2016年8月15日月曜日

とと姉ちゃん(115)躍進を続けるあなたの暮し出版~台所の取材に出た常子はそこで…

昭和三十年八月 

路地で子どもたちが三輪車に乗ったりベーゴマやメンコで遊んでいる 
その中を駆けるまだ小さな女の子 
『水田』の表札の家に「ただいま帰りました」と入っていく 
鞠子(相楽樹)「お帰りなさい」 
君子(木村多江)「お帰りなさい」 
脱いだ靴をそろえた女の子が「おばあ様こんにちは」とキチンと挨拶をする 
君子「こんにちは」 
女の子は箪笥の上の万華鏡を掴むと畳に座りそれを眺めはじめる
(模様が見えるのが不思議なのか筒の先に手をかざしてみたりしている) 
君子が女の子の肩に手をかけ「どう?きれいでしょう?」 
女の子・たまき「触れない、とってもきれいなのに」 
君子「あっ…きれいなのはこの筒の中に入っていて
それは取り出せないし触れないのよ」 
たまき「でも触りたい!」(と万華鏡をのぞく) 
君子「何だかちっちゃくなった常子みたい」 
鞠子「そう、だんだん似てきてて…
この前なんか虹を近くで見たいって屋根に上ろうとしたんです」 
君子「まあ!本当そっくりね」 

街並みを歩く大人びた常子(高畑充希) 

タイトル、主題歌イン 

<このころ日本は敗戦直後のどん底の時代がうそのように
未曾有の好景気を迎えていました>

電器店の店先のテレビに人が集まっている
『あなたに逢いまショー』の司会者「本日は現代の源氏物語だと話題の
恋愛小説 蒼い葡萄 の作者五反田一郎さんにお話を伺います」
五反田(及川光博)「どうぞよろしく」

ペンとメモを手にテレビをのぞき込む常子

司会者「え~まず直川賞を受賞した心境をお聞かせ下さい」
五反田「ハハッ、そうですね、大変光栄に思っています
恋とは一人で落ちるもの…愛とは二人で育むもの」

相変わらずの五反田に常子が微笑む
女1「この作家さんすてきじゃない?」
女2「え~キザよ」

五反田「つまり僕が表現したかったのは依存ではなく
共存の美という事なのです」

<ちまたには物があふれ始め洗濯機、冷蔵庫、テレビの
いわゆる 三種の神器 も登場
給料の何倍もする新商品の発売合戦が過熱し
日本は大量消費の時代へとさしかかっていたのです
しかし利益のみを優先させた粗悪で危険な国産品や食品が出回る事も多く
消費者にさまざまな被害が及ぶ事もありました>

新編集室に元気よく入る常子「おはようございます!」
(一同)「おはようございます!」

<あなたの暮し出版は創立から9年
発行部数は15万部を超えビルの2階全てを借り切るほどに好調でした>

デスクで怒鳴る花山(唐沢寿明)「なってない!何度言わせるんだ!
よい文章というのは読んで分かりやすいかどうかだ
妙に凝った表現など…」
松永「自分に酔っているだけ…ですよね」(隣に立つ木立が松永を肘でつつく)
花山「分かってるならやりなさい!」
松永「すみません」
花山「君もだぞ!一度出したプランを二度出すな」
木立「はい」
花山「やり直し!」
仕事に励む花山を見て常子が微笑む
緑(悠木千帆)「常子さん、今回もうれしいお便りたくさん頂きましたよ」
葉書を受け取る常子「愛媛の宮地さんですね、いつもありがたいですね」
水田(伊藤淳史)「早速、愛読者カードにまとめておきますね」

<これは常子の意見で取り入れられた愛読者カードです
定期購読者の情報をまとめたもので発売前の宣伝はもちろん
季節ごとの挨拶も送り読者と交流を図る事で
雑誌の売り上げの安定につながっていました>

旧編集室改め研究室に入る常子「おはようございます」
(一同)「おはようございます」
常子「寿美子さん仕事は慣れた?」
寿美子「はい、憧れのあなたの暮しに携われてとても光栄です」
常子「ありがとう、頑張ってね」

<社員の数も20人近くに増え
新人だけでなくベテランも含め多くの人材が集まっていました>

編集長室
花山「万物が目まぐるしく変化していく今
台所に注目してみてはどうかと思うんだ」
常子「台所ですか?」
花山「今まで台所は家の隅っこや薄暗い場所に追いやられていたが
主婦が大半の時間を過ごす場所だろ?
本来もっと明るく家庭の中心にあるべき場所なんだ
台所をもっとこうしたい…この方が便利なのに…
という思いを多くの主婦の読者たちが抱えてる気がする」
常子「確かに」
花山「そこで方々の台所を取材し蛇口や流しの形など
どのような台所が使いやすいのかを記事にしたらどうかと思うのだが
常子さん、担当してくれないか?」
常子「はい、是非やってみたいです
すぐに手はずを整えて取材してまいります」
花山「ああ、頼むよ」
「はい」と部屋を出ようとした常子が立ち止まって振り返り
「花山さん、ありがとうございます」
花山「ん?」
常子「一緒に雑誌作りを始められて本当によかったと思ってるんです」
花山「具合でも悪いのか?」
常子「いいえ、フフフッ、先日読者の方から自分は家庭に入る道を選んだが
出版社の社長、編集者、モデルとして働く小橋さんに
自分を重ねて応援しているとお手紙を頂いたんです
ありがたい事ですよね…そんなふうに思って頂けるのは」
花山「うん、そうだな」
常子「若い頃は男性社員のお手伝いをする事が
女性に与えられた仕事だと思っていました
だからこうやって自分が思いついた事ややってみたい事を実現できているのは
とても恵まれているなと感じているんです
でもそれは全て花山さんのおかげです
いつも時代の先を見ている花山さんとだから
こうやって世の中に受け入れて頂けたんです」
花山「だが油断はできんぞ(と立ち上がり)
我々は戦後、物のない状況の中
庶民の豊かな暮らしを取り戻そうと雑誌を作った
それが今少しずつ実を結び豊かで美しい暮らし方を読者にきちんと
提供する事ができたという自負がある
だからこそ次の一手が肝心だ
住まいも衣服も食べ物も
あらゆる物が行き渡るようになった新しい時代に
あなたの暮しが読者に提供すべき知識は何なのか
それを見つけられない限りすぐに読者に飽きられるぞ」

ミシンの指導をする美子(杉咲花)「すみちゃんもはみ出ないようにね」
寿美子「はい」
常子たちは取材に出る準備をしている
と、寿美子が「あっ!」と声を上げる
ミシンを調べる美子「あ~壊れちゃったわ」
寿美子「すみません、私が厚地の生地ばかり縫ったから…」
常子「そうじゃないわ、年代物だものこうなるのも時間の問題だったのよ」
美子「浜松にいた頃からのものだしね」
常子「うん」
寿美子「どうしましょうか?作業上1台だけでは…」(ミシンは計2台ある)
常子「これは修理に出してもう一つ新しいのを買いましょう」
美子「いいの?」
常子「洋服作りに欠かせないものでしょ?
新製品も出たみたいだしそろそろ新しいのを買わなくちゃね」
美子「じゃあ私が選んでくるわね」
常子「うん」
常子「慎重にお願いね」
美子「はい」
寿美子「すみません…」
常子「大丈夫大丈夫」

主婦に戸をぴしゃりと閉められた扇田に本木と常子が近づく
本木「あかんなあ扇田君、断られてばっかりやないか!」
扇田「いやだって普通に台所を見せてほしいと言っても警戒されるばかりで…」

庭先で植木をいじる女をのぞき込む常子
女「あの…何か?」
常子「お庭のお花がとてもきれいでしたので」
女「あらそう?」
常子「はい、見とれてしまいます」
女「フフッ、こんな花でよかったらいくらでも見ていって」(と門を開ける)
「ありがとうございます、失礼します」と花を眺める常子「きれいですね」
女「そうかしら?」
常子「ええ」
本木と扇田が感心したように後ろから見ている
常子「うちの庭にもこんなお花植えてみたいですが
仕事の合間だとお手入れって難しいですかね」
女「あら、お仕事されてるの?」
「はい、あ…あの私」と茶封筒から雑誌を取り出す常子
「あなたの暮しという雑誌を作っておりまして」
雑誌を手に女「ああ…はいはい」
常子「台所の取材でこの辺りを回っていたんですがどこも断られてしまって…」
女「それはお気の毒ね…うちでよかったらどうぞ」
常子「本当ですか?ありがとうございます」
女「さあ、どうぞどうぞ」

本木「さすがや」

住宅地を歩く3人
本木「一時はどうなるかと思ったけど社長様々やな」
常子「運がよかっただけです」
扇田「この辺りに来て正解でしたね」
常子「ええ、新しい家も多いですし台所も新しいところが多かったですね」
本木「日本も豊かになってきたという証拠かな」
扇田「本当ですね」

<こうして新企画の台所特集の取材は少しずつ進んでいきました>

扇田「もう戻ります?」
常子「う~ん…あ…じゃああと一軒だけ」
本木「常子さん」
常子「はい」
「あそこはどうやろ?」と本木が一軒の民家を指さす
その家の前ではベンチに上りじょうろで水を浴びせる男の子と
下で傘を差してそれを受けて女の子が遊んでいる
「はい」と返事をした常子が子どもたちに近づく
「かわいいね、その赤い傘」
女の子「いいでしょう、青葉のお気に入りなの」
常子「青葉ちゃんていうの?(男の子を見て)お兄ちゃんは?」
メガネをかけた男の子「大樹」
常子「いい名前だね、大樹君はいくつ?」
大樹「8歳」
青葉「青葉はね…」(と左手を開いて常子に見せる)
常子「5歳?フフッ、5歳か」

<この子どもたちとの出会いが
あなたの暮しの代名詞となる企画の誕生につながっていくのです>

子どもたちと話す笑顔の常子

『星野』の表札

(つづく)

前週のエピソードは昭和二十五年なので5年お話が飛んだようだ
常子は35歳くらいになっているはず(美子は29歳くらい)
ちなみに第1話冒頭のシーンは昭和三十三年なのでこれより3年後

鞠子の娘のたまきは常子に似ているという設定のようだ
万華鏡を覗いたり「屋根に上ろうとした」と紹介されていたが
第1話で常子は物干し台に上り
「やっぱり上ってよかった、万華鏡の中にいるみたい!」と言っているんだね

鞠子が妄想の中で欲しがっていた直川賞を五反田が受賞していたなんて!

愛読者カードの件で常子がわざわざ
「愛媛の宮地さん」と名前を出したのが気になる
何かの伏線だろうか?

戦時中に供出させられそうになったが鞠子が守ったあのミシンを
会社に持ち込んでまで使っていたとは…
まあ昔の機械はシンプルだから部品を交換すれば長く使えたんだろうね

「じゃあ私が(ミシンを)選んでくるわね」と言う美子に
常子の「慎重にお願いね」はいい前フリだ
絶対買い物に失敗するよねw

上手く主婦の警戒を解いて取材を進める常子だが
女学生時代に歯槽膿漏の調査をしていた時とは段違いだねw
常子も大人になったもんだ

大樹と青葉はさすが植物オタクの星野が名付けそうな名前だ
大樹がメガネをかけているところも完璧w
赤い傘は星野絡みで何かあったんだろうか?

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