2016年7月18日月曜日

とと姉ちゃん(91)新雑誌の編集長に就任し目玉企画を考えるはずの花山だが…

<終戦から1年以上たっても戦禍の荒廃からの復興は進まず
食べるものも着るものも手に入らない状況が続き
国民の生活は困窮を来しておりました> 

昭和二十一年十二月 

人でごった返す闇市を歩く常子(高畑充希)と花山(唐沢寿明) 
「我々が雑誌を届けたいのは今ここにいる我々と同じ庶民だ…
戦争で一番ひどい目に遭ったのは庶民なんだ」 
常子「ええ」 
女の声「何すんだい!?私が見てたもん横から取るんじゃないよ」 
常子が振り向くと女2人が何か品物(衣類かな)を引っ張り合っている 
女2「買うまではあんたのもんじゃないだろ!」 
女1「何だって?」 
女2「金もないくせにガタガタ言うんじゃないよ!」
横から女3が加わる「だったら私が頂くよ」 
女3人がもみ合いになり女1がはね飛ばされ転ぶ 
駆け寄る常子「大丈夫ですか?」 
女1「やだねえ…昔はこんなじゃなかった…
日本の女だよ…戦争で負けて変わっちまった
それに身なりへの気遣いもない
(品物を奪い合っている女たちは汚れ破れた衣服を身に着けている)
自分がどう思われようがどうでもいいみたいじゃないか
女である事を捨てちまったのかね」 
立ち上がりその場を去る女1の背中を見ている常子 
花山「まず戦うべきはこれかもしれんな」 
常子「戦う?」 
花山「我々は雑誌を通して暮らしを変えようとしているんだ
立派な戦いじゃないか」 
常子「ええ」 
花山「まずは衣服と戦わんか?」 
常子「賛成です…きれいなものを身に着けると少しだけでも
気持ちが豊かになるような気がするんです…
それができればこの国の暮らしぶりも変わるかもしれません」

甲東出版
谷(山口智充)「経営のヒントねえ…
結局読者はいかに魅力的な記事があるかどうかで雑誌を選ぶ
目玉企画に話題性があるかどうかが売り上げの鍵を握っているんだな
当たり前だけどな」
常子が笑顔でうなずく
書類を手に現れる五反田(及川光博)
「ほら、うちの帳簿と一号当たりの経費の内訳まとめておいたよ」
常子「あ~ありがとうございます」
五反田「どういたしまして」
谷「小橋君はいくつになったんだ?」
五反田「社長!レディーに年を聞くなんて…」
谷「あっ、これは失敬」
常子(笑っている)「いえ、今年で26になりました」
谷「26で社長か、それも女の身で…大したもんだなあ」
常子「いえ、肩書だけです」
(常子に顔を近づけてニコニコしている五反田に常子が笑ってしまう)
谷「先輩社長として一つ助言するとだな…」
常子「はい」
谷「接待だ何だと言って女の店に入り浸るようなろくでなしは雇わん方がいいぞ」
五反田「うん…?あっ…それは必要経費です…失敬」(と席を立つ)
常子「その辺はうちは大丈夫そうです、花山さん以外全員女ですから」
谷「そうか」
書類を見る常子「あ~やはり印刷代と紙代にお金がかかるんですねぇ~」

<常子たちはこれまでの蓄えに借金を加えて資金を作り
限られた予算の中で事務所を探していました>

不動産屋「銀座で焼け残ったビルなんて限られるよ
人形町辺りだったら…」
美子(杉咲花)「いえ銀座は譲れません、会社は銀座じゃないと」
鞠子(相楽樹)「よっちゃん、花山さんの言いなりになり過ぎよ」
美子「だって全国の人に売るには東京の中心に会社を構えろ…って
我々は無名な出版社だ、銀座に事務所があるというだけで
読者は信頼してくれるものさ…おっしゃる通りだと思うわ」
鞠子「だからって全部要求を聞く余裕はないんだから…」
美子「まり姉ちゃん花山さんの事が嫌いなの?」
鞠子「嫌いなんて言ってないわ無理すべきじゃないってだけ」
美子「でも…」

夜、小橋家
君子「そう、結局決まらなかったの…」
美子「はい、明日別のビルあたってみます」
鞠子「銀座は諦めようよ、事務所なんかどこでも…」
美子「そんなに不満なら直接花山さんに言ったら?」
鞠子「苦手なのよ…何言っても怒られそうで…よっちゃんから言って」
美子「嫌よ!私、花山さんに不満なんかないもの」
鞠子「じゃあ…とと姉から伝えてよ」
ノート(新しい事務所 家賃1200圓から1400圓
電気代95圓 水道代70圓 ガス代55圓 電話代180圓
花山さんのお給料1600圓 新しい机や椅子500圓 文具等消耗品費360圓)
を見ながらそろばんをはじく常子
「花山さんが銀座っておっしゃるなら私は従います…頂きます」(とお茶を飲む)
君子「すっかり社長の顔ねぇ」
常子「うん?」
君子「まさかあのおてんば常子が社長さんだなんて、ウフフ」
常子「フフッ、胸を張って社長とは言えません、早くも資金不足ですから」
君子「…そんなに厳しいの?」
常子「はい、4月までに雑誌を出さないとスタアの装ひで作った資金が
家賃や光熱費などの必要経費に消えていきます」
美子「だったらすぐにでも…」
常子「いい加減な本を出す方が苦しむ事になると思う」
鞠子「けど私たちは花山さんが創刊号の目玉企画を
思いつくのを待つしかないの?」
常子「でもお一人で考えたいそうだから…」

常子の回想
花山「何をすれば衣料品不足を解消できるのか考えてみようと思う
君は社長としていつでも出版できるよう準備をしてくれ」

常子「まずは新しい出版社の土台作りを進めましょう」

銀座でいい物件を見つける鞠子と美子
男「ただ家賃がねえ…希望は1300円だろ?こっちは1600円だから」
美子「そこはなんとかなりませんかね?」
男「駄目駄目これ以上安くならねえ」
美子「あぁ…」
鞠子「じゃあ…しかたないわね」
美子「まり姉ちゃん?」
男「よし決まりだ」
鞠子「ここはやめて昨日のビルにしましょう」
慌てる美子「え~ちょっとちょっと…」
鞠子「無理する事ないわ、昨日のお部屋の方が安かったし」(美子に目配せ)
理解する美子「あぁ~そうね、そうしましょう」(と、2人で部屋を出ようとする)
男「ちょっ…ちょっと待ちな…1500円」
2人がまた歩き出す
男「ま…ま…待ち…じゃあ間をとって…1400円でどうだ?」
顔を見合わせ笑った2人が男に駆け寄り頭を下げ「ありがとうございます!」
男「おい…まさか芝居だったんじゃないだろうな?」
とぼけた顔で手を横に振る2人「いえいえいえいえ…」

(一週間後)
事務机などを運び込む鞠子と美子に水田(伊藤淳史)
鞠子「すみませんお手伝い頂いて」
水田「あ~いえ、僕はやりたくてやってますから
しかし男手がいない中、準備するのも大変ですね」
鞠子「本当は1人いるんですけどすぐにどこかに行ってしまうので」
水田「いやあ闇市でいろいろ荷物抱えて歩いてたから
思わず気になって声かけちゃったんです」
鞠子「本当に助かります」(頭を下げる)
水田「あっ、いえいえ!そんなそんな!」
2人を笑って見ている美子
水田「あの…一つお話ししたい事が」
鞠子「えっ?何でしょう?」
水田「あの…実は…」
と、「おはようございます!」とダンボール箱を抱えた花山が現れる
その後ろには青い机を運ぶ2人の男
花山「その机はこの奥の部屋にね」
男たち「へい」
花山が水田に「誰だ?君は何なんだ」と尋ね
花山が恐いのか「何なんでしょう?僕」と訳のわからない事を言う水田
鞠子「あっ、この方は…」
花山「彼に聞いてるんだ!」
水田「僕は…あの…僕は…」
花山「はっきりしゃべりなさい!」
「あ~すみません!お…お…お邪魔しました!」と逃げ出す水田
美子「えっえっえっ?あっ!お話が…」
花山「何だ?あいつは」

常子「本当ですか?」
印刷所の男「女の社長なんか初めてだけど面白いじゃねえか
カラーの挿絵も多くて大変だけど頑張るよ」
常子「ありがとうございます」

小橋家 すいとんを作る4人
君子「これで一安心ね」
常子「ええ、いつ花山さんが目玉企画を決められても大丈夫です」
と、鞠子と美子に振り向き「ねっ?」
だが2人の様子に「うん?」となる常子
鞠子「ちゃんと考えて下さってるのかしら…」
美子「うん…」
君子「美子まで…どうかしたの?」
美子「いや花山さんここ数日、机を探していただけのようですし」
常子「えっ?」
美子「今日も机運び込んだら編集長室に閉じこもっちゃって…」
常子「それは…集中されてただけなんじゃない?」
鞠子と美子「いやぁ…」
鞠子「お白湯をお持ちしようと声をかけたのね
でも返事がなかったからのぞいたら…知恵の輪で遊んでたのよ」
常子「えっ?」
鞠子「それ見たら急に不安になっちゃって…
ず~っとやってたの、ず~っと…結局外れなかったし」
君子「それは…きっと何かお考えがあって…」
美子「私もそう思いたいんですが
どう見ても遊んでいるようにしか見えなくて…」
鞠子「目玉企画考えて下さってるのかしら…」
常子「さすがに遊んでるなんて事は…」
と、表で「ごめんください」と戸を叩く音がする

玄関を出る常子「あら、綾さん」
綾(阿部純子)「ご無沙汰ね」
常子「何だかお疲れね」
うつむく綾「ええ…食べてないだけ」
常子「いずこも同じね、よかったら入って」
綾「いや、ここでいいの…
少し…お金を貸してもらえないかしら?
家賃を値上げされて困ってるの…お願いします」(頭を下げる)
ショックなのか戸惑っているような表情の常子

(つづく)

五反田が常子に顔を近づけてニコニコしていたのはアドリブだろうか?
高畑の笑い方にそんな気がした
常子が退職してからはセクハラをやめてしまった五反田だが
今回は久しぶりにそれっぽい雰囲気だった

五反田の「レディー」に何か違和感があるなあ…と思ったら
ミッチー的にはベイべーと言ってほしかったよね
(それはさすがに真面目な視聴者から苦情がくるか)

花山への信頼度に美子と鞠子で温度差があるのはなぜだろう?
美子は小さい頃に父を亡くしているので
「ととの事もう思い出せないの」(56話)と語っているが
父を知らない美子は花山の中に父性のようなものを見ているのだろうか?
あるいは鞠子側の演出上の問題で
水田が花山を恐れ逃げ出すシーンがあったが
この2人の関係で鞠子が今後も水田を庇うポジションを作るために
鞠子は花山に対して批判的なのだろうか?
(まあ鞠子はいつでも冷静に人を批判するが…特に鉄郎を)

鞠子が水田の事をどう思っているのか早く本人の口から聞きたいのだが
水田が逃げ出したシーンではよく判らなかった
心配していたようだががっかりしたとまでは読み取れなかった
むしろ水田の話(もしかして鞠子に告白?)を聞きたそうだったのは美子だw
(美子「えっえっえっ?あっ!お話が…」)

花山の知恵の輪は何だろうね?
単純にインスピレーションを導き出すため…とかではないだろうから
ここはなるほど~と唸らせてくれるオチがあると思う

ラストの常子がショックの表情だったのは綾とは友達でいたいからかな?
お金の貸し借りは本当の友達とはしないほうがいいものね


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