2016年6月21日火曜日

とと姉ちゃん(68)笑いで重苦しさを吹き飛ばせ!

寝込んでいる滝子(大地真央)を心配そうに見ている君子(木村多江) 
「行ってまいります」と、常子(高畑充希)が家を出る 
表に人の通りはない 

<長期化する戦争に深川全体が重苦しい空気に包まれていました> 

ふと足を止めた常子が近所の家々を見る 
窓や戸に板が打ち付けられ生活の気配はない 
気持ちを殺したような顔で歩き始める常子 

タイトル、主題歌イン 

無言で夕食を食べている青柳家
「ごちそうさん」と滝子が箸を置く
君子「もうよろしいんですか?」
滝子「ああ、箸つけちまって悪いけど
お前たちよかったらこれも食べておくれ」
と、一品しかないおかずの鉢を押す
君子「お母様…」
箸を置いて改まった鞠子(相楽樹)
「私…大学を卒業したら工場で働く事にします」
常子「えっ、どういう事?小説は?」
鞠子「このご時世にそんな事言ってられないでしょ
あっ、でも小説を書く事を諦めた訳じゃないのよ
工場で働きながらでも文章は書けるし
…いろいろ考えて決めた事だから」
少し寂しそうに微笑む君子「そう…」
美子(杉咲花)は黙って鞠子を見て、そして目を伏せる
今度は清(大野拓朗)が箸を置いて滝子を見る
「お母さん、私は誘われている会社に入ろうと思います
やはり店の現状を考えるとそれが一番賢明だと…」
滝子「そうかい…お前が決めたのなら反対する理由はないよ」
常子「会社って何の事ですか?」
清「ああ…もうすぐ日本木材統制株式会社っていうのができるんだよ
…つまり戦争のために国が木材を管理しようと作った会社さ
そこで働けば毎月決まった給料が貰えて生活も安定するし…
店の方は隈井さんに任して
僕は外で金を稼いでくる事に専念しようと思ってね」
美子「…あ~あ早く勝たないかなあ」
常子「うん?」
美子「戦争よ、だって日本が勝ったら戦争も終わるでしょ
そしたらまり姉は工場に行かなくてもいいし
清さんだって会社に入らなくてよくなるもの
食べ物だって自由に手に入るようになるだろうし
…今日だって配給が品切れで子どもたち泣いてたのよ
このところどこ歩いたって息苦しい雰囲気で嫌になる」
隈井(片岡鶴太郎)「…あの…」
滝子「お前まで暗い話かい?」
隈井「いえ!むしろあっしは逆でしてね
皆さんに明るい話をご提供しようかと」

子どもたちが歓声を上げて駆けて来る
「青柳教育玩具」ののぼり旗が立っている青柳家の縁側に座る滝子と常子
隈井が自作したらしい木のおもちゃを子どもたちに配っている
美子はそれを手伝っているようだ

おもちゃを手にした常子「本当によく出来てますね」
滝子「手先が器用なのは知ってたけど
まさか切れっ端でこんなものを作っていたとはねえ」
常子「前から少しずつ作っていたそうです
この界隈の重苦しい雰囲気を吹き飛ばしたいって」
滝子「隈井の望んだとおりになったみたいだね」

「こんなに明るい気持ちになったのは久しぶりです」と礼を言う常子
隈井「…あっしは泣き虫ですけどね人の事は笑わすのが好きなんですよ」
おもちゃで遊ぶ子どもたちの笑顔を見ている常子が
何かを思いついたように「…そうか」

甲東出版
五反田(及川光博)「読者を笑わせる?」
常子「はい、読者の役に立つ雑誌とは何か…というのを考えた結果
今の重苦しくなりがちな銃後の暮らしを少しでも明るくする事が
一番役に立つのではないかと思いまして
こんなご時世だからこそ読者の皆さんに
少しでも笑ってもらえるような読み物を載せたいんです」
一同「…」
常子「駄目…でしたか」
谷(山口智充)「小橋君、それは…
君が来る前に私が提案した企画と同じだ」
常子「えっ?」
相田「社長もユーモアのある話を載せて
読者に笑ってもらおうって言ってたんだ
常子「そうなんですか?だったら…」
谷「ただ…3人から反対されてな」
富樫「このご時世、やはり笑いはまずいんじゃないかと」
谷「まあ小橋君の提案としてもう一度決を採ろう
次の企画、笑いのある読み物がいいと思う者挙手を」
手を上げる常子と谷
「…僕も賛成」と、五反田が立ち上がり手を上げる
谷「何だお前、いいのか?」
五反田「ええ、美しい女性の悲しむ顔は見たくないので」
相田「いや、そんな理由で企画を…」
五反田「僕だってね本当は笑える雑誌が読みたいんだよ…賛成!」
相田「そんな事言ったら…俺も」と、手を上げる
一同「えっ?」
富樫「えっ、じゃあ…俺も」

<こうして常子の企画は採用と相成りました>

昭和十六年十月

常子「相田さん!どうでした?」
相田「やっと田中先生から原稿をもらえたよ!」
常子「あ~よかったです」

谷「よし、田中嘉彦の作品があれば
今回のユーモア特集は成功したも同然だ」
五反田「平凡な家に暮らす男が巻き起こす大騒動
こういう面白い読み物を書かせたら
田中先生の右に出る者はいないですからね」
谷「それじゃあ早速、挿絵を誰に頼むか考えよう」

<常子たちは戦時という暗い時代の中でも
なんとか前向きに歩んでいました
大学を卒業した鞠子は工場で事務の仕事に就き…
清も木材統制株式会社で働き始めていました>

青柳の半纏を着た滝子が客の応対をしているのを見ている君子
隈井がやって来る
君子「母にお客様ですか?」
隈井「ええ、昔なじみのお客さんなもんでねえ
清さんに任せないでご自分でなさるっつって女将さん張り切っちゃって」

小橋一家の部屋
(君子と常子と鞠子が内職のような事をしている)
美子「おばあちゃまが?」
君子「ええ、あんな元気そうなおばあ様のお顔見るの久しぶり」
鞠子「でも大丈夫なのかなあ?お仕事なんかして」
常子「その方が張り合いがあっていいのかもしれないわよ」
美子「そうよ、きっとこれからどんどん具合がよくなるに決まってるわよ」

甲東出版
常子「内務省?そんな所まで?」
五反田「ああ、そこの宣伝の部署に出入りしている花山って男だ
田中先生の作品のカットをもらってきてくれ」
常子「カットって挿絵ですよね?どうしてそんな…」
五反田「ん~学生時代の先輩でね
これがなかなか面白い絵を描くんだよ
…ただちょっと気難しい男でねえ、気を付けてくれ」
常子「気を付けるってどうやって?」
五反田「うん、まあ…
その日によってお気に召さない箇所が変わるから僕にも分からん」

内務省
廊下を歩く常子がある部屋の扉の前に立ち「失礼します!」と、入る
入口付近に2名の男が座る
常子「あの…すみません、花山さんはいらっしゃいますか?」
男「花山さんならあちらに」
部屋の奥で机の上に目を落している花山(唐沢寿明)
男「あ~でも今は話しかけん方がいいぞ」
机の上の紙を手に持ち上げ声を出して読む花山
「使って育てる代用品」
机の上にはその他にも「富国徴兵国民皆兵」などの
戦時下のキャッチコピーのようなものが並んでいる
別の紙を取る花山「臨戦態勢確立」
そして首をひねり元に戻す

<これが後に常子と一緒に雑誌を作り
戦後の復興に挑んでいく事になる常子の人生最大のパートナー
花山伊佐次との出会いでした>

ゆっくりと慎重に花山に近づく常子
花山「進め一億火の玉だ…う~ん…」と、壁に貼り付ける
常子「あの…花山さん…」
几帳面なのか紙の位置を微調整しているような花山
「帰れ、邪魔するな」
常子「いや、あの私…」
花山「帰れ、邪魔するな」
常子「ですから…」
花山「帰れ、邪魔するな」と、くるりと常子に振り向き大声で
「3度も言わせるな~!」
呆気にとられたのか、ただ花山を見ている常子

(つづく)

鞠子があっさりと工場に就職したw
きっと常子が出張ってきてなんとかしてくれると思ってたのに…
それにしても常子が職に就いた時とはえらい差だ
「暗い話」扱いにされてたねw
まあ本当は物書きになりたいのを皆が知ってるからなんだろうが…
工員かと思ってたらさすがに事務職だった
あの当時で大卒とかすごいエリートのはずだもんね

前回、人を切った清は自分が転身したね
この手があったかw
まあ正解だろうし清は人付き合いが良さそうだから
サラリーマンにも向いてそうだ

美子の「きっとこれからどんどん良くなるに決まってる」
はドラマ的には不吉なセリフだね
滝子にはずっと元気で常子を見守っていてほしいけれど…

人生最大のパートナーだという花山登場だけど
高畑と唐沢だと実年齢で30くらい違うから恋愛とかはないんだろうね
ビジネスパートナーとか同志といった意味だと思う

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