2016年6月30日木曜日

とと姉ちゃん(76)鞠子が三宅に反論!~うれしくて泣ける時まで涙は我慢

貸本の客「おや…早じまいかい?今日は何かあるの?」 
常子(高畑充希)「あ~実は今日お誕生日のお祝いがあるんです…
私と一番下の妹が明日で真ん中の妹が5日なんです 
だからいつもこの時期になるとまとめてお祝いするんです」 

帰り道を歩く常子 
美子(杉咲花)が駆けて来る「とと姉ちゃん!」 
常子「ん?どうしたの?」 
「大変なの!組長さんが…」と抱えるように常子を引っ張る美子 
常子「えっ?」 

タイトル、主題歌イン 

小橋家、台の上に並べられた釜やフライパン
三宅「それじゃあここにあるものは全てこの家から運び出す、分かったな」
君子(木村多江)「はい」
三宅「係の者が後ほど取りに来るから間違いなく供出するように」
君子「はい…」
常子が戻ってくる「何されてるんですか?」
三宅「軍からお達しがあってな
現在金属がますます必要となってきているそうだ
必需品でなければ協力して頂く」
常子「協力はします、ですがこんなやり方は…」
三宅「またお前は盾つくつもりか?」
常子「…いえ」
三宅「分かればよろしい…
他に何か供出できるものはないか?」
三宅とお供の婦人たちが押し入れを開けたりして家捜しする
不快な表情の小橋一家
「おい…ここにあるのは何だ?」と机の蓋を開ける三宅
「立派なミシンだな…これは必需品か?
こんなもんがあるからもんぺに細工なんかするんだ」
常子「ちょっと待って下さい」
三宅「お国のためであるぞ!
日本国民なら持っていって下さいと言うべきだろ!違うか?
最前線では皆、命を懸けて戦っている
少しでもお役に立てるようにするのが我々の役目だ!
戦いを忘れるな!分かったか!」
口惜しそうに見つめるだけで何も言い返せない常子
三宅「おい…何だ?あれは…月に一度家族でお出掛け…
何がお出掛けだ!」と、欄間から家訓の額を下ろす
常子「やめて下さい!」
三宅「この非常時にこんなものを掲げやがって!」
常子「それは我が家の家訓なんです」
「家訓?家訓に何の意味がある!掲げるなら ぜいたくは敵だ にしろ!
非国民が!」と、額を畳に投げつける三宅
慌てて額を拾い胸に抱き三宅を睨みつける常子
鞠子(相楽樹)、美子、君子もあまりの事に顔が強張る
三宅「どうした?文句があるなら言ってみろ」
常子「…いえ…何も」
と、鞠子が三宅の前に歩み出る「いい加減にして下さい」
三宅「何?」
鞠子「私たちだって戦いを忘れてはいません
非常時だからこそ身だしなみを正す事で心を正すのではありませんか?
組長さんの国民服はぴしりとしてらっしゃいます
それは国民服にきちんとアイロンをあてて
心を正していらっしゃるからではないですか?」
三宅「何だと?」
鞠子「私たちはこのミシンで身だしなみを整えているつもりです
私たちも一緒に戦っているつもりなんです!」
三宅「…戦う事を忘れていないのなら今回はよしとする
ただし…その家訓だけは何とかしろ!
おい、引きあげるぞ」
婦人たち「はい」

常子「驚いた…まさか鞠ちゃんが組長さんに…」
鞠子「だから言ったでしょ、私だって言う時は言うんです」
「ごめん!」と頭を下げる常子に笑い出す家族
鞠子が「はぁ…」と大きくため息をつく
君子「家訓はしばらく押し入れに入れときましょうか」
美子「…やっぱり今日のお祝いは中止ですか?」
常子「その方がいいかもしれないわね…
組長さんに目をつけられても」
美子「楽しみにしてたのに…」
君子「今日は駄目でも明日はしましょう」
美子「本当ですか?」
うなずく君子「結果としてはよかったかもしれないわ…
明日の方がおいしく作れるから」
常子「ん?おいしくって…何がですか?」

君子が袋のものを「ほぉら~」と、ちゃぶ台の上のざるにあける
鞠子「どうしたんですか?この小豆」
君子「方々回って手に入れたの、あなたたちのお祝いに」
美子「じゃあもしかしてこれ…」
君子「お は ぎ よ」
顔がほころぶ3姉妹 常子「お~!」
君子「今から煮込めば明日にはおいしくなるわ」
常子「またかかのおはぎが食べられるなんて…よっちゃん?」
目を閉じて天を仰いだ美子が常子を手で制する
「想像してるの…出来上がったおはぎを…」
鞠子「明日になれば食べられるのに」
常子「もう…食いしん坊なんだから」
笑う一家

<こうして夜中まで小豆を煮込みおはぎを作る事になりました>

鍋の中の小豆
君子「大体煮えたわね」
炭箱の上の鍋を囲んでいる小橋一家
美子「匂いを嗅いでいるだけで幸せな気分」
鞠子「本当ね」
時計を見る君子「あっ、もう遅いわ、続きは明日にしてもう休みましょ」
娘たち「はい」
常子「火の始末は私がしておきますから寝る支度をしといて下さい」

常子が箱から炭を取り出していると空襲警報が鳴り響く
慌てて庭の防空壕に避難する一家
鞠子「警戒警報鳴らなかったよね」
美子「いきなり空襲警報だった…どうして?」
君子「分からないわ」
常子「…この空襲…いつもと違うわ」

<昭和20年3月10日午前0時8分
米軍による焼夷弾攻撃が開始されました>

爆撃の音に怯え体を寄せ合う一家
美子「やっぱりいつもと違うよ
いつもこんなに大きな音じゃないもの
…ねえ…こっち来ないよね?
ねえ…私たちどうなるの?ねえ!」
鞠子「大きな声出さないで!」

<東京にはB29爆撃機およそ300機が飛来し
爆撃は下町を中心に2時間余り続きました>

朝、恐る恐る防空壕の蓋を上げ外に出る常子
無事だった家を見て「よかった…」

小豆の鍋の蓋を開ける一家
黒く焦げてしまっている…
鞠子「七輪に残り火があったのね」
常子「ごめんなさい…せっかくかかがもらってきてくれた小豆だったのに
ちゃんと火を消していれば…」
君子「ううん」
鞠子「そうよ、しかたないよ」
美子が声を上げて泣き出す
君子「…美子…泣くのはもうやめましょう」
美子「…せっかくのお誕生日だったのに」
君子「生きている事に感謝しなきゃ…ねっ?」
美子の手を握る君子「いい?みんな…今日から泣くのは禁止します
次に泣くのはうれしい時…うれしくて泣ける時まで涙は我慢しましょう」
常子「はい」
鞠子「はい」
美子「はい」

小走りの常子と美子が立ち止まる
美子「あれ?」
常子「ん?」
「八百丸」の看板の前に人影はない
美子「今日の配給欠配かな?」
常子「ん~それにしても全然人がいないなんて変よ」
と、せつと稲子がやって来る
せつ「知らないの?夜中の空襲のせいで
しばらく配給はないかもしれないって」
常子「そうなんですか?」
稲子「下町じゃほとんど焼け野原らしいわ」
常子「焼け野原…」
せつ「特に深川の方はひどいみたいよ」
稲子「ほら…あの辺、木を扱ってるからほとんど燃えたって話よ」

<この日、東京だけでおよそ26万戸の家屋が焼失し
死者は10万人に及んだともいわれています>

重い足取りで帰る2人
美子「もしあのまま森田屋さんも青柳もあって
私たちもまだ住んでたらどうなってたんだろう…」

<ほんの僅かな差で自分たちは生きているだけ
簡単に人は死に自分たちも例外でない事を
いやおうなしに気付かされたのです>

美子「とと姉ちゃん…この人たち…」
見ると空襲で焼け出されたのだろう
荷物を抱えぞろぞろと歩いている人の群れ
その中で幼い子どもを連れた女性(志田未来)に
見覚えのあるような常子「お竜さん?」

(つづく)

また今回も三宅は憎たらしかった
女家族だと思ってやりたい放題みたい
お供の婦人たちも帰るときの戸の閉め方とか感じ悪かった

常子が反論できない中、鞠子がよく言ってくれた
前回の常子のセリフ「臆病なだけ」には違和感があったのだが
なるほど、この展開の伏線だったのか
鞠子はさすが常子に「もう少しうまいやり方もあったんじゃない?」
と言っただけあって三宅をうまくやりこめた(さすがインテリ)
まあ鞠子にもたまには活躍させてあげないとね!

しかし今回は鞠子だけではなく君子も珍しく活躍した(失礼!)
おはぎがダメになって泣き出す美子に「泣くのは禁止します!」
え~っ…君子さんそんな事言う人だったっけ?
うれしくて泣ける時まで涙は我慢…って何かすごくいい事言ってる感じする
のんびり屋さんの君子も大空襲で覚醒したのかもしれない…
生きてる事に感謝しなきゃって言ってたし今後も期待してみよう


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