
滝子「何をしてんだい?」と、常子を見る
清「はい…お母さん違うんです…」
滝子「あんたには聞いてない、常子、あんたに聞いてんだよ」
立ち上がる常子「はい…ご説明します」

配達に出たまま富江が戻らないので森田屋の人たちが捜しはじめる
鞠子(相楽樹)と美子(根岸姫奈)もそれに加わる

清は常子に頼まれて富江を呼びにきたようだが鞠子と美子を見かけて…

ミシンを使う常子
滝子「いい手つきだ」
常子「母に教わりました」
「君子に?」と、意外そうな滝子
常子「はい、ミシンやお裁縫は小さい頃から
こういう事は自分でできなくちゃいけないって」
滝子「そう…あの君子が…」

夕刻、最後に手でボタンを縫い付け「できた、フフッ」と満足そうな常子
改めて「おばあ様、黙ってミシンを使おうとしてごめんなさい、ありがとうございました」
滝子「こそこそなんてするんじゃないよ、孫なんだ、堂々と使えばいいじゃないか」
常子「…はい」
滝子「君子に気兼ねしたのかい?…君子はどうしてる?」
常子「えっ?」
滝子「元気にやってるかい?」
常子「はい」と、嬉しそうに何度もうなずく
滝子「お前たちは元気そうだね」
常子「ええ、すこぶる」
少し改まる滝子「常子はどうなりたいんだい?」
常子「どう…とは?」
滝子「お前の年になれば分かれてくるだろう、小学校を出て働いてる子もいれば
女学校へ行って更に上を目指す子もいる
結婚し家に入る子もいれば職業婦人になる子もいる…どうなりたいんだい?」
戸惑う常子
滝子「この青柳を継いでみたいとは思わないかい?」
常子「考えた事もなかったです…どんな仕事に就くのか
自分がどう生きていくのかなんて、考えた事もなかったです…
今の私はただ、妹たちを嫁に出し家族を守る事さえできればそれで」
滝子「そうかい」

「富江さ~ん」と、常子が表に出てきて制服を見せる
制服を胸に抱き「よかった~、ありがとう」と、富江
常子「富江さん、制服着てみた理由、羨ましかったからって言ってたじゃない?」
富江「うん」
常子「富江さん、ひょっとして女学校に…」
隈井(片岡鶴太郎)が現れ富江の事を森田屋が心配してると告げる
急いで戻る2人
常子が富江を呼び止め、制服は自分が庭先で見つけた事にしようと提案する
「鞠子は違う制服で人気者になってたし、制服さえ返ってくれば全然気にしないから
それに正直に言ったら宗吉さん、富江さんに何するか分かったもんじゃないでしょ」
うなずく富江
常子が「鞠子なら大丈夫だから」と、制服を預かろうとするが
富江「やっぱりいけない、鞠子さんにも謝りたいしみんなにも謝らないと」
常子「うん…分かったわ」

2人が戻ると茶の間で森田屋、小橋一家が全員揃ってうつむきまるでお通夜のようだ
2人も座り、常子「あの…実は富江さんからお話が…」
宗吉「制服の事か」
鞠子「さっき清さんに自慢されたの、制服を縫うために気前よくミシンを貸したって」
常子「えっ?」
宗吉「お前がやったのか?…お前が制服を盗んだのか?」と、富江を見る
富江「…はい」と、制服を差し出し「ごめんなさい!」と、頭を畳につける
宗吉が立ち上がり富江に向かって「バカ野郎~!」と、拳を振り上げる
宗吉を見つめる常子

(つづく)

いつもはお気楽を装ってる清が一瞬、心の内をのぞかせたね
常子に気付かれそうになって、慌ててキャラを戻して
「いや~養子の私が…」て繋げてたけど…

かと思えば常子に頼まれて富江を呼びにいったのに
鞠子と美子を見たらそんな事はすっかり忘れていつもの悪いクセが出る
いくらなんでも無能すぎるだろw
滝子が常子に期待するのも無理はない

滝子が常子のミシン使いを褒めてたけど、滝子もミシンが使えるんだろうね
君子にミシンを教えたのは滝子かな?

富江はたぶん、親に何も言われなくても親の期待に応えようと生きてきたんだろうね
その事に気付いたなら宗吉は富江を殴れないだろう
そして親に反発して生きてきた君子は、そんな富江を見てどう思うのだろう?









2016年5月2日月曜日

とと姉ちゃん(25)破れた制服

常子(高畑充希)鞠子(相楽樹)美子(根岸姫奈)は消えた鞠子の制服を探しまわる 
厨房で働く宗吉(ピエール瀧)は知らないと言う 
常子「う~ん…誰かが間違って持ってっちゃったのかなあ」 
鞠子「何とよ?」 
常子「それか、わざと持っていったか」 
宗吉「まさか…」と、長谷川(浜野謙太)を見る「お前か?」 
長谷川「あっしでやんすか?」 
宗吉「だってお前、前に…」 
 
(回想シーン)制服姿の常子と鞠子を見た長谷川「女学校の制服ね、いいもんですね」 

宗吉「制服っていいですね…とか言ってニタニタ、ニタニタ、ニタニタ…」 
長谷川「えっ、だからって何であっしが制服を?」 
宗吉「そういう性分なんだろ?女の格好をして喜びを感じる性分なんだろ?」 
長谷川を見る三姉妹「え~…」 
頭の中で制服姿の長谷川を想像する常子「そうだったんですか…」 
「あっ、いや違う違う!違うよ!」と、手を伸ばす長谷川から逃げる三姉妹 
「アハハハハ!悪い悪い」と、笑う宗吉「こいつはさっきからずっとここで
仕込みしてたから、それはありえねえよハハハハ!」 

居間で手仕事をする照代(平岩紙)もまつ(秋野暢子)も富江(川栄李奈)も知らないと言う
照代とまつに仕事はいいからと言われて、制服の捜索を続ける常子たち
なんだか様子のおかしい富江が自室に戻り、押入れから制服を取り出して見つめる

夕食の席
食のすすまない様子の富江
制服の話題になり、まつ「もしかしたら誰か持ってっちまったのかねえ」
君子「近所の方に聞いたんですけれど、勝手口は誰も通らなかったみたいなんです」
常子「風で飛ばされたか、この家のどこかにあるか…」
宗吉「何だそりゃ」と、箸を置く
宗吉「聞き捨てならねえな今のは!ああ?この家のどこかにあるって事は
うちの人間の誰かが盗んだって事か?」
常子「そういう…」
宗吉「だとしたら気に入らねえ!うちに盗人なんかいる訳ねえだろ!」
固まって茶碗を置く富江
照代がとりなす「あなた…」
常子「言葉足らずですいません、この家のどこかに紛れ込んでるんじゃないかな…
という意味でこの家のどこか…と…」
宗吉「…何でぇ紛らわしい…そうならそうと、もっとはっきり言ってくれよ!」
常子「すいません…」

常子一家の部屋
明日は浜松の時の制服で登校すると言う鞠子に
常子「鞠ちゃん、教室で一人だけ違う格好でいるのって勇気いるのよ」
鞠子「平気よ、お友達できたし」
常子「あっ、じゃあお友達には洗濯屋さんに出したってごまかしなさい」
美子「どうして?」
常子「だって無くなったなんて言ったら
どんな物騒な所にお住まい?って思われちゃうんじゃないかって」
鞠子「そうかなあ」
常子「そうよ!それでもし
鞠子さんとは関わらないようにしましょう、なんて事になったらね…」
常子を見る家族たち
常子「えっ?どうかした?」
鞠子「とと姉…大変だったのね、前のとと姉だったら同級生にそんな事されるなんて
考えもしなかった、一人だけ制服違ってそんな目に遭ったって事でしょ?」
常子「いやぁ、そんな事…」
君子(木村多江)「常子、正直に話して」
常子「少しだけです、今は綾さんもいますしお友達もできましたから」
君子「ごめんね、あなたたちに苦労かけさせてしまって」
常子「その事はもう話し合ったじゃないですか、私たちは平気です」
鞠子「私も大丈夫です」
美子「私も」
うんうんうん…とうなずく君子

朝の厨房
ぬか床をまぜる富江が指を痛がる
君子「大丈夫?」
富江「傷口にしみただけです」
君子「傷って怪我でもしてるの?」
富江「小さな傷なんで…」

登校しようとする常子が富江の部屋の前でボタンを拾い台の上に置く

心配で鞠子のクラスをのぞく常子
鞠子は級友たちに囲まれ笑顔で話していて全く問題ないようだ
綾(阿部純子)が常子に声をかけ、並んで廊下を歩く
綾「確かにセーラー服もいいものね」
常子「そう?」
綾「うん、妹さんのを見たらそう思ったわ」
常子「ひどい事言うのね、私じゃよく見えないみたいじゃない」
足が止まり真顔になる綾「ごめん」
常子「謝らないで、認めてる事になるからフフフフ!」
綾「フフフ…常子さんはどちらがお好き?」
常子「う~ん、そちらの制服は着た事がないから少し憧れはあるわ
細かい所がおしゃれだなと思うしそれに…ちょっとごめんなさい」
と、綾の制服の袖口を掴みボタンを見つめる
綾「どうかなさった?」
常子「いや、ボタン…こんな形なのね…」

学校帰り、駆け足で急ぐ常子
「ただいま帰りました!」と、家に飛び込み例のボタンを確認する「やっぱり…」

配達帰りの富江が、道を歩く制服の女学生たちの後姿を見つめている
常子が「富江さん」と、駆け寄り「あの…これ」と、ボタンを見せる
常子「鞠子の制服の…」
まばたきが多くなる富江
常子「富江さんの部屋の前に落ちてたから、もしかしたらって思って」
「ごめんなさい!」と、頭を下げる富江「ごめんなさい、本当にごめんなさい!」
常子「ちょっと待って富江さん、何があったか教えてくれない?」

富江の部屋
常子に裏地が破れた制服を見せて事情を説明する富江
「私…羨ましかったの、だから…だからちょっと着てみたくて袖を通したらこんなふうに…
私、慌ててしまって…自分でなんとかしようと思ったのよ、知らないふりをしたのも
朝までに直そうって思って、でも…」
(回想シーン)慣れない針仕事で指を刺してしまう富江
「お裁縫はからっきし駄目だから結局直せなくて…どうしたらいいかもう…」
常子「そうだったの…」
富江「謝ろうと思ってたんだけど、どうしても言い出せなくて…ごめんなさい!」
常子「富江さん、私にやらせてくれない?」
富江「どうして?こんなひどい事したのに」
明るく笑う常子「だってもうほら、直そうとしたの分かるもん」と、制服を手に取る
常子「私に協力させて」
富江「ありがとう…」

常子たちの部屋
君子のミシンの前に座る常子と横で見つめる富江
常子が制服の破れを直そうとするがミシンが動かない「引越しの時壊れちゃったのかな」
富江「そんな…」
常子「ねえ、ほかにミシンってないよね?」
富江「うちは母ちゃんもばあちゃんも洋裁やらないから」
常子「ん~…どうしたもんじゃろのぉ…あっ!あっ、あっ…行こう!」
と、何かを思いつき立ち上がり制服を手に廊下を駆け出す
「あっ、ちょっと待って!」と、後に続く富江

(つづく)

思っていたより富江が、普通の気の小さな女の子だった
宗吉が常子に怒鳴ったのを見て、余計言い出せなくなったんだろうね

鞠子の制服姿は確かにかわいいけど、富江の割烹着姿もなかなかのものだと思う

綾のセリフ「妹さんのを見たら…」は面白かった
実際、相楽樹はグラビアやってるぐらいでスタイル抜群なのだが
劇中でも鞠子のほうが常子より器量がよいという設定のようだ

相楽は全身を使って演技をしていていいね
表情も初々しくてなんだか応援したくなる

高畑もやっぱり上手だけどね、演技とセリフのキレがいい