2016年8月16日火曜日

とと姉ちゃん(116)商品試験を発案し仕事に邁進する常子

常子(高畑充希)「あ…ねえ、おうちの人はいる?」 
玄関のドアが開き「何か御用ですか?」と婦人が顔を出す 
常子「あ…お母様ですか?」 
婦人「いえ、私は手伝いの者で」 
常子「そうですか…あっ、あの…私
あなたの暮しという雑誌の小橋と申します 
台所を取材させて頂ければと思ったのですが」 
婦人「ああ…今は旦那さんが留守なもので勝手な事は…」 
常子「そうですか…無理言ってすみません」 
と、青葉が「あっ!」と声を上げるので 
見ると青葉の白い洋服が赤く汚れている 
婦人「ああ…こんなになっちゃって…」 
大樹「僕、悪くないよ」 
婦人「怒ったりしませんよ、水で傘の色が落ちちゃったのね
全くひどいもん売りつけて…」 
青葉「汚れちゃった…」 
婦人「かわいそうにね、お気に入りの洋服だったのに…
中でふきましょう、ねっ、(常子に)失礼します、すみません」 
婦人と子どもたちは家の中へと入る 
本木「今日は戻ろうか?」 
常子「ええ」 

『星野』の表札 

タイトル、主題歌イン 

常子たちが戻るとちょうど、美子が新しい黄色のミシンを試運転させるのだが
ミシンの針が飛んで寿美子(趣里)が目の下を切ってしまう
花山(唐沢寿明)「危うく目が傷つくところじゃないか!」

電話をかけている花山「君が責任者なのか?はっきりと言いなさい!
用件ならさっき電話に出た者に伝えただろ!
君の会社で販売しているミシンの事だ…あれは欠陥商品だろ?
危うく失明するところだったんだぞ!
担当に代わるって君は担当じゃないのか?おい!」
美子が寿美子を手当てして常子たちも心配そうに見守る
花山が「話にならん!」と受話器を置く
水田(伊藤淳史)「とんだ粗悪品だったな」
緑(悠木千帆)「最近の製品はそんなのばっかりね」
「危なかった、しばらくミシン触るのも嫌だ」
常子の頭の中に前回の花山の言葉
(あなたの暮しが読者に提供すべき知識は何なのか…)
粗悪品のミシン…
青葉の服を汚した赤い傘…
常子「試験をしましょう!」
花山が常子を見る
ドタドタと部屋の奥に走った常子がボード(黒板)に『商品試験』と書く
そして皆に振り向き「あなたの暮しで商品の試験をするの」
美子(杉咲花)「商品を試験?」
常子「物が出回ってきた時代だけどその反面
あのミシンのような粗悪品もたくさんあります
そんな粗悪品を買わされる消費者のためにもいろいろな商品を実験して
その商品のいいところと悪いところを伝えてはどうかと思うんです」
緑「でもそういう実験ならもうメーカーの方でやっているのでは?」
常子「…メーカーの検査をうのみにしてもいいんでしょうか?
その検査が正しければあのミシンのような事は起こらないと思います」
扇田「確かに…」
常子「私たちがこの手で実際に品質を確かめて
その結果を伝える事が大切だと思うんです
それにほら…うちは広告を載せていませんからどこに気兼ねする事もなく
公正な目で見て真実だけを伝える事ができます」
水田「そうか…そうですよね、いろいろありましたけど
あの一件以降広告を載せずにやってきましたもんね」
美子「ええ」
常子「これは私たちだからこそできる事だと思うの
花山さん、この商品試験はこれからのあなたの暮しが
読者に提供すべき大切な情報だと思うんです」
黙って腕を組み話を聞いていた花山「洪水のようだと思わないか?」
松永「はい?」
花山「好景気で物があふれだした世の中がだよ…
大量生産された商品はまるで洪水のように私たちに襲いかかってくる」
寿美子「洪水のように…ですか?」
花山「しかし(と立ち上がり歩き出す)全ての商品が幸せを運んでくれはしない
あのミシンのように…
だからこそ、このアイデアはすばらしい!」(と常子が書いたボードを叩く)
一同から安堵の笑い声が漏れる
常子も会心の笑顔だ
花山「やるからには常子さんの言うとおりただの商品紹介ではなく世間に対し
危ないものはこれだ…と教えるものにしよう!」
常子「はい!」
花山「全て実名を出し問題のある商品は
どこが危険なのかを読者に届けよう!」
(一同)「はい!」
花山「早速企画会議を始める」
(一同)「えっ?」
花山「何から取り上げるべきだ?衣料か?食品か?ほら早く言いなさい!」
一同が慌てて立ち上がりメモを手に会議用の長机に集まる
美子「日用品とか…日用品」
「日用品?」
美子「私たちも手探りで始める企画ですのでまずは手に取りやすい
身近なものがいいのではないかと」
本木「だったら石けんはどうですか?
こないだ嫁が買った石けんが粗悪品で肌荒れを起こしたんです」
常子「いいかもしれません
老若男女問わず日常で接するものですし
毎日の暮らしに欠かせないものです」
花山「よし、第1回の商品試験は石けんにしよう」
(一同)「はい」
水田「いや…しかし我々だけで調べるには限界があるんじゃないでしょうか」
松永「石けんの成分なんかはメーカーに問い合わせて
聞けばいいんじゃないですか?」
花山「駄目だ!それでは広告を入れるのと同じ事になってしまう
成分などの分析は民間の検査機関に頼もう
我々がすべき事は使い勝手や使い心地等の試験と検証だな
それを視覚的にも読者に深く訴えかけるものにしなければ」
常子「はい」
美子「汚れの落ち具合を試験前と後で比較してみるのはどうでしょう?」
本木「ほならええ写真撮りまっせ」
(笑い声)
常子「お願いします」
「石けんは国内メーカーに限るのはどうでしょうか?」
花山「よし、早速明日から取りかかろう」
(一同)「はい!」

風呂上りのたまきの髪をふく鞠子(相楽樹)「へえ~商品試験?」
水田「うん、これは多分すごい企画になると思うな
おかあさんにも社内の熱気を見せてあげたかったよ」
鞠子「私に?」
水田「そう、花山さんも興奮した様子でさぁ」
たまき「たまきも見たかった!」
水田「おっ、そうか!たまきも大きくなったらお父さんの会社入るか?」
たまき「入る入る!」
水田「入るか、ハハハ…じゃあ一緒に働くか」

宗吉夫婦に最新号を届ける常子
「今回も監修して頂きありがとうございました」(美子と2人で頭を下げる)
宗吉(ピエール瀧)「ああ…ああ…ああ…それよりわざわざ来るの大変だろう
取りに行くのに…」
常子「いいんです、お世話になった方に自分の手で配りに行くのは
私の中の決め事ですから」
宗吉「ふ~ん、決め事ねえ」
美子が店の奥をチラチラと覗いている
宗吉「ん?美子、何やってんだ?」
美子「ああ…いえ何も」
宗吉「あっ…ハハハハ…タイショウならな、もう帰ったぞ」
「ええっ!」と奥に向かった美子が出てきたコックとぶつかりそうになる
コック・南大昭(上杉柊平)「お~!」
美子「南さん…」
南「どうかした?」
宗吉を見る美子「えっ?」
宗吉「ハハハ!引っ掛かってやんの」(と美子を指さす)
照代(平岩紙)「ウフフフフ!」

<美子はキッチン森田屋に勤める南大昭(ひろあき)と
交際を始めたばかりでした>

南「大将、仕込み終わりました」
宗吉「お~そうか、ご苦労タイショウ」
南「タイショウやめて下さいって大将」
宗吉「いいじゃねえかよ、おめえの名前音読みすればタイショウだろ?」
南「紛らわしくて」
宗吉「うっせえな俺はな、お前の腕を見込んでゆくゆくはこの店の
大将にしようと思ってんだ、今から慣れとけタイショウ」
南「はあ………常子さんどうも」
常子「こんばんは」
美子「もう終わりですか?」
南「ああ、あとは仕込みだけだったから」
美子「ああ…そうなの」
常子「よっちゃん今日もう終わっていいわよ」
美子「えっ、でも…」
常子「新しい企画も動き出すしたまには羽伸ばしてらっしゃい」
南を見て微笑む美子「はい」
照代「羽伸ばすんだったらたまには外で食べてきたら?」
美子「えっ?」
宗吉「おいおい、飯だったら俺が…」
照代「ここじゃできない話もあるでしょ?ねえ?」
美子「そんな事ありません…」
南「じゃあそうします…勉強にもなるし(美子に)着替えてくる」
美子「うん」
「じゃあ私失礼しますね、ごゆっくり」と常子が帰っていく
宗吉「はあ…あとは常子だけだな」
照代「どこかにいい人いるといいけど」
宗吉「うん…」
美子「う~ん…いい人がいたとしても
とと姉ちゃんにその気がなさそうですから」
宗吉「どうしたもんじゃろのぉ」
照代「…もんじゃろのぉ…フフフフ」
美子「どうしたもんじゃろのぉ…」

小橋家に飾られた鞠子の結婚写真と鞠子・たまき・水田の3ショット写真
君子(木村多江)「それじゃあ南さんとうまくいってるのね」
常子「それはそれは仲むつまじく」
君子「フフフフ、そう…でもコックさんとおつきあいするとは
食いしん坊の美子らしいわね」
常子「そうですね、フフフフ」
君子「どんな方なの?南さんって
ほら私…お会いした事ないから」
常子「あ~そうですね…男らしくて芯のある方ですかね」
君子「あら」
常子「私も森田屋さんでしかお会いした事ないですけど
よっちゃんを引っ張っていって下さっている気がします」
君子「そうなのね…ハハハハハ!」
台所の卓に石けんを置きノートに何かを書き込む常子
君子がそれをのぞき込む
常子「あ…商品を試験する企画を始めるんです…まずは石けんで
その参考になればとうちの石けんの事もメモしておこうと思って」
(とメモを続ける)
君子「お仕事楽しい?」
常子が君子を見る
君子「私の頃はみんな…常子のようにやりたい事を仕事にするなんて
考えはなかったからどんな気持ちなのかなと思って」
常子「そうですね…苦労はありますけど…今はただ純粋に楽しいです」
君子「そう…フフフフ」

ボードの前で一同に説明する花山「石けんの商品試験は汚れの落ち具合、
溶け具合、肌荒れ、香り、包装、泡立ち、以上6つの項目で比較し評価する
作業工程はそれぞれ手分けしてやってもらう事になるがまずは扇田君」
扇田「はい」
花山「石けん液の中で布を洗う係を頼む」
扇田「分かりました」
花山「美子さんはその布をよく絞って水けを切り
そのあとはしわがないようにしっかり広げて干してくれ」
美子「はい」
花山「布が完全に乾いたらその香りを調査するんだ」
(一同)「はい」

<こうして花山の指示のもと商品試験がついに始まったのです>

(つづく)

前回、常子が「かわいいね、その赤い傘」とわざわざ言ったので
赤い傘に何か意味でもあるのかな?と思っていたらまさか色落ちするとは!
だから目立ちやすい赤がよかったというだけの事かな
それにしても水で色落ちする傘なんてありえないだろw

ミシン怖いわ!
あんな体験したら一生、ミシン見るたびに思い出すよね
前回、古いミシンを壊してしまった寿美子はミシンに祟られた?

美子の恋愛はもう始まっていたのか
出会いからやるのかと思っていたがナレであっさり説明されてしまったw
ちょっとかわいそう…

あの時代で結婚もしないで仕事を続ける常子の事を
周囲の人たちはどう思っているのか?
ずっと気になっていたが今週はそのあたりもテーマのようだ
星野の再登場とも関連しているのだろう
宗吉夫婦と美子は「どうしたもんじゃろのぉ」と嘆き
君子は「お仕事楽しい?」と娘に訊ねる
君子は星野との別れの経緯も知っているはずだ(常子は家族を選んだ)
だから口が裂けても常子に「早く結婚しろ」などとは言えないだろう
君子自身、親に結婚を強いられて駆け落ちした人だし…



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