2016年8月1日月曜日

とと姉ちゃん(103)会社を去った花山抜きで小麦粉料理の企画を進める常子たち

どこかの空き店舗のガラス戸を開け通りを眺める常子(高畑充希)
「ここでお店なさるんですね」 
照代(平岩紙)「そうなのよ」 
常子「人通りも多いし立地もいいですね」 
宗吉(ピエール瀧)「広さも2人でやるにはちょうどいいだろう」 
常子「はい」 
鞠子(相楽樹)「開店準備でお忙しいところ申し訳ないんですけど
お力をお貸し頂けません?」 
宗吉「お力?」 
鞠子「小麦粉を使った料理、洋食で何かありませんか?」 
宗吉「まあいろいろあるけど…何だって俺にそんな事…」 
常子「雑誌の企画で家庭でも手軽にできる
小麦粉を使った料理を紹介したいんです」 
美子(杉咲花)「料理の事は料理の専門家にお聞きするのが一番いいと
姉が申しておりまして」(と鞠子の肩を掴む) 
鞠子「雑誌作りに協力して頂けませんか?」 
照代「いいわよ、ねっ?」(と宗吉を見る) 
宗吉「おう…」 
 
夜、あなたの暮し社
「じゃあ私はお先に」と美子が笑顔で退社していく
水田(伊藤淳史)「機嫌が直ってよかった」
鞠子「今日のところはって感じですけど」
常子「これからは花山さんなしでやっていかなきゃいけないから
甘い物でもごちそうしてご機嫌とらないとね」
水田「あっ、そうですね」
常子「何かおいしそうなものがあったら
買ってきておいてもらってもいいですか?」
水田「分かりました」
常子「鞠ちゃんと相談してよっちゃんの好きそうなものを」
水田「あ…はい」

帰り道の鞠子と水田
「心配してたんです常子さんの事
信頼していた花山さんが辞めてしまって気落ちするのではないかって…
平気そうでよかった」
鞠子「とと姉はいつもああなんです」
水田「えっ?」
鞠子「周りが困っている時ほど自分がどんなにつらくても
明るく振る舞って元気づけようとしてくれる
…というかしてしまう…というか
だから多分、今とてもつらいんだと思います」

事務所で残務をする常子が雑誌と会社の名前を花山と決めた件を回想する
花山のいない左隣のデスクを見つめる常子

鞠子「私、夫婦みたいって思ってたんです」
水田「えっ?」
鞠子「とと姉と花山さんが」
水田「ああ…」
鞠子「もちろん恋愛感情がある訳ではありませんけど…
2人は同じものが見えているというか
そんなつながりみたいなものを感じてたんですけどね」
水田「信頼し合っていたからこそ関係が修復できないほど
ぶつかり合ってしまったのかもしれないですね」(2人の足が止まる)
鞠子「これからどうなっていくんでしょう…
美子にはあんな事言いましたけど本当は私すごく不安で…」
水田が鞠子を強く見つめる
「…そんな悲しい顔はやめて下さい
僕が精いっぱい支えますから」
微笑む鞠子「ありがとうございます水田さん…頼りにしています」
その言葉でさらに目を見開き鞠子を見る水田
鞠子「…といっても無理なさらないで下さいね(歩き始める鞠子)
お気持ちはうれしいですけど…」
と、路上で固まったままの水田に振り向く鞠子「えっ?…どうしました?」
鞠子の方に向き水田「鞠子さん!」
鞠子「はい」
鞠子に駆け寄る水田「僕と…僕とおつきあいして頂けないでしょうか?」
鞠子「えっ?」
水田「お願いします!鞠子さん僕と…」
鞠子「どうしてこんな時に!」
水田「僕にもよく分かりません、盛り上がってしまって」
鞠子「あっ、いやあの…私…
とにかく今は社内がこんな時ですから」(と挨拶で頭を下げて走り去る)
見送る水田「あぁ~…何やってんだ…」(とガックリ膝をつく)

3姉妹が注視する中、事務所でそろばんをはじく水田
「変わりませんね、雑誌自体の売り上げは横ばいのままです」
常子「横ばいですか…」
鞠子「前の号より落ちてないだけよかったじゃない」
水田「そうですよね!」
常子「じゃあ…もし広告を載せてなかったら?」
水田「間違いなく次の号は出せなかったと思われます」
鞠子「正解だったのよ、広告載せて」
常子「うん…」
美子「でも花山さんもういらっしゃらないのよ
雑誌の売り上げはこのまま維持できるのかしら」
常子「それは…」
と、電話が鳴り呼び出され袴田料理学校に向かう常子

久「おかげさまで広告の評判もよく入学の申し込みも増えました」
常子「それはよかったです」
久「で、父と話をした結果
次号は裏表紙の裏表2面でお願いしたいと思います
広告費は2倍お支払いしますから」
常子「2倍?よろしいんですか?」
辰紀「まあそれくらいは構わん」
常子「そんなに…頂けません」
久「いえ、こちらとしては末永くおつきあいができればよいなと」
常子「となると契約の内容に変更が…」
久「そこはこれまでどおり小橋社長の思うようにやって頂ければ結構です」
常子「そうですか…ありがとうございます」

宗吉の店
美子「ちょっと待って…次号も広告載せるの?」
常子「ん~悪い話ではないし…」
美子「それじゃ花山さんのおっしゃっていたとおりじゃない
一度広告を取ったらやめられなくなるって」
鞠子「よっちゃん!」
宗吉と照代もやってくる
「おい大丈夫なのか?お前ら…
小麦粉を使った新しい料理考えんだろ?」
常子「すみません
(美子に)今は料理作りに集中しましょう」
美子「…はい」

宗吉が厨房で説明を始めるが照代が遅れてくる
宗吉「んだよ…まだゆうべの事引きずってんのか?」
美子「ゆうべの事って?」
宗吉「ああ…いや」
照代「ゆうべこの人と言い合いになっちゃって」
常子「言い合い?」
照代「今更なんだけど分からなくなっちゃってね
ここでお店を開いていいのか」
宗吉「その事は何度も話してきたろう?」
照代「このまま仕出し屋森田屋の看板を潰してしまっていいのかどうか…
私たちが今やるべき事はお母さんが一生懸命守ってきた森田屋を
また始める事なんじゃないかしらって」
宗吉「いいか?これからは洋食の時代だ
今にどの家庭でも洋食を食べるようになる
そっちの方が儲かるに決まってんだ」
照代「でも儲かる事だけが大切ではないでしょう?」
宗吉「そんな事言ったって儲からなきゃやっていけねえだろう!」
鞠子「あのう…」
宗吉「ああ…悪いな…みっともねえとこ見せちまって」
鞠子「出直しましょうか?」
照代「あっ、いいの!少し聞いてもらってすっきりしたから…ごめんなさい
さあ、始めましょうか」
(一同)「はい」
宗吉「お前たちの悩みを解消するようなもんを
俺がチャッチャと考えてきてやったぞ」
美子「本当ですか?」
宗吉「ああ任しとけ、まずはな…」
と、表で「ごめんください」と声がする
常子「少々お待ち下さい、ちょうどいらっしゃいました」

店の前に並ぶカフェー「浪漫」の女給一同
宗吉「こちらのお嬢さん方は?」
鞠子「読者代表としていろいろと意見を参考にさせてもらってるんです」
常子「どんな料理が求められているか知るために
試食して頂こうと思ってお越し頂きました」
綾(阿部純子)「よろしくお願い致します」
(その他一同)「お願いします」
梢(佐藤仁美)「おいしい料理をお願いね」
笑顔の宗吉「お任せあれ、ハハハハハ…あれ?こちらは確か常子の女学校の…」
綾「はい、御無沙汰しております
その節は本当にありがとうございました」
照代「あら~すっかり大人になってぇ」
宗吉「ああ、お仲間もきれいな方ばかりで…
ハハハハ!こりゃ気合いが入っちゃうな、ハハハハハ…」
照代(宗吉を見て)「本当ですね」
宗吉「さて…作り始めるとしようかな」

花山家
帰宅した花山(唐沢寿明)に三枝子(奥貫薫)「ご苦労さまでございました」
花山「うん」
三枝子「お仕事の方はいかがでした?」
花山「出版社を方々回ってみたがなかなかね…」
三枝子「是非にとおっしゃってた三光出版さんも駄目だったんですか?」
花山「ああ、あそこはこちらから断ってしまったよ
編集者をただの駒としか思っていない」
三枝子「あ…そうですか」
花山「ほら茜、小麦粉をパンにしてもらってきたぞ」(と紙袋を渡す)
茜「ありがとうございます」
三枝子「お金の方は大丈夫なんですか?」
花山「たまにはいいだろう、金の事だけ気にしていると心まで貧しくなる…
(茜に)食べなさい」
茜「頂きます」(とパンにかじりつく)
三枝子「おいしい?」
茜「うん!」

<あなたの暮し出版を辞めてしまっても
新しい小麦粉料理について考えてしまう花山でした>

幸せそうに笑う妻と娘を眺めている花山

(つづく)

まず鞠子の「夫婦みたい」という言葉を自分たちの事?と勘違いして
(それはすぐに常子と花山の事だと分かったが)
さらに「私すごく不安で」と鞠子が弱っているので
「精いっぱい支えます」と言ったら「頼りにしています」と言われた
男の自分から見ると水田がこのタイミングで交際を申し込んだのは
そんなに無理じゃないと思うのだが
「どうしてこんな時に」っていかにも女の人が言いそうだw
まさかじらしている訳でもないのだろうが鞠子はもったいつけるね

照代はこの前、小橋家で沈んだ表情も見せていたが
まつが守ってきた森田屋の看板にこだわりがあったんだね
義理固い人だ

外では傍若無人で変人ぶりを見せつける花山が
家庭では相変わらずの優しい父親だ
ポン酢のCMのからみで明るく良いパパのイメージを壊したくないから
それが脚本にも作用しているのかとつい考えてしまう






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