2016年8月27日土曜日

とと姉ちゃん(126)約束の期間が過ぎ「これからも…」と申し出る常子に星野は…

編集長室 
花山(唐沢寿明)「そうか…ちとせが新しい商品をね…」 
笑顔の常子(高畑充希)「はい、約束して下さいました」 
花山「やっと答えが出せたようだな、見ていれば分かる…
商品試験を続けるべきかどうか揺らいでいただろう」 
常子「すみません、もう迷いません」 
花山「生産者がいいものだけを作ってくれれば人々の生活は向上する
そして主婦は家事という重労働から解放される
そのためにも商品試験は続けなくてはならないんだ」 
常子「はい」 
花山「母が死んだのは私が18の時だ
朝、誰よりも早く起きて重労働の家事をこなしさぞ苦労した事だろう
私には…あの時力になってやれなかったという思いがある
あなたの暮しを作りながらそんな感情がまた甦ってきた気がするんだ
もしもあの時代に今みたいな便利な商品があれば
母はもっと長生きできたかもしれない
だからこそ不良品ではなくよい品がより多くの人に届く世の中にしたいんだ
常子さんから商品試験のアイデアを聞いた時…鳥肌が立ったよ
これこそあなたの暮しが存在する意義だとね
商品試験はあなたの暮しの看板企画として末永く続けていくべきだ
そのために君は社員が毎日幸せに働いているかどうかを
いつも気にかけている番人になれ
そして社員が仕事の事で外部と面倒な事になったら
まずは君が出ていって謝れ
謝るという事は会社の代表として一番大きな仕事だ」
大きくうなずく常子「はい」
花山「私は私のやり方で戦う」(とペンをかざす)
楽しそうに笑う常子「はい」

タイトル、主題歌イン 

<常子は商品試験への迷いを払拭し
決意を新たに仕事に打ち込んでおりました>

デスクで鼻歌を歌う常子に美子(杉咲花)「もう挨拶状書き終えちゃったの?」
常子「うん、集中力が切れなくて一気に書けちゃった」
美子「さすが敏腕社長、浮かれ気分でも仕事は見事に」
常子「ん?浮かれてなんか」
美子「もう…とぼけちゃって…今日木曜日でしょ?
星野さんのお宅伺うんでしょ?」
常子「浮かれてなんていません」
美子「楽しそうに鼻歌歌ってたわ」
口を手で押さえて笑う常子「出ちゃってた?」
美子「うん」

星野家
大樹「リ…リンゴ!」
青葉「ゴ?ゴ…ゴジラ」
常子「ゴジラ?怪獣のゴジラ?ラ…ラッパ」
大樹「パ…あっ、パン!」
(2人)「あ~」
青葉「お兄ちゃん弱い!」
大樹「うるさいなあ」
青葉(常子に)「お父さんの方が弱いけど」
常子「えっ、お父さんしりとり弱いの?」
青葉「うん、いっつも負ける」
大樹「違うよ、優しいだけだよ、本当は勝てるのに
僕たちが負けないようにしてくれてるだけだよ」
常子「フフフ」
青葉「え~弱いだけだよ」
大樹「違うって」
青葉「常子おばちゃまはどっちだと思う?」
常子「ん~どっちかなあ…分からないけど…
おばちゃまのお父さんもしりとり弱かったけど
あれは本当に弱かったような…」
青葉「ほら」
常子「でもとっても優しい人だったわ」
青葉「そっか~」
常子「うん」
と、「ただいま~」と星野(坂口健太郎)が帰宅する
青葉「あっ、お父さん!」
皆で玄関まで出迎え、青葉が星野の手を引っ張ってくる
星野「何して遊んでたんだ?」
青葉「しりとりだよ」
大樹「お父さんも一緒にやる?」
星野「いや~お父さんしりとり苦手だから遠慮しとくよ」
青葉「ほら、やっぱり弱いんだ」
星野(青葉と大樹に)「おいおい、お父さんがしりとり弱い事
常子さんに言ったのか?」
(2人それぞれ)「言ってないよ」
星野「ホントか~?うそついたら針千本だぞ!」
子どもたちが立ち上がり逃げ回るのを星野が追いかける
常子「あ~ちょ、ちょ、ちょ…気を付けて気を付けて、隠れろ隠れろ!」

玄関の外で常子を見送る星野「毎週お世話になりました」
常子「いえ」
星野「常子さんのおかげで仕事に集中する事ができました」
常子「それはよかったです
来週からは少しは早くお帰りになれるんですか?」
星野「ええ、一山越えましたので」
常子「じゃあ大樹君や青葉ちゃんも喜びますね」
星野「それは…どうでしょう」
常子「えっ?」
星野「常子さんが来てくれるのが本当にうれしかったようですから」
常子「フフフ…」
星野「2人とも木曜日を心待ちにしていて
青葉なんか熱心に絵を描くようになったのはどうしてかと思ったら
常子さんに見せて褒めてもらうためだって言うんです
画用紙に何枚も常子さんの顔を描いて水曜日の夜は決まって真剣な顔で
明日おばちゃまにどれを見せてあげようかなあ…って悩んでるんですよ」
常子「私も同じです、木曜日が楽しみで
今日は何をお話しようかなって考えてると楽しくなっちゃって
本当にすてきな時間でした」
星野「いろいろお世話になりました」
常子「いえ」
「それでこれ…ほんの気持ちですが」
と星野が内ポケットから封筒を取り出し常子に差し出す
常子「…結構です」
星野「受け取って下さい、これくらいしか浮かばなかったので」
常子「いや、受け取れません
こちらの方こそお礼を言いたいくらいですので」
星野「いや、しかし…」
常子「本当にお気持ちだけで」
星野「…そうですか…」
常子「ええ」
星野「…分かりました」
常子「………では…」
星野「おやすみなさい」
「おやすみなさい」と歩き始めるが7、8歩のところで立ち止まり振り返る常子
「あの…もし…」
星野「はい」
常子「これからも必要であればこうしてまた…」
小さく首を振る星野「いえ…それは…」
常子「…」
星野「常子さんもお忙しいのにそこまで甘えられません
お気持ちだけで十分です」
涙目だが笑顔を作り「そうですよね、すみません、出過ぎた事を…
では失礼します」と常子が立ち去る
それを見送る星野

部屋に戻り机の前に座り込む常子
背後で布団の中から美子が「お帰り」と声をかける
常子「ごめん、起こしちゃった?」
美子「ううん、起きてた(と布団の中で半身を起こし)今日はどうだった?」
常子「うん…楽しかったわよ
大樹君と青葉ちゃんとしりとりしたりして」
美子「ふ~ん」
常子「でもね、今日でもう終わり
星野さんのお仕事も一段落ついたみたいだし」
美子「もう行かないって事?」
常子「そう」
美子「もう少し星野さんのおうちのお手伝いしたいんじゃないの?」
常子「うん…まあそりゃ本音を言えば
もう少しお手伝いしたいなって思うわよ、でも…」
美子「さみしい?」
常子「ん?」
美子「ほら、弱音…」
常子「…さみしい…」
美子「フフッ、何だかかわいい
今まで見てきたとと姉ちゃんの中で一番」
常子「フフッ、かわいいって何よ、もう人の事からかって」
美子「ごめんごめん」
常子「でも…何だか少し楽になれたような気がする…ありがとう」
美子「…どうしたもんじゃろねぇ…」
常子「ん?」
美子「星野さんともう会わないつもり?」
常子「そんな事ないわ、会う必要があれば会うしその必要がなければ…」
美子「そんなふうに他の人と同じように思えるの?」
常子「…前にも言ったけれど星野さんにはご家庭があるの
大樹君も青葉ちゃんもお父さんの事大好きだし
星野さんも2人の事大切に思ってる、それで十分なの」
常子を見つめる美子
常子「それにほら、今はうちの子も大変だから」
美子「うちの子?」
常子「あなたの暮しよ」
美子が笑う
常子「フフフ、花山さんがおっしゃってたように
商品試験は真心と覚悟をもって臨まないといけないから」
美子「うん」
常子「うん………ごめんね、先に寝ててね」
美子「うん」
立ち上がり部屋を出た常子が戸を閉めて少しの間静止する
そして廊下を歩いていく

常子「え~本格的にアイロンの試験を始めるにあたって
皆さんが使う中で気付いた事を洗い出して
どんな項目を試験すべきか決めていきましょう」
(一同)「はい」

横並びでアイロンを使う一同
美子「やっぱりすぐにシワが伸びるかどうかが大切かなあ」
寿美子(趣里)「そうですね」
女性社員「織江さん早いですね」
織江「私は毎日、旦那と息子のシャツをかけてるからねえ」
常子「さすがお母さんですね」
と、隣では扇田が指をやけどしてしまったようだ
扇田と松永の前のシャツを見て常子「あぁ…男性陣はちょっとひどいですね」
松永「シャツとかってシワがとれても折れ目がついたりして難しいんですよね」
常子「そうですね」
美子「やっぱり普段からアイロン使ってる人じゃないと試験にならないかもね」
常子「そうね…この中できちんとアイロン使った事がある方は?」
女性陣のみが挙手する
美子「試験担当が限られると厳しいわね、みんな他の作業もあるし」
常子「どうしたもんじゃろのぉ…」
と、「あたしに任せな」と入口で声がする
扇田「康恵さん!」
康恵(佐藤仁美)「私みたいな手伝いを連れてくるよ
子育てに一段落した主婦の友達が結構いてねえ
どうだい?適任だろ?」
笑顔の常子「はい」

<この康恵の申し出により商品試験は新たな展開を迎える事になるのです>

(つづく)

田中に抗議されて動揺していた常子を心配そうに見ていた花山だけど
常子が商品試験を続けられなくなる事を心配していたんだね
あと、トラブルの時はまず常子が謝りに行けとも言っていたけど
これは来週への伏線かな?

星野がしりとり弱いの件で「どっちだと思う?」と訊ねる青葉への
常子の答えは100点満点だと思う
これは青葉にとってサンタが実在するかどうか?…みたいなファンタジーで
大人になれば判るのだろうが今はまだ知る必要はない
常子はどちらに断定する事もなく自分の父の話に置き換えて
ユーモアを交えて上手くはぐらかしている感じだ
父親がせっかくサンタに扮しているのにそれを偽物だと暴露しなくてもいいのだ
このアットホームなエピソードは家族間でしか味わえない類いのものだろう
常子が疑似家族を失う日の最後のエピとして申し分ないと思う

星野はなぜ「これからも必要であれば…」と申し出る常子を拒絶したのだろう?
前回の片瀬の「加奈子さんに申し訳ないと思っているのか?」から
その言葉通りに亡き妻への配慮なのかあるいは
再婚する意志がないのに常子と親密になり過ぎてはいけないと考えたのか
あえて謝礼を渡そうとしたのもそういう意志を常子に伝えるためなのかもしれない

弱音を聞かせてほしいという美子に常子はちょっぴり打ち明けてはいるが
やはりぶっちゃける事はできないんだね、「とと姉ちゃん」だから…
部屋を出た常子はあの後、どこかで独りで泣いていたのかもしれない

常子が本当に弱味を見せられるのは前回そうだったように
星野くらいなのだろうか?
ああ…15年前に星野と別れた時は君子の胸で泣いていたね

ラストのナレで康恵の申し出から新展開とのことだが
今回の康恵が唐突にならないための前回の康恵のお手伝い描写だったのかな
康恵もけっこうだがそろそろ綾も呼んであげて!

0 件のコメント:

コメントを投稿