2016年9月29日木曜日

とと姉ちゃん(154)読者への遺言を常子に託す花山

病室のベッドの上、届けられた読者からの手紙を手に花山(唐沢寿明)
「ありがたいね…我々の思いに共感してもらえた」 
常子(高畑充希)「これでやっとゆっくりできますね」 
花山「ん?」 
美子(杉咲花)「またおうちに戻られるんですよね?
まずはお体を治さないと」(常子がうなずく) 
花山「次号があるだろう、準備を始めんと」 
静かに花山を見つめる常子と美子 
花山「フッ…安心しなさい、決して無理はせんよ~」(とふざけた感じ) 
可笑しそうに顔を崩して笑う常子「はい」 

タイトル、主題歌イン 

昭和五十年一月 

<次号の出版に向けて編集部員たちは会社と花山家を行き来して
仕事を進めていました> 

席に着いた扇田がため息をつく
向かいに座る美子が楽しそうに「花山さんに怒鳴られたんですね?」
扇田「分かります?」
島倉「私も昨日行ったら『やり直せ!』って」
一同が笑う
木立「僕なんか『辞めちまえ!』ですよ
「私も」
「私もです」
扇田「この会社入って何回花山さんに怒鳴られたんだろう
ちゃんと数かぞえておけばよかったな」
島倉「だけど怒られるのも久しぶりだったから
私は懐かしかったですね」
木立「僕もですよ、心のどこかではあなたの暮しはこうでなくちゃって」
緑「確かにね」
寿美子「今頃たまきさんも怒鳴られてるのかしら」
緑「そうかもしれないですね」
常子と綾(阿部純子)も顔を見合わせて笑っている
と、「ただいま戻りました」とたまき(吉本実優)が帰社する
(一同)「お帰りなさい」
元気のないたまきに木立「あ~あ~
たまきちゃんも花山さんに怒鳴られちゃったか」
たまき「…怒鳴られた方がよっぽどよかったです」
木立「えっ?」
たまき「…花山さんの原稿を口述筆記してきたのですが…
今日はそれもつらそうで…」
(一同)「…」

静かに降る雪、花山家の表札 

ベッドの上で原稿を確認する花山「うん…これでいい」
常子「はい(と原稿を受け取り)残りの原稿は来週の中頃に
またお持ちできると思います、よろしいですか?」
花山「ああ」
常子「では来週またお邪魔しますね」
(と立ち上がり録音機のスイッチを切り帰り支度を始める)
花山「常子さん」
常子「はい」
花山「すまんがもう一つ筆記を頼みたい」
常子の動きが止まる「でも今日はもうお休みになった方が…」
花山「(いや…)平気だよ」
「分かりました…」と腰を下ろす常子
「何の原稿ですか?」と録音機を置く
花山「あとがきをね…」
常子「ああ…(と録音機のボタンを押し)では…」
花山「ハァ(と苦しそう)…書き出しはそうだな…
今まであなたの暮しをご愛読下さった皆様へ…」
常子が花山を見る
花山「私が死んだらね…その時の号のあとがきに載せてほしいんだよ」
常子の声が震える「まだお元気なのに何をおっしゃってるんですか
もうめったな事言わないで下さい」
花山「人間誰だっていつ死ぬか分からない
帰りに交通事故に遭って君が先に死ぬかもしれないよ…
…書いてくれないか?
常子さんにしか頼めない事だ」
常子「……分かりました」
花山「ハァ…読者の皆様…
長い事あなたの暮しをご愛読下さりありがとうございます
昭和22年の創刊以来27年たって部数が100万になりました
これは皆様が一冊一冊を買ってくれたからです
創刊当初から本当によい暮らしを作るために
私たちがこの雑誌で掲げてきたのは庶民の旗です
私たちの暮らしを大事にする一つ一つは力が弱いかもしれない
ぼろ布はぎれをつなぎ合わせた暮らしの旗です
…ハァ(と苦しそうにうつむく花山を常子が真っすぐに見つめている)
世界で初めての庶民の旗
それはどんな大きな力にも負けません
戦争にだって負けやしません
そんな旗をあげ続けられたのも一冊一冊を買って下さった
読者の皆様のおかげです(筆記を続ける常子)
広告がないので買って下さらなかったら
とても今日まで続ける事はできませんでした
そして私たちの理想の雑誌も作れなかったと思います
力いっぱい雑誌を作らせて下さり…ありがとうございました…
それに甘えてお願いがあります
今まであなたの暮しを読んだ事がない人1人に
あなたがあなたの暮しをご紹介して下さり…ハァ…1人だけ
新しい読者を増やして頂きたい
それが私の…最後のお願いです」
固まったように花山を見つめる常子の頬を涙が伝う
録音機を止めた花山が「あぁ…」と苦しそうにベッドにもたれる
「さあ…もう帰りなさい」
まだ動けない常子(涙声)「花山さん…もし花山さんがいなくなったら…
私どうしたらいいんですか…」
花山「常子さん…大丈夫だよ…君はね
27年一緒にやってきて…大体僕の考えと一緒だよ
君の考えだけでやっていけるだろうけれど
悩んだ時は君の肩に語りかけろ
君に宿ってやるから
『おい花山…どうしたもんじゃろのぉ…』と…ハハ…」
常子「フフフ……はい…」

玄関でお辞儀をする常子「お邪魔致しました」
三枝子(奥貫薫)「いえ、ご苦労さまでした」
と、壁に手を沿わせながら花山が廊下に出てくる
三枝子「あなた寝ていませんと…」
花山「うん」
三枝子に支えられ玄関まで来た花山が「これをね忘れていた」と
女性を描いたイラストを常子に渡す
花山「次号の表紙だ」
イラストに目を落としながら常子「すてきな人ですね」
花山「初めて私の絵を見た時も君はそんな顔をしていた」

(回想)常子「すてきな家ですね」

花山「常子さん…どうもありがとう」(と頭を下げる)
「嫌だわ花山さん、また来ますね」
とイラストを封筒に入れ傘を手にする常子
花山が三枝子に支えられながら手を振る
お辞儀をした常子が玄関を出るとガクリと頭を垂れる花山
三枝子「さあ…あなた…」
花山「ああ…」

まだ降り続いている雪の中、立ち止まった常子が玄関を振り返る
そして…前を向いて歩き始める

(つづく)

もうこのドラマのパターンだと次回の冒頭で花山はナレ死しそうだよね
<花山が亡くなって3年が過ぎました…>みたいな感じだろうか?
今週の予告を見ても花山のいいシーンは全部済んでると思うし…

花山の読者への最後の願いが新しい読者を増やす事だったのは
あなたの暮しの行く末を案じての事なのだろうか?
常子と花山を仮想夫婦とするなら2人が産んだあなたの暮しはその子どもだ
死にゆく花山がその子の行く末を案じたから
常子は泣いてしまったのだろうか?
「もし花山さんがいなくなったら私どうしたらいいんですか」と聞く常子は
とと姉ちゃんではなくて夫を亡くす普通の女性のようだった

常子に礼を言って頭を下げる花山の表情を
三枝子がのぞき込むように見ていたがこれはただ意外だったからだろうか?
三枝子の解釈は苦手でどうもよくわからないw


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