2016年6月8日水曜日

とと姉ちゃん(57)常子VS美子第2R~星野のプロポーズ

退職して去っていく諸橋(野村麻純)の後ろ姿を見ている早乙女(真野恵里菜) 
課長の山岸(田口浩正)がやって来て声をかける
「おいおい何やってんだ?片づけは済んだのか?」と、浄書室に入る 
山岸「あ~早乙女君、諸橋君は今日付けで辞めてもらったよ
諸橋君に振ってた仕事はみんなで手分けして頼むよ…
本来なら職場の規律を乱したんだ懲戒解雇にしてもおかしくないんだけどね
そこはね僕の優しさで辞表を書いてもらったんだよ」 
早乙女「お相手の奥寺さんはどうなるんです?何のおとがめもなしですか?」 
山岸「どうもなる訳ないだろう、諸橋君が辞めてくれたら丸く収まるんだよ
戦争でとられて人手が不足してんだ
こっちから男の社員を辞めさせる会社がどこにあるっていうんだよ」 
(タイピストたちが口々に)「ひどい…」 
早乙女も眉をそびやかす 
山岸「何だぁ?不満があるのかぁ!
どうした?不満があるんなら言ってもかまわないんだよ」 
常子(高畑充希)が前に出ようとするが 
早乙女「では言わせていただきます
諸橋さんだけが責任を取り辞表を出すというのは解せません」 
山岸「解せない?
職業婦人だとか言われておだてられて図にのってんじゃねえか?君たちは」
早乙女「私はただ
責任は双方にあるのではないかという事を言いたいだけです」
山岸「書類を清書するだけのタイピストなんて掃いて捨てるほどいるんだ
何を考えているんだか…
女の本分はお国のために子を産み増やす事だ!
それを忘れるんじゃないよ」

タイトル、主題歌イン 

ナラザワ洋裁店の看板
裁縫している老いた職人の技を見ている美子(杉咲花)「すごい…」
隣には滝子(大地真央)も立っている
職人(おそらくナラザワ)「お嬢さん、縫い物好きなのかい?」
笑顔の美子「はい、仕上がりを考えながら作っていくのが楽しくて」
ナラザラ「ほう…そうかい」
滝子「久しぶりだね、美子のそんな顔見るの
連れてきて正解だったみたいだね」
美子「ありがとうございます」と、滝子に頭を下げる
滝子「礼を言うなら私じゃなくてご主人に言っとくれ
無理言って仕事場に入れてもらったんだ」
美子「ありがとうございます」
笑うナラザワ「滝子さんの頼みじゃ断れる訳がないよ」
滝子「まあ、アハハハハ!
たまに遊びによこしてもかまわないかい?」
ナラザワ(美子に)「いつでもおいで
あっ、そうだ一人で手が回んない時は手伝ってもらうかな」
目を輝かせる美子「本当ですか?ありがとうございます!」

(富江の部屋かもしれない)
鞠子(相楽樹)「洋裁店?」
美子「し~っ!」と、人差し指を口にあてる
鞠子の隣には富江(川栄李奈)も座っている
鞠子「ごめんごめん」
美子「働く訳じゃないの、簡単なお手伝いをさせてもらうだけ」
富江「お駄賃頂けるんでしょ?」
美子「少しだけよ」
富江「よかったわね、大好きな縫い物でお金が頂けるなんて」
笑顔の美子「ええ」
鞠子「帰ってきたらとと姉に報告しないと」
顔が曇る美子「言わなきゃ駄目?」
鞠子「当たり前じゃない、内緒でやるつもりだったの?」
美子「だって口利きたくないし」と、うつむいてしまう
鞠子「同じ部屋で暮らしてるのに
いつまでもけんかしてる訳にはいかないでしょ
元はと言えば勉強会だってうそついたよっちゃんが悪いんだし」
「ただいま帰りました!」と、常子の声が聞こえる
鞠子「ちゃんと話すのよ」
美子「分かった…」

戸を開けて美子「お帰りなさい」
振り向く常子「あっ、ただいま」
美子「遅かったわね」
常子「一人急きょ辞めちゃってね、仕事が増えちゃったの」と、行こうとする
美子「あっ、とと姉ちゃん…」
部屋から顔を覗かせる常子「うん?あっ、ごめん
資料整理が残ってるから後にしてもらっていい?」と、戸を閉める
少し眉をひそめた美子が部屋に戻り戸をぴしゃりと閉める
鞠子と富江「…」
荒々しくせんべいをかじる美子

資料整理をする常子
壁に掛かった家訓の書かれた額縁
そのまま朝になり、机に突っ伏して眠る常子には毛布がかけられている
常子が目を覚ますと家族が部屋に戻ってくる
君子(木村多江)「常子、起きたの?
朝ごはん早く食べてきちゃいなさい」
常子「朝ごはん?えっ、もうみんな食べたの?」
鞠子「もう食べたよ」
常子「どうして起こしてくれなかったの?」
君子「起こしたけど起きなかったんでしょ」
常子「気付かなかった…」
鞠子と美子は仏壇に手を合わせている
「よいしょ…」と、立ち上がる常子
常子に背を向けたままで美子「とと姉ちゃんだって同じじゃない」
まだ寝ぼけてる目で常子が振り向く「うん?」
美子「偉っそうに家訓は守れって言うくせに自分だって守ってないじゃない」
鞠子が美子を見る
君子「美子?」
常子「しかたないでしょ、お仕事終わらなかったんだから」
美子「へえ~仕事なら破ってもいいの?都合いいのね仕事って」
常子「なんて事言うのよ、私が誰のために働いてると思って…」
振り向いて常子を見る美子「もう!そういうのが息苦しいの!」
と、立ち上がり「いつも家族のため家族のためって言うけど
それを言われる身にもなってよ!
私はもっと自由にやりたいの!とと姉ちゃんだってさ…」
常子と美子の間に入った君子が美子の頬を平手で打つ
「いい加減になさい!常子の気持ちも考えないで勝手な事を…」
頬を押さえる美子「私だけじゃないよ…」と、泣き出しながら
「まり姉だって言ってるもん」と部屋を出ていく
美子が閉めた戸の方をしばらく見ている君子
常子が鞠子を見る「そうなの?」
下を向く鞠子(独り言みたいに)「もう…そういうのは言わないあれでしょ…」
常子「鞠ちゃんもそう思ってたの?」
鞠子「まあ…そう思う時があるのは確かだけど…」
力なく鞠子を見下ろしている常子
立ち上がり説明する鞠子「ああいう言い方してたけど
よっちゃん、とと姉の事いつも思ってるのよ
とと姉、いつだって私たちのためにお給金も時間も使うじゃない?
それをあの子、とと姉が無理してるんじゃないかって心配してて…
私たちの事じゃなく、とと姉が本当にしたいようにしてほしいって」
考えさせられたような顔の常子

叩かれた頬を押さえ登校していく美子

浄書室
元気なくタイプを打つ常子の手が止まる

<家族の幸せとは…
常子はどうしたらいいかわからなくなってしまいました>

迷った時には自然と足が向くのだろうか
星野(坂口健太郎)の下宿の前に来ている常子
星野は家の前で何やら桶を抱えて息を吹きかけている
それを黙って見ている常子
星野が振り向く「あ~こんにちは!」
笑顔を作る常子「こんにちは!」と、歩み寄る
星野「お仕事の帰りですか?」
常子「はい、何されてるんですか?」
星野「ああ…この時期の水は冷たすぎるので
植物にはあまりよくないんです
だからこうして少しでも温めてから水をやろうと ハッ…ハッ…」
常子「えっ?」
星野「ハクション!」と、くしゃみをして桶の水があふれて服にかかる
常子「あっ、大丈夫ですか?」と、ハンカチでそれを拭く

星野の部屋
星野「常子さん、実は…」
常子「はい」
(沈黙)
星野「桜はバラ科の植物なんです」
常子「はい…」
星野「桜はサクラ科ではなく
バラ科モモ亜科スモモ属の落葉樹の総称なんです
ちなみにバラはバラ科バラ属で…」
常子「あああ、あの…あの…」
(少しの間)
星野「実は…今度大阪に行く事になりました」
常子「大阪ですか?」
星野「はい、大阪帝国大学に僕が敬愛する五十嵐教授が
いらっしゃるのですが、その方が僕の研究を買って下さって」
パッと明るい顔になる常子「すごいじゃないですか
おめでとうございます!」
星野「ええ…」
常子「で…いつ行かれるんですか?」
星野「すぐにでも来てほしいと」
常子「へえ~大阪かあ
大坂の面白いお話たくさん聞かせて下さいね」と、笑い
「で…いつ戻っていらっしゃるんです?」
うつむいて小さく首を振る星野「戻りません」
少し口を開いたまま、時が止まったような常子の顔
星野「五十嵐教授の研究室に勤める事になったんです…
だから…もう東京には…」
目を見開いたまま言葉がなかなか出てこない常子
「あ…すいません…突然の事…で驚いてしまって…」
星野「僕の方こそずっと常子さんには言わねばと思っていたのに
遅くなってしまい…」
常子「すぐにとおっしゃってましたが大阪にはいつごろ?」
星野「来月の半ばには引っ越しを」
「来月…」と、瞬きが多くなる常子
「そうですか…あまり時間はありませんね」と、努めて明るい声を出す
「宗吉さんや皆さんにもお伝えして送別会を開いてもらわないと…
みんなさみしがるだろうなあ」と、体を前後左右に揺らす
常子に茶を出す星野「常子さんは?」
目に少し涙を湛えた常子「私は…」
星野「僕はさみしくない!」
少し驚いたような常子
うつむく星野「そう…思うように…自分に言い聞かせたのですが…」
常子を見て「耐えられそうにありません」
涙が溢れそうな常子
居住まいを正す星野「常子さん、僕と…結婚して下さいませんか?」
驚いて口が開きかけるがなかなか声が出てこない常子「結…婚…」

(つづく)

オープニングはちょっとコミカルなシーンがあって
タイトルインするのが普通だけど今回は最悪のシーンだったね
山岸がダミ声で早乙女たちを恫喝して女性蔑視発言からのタイトルイン
入社試験の面接時からずっと鳥巣商事はこんな感じだが
このテーマを深く掘り下げるという事ではなくて
あくまでも「この時代」を写した描写という事なのかなあ?
山岸のクズっぷりは楽しみに見てたけど今回のはさすがに笑えない

鞠子美子富江の珍しい3ショットのシーン
今回、森田屋の面々では唯一登場の富江が
不自然という訳ではないのだが
(むしろ姉妹と富江の交流が描かれてていい感じ)
本日のスタジオパークのゲストが川栄李奈だという事を考えると
もしかしたら当初脚本では鞠子と美子の2人のシーンだったかな?
と、勘ぐってしまう…
(35話の照代のシーンは超不自然だったw)

君子は最悪のタイミングで美子を叩いちゃったね
「とと姉ちゃんだってさ…」と、これから常子の幸せについて語るところ
だったのに…
まあ脚本的にはそれを冷静な鞠子に代弁させる事で
常子の心にもより素直に染みるという事なんだろうか?
君子が娘を激しく叱るなんて珍しいね
自分の記憶では2話で子役鞠子を叱りつけて以来だ

下宿前のシーン
星野に挨拶する常子は口元から笑顔を作っている
人間は自然に笑顔になる時は目元からそうなるものだ
細かいところだがちゃんと使い分けてるんだなあと思った

星野のノートにあった「伝える」事とは大阪行きの事だったんだね
常子を想う気持ちを伝えるんだと思ってたw
まあ結局気持ちも伝えて(耐えられそうにありません)
プロポーズもしたのだが…
常子の返事というか結末はなんとなくわかるよね
常子はとと姉ちゃんだから…(美子の願いとは逆になるが)

桜は種類によって花言葉もいろいろあるようだが
「優れた美人」「純潔」「精神美」「淡泊」等とのこと
フランスの桜の花言葉「私を忘れないで」というのもあるようだ

バラの花言葉も色によっていろいろあるようだが
全般的に「愛」「美」とのこと




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