2016年6月23日木曜日

とと姉ちゃん(70)常子の企画は検閲に…青柳では滝子と清が対立…

常子(高畑充希)「警察?」 
五反田(及川光博)「どうして…」 
富樫「ユーモア特集の企画が検閲に引っ掛かったんです
このご時世、笑える読み物を載せるなんて不謹慎だと
それを不服に思った社長が強く盾ついたものだから
検閲官を怒らせてしまったみたいで」 
常子「すみません…
私が笑えるものを載せたいだなんて言いだしたから…」 
五反田「何を言う、みんなが決めた事じゃないか
君が責任を感じる事はない」 
面会に行こうとする常子を無駄だからと止める五反田
「それよりも社長がいない間
いかにここを守るかに専念すべきじゃないかな」 
常子「はい…」 
富樫「発売は延期か…」 
相田「いや最悪の場合、発禁処分になるかも」 
常子「発売禁止ですか?そんな…」 
五反田「その覚悟もしておくべきだろう」 
富樫「大丈夫ですかね?うち…」 
五反田「まあこの一冊だけでどうにかなるという事はないよ
ただその先が心配だな…悪評が広まれば
広告を載せてくれている会社が降りると言いだしかねない」 
相田「広告でもってるようなもんですもんね、雑誌は」 
五反田「よし、まずは雑誌の回収に動こう」
常子「え?」
五反田「発売の許可が下りるとしても
何らかの訂正を求められる可能性は高い
どんな指示にも対応できるよう回収しておいた方が賢明だ
早速手分けして取次店と書店に連絡してくれ」 
相田と富樫「はい」 
憂い顔の常子「はい」 

タイトル、主題歌イン 

青柳家、中庭を臨み座る滝子と君子
滝子(大地真央)「工場宿舎の仕事がうまく進んだら
また昔みたいににぎやかになるんだろうねえ」
君子(木村多江)「ええ」
滝子「…遅いねえ…隈井だけじゃなくて私も一緒に
打ち合わせに行けばよかったかねえ」
君子「大丈夫ですよ、清さんも言ってたじゃないですか
宿舎の件ではお母様の手を煩わせたくないって」
滝子「ああ…」
と、そこに隈井(片岡鶴太郎)が戻ってきて
滝子が打ち合わせの内容や宿舎の造りを訊ねるのだがどうも要領をえない
隈井は何かを隠しているようだ…

甲東出版では雑誌の回収作業が進んでいる

清(大野拓朗)が帰宅すると、大事な話があるからと滝子が待っている
滝子「工場宿舎の件はなかった事にするよ」
清「えっ…なぜですか?
明日、工場の設計担当者と打ち合わせなんです
今更そんな…」
滝子「そんな事は関係ない」
清「お母さん」
滝子「隈井から聞いたよ
その宿舎、四畳半に4人が暮らす勘定の造りだっていうじゃないか」
常子「四畳半に4人も?」
滝子「狭いだけじゃないよ
あんな予算じゃ木材だってろくに集められないよ
そこに暮らす人間の事なんてこれっぽっちも考えちゃいないじゃないか!」
清「そんな事言っても…
今集められる少ない木材でできるだけ大勢の人を収容するには
ああいう設計にしなければならないんです」
滝子「いいかい?
このご時世みんな必死でふだんどおりの暮らしをなんとか守ってるんだ
なのにそれじゃあ…
ふだんどおりどころか暮らしってもの自体が成り立たないじゃないか!」
君子「お母様、興奮なさらないで下さい…お体に障りますよ」
滝子「これは青柳の仕事じゃない
うちは昔からずっと誇りを持って
たくさんのお客様の生活を支えてきたんだよ
そうやって青柳の看板を守ってきたんだ
そんなひどい所に大事な木材はおろせないよ!」
うなだれて話を聞いていた清が下を向いたまま「いい加減にして下さい!」
息をのんだような滝子
目を上げて清「…お母さんが元気になって
昔のように仕事をしてくれるのはうれしいです
でも…昔のようなやり方じゃ食べていけないんですよ
この非常時です、今までとは違うんです
先日お母さんが進めてた家づくりの事だって
あんな採算度外視の商売をしていても
店の首を絞めるだけなんですよ!」
滝子「なんて事を言うんだい!」
下を向いたままの隈井「…女将さん…あっしも…清さんに賛成です
女将さんは青柳の看板を守るとおっしゃいますが
このご時世どんな仕事でも引き受けて
なんとか店を潰さねえように耐え抜くってえのも
この店の看板を守る事になるんじゃないでしょうか」
滝子「私は…認めないよ」
黙って席を立つ清

帳場のかまちに膝を抱えて一人座っている清
隈井と君子がやってきて座る
隈井「清さん…申し訳ありませんでした」と、床に手をつく
「宿舎の間取りの事は女将さんに言うなってあれほど言われたのに…
あっしはどうも秘密を隠しておくのが不得手なもんで…
本当に…すいやせんでした」
首を振る清「いや…これでよかったよ…
おかげでお母さんに秘密を作らないで済んだ…
結局お母さんは私を跡取りとして認めてくれる事は
一生ないのかな…」
目を伏せる君子

夜、帳場に座り机に手を置き周りを見やる滝子の姿

朝、新聞に目を落とす清
常子と君子は膳を拭いている
滝子がやってくる「おはよう」
(一同)「おはようございます」
君子「まだ寝てらして下さい」
滝子「いいんだ…清」
清「はい」
滝子「引き受けちまったもんは仕方ない
工場宿舎の件はお前に任せるよ」
頭を下げる清「…ありがとうございます…お母さん」
そして顔を上げて「必ず店は守りますから
お母さんは病気を治す事に専念して下さい」
笑顔で答える滝子「ああ」

甲東出版
今日もリヤカーに雑誌を積んで戻ってきた五反田「はぁ…ただいま」
常子「お帰りなさい…随分ありますね」
五反田「うん、書店に回っている分は回収は全部終わった」
と、「すまなかったな」と声がする
2人が振り向くと顔に殴られたような痕がある谷(山口智充)が立っている
雑誌の発売は許可されたのだが
問題のあるページを全て削除するのが条件だと説明する谷
常子「削除…」

山のように積まれた雑誌のひとつを手に取る谷「こういう事だ」
と、花山の挿絵のあるページに定規をあてて破り取る
五反田「社長…ユーモア企画は全て削除って事ですか?」
それには答えず黙って次の雑誌を取り作業を続ける谷
谷の不本意な胸の内を推し量るような常子
五反田たちも黙って作業に加わる
男たち4人が紙を破り取る音だけが響く中、常子も作業に加わる

<常子の思いは時代の大きな潮流にのみ込まれていったのです>

黙々とページを破る常子

(つづく)

五反田はさすがナンバー2で有能だ
先手を打って雑誌の回収を決めたんだけど
ただのエロ親父じゃなかったんだねw

滝子と清の対立シーンで心配しているような君子のカットが多かったけど
これは君子自身がかつて滝子と対立していた事から
清の「滝子に認められたい」という気持ちが誰よりも分かるという事なのだろう

滝子が帳場を見やっていたのは
自分の中での青柳商店は終わったという事かな
隈井は店を潰さないのも看板を守る事だと言っていたが(確かにその通り)
滝子の言う看板を守るはスピリッツの問題だもんね
存続するためだけに理想と離れた仕事をするのは
高潔な滝子には無理な事だろうし
そんな事をして残ったとしても滝子にとっては
それはもう青柳商店ではないからだ

ラストで谷が五反田の問いにページを破る音で答えて
その後、男たちが黙々とページを破る音だけが続くのは
常子の浄書室でのイジメシーンを思い出した
あの時もタイプの音が一斉に止まったりするのを
気持ちや空気を表現する演出に使っていたけど
紙をビリッと破る音は編集者たちの怒りとか無念さを表現しているんだろうね







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