2016年7月8日金曜日

とと姉ちゃん(83)「スタアの装ひ」初版300部即日完売!増刷する常子たちだが…

鉄郎(向井理)「頂きます」 
(4人)「頂きます」 
小橋家の夕食 
鉄郎「今日もまたすいとんか~」 
君子(木村多江)「すみません、配給もすぐに売り切れてしまって」 
鉄郎「はぁ~ビフテキとか夢のまた夢だなあ…」 
鞠子(相楽樹)「叔父さん!男なんだからゴチャゴチャ言ってないで
早く食べちゃって下さい、ここで編集作業するんだから」 
鉄郎「はい…」 
張り切っている鞠子に家族が微笑む 

<紙を仕入れた常子たちは雑誌 スタアの装ひ の完成に向かって
邁進していました> 

ちゃぶ台を囲み作業する小橋一家 
常子(高畑充希)「今晩中に片づけてしまいましょう」 
鞠子「もちろん」 
鞠子をからかうような美子(杉咲花)「お~」 
鞠子「だから冷やかさないでよ」 
常子も悪ノリする「お~」 
鞠子「ちょっと!」 
そして君子までが「お~」 
ヘラヘラと笑っている常子たち 

タイトル、主題歌イン 

闇市で外国人の洋服をスケッチする美子

ちゃぶ台で文章作業をする鞠子

綾の自宅前
綾(阿部純子)「雑誌を?」
常子「ええ、出来たら是非綾さんにも読んで頂きたいわ」
綾「もちろん…でもすごいわね
自分で出版社を作るって事は社長であり編集長って事でしょ?」
照れたように笑う常子「まあ…そういう事になるわね」
綾「大変ね、そんなにたくさん紙まで持って」
常子「あ…いけない…印刷所に届けるところだったんだ…
ごめんなさい綾さん、またゆっくりね」
綾「頑張ってね、社長さん」
「ありがとう」と、太一の手を握り「じゃあね太一君」と言って
忙しそうに駆けだす常子
少し追いかける綾「常子さん!これありがとう」と紙袋を掲げる
振り向き「うん!」とうなずいて走っていく常子と心からの笑顔で見送る綾

「5人です」
「え~7円50銭」
配給所の列に君子たちがあたふたと走ってきて加わる
せつ「近頃常子さんたち忙しそうね」
君子「ええ、会社を一から作り上げるのは想像以上に大変みたいで…」
せつ「大したもんよ、女だてらに会社作るなんて
うちのとうちゃんも驚いてたわ」
稲子「ああ、うちのも
復員してきたらお隣さんがすっかり変わっちまったって驚いたって」
大笑いする女3人
せつ「これが成功したら君子さんも楽させてもらえるんじゃない?」
君子「ああどうですかね、まあ私は
娘3人が協力してやってくれてるってだけで」

小橋家
常子が封筒から原稿の束を取り出す
(鞠子と美子)「お~いよいよね」
常子「まだまだ、このゲラ刷りで誤字脱字がないか間違いを修正するの」
鞠子「あっ、そっか」
常子「うん、でね」と2人に校正記号を説明した表を配り
「これを作っておいたからこれ見ながら確認してもらえる?」
2人「はい」

おでんの提灯がさがる店
五反田(及川光博)「ですから僕の小説の挿絵を
どうしても描いて頂きたいんです…お願いします」
(長い沈黙)
五反田が下げた頭を上げる「…分かりました、諦めます
一度言ったら引かない方で有名ですからね花山さんは」
花山(唐沢寿明)「もう決めたんだ…今後出版に関わる一切を断ると」
五反田「そうですか…すみませんでした急にお呼び立てして」
花山「いいんだ、失業中でどうせ暇だからね」
酒を飲みおでんを食べる2人
五反田「…あっ、そういえば小橋常子君って覚えてますか?
一度内務省に挿絵を頂きに行った若い女性です」
花山「…ああ…あの裸足の」
五反田「ええ、ええ、あの子家族を養うためには
甲東の給金じゃ足りんと自分で出版社を作るそうです
何でも女の人の役に立つ雑誌が作りたいというので
妹さんたちも巻き込んで」
花山「どうしてそんな話を私に?」
五反田「いえ…他意はありません」

昭和二十一年七月

<雑誌を作ると決意した日から数か月がたち
ついに スタアの装ひ は完成したのです>

ちゃぶ台の上に積まれた雑誌を手に感慨深気な姉妹たち
鞠子「これが私たちの雑誌…」
美子「ついに出来たのね」
君子「よく頑張ったわね」
鞠子と美子が「やった~!」とはしゃぐ
常子「…喜ぶのはまだ早いわ
私たちはこれを目指してきた訳じゃないですからね
ここが始まりですから
これを売って次も作るの
お金さえあればもっと自分たちのやりたい事できるようになるから…
だから…頑張って売っていきましょう!」
妹たちがうなずく「はい」

甲東出版で雑誌を見せて評価してもらっている常子
「どうでしょうか?こちらで培った事を反映して作ったつもり…」
谷(山口智充)「気に入らないな」
常子「そんなに駄目でした?」
谷「いや…雑誌の事じゃない…この服だ」
常子「えっ?」
谷「破廉恥すぎるじゃないか、けしからん」
常子「ああ…あ~服の事は置いといてどうですかね?誌面構成とか…」
谷「それは…それはだね君…」(困っている様子)
五反田「要するに僕らはよく分からないんだよ」
常子「えっ?」
五反田「文芸誌一筋で…こういう雑誌を作った事がないから」
常子「ああ…」
谷「すまんな」
常子「あっ、いえ」
五反田「でも女の人らしいかわいげのある雑誌だと思うよ」

自宅に戻った常子に妹たちが駆け寄る「どうだった?」
常子「一応褒めて頂いたわよ、かわいげのある雑誌だって」
君子「あ~専門家が言うんなら安心よね」
鞠子「書店の方は?回っていいって?」
常子「あ~それが…書店に置くのは少し厳しそうなの
売れる確証がないと置かないんだって、実績重視みたい」
美子「じゃあどこで売るの?」
常子「場所代は高いけど叔父さんが見つけてくれた所」

どこかの闇市の古本屋の店先だろうか
小橋一家が通りの台の上に雑誌を並べて露店販売している
君子「さあさあお立ち会い!新雑誌スタアの装ひ!」
常子「スタアの装ひ入荷致しました!新発売です!
よかったらお手に取ってみて下さい」
鞠子「ちまたで話題のスタアの装ひたったの7円です!」
美子「いかがですか?スタアの装ひです」
と、立ち止まった女性が「7円なら買ってみましょうか1冊頂戴」と売れ
感激する3姉妹
美子「1冊売れた…」
鞠子「私の文章がお金になった…」
常子「よかった!」
君子「ほら、喜んでる暇はないわよ」
見るとたくさんの女性が雑誌を手に取って眺めている
そして次々に雑誌が売れていく

<この日売り出した スタアの装ひ は日が暮れる頃には
300冊全てが売り切れたのです>

夜、小橋家
鉄郎「すげえじゃねえか、完売したのか」
美子「そうよ」
鉄郎が「おお…おぉ~」と、ちゃぶ台の上の缶に入った金に手を伸ばす
その手をはたく美子
鉄郎「痛っ!何すんだよ!」
美子「あっ、ごめんなさい…盗られるかと思わず」
皆が笑う
鞠子「叔父さん信用ないから」
鉄郎「けっ!そんなはした金要らねえよ」
(一同)「え~!」
鞠子「叔父さんがお金に目もくれないなんて…」
常子「熱でもあるんですか?」
「俺は俺のビジネスで稼ぐから要らねえって言ってんだよ…」
と、リュックからデニムを取り出す鉄郎
君子「木綿のズボン?」
常子「何だか変わったズボンですね」
鞠子「随分と分厚い生地だし」
鉄郎「いいか?これはジーンズっていうんだよ」
(一同)「ジーンズ?」
鉄郎「うん、今進駐軍のPX(売店)からの横流し品として出回ってるんだ
もともと作業着として作られたものらしく丈夫で物がいい
こいつが必ず日本で大流行する日が来る間違いねえ!
これを売りさばいて大もうけしてやる」
鞠子「…私たちも負けてられないわ
雑誌をもっと刷ってもっと売りましょうよ」
鉄郎「俺もそれがいいと思うぞ、波が来てる時は攻めの一手だ」
常子「そうね…あっという間に売り切ったし…
今回が300部だったから次は500?」(ほくそ笑む)
鞠子「いや、1000部でしょ」
常子「1000部も刷って売れる?」
鞠子「私にはそのくらいの自信がある」(ドヤ顔)
鉄郎が「ほうほう…」と鞠子を見る
常子たちも同じだ
鞠子「何?その顔」
君子「鞠子ってそういう面もあったのね…意外と大胆なところ」
鞠子「そぉお?」
常子がうなずく
鉄郎「この調子なら次も売れんだろ
金持ちになんのも夢じゃねえぞ」
美子「お金持ちか…」

(美子の妄想)
長い膳の上には肉、卵、揚げ物、チキンなど
そしてすき焼きの鍋を2つも並べて肉を頬張り
口に手を当てて笑う美子「オ~ホッホッホッホッ」

(鞠子の妄想)
編集者「先生すばらしい 感動しました 直川賞決定ですよ」
おしとやかに微笑む鞠子「そうかしら…ホホホホホ…」

(常子の妄想)
「オ~ホッホッホッホッ」と口元の金歯が光る
扇を手に豪華な籐椅子に座り笑い続ける常子

鞠子「いいわねえ…」
美子「昔よりも想像力が豊かになった気がする」
常子「私あんまりいいの浮かばなかった…」
と、「フフフ…ウフフフフ!」とまだ妄想の世界にいる君子!

(君子の妄想)
舞踏会で使うような仮面を手にドレス姿で笑う君子「アッハハハハ!」
踊るように手を広げその場を回り続けて笑っている

「アハハアハハ…アハハハ!」と妄想から抜けきらない君子
常子「かか」
君子「えっ?」
皆が君子を見ている
君子「あ…何でもないわ…さあ1000部頑張って売り切りましょう!
(一同)「…はい!」と笑っている

<2週間後、常子たちは増刷した スタアの装ひ 1000部を担ぎ
闇市に繰り出しました>

常子「こんにちは」
男「お~あんたら待ってたよ」
君子「またお世話になります」
男「あ~いいからいいから
あの…売り場空けといたからすぐ置いてくれ」
常子「あ~すみませんあの…前回同様300部置かせて下さい
残りは他の書店を回ろうと思って」
男「うちにももっと置いてくれよ、すぐ売れちまうんだから」
君子「すみません、新宿や渋谷の闇市にも置こうって話し合ったんです」
男「そいつは残念だ」
と、何やら気になるものを見つけたような美子が場を離れる
販売の準備をする鞠子たち
鞠子「早く2冊目が作りたいわ」
常子「もう鞠ちゃん気が早いんだから」
鞠子「1冊作って創作意欲が更に湧いてきた」
常子「お~」
と、「とと姉ちゃん、ちょっとこれ見てよ」と
美子が隣の売店から呼ぶ声がする
その店に並べられているものを見て顔色を変える鞠子たち

<そこで目にしたのは驚くべき光景でした>

我が目を疑うといった表情の常子

(つづく)

今回も絶好調モードの鞠子を冷やかす家族の描写は幸せそうでいい
常子を見送る綾の笑顔も何だか良かった

五反田の「いえ…他意はありません」は
ドラマ的には他意があるという事だろう
花山が引きこもっている理由はなんとなくわかる
戦争のスローガンを作っていたのだから戦争責任というか
自責の念にでもかられているのかな
だから出版に関わらない事が自分への罰というか
戒めみたいなものだと思う
五反田の他意は強く生きている常子を花山に見せて
花山に立ち直ってほしいという事ではないだろうか?
あるいは常子を助けてやってほしいとも思っているかもしれない
自分の小説の挿絵の話は断られるのが最初から分かっていての口実で
本題は常子の事を花山の耳に入れたかったのではないだろうか?
だとしたら五反田ってかっこいい

雑誌はすぐに売れちゃったね、歯磨きの時と同じだ
あの時の売り上げは鉄郎の借金で取られちゃったから
今回の売り上げに手を伸ばした鉄郎が美子にはたかれたのは因果応報

妄想シーン後の美子が「昔よりも想像力が豊かに…」と言ったのは
41話の妄想シーンの事を言っているのだと思うが
あの時はスイーツばかり並んでいたのに今回は肉ばっかりだった
これは杉咲花の中華のCMのイメージも演出に影響したんじゃないかなw
(41話は根岸姫奈ちゃんだった)
常子の「私あんまりいいの浮かばなかった…」に笑った
あの金歯はないよね










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