2016年10月1日土曜日

とと姉ちゃん(156)最終話 私はとと姉ちゃんでいられて幸せです 

常子の家 
家族全員が揃い食卓を囲んでいる 
(笑顔の一同)「乾杯~!」 

<あなたの暮しは長年の功績が認められ雑誌の最高栄誉といわれる
日本出版文化賞を受賞したのです> 

長卓にはちらし寿司、おはぎ、ポテトサラダなどが並んでいる 
常子(高畑充希)に拍手を送る一同(常子が礼で応える) 
たまき(吉本実優)「常子おばさん、この度は受賞おめでとうございます!」 
(一同)「おめでとうございます!」 
常子「ありがとうございます」 
真由美「ありがとうは私のセリフです」 
常子「えっ?」 
真由美「常子おばさんのおかげでこ~んなごちそうが食べられるんだもん」
常子「ああ…」(と一同とともに笑う)
美子(杉咲花)「いつになったら花より団子じゃなくなるのかしら?」
鞠子(相楽樹)「よっちゃんだってず~っとそうだったじゃない」
真由美「お母さんもそうだったの?」
美子(鞠子に)「どうして余計な事言うのよ」
鞠子「ごめんごめん」
(一同の笑い)
常子「ではそろそろ頂きましょうか」
(一同)「はい」
常子「頂きます」
(一同)「頂きます」(一同の礼)
水田(伊藤淳史)「あっ、常子さん取りますよ」
常子「あ…ありがとうございます」
小皿に料理を取り分ける水田「潤、こういう時にな
ず~っと女性に気を遣えるかどうかがモテるかどうかの分かれ道だからな
どうぞ」(と常子の前に皿を置く)
常子「ありがとう」
潤「あっ、そう」
水田「おい、真面目に聞いておきなさい大事な事だぞ(と南を見て)なあ?」
微妙な表情の南(上杉柊平)「そう…ですねぇ」
水田「まあこの家に育てばいやがおうにも身につく事になるか…」
たまき「どういう意味よそれ!」
鞠子「それじゃ私たちが無理やりやらせてるみたいじゃない」
水田「いや…違う違う違う違う!ごめんごめんごめん…ごめん!
(南に)ほら…謝ってよ」
笑う南「僕は謝りませんよ、言ってないですもの」
水田「潤…怖いぞ…アハハハハ!」
鞠子(潤を見て)「もうから揚げしか食べてないんだから」
一同の笑いの中、卵焼きを口に入れる常子

タイトルイン

夜になってもガヤガヤと仕事が続いている編集部
作業で机に目を落としながら常子「そうそう水田さん、昨日言っていた…」
と目を向けるとさっきまでそこにいた部員たちの姿が見えない
突然静まり返った部屋を立ち上がって見回す常子
不思議な面持ちで階段を下りていくと
一人の男が背中を向けて暗い試験室でボードを眺めている
常子が部屋の照明を点け静かに男に近づき「あの…」
みかんを手で揉んでいるその男が振り向き常子が固まる
「やあ常子」
目の前に死んだはずの竹蔵(西島秀俊)が立っている
常子「とと?」
常子に近づく竹蔵「どうかしましたか?」
常子「いえ…少し驚いてしまって…」
竹蔵「そうですよね…突然こんなふうに現れては驚くのも無理はありません」
常子「ととはあのころのままですね」
さらに近づく竹蔵「常子は大きくなりましたね」
恥ずかしそうに笑う常子「大きくなったといいますか…年を取りました
今ではととよりも年上です、とてもご自分の娘とは思えないでしょう」
竹蔵「いくつになっても常子は僕の娘です」
常子「そうでしょうか」
笑顔の竹蔵「そうですよ」
常子も嬉しそうに笑顔でうなずく
部屋を見渡す竹蔵「ここが常子の作った会社なんですね?」
常子「はい」
竹蔵「案内してくれませんか?」
常子「はい、喜んで(と部屋で手を広げ)こちらは商品試験をする場所です
今は扇風機の性能を調べる試験をしています」
竹蔵「暮らしに役立つための商品試験ですね」
常子「はい、47名の社員以外にもテスターさんがいらっしゃって
150名ほどの方がこの会社に関わって下さっています」
竹蔵「そんなに大勢が?」
常子「はい…とと、2階も見て頂けませんか?」
竹蔵「はい」
常子「こちらです」

編集部に上がる常子「もともとは鞠子と美子と
それから編集長の花山さんと4人だけで始めた会社だったんです」
常子が額に飾られたその頃の3姉妹の写真を竹蔵に手渡す
それをまじまじと見つめる竹蔵「鞠子も美子も立派になりましたね」
嬉しそうに笑う竹蔵に常子「はい」
写真を常子に返し編集部を見回す竹蔵「よくぞここまで…」
常子「いろんな方と出会って助けて頂きました…
皆さん一人一人のお力添えがあったからこうして…
(と竹蔵の様子に心配そうな表情になり)とと?」
涙を流し息遣いも荒くなっている竹蔵「ここまで来るのには…
…相当な苦労があったでしょう」
常子「ええ…まあ(と、笑顔を作り)平坦な道のりではなかったですけれど」
竹蔵「僕が常子に父親代わりを託したために
随分と苦労をさせてしまったね…すまなかった」(と頭を下げる)
常子「そんな事はありません…とと…私ととの代わりだから
とと姉ちゃんって呼ばれてるんです」
竹蔵「とと姉ちゃん…」
うなずく常子「はい…出版社を起こして女の人の役に立つ雑誌を作りたいって
夢が持てたのも私がとと姉ちゃんだからです
それに鞠ちゃんもよっちゃんも結婚して子どもも3人授かって
今では8人で暮らす大家族ですよ
もう毎日がにぎやかで楽しくて…
みんなと過ごすささやかな日常が私の生きる糧です(竹蔵が微笑む)
私はとと姉ちゃんでいられて幸せです」
常子に近寄る竹蔵「常子」
常子「はい」
竹蔵「頑張ったね」
竹蔵が常子の頭に右手を置く
涙目で竹蔵を見つめる常子
竹蔵が常子の髪を撫で「ありがとう」
涙をこぼして笑い出す常子「フフフフ…フフッ」
と、子どものように涙を鼻でぬぐう
幸せそうに笑う常子

ベッドで眠る常子が目を開く
おぼつかない表情で身を起こすと窓の外からは小鳥の鳴き声と
家族の笑い声が聞こえてくる
カーテンを開ける常子

庭の木の下に集まっている一同
木に登った潤が「おじさんこれは?」と南に何かを手渡し
南「おっ、いいじゃないか~」
鞠子「今年も随分実をつけてくれたわね」
たまき「こんだけあったらジャムご近所さんに配ってもまだ余りそうね」
鞠子「そうね」

その様子を眺めていた常子がふと机に目を向ける
椅子に座り3つの目標の短冊(家族を守る)を手に取り見つめる常子
そして残りの2枚(鞠子美子を嫁に出す・家を建てる)も手に取り
3つを重ねて机の引き出しにしまう

昭和六十三年夏

<時は流れ昭和63年>

会社の入り口に入る常子「行ってらっしゃい」
麦わら帽子を被りベビーカーを押してすれ違う何人ものスタッフ
「行ってまいりま~す」
「行ってきます」
常子「はい、言ってらっしゃい」
(一同)「お帰りなさい!」
常子「ただいま~ご苦労さまです」
階段を上がり編集部に入る常子「ただいま戻りました!」
(一同)「お帰りなさい!」
常子が席に着くと「とと姉ちゃん、確認お願いします」と
美子が書類を持ってくる
常子「はいはい」
美子「それと…お客様よ」
向こうで振り向く鞠子
常子「フフフ…鞠ちゃん」
歩いてきてお重を見せる鞠子「ちょっとかんぴょう巻きの差し入れをね」
常子「いつもありがとう」
鞠子「取材に出てたんでしょ?社長さん自らよく働くわねえ」
笑う常子「休んでる方が疲れちゃうのよ」
と、「常子さん!」と若い社員がやってくる
常子「はいはい」
社員「すみませ~ん!桜井先生の原稿なんですが…
僕がテーマを間違えてお伝えしてしまっていたようで…」
ざわめく編集部

主題歌イン

常子「だったら一からやり直しじゃない!」
美子「気難しい方だから応じて下さるかしら…」
常子「どうしたもんじゃろのぉ…」
社員「取り急ぎ先生にお詫びの電話を致します」
立ち上がる常子「あ~あ~!電話じゃ駄目よ!」
社員「へっ?」
常子「お詫びだろうが原稿依頼だろうが
ちゃんとお目にかかってお伝えしないと
先生には私がお詫びに行ってきます(とカバンを肩にかけ駆け出し)
行ってきます」
(エンドロールが流れる)
社員「常子さん」
美子「とと姉ちゃん!」
常子を目で追い階段下を見る一同
鞠子「呆れた…あれじゃ花山さんとやってた時と一緒じゃない」
美子「花山さんも苦笑いしてるわね」
2人が編集部に飾られた花山と3姉妹の写真に振り向く

主題歌が流れる中、東京タワーに向かって通りを駆ける常子

(おわり)

冒頭の食事のシーンは家族それぞれにセリフを用意したのと
後半の伏線になるにぎやかな家族の描写かな

竹蔵が出るのは予告で知っていたが幻視するような感じだと
勝手に想像していて夢オチは逆に意外だった
考えればそれが一番自然なのかもしれない
(夢オチを予想しなかったのは心のどこかで
それは反則だと思っているからかもしれない
夢の話ならばいくらでも視聴者をミスリードする事もできるからだ)

このドラマでは常子が父との約束に縛られ犠牲になったのでは…
とどうしても考えてしまうがそこのところを補完するようなシーンがあった
まず竹蔵がすまなかったと謝り
常子はだからこそ、とと姉ちゃんになったからこそ夢を持てたのだと答える
今では大家族でにぎやかで楽しくて私はとと姉ちゃんでいられて幸せだと…

ちなみにこのとと姉ちゃんでいられて幸せ…だというフレーズは
最終回にあたって主演の高畑にかけているというか
シャレみたいな意味にもなっていると思う

目が覚めた常子が3つの目標を引き出しにしまったのは
竹蔵に褒めてもらった事でその責任を果たせたと思ったからだろう

ラストのエピソードはデジャブかと思ったw
1話の冒頭のエピ(昭和33年)といろいろそっくりで
焼き直したというか踏襲したというか…
まあ最初と最後は同じで…というところだろうか
最後に駆けていく常子(推定68歳)は1話ほどではないが
結構な速さで走っていたと思うw

これで常子の物語はおしまいだが
個人的に一番印象に残っているシーンは
五反田が常子に出征を告げたシーンかなあ…

次回作「べっぴんさん」は視聴はする予定ですがレビューはしません
(冬場の早起きは苦手だし…)
半年間おつきあい頂きありがとうございました
またどこかでお会いできれば幸いです

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