2016年4月8日金曜日

とと姉ちゃん(5)ととの代わり

夜、家を抜け出す常子(内田未来)鞠子(須田琥珀)美子(川上凛子)の三人  
鞠子「どこ行くの?見つかったら怒られるよ」 
常子「すぐそこ、そこの桜の木」 

<竹蔵が楽しみにしていたお花見の約束は、果たされぬまま時は過ぎて行きました> 

花の散った、桜の木を見上げる三人 
常子「やっぱり駄目か、なんとかお花見できないかと思ったんだけど…
もう一度、お花を咲かせられないかな…」 
鞠子「無理だよ、そんなの」 
美子「花咲かじいさんだ」 
常子・鞠子「えっ」 
美子「もう一度お花を咲かせるにはね、灰をフワ~ッて撒けばいいんだよ」 
鞠子「おとぎ話じゃないんだから、そんな事やっても花なんか咲かないよ」 
美子「え~じゃあ、どうやったら咲くの?」 
鞠子「散っちゃったお花を、もう一度くっつけない限り無理なんじゃない?」 
「そうか…」と、何かを思いついた様子の常子 

タイトル、主題歌イン 

遠州浜松染工の事務所
常子たちの他に、社長の杉野(田山涼成)をはじめ職員たち
それに鉄郎(向井理)までが加わり、なにやら桜色の布を加工している

小橋家、すっかり弱々しくなった竹蔵(西島秀俊)
「あの子たちが大きくなるまで…生きていたかった…」
君子(木村多江)「弱気な事おっしゃらないで下さい、ご病気はきっと治ります」
竹蔵「自分の体の事は、自分がよく分かってます」

帰ってきた常子が、君子に「お願いがあります」

常子と君子に抱えられ、外を歩く竹蔵「何があるんです?」
その先には、何やら大きな布が掲げられ何かを隠してる様子の仕事仲間たち
竹蔵「皆さん、どうして?」
常子「皆さんに手伝って頂いて完成したんです」
(一同)「せ~の!」と、大布が取り払われる
そこにあるものを見て竹蔵が驚き、そして笑顔になっていく
桜色の布をひとつひとつ糸でくくりつけたのだろう、満開の桜の木がそこにある
桜の花を撒く鞠子や職員たち、美子は木の枝に座っている
嬉しそうな竹蔵に、常子も満足そうだ

桜の木を背景に、鉄郎が撮る小橋家の家族写真

<小橋家に訪れた、少し遅れたお花見は
久しぶりに、家族皆に笑顔をもたらしました>

翌、早朝
水を飲みに立った常子を、竹蔵が呼び止める
「常子かな?眠れないんですか?」
常子「はい、何だか久しぶりに今日は楽しかったので」
咳をしながら、体を起こす竹蔵「少し、お話をしませんか?」
「はい」と、部屋の前に正座する常子
竹蔵「常子に…お願いしたい事があるんです」
常子「お願いしたい事ですか?」
竹蔵「今日のお花見は、ありがとう…今まで見た、どの桜よりもきれいでした」
常子「ふふっ…でも来年は、本物の桜でお花見がしたいです」
竹蔵「いつだったか、物干し台に上がった事がありましたね」
常子「ああ…ととから人に迷惑をかけてはならないと、叱られました」
竹蔵「常子はすぐに妙な事を考えては行動し、周りが見えなくなるけど
その発想力と集中力は、すばらしいと思います
今日のお花見も、そう…これからも、それを大切にすると約束してくれますか?」
常子「はい…お願いというのは、その事だったんでしょうか?」
竹蔵「いえ、もう一つ…それはね…常子に…ととの代わりになってほしいんだ」
常子「ととの代わり?」
竹蔵「ととがいなくなったら、かかは一人で大変だろうと思うんです
だから…常子がととの代わりになって、かかと鞠子と美子を…守ってやってほしいんだ」
常子「ととの代わりなんていません、どうしてそんな事を言うんですか?
それじゃあ、まるで…」
激しく咳き込む竹蔵
「とと!」と、襖を開けて部屋に入ろうとする常子を
「いけません、部屋に入っては…決して…」と、咳き込みながら止める竹蔵
「常子、こんな事を託して…すまないね…ただ…君たち3人と
かかを残していかねばならないのが…無念でね…心配なんだ
この世の中で女4人で生きていく困難を思うと…
だから…約束してくれないかい?ととの代わりを務めると」
涙を拭きながら答える常子「はい、約束します…」
竹蔵「ありがとう、常子…」

<3日後、竹蔵は息を引き取りました>

(つづく)

前半の桜の木のエピソードは、まるでファンタジーのようだった
職場の仲間が仕事を中断して、あんな大がかりな事してくれるなんて
まあ西洋紡と取引できるようになった、竹蔵は功労者なのだと解釈しておこう
竹蔵は人柄もいいから、皆に慕われてもいたのだろう

そういえば今のところ、このドラマには悪人は出てきていないようだ
朝ドラって、そういう傾向あるかな?
主人公に実在のモデルがいたら、その周辺に悪人は描きにくいかw

後半の竹蔵と常子のシーンは、この長い物語の起点なのだろう
この約束をしたから、常子はつん姉ちゃんからとと姉ちゃんになる
だから、あまりリアリティとか論じてもしょうがない
家族を残して死んでいく竹蔵は、長女常子の発想力集中力に賭けたのだ
散ったはずの桜を咲かせた常子なら、自分の代わりに家族を守っていってくれると…
桜の木のエピソードは大勢の人が動いて、大がかりだったからこそ意味があったと思う








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