2016年8月27日土曜日

とと姉ちゃん(126)約束の期間が過ぎ「これからも…」と申し出る常子に星野は…

編集長室 
花山(唐沢寿明)「そうか…ちとせが新しい商品をね…」 
笑顔の常子(高畑充希)「はい、約束して下さいました」 
花山「やっと答えが出せたようだな、見ていれば分かる…
商品試験を続けるべきかどうか揺らいでいただろう」 
常子「すみません、もう迷いません」 
花山「生産者がいいものだけを作ってくれれば人々の生活は向上する
そして主婦は家事という重労働から解放される
そのためにも商品試験は続けなくてはならないんだ」 
常子「はい」 
花山「母が死んだのは私が18の時だ
朝、誰よりも早く起きて重労働の家事をこなしさぞ苦労した事だろう
私には…あの時力になってやれなかったという思いがある
あなたの暮しを作りながらそんな感情がまた甦ってきた気がするんだ
もしもあの時代に今みたいな便利な商品があれば
母はもっと長生きできたかもしれない
だからこそ不良品ではなくよい品がより多くの人に届く世の中にしたいんだ
常子さんから商品試験のアイデアを聞いた時…鳥肌が立ったよ
これこそあなたの暮しが存在する意義だとね
商品試験はあなたの暮しの看板企画として末永く続けていくべきだ
そのために君は社員が毎日幸せに働いているかどうかを
いつも気にかけている番人になれ
そして社員が仕事の事で外部と面倒な事になったら
まずは君が出ていって謝れ
謝るという事は会社の代表として一番大きな仕事だ」
大きくうなずく常子「はい」
花山「私は私のやり方で戦う」(とペンをかざす)
楽しそうに笑う常子「はい」

タイトル、主題歌イン 

<常子は商品試験への迷いを払拭し
決意を新たに仕事に打ち込んでおりました>

デスクで鼻歌を歌う常子に美子(杉咲花)「もう挨拶状書き終えちゃったの?」
常子「うん、集中力が切れなくて一気に書けちゃった」
美子「さすが敏腕社長、浮かれ気分でも仕事は見事に」
常子「ん?浮かれてなんか」
美子「もう…とぼけちゃって…今日木曜日でしょ?
星野さんのお宅伺うんでしょ?」
常子「浮かれてなんていません」
美子「楽しそうに鼻歌歌ってたわ」
口を手で押さえて笑う常子「出ちゃってた?」
美子「うん」

星野家
大樹「リ…リンゴ!」
青葉「ゴ?ゴ…ゴジラ」
常子「ゴジラ?怪獣のゴジラ?ラ…ラッパ」
大樹「パ…あっ、パン!」
(2人)「あ~」
青葉「お兄ちゃん弱い!」
大樹「うるさいなあ」
青葉(常子に)「お父さんの方が弱いけど」
常子「えっ、お父さんしりとり弱いの?」
青葉「うん、いっつも負ける」
大樹「違うよ、優しいだけだよ、本当は勝てるのに
僕たちが負けないようにしてくれてるだけだよ」
常子「フフフ」
青葉「え~弱いだけだよ」
大樹「違うって」
青葉「常子おばちゃまはどっちだと思う?」
常子「ん~どっちかなあ…分からないけど…
おばちゃまのお父さんもしりとり弱かったけど
あれは本当に弱かったような…」
青葉「ほら」
常子「でもとっても優しい人だったわ」
青葉「そっか~」
常子「うん」
と、「ただいま~」と星野(坂口健太郎)が帰宅する
青葉「あっ、お父さん!」
皆で玄関まで出迎え、青葉が星野の手を引っ張ってくる
星野「何して遊んでたんだ?」
青葉「しりとりだよ」
大樹「お父さんも一緒にやる?」
星野「いや~お父さんしりとり苦手だから遠慮しとくよ」
青葉「ほら、やっぱり弱いんだ」
星野(青葉と大樹に)「おいおい、お父さんがしりとり弱い事
常子さんに言ったのか?」
(2人それぞれ)「言ってないよ」
星野「ホントか~?うそついたら針千本だぞ!」
子どもたちが立ち上がり逃げ回るのを星野が追いかける
常子「あ~ちょ、ちょ、ちょ…気を付けて気を付けて、隠れろ隠れろ!」

玄関の外で常子を見送る星野「毎週お世話になりました」
常子「いえ」
星野「常子さんのおかげで仕事に集中する事ができました」
常子「それはよかったです
来週からは少しは早くお帰りになれるんですか?」
星野「ええ、一山越えましたので」
常子「じゃあ大樹君や青葉ちゃんも喜びますね」
星野「それは…どうでしょう」
常子「えっ?」
星野「常子さんが来てくれるのが本当にうれしかったようですから」
常子「フフフ…」
星野「2人とも木曜日を心待ちにしていて
青葉なんか熱心に絵を描くようになったのはどうしてかと思ったら
常子さんに見せて褒めてもらうためだって言うんです
画用紙に何枚も常子さんの顔を描いて水曜日の夜は決まって真剣な顔で
明日おばちゃまにどれを見せてあげようかなあ…って悩んでるんですよ」
常子「私も同じです、木曜日が楽しみで
今日は何をお話しようかなって考えてると楽しくなっちゃって
本当にすてきな時間でした」
星野「いろいろお世話になりました」
常子「いえ」
「それでこれ…ほんの気持ちですが」
と星野が内ポケットから封筒を取り出し常子に差し出す
常子「…結構です」
星野「受け取って下さい、これくらいしか浮かばなかったので」
常子「いや、受け取れません
こちらの方こそお礼を言いたいくらいですので」
星野「いや、しかし…」
常子「本当にお気持ちだけで」
星野「…そうですか…」
常子「ええ」
星野「…分かりました」
常子「………では…」
星野「おやすみなさい」
「おやすみなさい」と歩き始めるが7、8歩のところで立ち止まり振り返る常子
「あの…もし…」
星野「はい」
常子「これからも必要であればこうしてまた…」
小さく首を振る星野「いえ…それは…」
常子「…」
星野「常子さんもお忙しいのにそこまで甘えられません
お気持ちだけで十分です」
涙目だが笑顔を作り「そうですよね、すみません、出過ぎた事を…
では失礼します」と常子が立ち去る
それを見送る星野

部屋に戻り机の前に座り込む常子
背後で布団の中から美子が「お帰り」と声をかける
常子「ごめん、起こしちゃった?」
美子「ううん、起きてた(と布団の中で半身を起こし)今日はどうだった?」
常子「うん…楽しかったわよ
大樹君と青葉ちゃんとしりとりしたりして」
美子「ふ~ん」
常子「でもね、今日でもう終わり
星野さんのお仕事も一段落ついたみたいだし」
美子「もう行かないって事?」
常子「そう」
美子「もう少し星野さんのおうちのお手伝いしたいんじゃないの?」
常子「うん…まあそりゃ本音を言えば
もう少しお手伝いしたいなって思うわよ、でも…」
美子「さみしい?」
常子「ん?」
美子「ほら、弱音…」
常子「…さみしい…」
美子「フフッ、何だかかわいい
今まで見てきたとと姉ちゃんの中で一番」
常子「フフッ、かわいいって何よ、もう人の事からかって」
美子「ごめんごめん」
常子「でも…何だか少し楽になれたような気がする…ありがとう」
美子「…どうしたもんじゃろねぇ…」
常子「ん?」
美子「星野さんともう会わないつもり?」
常子「そんな事ないわ、会う必要があれば会うしその必要がなければ…」
美子「そんなふうに他の人と同じように思えるの?」
常子「…前にも言ったけれど星野さんにはご家庭があるの
大樹君も青葉ちゃんもお父さんの事大好きだし
星野さんも2人の事大切に思ってる、それで十分なの」
常子を見つめる美子
常子「それにほら、今はうちの子も大変だから」
美子「うちの子?」
常子「あなたの暮しよ」
美子が笑う
常子「フフフ、花山さんがおっしゃってたように
商品試験は真心と覚悟をもって臨まないといけないから」
美子「うん」
常子「うん………ごめんね、先に寝ててね」
美子「うん」
立ち上がり部屋を出た常子が戸を閉めて少しの間静止する
そして廊下を歩いていく

常子「え~本格的にアイロンの試験を始めるにあたって
皆さんが使う中で気付いた事を洗い出して
どんな項目を試験すべきか決めていきましょう」
(一同)「はい」

横並びでアイロンを使う一同
美子「やっぱりすぐにシワが伸びるかどうかが大切かなあ」
寿美子(趣里)「そうですね」
女性社員「織江さん早いですね」
織江「私は毎日、旦那と息子のシャツをかけてるからねえ」
常子「さすがお母さんですね」
と、隣では扇田が指をやけどしてしまったようだ
扇田と松永の前のシャツを見て常子「あぁ…男性陣はちょっとひどいですね」
松永「シャツとかってシワがとれても折れ目がついたりして難しいんですよね」
常子「そうですね」
美子「やっぱり普段からアイロン使ってる人じゃないと試験にならないかもね」
常子「そうね…この中できちんとアイロン使った事がある方は?」
女性陣のみが挙手する
美子「試験担当が限られると厳しいわね、みんな他の作業もあるし」
常子「どうしたもんじゃろのぉ…」
と、「あたしに任せな」と入口で声がする
扇田「康恵さん!」
康恵(佐藤仁美)「私みたいな手伝いを連れてくるよ
子育てに一段落した主婦の友達が結構いてねえ
どうだい?適任だろ?」
笑顔の常子「はい」

<この康恵の申し出により商品試験は新たな展開を迎える事になるのです>

(つづく)

田中に抗議されて動揺していた常子を心配そうに見ていた花山だけど
常子が商品試験を続けられなくなる事を心配していたんだね
あと、トラブルの時はまず常子が謝りに行けとも言っていたけど
これは来週への伏線かな?

星野がしりとり弱いの件で「どっちだと思う?」と訊ねる青葉への
常子の答えは100点満点だと思う
これは青葉にとってサンタが実在するかどうか?…みたいなファンタジーで
大人になれば判るのだろうが今はまだ知る必要はない
常子はどちらに断定する事もなく自分の父の話に置き換えて
ユーモアを交えて上手くはぐらかしている感じだ
父親がせっかくサンタに扮しているのにそれを偽物だと暴露しなくてもいいのだ
このアットホームなエピソードは家族間でしか味わえない類いのものだろう
常子が疑似家族を失う日の最後のエピとして申し分ないと思う

星野はなぜ「これからも必要であれば…」と申し出る常子を拒絶したのだろう?
前回の片瀬の「加奈子さんに申し訳ないと思っているのか?」から
その言葉通りに亡き妻への配慮なのかあるいは
再婚する意志がないのに常子と親密になり過ぎてはいけないと考えたのか
あえて謝礼を渡そうとしたのもそういう意志を常子に伝えるためなのかもしれない

弱音を聞かせてほしいという美子に常子はちょっぴり打ち明けてはいるが
やはりぶっちゃける事はできないんだね、「とと姉ちゃん」だから…
部屋を出た常子はあの後、どこかで独りで泣いていたのかもしれない

常子が本当に弱味を見せられるのは前回そうだったように
星野くらいなのだろうか?
ああ…15年前に星野と別れた時は君子の胸で泣いていたね

ラストのナレで康恵の申し出から新展開とのことだが
今回の康恵が唐突にならないための前回の康恵のお手伝い描写だったのかな
康恵もけっこうだがそろそろ綾も呼んであげて!

2016年8月26日金曜日

とと姉ちゃん(125)星野に励まされた常子はちとせ製作所に向かい…

台所で卵を割る青葉を見守る常子(高畑充希)と大樹「お~」 
常子「すごい、きれいに割れた」 大樹「すごい」 
青葉「黄身混ぜるの楽しそう」 
子どもたちに料理を教えている笑顔の常子 

光和医薬品 
片瀬「やっと終わったな」 
星野(坂口健太郎)「はい、今月は本当にきついですね」 
片瀬「ああ、お前も家政婦さんに遅くまでいてもらって大変だろ金かかって」 
星野「ですが木曜の夜だけは友人に来てもらっているので」 
片瀬「友人って女か?」 
星野「ええ、はい」 
片瀬「お前が?家政婦さん以外の女性を家に入れるなんて…
えっ、えっ、もしかして…」 
星野「僕の状況を知って今月だけ助けてもらってるだけです」 
片瀬「今月だけなんて言わずこれからも来てもらえばいいじゃないか
これを機に再婚なんて事も…」 
星野「再婚なんてありえません
手伝いに来てもらうのも残業がある来週で最後ですから」 
片瀬「お前…加奈子さんに申し訳ないと思ってるのか?」 
星野「…」 
宇田川「よ~し、全体会議も終わったしまだまだ今月頑張ってもらわにゃならん
今日は景気づけにパ~ッといくか!」
片瀬「おっ、いいですねえ」
「行きますか」
「早く片づけましょう」
宇田川「星野はどうだ?」
星野「僕は子どもが家で待ってるので」
宇田川「ああ、そうだな…じゃあまた今度な」
星野「すみません」

夜道を鞄を抱えて走る星野

居間に飛び込み「遅くなってすみません」
隣の間の襖から常子が顔をのぞかせ「し~っ」(と唇に指を立てる)
もう布団で眠っている子どもたちを眺める星野と常子

星野「へえ~青葉がホットケーキをですか?」
常子「そうなんです、自分でも焼いてみたいから作り方を教えてほしいって」
星野「今まで料理に興味なんかなかったのになあ…
それでうまく出来たんですか?」
常子「ええ、とっても
形もきれいに円くできましたし味もバッチリで
大樹君なんておいしいおいしい…ってペロッと2枚も食べちゃって」
星野「アハハ」
常子「青葉ちゃんもうれしそうでした
私もちなみに…2枚ほど…フフフ…だって本当においしかったんです
やっぱり青葉ちゃんが一生懸命生地を混ぜてくれたのがよかったんでしょうね
私も今度青葉ちゃんにコツを教わりたいくらいです、ええ」
いつになく饒舌に話す常子を見ている星野から笑顔が消えていく
常子「どうかされました?」
星野「お仕事で…何かありましたか?」
常子「えっ?」
星野「常子さんは昔からつらい時ほど周囲に気付かれないように
明るく振る舞う人ですから」
虚をつかれ黙り込んでしまう常子
姿勢を正す星野「僕でよければおっしゃって下さい」
(少しの沈黙)
常子「…トースターの商品試験で…
ある会社の商品が粗悪品だと記事を出したんです
もちろん公正に試験した結果です
でも、その記事のせいでその会社が苦しい状況になっており…
商品試験はたくさんの人の暮らしを守りたくて私が提案した企画です
なのに結局…誰かの暮らしを奪う事になってしまった
誰かを路頭に迷わせてまで商品試験をする必要があるのかどうか
わからなくなってしまって…
社長が弱音を吐く訳にはいかず…誰にも言えなくて…
すみません、お仕事で疲れてらっしゃるのにこんな話…」
星野「いえ…話してくれてうれしいです
それに…何だか安心しました
すみません、常子さんがつらい時にこんな言い方…
常子さんが昔と変わらずいつも誰かのために頑張っているんだなあと思って」
常子「それが…私の幸せなんだと思います
だから結局は自分のためですね」(と笑う)
星野「だからあんなにすばらしい雑誌を作る事ができるんじゃないですか?
誰かの暮らしを守る事が自分の幸せだと感じられる常子さんだからこそ
あなたの暮しのような雑誌が作れるんですよきっと」
常子「でも…その雑誌で一人でも不幸になる人がいるのなら…」
星野「…大樹の足、見ましたか?右足にやけどの痕があるんです」
常子「はい」
星野「長ズボンをはいていると隠れて見えませんがふくらはぎの辺りに
そんなに目立つものじゃないけど一生残ると言われました…
以前電気釜を買ったんです、妻を亡くしてすぐ
高価でしたが慣れない家事をどうにかしようと思って
でも…その商品には不備があって
子どもたち2人だけの時に、おなかがすいたと青葉が言うので
大樹が自分でごはんを炊いたそうなんです
なんとか炊き上がり出来上がりを確認しようと蓋のつまみに触れた時…
(回想シーン:つまみが熱くて倒れてしまった大樹の足が蓋の上に)
あのやけどを負いました
…確かに商品試験で粗悪品だと書かれた会社の人たちは
厳しい状況に置かれるかもしれません
でもそれによってよいものを作ってくれるようになるのだとしたら
それは必要な事なんじゃないでしょうか?」
常子「…そうですね
星野さん、ありがとうございます」
星野「いえ…」
常子「15年たってもやっぱり星野さんに励まされてる
フフフ…私の気持ちがかすんでいるといつもまっすぐに光をさしてくれた
星野さんは昔からそうでした」
星野「そうですかね…」(と照れたように笑う)
「はい」と笑顔でうなずく常子

ちとせ製作所前
田中(螢雪次朗)「帰れって言ってんだろうが!」
常子「お願いします、お話だけでも聞いて下さい!」
田中「あんたらと話す事なんかねえんだよ」
常子「少しだけでもいいんです、少しだけでもお話を…」
田中「さぞいい気分だろうなあ、うちの商品コケにして
あんたらは消費者の味方だもんなあ」
常子「それは違います、商品試験は消費者のためだけのものではありません」
田中「あ?」
常子「商品試験は生産者の方々に向けたものでもあるんです」
田中「うちの会社をあんだけたたいといて笑わせんじゃねえよ
どこが俺らのためなんだよ!」
常子「私たちは特定のメーカーを否定したい訳ではありません
全ての生産者の方に安全で使いやすい商品を作ってほしいと
呼びかけているだけなんです
2か月かけていろいろな商品試験をしてきましたが
何の落ち度もない完璧なトースターは一つもありませんでした
これは生産者の方々から見ても非常に残念な結果ではないでしょうか」
田中「…」
常子「予算のない小さなメーカーが
大手と比べられても困るとおっしゃってましたよね?
でも、いくら予算のある大手の商品でもたくさんの問題が見つかったんです
これは、まだまだ改良の余地があり努力するメーカーに
成功する機会があるという事ではないでしょうか
安全で使いやすいトースター…
どんな基準でどんな商品が求められているのか紹介する事で
消費者の思いを生産者の方々にもお伝えしています
私たちは今回の結果を踏まえて
安全でいいトースターを作って頂きたいだけなんです」
黙って常子の話を聞いている田中
その後ろには田中の妻や社員たちもいる
「突然…押しかけて申し訳ありませんでした(と頭を下げ)失礼します」
と歩き出した常子を田中が呼び止める
「待ちなよ…何を偉そうにって…言いてえ事はいっぱいあるけどよ…
あんたの言う事も一理あるかもしれねえな
うちは決して手抜き作業なんてしてねえし自分とこの商品に自信だってある
だけどよ、売るためには大手より安くする事が必要だって思ってた
そのためにはこれだけの予算しかかけられねえ…それでいいんだって
どっかで妥協してたところがあったのかもしれねえ…
ねえんだよな?」
常子「えっ?」
田中「いや…本当にいいトースターはまだどこも作ってねえって
あんた言ったよな?」
微かにうなずく常子
田中「だったらうちが作ってやるよ
うちは小さいけどな、技術は一流だっていう自負はある
よし、作ってやるよ」
少し目を潤ませた常子がうなずき「はい…期待してます」
なんだが居心地の悪そうな田中と後ろで笑っている田中の妻

元気を取り戻したような常子が「ただいま帰りました」とビルに入っていく

(つづく)

「再婚なんてありえません」と言う星野は同僚に
「加奈子さんに申し訳ないと思っているのか?」と訊かれていたが
そういう事なのだろうか?
そのうち星野から答えが聞けるのだろうがこんなシーンがあるという事は
いよいよ常子との結婚エンドが現実味を帯びてきた

前回、花山が常子を心配そうに見ていたが
落ち込んだ常子を慰めて励ましたのは星野だった
花山のはまた別に回収されるのだろうか?

星野の言葉をヒントに
商品試験は消費者のためだけのものではなく生産者に向けたものでもある…
というロジックを得た常子がちとせ製作所に乗り込むんだけど
田中の技術者としてのプライドと相まってうまく和解できたね
常子は商品試験を続けられるし田中はいいトースターを作る事だろう

このドラマは民放ドラマとは違い結構硬派で
これまで常子と敵対してそれっきりのキャラ(タイピスト多田や山岸課長)
もいるが今回の田中はちゃんと補完された
これは商品試験の存在意義にも関わっている案件だからという事かな?

朝ドラは人生を長く描いているから敵対キャラや
すれ違っただけのようなキャラ(キャラメルおじさんとか)がいてもいいと思う
清や早乙女のその後も気になるが人生には別れや疎遠になる事もある
だけど鉄郎は身内なんだからそろそろ顔見せろよな!

2016年8月25日木曜日

とと姉ちゃん(124)商品試験の記事のせいで生活を破壊された現場を見た常子は…

常子(高畑充希)「あらららら!」 
美子(杉咲花)「あれよあれ、ゆくゆくはしようって話よ
あの…大昭さんが一人前のコックさんになったらって」 
常子「いずれにせよよかったじゃない、おめでとう」 
美子「ありがとう、でも…いろいろ考えちゃって」 
常子「えっ、結婚するか迷ってるの?」 
美子「ううん、そうじゃないの…とと姉ちゃんの事」 
「…?」と美子の顔をのぞき込む常子 

タイトル、主題歌イン 

美子「…近い将来、私も 家を出るのかと思うと心苦しいというか…」
常子「どうして?」
美子「だって普通だったらとと姉ちゃんの方が先でしょ?
それに私が結婚して家を出たら
かかの事とと姉ちゃんに任せる事になっちゃう」
常子「そんなふうに思わないで…
よっちゃんが好きな人との結婚を望むなら私はそうしてほしいし
かかだってきっとそう言うと思うわ」
美子「私はね…とと姉ちゃんにも幸せになってほしいの
いつかいい人が現れたらなって思ってた」
常子「フフッ、いいのよ私の事は」
首を傾げる美子「どうしてそうやって頼ってくれないの?
とと姉ちゃんはいつも本音をぶつけてくれてない気がする
どこか自分の気持ちを隠してみんなに心配かけないように」
常子「そんな事ないわ」
美子「じゃあとと姉ちゃん今どう思ってるの?
星野さんの事は?結婚は本当にしないつもり?」
常子「星野さんは昔の友達よ
ほら、同窓会の時に久方ぶりに同窓生の方にお会いしたら
話が盛り上がるじゃない?」
美子「ちゃかさないで」
常子「…よっちゃんね、さっき私に幸せになってほしいって言ってくれたけど
私もう十分に幸せよ
鞠ちゃんは自分の望む人のところにお嫁に行ってそれを見届けられた
よっちゃんだって」
美子「それは…」
常子「それだけじゃないの
私にとっては会社と社員が子どもで
その成長を見ていられる事が本当に幸せなの」
なんだか納得できない様子の美子
常子「まあ…いい方がいれば恋はしてみたいなっていう気持ちもあるわよ」
美子「でしょ?だったら…」
常子「でも星野さんは奥様の事を愛していらっしゃるし
今は大樹君と青葉ちゃんの事が一番なの…
私はただ子どもたちがもうかわいくてなんとか星野さんの力になりたいだけ」
美子「…分かった」
うなずき合う姉妹
常子「あれね…弱音吐くのが苦手なのね、心配かけまいとしちゃって」
美子「そう…そう…そういうところあるでしょう?
それをもっとぶつけてほしいの…弱音吐いちゃってよ」
常子「フフフ…(ちょっとおどけて)分かった、やってみます」
真顔で「うん」とうなずいた美子が笑顔になる
笑い合う2人

<あなたの暮し最新号(37号)が発売されるやいなや
トースター試験の記事は大反響を巻き起こしました>

読者からの便りを読んでいる常子たち
松永「雑誌を参考にトースター買った人多いですね」
緑(悠木千帆)「ねえ、電気屋にそういうお客さんが
いっぱいいたって書いてある」

<編集部には多くの問い合わせや感謝の手紙、電話が寄せられました>

受話器を置いた水田(伊藤淳史)「またまた追加注文ですよ」
常子「すぐに増刷かけましょう!」
(一同)「はい!」
寿美子(趣里)「すごい勢いですね
売り上げ記録更新できるんじゃないですか?」
美子「そうなったらいいけど…」
水田「ついに『主婦の時間』を抜くかもしれませんよ」
常子「本当ですか?」

編集長室
水田「現在、商品試験が進行中なのが電球と安全カミソリですね」
常子「電球はもう終盤ですので記事にする作業に移行してもいいと思います」
花山(唐沢寿明)「ではそろそろ電気アイロンの試験を始めようか」
水田「アイロンですか?」
花山「現在一般家庭への普及率は50%だそうだ
これからもっと広まっていく事を考えると
購入基準を明確に示してほしいと思っている読者は多いと思う」
と、編集室の方で騒がしい声が聞こえ急ぎ向かう常子たち
「何の恨みがあってこんな事をするんだよ!」
見ると編集部員たちに囲まれた男が「責任者を出せ!」と喚いている
花山「責任者は私ですが」
常子「花山さん」
男(螢雪次朗)「あんたが社長か?」
「いえ私が…」と前に出ようとする常子の腕をつかんで引っ張る花山
「失礼ですがどちら様でしょう?」
男・ちとせ製作所社長田中「ちとせ製作所のもんだ
(雑誌を見せつけて)あんたらがこの雑誌でさんざんけなした
粗悪なトースターとやらを作ってる会社だよ
あんたらのおかげで売り上げガタ落ちだ
責任取れよ責任を!」(と雑誌を床に叩きつける)
急いでそれを拾い上げる常子(動揺した表情)
田中「うちみたいな小さな会社にあんな記事書くなんて
随分卑劣なまねをしてくれんじゃねえか
好き勝手でたらめ書きやがってよ!」
花山「でたらめとは聞き捨てならんな
我々は公平公正な立場で試験しそれを偽りなく発表している」
田中「広平公正だぁ?
チューブや広海みたいな大手と並べられてどこが公正なんだよ!
うちはな、大手みたいな開発費用はかけられねえけども
その分誠心誠意やって安い値段の商品で勝負してんだよ
安い部品でコストを落とすしかねえだろ」
花山「予算がいくらだか知らんが
低予算だから粗悪品でもしかたないという道理がどこにある?
商品が売りに出れば大手の品もそうでない品も
横並びで同じように売られるんだ
消費者をなめるのもいい加減にしろ!」
田中(花山を睨みつけ)「何だと?」
花山「我々は発表した内容に関して責任を持つ覚悟がある
文句を言う前にあなたこそ自分の作ったものに責任を持ったらどうなんだ!」
花山につかみかかる田中「てめえこの…!」
編集部員たちが田中を引きはがし押さえつける
田中「離せ!………(少し落ち着いて)離せよ…(解放される)
電化製品の素人に何が分かる…偉そうに…本屋がほざくな!
お前ら覚えとけよ!…どけ!」(と帰っていく)
(一同)「…」
花山「ほら終わったぞ(手を叩き)それぞれ仕事に戻りなさい」
常子「大丈夫ですか?この先何か…」
花山「放っておきなさい、あんなの口だけに決まってる」
机に向かった常子がバッグを手に取る
美子「ちょっとどこ行くの?」
常子「ちとせ製作所に行って話してくる
このままだと何するか分からないわ」
美子「ちょっと!」
常子の事を心配しているような花山

やや思い足取りでちとせ製作所の前に立つ常子
と、事務所から電話で話す田中の声が聞こえてくる
「全部?そんな殺生な…ちょ…ちょっと待って下さいよ(常子が事務所を覗く)
そうじゃなくても今方々から返品の連絡があって参ってんです
しかし今お宅に見捨てられたらうちはもう畳むしかなくなっちまいますよ
どうかお願いします!ねっ?戦前からの古いつきあいじゃないで…」
電話が切られたようで田中が受話器を耳から離す
声をかける事ができずにただそれを見ている常子
気落ちした様子の田中が椅子に腰かける
田中の妻「あなた…」
田中「あ…心配すんな、直接頭下げて頼み込めば分かってもらえんだろう」
妻「はぁ…もうどうしてこんな事に…」
後ずさりした常子が足早にその場を離れる

編集部に戻る常子「ただいま」
一同の「お帰りなさい」の声の中に康恵の…
常子「あ…康恵さん」
康恵(佐藤仁美)「久しぶりに手伝いに来たよ
聞いたよ…今日大変だったんだって?
そんな言いがかりに負けんじゃないよ」
常子「ありがとうございます」
作業に戻る康恵「でもカミソリってのは日本のは全然駄目だね
すぅぐ刃が欠けちまう…」
資料棚からちとせ製作所の試験表を取り出した常子が席に着き
それを改めて確認していると編集長室から花山が出てくる
資料に目を落とす常子を見つめている花山

終業時刻で皆が帰っていく中、腕時計を見る常子
美子「そっか、今日木曜日か」
常子「うん、かかには今朝伝えてきたから」
美子「もう…なんて顔してるの、せっかく青葉ちゃんたちに会うのに」
常子「うん…気を付けます…じゃあお先にね」

晴れない顔で夜道を歩く常子
星野家の玄関から人声が聞こえてくる
なみ「じゃあまた明日」
大樹と青葉「さようなら」
ドアを閉めたなみに挨拶する常子
なみ「ああ…あなた」
常子「はい、あの…私以前こちらでお会いした事がある…」
なみ「ええ、ええ、すみません
私が遅くまでいられないせいでご迷惑かけて」
常子「いえ、あの…私自身来たくて来ているので」
なみ「そうおっしゃって頂けると気が楽です
大樹君も青葉ちゃんも小橋さんがいらっしゃるの楽しみに待ってますよ
早く行ってあげて下さい」
常子「はい」
なみ「失礼します」
常子「失礼します」
玄関のドアの前に立った常子が少し笑ってみる
そして小さくうなずいてブザーを押す
ドアを開けて笑顔で出てくる子供たち
青葉が「おばちゃま!」と常子に抱きつく
常子「お待たせ~」
大樹「こんばんは」
常子「こんばんは」
常子に画用紙を見せる青葉「ねえ、またおばちゃまを描いたの」
常子「あ~本当だ、上手だね」
青葉「ここがスカートでドレスなんだけど…」
絵を覗く大樹「ねえおばちゃん、これお髭なんだよ」
青葉「お髭じゃない!」
大樹「ほらお髭だよ、ほら!」
青葉「お髭じゃない!」
他愛なく言い争う兄妹の相手をしている笑顔の常子

(つづく)

美子と南の件は結局、プロポーズというよりは
将来を誓い合った…というところだろうか?
美子がなにか悩んでいるふうだったのは常子が原因とのこと
常子だけに全てを背負わせるのは申し訳ないと考えたようだ
そして常子にも幸せになってほしいと…
星野との事も常子にかなり突っ込んで聞いていたけど
常子は15年前の星野からのプロポーズの事は話さなかったね
自分たちのために常子が犠牲になったと美子が考えないようにだろうか?

田中が怒鳴り込んできた件で常子を庇ったり
動揺している常子を心配そうに見つめていたりと
花山から常子への愛のようなものが感じられた
花山と常子は戦友のような関係だと思うのだが
それでも常子は女の子だから花山から見れば守るべき存在なのかな

花山が田中に言った事は正論だけど常子は優しいから
自分たちの行いで誰かの生活が破壊された事がショックだったんだね
記事を出す前に想像はできたはずだけれどそれでも実際に見てしまうと…
ちとせ製作所からフェードアウトするように逃げていく高畑の演技はよかった
あの凍り付いた表情と足早に去っていく背中がいい感じ

今回、康恵が登場した意味が分からなかった
スタジオパークにでも出演するのかと思ったがそうでもないようだ
「そんな言いがかりに負けんじゃないよ」と常子を励ましてくれたが…

なみの登場もはっきりとは意味が分からない
ただ、常子が星野家の玄関で笑顔を作るシーンは今回のキモなので
その前になみの「大樹君も青葉ちゃんも小橋さんがいらっしゃるの
楽しみに待ってますよ早く行ってあげて下さい」があった方が(効果的で)
よかったという事なのかな?

2016年8月24日水曜日

とと姉ちゃん(123)星野の家で幸せなひと時を過ごす常子~美子は南に…

光和医薬品社 
「おはようございます!」と星野(坂口健太郎)が飛び込むように出社してくる 
片瀬「今日こそ遅刻かと思ったよ」 
星野「すみません」 
片瀬「お前も大変だな、毎日毎日子ども2人を送り出してから出社して」 
星野「もう慣れました」 
片瀬「誰かいい人いないのか?」 
星野「えっ?」 
片瀬「そういうのやってくれる人だよ」 
星野「そんな人僕には…」 
片瀬「子どもの事を思うなら早く身を固めた方がいいぞ、
その気があるならいつでも俺に言ってくれ、ツテがない訳じゃないからな」 
星野「あぁ…」 
片瀬「フッ、気のない返事だなあ」

卓上のカレンダーは約束の10日の木曜日

花山の書いた原稿を確認している常子(高畑充希) 
原稿には『情けなし』『手抜き』などの厳しい文言が並ぶ

編集長室に入る常子「花山さん、すばらしいです」
花山(唐沢寿明)「ならば結構」
常子「ただ…いくつかのメーカーを名指しでこれまで以上に
辛辣に批判していますが本当にこのまま掲載しても?」
花山「それでこそ商品試験の意味がある、そのまま出してくれ」
常子「…分かりました」

常子「花山さんからすばらしい原稿を頂いたわ、すぐに印刷所に回して」
松永「承知しました!」
水田(伊藤淳史)「よかった、なんとか間に合いましたね」

<試験結果と厳しい批評を記した花山の原稿はすぐに印刷に回されました>

仕事が終わりビアホールへ繰り出そうとしている一同
寿美子(趣里)「常子さんはどうします?」
常子「あ…今日はちょっと失礼します、楽しんできて」
美子(杉咲花)が社長印をもらいにくる「今号も大変だったねえ」
常子「そうねえ…でも毎度の事だからね」
美子「そうね…あっ、今夜大昭さんとお夕食食べて帰るから遅くなる」
常子「あっ、そうなの…私もちょっと用事があるの」
美子「えっ?」
常子「先出るけどごめんね」(と行ってしまう)
常子の背中を見ている美子

星野宅のブザーを押す常子「こんばんは~」
玄関から子どもたちが飛び出してきて青葉が常子に抱きつく「おばちゃま~!」
常子「お~!青葉ちゃんどうしたの?」
青葉「今日本当に来てくれるのか心配だったから」
常子「フフフ…」(と青葉の頭を撫でる)
青葉「来てくれてよかった」
常子「来るよ~ありがとね、約束は守るから」

居間
常子が「念のために…もし何かあったらここに連絡して」と大樹に名刺を渡す
常子「2人は晩ごはんは食べた?」
大樹「僕はちゃんと食べたけど青葉が…」
台所の食卓にはキッチンパラソルの中に1食分が残っている
常子「ああ…」
青葉「ニンジンあまり好きじゃない」
常子「そうなの…じゃあほとんど食べてないの?」
青葉がうなずく
残った料理を眺める常子「う~ん…(と、2人に振り向き)
ちょっとお台所貸してもらってもいい?」

夜道を帰宅すると家の中からにぎやかな声が聞こえてきて笑顔になる星野

青葉がコロッケを箸でつまむ
常子「フフフ、青葉ちゃん3つ目食べられる?」
青葉「うん」
常子「本当?」
常子「ソースかけよう、よいしょ」
青葉「ありがとう」
コロッケを頬張る青葉
常子「熱い?」
青葉「ううん」
と、星野が居間にやってくる「ただいま」
一同それぞれ「お帰りなさい」
コロッケを眺める星野「あの…これは?」
常子「あっ、すみませんあの…
青葉ちゃんが煮物のニンジンが食べられないというので
ジャガイモと一緒に潰してコロッケに作り替えたんです
お台所勝手にすみません」
星野「いえいえ、そんな事までやらせてしまって…」
常子「いえ」
青葉「おばちゃまのコロッケすごくおいしいんだよ」
星野「そっかあ」
星野が常子を見る
子どもたちを見ている常子「やけどしないでよ」
大樹「うん」
青葉「次食べたら4個目」
星野「あの時の常子さんと同じですね」
常子「えっ?」
星野「昔…僕にみそ汁を作ってくれた時も
そんなふうにうれしそうな顔をしていたので」
常子「フフフ…そうですかね…フフフ」

台所で洗い物の食器を拭いている常子と星野
常子「これで全部です」
星野「ありがとうございます」
常子「ここ置きますね」
青葉がやってきて「ちゃんと拭いてきた」
常子「うん?あっ、青葉ちゃん拭いてくれたの?」
「うん」と青葉が常子にふきんを渡す
常子「偉かったね」
「エヘヘ」と青葉が照れる
星野「青葉、拭いたのお兄ちゃんだろ?」
青葉「でも持ってきたのは青葉だもん」(ちょっと憎たらしい感じ)
常子「そうだよね、持ってきてくれてありがとう」
「うん」と青葉が部屋に戻る(大樹は布団を敷いている)
星野「全く…」
常子「大樹君も青葉ちゃんも本当にいい子ですね
きちんとお手伝いもしてくれますしお行儀もいい子で」
星野「そう言って頂けると親としてはうれしいですが」
常子「それだけじゃありませんよ、心も優しい子で…
なみさんが作って下さった料理を残しちゃった事を
青葉ちゃんずっと気にしてたみたいで
明日こそ絶対謝るんだ…って
そういう事って星野さんや奥様が一つ一つ優しく教えられたんでしょうね」
星野「僕は何も…でも妻は人の気持ちを大事にするという事を
とても大切にする人でしたね」
少し微笑んで寝床を作っている子どもたちを見る常子

夜道を歩く美子と南(上杉柊平)
美子「フフフ、でも大昭さんがその時卵焼き教えてあげて」
南「できるか?」
美子「できるよ」
小橋家に到着して「じゃあこれ」と南が紙袋を手渡す
中の瓶を確認する美子「ありがとう、みんなで頂きます
じゃあ…おやすみなさい」
南「おやすみ」
と、家に入ろうとする美子を南が呼び止める「美子」
美子が振り返る
南「美子、あのな…」
美子「…?」
南「俺…」

玄関を入ってきた美子は少し様子が変だ
居間に入っても台所の君子(木村多江)の背中を黙って見つめている
気配を感じたのか君子が振り向く「あら、帰ってたの?
何も言わないから気付かなかったわ」
美子「ただいま帰りました」
君子「どうかしたの?」
美子「いえ…とと姉ちゃんは?」
君子「まだよ」
美子「でも私より先に会社を出ましたけど…」
君子「ああ、何か用があるみたいよ
今日は遅くなるから先に食事しててって今朝」
美子「だからあんなに急いでたんだ…」
と、少し改まった様子になった美子が「かか…あの…」
そこへ「ただいま帰りました」と常子が戻ってくる
常子「あっ、よっちゃん今帰ったところ?」
美子「うん、どこ行ってたの?」
常子「ああ…ちょっと星野さんのお宅に」
美子「星野さん?」
常子「うん…星野さんの会社が来月まで繁忙期みたいで
定時に上がれない日があるそうなんです
それで夜、子どもたちだけにしておくのは心配で…」
君子「そうだったの?」
常子「はい…だからふたつきだけ週に一度お手伝いに行く事になりました」
美子「毎週?」
常子「うん…あっ、でも大丈夫、仕事はきちんと済ませてからにするから
みんなに迷惑かけないようにするわ」
美子「いいのいいの」
常子「ありがとう…かかもごめんなさい
その日だけは少し帰りが遅くなります」
君子「ああ…私は構わないわ」
常子「ありがとうございます」

寝間着姿の常子と美子が布団を作っている(常子はご機嫌なのか鼻歌)
美子が机の上の常子の3つの目標に目をやる
美子「今日はどうだったの?」
常子「うん?どうって?」
美子「星野さんのお宅に行って」
常子「ああ…星野さんが帰ってこられるまで
お子さんたちとごはん作ったりしただけよ」
美子「うん…おいしいって食べてくれた?」
常子「うん、まあね…コロッケの作り方教えてくれた宗吉さんに感謝しないと」
美子「そう…」
常子(美子の様子がおかしい事に気付いた感じ)「どうかした?」
常子に向き直る美子「…実はね…」
常子「うん」
美子「今日、大昭さんから言われちゃったの…」
常子「うん」
美子「結婚を考えてるって」
口を手で押さえる常子「あらららら…」
そして祝福するように美子に笑いかける

(つづく)

美子は南にプロポーズされたのだろうか?
「結婚を考えている」と言われたみたいだが
その相手は美子ではなく別の女性…とかいう変なオチはないよね?
まあラストで美子が常子の目標(鞠子美子を嫁に出す)を見ていたから
普通に美子自身の嫁入り話だと思うのだが
美子は何を戸惑っているのだろう?
美子が南を大好きな描写はふんだんにあったから素直に喜びそうなものだが
もしかしたらコックだけに南がフランスに修行に行くとか言いだしたのかな?
常子と同じく美子のモデルの人も生涯独身だったらしいから
美子の恋の行方は常子の結末と共に気になる

星野家のシーンのラストで星野が亡き妻について語った後
常子が少ししんみりしたような顔になったのが気になったが
ラストで寝間着姿の常子が鼻歌を歌っていたから心配ないかな
常子にとっては疑似家族と過ごせた幸せな一日だったと思う
もうこのまま押しかけ女房になっちゃえ常子

2016年8月23日火曜日

とと姉ちゃん(122)お互いを昔のままだと確認する常子と星野

夜、星野(坂口健太郎)が帰宅すると玄関に女ものの靴がある 
居間から常子(高畑充希)が顔をのぞかせる「常子です、お邪魔してます」 
星野「常子さん?」 
居間に入る星野「大樹!えっ、一体…?」 
大樹は布団に寝かされ青葉は常子の膝で眠っている 
常子「風邪をひいていたようで熱があったんです」 
星野「えっ…」 
常子「でももうだいぶ下がりました」 
星野「そうですか…」 
常子「あ…勝手に上がってしまってすみません
先ほどのお礼に伺ったら具合が悪そうでしたのでつい…」 
星野「こちらこそご迷惑をおかけしてしまってすみませんでした」 
常子の膝の上で青葉が寝返りをうつ 
常子「フフフ…(青葉の髪をなで)もう少しだけこのままでもいいですか?」 
星野「僕はもちろん…」 
仲睦まじい家族のような4人 

タイトル、主題歌イン 

青葉も床につき部屋の明かりを消した常子が隣の間に移る
お茶の準備をする星野「ありがとうございました
常子さんが来てくれなかったらどうなっていた事か…」
常子「お一人だと大変ですよね」
星野「そうですね…あっ、どうぞ」
常子「失礼します」(と席につく)
茶をいれる星野「家政婦のなみさんが来てくれるのは午後からなので
朝食の準備も一苦労です
それに青葉にはお弁当を持たせないといけなくて」
常子「お弁当も作るんですか?」
星野「ええ、毎朝仕事へ行く前に」
(星野が湯飲みを置く)
常子「ありがとうございます」
星野「それから大樹を送り出し青葉を幼稚園に連れていって
会社に着くのはいつも始業時間ギリギリです」
常子「すっかりお父さんですね」
星野「もう必死ですよ」
常子「頂きます」(と茶を飲む)
星野「どうぞ」
常子「…星野さんがお付けになったんですか?」
星野「え?」
常子「名前です、大樹君は大きな樹…だし青葉ちゃんは青い葉…
植物好きだった星野さんらしいなって」
星野「大樹は…はい
すくすくと育ちいつか誰かを支えられる人間になってほしいと思って付けました
でも…青葉の名前は妻が」
常子「奥様が?」
星野「ええ…妻も植物が好きな人だったんです
出会って意気投合したのもその話題で盛り上がったからでして
(仏壇の写真に目をやり)加奈子は菜の花のように
周りを明るくするような人でした」
(常子も振り返り写真を見ていたが星野に向かい)「すてきな方だったんですね」
照れたようにうなずく星野
「いや…出版社を作るなんてすごいですよね
昔からこれと決めたら常子さんほど強い人はいません」
常子「いえ、私なんて怒られてばかりです」
星野「社長なのに?」
常子「はい、編集長が敏腕なんですけど厳しい方で」
星野「大変だ」
常子「もう本当に…」
星野「僕はただの会社員ですから気楽なもんです
終業時間も早いですし」
常子「でもその方がお子さんたちにとってはいいですよね」
星野「ええそうなんです、ただ来週からのふたつきが繁忙期なもので
木曜の全体会議だけは抜けられないと思うので頭が痛いです」
常子「でしたら夜はお子さんたちだけで?」
星野「ええ、かわいそうだとは思うんですがそうするしか…」
常子「あの…ご迷惑でなければ
星野さんがお帰りになられるまで私が顔出しましょうか?」
星野「えっ?あっ、いやいやそんな…申し訳ないですよ
今日の事だけでもご迷惑をおかけしたのに」
常子「でも木曜だけですよね?ふたつきだけでしたらなんとか」
星野「いや、でも…」
常子「星野さん…今は一番にお子さんたちの事を考えましょう」
星野「…」

玄関
常子「え~それでは来週の木曜日ですから…10日」
星野「はい」
常子「仕事が終わり次第すぐに駆けつけます」
星野「よろしくお願いします」
常子「はい…では(と、靴箱の上の花差しに目を留め)かわいらしいですね」
星野「ああ…桔梗です、漢字だと木偏に『吉』『更に』となり縁起がいいと
戦国武将も好んで家紋に使ったんです
あ~桔梗の根は古くからせき止めなどに使われていまして
うちの会社で扱っている薬も桔梗の根の成分を…」
植物の話をする星野を見て常子が嬉しそうに笑いだす「フフフ…」
星野「えっ?」
常子「星野さんお変わりありませんね
植物の話になると真剣な顔になってバ~ッて」
星野「恥ずかしいな」
常子「そんな事ないです
昔の星野さんのままで私はうれしかったです」
星野「僕もです…常子さんが昔のままで」
星野を見てうなずく常子
星野「本当にお世話になりました」
常子「いえ…では失礼します」
星野「おやすみなさい」
常子「おやすみなさい」

花差しの桔梗の花

小橋家の壁時計は9時6分前
美子(杉咲花)「15年ぶりだと話が尽きませんよね」
老眼鏡をして縫い物をする君子(木村多江)「えっ?」
美子「とと姉ちゃんです(と糸を通した針を渡す)
菓子折を持っていっただけなのにもうこんな時間
星野さんとのおしゃべりに花が咲いてるのかなあって」(ちゃぶ台で書き物をする)
君子「そうかもしれないわね」
美子「あっ、そういえばまり姉ちゃんが
とと姉ちゃんが昔、星野さんと交際してたんじゃないかって言ったんです」
君子「鞠子が?」
美子「はい、私もとと姉ちゃんはお慕いしていたと思いますが交際まではなぁ…
あっ、でもせっかく再会できたんだから
今からでも2人がうまくいけばいいなって思うんです」
と、「ただいま帰りました」と常子が戻る
迎えにいった美子が常子の手を引っ張ってちゃぶ台の前に連れてくる
美子「どうだった?」
常子「どうってまあ…お子さんとかお仕事の話をして…
でもやっぱり男手一つでお子さんを2人育てるのは大変みたいです
…そうだ、玄関に桔梗が飾ってあってね」
美子「うん?」
常子「星野さん昔と同じように植物がお好きみたいで
ちっとも変わってなかったわ、カバン置いてきます」(と立ち上がり部屋を出る)
美子「変わってなかったんだ…」
何か思うようなところがあるような表情の君子

自室で机に向かい手帳を開き予定を確認している常子

大樹を看病している星野

一週間後(トースター試験60日目)

<試験する事2か月、この日トースターの商品試験は最終日を迎えました>

トースターからチンッと音をたててトーストが上がってくる
扇田「終わった…」
微笑む常子「皆さん、1年分1,460枚、全て焼き終わりました!」
拍手する一同「お疲れさまでした」
寿美子(趣里)「では試験表を集めます!」
(一同)「はい!」
「ご苦労さま!」
常子「ご苦労さまでした」
トースターのメーカー別に並べられたトースト

書類を机に置く寿美子「試験結果はそろいました」
島倉「1年分焼いてみて問題なしのトースターはなし
こんな結果になるとはなあ…」
寿美子「チューブ電器とかちとせ製作所みたいな
危険性のあるものについても正しく伝えないと」
花山(唐沢寿明)がうなずく
常子「本木さんは最後の結果を写真に収めて下さい…
花山さんは早速原稿をお願いします」
「分かった」と花山が編集長室に向かう
常子「では皆さん、最後までよろしくお願いします!」
(一同)「はい!」

夕刻、「失礼します」と編集長室から緑(悠木千帆)が出てくる
「本当、大丈夫かしら?」
一同が緑を見る
扇田「ん?」
緑「花山さん、原稿まだ白紙だったから」
扇田「1行も書いてないんですか?」
緑「ええ」
(一同)「…」
と、部屋から出てきた花山が蛇口の水を瓶に満たし部屋へと戻る
松永「まさか遊んでたりして…」
扇田が(何を言うんだ)という感じで松永に物を投げるしぐさ
美子「そりゃ簡単には書けませんよ
この試験結果じゃどのトースターも酷評する事になると思います
花山さんは毎号毎号1行1行全身全霊をかけて雑誌を作ってるじゃないですか
それと同じようにメーカーの方が思いを込めて作った製品を
批判しなくてはいけないのは相当な覚悟が必要ですよ」
美子の話にうなずき目を伏せる常子

瓶に万年筆の先が入れられる
水の中にインクがにじみ出てそのまま夜になる

洗い場で万年筆を洗う花山

<その日、花山がペンをとったのは夜も更けた頃でした>

編集長室で執筆する花山

灯の消えた編集室、薄明りで書類を確認している常子

執筆を続ける花山

編集長室を見つめる常子

<常子は花山に寄り添うように遅くまで残っておりました>

(つづく)

亡くなった妻加奈子の話題で「すてきな方だったんですね」と言う常子に
星野が急に「いや、出版社を作るなんて…」と常子の話にかえてしまったのは
照れくさかったからなのだろうか?
それとも常子さんこそ素敵だ…と言いたかったのだろうか?

やっと星野が植物うんちく話をしてくれた!
常子も嬉しそうだったね
植物の話をしないのは星野が変わってしまったからでは…
と疑っていたのだが一安心だ

桔梗の花言葉は「変わらぬ愛」「気品」「誠実」「従順」で
菜の花は「快活」「競争」「小さな幸せ」「豊かな財力」とのこと

美子から星野の話を聞かされた君子は微妙な表情だったけれど
何かが心配なのだろうか?
昔の経緯を思い出しただけなのか
それとも後妻に入る難しさを考えたりしているのかよく分からない

美子はさすが信奉者だけあって花山の苦しみを理解しているんだね
だがラストで花山に寄り添っていたのは常子だった
今回の大部分は常子と星野が15年の時間を埋め
お互いが昔のままな事を確認できたようなお話の印象だったが
なぜこんなラストなのだろう?
この先、もしかしたら常子は花山をはじめとする社員一同と共有する理念と
星野とを天秤にかけなければならない事態に追い込まれるという事なのだろうか?
15年前は家族を守るために星野を諦めた常子だが
今回もまた、理念(あなたの暮し)を守るために星野を失うのだろうか?
それも物語としては美しいかもしれないが普通にハッピーエンドが見たいかな…



2016年8月22日月曜日

とと姉ちゃん(121)星野からの商品試験への協力の申し出を断ってしまった常子に美子は…

昭和三十一年春 

電気トースターの商品試験に取り組んでいる常子(高畑充希)たち 

<商品試験は対象を電化製品にも広げより本格的になっていました 
一つの商品に長い時間をかけさまざまな項目を
実際に使う消費者の立場に立って検証します> 

電球の商品試験で耐久性を調べるためサングラスをかけて
オンオフを繰り返している美子(杉咲花)たち 
と、一つの電球が切れてしまう 
扇田「チューブ電器、もう切れました」 
様子を見に来た常子「あ~」 
美子「つける度に明るさも落ちていったわ」 
常子「じゃあ消費電力の試験に回しましょう」 

<複数の商品を同時に試験するため作業は社員総がかりです> 

鉛筆の試験をしている水田(伊藤淳史)たち 

<常子は花山と共にその全てを監督するという
今まで以上に忙しい毎日を送っていました>

トースターの試験で機械から煙が上がる
「どうした?どうした?」
常子「大丈夫?」
「パンが上がらなくなってそのままにしてたんで…」
常子「細かい状況を記録してあと温度も測って下さい」

水田家
「よっちゃん見て見て~」とたまきが着けているエプロンを見せる
美子「ん~かわいい、お母さんとおそろいね」
たまき「たまきよっちゃんにごはん作ってあげるの」
美子「えっ、たまき作れるの?」
「うん、ちょっと待っててね」とたまきが台所に向かう
鞠子(相楽樹)「この前初めて上手に卵が割れたのよ
これなら目玉焼きが作れるね…って言ったら…」
美子「そういう事…」
鞠子が心配して台所にたまきの様子を見にいく

焦げて黄身のつぶれた目玉焼き
美子「ん~おいしそう、ありがとう」
たまき「おいしそうじゃない」
美子「そんな事ないよ、作ってくれてうれしいよ」
たまき「でもよっちゃんにきれいなのあげたかったのに…」
「じゃあこっちと交換してあげよっか」と鞠子が自分のものと取り替える
「これでよっちゃんにおいしいもの食べてもらえるね」
たまき「うん!よっちゃんどうぞ」
美子「ありがとう」
鞠子「今度はもっと上手に作れるように練習しようね」
たまき「うん!」
「うん、はいたまき、これよっちゃんに渡して」と鞠子がたまきにグラスを持たせる
そんな鞠子を美子が見つめている
鞠子「うん?」
美子「フフフ、いや…お母さんになったんだなあと思って」
鞠子「フフフ…何よ、私なんてかかに比べたらまだまだよ」
美子「フフフ、やっぱりたまきが作ったのもらっちゃおう」(と皿を取り替える)
たまき「ウフフフ」
鞠子「よかったね、たまき」
たまき「うん!」
食事が始まり鞠子「とと姉は星野さんに会ったりしてるの?」
美子「え~さあどうかな?何も聞いてないけどどうして?」
鞠子「フフ…」
美子「何よ、もったいぶらないで言ってよ」
鞠子「う…ん…とと姉と星野さん多分以前交際してたんじゃないかな」
美子「えっ?」
鞠子「だって大阪に行く前は週に一度は必ず会ってたでしょ?」
美子「うん、お汁粉?」
鞠子「そうそう…とと姉毎回その日は朝からそわそわそわそわして
(美子が笑う)鏡台の前にいる時間も普段より長かったし」
美子「まあ…そういう気持ちもあったのかもしれないね」
鞠子「うん…もしかしたら…再会を機に昔みたいに…」
美子「ないないない、とと姉ちゃんにそんなそぶり全然ないもん
それに星野さんにはお子さんがいらっしゃるでしょ?
星野さん自身もそういう気持ちは…」
鞠子「そう…」
美子「まり姉ちゃんは星野さんとおつきあいしてほしいの?」
鞠子「う~ん…してほしいとまでは思わないけど
もし少しでも気持ちが残ってるならそうなればいいなあって…
だって好きな人と一緒にいるって幸せな事じゃない?」
美子「…そうね」

あなたの暮し出版前
台の上にトーストを並べて道行く人に配布している女性社員
「トーストお裾分けしていま~す」

トースタを試験中の松永「あれ?」
花山(唐沢寿明)「どうした?」
松永「つまみが壊れたみたいです、パンが下がらなくて」(常子ものぞき込む)
花山「何回目でだ?」
松永「えっ?えっと…え~…」
花山「お前はクビだ!」
一同が花山を見る
松永「待って下さいよ、クビなんてそんなのひどすぎますよ
ちょっと数え忘れただけじゃないですか」
花山「数え忘れただけ?あれほど試験に臨む覚悟を伝えたのに
まだ分からんのか!そんなやつはここにいなくていい帰れ!」
緑(悠木千帆)「そこまで言わなくても…」
立ち上がる花山「いいか?改めて聞いてくれ
人様が命懸けで作った商品を我々は真正面から批評するんだ
こちらも命懸けでやって初めて責任が果たせるんだ!」
松永「すみません、二度とないように気を付けます」
花山「二度目などない!一度失敗したらこれまでの試験は全て水泡に帰す」
寿美子「あの…私念のために全部の回数を控えていたので
分かりますけど…」
常子「本当?」
寿美子「はい」
美子「さすがすみちゃん」
花山「作業する人間と数を数える人間は分けた方がいいな
大塚さん、お願いできるか?」
寿美子「はい!」
と、扇田が紙袋ふたつに大量のバターを持って帰ってくる
扇田「同級生に末永に勤めてるのがいてね
僕がここの人間でトースターで毎日パンを焼いているって言ったら口利いてくれて
皆さん!バターの差し入れですよ!これ全部タダですよ!」
緑「タダ?すごいわねえ」
美子「じゃあバタートーストでも頂きながら一休みしますか」
扇田「いいですね!」
花山「待ちなさい!扇田君、すぐにそれを返してきなさい」
扇田「へっ?」
花山「同級生だか何だか知らんが不正に手に入れたものを
商品試験の場に持ち込むなど言語道断だ」
扇田「いや、あの…お言葉ですが試験する商品だったら
僕だってこんな事しません
でも今回トースターですから…」
花山「同じ事だ!この先バターの品質を検証するかもしれない
その時に、あの時協力したからうちに有利な記事を書け…
と言われる可能性もある!そんな事はないと君は言い切れるのか?」
扇田「それは…」
花山「みんなも今後気を付けてくれ!」
常子「はい」
(一同)「はい」
花山が部屋を出ると電話がかかってくる
美子「はい、あなたの暮し出版です…少々お待ち下さい…
とと姉ちゃんお電話よ」
常子「あ…すぐ行きます」
(電話の声)「あの…その声もしかして美子さんですか?」
美子「えっ?」
(星野)「星野です」
美子「あ~どうなさったんです?あっ、今姉と代わります(常子に)星野さん」
常子「星野さん?…って星野さん?」
受話器を取り「お電話代わりました常子です」
(星野)「すみませんお仕事中に」
常子「いえ、どうされました?」

星野の会社
電話をする星野の後ろに雑誌を持つ男がいる
星野「実は僕の上司があなたの暮しの商品試験の記事に感嘆しておりましてね
よくここまで記事にできるなと」
(常子)「あら…わざわざお知らせ頂きありがとうございます」

常子「励みになります」
(星野)「いえ、そこで上司から何か協力ができないかという話が出まして」
常子「協力?」

星野「はい、例えば今後衣類を検証する機会があるとします
その時に洗濯をしてどのように縮むかを調べるとしたら
洗剤が必要になりますよね」

常子「はい」
(星野)「そのような時にうちの製品を格安でご提供させて頂きたいなと思って
お電話した次第です」
常子「ああ…それはありがとうございます
ただ…お気持ちはありがたいのですが
今後どの商品がどのように試験に関わってくるか分からないので
商品は一般購入すると内規を定めておりまして」

星野「ああ…そうですか」
(常子)「せっかくお電話下さったのにすみません」
星野「あっ、いえいえいえ、こちらこそ困らせてしまってすみませんでした」

常子「いえ、でもありがとうございます
上司の方にもよろしくお伝え下さいませ」
(星野)「はい、では失礼致します」
常子「はい、失礼します」(と受話器を置く)
美子「星野さん…自分の会社の商品を?」
常子「うん…申し訳ない事したわ
せっかく電話かけて下さったのに」
美子「うん………じゃあお詫びに何かお持ちしたら?」
常子「えっ?」
美子「ほら、小さいお子さんがいるんだし
お菓子とか喜んで頂けるんじゃない?
せっかくご提案頂いたんだからそれくらいね」
常子「ああ…」(青葉の笑顔を思い出した常子がうなずく)

紙袋を提げた常子が星野宅のブザーを押す
ドアを開けて出てきた泣き顔の青葉「おばちゃま…」
常子「うん?青葉ちゃんどうしたの?」
青葉「お兄ちゃんが…」
「ちょっとごめんね」と家に上がった常子が居間で倒れている大樹を発見する
「大樹君?」と肩をさすり抱き起すが大樹は赤い顔でせきをしている
心配そうに見ている青葉
大樹の頬に触る常子「熱いね」

(つづく)

美子たちがサングラスをかけて電球を試験している絵はシュールだった
もはや出版社だとは思えないw(会社の前ではトースト配ってるし)

たまきが目玉焼きを作った件は何の意味があったのだろう?
母親に見守られて育っている幸せなたまきと
ラストで兄が倒れて泣く事しかできない母親のいない青葉との対比なのかな?

鞠子と美子の15年前の星野への認識に違和感を感じた
姉が2年間も毎週会っていたんだから好き合っていたに決まっているだろ
交際していた…と認識するべきだ
もう早く君子に常子が家族のためにプロポーズを断ったってぶっちゃけてほしい

しかし実験室の引っ越しで鞠子が常子を見つめていた件は回収された
鞠子の思いが美子にリレーする形で常子を星野の家に向かわせたんだね

花山は厳しすぎw
「クビだ」なんて言葉は本気でクビにするつもりの時にしか使っちゃだめだ
寿美子の「私…分かりますけど」は遅すぎwもっと早く言えよ
バターの件は微妙だけどまあ花山の言う通りかな…