2016年7月22日金曜日

とと姉ちゃん(95)そして創刊される「あなたの暮し」~とと姉ちゃんとかか兄ちゃん

花山(唐沢寿明)が次にもう一枚の紙片を常子(高畑充希)に渡す 
常子「この中のいくつかはすぐあなたの暮しに役立ち
この中のいくつかはすぐには役に立たないように見えて
やがていつの日かあなたの暮しを変えてしまうかもしれない
そんなふうにいつでもこの一冊はあなたの暮しによりそって息づいている」 
読み終えた常子が花山を見る 
花山「それを前書きとして載せたいんだが…」 
微笑んだ常子がうなずく「いいですね…それでは…」と紙を机に置き 
「雑誌のタイトルをこれにしてみませんか」と文字を指さす 
花山「あなたの暮し…?」 
常子「はい…社名も あなたの暮し出版 というのはいかがでしょう」
花山「…社長さんがいいなら従うまでだよ」 
常子「では調子に乗ってもう一つご相談が…
新聞に広告を載せようと思うんです」 
花山「相当な金が必要だぞ」 
常子「知名度のない雑誌だからこそお金をかける…
銀座にこだわった花山さんと同じです」 
少し微笑む花山「忙しくなるな」 
おや?という顔で常子が花山を見る 
花山「この雑誌は売れる!」 
微笑み確信した表情になった常子が「はい」とうなずく

タイトル、主題歌イン 

<4か月後、広告が新聞に掲載され「あなたの暮し」はついに発売されました>

昭和二十二年四月

早朝、玄関前で新聞が配達されるのを
そわそわと待ちかまえる君子(木村多江)
届けられた新聞に「あなたの暮し」の広告を確認して
「あ~あった!あったわよ!」と家の中に駆けこむ

事務所の入り口、「あなたの暮し出版」の看板

机に積まれた雑誌の山から1冊を手に取る美子(杉咲花)
「すてきな表紙よね…タイトルもいいわ」
常子「表紙は雑誌の顔だもの
印刷代はかかったけどカラーの色合いは納得するまで粘ったわ」
鞠子(相楽樹)「ねえ、新聞広告っていくらかかったの?」
常子「2,400円」
鞠子「2,400円!?そんなにお金かけて大丈夫なの?」
常子「私は花山さんを信じてる」
美子が「私も」とうなずく
鞠子「けど…広告出してからこれといって何もないよ」
吹き出す常子「発売日が今日なんだからまだ分からないわよ」
鞠子(歩き出して)「本屋さん行って売れてるか聞いてくる」
常子「嫌な顔されるのがオチよ、もう少し様子見てみましょ」
鞠子「けど何かしてないと落ち着かなくって…」
と、郵便配達員が来て大量の封書を事務所に届ける

<それは全国の読者から「あなたの暮し」の購入を依頼する郵便でした>

常子「ね?」
笑顔になった鞠子がうなずく
美子「すごい…」

<「あなたの暮し」は企業からの広告を一切載せず
編集長の花山が自分の美意識で全ての誌面を作り上げました>

闇市の露店に「あなたの暮し 創刊 五十圓」の貼り紙
雑誌が次々に売れていく

カフェー「浪漫」でも梢(佐藤仁美)たちが雑誌を囲む

甲東出版
谷(山口智充)が雑誌のページを指さす「おい、この写真!」
恥ずかしそうに笑う常子「はい、私と妹たちです
花山さんがそうしようって」
五反田(及川光博)「美しいっ」
谷「確かに君たちがモデルの方が親近感が出るな」
一同がうなずく
五反田「ふんだんに写真と挿絵を使ってるねぇ
こっちの方が断然、服の作り方も分かりやすい」
相田「俺でも作れそうだよ」
常子「あっ、是非作ってみて下さい」
相田「男の服が載る時が来たらね」
谷「おい!このページもカラーじゃないか」
相田「本当だ、誰にでも出来る暮しの工夫…か」
常子「お金はかかりますが花山さんが是非にと」
五反田「いやこれ、お金だけじゃなく相当な手間もかかってるね」
谷「今までこんなの見た事ない…不思議な雑誌だなあ…」
常子「それは…お褒め頂いてるんですか?」
谷「ああ、もちろん」
「よかった…」と笑う常子

<「あなたの暮し」の売り上げが伸びるにつれ直線裁ちの服はブームとなり
街なかに直線裁ちで作った服を着た女性が増えていきました>

仏壇に「あなたの暮し」を供え竹蔵の写真を手に取り眺める君子

事務所で全国の読者に発送する雑誌の梱包をする鞠子たち
「イテテテ…」と、ハサミを置く美子
君子「大丈夫?」
美子「朝から晩までずっと開封してたのでタコが出来ちゃって」
君子「あぁ…」
「ただいま帰りました」と常子が戻る
(一同)「お帰りなさい」
常子「すみません遅くなってしまって
為替の量が多くて思ったより時間がかかってしまって」
君子「そんなに売れてるの?」
常子「フフフ、あ…かかも手伝って下さってるんですか?」
君子「いいのいいの、本屋で買った時は売れてるかどうかもぅ心配だったの
ああ、よかった…」
常子「かか、ご自分で買われたんですか?」
君子「ええもちろん、私はあなたの暮しのファン第一号ですから、フフフフ」
美子「この調子なら目標だった1万部売れるかな?」
常子「ん~だいぶ現実味を帯びてきたと思う」
編集長室から花山が出てくる「目標は1万じゃないぞ
あなたの暮しがいずれ目指すのは100万部だ!」
鞠子「えっ、100万?」
常子「100万部ですか?」
花山「うん」
鞠子(家族に)「あの人も冗談言うのね」
美子「そのぐらいの気持ちで頑張れって事だと思う」
常子がうんうんとうなずく
君子(花山に)「どうしてそんなにお詳しいんですの?
服の事もそうですし随所に女性らしい視点をお持ちなのも不思議でぇ」
花山「…ああ…服に関しては母の影響ですかね
貧乏でしたがおしゃれが好きな人だったので私も自然に興味を持ち
高等学校辺りから衣装学の本を読んだり…」
常子「女性らしい視点は?」
花山「う~ん…それも母の影響だろうね
母が亡くなったのは私が中学の頃です
以来私は長兄として兄弟たちを食べさせ母の代わりをしてきました
その時にいつも母が生きていたらどうしただろうと考えて行動してきたんです」
美子「…かか兄ちゃんだ
父親代わりのお姉ちゃんはとと姉ちゃんでしょ?
母親代わりの兄はかか兄ちゃん」
君子「じゃあ常子がとと姉ちゃんで…」
鞠子「花山さんがかか兄ちゃん」
君子「アハハハハ!」
美子「何だかいい組み合わせね」
穏やか笑顔で花山を見る常子と痒そうな顔の花山「何がかか兄ちゃんだ」
(一同の笑い声)
と、日の出洋裁学校の小山内校長(ふせえり)が訪れ花山に
「宣伝になるから時間を割いたのに」と取材がボツになった事の苦情を言う
花山「あらかじめ言ったはずです
取材をした上でそちらの洋裁学校の記事は
うちの雑誌に載せるべきではないと判断しました」
常子が「ご迷惑をおかけしましたでしょうか」と間に入るが
小山内「あ…事務員は黙ってて下さる?」
常子「…」
さらに小山内「我が校の記事はまあ百歩譲るとしても
この直線裁ちは許せません!」
常子「直線裁ちの何がいけないんですか…」
小山内「事務員はお黙りなさい!」
常子「私は…」
小山内「洋裁の技術がいらないなんてうたわれてはたまったものじゃないの
あなたうちの学校を潰すおつもり?」
花山「高度な技術を必要とする洋裁を否定するつもりはありません
ですが世の中にはろくに生地も買えない、洋裁を学ぶ時間もない
しかししゃれた衣服は着たいと思っている人は多くいるんです
我々はそんな人たちのためにこの直線裁ちを紹介したのです」
小山内「それが商売の邪魔だと言ってるんです」
花山「そんな簡単におしゃれをするなと?
おしゃれをしたければあなた方に高い授業料を払い
はぎれを無駄にしながら高い生地を使えとおっしゃるんですか?
私たちが相手にしてるのは一般庶民なんだ
その人たちに洋服を紹介したいだけです」
小山内「綺麗事を…
本心ではあなたも雑誌を売って大儲けしたいだけじゃないのかしら?」
常子「そんな事ありません」
小山内「もうだからあなた…」
常子「この出版社の社長は私です!
苦情があるなら私におっしゃって下さい」
小山内「社長?…あなたが?…そう…ならばあなたに伺うわ
今後も直線裁ちを提唱して洋裁学校の営業を妨害するおつもり?」
常子「営業を妨害するつもりはありません
そして…余裕のない生活を送る方々に
洋服の作り方を届ける事をやめるつもりもありません」
花山が目を閉じてうなずく
君子たちが真っすぐに常子を見つめている
小山内「…そうですか…またお会いしましょう」と不敵に笑い去る
花山が笑い出す「洋裁学校があんなにムキになるという事は
それほどこの直線裁ちが脅威だという事だ」
美子「脅威ですか?」
花山「看過できぬほど直線裁ちはよいものだという事だよ」
常子「そう…そうですよね」
君子がうなずく(美子はうつむく)
新雑誌に因縁をつけられて小橋一家が少し沈んだ表情をしたのか
「ほらほら!暗いぞ!」と花山が手を叩く
鞠子と美子が「はい」と笑う
と、ノックの音がして今度は綾(阿部純子)が母と息子を伴い訪れる
綾(花山に)「先日はありがとうございました」
花山「ああ、いやいや…」(なぜか綾を見ないで雑誌を手に取る)
常子(君子と話す登志子の背中を見て)「お母様の洋服も?」
綾「ああ…私が作ったの」
常子「へえ~」
綾「作ってる間、よく母と会話が弾んだわ
何だか昔に戻ったみたいだった」
常子「そう…いいわね太一君もおそろいで」(登志子と同じ生地の服)
綾「そうなの…久しぶりに鏡を見て気付いたの
今までは生活に必死で穴が開いてた事にも気付けなかった
ゆとりが出来たのね
この服を着てから少し気持ちが楽になった気がするわ」
常子(嬉しそうに)「本当に?」
綾「いろいろありがとう」
常子がうなずく

<自分たちの作った雑誌が多くの女性を笑顔にする
常子はこの仕事のやりがいを改めて感じました>

幼い太一を見て一同が穏やかに笑っている(花山も)
太一を抱き上げあやす常子

(つづく)

発売初日に3姉妹の中で一番賢いはずの鞠子に落ち着きがない
心配症で臆病なところもある鞠子はそういえば
防空壕の中で爆音が響いた時も一番パニクっていたね
小心者でもあるが肝が据わっている常子との対比だろうか
あるいは花山を盲目的に信じきる単純な常子美子とは違い
物事の裏側を考えるような(稲子を組長のスパイだと疑った)
疑り深い鞠子はやっぱり賢くて
花山との距離感も2人とは違うという事なのか?

君子の「そんなに売れてるの?」に常子が「フフフ」と笑ったところが
地味に面白かった
甲東を辞める時に「大金持ちになれるかも」と言ったのを思い出す

花山の事を「かか兄ちゃん」と言ったのは美子だが
「とと姉ちゃん」とネーミングしたのも、まだ幼い美子だったね(6話)
美子はあだ名名人なのかも

小山内に「社長は私です!」とやっと言えたね常子w
これからどんどん逞しくなっていくのかな?
滝子の孫なんだから啖呵を切るようなシーンも観たい


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