2016年8月19日金曜日

とと姉ちゃん(119)自前の実験室を設ける「あなたの暮し出版」~本格的な商品試験の第1弾は歯ブラシ

青葉を背負い大樹を連れた星野(坂口健太郎)と常子(高畑充希)が夜道を行く 
常子「森田屋さんはね卵焼きもおいしいんだよ」 
大樹「食べたい」 
常子「ねっ」 
自宅に到着して礼を言う星野「常子さん、今日はお世話になりました」 
常子「いえ」 
そして「あっ…」とバッグから手帳を取り出し「お洋服の事…」 
星野「ああ、いけない…本末転倒になるところでした」 
「いくつか書いておきましたので」と常子が洋服店の所在を記したメモを渡す 
星野「ありがとうございます」 
常子「以前そこで姪の洋服を購入した事があるんです
そのお店のものでしたらきっと青葉ちゃんも喜んでくれると思います」
星野「どうもすみません」
常子「これからも何かお力になれる事がありましたら
何でもおっしゃって下さいね」
「ありがとうございます…あっ、僕も何か常子さんのお力になれる事があれば…」
と星野が胸ポケットから名刺を取り出し常子に渡す
名刺(総務課係長)を見る常子「光和医薬品社…」
星野「堅い社名ですが医薬品だけではなく
洗剤などの日用品も取り扱っているので
常子さんのお仕事のお役に立てる事があるかもしれません」
常子「ありがとうございます」
大樹「また今度遊びに来てね」
常子「うん、またね」(そして星野の背で眠る青葉に)「青葉ちゃんもまたね」
星野「では」
常子「では」
星野たちが入っていった家を見て幸せそうな笑顔の常子

昭和三十年十一月

<11月、常子たちはビルの1階に商品試験を行うための実験室を設けました>

社員たちが引っ越し作業をする中をたまきが駆けまわる
父の水田(伊藤淳史)と追いかけっこのようになり常子に助けを求めるたまき
「とと姉おばちゃん助けて!」
常子「はいはいはい、とと姉おばちゃんですよ~」
美子(杉咲花)「とと姉おばちゃん…ってととなのか姉なのか
おばちゃんなのか分からないわね」
寿美子(趣里)「本当ですね」
常子(たまきに)「いい子にしてたら後でおやつ買ってあげるからね」
たまき「食べたいけど…」
常子「うん」
たまき「お口虫歯になっちゃって痛いの」
常子「そうなの?」
鞠子(相楽樹)「たまき、大事なお荷物たくさんあるからもうやめようね」
たまき「は~い」
水田に抱き上げられたたまき「ねえお父さんこれ何?」
水田「これはね顕微鏡っていって小さいものを見る時に使うんだよ」
たまき「じゃあこれは?」
水田「これ?これはね天秤っていって重さを量れるんだ」
花山(唐沢寿明)「好奇心旺盛なじゃじゃ馬だな、どっかの誰かにそっくりだ」
鞠子「そうなんです」
常子「何か言いました?」
「誰か私の事を呼んだかな?」と花山がどこかへ行く
笑う常子「花山さん…」

実験室を見渡す鞠子「たった4人から始まったのに大きくなっちゃって」
美子「ん~そうねえ」
鞠子「けどこんなに大きなところの社長だなんて
ますますとと姉に男の方が近づきにくくなるんだろうな」
美子「フフフ!それは言える、星野さんもそういう方じゃないしな~」
鞠子「星野さんって?」
ハッとなる美子「そうなのよ、あの星野さんがね今東京にお住まいなの」
鞠子「えっ?」
美子「とと姉ちゃんがひょっこり再会して…
ご結婚なさったんだけど奥さんがご病気で亡くなられて
今は一人で2人のお子さんを育ててるみたい」
鞠子「そう…星野さん…」
美子「とと姉ちゃんも再会できてうれしそうだったわよ」

夜、黒板を設置する水田「花山さんこれでいいですか?」
花山「うん、いい感じだな」
水田「やっと片づいた」
大きく手をたたく常子「皆さんちょっと集まって下さい」
「はい」と集まった一同に常子
「え~本当に皆さんのおかげです、ご苦労さまでした」
「とんでもないです」
寿美子「ここでこれからたくさんの試験が行われるんですね」
「うん、そうだよな」
「新企画の門出を祝ってみんなで乾杯でもしませんか?」と言う扇田に
一同が盛り上がるが
花山「その前に聞いてほしい事がある
我々は何にも邪魔されない完全な試験スペースを手に入れた
ここで商品試験を行い、その結果を誌面で発表する
先日のようにメーカーの名前が発表できないなどという事は
もう二度とあってはならない
今夜は我が社始まって以来の一大計画の幕開けだ」
(一同)「はい!」
花山「私はいずれ電化製品を扱っていく必要があると考えている」
美子「電化製品の実験ですか?」
花山「ああ、洗濯機や冷蔵庫掃除機…家庭電化時代が間もなくやって来る
これから間違いなくこの3つは進化を遂げ
安価でごく普通の家庭でも手が届くようになる
どんな性能がありどこのメーカーのものが優れ
どこのメーカーのものが買うべき価値のないものなのか
実際に私たちがあちこちのメーカーから出ている電化製品を
買いそろえて使ってみてその答えを示したい
これは人々の暮らしを守るための戦いであり我々の使命なんだ」
緑(悠木千帆)「やっぱり何だかすごい事が始まるんですね」
常子「ええ」
一同が目を輝かせる
「お言葉ですが…」と神妙な顔をした水田が手を挙げる
「いきなり洗濯機や冷蔵庫を取り上げるのは危険なのではないでしょうか?」
花山「それは金を気にしてか?」
水田「はい…読者の反応を見てからの方が危険は少ないかと」
花山が常子を見る
常子「水田さんのおっしゃる事ももっともです」
花山がうなずく「分かった」
水田「あっ、じゃあ…まず手軽な日用品から始めませんか?」
常子「手軽な日用品?」
水田「はい」
一同がそれぞれ考える中、何か思い当ったような常子「あっ」

会議の席
常子「いろいろ検討してきましたが今回の商品試験で取り上げるのは
これにします(とボードの歯ブラシの文字を指す)
毎日の生活に寄り添う歯ブラシですから
きっと読者の方も喜んで下さると思います」
花山「歯ブラシを買う時にどれを選べばいいのか
何らかの指標になるものがあれば大いに助かるはずだ」
常子「簡単な事ではありませんが皆さんで力を合わせて
精いっぱいいい記事にしましょう!」
(一同)「はい!」

<本格的な商品試験の第1弾として歯ブラシを取り上げる事にしました
4つのメーカーの歯ブラシで柄と毛先の形、毛の密集度を調べ
使いやすさを比較します>

黒紙の上に並べた歯ブラシの毛を観察したり数えたりしている一同
島倉「常子さん、ラフレの歯ブラシの毛の本数は全部で1,823本
一束当たりの平均は40から67です」
常子「40から67…だいぶばらつきがありますね」

一同に歯ブラシの使い方を説明している花山

<力のかけ方や磨く回数などを細かく決めてブラシの耐久性を調べます>

花山「これを1か所につき8回繰り返す、やってみよう…1、2、3、4、…」

朝、小橋家の洗面所で歯を磨く常子と美子と君子(木村多江)「1、2、3、4、…」
(洗面所の鏡の横には貼り紙があり
歯磨きの量から磨く場所の順序まで細かく決められている)

水田家でも水田、鞠子、たまきが「1、2、3、4、…」

<常子たちはおよそ3か月かけて延べ300本の歯ブラシを実際に使い
毛の痛み具合を比較しました>

美子たちが顕微鏡で毛を観察している
常子「よっちゃんどう?」
美子「う~ん…麗風堂のは特に傷みが激しいみたい」
使用後の顕微鏡写真を持ってくる水田
「どうやらナイロンと豚毛の歯ブラシとでは耐久性に差があるようです」

<商品試験と同じく次号の目玉企画である台所の特集も大詰めを迎え…>

扇田と打ち合わせをする常子が資料の中に星野宅の台所を見つけ微笑む

<星野をはじめさまざまな家庭の台所の事例が集まりました
こうして台所の特集と商品試験という
あなたの暮しの代名詞となる看板記事が生まれました>

編集長室で最新号(36号)をチェックする花山が満足そうに微笑みうなずく

<あなたの暮し最新号は評判となり売り切れる書店が続出しました
商品試験を続けていけるだけの売り上げも確保し
常子たちは手応えを感じていました>

常子に報告する水田「このまま増刷分も売れれば
日用品以外の商品試験もできるかもしれませんね」
笑顔でうなずく常子「そうですね、お願いします」

(つづく)

星野は研究者とかじゃなくて総務課の係長なんだ
理系の帝大卒(大学院も?)なのにもったいない
以前のような植物のうんちく話みたいなのもまだしていないと思うが
この事と何か関係があるのだろうか?
変わっていないように見える星野だがもしかしたら…

青葉だけじゃなくて大樹もかなり常子に懐いているようだ
常子は姪のたまきの事も随分と可愛がっているみたいだから
子どもの扱いがうまいのかもしれないね
(歳の離れた妹の美子がいたからかも)

たまきは初登場時はよくしつけられている印象だったけど
今回は手のかかる幼児だった
それでも「とと姉おばちゃん」はネタだろうw
確かに幼児は皆が呼んでる呼び名で人を覚えるけれど…

星野の噂話を聞いて常子の事を見つめる鞠子だったけど
2人の事で鞠子が何か活躍してくれるのかな?

花山が電化製品の試験をぶち上げる件で水田に反対されて
常子の「水田さんの…もっともです」にあっさりと引き下がったのは意外だった
花山は独裁者のイメージがあったが長く仕事をするうちに常子たちを信頼して
今では常子、花山、水田のトロイカ体制みたいな感じなのかな?

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