2016年5月31日火曜日

とと姉ちゃん(50)常子に刺さる早乙女の言葉

帰りの遅い常子(高畑充希)を夕食を食べずに待っている森田屋の面々 
やっと帰ってきた常子は「それがまだ…」と、
食事も摂らずに2階へ上がり持ち帰った書類の整理を始める 
常子を心配する一同 
君子(木村多江)たちが2階の常子におにぎりを差し入れる 
おにぎりを食べ「よし」と、さらに頑張る常子 

朝、森田屋玄関 
常子を見送る小橋一家 
鞠子(相楽樹)「とと姉、一睡もしないで大丈夫なの?」 
常子「1日くらい寝なくたって平気平気」 
美子(根岸姫奈)「お仕事間に合いそう?」 
常子「あとはタイプするだけだからなんとか4時までには」 
君子「もうひとふんばりね」 
常子「はい、では行ってきます」と、玄関を出る 
心配そうな3人 

鳥巣商事 タイプ室
タイプライターのセッティングをしている常子
先輩たちが出社してきて挨拶するが無視される常子
早乙女(真野恵里菜)、諸橋(野村麻純)、多田(我妻三輪子)が入ってくる
常子「おはようございます」
早乙女「おはよう」
諸橋「おはよう…」
多田「おはようございます」
常子の机を見る早乙女「小橋さん、一体何を?」
常子「あっ、頼まれた書類を清書しようと」
早乙女「清書するのは勝手ですがタイプライターの使用は許可できません」
常子「なぜですか?」
早乙女「私が使用するからです」
常子「あ…ですがこの書類を今日の4時までに…」
早乙女「それは我々の仕事ではありません」
常子「書類をタイプするのが我々の仕事では…」
早乙女「個人的に依頼された書類の清書は仕事とは言えません
それに会議のための書類整理や準備は男性社員が行うべき仕事
それを私たちにやらせるのは信頼しているからではなく
雑用係だと思っているからです
そのような事を認めていては示しがつきません」
切羽詰まった表情の常子「ですが…」
諸橋「あなたのせいで余計な仕事が増えたらどうするのよ?」
2列目右の女「そうよ、本来の仕事の精度や効率が落ちたら責任取れるの?」
諸橋「そしたら部署の評価にも響くじゃない、迷惑な話だわ、ねえ?多田さん」
多田「ええ…はい…」と、うつむく
常子「ではどうすれば…」
諸橋「そんなものすぐに突き返してらっしゃい、ですわよね?早乙女さん」
早乙女「それは違います」
諸橋「えっ?」
早乙女「一旦引き受けた仕事を途中で投げ出すのはよくありません
あなたの責任において自分でなんとかして下さい
我々の信用が失われますから」
常子「ではタイプライターを…」
早乙女「まだ分からないんですか?
タイプライターは締め切りを抱えた多田さんと私が使うんです
あなたはタイプライターを使用せずになんとかして下さい」
困りきった常子の目が多田に向く
うつむき目を伏せる多田
早乙女「以上でこの件は終わりにします」
常子「ちょっと待って下さい」
もう誰もとりあってはくれない

壁の時計は9時20分

タイプライターが片づけられた机で書類をめくる常子
「どうしたもんじゃろのぉ…」
女のひとりが嫌がらせで常子の書類を床に落とす「あら~失礼」
床の書類を拾う常子に早乙女の言葉が甦る
(いったん引き受けた~投げ出すのは~自分でなんとか)
厳しい顔になる常子「やるしかない…」と、机に戻り万年筆を取る

<タイプライターは使えなくても清書はできる
常子は開き直って手書きで資料の作成を始めたのです>

手書きで清書する常子

星野に算数を教えてもらっている様子の美子
星野(坂口健太郎)「あららら…目の下にクマを…」
美子「はい、で、いつもより早くお仕事に行きました」
星野「常子さん、今日は早く帰れるといいね」
「ですねえ、もうとと姉ちゃんが心配ばかりかけるから気苦労が絶えなくて」
と、首を振る美子に苦笑する星野「ハハッ、そっか」
膳の上のハンカチを見る星野

女学校の廊下を歩く東堂(片桐はいり)と鞠子
東堂「えっ、寝ないでお仕事に?」
鞠子「はい…無事締め切りに間に合えばいいんですが」
東堂「お姉様なら大丈夫でしょう…
彼女ならどんな困難も乗り越えられると思います」
鞠子「その心は?」
東堂「だって手作り歯磨きの時も見事に…」
鞠子「あれは大失敗に終わりましたけど」
東堂「それより受験勉強は順調?」
鞠子「あっ、はい、私なりに…」
鋭く振り向き東堂「あなたならもっともっとできるはずよ」
鞠子「はぁ…」
東堂「今はお姉様の事よりご自分の事を考えなさい」

タイプ室で清書する常子

厨房で心配そうに時計を見ている君子
富江(川栄李奈)に声をかけられハッとなる
照代(平岩紙)「心配なのね常子ちゃん」
君子「ええ…」

時計を気にして常子に振り向く早乙女(時刻は3時55分)
常子「できた」と、書類をまとめて急いでタイプ室を出る

営業部室に入る常子「失礼します!」
依頼された男性社員の所へ行き「お待たせしました、完成です」と報告する
男「えっ?」
常子「昨日頼まれた資料です」
男「ああ…」
常子「タイプはできなかったのですが
読みやすければ資料として使えると思いまして手書きで清書致しました」
男(そっけなく)「はいはい、じゃあそこ置いといて」
その言葉には感謝や労いはなく笑顔のひとつすらない…
何か力を無くしたような表情の常子
男「聞こえなかったのか?用が済んだなら帰りたまえ、仕事の邪魔だ」
書類をそっと机に置く常子にまたも早乙女の言葉が甦る
(それを私たちにやらせるのは信頼しているからではなく
雑用係だと思っているからです)
「失礼しました」と、部屋を出る常子
重い足取りで廊下を歩く

<早乙女の言う事が正しかったのだろうか
常子は自分がどうするべきなのか分からなくなっていました>

(つづく)

なるほどね、前回の「手伝っても意味ないのに」とはこういう事だったのか
タイプ室の女たちはこうなるのが分かっていたから笑っていたんだね
女たちは男性社員への不信感を共有しているのだろう
常子の面接時も山岸(田口浩正)たち男性社員は酷く描かれていた
しかしその事と常子へのイジメは関係あるのだろうか?
常子がまあまあかわいいという理由で採用されたからとか?
それともイジメはただの伝統で
常子が入社するまでは多田が標的だったのだろうか?

早乙女は常子に辛くあたっている印象だが
筋の通った事を言っているというポジションのようだ
有能な早乙女は入社した頃にはいろいろ夢を持っていたのだろう
だが鳥巣商事の男たちと仕事をしていくうちに絶望したのかもしれない
常子の事を気にしているのはかつての自分のようだから?
前々回早乙女が営業室にいた常子を連れ戻したのは
男性社員の仕事を手伝っても結局常子が傷つくだけなのが
わかっていたからかもしれないね


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