2016年7月23日土曜日

とと姉ちゃん(96)さらに売り上げを伸ばすために講座を企画する常子だが…

<和服で洋服を作る直線裁ちは戦後の物資不足に悩む女性たちの間で
ブームとなりました 
そして「あなたの暮し」創刊号は雑誌を使い捨てにはしないという
花山の考えに基づき増刷を始めました> 

印刷所前 
「増刷分です、ありがとうございました」と、支払いをする常子(高畑充希) 
雑誌が山のように積まれたリヤカーを引き歩き出す 

<常子は社長としてもっと売れる雑誌にするにはどうすればよいのか
その事で頭をいっぱいにしておりました> 

タイトル、主題歌イン 

ビルの外壁に取り付けられた看板
「当ビル2階 あなたの暮し出版」

「ただいま帰りました」と常子が戻る
(一同)「お帰りなさい」
常子「お~まだまだ注文来そうですね」
君子(木村多江)「そうね、今日は100通来たわよ」
長机の上には大量の封書が積まれている
鞠子(相楽樹)「このところずっと為替の整理と雑誌の発注ばっかり」
美子(杉咲花)「早く次号に取りかかりたいな」
常子「作った雑誌を売るのも立派な仕事よ」
美子「フフフフ」
常子「花山さんは?」
君子「お部屋にいらっしゃるわ」

編集長室
常子「今度、講座を開いてみませんか?」
読んでいる本に目を落としたままの花山(唐沢寿明)「講座?」
常子「はい、希望者を集めて
直線裁ちでの洋服の作り方を花山さんが直接指導するんです」
花山「感心はしないな、直線裁ちの作り方なら雑誌で十分に伝えてある
なぜ講座が必要だと思うんだ?」
常子「お金と話題のためです」
「ほう…」と本から目を上げて常子を見る花山
常子「新聞広告は効果てきめんでした
そこで講座を開いてまた新聞の記事にしてもらえれば
読者が増えると思ったんです
それに講座の受講料が入れば次号をより充実させられるかと」
花山「…社長は君だ、任せるよ」

毎活新聞社
男「我が社と共同開催で?」
常子「はい、私どもこういう雑誌を出しておりまして…」
男があなたの暮しのページをめくる
「ああ…近頃こういう洋服を着ている女性増えてますよね
ああ…あなたのお召し物も」
常子「あっ、そうなんです
この直線裁ちの講座を開けば反響が期待できると思うんです」

<こうして新聞社との共同開催で講座を開く事が決まり
新聞に受講者を募集する広告が載る事になりました
すると、その反響はすぐに現れたのです>
(4月27日 毎活新聞東京本社 受講料100円)

机の上に積まれた葉書
美子「これ全部?」
常子「そう、受講希望者」
鞠子「けど、どうするの?私もよっちゃんも雑誌の発送で手いっぱいだよ」
美子「それに講座の準備もしなくちゃならないし」
常子「大丈夫、臨時でお手伝いをお願いしたから」

机の前に水田(伊藤淳史)が座っている
常子「突然お願いしてすみません」
水田「いえ、少しでも力になれるのでしたら」
後ろの長机に座る鞠子がぎこちなく会釈する
それを美子が笑って見ている
常子「こちらが受講を希望する方々からの葉書です」
水田「返信を書けばいいんですよね?」
常子「ええ、でも定員を超える応募が1度の配達でありましたので
その中から先着120名の方に当選のお知らせ
それ以外に落選のお知らせを送って頂けますか?」
水田「はい、お任せあれ」
作業を始めた水田を後ろから鞠子が心配そうに覗いている

小橋家
美子「講座では実際に受講者全員に直線裁ちを作って頂くんでしょ?」
常子「そうね、だから会場にハサミやミシンも用意しないとね」
美子「うん」
君子「何だか楽しそうねぇ」
美子「はい、とっても…あっ、そうだ
同じような形の服ばかり見本で作るのもつまらないから
少し違う形も作ってみたら…」
常子「えっ、どんな?」
「見てみて、ちょっと描くから」とちゃぶ台で描き始める美子
台所に立った君子が隣の部屋の鞠子に声をかける「どうかした?」
机に肘をつき物憂げな表情だった鞠子が振り向く「えっ?…いえ何も…」
「本当に?」と鞠子の後ろに君子が座る
鞠子「あ~…あの…かかはととにイライラしたりする事はなかったですか?」
君子「えぇっ?」
鞠子「だから…何だか気になったり心配になったりだとか」
君子「そりゃあお出掛けに行く時だとか心配になる事もあったけど
イライラする事はなかったと思うわ」
鞠子「そうですよね…」
君子「それが何?」
鞠子「実は…水田さんの事がよく分からないんです」
君子「分からないって?」
鞠子「見ていると失敗するんじゃないかって何だかハラハラして
心配で目が離せないんです
それに何か失敗して情けない顔見ているとすごくイライラして
つい怒ってしまったり…
まるで子どもを見ているお母さんになったような気分で…
男の人をこんなふうに考えた事がなかったので戸惑ってしまって…」
君子「それは…そういう事だと思うわ」
鞠子「どういう事ですか?」
君子「水田さんに恋をしてるって事なんじゃない?」
鞠子「ええっ?違いますよ!」
君子「私とととの事を聞くっていう事は
あなたも水田さんをそういうふうに見ているって事だと思うわ」
鞠子「え~…でも私はハンサムな方が好きですし
ただ放っておけないというだけで…」
君子「人を想う気持ちはいろいろあるのよ」
鞠子「違いますよ…違いますって…」
泣き出しそうな鞠子と幸せそうに笑う君子

<そして直線裁ち講座当日…>

入口の案内看板を見て揚々と会場入りする常子
君子はミシンの前に座り鞠子と水田は机や椅子を設置している
部屋の一角の2体のマネキンの前に立つ美子に花山が声をかける
「それは君が工夫したのか?」
美子「はい、同じような服ばかりだとつまらないと思ったので」
花山がマネキンに着せたアレンジされた直線裁ちの服を見て
「うん、確かにな…面白い試みだ」
立ち去る花山と嬉しそうに微笑む美子
君子と常子もそれを見て笑顔になる

鞠子「あの…水田さん…今日もお手伝いありがとうございます」
水田「ああ…いえそんな、これくらい…」
鞠子「お仕事忙しいのにすみません」
水田「いやいやいいんです、僕が好きでやってますから」

と、新聞社の男(文化部の堀内)も現れ
午前の部の講座が始まる時間になったがなぜか受講者は現れない

<それは午後の部になっても同様で…>

常子「どうして…」
鞠子「水田さん、まさか住所を間違えて送ったんじゃ…」
水田「いえ、そんなはずは…
確かに僕はドジですが間違えずに書いたはずです」
常子「送る前に私も確認したから」
君子「どういう事かしら…」
美子「誰も来ないなんて…」
と、日の出洋裁学校の小山内(ふせえり)がこの前のように
お供の女を2人連れて会場に現れ「誰もいない」と笑って帰っていく
花山「おそらく彼女の仕業だな
講座を妨害するために大量の葉書を一度に出して
席を押さえたんじゃないか?」
鞠子「そんな…」
美子「自分たちの学校を守るために
こんなにひどい事をしたっていうんですか?」
常子「私お話ししてきます…」(小山内を追いかけようとする)
花山「無駄だよ」
常子「ですが…」
花山「洋裁学校にとって洋裁の知識を要さない直線裁ちが
ブームになる事は死活問題だ、必死だったんだろ
皆食うに困れば何にでもなる、非難する事はできん
恨むならこの時代を恨め…
常子さん、社長として今後の糧にしなさい…
少し舞い上がっていたんじゃないか?
欲をかいては足をすくわれるぞ」
常子「…」
花山(皆に振り向き)「今日は帰ろう」と、会場を後にする
堀内に謝罪する常子「申し訳ありませんでした
いろいろご準備頂いたのに…」
堀内「まあ…いや…」
皆に振り向く常子「みんなも…本当にごめんなさい」
鞠子と水田が首を振る
残念そうにうつむく美子
笑顔を作る君子「さあ…片づけましょう」
と、頭を下げたままの常子の肩に手を置き「常子」
顔を上げた常子「はい」

<常子たちは商売の厳しさを思い知らされたのでした>

廊下を歩く花山が足を止め辛そうに頭を垂れる

口を結んだまま口惜しそうな表情の常子

(つづく)

今回は売れ行き好調な雑誌も増刷され
常子は社長として次の一手を放ち花山もそれを了承し
鞠子の恋も美子の花山への思慕も全てがうまく向かう中で
花山の言葉通り最後に「足をすくわれた」

しかし花山の「舞い上がっていたんじゃないか?
欲をかいては…」は言い過ぎだと思った
そもそも小山内に恨みをかったのは花山だしw
直線裁ちを潰したいという動機もあるようだが
講座を妨害したくらいでは影響はないに等しいだろうし
常子にとっては小さなつまずきに過ぎないだろう
来週は「常子、花山と断絶する」らしいから
その前フリ的なエピソードなのかな?

鞠子はまだ水田を男性として意識している自覚がなかったのかっ!
常子以上に恋愛音痴という事なのかな?







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