2016年7月14日木曜日

とと姉ちゃん(88)ちゃぶ台まで直した花山は常子たちの雑誌作りを…

小橋家の天井裏でろうそくの明かりを頼りに「アイタタタ…」と呟きながら
腰をかがめて釘を打つ花山(唐沢寿明) 

タイトル、主題歌イン 

屋根から梯子で降りてくる花山が下にいる美子(杉咲花)に余った材料を渡す 
美子がそれを落とす 
花山「おいおい気を付けろ」 
美子「はい、すみません」 
花山「屋根裏の方も塞いどいたから」 
美子「ありがとうございます、助かりました」 
ため息をつき腰を伸ばした花山が茶の間に目をやる 
「なんて事だ…ちゃぶ台が傾いてる」 
ちゃぶ台を見て首をかしげる美子「言われるとそうですね…」 
美子の両肩を押さえて強引に振り向かせる花山 
「今まで気にならなかったのか!?」 
驚いた美子がやんわりと手をふりほどく「最近いろいろ忙しくて…」 
大工道具を持ち上げて素早く茶の間に上がる花山 
美子「えっ?」 
「これもやってしまおう」とちゃぶ台をひっくり返す花山 
美子「いいんですか?」 
花山「乗り掛かった舟だ」 
美子「ありがとうございます」
君子(木村多江)が盆を手に現れる
「白湯しかありませんけど休憩なさって下さい」
花山「結構、まだ終わってませんので」
美子「ちゃぶ台も直して下さるんだって」
君子「そんな…申し訳ないですよ」
花山「ついでですから」
君子「でも…では…せめてものお礼に夕飯ご一緒にいかがですか?」
花山「それも結構」
君子「ご遠慮なさらず」
花山「家で妻が用意してます、お気持ちだけで」
君子「そうですか…」
「私の事は放っておいて下さい」と作業を続ける花山
君子と美子が顔を見合わせる
リズム良く木槌でちゃぶ台の枠を叩き調整する花山
君子「やっぱりお上手ね」
美子「はい」
「はぁ…」と少し腰を伸ばし疲れた様子の花山が
部屋の机の上にたてかけられた常子の3つの目標を目にする
君子(美子に)「…そうそう鞠子どうしたって?」
美子「闇市でいろいろよくして下さる方がいて
今日もその方と一緒に雑誌を売ってくれるお店を探してます」
君子「そう…僅かでもその売り上げが我が家の収入源だからねえ…」
美子「次に出す雑誌はきっと売れるわ…
あの…何とかさんが手伝ってくれたら…」
君子「花山さん?」
「はい?」と思わず返事をする花山
君子と美子が花山の顔を見る
「はい…はい、はい、はい!」と誤魔化す花山
話に戻る美子「そう、その花山さんの力でスタアの装ひが
売れるようになるってとと姉ちゃん言ってたわ」
花山が困った顔でチラリと見る
君子「でも常子が昨日お断りされたって」
美子「ええ、でも絶対に諦めないって…」
何かを声に出さずに呟いていた花山が辛そうに目を閉じる
美子「だけど大丈夫かしら?
とと姉ちゃんの話を聞く限り偏屈そうな人のようだし…」
木槌を一度大きく叩く花山
君子と美子がその音に驚く

カバンの破れ目を見ながらしょんぼりと歩いて家に戻る常子(高畑充希)
「ただいま帰りました」と台所に入る
美子「どうだった?見つかった?小銭入れ」
常子「ううん、どこにもなかった」
美子「昨日歩いたとこ全部?」
常子「うん…明日は花山さんのお店に行ってみようと思います」
君子「そうねえ…」
と、「ごめんください」とせつに頼まれた大工がやってくるが
君子たち「大工さんならさっき…天井もちゃぶ台も直していってくれました…」
「はぁ~それあっしじゃねえけど直ったんなら万事めでたしめでたし
それじゃあ」と、大工が帰る
君子「どうも…」
美子「さっきまでいた大工さんって…」
「あああああああぁ~!」と奥から常子のただならぬ声が聞こえる
君子と美子が駆けつけると
机の前の常子「これ私が捜してた小銭入れ…」
君子「あ…さっきまでそこにはなかった気が…」
常子「さんざん捜したからこんな所にあるはずないのに…」
美子「えっ?じゃ、さっきの大工さんが置いていったの?」
振り向く常子「ねえ…よっちゃんその大工さんってどんな人だった?」
美子「いい人よ、ちょっと偉そうだったけど」
君子「はっきり物を言う人だったわねえ」
美子「すごく怒鳴られた」
常子「それ…きっと大工さんじゃない…花山さんだ!」
君子と美子「えっ!?」
常子「どうしようどうしよう…花山さんに直させたんですよね?」
美子「私…偏屈でおっかない不気味な顔って言っちゃったわ…」
君子「あ~っ!私が大工さんと勘違いしたから…」
常子「ちょっと…かか~!」
君子「どうしたもんじゃろ…」

自宅に戻る花山
玄関で三枝子(奥貫薫)が迎える「お疲れのようですね」
花山「ああ、さんざんな目に遭った…」と、来客がいる事に気が付く

部屋に入る花山「長澤!わざわざ出向いてくれたのか」
長澤「なかなか返事をくれんから待ちくたびれてな」
花山「すまない、近々連絡を取るつもりではいたんだ」

長澤の手土産の酒を飲む2人
長澤「事業の件、考えてくれたか?」
花山「無論」
長澤「学生時代優秀だったお前の事だ、すぐ戦力になると思う…
頼む!うちに来てくれ」(頭を下げる)
花山「そう言ってくれるのはありがたいよ
珈琲屋の上がりだけで家族3人暮らしていくのは実のところ厳しくてね」
長澤「じゃあ…来てくれるのか?」
花山「ああ、よろしく頼む!」(頭を下げる)
乾杯する2人

夜、机に向かいスタアの装ひのページをめくる花山
君子と美子の言葉や雑誌への熱い思いを語る常子を思い出す

小橋一家が揃って衣服を畳んでいる
「はぁ…」とため息をつく常子
君子「そんなに落胆しなくても…」
鞠子(相楽樹)「花山さんも許してくれるわよ」
常子「花山さんにはただでさえ印象がよくないの
雨漏り修繕させたとなると…あぁ…」
君子と美子が責任を感じたのかしょんぼりとする
だがそれでも常子は2人を恨めしそうに見ている
バツが悪そうに常子から目を逸らせる君子と美子

寝室に入る花山
三枝子が茜に子守歌を歌っている♬「可愛いやリンゴ…」
三枝子「やっと眠りました」
花山「随分痩せてるな」
三枝子「しかたありませんわ
毎日三食食べられる訳ではないですしずっとお芋ばかりですもの」
花山「寝ないのか?」
「玄米が少し手に入ったので瓶づきしておこうと
こんなでも暮らしは暮らしですから」と微笑む三枝子

闇市「新生マーケット」
とある店の店主(電灯のランプを台に並べている)に頭を下げる水田(伊藤淳史)
「なんとかお願いできないでしょうか!」
後ろに並ぶ鞠子と美子も頭を下げる「お願いします!」
店主「う~ん…分かったよ
水田さんの頼みだ、その額で雑誌置いていいよ」
水田「ありがとうございます!」
2人「ありがとうございます!」
鞠子が水田の右手を両手で握り「本当にありがとうございます!」
水田「いやいやそれほどの事じゃ…」
鞠子「本当に何とお礼を言ったらいいのか…」
水田が「当然です!」と、左手を鞠子の手に添える
笑顔で手をとりあい喜ぶ2人を見て何かに気付きうっすら微笑む美子

不安そうな顔で闇市を歩く常子
気が重い様子で花山の珈琲屋に入る「ごめんください」
関元(寺田農)「おや、また来たね」
常子「あの…花山さんは?」
関元「ああ、腰が痛いってね休んでる…マスター!常連さんだよ」
花山が裏の扉から辛そうに現れる「君か…」
常子「大丈夫ですか?あの…腰は…」
花山「大した事はない、ちょっと張っただけだ」
常子「やはり昨日は…」
花山「ああ、小銭入れを届けに行ったら
なぜか大工仕事をやるはめになった」
関元「?」
常子「やっぱり…申し訳ありませんでした!」(頭を下げる)
顔を上げる常子「…ありがとうございました…
母と妹が大変感謝しておりました」
2人の会話で事情を察したような関元
「え~…今日は…お詫びとお礼に伺っただけですので…失礼します!」
と逃げ出そうとする常子の背中に花山「手伝う事にした!」
振り向く常子「えっ?」
花山「雑誌の件だ!嫌ならいいぞ」
常子「えっ?でもどうして…」
花山「私が手伝わないと君ら家族は死んでしまう…
放っておけば1冊目のようなひどい雑誌を作るだろう
売れる訳がない!売れなきゃどうやって飯を食う?」
常子「でももう二度とペンは握らないって…」
花山「ゴチャゴチャ言うならやめるぞ」
常子「ああっ、ごめんなさいっ」
花山「私がペンを握る訳じゃない
実際に動くのは君たち3人
それに…次の号だけだ」
笑顔になる常子
花山「売れた分からそれなりの報酬は頂くぞ
私だって家族を養わねばならん」
常子「でも売れるかどうか…」
花山「必ず売れる!
…君の親孝行を少しだけ手伝ってやるだけだ」
嬉しそうにうなずく常子「はい、よろしくお願いします!」(そして頭を下げる)

(つづく)

花山の「なんて事だ…ちゃぶ台が傾いてる」に笑った
壁の額が傾いでいるだけでも気になる花山には大事(おおごと)なのだろう
「言われるとそうですね…」という美子の方がおかしいかもしれない
食卓が傾いているとすっごい気になるはずだからねっ!
花山の言う通り「今まで気にならなかったのか?」だ

前回、どうして常子が戻るよりも先に花山が来たんだろう?と思ったのだが
花山が来たのは財布を落とした翌日だったんだね
つまり前回ラストの常子は財布を落としたかもしれない場所を
巡っていたのかな

久しぶりに大ボケをかました君子が自分の勘違いに気付いて
「どうしたもんじゃろの…」と常子の決めゼリフをパクりボケを重ねてきたねw

衣服を畳んでいるシーンでもコントが続く
鞠子がとりなすのだが落胆を隠さない常子
美子の目の逸らし方が可愛かった

「こんなでも暮らしは暮らしですから」
三枝子のこのセリフの意味が解らない
こうやって書き起こすと貧しい暮らしを夫に愚痴っているみたいだが
そうではないと思う(微笑んでいるし)
三枝子は常子の訪問シーンでも気さくで無防備に描かれているし
内面が見えたのは86話で花山の筆入れを見つめるシーンぐらいだろうか
おそらく夫に本当に自分がしたい事…
文筆の仕事に戻ってほしいと思っているのだろう
今回、わからない事はもう一つあってどの時点で花山が
雑誌を手伝う事を決意したかなのだが
もしかしたらこの2つは繋がっているのだろうか?
そうでも考えないとこのセリフを解釈できないからだ
つまり三枝子のセリフが花山に決意させたという事
上手く説明できないが自分たちも常子たちも貧しいという事だろうか?
(常子の語る女性のための雑誌とは三枝子のような人間を
助けるためのものだと思ったからかもしれない)
そういえば三枝子は初登場の85話で
常子たちの事が気になると語っているのだが…

着々と鞠子と水田は親密になっていっているようだ
まずは美子がそれに感づいたが肝心の鞠子自身はどういう意識だろう
果たして水田を男性として見ているのだろうか?

ラストの常子の「ああっ、ごめんなさいっ」(低い声)は
どうでもいい事を適当に謝る時の常子の言い方だろっw





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