2016年7月19日火曜日

とと姉ちゃん(92)綾の職場を訪ねる常子だがそこは…~水田の事で悩んでいるような鞠子

家の中 
常子(高畑充希)「綾さんが…お金を貸してほしいと」 
君子(木村多江)「あら…」 
常子「よほどお困りだと思うんです
なんとかして少しだけでも工面してあげたいんですが」 
君子「あなたが働いて稼いだお金なのよ、好きに使っていいの」 
常子「はい、ありがとうございます」 

タイトル、主題歌イン 

紙袋を抱えた常子が綾の家を訪ねる 
常子「こんにちは」 
家の前でしゃがみタライで洗濯している登志子(中村久美)が振り向く
「常子さん」
常子「御無沙汰してます」
登志子「お久しぶり」
常子「あの…綾さんは?」
登志子「ああ…ごめんなさいね、今仕事でいないの」
常子「お仕事ですか…」
傍らに座る太一に話しかけた常子が紙袋からリンゴを取り出して渡す
登志子「そんな…悪いわ」
「いいんです、大したものではありませんから…よかったら」
と、登志子に紙袋を手渡す常子
登志子「ありがとう」
常子が太一の服が破れているのに目を留めると
登志子「また穴…
昔はこんなに穴が大きくなるまで放っておく子じゃなかったのよ」
常子「えっ?」
登志子「綾よ…
いくら貧しくても太一の着るものだけには気を遣う子だったのに」
常子「…綾さんはどこにお勤めなんですか?」
登志子「ああ…新橋の浪漫とかいう食堂で配膳をしていると聞いてるわ」
常子「食堂…」

知恵の輪を解きながら人混みを歩く花山(唐沢寿明)
壁に貼ってあるポスターが大きく曲がっているのに気が付く
「あ~きっちりしなさいきっちり」と言いながら
破れないように慎重に一度剥がしてから真っすぐに貼りなおす
「よし」と微笑んだ花山がポスターの文言に注視する
(来たれ受講生!洋裁知らぬは女の恥
今こそ女性に洋服を 日の出洋裁学校)

事務所でやかんを火にかける鞠子(相楽樹)
そこへ水田(伊藤淳史)が訪ねてくる「あれ?お一人ですか?」
鞠子「事務所番なんです
姉と美子は作家先生に原稿を取りに伺っていて
花山さんは…よく分かりません」
水田「花山さんというのは先日の…」
鞠子「ああ…そうです」
水田「あの時はすみませんでした…戸惑ってしまいうまく話せず…
以前はもう少し堂々と話せていたんですが…
軍隊で上官にしごかれまして
情けない話なんですが年上の男性と接するのがどうも…」
鞠子「…そうだったんですか
それなのに私たちのためにいろいろとありがとうございました」(頭を下げる)
水田「あっ、いえ…そういうつもりで言ったのでは…」
(少しの沈黙)
鞠子「あっ、先日何かお話があるって…」
水田「ああ…ええ
あの…僕をこちらで雇って頂けませんか?」
鞠子「…?」
水田「今、闇市で働いていますがいずれ閉鎖されるでしょうから
他の仕事を探していたんです
そしたら皆さんが新しい雑誌を作ると聞いて
しかも暮らしを豊かにする雑誌だって…」
鞠子「少しでもお役に立てれば…くらいですけど」
水田「細かい事は分かりませんがとてもいいなと思えたんです
今、世の中に必要な雑誌だと」
微笑む鞠子(水田に好意を持った感じ?)
水田「お願いできませんか?」
困ったような?恥ずかしそうな?表情でうつむく鞠子
火にかけたやかんから湯気が出ている

「浪漫…浪漫…」と呟きながら雑踏を歩く常子
(カフェー浪漫 疲れをとるなら當店へ)の看板を見上げる

<この時代のカフェは現代とは違い
女給の接待を目的とした社交場でした>

客を見送りに出てきた女給(梢・佐藤仁美)と目が合う常子
常子が目を逸らす
常子を見据えるように梢は店に入る
常子「ここな訳ないか…」
と、踵を返すが後ろから別の女給が客を送りに出てきた声がする
「今日はありがとうございました、またのお越しをお待ちしております」
振り向く常子、口紅を塗り綺麗な着物を着た綾(阿部純子)と目が合う
振り向いたままで静止する常子と気まずそうにうつむく綾

綾が店の裏口のような空間に常子を連れてくる
「どうなさったの?」
常子「ごめんなさい、お店にお金を届けようと思って」
顔をそむける綾「そう…」
常子「あ…あの…」
綾「心配かけてごめんなさい…だけど母と太一が生きていくためには
働かなくてはいけないの」
何度も何度もうなずく常子(綾を正視できない)
「あっ、」とカバンから封筒を取り出し
「これ少ないけどよかったら使って」と差し出す
「…ありがとう」と受け取る綾「必ず返します」
少し微笑む綾「稼げると思ってお店に入ったんだけど
思いの外チップも少なくてね
でも他に仕事も見つからなくて…」
「雅(みやび)さん!雅さん!」と男の店員が呼びにきてすぐにひっこむ
綾「フフフ…笑っちゃうでしょ?お店では雅なの」
首を振って笑う常子
綾「これありがとう」
常子「うん」

事務所で文章を書く常子
花山の言葉「戦争で一番ひどい目に遭ったのは庶民なんだ」と
お金を借りに来たやつれた綾を思い出す
鞠子もなんだか元気がない
美子(杉咲花)「2人ともどうかした?」
常子「ん?いや何も」
鞠子「ううん」
美子「あっ、目玉企画の事でしょ
いい加減花山さんから答えを頂かないと4月の出版には間に合わないわ」
常子「そうよね…」
「おはようございます」と出社して一礼する花山
3人「おはようございます」
鞠子「あっ、また遊んでらっしゃる」
知恵の輪を手に机に向かう花山「遊んでなどいない考えをまとめているんだ」
美子「知恵の輪でですか?」
花山「明確な答えを導き出せない時にこれをすると思考が整理される」
3人「え~」
花山「声を合わせるな、理解してもらおうとは思わん」
常子「という事は雑誌の企画の答えは
まだ見つかっていないという事ですよね?」
花山「案ずるな、これがほどける頃にはきっといいアイデアが…」
と、知恵の輪が解けてしまう!
常子「浮かびました?」
知恵の輪を机に投げる花山「それより頼んであった画材道具は?」
鞠子と美子「もう…」
常子「ごめんなさい、すぐに探しに行ってきます」
花山「おいおい…そんな頼まれ事、子どもでもできるぞ」
常子「すみません、ちょっと考え事をしていて」
花山「その場しのぎの言い訳は結構」
常子「あ…本当なんです
女学生時代の友人が働いていると聞いて行ってみたらそこがカフェーで…」
花山「ほう…」
美子「友人て?」
鞠子「ひょっとして綾さん?」
常子「うん…今お金に困ってるみたいでちょっと心配になってしまって」
花山「それでどうだった?」
常子「えっ?」
花山「格好だよ、カフェーに行ったんだろ?女給はどんな服を着ていた?」
常子「いや、会いには行きましたけどそんな店内までは…」
花山「友達には会ったんだろ?服は自前か?新品か?」
常子「私その子の事で頭がいっぱいで服を見る余裕なんてそんな…」
花山「なんて君は愚かなんだ!」
常子「えっ?」
花山「分からんのか?君は絶好の機会を無駄にしたんだぞ!」
常子「機会?」
花山「君は社長でもあるが編集者だ
どこにネタが転がっているかわからない
常に取材する気持ちで生きるべきだ!
この雑誌を届けたいのは
生活に困りすさんだ暮らしをしている全ての女性たちなんだ
友達がカフェーにいたのなら取材すべきだろう!」
常子「すみません」
花山「明日にでも彼女たちに話を聞いてきたまえ!」
常子「私がですか?できれば花山さんも一緒に…」
花山「私は洋裁学校に取材に行く事になっている」
(また知恵の輪を手に取り今度は結ぼうとする)
常子「えっ、でも私一人では…」
花山「暇な編集者がそこに2人いるだろう」
鞠子と美子が振り向く「えっ?」
2人を見て力なく笑う常子

カフェーの裏口に並ぶ3姉妹
今日はまだもんぺ姿の綾が戸を開ける「お待たせしてごめんなさいね」
常子「突然ごめんなさいね」
綾「ううん、少しでもお役に立てるなら」
常子「ありがとう」
「さあどうぞ」と綾に案内される3姉妹

綾が赤いカーテンを開ける
常子「失礼致します」
女たちが振り向く
そこは女給の待機室だろうか
まだ私服姿の女たちが食べたり遊んだり化粧したりしている
リーダー格らしい梢が口を開く「何だい?話って」
少しひるんだように梢たちを見つめる常子

(つづく)

水田がいつもおどおどしているのには理由があったんだね
「以前はもう少し堂々と…」と語っているから
もともと多少は気が弱い性格なのだろうが…

水田が新雑誌の趣旨に賛同してくれて鞠子は嬉しそうだったね
自分には水田に好意を持ったように見えた
このシーンのラストでアップになったやかんから湯気が出ているのは
2人の恋が熱くなっていくとか…そんな意味の演出かな

しかしその後、鞠子が悩んでいるようなのはどうした事だろう?
水田が鞠子に好意を持っているのは明らかだから恋の悩みではなく
水田が一緒に働きたいと言った事で悩んでいるのだと思うのだが
鞠子的には水田と共に働きたいがそのためには給料を支払わねばならず
資金繰りが苦しい常子に頼み難いという事なのかなあ?

知恵の輪は特に意味はなく普通のオチだったね
このシーンで3姉妹が超マイペースの花山に振り回されるのは
鉄郎との関係に似ていると思った

綾の「母と太一が生きていくためには…」が気になった
母と太一と…が普通だと思うのだがこれは
自分一人なら女給に身を落としてまで生きてはいないという意味だろうか?
あるいは一人なら他の仕事でも…という事かなあ

生活に困窮して女給をしている綾の源氏名が雅なのは秀逸
綾も自虐的に笑ってたね

綾は恥をしのんで金を無心に来たんだから簡単に妹たちに話すな常子w
しかもぞろぞろと取材に行くし…
まあでも綾は快く協力してくれたみたいだけど



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