2016年8月9日火曜日

とと姉ちゃん(110)らいてうに執筆してもらうため奮闘する鞠子~考えは変わるもの

花山(唐沢寿明)「確かに平塚らいてうの原稿を掲載できたら光栄な事だな」 
常子(高畑充希)「ええ」 
花山「常子さん、早速君が担当としてやってくれ」 
常子「いや…鞠子に任せたいです」 
鞠子(相楽樹)「…?」 
常子「担当はその作家さんの事を一番よく知る人物がなるべきだと思います
鞠子は誰よりも平塚先生の作品をよく読み感銘を受け
自分でも先生に関する随筆などを書いてきました
うちで一番担当にふさわしいのは鞠子以外考えられません」 
花山「うん…分かった…だがそう簡単に事は進まんぞ
うわさによれば平塚先生は信頼している編集者としか仕事をしないらしい」
島倉「それって…」 
扇田「今回みたいな急な依頼なんて…」 
花山「恐らく受けてはくれんだろう」 
水田(伊藤淳史)「え~…」 
花山「編集者のもとに足を運び熱意を見せてようやく
話を聞いてくれるかどうか…だろうな」 
何かを心に決めたような鞠子 

タイトル、主題歌イン 

乙葉出版前 
建物から出てくる若松(平塚らいてう担当編集者・モロ師岡)
「何度も言ってるように原稿の依頼なら今は無理だよ」
若松を追う鞠子「お願いします若松さん
私どもは今までとても平塚先生のお言葉に力づけられてきました
ですから今回は是非うちの雑誌の読者にも
平塚先生のお言葉で力を与えて頂けないかと」
若松「電話でも言っただろう、新規の依頼は受けてないんだ
今持っている依頼だけで先生は手いっぱいなんだ」
鞠子「では平塚先生のお住まいを教えて頂けませんか?
直接お願いに上がります」
若松「何を言ってるんだ君は!
仕事の依頼は私に一任されてるんだよ!…ったく」(と立ち去る)

あなたの暮し社
緑(悠木千帆)「鞠子さん、まだ戻りませんね」
美子(杉咲花)「まだ会えてないのかなあ…」
鞠子が心配なのか立ちつくす水田
常子「水田さん、鞠ちゃんなら大丈夫ですよ」

乙葉出版前で若松の帰りを待っている鞠子
戻ってきた若松に駆け寄る
若松「君…まだいたのか」
鞠子「もう一度お話を聞いて下さい」
若松「話しても無駄だよ、受けられないんだから」

夜、自室でらいてうへの手紙を書いている鞠子

<それからも連日、鞠子は若松のもとを訪ねました>

「これだけでも平塚先生に…」と手紙を渡そうとする鞠子
若松「もう勘弁してくれよ」

雨の降る夜
出版社前のいつもの場所でずぶ濡れになり若松を待つ鞠子
建物から出てきた若松に会釈する
若松「この雨の中ずっと待ってたのか」
鞠子「お願いします!お話だけでもさせて頂けませんか?
どうしても平塚先生に執筆をお願いしたいんです」
若松「…話だけは通しておく…それでいいだろう?」
鞠子「本当ですか?」
若松「こっちへ上がんなさい(と建物のポーチに手招きする)
受けるかどうかは先生次第だ
俺はこういう話があったと伝えるだけだ」
鞠子「分かりました、では平塚先生にこれをお渡し願えますか?」
(と手紙と大きな茶封筒を渡す)
若松「分かったよ」
鞠子「ありがとうございます!」
若松「タオルと傘を貸そう、編集部まで来なさい」

花山「そうか担当者が折れたか!」
鞠子「はい、平塚先生からのお返事がないとまだ何とも言えませんが」
花山「だがまずは大きな第一歩だ、ご苦労さま」
鞠子「えっ?」
花山「何だ?何を驚いてる?」
鞠子「花山さんが珍しく労って下さるから…」
常子も笑っている
花山「うわさを聞く限り偏屈な編集者らしい…相当骨が折れたろう」
鞠子「苦労はしましたけど
とと姉が花山さんに編集長をお願いした時の話と比べれば…」
鞠子と常子が顔を見合わせて笑う
花山「鞠子さん、君は今私の事を偏屈だと暗に言っているのかな?」
鞠子「いえ、そんな事…一度も思った事ありません」
花山「本当か!?」

編集部で電話を受け住所をメモする常子「…すぐ伺わせて頂きます
はい…はいありがとうございます」
受話器を置いた常子「鞠ちゃん、今すぐ出られる?」
鞠子「大丈夫だけど…(と、嬉しそうに立ち上がり)もしかして…」
笑顔の常子「平塚先生が会って下さるって」(とメモを渡す)
鞠子「本当!?」
水田「えっ」
緑「すごいじゃないですか」
扇田「鞠子さんが粘ったかいがありましたね!」
島倉「うちの雑誌に平塚らいてうが載るのか…」
常子「それはちょっとまだ分からないんです」
(一同)「…?」
常子「担当の方いわく、直接会って依頼の詳細を聞きたいって…」
美子「じゃあ平塚先生が原稿を書いて下さるかどうかは
これからの交渉次第?」
常子「ええ」
(一同)「…」
鞠子「ご安心下さい皆さん、必ず平塚先生を説得してまいります」

メモの住所を頼りに一軒の民家に辿り着く鞠子
玄関上には「オクムラ ヒラツカ」の文字
しゃがんで植木の手入れをしている女に鞠子が声をかける
「あの…こちらは…」
「はい」と振り向いて立ち上がった女の顔を見て鞠子が大きく口を開けて驚く
「平塚先生…でいらっしゃいますね…?」
らいてう(真野響子)「そうですが」
鞠子「あ…すみません…あの…私は…」
らいてう「もしかしてあなたの暮し出版の?」
鞠子「はい…小橋鞠子と申します
本日は先生に執筆のお願いに伺いました」
らいてう「まあまあ、こんなところではなんですからどうぞお上がりになって」

鞠子「私、先生に私淑し自分も作家になりたいと大学にも進学して
出版の世界に入りました」
らいてう「まあそうでしたの…」
鞠子「ですから今回、私たちの作っている雑誌に寄稿して頂ける事になれば
どれだけ光栄な事か…
ただ個人的な思いで執筆をお願いしているのではありません
私が青鞜を読んで感銘を受けたように
先生が語りかけて下さるひと言ひと言を
私たちの読者の方々にも届けたいと思っております
…どうかわたしたちの雑誌に寄稿して頂けないでしょうか?
(と座布団をはずし深く頭を下げ)お願い致します!」
らいてう「執筆致しますよ」
驚いて顔を上げる鞠子
らいてう「あなたの暮しを以前から読ませてもらっていてね
私の方こそ是非寄稿させて頂きたいと思ったの
若松さんにはそうお伝えしたはずなんだけど…
あの方人の話をちゃんと聞かないから」
ほっとして笑顔になる鞠子「そうだったのですか…」
らいてう「それで…題材はどんなものがいいかしら?」
座ったまま少し前に出て鞠子「元始、女性は実に太陽であった」
らいてうが鞠子を見つめる
鞠子「私はあの文を読んで身が震えるほどの感動を覚えました
女性は本来太陽のように自らの力で生き自ら輝きを放っていた
それが今はどうだ…と力強く叱咤され励まされました」
らいてうがうなずく
鞠子「私よりももっと若い読者に
私が味わったような感動を覚えてもらいたいです
戦後の今の時世だからこそ女性が堂々と社会進出を果たせるような
勇気を持てるようなお言葉を執筆して頂けないでしょうか?」
鞠子の話を微笑んで聞いていたらいてうだが
最後まで聞いて少しため息をつき「それはどうかしら」
鞠子「…?」
らいてう「そんな文章はあなた方の雑誌にはふさわしくないのではなくって?」
鞠子「…」
らいてう「私が読者ならこの雑誌にそんな言葉は求めないわ
明日の暮らしがよくなる知恵や考えが欲しいもの
私がずっと書きたいと思っていた事があるのだけど…」
鞠子「はい…?」
らいてう「夏に食べたくなるお汁粉の作り方と
それにまつわる随筆はどうかしら」

風が吹いて涼しい音をたてる風鈴

鞠子「お汁粉…?」
らいてう「母がもともと得意でね、私も教えてもらったの
うちの子もみんな好きで先人の知恵が詰まったお汁粉なのよ
いかが?」
鞠子「…」
らいてう「納得してないようね」
鞠子「…失礼を承知で申し上げます
平塚先生が執筆して下さるのがお汁粉の作り方と随筆だなんて…」
らいてう「もう少し前ならあなたの提案に乗っていたでしょうね
でも…戦争が終わった今は…違うわ
私にも娘と息子ができて育てなければならなかった
戦時中は息子を戦地に行かせたくないという思いでいっぱいだった
それからようやく戦争が終わって
必死に生き延びねばならない時代が続いたでしょう?
戦争があった事で私も大きく変わったの
女性の問題も大切だけれど何よりも平和が一番
甘いお汁粉で幸せになれるような平和な日常があってこそ
女性が権利を主張できるのではないかしら…
私もね考えが変わったの」
鞠子「考えが…変わった…」
らいてう「そう…考えは変わるものなのよ
そうじゃなきゃ生きていけないわ
それに…それってとてもよい事なのよ」
らいてうの言葉を聞いている鞠子

<らいてうの言葉は鞠子の心に大きく響きました>

水槽で泳ぐ2匹の金魚

(つづく)

常子がらいてうの担当を言い出しっぺの鞠子に譲ったのはもちろん
東堂の助言に従って鞠子に何かをやり遂げたという実感を
味あわせてあげたいからだろうが
今週のヒロインの座を譲った事ともリンクしているようで面白いと思った

そのヒロイン鞠子なのだが今回はいろいろと酷い
嘘と不自然な行動ばかりが目立つのだ

まず最初に若松に断られると
「では平塚先生のお住まいを教えて頂けませんか?
直接お願いに上がります」
こんな事を言ったら相手が怒るのは当たり前
若松の存在を完全否定してしまっているのだから

さらに雨の中ポーチに入らずわざとびしょ濡れになる鞠子!
あざとすぎて自分が若松だったらドン引きするけどねw
らいてうに話を通す約束をして「タオルと傘を貸そう、編集部まで来なさい」
なんて若松は偏屈者どころかお人好しの人格者だ

花山「鞠子さん、君は今私の事を偏屈だと暗に言っているのかな?」
鞠子「いえ、そんな事…一度も思った事ありません」
まあこの嘘はギャグみたいなものだから許せるけどw

「私、先生に私淑し自分も作家になりたいと大学にも進学して
出版の世界に入りました」
この嘘はいただけない…
出版の世界に入ったのは常子に引っ張られたからだろ
(常子が出版に入ったのもキャラメルの包みの新聞紙を見てたまたま)
常子がもし、また歯磨き粉作ろうぜ!って言ってたら
それをやってるに違いないんだから

そして本人も「失礼を承知で…」と前置きしているが
「平塚先生が執筆して下さるのがお汁粉の作り方と随筆だなんて…」
これは酷すぎる…失礼すぎる
らいてうが怒り出すんじゃないかと思ってハラハラしたわw

と、ここまで書いてなんだかおかしい…こんなの鞠子じゃない…と思えてきた
これではまるで常子だ
らいてうに会いに行く時の
「ご安心下さい皆さん、必ず平塚先生を説得してまいります」も常子っぽい
まるでヒロインの座と一緒に常子のキャラまで貰ったかのようだ…
やはり朝ドラヒロインは出鱈目でめちゃくちゃに行動力があって
根拠のない自信を持ち合わせていないといけないのだろうか?

真野さんのらいてうは穏やかで品があって良かった









0 件のコメント:

コメントを投稿