2016年7月30日土曜日

とと姉ちゃん(102)雑誌に広告が載った事を知った花山は…

常子(高畑充希)「あの人がですか?そんなそぶり全然…」 
谷(山口智充)「編集長ってもんは往々にして気難しくて誇り高いもんなんだよ」 
相田「そうなんですか?じゃあ今度の編集長も?」 
谷「ああ、俺と違って短気だから覚悟しとけよ!」 
(一同)「え~」 
富樫「五反田さんが羨ましいですよ」 
五反田(及川光博)「えっ?」 
富樫「これからは悠々自適な作家生活じゃないですか」 
五反田「ハハッ、そんないいもんじゃないよ 
独り立ちして仕事が来るかも分からないし 
まあ…すばらくはすいとんばかりすすって暮らす事になるだろうな」 
常子「五反田さんなら大丈夫ですよ」 
五反田「これはこれは…出版社の社長様にそう言われて光栄です」 
常子「からかわないで下さい」 
五反田「…さっきの話だけど花山さんだってわからず屋じゃない 
君自身の口で誠意をもって伝えれば分かってくれると思うよ」 
常子「はい…」 

タイトル、主題歌イン 

<そして迎えた第5号の発売日>

雑誌を積んだリヤカーを曳く水田(伊藤淳史)と3姉妹
水田「美子さん上機嫌ですね」
美子(杉咲花)「分かります?実は昨日ようやくこれは…っていうものを
見つけたんです、ほら」(と水田に鉛筆を見せる)
水田「鉛筆?」
美子「はい、以前花山さんと買いに行ったんですけど
その時は買えなくて…きっと喜んで下さるはずです」
水田「…だといいんですが」(と立ち止まり常子たちに振り向く)
「今日伝えるんですよね?広告載せた事」
常子がうなずく
美子「えっ」
水田「大丈夫ですかね…」
常子「私の口からきちんとお話しします」
美子「私どうなっても知らないからね」
鞠子(相楽樹)「ひどい言い方しないの」
常子「花山さんが出社してらしたらすぐに話すわ」

事務所の机に積まれた「あなたの暮し」第5号
と、編集長室から花山(唐沢寿明)が出てくる
常子「もういらしてたんですか?」
花山「もういらしたというよりまだいらしたんだ」
美子「徹夜ですか?」
花山「心躍る企画が浮かんだがそれに対する答えがまだ見つからなくてね」
常子「その前にお話があります」
花山「静かにしてくれ、頭がいっぱいなんだ」
花山のデスクの前に立つ常子「花山さん、折り入ってお話が」
花山「後にできないのか?」
常子「はい」
花山が顔を上げて常子を見る
常子が後ろ手に持っていた雑誌を「最新号なんですが…」と差し出す
(常子は花山の顔が見れなくて下を向いている)
「原稿に間違いでもあったか?」とそれを受け取り確認する花山
目を閉じて常子「裏表紙をご覧下さい」
そこには袴田料理学校の広告
花山「何だこれは!なぜ料理学校の広告が載っている!」
常子「やはりどうしても資金が足りなかったんです
広告はこの誌面だけです」
花山「言い訳など結構!」
常子「ですが…」
花山「なぜ今まで黙っていた?」
常子「それは申し訳ありません」
水田「すみません、あの…僕が」
常子「いや、こうでもしないと認めて頂けないと思ったんです」
花山「こうすれば私が認めると思ったのか?
認めるも何も出来上がってしまっていては反対もできないじゃないか!」
(一同)「…」
花山「…汚いやり口だな」
常子が下を向く
花山「なぜ理解してくれない!広告を載せてしまうと
読者のための記事に制約が生まれるかもしれないんだぞ!」
常子「ですから雑誌の内容には口を出さないように約束を取り付けました」
立ち上がった花山が静かに「甘いよ常子さん」
花山の顔を凝視する常子
花山「残念だがもう君と雑誌は作れない」(と編集長室に向かう)
鞠子「どういう意味ですか?」
花山「編集長は辞めさせてもらう!」(と部屋に入る)
美子「花山さん!」
茫然としている常子に美子「とと姉ちゃん」(と背中を押す)
部屋に入る常子「本気でお辞めになるつもりなんですか?」
荷物を整理しながら花山「私はいつでも本気だ」
常子「待って下さい」
花山「辞表は要らんだろう」
常子「花山さん」
花山「広告はそれほど大事な事だったんだ
進退を懸けるほどにね
君にそれが伝わっていなかったのは残念だ
同じ思いで雑誌を作っていると思っていたんだが」
常子「それは同じだと思います、毎日の暮らしを守るために…」
花山「口では何とでも言える!」
常子「私そんなにいけない事したでしょうか?
雑誌の内容自体は何も変わってないんですよ」
花山「その1ページが命取りになる!」
常子「ですけどお金がなければ雑誌を出す事すらできません
それじゃあみんなや花山さんのお給金だって払えません」
花山「じゃあ君は金のために魂を売るのか!」
常子「そういう訳では…」
花山「私はそんな雑誌ならば出すべきではないと考える
君は生きるために雑誌を出すべきだと考えた
相いれないのかもしれないな」
常子「お願いします、残って下さい
あなたの暮しは私たちが生みだした雑誌じゃないですか
見捨てないで下さい!」
花山「そうさせたのは君たちだ!」
一同「…」
花山「世話になったね…」(と歩き出す)
美子「花山さん…」
花山が事務所を出ていく
美子「本当に辞めちゃったの?」
水田「恐らく…」
常子の手を引っ張り背中をドアの方に押す美子
「ねえ今からでも遅くないよとと姉ちゃん謝って!」
鞠子「謝る必要ないわ!こうするしかなかったんだから」
美子「でも…」
水田「あの様子では聞く耳を持ってくれないでしょう
我々でなんとかするしか…」
言葉もなく、動く事もできない常子

闇市を歩く花山が先日のパン売りの店を見つめる

事務所では気落ちした様子で会議中の一同
お茶を出してくれた緑に常子「すみません、心配かけて」
緑「いえ」
美子「…ひどいよ…花山さんがいなくなったばかりなのに」
鞠子「だからそれは…」
常子「このまま何もしなくたって締め切りは迫ってくるの
よっちゃんも一緒に考えて」
美子「私は花山さん抜きで企画を決めるのは無理だと思うよ」
「…あっ!」と立ち上がり花山のデスクを探る水田
鞠子「何をするおつもり?」
水田「あっ、いや…花山さんのメモを見れば
花山さんがおっしゃっていた心躍る企画というのが分かると思いまして
それが分かれば次号の…」
常子「それはいけません…それじゃあ花山さんの企画を盗む事になります」
水田「…ですよね…すみません」
美子「だったら今すぐ広告やめて花山さんに許可とってきたら?」
鞠子「それができたら苦労しないでしょ」
美子が立ち上がりバックを持ちドアに向かう
緑「美子さん?」
美子「企画を考えるのはここじゃなくてもいいと思うので」(と出て行く)
鞠子「もう…あの子は…」
がっくりとうなだれる常子

三枝子(奥貫薫)「本当によろしいんですか?」
花山「ああ、すぐに次の出版社をあたってみる
余計な心配はいらないよ」
三枝子「収入の事ではなくあなたは本当によろしいんですか?
あれだけの決意をもって立ち上がったのに…」
花山「だからこそこうするしかなかったんだ」
三枝子「…」
茜がやってきて「お父さん、今日は早いんだね」
「うん、しばらく家にいられるかもしれないな」と茜を抱き上げる花山

帰宅した美子に君子(木村多江)「あら一人?早いわね」
美子「辞めちゃったんです」
君子「えっ?」
美子「花山さん」
君子「えっ?どうしてまた…」
美子「広告の事でとと姉ちゃんとぶつかって…
私、花山さんの気持ちが分かるから納得できなくて」
君子「なんとかならないの?」
美子「謝るよう言ったんですけど自分たちで何とかするらしいですから」
君子「あの子も頑固なところあるからねえ
何か話し合うきっかけでもあればいいんだけど」
美子「…きっかけ?……よし…」(と、どこかへ向かう)

部屋で特集の企画書を書いている美子

事務所で企画会議をする一同
水田「小麦粉を使った新しい料理?」
美子「はい、以前は餓死の危険もありましたが
この1年で食糧事情も好転してきた、それは小麦粉の配給のおかげで…
で、それはあの…アメリカからの…あれのおかげなのよ」
鞠子「あれって?」
美子「いやいや、あれよあの…アメリカが日本にくれた…」
(一同)「あ~」(とうなずく)
美子「まあとにかくそれでそのおかげで
家庭に小麦粉がたくさんあるようになった
でもどうやって使ったらいいか分からないから
うどんかすいとんにするしかない
でもそれじゃ飽きてくるじゃない?
だから小麦粉を使った新しい料理を提案したら喜ばれるんじゃないかしら」
美子の書いた企画書を手に常子「信じられない…」
美子「ん?」
常子「よっちゃん、これ本当に自分で考えたの?」
美子「…そうよ…当たり前じゃない」
常子「よっちゃんすごいわ!すごい、すごいじゃない!」
美子「そう?」
水田「僕もそう思います」
常子「ねえ」
緑「私も」
鞠子「悔しいけど…うん」
美子「じゃあ次号の企画は小麦粉料理で決まりね」

花山家玄関
三枝子と茜が花山を見送る
花山「そんな顔をするな、すぐに仕事先を見つけてくるから…行ってくる」
花山の背中を心配そうに見ている三枝子

出社する常子がビル外壁の「あなたの暮し出版」の看板を見上げる

<常子と花山は別々の道を歩き始める事になってしまったのです>

玄関の外で天を見上げため息をついた花山が歩き始める

(つづく)

五反田のアドバイス通りに常子は自分の口で伝えたけどダメだったねw
まあ花山の言う通り「汚いやり口」を使ったのだから仕方ない
さらに「私そんなにいけない事したでしょうか?」
と、一瞬だけど逆ギレもしていたね常子はw
全体的には花山に対する申し訳なさは十分に見せていたとは思うけど

鞠子の「謝る必要はないわ、こうするしかなかった…」は
美子との対比でのポシションでこのセリフなのだろうが
合理的で鞠子らしいと言えばそうとも思える

常子を花山に謝らせたい美子はそのきっかけを作るために
花山の企画を盗んだのだろうがうまくいくのだろうか?

美子が会議で適当に説明する件は面白かった
鞠子の「悔しいけど…うん」はどういう意味だろう?
3姉妹の中では自分が一番できるはずで
ましてや女学校の成績が一番悪かった美子に後れをとるなど
鞠子的にはプライドが許さないという事なのかな
常子の「信じられない…」も褒めているようで
よく考えれば失礼な物言いだよねw

ところで前回の三枝子の「でもこの前みたいな事もあるじゃないですか
やっと塩じゃけが食べられると思ったのに
ほとんど腐っていて食べられないなんて…」
は何だったのだろう?
今回、回収されると思っていたのだが…
もしかしたら、ただ食糧事情が悪いというだけの描写だったのだろうか?
88話の「こんなでも暮らしは暮らしですから」もそうだが
三枝子は時々謎なセリフを吐く
公式のインタビューで奥貫が語っているように
三枝子は「明るくのほほんとした人」だと自分も思うのだが
上のセリフ2つは愚痴だと解釈する事もできるような気もする…


0 件のコメント:

コメントを投稿