2016年6月10日金曜日

とと姉ちゃん(59)美子のお駄賃の使い道~常子の出した答えは?

朝、洗面所で歯を磨く常子(高畑充希) 
星野(坂口健太郎)のプロポーズを思い出し動きが止まる 
「常子、遅れるわよ」と、君子(木村多江)が顔を出す 
「常子?」 
鏡の中の自分を見たままの常子「ずっと考えていたんです…
この数日久しぶりに家の中でゆっくりしていろんな事がわかりました…
鞠ちゃんもよっちゃんも私が思っていたよりずっとしっかりしていたんですね」 
君子「そうね…あなたももう少しだけ
自分の事を優先してもいい時期かもしれないわね」 
君子をちらりと見て「ええ、そうですね」
と、歯ブラシを動かせ始めた常子に甦る父との約束 
竹蔵「約束してくれないかい?ととの代わりを務めると」 
歯を磨く常子の後ろ姿 

タイトル、主題歌イン 

お部屋で水色の毛糸の編み物をしている美子(杉咲花) 
机の上に立てられた常子の3つの目標を見て微笑む 

浄書室でタイプライターの前に座る常子
手が止まりぼんやりとしている
そんな常子に早乙女(真野恵里菜)
「ご病気が治ったのにまた考え事では困りますね」
常子「すみません」
早乙女「手を休めてばかりいてはいけませんよ
あなたは妹さんを嫁に出すまで走り続けるのでしょう?」
落ちていくように首を縦に振る常子

夜、滝子(大地真央)の部屋
「そうかい、今でも美子は洋裁店の手伝いやってるんだね」
常子「はい、鞠ちゃんは文学同好会とかいうのがすごく楽しいみたいで
最近はお化粧もするんですよ」
滝子「へえ~あの鞠子が」
常子「鞠ちゃんもよっちゃんも私の知らないところで
どんどん成長していってるんです」
滝子「成長ねえ…」と、「フフフ」と笑いだす
何かの空き缶を取り出して蓋を開ける滝子
その中にはたくさんの小銭が詰まっている
「美子がうちや洋裁店の手伝いをしているのは何でかわかるかい?」
常子「それは…好きだから」
滝子「もちろんそれもあるよ、でもそれだけじゃない
美子の目当てはこれだ、今までためたお駄賃さ」
缶と滝子を見やる常子「どうしておばあ様が?」
滝子「フフフッ、あの子お駄賃もらうと必ず私のところに持ってくるんだよ
学費の返済に充ててほしいって」
驚いて目を見開く常子
滝子「少しでも常子の負担を軽くしたいって
あの子なりに役に立ちたいと思ってるんだよ」
少しうるっとして笑顔になる常子
「私はてっきりおやつを買うためかと」
首を振る滝子「美子はお駄賃を一銭も使っちゃいないよ
あの食いしん坊の美子が、フフフッ!信じられないだろ?」
笑って「フフフッ」と、うなずいた常子が泣き出しそうな顔になる
滝子「あの子たちが一人前みたいな顔をして
生き生きとやりたい事をやれるのは常子がいるからだよ
鞠子も美子もまだまだ子どもなんだよ」

帰宅した常子が襖を開けて部屋に入ると
机に向かって勉強している美子しかいない
振り向いた美子と目が合うが無言の2人
再び机に向かった美子の後ろに座る常子「よっちゃん」
美子が振り向く
常子「ごめんね」
常子に向き直る美子
常子「おばあ様から聞いたの
よっちゃんがお駄賃を学費の返済に充ててくれてるって…
そうとは知らずにひどい事言ってごめんなさい」と、頭を下げる
常子を見ている美子が居住まいを正して
「私もいろいろごめんなさい」と、頭を下げる
顔を上げた2人の表情が柔らかくなる
美子「とと姉ちゃん」
常子「ん?」
美子が押し入れから紙包みを取り出して常子に手渡す
包みを開ける常子「これ、よっちゃんが?」
美子「だってとと姉ちゃん自分のお洋服なんて随分買ってないでしょ
せめてマフラーくらいは新しいのしてほしいなと思って」
水色のマフラーを首に巻いてみる常子「ありがとう」
と、笑い合う2人
マフラーの端を愛おしそうに両手で握る常子
美子「ねえ…」
常子「うん?」
美子「みんなで時間があったらまたお出掛け行こうよ…駄目?」
首を振る常子「ううん」
美子「本当?」
笑顔の常子「私はいつだってみんなと出かけたいと思ってるんだから」
くだけたように笑う美子「いつもは嫌だなあ」
常子「フフフフ!」
美子「ねえ、今度上野動物園行こうよ、ロバとラクダが人気なんだって
でも銀座でホットドッグもいいよね、ナポリタンも人気なんだって」
笑顔で美子の話を聞いている常子
美子「あっ、フランス料理!でもエノケンも見たいんだ…」

仏壇の竹蔵の写真

美しい満月

深夜、寝間着姿で机の前に座る常子が3つの目標を見ている
そして眠っている家族に振り向く
揺れ動く常子の瞳

翌、星野の下宿
荷造りをしている星野を常子が訪ねる
星野「荷物が多いもので整理してまして」
常子「ああ…浜松から上京してきた時の事を思い出します
お部屋を片づけてるとお金見つけません?」
星野「お金?」
常子「小銭です、戸棚の裏とかこう…
ちょっとした隙間に落ちてるんですよね
妹たちと拾ったお金の数競い合ったりしたなあ、フフフ」
星野「はぁ~」
常子「あ…すみません、引っ越しの手を止めてまで
するようなお話ではなかったですね」
星野「いえ、僕もよく話を切り出せずどうでもいい話を」
常子「そういえばそうですね、フフフ」
星野「はい」
常子「似てるんですね私たち」
星野「僕もそう思います」
常子「いい夫婦になれるかもしれないですね」
驚いて顔がほころぶ星野「では、この間のお話し…」
星野を見つめる常子「星野さん…私…今は結婚できません
…ごめんなさい…今は家族と離れる訳には…
これからも支えていかなければなりませんし
私自身まだまだ支えたいと思ったんです」
星野「そうですか…」
頭を下げる常子「すみません」
星野「あ…謝らないで下さい、常子さんの事だから
とても真剣に考えてくれた結論なのでしょう
ありがとう」と、頭を下げる
常子の瞳が激しく揺れる
星野「僕もね、心のどこかでそう言われるのは分かっていた気がします」
常子「えっ?」
星野「もう日も暮れます、森田屋さんまでお送りします」
常子「いいえ」
星野「いいんです…そうさせて下さい」
迷いの消えた済んだ瞳の常子「はい」

(つづく)

滝子のセリフ「そうかい、今でも美子は洋裁店の手伝いやってるんだね」
と「あの子はお駄賃もらうと必ず私のところに持ってくるんだよ」
が矛盾しているように思えて気になった

滝子がやたら笑ってたのは美子のする事が可愛らしいからなのだろうが
その他に、お駄賃の小銭では学費の返済には雀の涙という事もあるのかな?
だから「まだまだ子ども」なんだろうか

常子の「そういえばそうですね」は
星野がいつも甘味屋でノートに書いてある事を
なかなか切り出せないでいたのに常子は気付いてたって事なんだろうね

あの場面でプロポーズを断るより先に
「いい夫婦になれるかも」なんて本当は言っちゃいけないけど
(星野はぬか喜びしてしまって可哀想だった)
これはドラマだから視聴者をハラハラさせる演出なのだろう

「今は結婚できない」って言ってたから鞠子も美子も大人になって
最終回あたりで星野と再会して結ばれるといいのだが…

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