2016年8月18日木曜日

とと姉ちゃん(118)メーカー名を公表する事ができず悔しがる常子たちは…

<メーカー名を公表すべきか、商品試験の結果を優先すべきか…
常子と花山は決断を迫られたのでした> 

タイトル、主題歌イン 

数日後 

<結局メーカー名は公表せず商品試験の結果のみを掲載した
最新号が発売されました> 

編集長室に常子(高畑充希)と美子(杉咲花)と水田(伊藤淳史)がやってくる 
花山(唐沢寿明)「悔しがっている顔でも見に来たか?」 
美子「悔しいのは私たちも一緒です」 
常子「これでは商品試験の意味がありません、
何のためにこの企画を始めたのか…」 
花山「出来上がったあなたの暮しを読んで
こんなに苦い気持ちになった事はないよ…
毎号我々は戦ってきたじゃないか!一切の妥協も許さず!
だのに…こんななまぬるい記事を載せる事になるなんて…
(机の上に置かれたあなたの暮し35号)
これではいけないよ常子さん!
読者に事実をありのままに伝えよう!
次号は必ずメーカー名を公表した記事にしよう!」
常子「はい」
美子「はい」
水田「僕もそう思います…思うのですが…」
3人が水田を見る
水田「今後、商品試験を続けるとなれば
またどこかの検査機関を頼らざるをえなくなります」
美子「それではまた同じ問題が…」
水田「はい、ですから
理想どおりの商品試験を続ける事は難しいのではないかと…」
(一同)「…」
花山「私たちでやろう」
水田「えっ?」
花山「全て私たちだけで試験する…検査機関には頼らない」
美子「それがいいと思います、それなら横やりも入ってこないだろうし
ねっ?とと姉ちゃん」
常子「…」
水田「僕は反対です…常子さんも僕と同じ事を懸念してるんじゃないですか?」
常子「多分…」
水田「花山さんは我々だけで商品試験をするとなると
相当な費用がかかると承知の上でおっしゃってるんですか?」
花山「無論だ」
水田「会社が傾く可能性だってあります」
美子「そんなにかかるものなんですか?」
水田「今回の石けんのように成分の分析等
専門性の高い知識や経験が必要とされる商品の試験をする場合
検査器具も一からそろえなければなりません
それだけで相当な費用になります
会社内で商品試験ををするとなると今の会社の広さでは限界があり
もっと広い場所も必要になる」
美子「そうか…」
水田「ざっと挙げただけですが
実際に商品試験を始めればまだまだ問題は出てくるでしょう」
花山「それは分かっている、だが…
商品試験には我々が追い求めていた
あなたの暮しの全てがある気がするんだよ!」

(常子の回想)
「衣服だけでなく衣食住にまつまる全ての中で
毎号私たちが大切だと思うものを調べて
実際にその生活の知恵を実験してみて体験した事を読者に伝えて
皆さんの生活が今日よりも明日と少しでも豊かになるような雑誌」
まだ焼け跡が残るバラック街で花山に語る常子
「もう間違えないようにしませんか?」

常子「そうですね」
水田「えっ?」
常子「やりましょう…
私たちはそのためにこの雑誌を作ったんです」
花山が小さくうなずく
美子「2人がやる気なら私も賛成です」
3人が水田に目を向ける
水田「…今ならこのビルの1階が空いてます…
家賃も安くできそうだと大家さんから聞きました」
美子「調べてたんですか?」
水田「花山さんと常子さんが
自分たちで商品試験をすると言いだす予感はしていたので」
常子「…じゃあ水田さんも…」
水田「社長が決めた事なら異論ありません」
常子「ありがとうございます!
では早速みんなに発表しましょう」
花山「よし!」

タライの中の洗濯板で青葉の洋服を洗う星野(坂口健太郎)
「う~ん…何度やっても駄目だ、この染みは落ちないな
分かった分かった、新しいのを買ってあげるから泣かない泣かない」
縁側に座る青葉「うん…」
大樹は洗濯物を庭の物干し竿にかけている
星野「どんなのがいいかな?」
青葉「う~んとね…かわいいの」
星野「かわいいのか…お父さん男だから
女の子のかわいいがよく分かんなくて…」
青葉「あっ、おしゃれおばちゃまみたいなお洋服がいい」
星野「おしゃれおばちゃま?」
部屋に戻った青葉が先日常子が着ていた緑色の服を着た女性の絵(青葉が描いた)
を持ってきて星野に見せる
星野「常子さんか…」
青葉が星野の膝の上に座る(大樹も隣にきて絵を見る)
星野「じゃあ…聞いてみようか」
青葉がうなずく
星野「大樹も会いたい?」
大樹「うん」

夜、あなたの暮し出版
常子「こんばんは」
大樹と青葉「こんばんは」 星野「こんばんは」
常子「どうかされたんですか?」
星野「お願いがありまして」
常子「はい」
星野「実は先日娘のよそ行きの服が汚れてしまい
何度も洗ったんですがどうにも色が落ちなくて」
常子「あの傘の色が落ちた時の?」
星野「そうです!」
青葉「でもお父さんが新しいの買ってくれるって」
常子「フフフ、そうなの?…じゃあお買い物の帰りですか?」
星野「あっ、いやそれが…どこに女の子のかわいらしい服が売っているのか
また、どのような服が幼児にかわいらしい服として認知されているのか
僕には理解不可能で…」
常子「ああ…」
大樹「だから青葉がおしゃれおばちゃまみたいな服がいいって言ったの」
青葉「うん」
常子「私の事?フフッ、そうだったの」
星野「お忙しいところすみません
常子さんの着ている服に似た子ども服はどこに売っているか
ご存じないでしょうか?」
常子「しばしお待ちを…今調べます」(と手帳を開く)
青葉「知ってるの?」
常子「うん?おしゃれおばちゃまは何でも知ってるよ」
青葉「すご~い!」
常子「え~っと…」
星野「皆さまはお元気ですか?」
常子「えっ?」
星野「お母様はお変わりなく?」
常子「はい、少し白髪が増えましたけど」
星野「鞠子さんや美子さんは?」
常子「美子は今も同じ会社で働いています
鞠子は結婚して娘が1人」
星野「おっ、鞠子さんに娘さんが?おいくつですか?」
常子「今4つです」
星野「4つか…青葉の1つ下か
では森田屋の皆さんや青柳商店の皆さんはそのあと…」
常子「フフフ…あっ、少しお時間ありますか?」

キッチン森田屋
照代(平岩紙)「じゃあこれから美子ちゃんも常子ちゃんも忙しくなるわねえ」
美子「そうなんです、これまで以上に」
宗吉(ピエール瀧)「それじゃあタイショウと会ってる暇なんかねえなぁ」
美子「いいえ、それはなんとかします」
宗吉「ア~ハハハハ~!愛されちゃってんなタイショウ!おい!」
南(上杉柊平)「ええ、はい」
宗吉「か~!ええ、はい…だとよ~」
照代(美子と南に)「ごちそうさま」
宗吉「ハハハ、本当だよなあ」
と、表の戸が開き「こんばんは~」と常子が店にやってくる
美子「あれ?とと姉ちゃん」
宗吉「おう」
常子「こんばんは」
照代「いらっしゃい」
常子が入口に向かって「どうぞ」と声をかける
現れる星野「どうも…ご無沙汰しております」
美子「星野さん…」
宗吉「葉っぱのあんちゃん!」(照代は硬直している)
星野「皆さんお変わりありませんねえ」
照代「本物よね?」
星野「ええ、本物の星野武蔵です」
宗吉「おい、生きてやがったかこの野郎!」
星野「このとおり!」
照代「何だかまだ信じられない」

店のテーブルでお絵描きをする青葉と読書をする大樹
南「ここで遊んでようか、ホットケーキでも焼いてくるから」
青葉「ホットケーキ好き!」
大樹「僕も!」
隣のテーブルから振り向く星野「すみません…
(子どもたちに)2人ともいい子にしてるんだぞ」
照代「すっかりお父さんなのね」
宗吉「ああ、あの妙ちきりんな葉っぱのあんちゃんが
いい子にしてるんだぞ…なんてな」
星野「いや…やめて下さい
お二人に言われると照れくさいです」
常子「そういえば当時手紙を差し上げたのですが
お返事がなくて心配していたんです」
星野「それは申し訳ない、もう内地にいなかったもので」
常子「そうだったんですね」
宗吉「遠くに飛ばされたのか?」
星野「南方です、スマトラ島でした
僕のいた部隊は油田地帯の警備についており
僕はずっと本部で書類仕事をやらされていました」
照代「さすがに帝大卒ですものね」
星野「現地の人に農業を教えた事がきっかけで仲よくなったり
そんなに悪い事ばかりでもありませんでした
しかし…やはりスマトラも敵の空襲を受けて上官や戦友が大勢死にました
親しかった現地の人たちも巻き込まれて…
爆撃がほんの少しずれていれば
僕もこうして皆さんとお話ししてはいなかったと思います」
宗吉「…で、復員はいつだ?」
星野「スマトラはその後現地が混乱した事もあって
復員できたのは21年の12月の事でした」
宗吉「ああ…そりゃ随分遅くなったなぁ」
照代「終戦から1年以上もたってるじゃない」
星野「ええ」
美子「でもご両親はお喜びになったでしょう」
星野「はい、涙を流し喜んでくれました
それからしばらくして大阪の大学に帰ったんですが
研究室にはもう別の方が雇用されており僕の居場所はありませんでした」
宗吉「はあ…それもついてねえ話だなあ」
照代「それでどうなさったの?」
星野「帝大時代にお世話になった教授に相談して
今の仕事を紹介してもらったんです」
美子「植物関係のお仕事ですか?」
星野「あっ、いえいえいえ
どんな仕事でもいいですからとお願いして入れたのが
医薬品を扱っている会社でした」
宗吉「ああ…葉っぱのあんちゃんが薬のあんちゃんか」
笑う星野「そうですね…妻と出会ったのもその会社です」
宗吉「お~今日、女房はどうした?逃げられたんじゃねえだろうな?え~?」
星野「それが…妻は亡くなりまして」
宗吉「…悪い事聞いちまったな」
星野「あっ、いえいえいえ、もう亡くなったのは4年も前の事ですので」
それぞれにおとなしくしている青葉と大樹
宗吉「…それより今日は飲もうぜ、聞きたい事も山ほどあるしな」
星野「はい」
照代「今お持ちしますね」
星野「はい」
宗吉「葉っぱのあんちゃんも今日はつきあえよ」
星野「ええ頂きます、昔よりは飲めるようになったんですよ」
宗吉「お~そう来なくっちゃな!アハハハハ!」

<15年たっても変わらない星野の人柄に懐かしさを覚える常子でした>

星野と朗らかに語り合う常子

(つづく)

ビックリした
メーカー名を公表するかしないかでいろいろあって
かっこいい常子が見られると思っていたから
それが冒頭のナレ2連発で全部説明されてしまい
さらにその後の展開も編集長室の1シーンだけで完結してしまった
何かがおかしい…
これは自分の想像だがもしかすると星野の再登場は当初予定になく
それを描くためにこっちのエピソードが端折られてしまったのではないだろうか?
そうとでも考えないとどうにも腑に落ちない
なぜならあのシーンの4人のセリフはなんだか説明的だし
水田は花山と常子のセリフに二度も「えっ?」と返しているのに
あの場での話の流れを全て想定して
1階の空き部屋の家賃まで調べていた事になっている
まあ「えっ?」と驚いてみせたのは演劇的なレトリックとしてありだとは思うが
このドラマのこれまでの流れからどうしても違和感をおぼえる
そして常子が最後に「早速みんなに発表しましょう」と言ったのも
メーカー名を公表できなかった事で編集部員たちの士気が下がってしまう描写が
本来あったからではないかと思ってしまうのだ

子どもたちに「じゃあ聞いてみようか?」「大樹も会いたい?」と尋ねる星野だが
本当は自分が常子に会いたかったんだろうね
常子が手帳を見ているのに「皆さまは…」「お母様は…」と質問が止まらないw
察した常子が森田屋に連れて行く流れは自然でよかった
星野はナレにもあった通り昔と変わっていなくてホッとしたのだが
それでは星野は何のために再登場させられたのだろう?
常子が幸せなエンドを迎えるためにだろうか?
それとも常子はまたも何かと引き換えに星野を失う事になるのだろうか?



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