2016年7月9日土曜日

とと姉ちゃん(84)事業に失敗する三姉妹…ピンチの常子に五反田は花山に相談しろと…

鞠子(相楽樹)「何よこれ…」 
君子(木村多江)がその店に置いてある雑誌を手に取る
「スタアの洋服…随分似た本ねぇ」 
鞠子「似てるんじゃないです…きっと真似したんです」 
君子「えっ?」 
常子たちの書店の男も来る「ああ、そうだろうね
売れたってうわさになった本はすぐ似たような本が出るから」 
君子「あら…」 
常子(高畑充希)「スタアファッション…スタアの着物…」 
鞠子「スタアの彩り…ファッションは装ひ…敵も考えるわね」 
美子(杉咲花)「これなんてひどいですよ」 
(一同)「装ひのスタア!?」 
常子「逆さにしただけじゃない」 
鞠子「もはや意味もわからない」 
君子「あ…真似されるなんて光栄じゃない?
こっちが元祖なんだもの自信持って売りましょ!」 
(3人)「はい」 

前回同様、通りで声を張り客を呼び込む常子たちだが
「ああ、似たようなの買ったからいいよ」
「7円?この前買ったのは4円だったよ!高いわねえ~」
などと言われてしまい途方に暮れる 

タイトル、主題歌イン 

<ひとつきたっても増刷したスタアの装ひは
僅かしか売れていませんでした>

小橋家
ちゃぶ台の上に積まれた在庫を数える姉妹
鞠子「全部で716冊…ほとんど残っちゃったね…」
君子「真似されちゃったから…最初は売れたんだもの」
常子「それだけじゃありません…私の管理の甘さのせいです」
君子「そんな…」
常子「安くしようと仙花紙を選んだのは私ですから」
「まさかこんなにボロボロになる紙だったとは…」
と、ページをめくる美子の手元から紙屑がぽろぽろと落ちる
美子「どうする?とと姉ちゃん」
常子「…悪評も立っちゃったし
2冊目を売るのは1冊目の時よりも大変だと思う」
鞠子「そんなに甘くなかったって事よね…
立ち止まるなら今しかないんじゃない?
次失敗したらお金…本当に無くなっちゃうよ」
一同が沈み込んでいると玄関を開けて帰ってきた鉄郎が
奥でリュックをとり「じゃあな」とすぐに出て行こうとする
常子「えっ、ちょ…待って待ってえっえっえっ?」
鞠子「どうしたんですか?突然」
鉄郎「すぐ舞鶴行かなきゃなんねえんだ
新しいビジネス始めるんでよ」
美子「えっえっジーンズは?こっちで一山当てるんでしょ?」
鉄郎「そのつもりだったんだけどよ…俺の方も失敗しちまった」
常子「えっ…」
鉄郎「仕入れのために大金払ったあとで
進駐軍の元締めがMPに捕まっちまってよ
はぁ~大もうけできそうだったのになぁ…くそっ」
在庫の雑誌を見る鉄郎「そいつも売れる時に
値引きしてでも売り尽した方がいいぞ…
今舞鶴は引き揚げ船の港としてにぎわってるらしい
そこで今度こそ一旗揚げてやる」
常子「叔父さんお金…」
鉄郎「金?」
常子「お借りした資金まだ返せてません」
鉄郎「いいよ、今返しちまったら次の本が作れなくなるだろ」
常子「でも…」
靴を履き立ち上がった鉄郎「常子、鞠子、美子…諦めねえでもう一度出せ
俺は当分東京には戻らねえ
俺のいるとこの本屋にも置かせてもらえるような雑誌…作ってくれ
見つけたらすぐさま電報打つから…な?」
(3姉妹)「はい…」
うつむき帽子のつばを深く下げた鉄郎が「達者でな」と玄関を出て行く
君子「気を付けて…」
美子「行っちゃった…」
寂しそうな目をする常子
鞠子「何だかんだ言っていないとさみしくなるね…」
美子「そうそう…この1年叔父さんがいてくれて心強かったわ」
君子「そうね…男の人がいるのといないのでは違ったのでしょうね」
まだ玄関に立ちつくしている常子に君子「常子?」
鞠子も常子に振り向く「どうしたの?」
家族に振り向きちゃぶ台の前に座る常子
「あと1冊…頑張ってみない?」
妹たちが常子を見つめる
常子「もう後はないけど…やるだけやってみよう」
顔を見合わせた鞠子と美子が笑顔になり常子に「うん」とうなずく
「うん」と笑顔でうなずき返す常子
君子も嬉しそうに笑っている「頑張りましょう、私も何でも手伝うからね」

闇市を歩く花山(唐沢寿明)が書店を見て立ち止まる

(回想・五反田のセリフ「あの子自分で出版社を作るそうです…
スタアの装ひ…だったかな」)

書店の前に立つ花山「なあ君」
男「いらっしゃい」
花山「スタアの装ひって本はあるか?」
「どこだったかな…」と男が足元に積まれてる本をどけて探す
花山「なぜそんな所に置いてある?」
男「いや~ちっとも売れなくて引き取ってもらおうと思ってね
値段は高いわ紙の質は悪いわで
すぐボロボロになっちゃうってうわさが広まっちゃってよ
まあそうなったらもう誰も買わないよ
あ、あったあった…あんた買うのか?」
花山「ああ」
男「7円だよ」

甲東出版
谷(山口智充)「そうか…そんなに売れ残ったのか」
常子「ええ…」
谷「あ…小橋君申し訳ない」(頭を下げる)
常子「えっ?」
谷「もう新しいやつを雇ってしまったんだよ」
自分がいた席を振り向く常子
そこに座る眼鏡をかけた若い男がバツが悪そうにうつむく
谷「だから君を受け入れる余裕が…」
慌てる常子「あっあっいやあの…そういう相談ではなく
2冊目を作る上で何か助言を頂けないかと」
「あっ、そういう事?」とほっとした顔をするがすぐに
「あっ、そういう事か…」と困り顔になる谷
常子「えっ?」
五反田(及川光博)「この前も言ったけど
女性向けの雑誌は僕らは詳しくないからね」
常子「何でもいいんです…何かありませんか?もう失敗できないんです」
谷「だが…女性目線の雑誌など皆目分からんのだよ」
相田や富樫も気持ちはあるが谷と同じ理由で力になれないようだ
常子「そうですか…」
何か心当たりのありそうな五反田の表情

甲東出版を後にして歩く常子を五反田が追いかけてくる
「常子君」
振り向く常子「あ…はい」
五反田「あの人に相談してみろよ」
常子「あの人?」
五反田「花山伊佐次…会った事あるだろ?」
常子「花山さん…あっ、内務省にいた方ですよね」
五反田「そう、その花山さん」
常子「私…あの人どうも苦手で…」
五反田「いや、まあ正直な人なんだよ」
常子「でも花山さんって挿絵を描く方ですよね?」
五反田「だけじゃない…あの人はもともと帝大新聞の編集長だったんだ」
常子(えっ?)
五反田「うちの編集長がへそを曲げるとやっかいだから
さっきは言わなかったんだけど花山さんってのは
絵も文章も編集の力量も業界じゃ有名だったんだぞ」
常子「へえ~」
五反田「だから宣伝標語で内務省からお呼びがかかったんだ」
常子「ああ…いやぁでもあの方はちょっと…」
五反田「確かに行動は自分本位だし発言は歯に衣着せぬので
傷つけられる事も多いよ、でもね
あの人の女性への目線は男性から女性を見た視点ではなく
どことなく女性側の視点で見ている気がするんだ」
常子「あの方がですか?」
常子「ああ、花山さんが書いた文章や挿絵なんかから
そんなにおいがするんだよなあ」
常子「ああ確かにあの方の挿絵は好きですけれど…」
五反田「きっと君の作ろうとしている雑誌をよりよくしてくれるはずだ
これ、訪ねてみてごらん」
と、連絡先が書いたメモを渡された常子「はい…」

自宅でスタアの装ひのページをめくる花山

引き出しから甲東出版の封筒を取り出す常子
その中にあるあの時花山が書いた家のイラストを取り出して眺める
そしてメモの花山伊佐次の文字を見つめ何かを心に決めたように宙を見る

(つづく)

このところイケイケモードだった鞠子が前回
1000部刷るべしとぶちあげたのが裏目に出たね…
大量の在庫を抱えて「立ち止まるなら今しかないんじゃ…」と
いつもの心配性で消極的な鞠ちゃんに戻っちゃったw

でも鉄郎にも励まされて常子の「あと1冊頑張ってみない?」に
鞠子と美子も納得してうなずいてたね、よかったよかった

君子はぼんやりしているようでいていつも楽天的で
沈みがちな娘たちをなんとか盛り上げようとしてるね
4人の中では一番メンタルが強いのかもしれない

鉄郎はもうずっと常子たちのそばにいると思っていたら出て行っちゃった
常子たちに資金を出して進駐軍の元締めにも大金払って
鉄郎は随分お金を持ってたんだね
歯磨きの時みたいに後から借金取りが来なけりゃいいけどw

大金持ちになりたいからと独立したのに困ったからって
アドバイスしてもらいに甲東に行っちゃいかんだろ常子w
まあこのへんはファンタジーなんだろうが谷たちは人が良い

五反田は熱心に常子に花山を薦めてくるね
常子と花山はこれからもずっとやり合うような間柄になるのだろうから
誰か間をとりもつような存在が必要だったのかもしれない(脚本的に)

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