2016年8月20日土曜日

とと姉ちゃん(120)安定した経営か?値打ちのある企画か?二択を迫られた常子は…

<常子は台所の取材に協力してもらった家を一軒一軒お礼をして回りました> 

最新号を手にする最初に協力してくれた女「へえ~この歯ブラシの商品試験も
とっても面白いわ」 
嬉しそうな常子(高畑充希)「ありがとうございます」 

タイトル、主題歌イン 

星野の家に着いた時にはもう辺りは暗くなっている 
玄関のブザーを押し、中から出てきた星野を見て驚く常子「うわっ!」 
「えっ?…ああ…」と顔につけた赤鬼の面を取る星野(坂口健太郎)
「すみません常子さん、節分なので子どもたちと豆まきを」 
常子「ああ…」 
星野「慌てて出たのでお面を外すのをすっかり…」 
常子「あの…雑誌の最新号をお持ちしました」 
星野「あっ、ありがとうございます、どうぞ」 
常子「お邪魔します」 

子どもたちと常子に追いかけられ豆をぶつけられている星野「痛い、痛い…」
大樹「福は内!」
常子「福は内!」
大樹「鬼は外!」
星野「痛いよ~」
豆をぶつけていた青葉の手が止まる「もうやめよう」
星野「どうして?」
青葉「お父さんがかわいそう」
星野「いや青葉…全然痛くはないんだよ」
青葉「もういいの」
常子「よし、じゃあ投げたお豆一緒に拾おうか」
子どもたち「はい!」
豆を拾いながら星野「すみません、つきあって頂いて」
常子「いえいえ楽しいです」
青葉「ねえねえ後でおしゃれおばちゃまにこの前買ったお洋服見せてあげる」
常子「本当に?楽しみだなあ」
2人を星野が笑顔で見る
と、部屋の明かりが突然消えてしまう
大樹「あれ?」
青葉「消えちゃった…」
星野「大樹青葉、動かないでじっとしていなさい」
(廊下の明かりは点いている)
常子「停電ではないみたいですね」
星野「多分…電球ですね…この前換えたばっかだっていうのに
最近はこういうのが多いなあ…ええと電球電球…」
消えてしまった電灯を見上げる常子

水田家でも青鬼の面を被った水田(伊藤淳史)が
たまきと鞠子(相楽樹)に追いかけられている
「うわ~!イタタタタタ…」と一度転び「うわ~!」と起き上がり驚かそうとするが
たまきの姿が見えず「あれ?」と面を外す水田
鞠子「たまき?」
箪笥の引き出しから画用紙を取り出したたまきがちゃぶ台にきて
「鬼さんやめちゃ駄目!」
水田「ああ…うわ~!」
たまき「そのままでいて、お絵描きするの」
「ああ…うわっ!」とポーズをとる水田
たまきが描こうとするが紙に色がつかずに「あれ?」と鉛筆を舐める

<この時代の鉛筆は芯の質が悪く滑らかに濃く書くためには
先をなめて湿らす事もしばしばでした>

片足を上げたポーズのままの水田「まだ?」
たまき「ま~だ、だってまだ書けないんだもん」
と、バランスを崩して転んでしまった水田にたまき「動かないで!」

書斎で机に向かい本を読んでいる花山
「鬼は外!福は内!」と茜が後ろから豆をぶつけるが花山はピクリとも動かない
茜「お父さん、ちょっとは反応してよ」
花山(振り向きもせず棒読みで)「あぁやられた~」

「お父さん忙しいみたい…」と茜は居間に戻る
三枝子(奥貫薫)「そうね」
茜「お母さんパンは?」
三枝子が「そろそろ焼けたかしら」と立ち上がり
「あなた、お食事ですよ~」と花山に声をかける
花山が居間に来ると三枝子は縁側の下に置いた七輪でパンを焼いている
食卓につく花山「茜はパンが好きか?」
茜「えっ?うん好きだけど」
花山「そうか…まさかここまでパン食が根づくとはなあ…」
「あ~あ焦がしちゃった」と三枝子が皿にのせたパンを見せる
花山「ああ…」
茜「あ~あ…トースターがあれば失敗しないんじゃない?」
花山「だったら買えばいいじゃないか」
三枝子「それが…どれを買ったらいいのか分からなくて…
里崎さんのお宅でもトースターを買ったらしいんですけど
うまく焼けないとこぼしてましたし」
腕組みをして考え込むような花山

企画会議
寿美子(趣里)がボードに商品試験の候補を書き並べている
松永「電球、鉛筆にトースターか…これは迷いますね」
島倉「一見どれもよさそうですが」
緑(悠木千帆)「うちも買ったばかりの電球がすぐに切れた事があります」
本木「あ~」(一同もあるあるという感じ)
松永「鉛筆もすぐ割れたりひどいものが多いですしね」
寿美子「私はちょうどトースターを買いたかったので…」
一同が笑う
美子(杉咲花)「次は何の商品試験に取りかかろうか迷いますねえ」
各々が活発に意見を出し「俺ねトースターがいいと思うんですよ
だってさ、実験の後に食べれるじゃないか」と言う扇田に笑ってしまい
「食べたいだけじゃないですか」とつっこむ常子
と、深刻な顔をした花山と水田が部屋にやってくる
常子「花山さん?」
デスクで腕組みをして座る花山「うん…やはりもう一度きちんと話し合おう
本当にやるべきかどうか」
寿美子「商品試験をやるかどうかですか?」
花山「今水田君とも話したんだがやはり相当な覚悟が必要なようだ」
常子「お金に関してはいくら費用がかかってもやろうと決めたじゃありませんか」
花山「あの時は具体的な金額が出ていなかった
水田君に改めて試算してもらったんだ」
水田「これから電化製品をメインに商品試験を1年間継続した場合
年間1,300万円かかります…
あくまでもこれは低く見積もってです」
花山「商品試験そのものにもまだまだ問題は含まれている」
松永「…と言いますと?」
花山「そもそも商品の判定基準をどこに置くのかが難しい
例えばタイマーは正確だが汚れのあまり落ちない洗濯機と
タイマーは不正確だが汚れのよく落ちる洗濯機があるとする
もし点数を平均すればどちらも同点になるが
本当の評価から言えば汚れの落ちる洗濯機の方が
洗濯機としてははるかに優れている
だから平均点で伝えるのではなくこの項目において
この商品はよい、こちらは悪いと伝えねばならん」
本木「そうなりますと試験をやる人間の価値基準も問われますね」
「確かに…汚れが落ちたかどうかの基準が人によって違えば
結果自体に統一とれませんよね」
花山「更にもう一つ理由がある
検査をする人間は誰でもいい訳じゃない
体重計を試験するとする
大塚さん、君ならどんな試験をする?」
寿美子「えっ…正確に重さを表示するかどうかです」
花山「他には?」
寿美子「他に…?」
花山「実際に体重計を使った事がある者なら
浴室の近くに体重計を置く場合が多く湿気でさびやすい事を知っている
そこでさびにくいかどうかも試験する項目に付け加える事を忘れないだろう
つまりその者の商品に対する目の深さ、社会に対する考えの広さ
そういったものまで検査をする側に求められるんだ
だから人を選ばないといけない
人件費もそれなりの額になるだろう」
考え込む一同
花山「高価な電化製品を使った事がない人もまだまだ多い
たった一回の高い買い物の基準を我々が提示するんだ
間違った結果は出せない
しかも1年後に発表するための実験をしている間
何も記事にできないのではこの企画の印象が薄れてしまう!
あなたの暮しには毎号何らかの商品試験が載っている必要がある
つまり…それはどういう事だ!?」
島倉「同時にいくつもの実験をしなくてはいけないという事ですか?」
花山「ご名答!」
水田「そうすると月ごとに莫大な金額が動いていくという事になります」
花山「商品試験を失敗したらあなたの暮しは潰れるだろう…
それでもやるか?常子さん」
常子は花山を凝視している
水田「現在あなたの暮しは毎号15万部の売り上げを維持しています
バックナンバーの売り上げもバカにできず
初版1万部だった創刊号が版を重ね10万部をこれまで売りました
それを全て注ぎ込めば商品試験を始められるだけの資金はあります
ただ…ここで無茶をしなければ安定した経営を続けていけるという事です
本当にいいんですか?」
水田の話を聞き一同を見渡した常子が花山に向かい
「戦争が終わったあと私たち姉妹と花山さんは女の人のために雑誌を作って
何もなかった時代に暮らしを取り戻すお手伝いをしようと誓いました
今その願いはたくさんの女の人たちに届いて
あなたの暮しを買って下さっています
でも彼女たちのお財布は決して膨らんではいません
バッグの中に大切にしまってあるお財布を取り出しその中から160円出し
私たちの雑誌を買って下さっています(一同を見ながら)
これは大変な事です
旦那さんが働いて稼いだ大切なお金をお財布から取り出させるほどの
値打ちのある企画を私たちは考えなければなりません
商品試験にはそれだけの値打ちがある…と私は考えます
世の女の人や子どもにお金の値打ちに見合った
安全でいいものが届くように私たちがお手伝いする
これは今の時代にどうしてもやらなければならない企画なのではないでしょうか
と長々話しましたが…商品試験…純粋にやってみたいんです!
いばらの道になるかと思います
でも今まで、なんとかなるさ…でやってきました
これからも、なんとかなるさ…と信じて力を合わせて成し遂げましょう!」
美子と緑が「はい」と立ち上がる
他の社員たちからも「やりましょう」と声が上がる
(一同)「やりましょう!」
「なんとかなる!」
「常子さん、やりましょう!」
微笑む常子の目が潤んでいる
水田も笑っている
花山も…
「やりましょう!」と叫ぶ常子

(つづく)

前半の豆まきエピはコミカルだった
豆をぶつけられて「痛い痛い」と泣く父を「かわいそう」と言うやさしい青葉と
鬼を描こうとしているのに動いてしまう父を「動かないで!」と叱るたまき

そして問題なのは花山家だ
上の2人に比べれば大きい茜(10歳くらい?)が豆をぶつけるが父は無視する
「反応してよ」と苦情を言うと面倒そうに棒読み喋り
娘はあきらめて部屋を出て行ったが自分も意外だった
なぜなら今まで花山は家庭では家族思いのよき父として描かれていたからだ
花山が家族に素っ気なく冷たい態度をとったのは初めて見た気がする
だがこれは星野家→水田家→花山家で豆まきの3段オチをやりたかっただけで
特別なのかもしれない
その後の居間のシーンでは花山は娘と笑顔で会話をしているからだ

花山の「茜はパンが好きか?」というセリフはちょっと胸熱だった
103話ですいとんやうどんばかり食べさせられて
(戦後で米が手に入り難かったから)食欲をなくした茜のために
花山が小麦粉を持ち込んでパンを焼いてもらって帰り
茜がそれをおいしそうに食べていたのを思い出してしまったからだ

後半の会議のシーン
お金の件は今更だし花山が商品試験に反対する根拠もなんだか弱い
基準がどうの項目がどうのと言っているが全ての商品は
企画会議で検討してから試験するのだから何が問題なのかよく分からない
まあ花山と水田が反対の立場をとったのは脚本的な理由で
ヒロインの常子に経営の安定か値打ちのある企画かの二択を迫り
あの演説をさせるためのお膳立てだったのだろう

せっかくいい演説をしたのに何で最後に「何とかなるさ」で締めちゃうんだろうw
ちょっとバカっぽいほうが常子らしいからだろうか?

常子は会社を起こした頃は貧しかったから
家族を守るためにお金お金と言っていたが
ここのところはもう理念一色だ
そうあるべきだよね
ある程度豊かになったのにさらに金、金、金と言われたら引くよねw
そんなヒロインは見たくない

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