2016年9月28日水曜日

とと姉ちゃん(153)1冊まるまるを戦争体験談だけの特集号にする常子と花山

編集長室のドアを開け驚く常子(高畑充希)たち「花山さん!」 
花山(唐沢寿明)「おはよう」 
常子「おはようございます…」 
水田(伊藤淳史)「どうしてここに?」 
花山「ここが私の仕事場だからだ」 
美子(杉咲花)「病院は?」 
花山「一時退院の許可は出た」 
常子「でしたらご自宅に戻って下さい」 
花山「何を言っている、そろそろ読者からの原稿が届いた頃だろ
見せてくれ仕事がしたいんだ」 
美子「駄目です、早くご自宅に…」 
花山「大丈夫だ何の問題もない」 
美子「でもお体が…」 
花山「いいんだそんな事は!」 
常子「いい加減になさって下さい!
ご家族も社員もみんな心の底から心配している事を
もっと真摯に受け止めて下さい!
花山さんのお体は花山さんだけのものではないんです!
部下を信じて任せる事も上に立つ者の立派な責任なんじゃありませんか?」
一同が花山を見つめている 
ため息をつく花山「はぁ…分かった!」 
常子「でしたらご自宅に戻って頂けるんですね?」 
目を閉じ小さくうなずく花山 
常子「花山さん」 
花山が大きくうなずきそのままうなだれたかと思うと
なぜか8ミリカメラを手にしている 
安心したのか何だか気が抜けたように笑う常子「もう…水田さんタクシー」 
水田「はい」(と部屋を出ていく) 
常子「よっちゃん」 
美子「はい」 
常子「島倉さん、たまき」 
と、一同を帰した常子が花山に振り向き
勝ち誇ったように眉をそびやかし微笑む 

タイトル、主題歌イン 

花山の机に木箱に入った大量の封書を置く美子
「読者から募集した戦争体験談です」 
花山「これが全てか」
水田「いえ、箱いっぱいにあと十ほどは」
水田の後ろで社員たちが「よっ」「うんっ」と段ボール箱を掲げる
立ち上がり木箱の手紙のひとつを手に取る花山
「疎開した娘の千鶴に会い私はお手玉を5つその千鶴の手に握らせました
久しぶりに会ったあの元気な千鶴は
それこそ骨と皮ばかりに痩せこけていました
娘がそんな姿になっているのを見て私は涙が止まりませんでした」
美子「どれも…あのころの風景がよみがえるような
胸が締めつけられる文章ばかりでした」
常子「…編集会議の内容はもちろんお伝えしますし
全ての原稿はお宅にお持ちして最終確認はこれまでどおり
花山さんにお願いするつもりです」
花山「うちに来るなんて君たちが大変じゃないか」
社員たちが首を振る
常子「平気です…花山さんが納得されるまで
何度でもご自宅と会社を往復する覚悟です」
一同がうなずく
花山「そうか…それにしてもよくこれだけ集まったものだ
できればここにある全部を雑誌に載せたいくらいだな」
社員たちが笑う
常子「!?…だったらそうしましょう」
花山が常子を見る
常子「思い切って2世紀第32号をまるまる1冊
戦争の記事だけで作るのはいかがですか?」
花山「…」
水田「読者の皆さんが送って下さった戦争体験が
これだけあればできますよね」
美子「あなたの暮しまるまる1冊一つのテーマだけで作るなんて
今までやった事ないわね」
扇田「俺読みてえです」
島倉「しかし…戦争特集なんて
あなたの暮しらしくないんじゃないでしょうか?」
花山「もちろんそれは分かっている
読者からの反発の声もあるかもしれない
それでもこれは価値のある事だと私は思うよ」
一同が口々に「はい」とうなずく
花山が常子を見る
微笑んでうなずく常子

<常子たちは戦争特集号の編集作業に今まで以上に没頭しました
送られてきた戦争体験談を一つ一つ丁寧に確認するとともに
写真などの資料を集め当時を知らない人々にも伝わるように
記事を作っていったのです
しかし花山は体調を崩す事が多くなり
入退院を繰り返すようになっていました>

病室を訪れる美子「こんにちは」
ベッドの上で仕事をする花山「お~珍しいね、今日は美子さん一人か」
美子「はい、とと姉ちゃんは花山さんに言われた資料を集めてます」
花山「うん」
美子が花山に原稿を渡し「校正お願いします」
「ああ」と受け取った花山が原稿を確認しながら
「私の前に誰か目を通したのか?」
美子「はい、とと姉ちゃんが…執筆も推敲も編集も
いつも以上に念入りにと皆さんに言ってるんです
校正をする花山さんの負担を少しでも減らすために」
原稿に目を落としながら花山「ほう…フフフ」
美子「その原稿は問題なさそうですね」
花山「いや駄目だ駄目だ」
美子「えっ?」
花山「書き出しはなかなかだったが展開力が乏しい
まだまだ私の校正なしで掲載は無理だな」(と赤ペンで原稿に校正を入れる)
そんな花山を見て嬉しそうに微笑む美子

自宅のちゃぶ台で仕事をする常子
(仏壇があるから君子の部屋だろうか?)
「とと姉いい?」と盆を手にした鞠子(相楽樹)がやってくる
常子「はいはい…あっ」
鞠子「お茶どうぞ」
常子「ありがとう鞠ちゃん」
鞠子「昔もあったわね」
常子「ん?」
鞠子「とと姉が花山さんの代わりをした事」
常子「ああ…広告を載せようとして花山さんを怒らせてしまった時ね
あの時よりはだいぶ慣れたけどやっぱり花山さんの代わりは大変ね」
鞠子「私にできる事があったら何でも言ってね」
常子「ん?」
鞠子「今となっては雑用くらいしかできないだろうけど
とと姉何でも自分でやろうと無理し過ぎるから遠慮せずに言って」
常子「分かった、ありがとう」
「何のお話?」と美子が帰ってくる
鞠子「あっ、お帰りなさい」
常子「お帰りなさい」
美子「ただいま」(とちゃぶ台の前に座る)
常子「花山さんご様子どうだった?」
美子「うん…今日もあんまりよさそうではなかったけど…でもね
原稿の校正をし始めたらみるみる生き生きした表情に変わっていって」
常子「そう」
美子「それで…(と原稿を取り出し)これが例文の答えを書きなさいって
でこっちが比較対象を西洋ザルにとご指摘が
でこれが…」
常子「あ~もう…こっちなんて真っ赤じゃない(と原稿を手にして)
お元気そうで安心したわ」
(鞠子と美子)「フフフフ」
常子「鞠ちゃん…早速お願いしてもいいかしら?」
鞠子「えっ?」
と分厚い束を持ち上げた常子「この資料の中から
西洋ザルに関する部分を抜粋してもらえる?」
笑顔で資料を受け取る鞠子「承りました」
美子「私もこっちやっちゃうね」
常子「うん、ありがとう」
会社を起ち上げたあの頃のように丸いちゃぶ台を囲んで作業する3姉妹

<ふたつきがたち8月15日
戦争中の暮らしを特集した最新号は発売されました>

最新号の発送作業に追われる編集部
水田「常子さん」
常子「はい」
水田「近郊の書店100軒回ってきましたが全てで売り切れです」
常子「そうですか、では早速増刷してもらいましょう」
水田「…随分と落ち着いていますね
いつもなら跳びはねて喜ぶのに」
常子「ん~…今号に関しては正直受け入れて頂けるか不安もあったので
喜びというよりは安堵の方が大きくて」
水田「僕もです」
美子「私も」
「常子さん」と嬉しそうにたまき(吉本実優)が駆けてくる
常子「ん?」
たまき「今読者の方から『これこそ後世に残したい雑誌だ』なんてお声が」
美子「それこそ花山さんが望んだ事よね
『我々の雑誌は使い捨てにしたくない』ってずっとおっしゃってらしたから」
常子「そうね」
水田「落ち着いたら後で花山さんにお伝えしに行きましょう」
常子「フフフ…ええ」

<戦争特集号は過去のどの号よりも早く売り切れる事となり
ついにあなたの暮しは100万部を超える発行部数を達成したのです>

(つづく)

たまきは「常子さん」と呼ぶ事で公私を別けているのだが
常子は会社でも「たまき」と呼び捨てにして美子に対しては
相変わらず「よっちゃん」だ
もう会社での家族呼びを貫き通したねw
でもこれはそうしないと美子から「とと姉ちゃん」と呼んでもらえなくなり
タイトルが泣いてしまうという制作上の理由からなのだろうか?

花山の8ミリカメラは意味不明だがどうせアドリブだろうw

3姉妹が丸いちゃぶ台で編集作業をしているシーンは
懐かしくて胸熱だった

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