2016年7月21日木曜日

とと姉ちゃん(94)創刊号の目玉企画は直線裁ちで作るお洋服!

畳に置いた布地を鋏で切る花山(唐沢寿明) 
常子(高畑充希)「型紙は使わないんですか?」 
美子(杉咲花)「これじゃまるで着物じゃないですか」 
「黙って見ていろ」と、鋏を入れおわった花山「よし」 
常子「これでおしまいですか?」 
花山「お母さん、ご協力願えますか?」 
君子(木村多江)「はい…?」 
よくわからない…といった顔の常子 

タイトル、主題歌イン 

君子がミシンを回している 
花山「まず2枚の布地を縫い合わせる
つながった布地を二つに折って
腕を通す分だけ余白を作って両脇を縫い合わせる」
作業が終わった君子「花山さん次は?」
花山「お母さんありがとうございます、これで出来上がりです」
怪訝な顔の常子たちと穏やかに微笑む花山

鞠子(相楽樹)「え~!」
美子「わぁ…」
君子「まあ…」
今作った洋服を着てみた常子が一同の前に立っている
花山「これが直線裁ちだ」
美子「直線裁ち?」
花山「うん、布を直線に切るだけなので
型紙も要らないし布地の無駄も出ない
一反の布地からワンピースなら3着分も作れる
布地を直線に縫うだけなので難しい技術もいらないし
夏物なら2時間もあれば完成する」
鞠子「すごい!」
美子「こんな便利な方法どうして今まで秘密にしてたんですか?」
花山「昨日思いついた
散髪をしている娘に新聞をかぶせていたのを見てね」
(一同)「へえ~」
花山「そもそも直線裁ちとは和服の作り方なんだ」
常子「ああ…確かに和服と同じように体の線にも沿い過ぎずに
ゆったりとしているのでとても着心地がいいです
それにこのひもで腰を結べば…(同じ布地から作ったもの)
くびれも出来て美しいシルエットになりますし日本人の体型に合ってますね」
君子「確かに…これなら私にも着られるわ、フフフ」」
娘たちが笑ってうなずく
「簡単でかつ無駄のないこの直線裁ちが
この国の衣服不足に役立つと思うんだ
和服で洋服を作るんだよ!」と言った花山が「ほら!」
と、畳の上に数枚のデザインのイラストを置く
それらを眺める一同
笑顔の常子「これで創刊号の目玉企画が決まりましたね」
イラストを手に君子「すばらしいわ」
鞠子「みんなあっと驚くわね」
美子「じゃあ試着品をたくさん作ってこの絵を雑誌に載せて…」
花山「愚か者!載せるのは絵ではなく写真だ!」
常子「写真?」
花山「写真記事も売りの一つにしようと考えている
視覚に訴えるべき…とは以前伝えたな?」(美子を指さす)
美子「はいっ」
花山「写真であれば明確に伝えていく事ができると思わないか?」
鞠子「確かに…」
常子「ですが…写真を載せるとなるとお金が…」
花山「それは君がなんとかする問題だ
金は雑誌が売れればいいだろう
売れない事を考えて作るやつがあるか」
常子(少し考えて)「…分かりましたっ」
花山「ではすぐにモデルを用意してくれ」
鞠子「モデル?」
花山「我々の服を着てもらい写真を撮る
この雑誌の顔になる存在だ!」
鞠子と美子「はい」
何かを思いつく常子「その前にこれを教えたい人がいるんですが…」

カフェー「浪漫」の控え室
常子が梢たちの前で直線裁ちを実演してみせている

<常子は綾たちに反物もしくは浴衣を持ってくるよう呼びかけたのです>

ファッションショーのようになる控え室
カーテンが開き洋服を着た女給が微笑む
(一同)「わぁ~」
弓子(寺島咲)「きれいねえ」
美子「この直線裁ちであれば1反の布地からワンピース1着ブラウス4着の
計5着の洋服を作る事ができるんです、そしたら洗濯だって…」
綾(阿部純子)「5着?」
艶子(谷澤恵里香)「いいわねえ弓子は」
弓子「えっ?」
艶子「あたいなんか縫ってもらおうにも余分の布地すらないよ」
梢(佐藤仁美)「私らだって…ねえ?」
美子「ご安心あれ実はこの方法、着物からでも作る事ができるんです」
(女給たち)「えっ?」
鞠子「着物をほどいて作れば1枚の着物から3着の洋服が作れます」
さくら(森絵梨佳)「すごいじゃない!本当なの?」
常子「もちろん、試してみます?」
さくら「是非!これで頼みます」(着物を差し出す)
お蝶(早織)「私も頼むよ」
常子「はい」
綾「私も…お願い」
常子「はい」
艶子「あたいは…この浴衣しかない(着ている浴衣を見る)
しかたない…脱ぐからすぐにやっとくれよ」
一同が「ちょっとちょっと!」と艶子を止める
美子「男の方もいますから…」
一同が入口の外に立っている花山を見る
ススーッと廊下に隠れる花山…

それぞれに出来上がった洋服を着る女給たち
梢「今日は疲れているだろうからこれくらいにして
残った布地の分はまた今度」
常子「あっ、皆さんあの…これからはご自分で…」
梢「あぁ、そうだね」
と、一同が笑う
さくら「これだったら私たちにも作れそうだもの」
鞠子「そのための直線裁ちですから」
弓子「同じ着物で店に出なくて済みますね」
お蝶「臭いの心配もなくなるよ」
艶子「これでどんどんお客がつくねえ!」
梢「艶子はどうだろう…」
艶子「そんなぁ…」
常子たちに礼を言う梢「ありがとうね、こんな便利な事教えてくれて」
常子「いえ」
「早速お店に出よう」と女給たちが部屋を出て行く
綾「どう?似合ってるかしら?」
常子「うん、とっても」
綾「こんなに晴れやかな気持ちになったの本当に久しぶりだわ」
常子「私も…そんな綾さんの顔見られたの久々だわ」
綾「…何だかね、忘れてはいけない事だと思ったわ
どんなに惨めでもおしゃれしたいって気持ちだけは
常子「うん…どんなに悲しくても…うん
むしろそんな時こそおしゃれしたいって思えればきっとほら
明日をもっと明るくしてやろうって思えるんじゃないかしら」
常子の言葉を背中で聞いている花山
綾「うん…ありがとう」
鞠子と美子も嬉しそうだ
常子「ぁ…すみません花山さん随分時間を…すぐにモデル探ししてきます」
花山「いや、その必要はなくなったぞ」
常子「えっ?」

事務所で三脚のついたカメラの後ろに立つ花山
「じゃあいくぞ!はい!」
暮らしの部屋を模したようなテーブルのセットで
直線裁ちの洋服を着てポーズをとる3姉妹と綾
真面目な顔でポットを持つだけの常子
カップを持つ綾は笑顔が引きつっている
戸惑いおどおどしているだけの鞠子(一番酷い)
表情はやや硬いが背筋を伸ばしカメラを見る美子(一番まし…というか合格点?)
花山「ほら、もっと自然に笑って」
貼り付いたような笑みを浮かべる常子
花山「もっと自然にだ!」
ため息をつく花山「一回止めよう…
多少は覚悟していたがこれは素人以下だぞ」
美子「すみません」
綾「あの…本当に私たちでいいんでしょうか?」
花山「何だ?おじけづいたのか?
我々が作る雑誌は庶民のための雑誌だ
雑誌を手に取ってもらっても写真に写るモデルが
明らかに自分の住む世界と違う人だったら
着ている服に共感してもらえないだろう
市井の人間が着てこそ直線裁ちの服のよさは伝わるってもんだ」
常子「そのとおりだとは思うのですが顔がこわばってしまって」(頬を手でほぐす)
花山「それは君たちの問題だ、どうすればうまく笑える?笑えぇ」(脅かす感じ)
鞠子「それができたらとっくにやってます」
美子「ただアガっているだけです時間がたてば…」
腕時計を見る花山「もう2時間だぞ、いつなんだ?その時は、ねえお母さん!」
君子「えっ?」
立ち上がり娘たちに頬を引き伸ばすようなジェスチャーをする君子
と、「失礼します」と紙袋を抱えた水田(伊藤淳史)が現れる
「あ、水田さん」とセットを離れようとする鞠子に花山
「動くな!まだ終わってないぞ」
鞠子「すみません…」
花山「君…水田というのか」
水田「あっ、はい!」
花山「何しに来た?撮影中だぞ」
水田「いや、えっと僕…」
花山「撮影の邪魔をしないでくれ」
言葉が出なくなる水田と心配そうな鞠子
「ほら集中しろ集中!」と花山が撮影を続ける
君子の隣に腰かける水田
君子「あ…水田さん、いつもお世話になっております」
水田「え?あっ、ええと…」
君子「あっ、常子鞠子美子の母です」
「え~っ!鞠子さんのお母さん…」と慌てて立ち上がった水田が
紙袋のリンゴを部屋にぶちまける
「ごめんなさい!すみませんすみません!」
「私の言葉が聞こえなかったのか?」とキレそうな花山だが
常子たちが水田を見て笑っているのに気付き「おおいいぞ」とカメラを覗く
花山「君、水田君といったな?」
水田「はい」
花山「今日のところは感謝する」
水田「へっ?」
「いいぞそのまま…そのままでいいぞ!」と撮影を続けながら
水田に「踊りたまえ」と指示する花山
明るい笑顔でポーズをとり写真に収められる3姉妹と綾

<こうして創刊号の目玉企画である直線裁ちの記事が完成しました>

月が出ている夜の街並み
鞠子と紙袋を抱えた水田が歩いている
水田「今日はごめんなさい、すっ転んでしまって」
鞠子「いえ…おかげで緊張が解けたのでよかったです」
水田「そう言って頂けると救われます」
鞠子「けどうちで働きたい気持ちをまだ持っていて下さるのなら
もっと有能なところを売り込んでいかないと」
水田「はぁ…そうですよね」
落ち込んだのか足が止まってしまった水田に振り向く鞠子
水田の顔をのぞき込み「もっとしっかりして下さいね」と微笑む
笑顔になり「はい」と答える水田とうなずく鞠子
少し先から美子が声をかける(横に君子)「まり姉ちゃん!何してるの?」
鞠子「あっ、はぁい」と歩き出す2人

事務所に残りそろばんをはじく常子

創刊號支出見積り
紙代 18500圓
印刷費 23000圓
製本費 17500圓
寫眞代 23000圓
謝禮・原稿料 20000圓
宣傳費 20000圓
参考資料費 3000圓
商品購入費 10000圓

編集長室で筆を使い水彩でイラストを描く花山

完成したのか「常子さん、いいかい?」と声をかける
「はい」と編集長室に入る常子
「どうかな?」と花山が常子にイラストを手渡す
箪笥のような物入れと生活雑貨、それにイスや傘や鏡もある
生活感のあふれたそのイラストを眺める常子「かわいらしい…」
花山「これを表紙にしてみないか?」
常子が花山を見る
花山「驚くのは分かる、女性誌の表紙なら普通
きれいな女の人の写真かイラストだからね、だが…」
常子「いいですね花山さん…
私たちが目指す豊かな暮らしがここにあるような気がします」
柄にもなく少し照れたように微笑む花山「ならば結構」
イラストにHのイニシャルを入れる花山
常子が嬉しそうに微笑む

<常子と花山が目指した庶民の暮らしを少しでもよくするための雑誌が
いよいよ完成を迎えます>

(つづく)

「…この絵を雑誌に載せて…」と言っただけで
「愚か者!」と花山に罵倒された美子だが
ファザコンの美子にはこういう感じがたまらなく嬉しいのだろうか?

梢の「今日はこれくらいにして~残りはまた今度」に笑った
常子も言い難そうにだが「これからはご自分で…」ってよく言えた
頑張ったね常子
梢みたいなのには逆らいにくいからw

モデルのシーンの最初で美子が比較的ましだったのは
末っ子で要領がいい設定だからなんだろうか?
運動音痴の鞠子は体を使う事が苦手なのだろう

君子が「常子鞠子美子の母…」と言ったのに
「鞠子さんのお母さん…」と驚いて返す水田はバレバレ
まあ君子はどうせ美子あたりから話を聞いて知っているだろうが

鞠子と水田の2人のシーンは水田が出来の悪い弟のようだった
気が小さい水田は鞠子の母性本能をくすぐるのだろうか?

あの事務所には社長室はないけど編集長室はあるんだ(狭いけど)
まあ常子より花山の方が偉いもんねw


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