2016年4月9日土曜日

とと姉ちゃん(6)とと姉ちゃん誕生

前回の、竹蔵(西島秀俊)と常子(内田未来)の約束のシーン 

<竹蔵は、こうして常子に家族を託しこの世を去ったのでした> 

タイトル、主題歌イン 

仏壇の前に骨壺 
沈んだ面持の君子(木村多江)、鞠子(須田琥珀)、美子(川上凛子) 
その中で、ひとり気丈に振る舞う常子がいる 

<皆が悲しみに暮れる中、常子は涙を見せませんでした> 

そんな常子を横目で見る鞠子 

焼香に来た、杉野(田山涼成)と山田(田中幸太郎)を玄関で見送る小橋一家 
杉野「常子ちゃんは偉いのう、ずっと立派だと感心してただに 
お葬式ん時も涙一つ流さずに気丈だった、立派だよ」 
山田「ええ」
常子「恐れ入ります」と、神妙に頭を下げる 
杉野「うん、じゃあ」 
山田「あの…社長」 
杉野「えっ?…ああ、あ~奥さん…落ち着いたらの話だけど
会社に小橋君の私物がいろいろありますんで…一度、あの…
勝手に整理するのも、気が引けたもんでね」 
君子「ありがとうございます、では落ち着きましたら」 
常子「私が伺います、よろしければ今からでも」 
杉野「ああ、そおけぇ?」

遠州浜松染工の事務所、父の机を整理する常子

鞠子「平気なのかな」
君子「うん?」
鞠子「つん姉ちゃん、ととが亡くなって何で悲しくないのかな?」
君子「悲しくない訳ないじゃない、あの子なりに…」
鞠子「全然、悲しそうなそぶり見せないよ!つん姉ちゃんは冷たいんだよ!」
「ただいま帰りました」と、常子が戻る
君子に遺品の仕分けを頼む常子に、鞠子が食って掛かる
「どうしてそんなに冷たいの?何で何も言わないの?ととが死んで悲しくないの!」
家族の沈黙
常子「悲しいからって何もしないんじゃ、毎日暮らしていけないじゃない」
鞠子「ととがかわいそうだよ!」

書斎に行く…と言って、遺品を置きにいった常子は盆の上のみかんを見る
みかんを揉んでいた、父の笑顔を想い出す常子
許してください…と言う父に、家族皆で笑ったあの時…
堪らず涙が溢れてくる
慌てて外へ飛び出す常子
君子「常子?」

走る常子 畑の中の道を駆ける 
立ち止まり、ひとり泣いている常子に追いつく君子
常子「泣きたくなかったのに、泣いてる場合なんかじゃないから…」
君子「どうして?」
常子「ととと、約束したんです…私がととの代わりになって、かかと鞠子と美子を守るって
だから強くならなきゃいけないと思ったんです…でも、やっぱり悲しいです
ととがいないなんて…」
君子が常子を抱きしめる
母の胸の中で、声を上げて大泣きする常子

それを遠くから見ている、鞠子と美子

朝、常子が家族全員を茶の間に座らせる
常子「え~本日から私、小橋常子は皆さんのととになります」
美子「ととって、ととの事?」
常子「そうだよ」
美子「つん姉ちゃんはつん姉ちゃんでしょ?」
常子「そうなんだけど…」
君子「常子がととの代わりに、ととになってくれるんだって」
常子「精いっぱい、ととの代わりを務めさせて頂きます!」
と、ちゃぶ台の下から「家族を守る」と書かれた半紙を取りだし掲げる
美子「じゃあ、とと姉ちゃんだ!」
笑顔になる常子「いいね、そう、それ、とと姉ちゃん!」
鞠子「バカみたい、大体とと姉ちゃんになったとして具体的にととの代わりに何するの?」
常子「それは…」
君子が立ち上がり、引き出しから竹蔵が撮った家族の写真を取りだしちゃぶ台に並べる
写真を見た常子「ふだんの私たちばっかり、
どうしてととは写真館で撮るようなのは撮らなかったんだろう」
君子「それが、ととが大事にしてた事だからじゃない?
何気ない暮らしの中の、一瞬一瞬を大事にしてた人だったから
ととになるって、そういう事なんじゃない?」
常子「…そうですね、うん…
という事で鞠ちゃんよっちゃん、毎日を大事にやっていこうエイエイオ~!」
美子「エイエイオ~!エイエイオ~!」

<こうして何となく、とと姉ちゃんは誕生したのです>

四年後、昭和十年四月

仏壇に手を合わせ、父に新学期の報告をする常子(高畑充希)
外では鞠子(相良樹)と美子(根岸姫奈)が、常子を待っている
常子「はい、それでは今日も…」
一同「行ってらっしゃい!行ってきます!」
常子「走れ!」
学校までの道を、並んで駆けていく常子と鞠子

<竹蔵が亡くなって4年、小橋家は大きな転機を迎える事になるのです>

(つづく)

今回はなんといっても、家族に涙を見せまいとする常子がいじらしかった
葬式からずっと我慢していたのだろう
でもみかんのエピソードを想い出して堪えきれなくなったんだね

ととになるという決意表明のシーン
鞠子の「具体的に~」のツッコミは9歳児とは思えん
さすがオール甲だ
とにかく何かを思いついたら走り出す常子に
的確に突っ込むのが鞠子の役どころなのだろう

ナレーションの<何となく…誕生した…>は
とと姉ちゃんのネーミングが、常子が考えたものではなく美子の思いつきであり
鞠子のツッコミにも窮して君子に助けられた事など
全体的にグダグダ感を否めないといったところなのかな






2016年4月8日金曜日

とと姉ちゃん(5)ととの代わり

夜、家を抜け出す常子(内田未来)鞠子(須田琥珀)美子(川上凛子)の三人  
鞠子「どこ行くの?見つかったら怒られるよ」 
常子「すぐそこ、そこの桜の木」 

<竹蔵が楽しみにしていたお花見の約束は、果たされぬまま時は過ぎて行きました> 

花の散った、桜の木を見上げる三人 
常子「やっぱり駄目か、なんとかお花見できないかと思ったんだけど…
もう一度、お花を咲かせられないかな…」 
鞠子「無理だよ、そんなの」 
美子「花咲かじいさんだ」 
常子・鞠子「えっ」 
美子「もう一度お花を咲かせるにはね、灰をフワ~ッて撒けばいいんだよ」 
鞠子「おとぎ話じゃないんだから、そんな事やっても花なんか咲かないよ」 
美子「え~じゃあ、どうやったら咲くの?」 
鞠子「散っちゃったお花を、もう一度くっつけない限り無理なんじゃない?」 
「そうか…」と、何かを思いついた様子の常子 

タイトル、主題歌イン 

遠州浜松染工の事務所
常子たちの他に、社長の杉野(田山涼成)をはじめ職員たち
それに鉄郎(向井理)までが加わり、なにやら桜色の布を加工している

小橋家、すっかり弱々しくなった竹蔵(西島秀俊)
「あの子たちが大きくなるまで…生きていたかった…」
君子(木村多江)「弱気な事おっしゃらないで下さい、ご病気はきっと治ります」
竹蔵「自分の体の事は、自分がよく分かってます」

帰ってきた常子が、君子に「お願いがあります」

常子と君子に抱えられ、外を歩く竹蔵「何があるんです?」
その先には、何やら大きな布が掲げられ何かを隠してる様子の仕事仲間たち
竹蔵「皆さん、どうして?」
常子「皆さんに手伝って頂いて完成したんです」
(一同)「せ~の!」と、大布が取り払われる
そこにあるものを見て竹蔵が驚き、そして笑顔になっていく
桜色の布をひとつひとつ糸でくくりつけたのだろう、満開の桜の木がそこにある
桜の花を撒く鞠子や職員たち、美子は木の枝に座っている
嬉しそうな竹蔵に、常子も満足そうだ

桜の木を背景に、鉄郎が撮る小橋家の家族写真

<小橋家に訪れた、少し遅れたお花見は
久しぶりに、家族皆に笑顔をもたらしました>

翌、早朝
水を飲みに立った常子を、竹蔵が呼び止める
「常子かな?眠れないんですか?」
常子「はい、何だか久しぶりに今日は楽しかったので」
咳をしながら、体を起こす竹蔵「少し、お話をしませんか?」
「はい」と、部屋の前に正座する常子
竹蔵「常子に…お願いしたい事があるんです」
常子「お願いしたい事ですか?」
竹蔵「今日のお花見は、ありがとう…今まで見た、どの桜よりもきれいでした」
常子「ふふっ…でも来年は、本物の桜でお花見がしたいです」
竹蔵「いつだったか、物干し台に上がった事がありましたね」
常子「ああ…ととから人に迷惑をかけてはならないと、叱られました」
竹蔵「常子はすぐに妙な事を考えては行動し、周りが見えなくなるけど
その発想力と集中力は、すばらしいと思います
今日のお花見も、そう…これからも、それを大切にすると約束してくれますか?」
常子「はい…お願いというのは、その事だったんでしょうか?」
竹蔵「いえ、もう一つ…それはね…常子に…ととの代わりになってほしいんだ」
常子「ととの代わり?」
竹蔵「ととがいなくなったら、かかは一人で大変だろうと思うんです
だから…常子がととの代わりになって、かかと鞠子と美子を…守ってやってほしいんだ」
常子「ととの代わりなんていません、どうしてそんな事を言うんですか?
それじゃあ、まるで…」
激しく咳き込む竹蔵
「とと!」と、襖を開けて部屋に入ろうとする常子を
「いけません、部屋に入っては…決して…」と、咳き込みながら止める竹蔵
「常子、こんな事を託して…すまないね…ただ…君たち3人と
かかを残していかねばならないのが…無念でね…心配なんだ
この世の中で女4人で生きていく困難を思うと…
だから…約束してくれないかい?ととの代わりを務めると」
涙を拭きながら答える常子「はい、約束します…」
竹蔵「ありがとう、常子…」

<3日後、竹蔵は息を引き取りました>

(つづく)

前半の桜の木のエピソードは、まるでファンタジーのようだった
職場の仲間が仕事を中断して、あんな大がかりな事してくれるなんて
まあ西洋紡と取引できるようになった、竹蔵は功労者なのだと解釈しておこう
竹蔵は人柄もいいから、皆に慕われてもいたのだろう

そういえば今のところ、このドラマには悪人は出てきていないようだ
朝ドラって、そういう傾向あるかな?
主人公に実在のモデルがいたら、その周辺に悪人は描きにくいかw

後半の竹蔵と常子のシーンは、この長い物語の起点なのだろう
この約束をしたから、常子はつん姉ちゃんからとと姉ちゃんになる
だから、あまりリアリティとか論じてもしょうがない
家族を残して死んでいく竹蔵は、長女常子の発想力集中力に賭けたのだ
散ったはずの桜を咲かせた常子なら、自分の代わりに家族を守っていってくれると…
桜の木のエピソードは大勢の人が動いて、大がかりだったからこそ意味があったと思う








2016年4月7日木曜日

とと姉ちゃん(4)世の中は常に…

<師走となり、遠州浜松染工も書き入れ時です。
猫の手も借りたいほどの忙しさでした>
山田「せっかくうまい事、西洋紡との取り引きも決まったっちゅうのに
小橋さんがいてくれりゃあのう、それにしても結核とは…」

学校から駆けて戻る、常子(内田未来)と鞠子(須田琥珀)

タイトル、主題歌イン

陽当たりのいい部屋の中央、布団の上でせきをする竹蔵(西島秀俊)
その膝の上に、美子(川上凛子)が来て座り甘える
常子と鞠子が戻り、通信簿の成績を報告するが
竹蔵の目配せを察した君子(木村多江)が早々に、娘たちを竹蔵から遠ざけようとする

<症状が軽いといっても結核です。
竹蔵は、娘たちにうつってしまわないか危惧しながらも
家族のそばにいたいという、もどかしさを抱えていました>

昭和六年 正月

羽根つきで遊ぶ姉妹たち
去年はととが負けて真っ黒に塗られて楽しかった…と、美子が竹蔵を羽根つきに誘う
いけません…ととが具合悪くなったら…と、君子
鞠子「でも、せっかくのお正月だし…」
常子「では、おうちの中で遊ぶのは?」

百人一首かるたをする小橋一家
空気を読まず次々と札を取り、圧勝の君子に家族の冷たい視線
常子「かか、強すぎます…」
君子「あっ、ごめんなさい…昔やってたものだから、体がつい…」
竹蔵「いきます!
君がため~春の野に出でて~若菜つむ~わが衣手に~雪はふりつつ~」
この札は手加減した君子が最後まで詠ませるのだが、それでも楽しそうに取る
君子「はい!ふふふふ…」
常子「とと、次を 次をお願いします」
竹蔵「世の中は~常にもがもな渚漕ぐ~海女の小舟の…」
常子「はい!やっと取れた」
楽しそうに笑う、竹蔵と君子
鞠子「何がおかしいのですか?」
竹蔵「いえね、自分の札はやはり手にするものだと感心して
常子「自分の札?」
竹蔵「実はね、常子という名はその百人一首の短歌に由来しているんです」
常子「えっ?」

世の中は
常にもがもな渚漕ぐ
海女の小舟の
綱手かなしも

竹蔵「そこから一字を取って、常子という名にしました」
常子「どういう意味ですか?」
竹蔵「世の中の様子がこんなふうに、いつまでも変わらずあってほしいものだ
波打ち際を沿いながら漕いでいる漁師の小舟が、陸から綱で引かれている
こんな、ごく普通の情景が切なくいとおしい」
常子「ごく普通が切なくいとおしいのですか?」
竹蔵「この国は幾たびか戦争をしてきました
ととやかかの知り合いにも、戦争で亡くなったり親兄妹を失った人がいるんです
ととにも家族ができて、常子が生まれた時にこう思ったんです
このささいで、ごく普通の幸せな暮らしが守られ常に変わらずあってほしいという
願いを込め、常子」
「そうなんだ…」と、なんだか嬉しそうな常子
竹蔵「もともと、かかの君子という名も百人一首に由来すると聞いてね
とてもいいなあと思って、まねをしたんです」
鞠子「かかの名前は、どの短歌ですか?」
君子「私のは、この(君がためっ~)て歌」
常子「二人とも自分の札を取ったんですね」
鞠子「じゃあ、私は?私はどの札なんですか?とと」
竹蔵「ああ…あ~あの…鞠子と美子も百人一首から取ろうと考えたんですが
合う歌が見つからなかったんです」
鞠子「えっ」
竹蔵「鞠子は生まれた時にぷくぷくと太って、真ん丸な鞠のようだったので
鞠子と名付けました」
鞠子「そんな理由?…」
美子「よっちゃんは?」
竹蔵「美子は朝生まれたんだけどね、朝方ようやく生まれた美子を
抱き上げた時に見えた朝焼けが実に美しくてね、美しい子で美子」
美子「へえ~」
鞠子「え?え?どうして私だけ単純な理由なんです?」
「かわいいじゃない」と、余裕の常子
竹蔵「まあ餅のようでもあったので、餅子と迷ったんですけどその方がよかったかな?」
鞠子「それなら鞠子で結構です!」
笑う家族一同

初詣に行こうと、外をみると雪が降っている
春にはお花見に行きたいと言う美子
じゃあ四月のお出掛けはお花見って事ですよね…と言う鞠子に
竹蔵が、ああ…と承諾する

<しかし、皆の願いとは裏腹に竹蔵の容体は日に日に悪くなっていきました>

昭和六年四月

<このころ、竹蔵は家の中でも完全に隔離した生活を送るようになっていました>

家族とは別に、隣の部屋で食事をする竹蔵
寂しがる美子と、襖越しにしりとりをして遊ぶ

<竹蔵は容体が悪くなっていっても家族に心配をかけまいと
明るく振る舞い続けていました>

鉄郎(向井理)に、竹蔵は本当に治るのか?…と訊ねる常子
鉄郎は、そのうち薬が効いてくるだろう…と答える
鉄郎「今年は花見行ったのか?」
常子「いえ、どうしてですか?」
鉄郎「兄貴、毎年お前たちと花見すんの楽しみにしてたからな」

何か考えてるふうの常子

<竹蔵を、なんとかお花見に連れていけないかと思う常子でした>

(つづく)

竹蔵はたぶん、今週であれだと思うのだが病気の話は切ないな…
自分は主人公が病気で死ぬお話は、基本的に観ないようにしている
それが主題だと、あまりに辛いからだ

常子の名前の由来は、前回のあたりまえの日常と同じような意味
主人公の名前であることからも、これがこのドラマの主題という事なのだろう
ごく普通の幸せな暮らしが守られ、常に変わらずあってほしいという竹蔵の願い
常子たちが創刊する雑誌の名前が「あなたの暮らし」になる理由でもあるのだろう
(このドラマの中では)

名前の由来に拗ねる鞠子が、かわいかった
あれだけ長女と差をつけられたら、グレてもいいぐらいだと思うw

そうそう、父に報告した成績は鞠子がオール甲
常子は甲7乙3の、算術のみ丙とのこと
常子が数字に弱いエピソードでも、予定してるんだろうか










2016年4月6日水曜日

とと姉ちゃん(3)あたりまえの日常

竹蔵(西島秀俊)は娘たちを連れ、絵を持って大迫(ラサール石井)宅に謝罪に行く
お時間を頂ければどんなことをしてでも弁償すると、土下座する竹蔵

タイトル、主題歌イン

どうかお許しください、全財産をなげうってでも…と頭を下げる竹蔵に
心配しなくてもいいよ、実はこの絵は贋作だ…と高笑いの大迫
拍子抜けする竹蔵と常子(内田未来)たち
酔って馬鹿な事を言った自分が悪かった…贋作と知れたら恥だから
取り戻そうと思って連絡した…安物だから弁償しなくてもいい…と説明する大迫
ところが竹蔵は、絵を頂きたい…買い取りたい…と大迫に申し出る

帰り道、弁償しなくていいと言われたのになぜお金を払ったのかと聞く常子に
お金は払わなくてはいけない、素敵な絵を手に入れたんだから…
その絵は世間的には何の価値も無くても
ととにとっては、三人の娘が力を合わせて描いた傑作です…
最初は美子のイタズラですが、それを何とかしようとした鞠子と常子の
優しさが生み出した名画です、帰ったら居間に飾りましょう…と竹蔵
ごめんなさい、大切なお金を使わせて…と謝る娘たちに
謝らなければならないのは、とともです…
こんな事を起こすくらい君たちを悲しませたのは、ととが約束を破ったから…
と、頭を下げる竹蔵に首を振る娘たち
そして竹蔵は、やはり紅葉を見にお出掛けに行こうと言い出す

明日の仕事を休むためなのだろう、会社に戻り遅くまで残務する竹蔵

夕食の席で、明日本当にお出掛けできるか心配だと言う常子に鉄郎(向井理)が語る
大丈夫だよ、前に兄貴に言ったんだよ…お前たちの事甘やかしすぎだって…
父親がととで、母親がかかじゃ威厳も何もないだろう…
そしたら兄貴、威厳なんて僕には必要ない…
なぜって聞いたら、おれたちの親父とおふくろの事は知ってるか?
早くに亡くなって、親戚の家をたらい回しにされたんだけど
あの頃は、どこの家の父親も威張り散らして家族を従わせてた
でもさ、僕にはそれが幸せには見えなかった…
だから僕は、相手が自分の子供たちだとしても
ひとりの人間として、対等に接したいと思っているんだ…って
大切にしてるんだと思うよ、とととかかと娘たちで過ごす時間をさ…

翌日、家族五人揃っての紅葉見物にはしゃぐ娘たち

その夜も残務のため、会社に戻ろうとする竹蔵
心配する君子に竹蔵は、今行かないと明日の朝早く行かなければいけない
そしたら、皆で朝食をという家訓を破ってしまう事になるから…
家族で過ごす事はいつでもできるじゃないですか、と言う君子に
僕はそうは思いません、あたりまえにある毎日も
とっても大切な一瞬の積み重ねで、いつ失う事になるかわからない
明日かもしれないし、一年後かもしれない
大げさかもしれないが、両親を突然失った僕にはそう思える
だから無理をしてでも、一緒にいる時間は大事にしたい
あたりまえにある日常は、かけがえのないものですから…
常子が18で嫁いだら、月に一度のお出掛けはあと87回だと言う竹蔵に
数えたんですか?と、笑う君子
そう、あと87回…一度だって欠かす事はできません…と竹蔵
竹蔵が君子に、子供たちの寝顔を見にいこうと言う

部屋の外でその話を聞いていた常子は、寝室に戻ったのだろう
寝室に訪れてから、出かけていく竹蔵にそっと「いってらっしゃい…」

夜道に自転車を漕ぎ出す、竹蔵の後姿

<竹蔵が結核に倒れたのは、年の瀬も押し迫った頃でした>

(つづく)

今回は、なんかいい話だった
娘たちの、それぞれの想いのこもった名画
竹蔵が家族に優しい理由
いつ失くしてしまうかわからないから大切にしたい、あたりまえにある日常…

竹蔵が病に倒れたのが、家族を大切に思うあまりに無理をしたからだとすれば
なんだか切ない…

ところで、あの絵は本当に贋作だったのだろうか?
もしかしたら、竹蔵を気の毒に思った大迫が嘘をついてくれたのでは?
もしそうなら、大迫さんかっこいい









2016年4月5日火曜日

とと姉ちゃん(2)汚された絵

竹蔵(西島秀俊)が、お出掛けに行けなくなってしまったのは
西洋紡専務の大迫(ラサール石井)の引越しを手伝わなくてはいけないからだと知り
駄々をこねる美子(川上凛子)

数日後、小橋家に招かれて酔った大迫は引っ越しのお礼だと言って
高名な画家だという、ピカッツァの絵を置いていこうとする
固辞する竹蔵だが、大迫が機嫌を損ねそうになったため
頭を下げて「ありがとうございます」と礼を言う

「あんな人に頭を下げなくても…」と、言う常子(内田未来)に
君子(木村多江)が「常子まで何ですか」と、たしなめるが
「だって、何だか悲しい気持ちになりました…大好きなととがあんな風に…」
君子は「これもお仕事だ…」と説明するのだが、鞠子(須田琥珀)に
「これのどこがお仕事なの?お酒飲んで遊んでるだけじゃないですか!」
と反発され、「いいかげんになさい!」と叱りつける

翌日、留守番をしていた美子が絵に落書きをしてしまう
帰宅した鞠子は驚いて絵を何とかしようとするのだが、そこに常子が戻り…

君子は、家事の手伝いをする娘たちの素直な様子に「もう機嫌が直ったの?」
と不審がるが、そこに竹蔵の弟の鉄郎(向井理)が訪ねてくる
箱いっぱいのウナギを持ち込んで
「こいつの養殖で当てようと思ってねえ、今度は絶対儲かる気がする」と上機嫌だ

酔いが醒めた大迫が竹蔵の会社に連絡してきて、絵を返してほしいと言う
絵をとりに、家に戻る竹蔵

「この絵は何です…どうしてこんな事に…」と、驚く竹蔵
常子「わたしのせいです、
わたしが剥げてしまった絵具を誤魔化そうと新たな絵具を塗ったから…」
竹蔵「そもそも、絵具が剥げてしまったのは何故です?」
鞠子「わたしのせいです、わたしが墨をふき取ろうとして…」
竹蔵「何故、墨がついていたんです?」
美子「わたしが塗ったからです…」
竹蔵「美子でしたか…美子、なぜ絵に墨を塗ったんですか?」
美子「だって…とといじめる悪い人がくれた絵だから、そんな人の絵いらないもん」

絵は返す事になったと竹蔵が説明して、弁償しなくてはとなるが
鉄郎が、この絵は本物で千円はくだらないと言う
うろたえる小橋家一同
竹蔵「安心してください、ととが責任をとりますから」

<それは、常子が初めて見る竹蔵の顔でした>

(つづく)

んー、竹蔵はどう責任をとるつもりなんだろう?
何か考えでもあるんだろうか?
まあ子供たちに心配させまいと、一家の長としてはああ言う他ないような気もするが…

鉄郎は調子が良くて生活力のない、ドラマにありがちなキャラかなあ
常子たちも、あまり頼りにはしていないような感じだ
でも浜松でウナギの養殖を始めたのなら、もしかして…

鞠子が帰る際の、校庭にバケツを持って立たされている男の子二人への視線は
軽蔑のような感じだったが、何か他にも意味を持つ展開になるんだろうか




2016年4月4日月曜日

とと姉ちゃん(1)小橋家の家訓



(語り・檀ふみ)<戦後すぐに創刊され、日本中の多くの家庭で読まれた
生活総合雑誌がありました。
まだ物が充分になかった時代に、生活のレシピを消費者に分かりやすく伝え
一世を風靡した、画期的な雑誌でした。
この雑誌を創り始めたのは、ある三姉妹と一人の編集長、
長女の常子が「女性のために本を創ろう」と言ったのがキッカケでした>

昭和三十三年東京
仕事上のトラブルに見舞われる常子(高畑充希)
「う~ん、どうしたもんじゃろの~う」
編集者「電話して、なんとかお願いしたのですが…」
常子「電話?電話でお願いしたの?」
編集者「ええ」
常子「それじゃダメよ、人になにかお願いするときは直接会って話さなきゃ」
と、鞄をとって駆け出す常子

<この物語は「あなたの暮らし」を創刊した常子が、父親代わりに妹たちを育てながら
昭和を逞しく、懸命に駆け抜けていくお話です>

昭和五年静岡浜松
10歳の常子(内田未来)が駆けていく
後ろを、妹の鞠子9歳(須田琥珀)美子4歳(川上凛子)が追いていく
鞠子「ねえ、やっぱりやめようよ…」
常子「平気よ平気」

高い物干し台の上へと、梯子を上っていく常子
大人が叱るが、構わず上る常子「平気ですから!」
サイレンが鳴る
常子「やっぱり上って良かった、万華鏡の中にいるみたい!」

<この頃はまだ、つん姉ちゃんと呼ばれている常子
家族を守るため、父親代わりに奮闘し始める頃には
二人の妹からこう呼ばれる事になるのです、とと姉ちゃん>

タイトル、主題歌イン

常子の父・竹蔵(西島秀俊)は染物工場の営業部長だ
常子の騒ぎを聞きつけ「今度は何を…」
自転車で駆け付ける竹蔵

高い物干し台の上で、怖くて降りれなくなっていた常子
竹蔵は、人に迷惑をかけたり危ない行いをしてはいけないと常子を叱るが
どうしようと自分で考え自分で行動した事はすばらしいと思う、と言って笑う
そこに、母の君子(木村多江)もザルを持って駆けつける
「常子が落ちそうだと聞いたから…」

<小橋家には、父・竹蔵が決めている三つの家訓があります。
一、朝食は家族皆でとること
一、月に一度、家族皆でお出掛けすること
一、自分の服は自分でたたむこと
その家訓は、一度も破られた事はありません。
いかに仕事に追われていようが、いかに寝不足だろうが
竹蔵は必ず守ってきたのです>

朝食の席で、明日の紅葉見物が楽しみだと話す家族一同
竹蔵がみかんを揉んでいるのを、咎める常子
このほうがおいしい気がするので許してもらえませんか、と言う竹蔵
仕方ありませんね、と笑う君子と娘たち

「そんなふうに、お父さんの食べ方あれこれ言ったら絶対怒られる」
と、学校で常子は級友たちから聞かされる
常子「よそのととはそうなんだ」
級友「その呼び方だってそうよ、とと、パパなんて家では呼ばしてもらえんニ」
級友たち「そうだニ」

その夜、西洋紡専務の大迫(ラサール石井)との会食から帰宅した竹蔵は
「明日のお出掛け、行けなくなってしまいました…すまない…」と、家族に頭を下げる

<この日、竹蔵が必ず守ってきた小橋家の家訓が初めて破られる事になったのです>

(つづく)

竹蔵が優しすぎる
劇中の語りでもあったが、戦前の家長制度の日本では考えられないくらいだと思う
常子が父親代わりになるのだから、間もなく竹蔵は居なくなるのだろう
人間の記憶は、悪い事は忘れて良い事だけが残る
竹蔵は常子たちにとっての、想い出の優しい父として描かれているのかもしれない

自分的に、朝ドラでは主題歌が重要だ
なにしろ、半年間ほぼ毎日聴くことになるのだから
今までにも主題歌が原因で、初回脱落した事が何度かある…
だけど今回は大丈夫、ミディアムテンポの寝起きでも聴きやすい曲だし
そもそも、宇多田ヒカル大好きだし

主演の高畑充希も好きだから、なんとかやっていけそうな気がする
半年間、よろしくお願いします