2016年5月17日火曜日

とと姉ちゃん(38)鞠子の悩みとは…~人形の家

<常子は新しく担任となった東堂チヨの力強い言葉と
その女性像に感銘を受けていました 
一方、鞠子はある悩みを抱えていました> 

タイトル、主題歌イン 

2階の自室をのぞく常子(高畑充希)「ま~り~ちゃん」 
畳に仰向けの鞠子(相楽樹)がハッとなる 
常子「どうかした?」 
鞠子「どうもしないけど」と、体を起こす 
部屋に入る常子「かかが最近元気がないなあって心配してたわよ」 
背を向けている鞠子のそばに座る常子「悩みがあるなら相談乗りますよ~」 
鞠子「悩みなんてないって」 
常子「だったら私が鞠ちゃんを元気づけて進ぜよう」 
常子に振り向く鞠子
常子「新しく来た担任の東堂先生ってね、とっても面白い方なのよ」 
顔をしかめる鞠子「ああ、あの変な先生」 
常子「変って失礼ね」 
鞠子「だって授業中に雷が鳴ったら…」

(鞠子の聞いた話)東堂(片桐はいり)「北原白秋はこの歌の中で清く明るい…
と書いてさやけし(清明けし)と読ませています…」と、
窓の外で雷鳴が鳴り響くのだが稲光に振り向いた東堂が「お静かに」

残念そうな顔の鞠子「雷に言ったらしいわよ…」
笑う常子「あ…確かにそういう事言いそうな方ではあるけど
でも、とってもすてきな先生なのよ
女性なのに堂々としてて自分の意見もはっきり言うの」
鞠子「ふ~ん」と、気のない返事
自分の膝を叩く常子「鞠子さん」
鞠子「はい?」
常子「よろしい、では床に座ってください」
鞠子「いやもう座ってるよ」
常子「あ、そっか…じゃあ…じゃあ」
立ち上がる常子「じゃあ次にあぐらをかいてください」と言って
変な芝居でその場を周る「フフフッ、どうしました?かけませんか?」
あぐらをかいている鞠子「いや、かいたけど?」
常子「えっ、何でかいたの?」
鞠子「とと姉がしろって言ったんでしょ?」
常子「え~?えっ、だって普通かく?」
鞠子「人にやらせといて何?」
常子「だって普通女性はさ、お行儀がとか…」
鞠子「二人っきりなんだから別にいいじゃない」
悔しそうに畳を叩く常子「そうなんだけど…そうじゃなくて~」
鞠子「ごめん、全く分かんない何がしたいの?」
常子「あっ、だったら先生に借りた雑誌読んで!」
鞠子「いい、いい」
常子「何で悩んでるのか知らないけど、絶対元気になるから!」
と、「青鞜」を渡す
しぶしぶ…といった感じで頁をめくる鞠子
そんな鞠子の様子を見ている常子

夜、家族が眠る中机に向かい雑誌「青鞜」を読む鞠子

朝、塩で歯を磨く常子に雑誌を返す鞠子
常子「ん~だまされたと思って一回読んでみてよ」
鞠子「もう読んだ」
常子「だからさ…読んだの?」
歯ブラシを手に取る鞠子「うん」
常子「どうだった?」
塩をつまむ鞠子「変わった」
常子「えっ?」
晴れた顔の鞠子「読み終わったあと、景色が変わった気がした」
「そうでしょ!そうなのよ!」と、大喜びの常子
「うん」と、笑顔の鞠子
「霧が晴れて目の前がさ~っと開けたわ、ありがとうとと姉」
常子「うんうんうんうん…」
と、持っていた歯ブラシを咥え空いた手で鞠子の肩を叩く

女学校の廊下を歩く常子と鞠子
常子「うれしいな~そんなに感動してくれるなんて」
鞠子「とと姉が書いた訳じゃないでしょ」
常子「でも私が貸さなきゃ鞠ちゃんはこの雑誌に出会えなかった訳だし
あ~私のおかげで鞠ちゃんが元気になってよかった」と、上機嫌だ
笑顔の鞠子「押しつけがましい!」

すると中庭から「ウアア~!アアアアア~!」と、何やら奇声が聞こえてくる
鞠子「何してるの?」と、のぞく2人
奇声の主は東堂だった
「アアアア~!私はまたもとの雲雀や人形になってしまう
弱い脆い人形だというのでこれからは前よりも一倍いたわってやろうと仰る
あなた、この時に私は目が覚めました、この八年というもの
私は見ず知らずの他人とこうやって住んでいて
そしてその人と三人の子供まで作った
ああ、その事を考えると私は…私…」と、本で確認する東堂「え~っと…」
恐る恐る後ろから近付いた2人が声をかける
常子「と…東堂先生」
振り向いた東堂「小橋常子さん、何か御用?」
常子「あの…これをお返しに参りました」と、雑誌を渡す
東堂「もうお読みになりましたの?」
常子「はい!大変感動致しました!」
鞠子を見る東堂「そちらは?」
常子「妹の鞠子です、妹もいたく感激して」
鞠子「今のはイプセンの人形の家ではないですか?」
常子「い…いぷせん?」
鞠子「ノルウェーの劇作家よ」
東堂「よく御存じね」
鞠子「一度戯曲を読んだ事があります、難しくてよく分かりませんでした」
東堂「書かれた背景が分からねば理解は難しいかもしれませんね
これは夫から人形のようにしか扱われない事に絶望した妻が
夫を捨て家を出て行く…女性の自立をうたったお芝居です」
驚く常子「妻が夫を捨てて家を出るってそんな事して平気なんですか?」
東堂「日本では考えられませんがヨーロッパでは女性にも参政権があり
男性と同じように働く機会があるようです
鞠子「ええっ?」常子「え~」と、目を丸くしてお互いを見る2人
東堂「主人公ノラに共感し人形の家の舞台に出るため女優を志した事もありました」
常子「えっ」
鞠子「先生が?」
東堂「しかし劇団には入れませんでした
ノラはもっといたいけな女でなければ駄目だ、お前は大きすぎる…と言われて
今でも納得していませんが」
2人「はぁ…」
東堂「私に人形の家を教えてくれたのはこの雑誌です
近い将来日本でも、女が男と肩を並べられる世の中になるようにと…
この青鞜はそんな社会を夢みた女性たちが作った雑誌です
作品も編集も全て女性だけで行っているんですよ」
常子「全て女性が…」
東堂「しかし雑誌を刊行後青鞜社は解散し
そういった機運はしぼんでしまいましたが」
常子「あぁ…」
東堂「しかし諦めてはなりません、これから社会は
あなたたちのような若い人が担っていくんです
この雑誌を作ったらいてう先生のように
何事も女性だからと尻込みせずに挑戦する事が大切です」
東堂を見つめて何度もうなずく鞠子
東堂「お二人はこれから挑戦したい事がありますか?」
目を伏せる鞠子
東堂「どうですか?」
考え考え語る常子「挑戦と言えるかは分かりませんが
私は父代わりとして家計を支えるために
男の人のようにお給金のいい所にお勤めしたいです」
常子を見ている鞠子
東堂「それはすばらしい、あなたは?」
ハッとする鞠子「私は…(長い間)…今はありません」と、微笑む
鞠子を見ている常子
東堂「そう…言葉には言霊といって魂が宿るといわれています
心が決まれば何事も口にする事から始まるので遠慮なく言ってごらんなさい」
「はい」と、笑顔でうなずく鞠子を見る常子

廊下を歩く2人
鞠子「力強い方ね東堂先生って、こっちまで力が湧いてきちゃう」
常子「ねえ」
鞠子「うん?」
常子「鞠ちゃんの悩みってひょっとして将来の事?…
挑戦したい事、何かあるんでしょ」
鞠子「ううん、私まだ四年生よ、将来なんてまだ」
常子「だったらいいけど何かあったら何でも言ってね」
鞠子「また押しつけがましい」
常子「そう?フフフ」

森田屋裏で将棋に興じる宗吉(ピエール瀧)と隈井(片岡鶴太郎)
隈井は同業の安岡商店が取引先に夜逃げされ立ち行かなくなるかもしれないと語る
滝子は青柳を守るために古い付き合いの安岡との取り引きをやめたらしい
滝子(大地真央)「このご時世、情に流され商いしてたら共倒れになっちまう
200年続く青柳の看板を潰す訳にはいかないんだよ」
さらに新聞を手に「このご時世、きな臭くなってきやがったのがどうもねえ…
ほら、戒厳令敷かれたままだし」と、隈井

<昭和11年2月、雪の降る帝都東京で一部の陸軍青年将校による
クーデター未遂事件、いわゆる二・二六事件が起こりました>

と、そこに星野(坂口健太郎)が日頃お世話になってるお礼にと
日本酒と先輩から貰ったという酒盗を手に現れる(星野は酒が苦手とのこと)
これで一杯やろうと大喜びの宗吉と長谷川(浜野謙太)
隈井は昨日も深酒してかみさんにしこたま叱られたから…と断るが…
その時「ごめん下さ~い」と森田屋玄関を、両方の手に日本酒を提げた男が訪れる

青柳商店の縁側に座り、女中におやつを貰う美子(根岸姫奈)たち
「頂きます」と、ビスケットを頬張る
美子「おいしい」
女の子1「よっちゃんちのおやつ、いつもおいしいよね」
女の子2「うん」
美子「そぉう?」

常子が学校から戻るとなんだか居間の方が騒がしい

空の一升瓶が転がる部屋
宗吉、長谷川、隈井など七人の男たちが阿部定の話をネタに飲んで騒いでいる
その中に鉄郎(向井理)の姿を見つけて驚く常子「叔父さん!」

<鉄郎が現れるところに災いあり
常子たちの身に新たな苦難が訪れそうな…そんな予感です>

部屋の家具の上に置かれた福助人形

(つづく)

鞠子の悩みは進学に関してのものだと思うが何なのだろう?
君子は滝子と和解できたのだから経済的な問題ではないだろうし
女性が進学など…という問題なら中庭の話の流れで言えたような気もするのだが…

心配する常子を「押しつけがましい」と笑う鞠子だが
父親のいない鞠子にとってはそれが心地よい押しつけがましさなのかもしれないね

酒盗とは魚の内臓を原料とする塩辛とのこと(wikiより)

学校帰りの常子は職人や女性やいろんな人に声をかけられてたね
川に飛び込んで美子を助け上げた時に拍手が起こってたから
今ではちょっとした町の人気者なのかもしれない

美子はおやつと共に友達も戻ってきたみたいだね
この、物で人の心を惹くようなのは美子のその後のキャラ形成の
伏線でもあるのだろうか?
まあ考え過ぎだとは思うけどw

福助人形のアップは18話で君子たちがまつの面接を受けたときにもあったけど
商売繁盛を招く置物ということで
今週の「常子、ビジネスに挑戦する」に関連してるのかな?
宗吉の頭が大きいから福助人形って事でもないだろうしw











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