2016年8月2日火曜日

とと姉ちゃん(104)社長兼編集長として奮闘するも折々に花山の言葉を思い出してしまう常子

「さあ遠慮しないで召し上がって下さいね」と照代(平岩紙)が料理を並べる 
「頂きます」と試食する綾たち 
綾(阿部純子)「うん、おいしいです」 
梢(佐藤仁美)「うん、初めて食べたよこんなの」 
お蝶(早織)「世の中にはこんなにうまいもんがあるんだねえ」 
さくら(森絵梨佳)「カフェーのメニューにもなかったですわ」 
照代「カフェー?」 
宗吉(ピエール瀧)「カフェーって…あの女給さんのいるカフェーかい?」 
鞠子(相楽樹)「はい、皆さんカフェーで働いている方々なんです」 
宗吉「はぁ~どうりできれいどころが多い訳だ」 
綾「でも今はもうカフェーじゃないんです
昼間のお仕事が見つかって、皆さんも」(うなずく元女給一同) 
梢「私はまだ働いてるよ、新橋の浪漫ってお店
よかったらいらして」(と宗吉を見る) 
宗吉「そりゃあ一度行ってみねえとなあ」
照代が宗吉を見て「そうですねえ」
宗吉(照代に怯み)「で…料理の方はお気に召しましたかい?」
さくら「ええ、味は申し分ありません
でもこれを紹介しても喜ばれるかどうか…」
梢「そうだねえ…」
綾「これじゃあ難しいかもしれませんね」
美子(杉咲花)「どういう事でしょうか?」
艶子(谷澤恵里香)「この料理、小麦粉以外に…」
宗吉「ああ、それは牛肉と西洋まつたけと…」
弓子(寺島咲)「そんなのどうやって手に入れるのさ」
綾「たとえ手に入れたとしてもこんな手の込んだ料理とても作れません」
お蝶「働いてると料理に時間をとれないんだよ」
鞠子「なるほど…」(うなずく3姉妹)
鞠子(宗吉に)「何か手軽にできるものってないですか?」
宗吉「ん~しかしなあ…
小麦粉を使って手軽にできる料理って言われてもなあ…
パンだって家庭で焼けるもんでもねえしなあ…」
梢「…ったく欧米人も気が利かないねえ
パンみたいな小難しいのじゃなくて
混ぜて焼くだけみたいな料理を発明してくれりゃあいいのにねぇ」
常子(高畑充希)「混ぜて焼くだけ……ホットケーキ!」
美子「えっ、ホットケーキってあの…昔、百貨店で食べた茶色くて円い?」
常子「そうそう」
宗吉「ホットケーキはおやつだろ?主食じゃねえのにいいのか?」
常子「でもシロップかけなければパンと同じじゃないですか?」
鞠子「確かにおなかにもたまるわね」
常子「ねえ」(美子もうなずく)
鞠子「でも本当に混ぜて焼くだけで出来るんですか?」
宗吉「あんなもん簡単だよ、誰でも家で焼けるぞぉ」
(一同)「え~?」

夜、あなたの暮し社
宗吉「小麦粉をダマにならないようかき混ぜる」
鞠子がそれをメモにとる
立ち上がり事務所を眺める宗吉
「しっかし…常子がここの社長で編集長とはなあ…大したもんだ」
美子「編集長はもともと花山さんという方なんです
今はしかたなくとと姉ちゃんがやってます」
鞠子「よっちゃん…」
席に戻った宗吉が「お~鞠子」と、水田の机を指さし
「さっきそこにいたあいつどこ行った?」
鞠子「水田さんですか?今はもろもろの支払いに…」
宗吉「お前とうわさになってるのってひょっとしてそいつか?」
鞠子「違います!水田さんとはそんなんじゃありません
(メモを宗吉に見せて)ご確認願います、小麦粉の分量合ってます?」

「アクセサリーの挿絵、出来ました」と美子が常子にイラストを提出する
常子「ご苦労さま…(とイラストを眺め)手作りの温かみを出したいから
全体的にこう…もう少し優しい色合いにして
それから原稿とのバランスも考え直してくれるかな」
美子「そんな一度に言われても無理よ
それに全体的に…とかではなくてもっと具体的に説明して」
常子「ごめん…」
常子のデスクの前に腰かける美子
「大体今後の編集作業どうするつもりなの?
原稿確認や割り付けや印刷の色の具合…
全部花山さんがいなくてできるの?」
常子「…」
と、袴田料理学校の久が常子に紹介したいからと
大東商事の松平という男を連れて事務所を訪れる
松平「あなたの暮しは家内ともども毎号楽しみに読んでおります」
常子「恐れ多いです」
松平「次号には家内が考案した料理が掲載されるというから
とっても楽しみにしているんですよ」
常子「は?」
久が慌てたように「松平さん、私は小橋さんと打ち合わせがありますので
先にお店の方に…」と松平を送り出す

「申し訳ない!」と頭を下げる久
向い側には3姉妹が並んで座っている
常子「一体どういう事です?」
久「実は松平さんに我が校は多大な融資を受けておりまして
最近あなたの暮しに広告を出し懇意にしていると話したところ
是非奥様が考えた ぽあそん あ ら あめりかん という創作料理を
次号に載せてほしいと言われまして思わず約束を…
これがその作り方です」(と懐から封筒を取り出して机に置く)
鞠子「ぽあそんあらあめりかん…?」
美子「載せると言ってしまったんですか?」
久「申し訳ありません、これを断るといろいろと面倒な問題が…
今回だけは私の顔を立てると思ってよろしくお願いします!」
常子が花山の言葉を思い出す「甘いよ常子さん」

宗吉の店
「一応作ってはみたけどな…」と3姉妹に料理を出す宗吉
鞠子「これがポワソン・ア・ラ・アメリカン…」
水田(伊藤淳史)「豪華ですね」
美子「車エビにタイですものね」
照代「材料を手に入れるだけでも一苦労よね」
常子「しかも完成まで半日かぁ…」
宗吉「ああ、随分手間のかかる料理だぞぉ
魚介類を煮込んでからパイ生地で包んで天火で焼くんだ」
鞠子「パイ生地…」
宗吉「とてもじゃねえが家庭で作れる代物じゃねえぞぉ」
鞠子「とと姉どうする?本当に記事にするの?」
美子「迷う事ないよ
花山さんだったら我々が作ってるのは庶民のための雑誌だ
こんなメニュー取り上げてはいかん…っておっしゃるに決まってるわ」
水田「それはこの料理を記事にするのを断るって事ですよね?」
鞠子「記事を断ったら料理学校は広告をやめるって言ってくるんじゃない?」
美子「それでいいじゃない、もう広告は載せない
今まで通りにすればいいだけよ」
水田「いや…ちょっと待って下さい
次号で入る広告料を計上して予算を組んでみましたが
それでも会社を維持するには精いっぱいです」
美子「じゃあ…」
水田「もしこの料理を載せないで広告料が入らないという事になれば
次の号があなたの暮しの最終号になってしまう可能性が高いんです」
鞠子「だったらこれを記事にして会社を存続させる…
それしかないんじゃない?」(と常子を見る)
常子「うん…」
鞠子「…そろそろ時間じゃない?」
腕時計を見る常子「あっ、本当だ…
あ…じゃあ鞠ちゃんは坪内先生のところに
よっちゃんは菊池先生のところに原稿取りに行ってもらってもいい?」
鞠子「分かった」
水田「僕は一足先に会社に戻ります」
常子「お願いします」
鞠子が立ち上がり宗吉夫婦に「ありがとうございました」と挨拶するが
美子は黙り込んだまま動かない
鞠子「よっちゃん、行くわよ」
立ち上がり「失礼します」と挨拶する美子

3人が出て行きひとりになった常子に照代が紅茶?を出す
照代「本当に驚いちゃうわ、常子ちゃんが雑誌作りの社長さんだなんて
雑誌を作りたいなんて前から言ってたっけ?」
常子「いえ、この世界に入ったのはたまたまなんです」
照代「それでどうして作る事に?」
常子「ん~…自分で雑誌をと思ったのは
戦後の混乱の中で必死に生きようとする女の人のために
何かできないかなって」
宗吉「それであれだろう、豊かな暮らしを取り戻す手助けをってなぁ
雑誌に書いてあった」
常子「ええ」
宗吉「豊かな暮らしってのがいいじゃねえか
よくそんな事思いついたなあ」
常子「それは花山さんのおかげです」
照代「花山さんって…辞められた編集長さん?」
常子「はい、花山さんと一緒に働く事で
ようやく自分のやりたい事にたどりつけたんです」
宗吉「そうか…その花山って人と出会ったから
今の雑誌を作る事ができたって訳か」
うなずく常子

鞠子と美子が帰宅する
君子「常子は?お仕事?」
鞠子「鈴木先生の原稿が書き上がるまでお宅で待たせて頂くと」
君子「そう…遅くまで大変ねえ」
鞠子「とと姉は社長と編集長どっちもですからね」
美子「自業自得じゃない、自分が花山さんを追い出したから」
鞠子「まだ言ってるの?」
美子「だってそうでしょ?花山さんのおっしゃる通りにしないから
こんな事になっちゃったんじゃない、とと姉ちゃんは自分勝手なのよ」
君子「美子ぉ…あなたが怒っているのは妹として?それとも社員として?
常子が気に入らない事をしたからといって怒っているなら
それはただの姉妹げんかよ
花山さんの事は会社の問題でしょ
会社のために社長と力を合わせる事が社員には大事なんじゃないの?」
美子「…」

原稿を書く作家の前に座る常子が
花山と2人で新しい雑誌作りを誓いあった日の事を思い出す
鈴木「君…君!」
「あ…はい…はい」と我に返る常子
鈴木「何をボ~ッとしてるんだ、書き上がったよほら」
常子が「ありがとうございます」と原稿を受け取る

<自分たちでやると心に決めたはずなのに
常子の頭に花山の言葉が回り続けていました>

心ここにあらずという顔で原稿を確認している常子

(つづく)

女給を続けているのは梢だけのようだ
別に職業差別をするつもりはないが
綾が転職していてなんだかほっとした

料理学校に融資するほどの資産家の松平夫婦がなぜ
「あなたの暮し」のような貧乏くさい(失礼!)雑誌を購読しているのか疑問だが
訳の分からん創作料理をゴリ押ししてくるとはとにかくけしからん

常子が宗吉夫婦に自分で雑誌を作る事になった経緯を説明していたけど
大金持ちになれるかもって思った件が抜けてるよ!
理念の部分だけかっこよく説明していたねw
(まあそれで花山がいたからこそ…って改めて気付く流れなのだが)

水田に広告料が入らなければ次号が最終号だと指摘されて
君子には説教されて美子は常子へのわだかまりを解消できるのだろうか?
君子はいい事言ったみたいだけど「社員として…」と言われてもねw(美子的に)
82話で「で…どう?私たち3人でやってみない?」と
起業する常子に軽いノリで誘われた美子にしてみれば
自分が「社員」だっていう意識はなかったかもしれないよね
給金だってたぶんちゃんと貰えてないだろうし
そもそも社長のこと「とと姉ちゃん」て呼んでるくらいだw

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