2016年7月29日金曜日

とと姉ちゃん(101)会社存続のため花山を欺く常子たち

編集長室 
表紙のイラストを描く花山(唐沢寿明)の前に立つ常子(高畑充希) 
花山「何だね?」 
常子「はい…現状を鑑みると広告を載せる以外方法はないと思うんです 
賛同して頂けないでしょうか」 
花山「その話は終わったはずだ!」 
常子「質を落とさず続けるためには広告を載せるしかないんです」 
花山「認めん!
広告を載せると広告主の意向に沿わねばならなくなるかもしれない
あなたの暮しは本当に正しい事だけを伝えたいのに
できなくなるかもしれないんだぞ!
…考え直しなさい常子さん、我々の雑誌を守るために」 
困り顔の常子 

タイトル、主題歌イン 

常子がしょんぼりと編集長室から出てくる
鞠子(相楽樹)「やっぱり許す訳ないか…」 
水田(伊藤淳史)「でもこのままじゃ…」
事務所にいる鞠子、水田、緑(悠木千帆)に常子「広告は…載せます」
水田「いいんですか?」
緑「だって花山さんは…」
常子「花山さんには伝えずに載せます」
鞠子「黙って広告載せるの?」
常子「完成してしまったら受け入れるしかないでしょう」
水田「いや、それはそうですが…」
常子「あなたの暮しを続けていくにはもう、こうするしかないんです
雑誌を楽しみにして下さっている方のためにも
私たちが生きていくためにも」
うなずく鞠子「とと姉がそう決めたなら」
水田「早速探しましょう」
と、「ただいま戻りました」と美子が帰社する
その場の空気に美子「どうかした?」
常子「広告をね…載せる事にしたの」
美子「花山さん、いいって?」
鞠子「ううん、花山さんには内緒で」
美子「えっ?」
緑「大きな声は…」
美子「私は反対、そんな裏切るような事…」
鞠子「仕方ないじゃない、他に手がないんだから」
常子「こうでもしないと春までに潰れてしまうの」
水田「広告主は景気のいい会社がいいと思います、積極的だと思うので」
緑「景気のよいところ…」
鞠子「お料理学校は?最近、看板が目につくから儲かってるのかなって」
水田「確かに…食料の供給も安定してきたし
欧米の最新知識が入ってきた事で家庭料理に洋食を取り入れたいと
習いに行く人が増えていると聞いた事があります」
常子「お料理学校か…」
寂しそうな顔の美子

袴田料理学校
副校長袴田久「ここに当校の広告を?」
水田「はい、あなたの暮しの購読者層は
そちら様の生徒さんとなる方々と同じだと思います」
鞠子「女性全般に広く話題の雑誌だといわれておりまして…」
久「発行部数は?」
水田「創刊号は3万部、以降も6,000部以上は出ています」
久「3万はすごいな」
常子「はい、いかがでしょうか?」
久「よく我が校を選んでくれました、ねえ?お父様」
と、後ろで盆栽を手入れする校長袴田辰紀に振り向く
辰紀「うん、そうね」
常子「では…」
久「これからの花嫁は西洋料理も一通りできないと…
という風潮のおかげで料理学校は乱立してましてね
ちょうど宣伝に力を入れようと話し合っていたところなんです
ねえ?お父様」
辰紀「うん、そうね」
久「それじゃあ、お願いしましょうか」
常子「是非!」
(3人)「よろしくお願いします」
久「それでは早速広告料のお話を…」
常子「あっ、その前に…一つだけお約束頂きたい事が…」
鞠子と水田「…?」
久「…何でしょう?」

帰り道
鞠子「とと姉があんな条件出すから破談になるかと思ったわ」
水田「雑誌の内容には口を挟まないでほしい…なんてヒヤヒヤでした」
常子「でも大切な事でしょ?それにもっとお上品な言い方でしたわ」
(3人の笑い声)
鞠子「とにかく決まってよかった、これで花山さんに話しても安心よね」
常子「そうね、内容は私たちの好きにしていいって約束して下さったものね」
水田「いえ…やめておきましょう
広告と聞くだけであんなに毛嫌いするほどですから…
せっかくの契約が取り消しになってしまうかもしれません」
鞠子「ああ…そうかも」
常子「…」

美子の記事をチェックする花山「もっと伝わりやすい文章を書きなさい」
美子「はい」(原稿を返されて机に戻る)
と、3人が帰社する
花山「揃ってどこへ行ってた?」
常子「あ…あの…」
鞠子「書店です」
花山「書店?」
鞠子「日頃ごひいきにして下さっているところにご挨拶をしに」
(常子、鞠子を見てうなずく)
水田「ええ、はい」
花山「そうか」
花山から顔をそむけた常子の目が泳ぐ
花山「美子さん!」
美子「はい!」
花山「赤字部分を書き直しなさい!」
美子「すみません、でももう締め切りが…」
受話器を取りながら花山「関係ない、それは君が提案した企画だろ
自分が提案した企画には最後まで責任持ってやり遂げなさい!」
美子「はいっ」
花山「もしもし桑原印刷さん?ああ…あなたの暮しの花山ですが
表紙の件でね…青を強めに出してくれないか」
慌てる常子「ちょっと待って下さい、もうやり直しするお金はありません…」
花山(受話器に)「代金は気にせずすぐにやり直してくれ…ん~弱いんだよ」
絶望的…という感じに目を閉じる常子
花山「青だけでいい、強めにね…すぐにできるかな?」

<こうして花山に広告の事を伏せたまま
「あなたの暮し」第5号の準備は進められていきました>

夜、小橋家
君子(木村多江)「花山さんには事後報告って事?」
鞠子「それしか手がないんです」
君子「それじゃ黙っていなきゃいけないあなたたちも心苦しいわね」
常子「ええ…」
美子「どうだか…本当に心苦しかったらあんなに平然と嘘つけるかな」
(と常子をチラッと見る)
鞠子「よっちゃん」
美子「私は今でも賛成じゃないからね」
常子「どうして分かってくれないの?広告入れなきゃ雑誌自体が…」
美子「広告入れるなって話じゃないの、花山さんに話すべきって話!」
常子「さんざん話したけど分かってもらえなかったの!
何で分かってくれないの?」
君子「2人ともやめなさい!…お食事中ですよ」
やけくそ気味にうどんをすする美子
常子も眉をしかめながらうどんをすする

こちらも食事中の花山一家
三枝子(奥貫薫)「やっと最新号の完成なんですね」
花山「ああ、だがすぐに次とその次も同時に考えねばならん」
茜が「もういらない」と箸を置く
花山「どうしてだ?おなかがすくぞ」
三枝子「飽きちゃったみたいなの…うどんかすいとんばかりですものね
本当はお米を食べさせてあげたいけれど手に入らないから…」
花山「明日、闇市に行く用があるから何か食べ物手に入れてくるか」
三枝子「でもこの前みたいな事もあるじゃないですか
やっと塩じゃけが食べられると思ったのに
ほとんど腐っていて食べられないなんて…」

<食料事情はいまだに悪く、配給も米は僅かで小麦粉ばかりでした>

事務所の机に伏せてため息をつく鞠子
耳元で「鞠子さん」と声をかけられ振り向き
至近距離の水田の顔に驚き「なっ…!」
こちらも鞠子の反応に驚く水田「お~!」
そして「あっ、すみません」と頭を下げる
鞠子「戻ってらしたんですか?とと姉は?まだ印刷所?」
水田「あっ、いえ、あの…常子さんは帰りに寄る所があるそうで」
鞠子「そうですか…」
水田「あっ、もしかして常子さんと美子さんの事を?
あ…朝から2人の様子がおかしかったので」
鞠子「ええ…あの2人ゆうべやり合ってしまって
美子…花山さんに心酔してるから」

吸収合併される事になった甲東出版では一同が荷物を運び出している
常子「すみません、お忙しい時に相談に乗って頂いて」
谷(山口智充)「ううん」
五反田(及川光博)が横から「いやいや引っ越しも手伝ってもらえてるし
そんな面白い話を聞かせてくれるなら大歓迎だよ」
常子「面白くありませんよぉ!」
五反田「あの花山伊佐次を欺くなんて僕にはできないな」
谷「経営者として君は正しい
うちも生き延びるために吸収合併って道を選んだからね
でもな…編集長としては理想の雑誌を追求する花山さんの気持ちも分かる
そのためにもう一度直線裁ちのような発明を…と内心焦りはあるかもな」
常子「あの人がですか?」

闇市を歩く花山と美子
「何をお探しなんですか?」
花山「鉛筆だ」
美子「えっ、鉛筆なら会社にあります」
花山「それでは駄目だ、本当に気に入ったものでないと」
美子「はぁ…」
花山「いいか?文章にせよ絵にせよ書く道具にも念を入れるべきだ
そうやって選んだ道具でやった仕事には一層愛着が深くなり
一生忘れられないものになっていく」
美子「はいっ、勉強になります」
花山「うん」
と、「さあさあさあ、小麦粉持ってくればこっちで焼くよ~!」と売り子の声が響く
美子「何でしょう?いい匂いしますね」
花山「ああ、パンを焼いているんだ
小麦粉があっても家にパン焼き器や天火がなくては焼けない
だから代わりに焼いて商売にしているんだ」
美子「へえ~」
花山「戦争が終わってアメリカからララ物資(食料の国際的な支援)など
大量の小麦粉が日本に入ってきた
だから今では配給も米ではなく小麦粉だ」
美子「ああ…」
花山「ところが小麦粉を自宅で食べる事をしてこなかった我々日本人は
困ってしまった訳だ
どうやって料理していいのかを」
美子「そういえばうちもうどんかすいとんばかり…」
と、何かを思い付いた花山「そうか…小麦粉を使った新しい料理だ」
美子「新しい料理?」
花山が「次号の特集だよ!ハハハハハ!」と駆け出す
美子「えっ…えっ?…鉛筆…」(と背中を見送る)
微笑みながら路地を駆け抜ける花山

(つづく)

料理学校の校長袴田辰紀(並木史朗)は
「うん、そうね」しか言わなかったねw

花山に嘘をつくシーンの3姉妹は
それぞれの花山への思い入れみたいなのが出ていた
さらっと嘘をつく鞠子w
鞠子に同調したものの花山を正視できない常子
そもそも嘘をつくのに反対の美子

夜の食事シーンで美子はなぜか鞠子ではなく常子に噛みついたね
「あんなに平然と嘘を…」(美子のセリフ)ついたのは鞠子なんだけどw

まあこの嘘は常子が社長として苦渋の決断をしたという事なんだろうけど
仲間を、それも自分たちの指導者的な立場の人を欺いちゃいけないと思った
(どんな理由があっても)
この嘘を仕方がないと肯定できるかどうかは人それぞれだと思う

ところで常子たちは印刷所に何をしに行ったのだろう?
まさか花山の依頼をキャンセルしたのではないだろうな
支払いを含めた細かい打ち合わせだと思いたいが…

五反田に対して常子の「面白くありませんよぉ!」が可愛かった
五反田のキャラなのかセクハラされていたせいなのか
この2人はすごく距離が近い感じがする
家族のために父の代わりのとと姉ちゃんとして生きてきた常子だけれど
自身も父を早くに亡くした一人の娘だ
美子は花山に父性を見ているみたいだが
常子にとって父代わりにもっとも近いのは
もしかしたら五反田ではないだろうか?(ちょっとチャラいけどw)
常子は五反田に対する時に一番甘えてる感じに見えるからだ

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