2016年9月7日水曜日

とと姉ちゃん(135)名古屋への転勤を言い渡され思い悩む星野

星野家 朝食を食べる子どもたち 
大樹が右足のやけどの痕を見ている 
台所から声をかける星野(坂口健太郎)「どうだ?ちゃんと食べてるか?」 
青葉「は~い」 
星野「お弁当はここ置いとくからな」 
何かを決したように大樹「お父さん」 
星野「うん?どうした?お代わりか?お父さんもう今朝は出ないといけないから
自分で頼むな」(と背広にそでを通す) 
大樹「…はい」 

常子(高畑充希)「水田さん」
水田(伊藤淳史)「はい」
常子「そろそろ洗濯機の試験を進めようと思います」
水田「分かりました、では詳細な見積りを準備します」
常子「はい、お願いします」
と、「すみません、遅くなりました」と松永が階段を上がって出社してくる
水田「おいおい、また寝坊か?」
松永「すみません」
常子「松永君、気を引き締めて下さい
私たちのやっている事はたくさんの方々に影響を与える仕事です
そんなたるんだ気持ちでは困ります」
松永「申し訳ありません」
常子「常に戦っている覚悟を持って下さい」
松永「はい」
常子「お願いします」

夜、キッチン森田屋に美子(杉咲花)が入っていく
宗吉の声「帰れ帰れ帰れ帰れ帰れ!」
大きな声に驚く美子
国実(石丸幹二)「まあまあ大将、落ち着いて」
宗吉(ピエール瀧)「なれなれしく大将なんて呼ぶんじゃねえ!
こちとらなぁ、てめえなんかに話はねえんだとっとと帰れ!」
国実「はいはい、今日のとこは引きあげますよ…(と、美子に気付き)
これはこれは美子さん、今度ゆっくりお話聞かせて下さいよ」(と店を出る)
南(上杉柊平)「あいつが常子さんの言ってた新聞記者か」
不安そうな美子「一体何しに来たんでしょう?」
宗吉「さあな…」
照代(平岩紙)「何だか常子ちゃんや花山さんの
足を引っ張るような事ばかり聞いてくるからうちの人頭に来ちゃって」
美子「ご迷惑おかけしてすみません」
宗吉「謝る事じゃねえけどよ、気を付けろよ」
美子「えっ?」
宗吉「出る杭は打たれる…っていうからな」

夜道を歩く美子と南
美子「まさかあの新聞記者…森田屋さんにまで来るなんて…」
南が「美子…」と立ち止まり「結婚の事待たせててごめんな」
美子「ううん、気にしてないよ…ほら言ったでしょ
私も新しい企画で忙しいし先になっても構わないって」
「うん…」とうなずく南
美子「うん」
南が美子を抱きしめる
「フフフ…」と幸せそうな美子

松永「これ、今日参加したテスターさんの名簿です」
水田「あっ、ありがとう…
松永君何だか最近元気ないけど具合でも悪いのか?」
松永「あ…疲れがたまっているだけです
でも先週ステレオを月賦で買っちゃったんで頑張って働かないと」
水田「そんなに買い物ばかりしてお金の方は平気か?」
松永「平気ですよ、その分働いて稼げばいいんですから」
水田「何かあったらいつでも相談してくれよ」

光和医薬品社
宇田川「星野君」
星野「はい」
宇田川「おめでとう」
星野「はっ?」
宇田川「今朝、名古屋支社へ異動の内示が出た
随分かかったがやっとお前の異動願が受理されたよ」
星野「はい…」
宇田川「急で悪いが2週間後には向こうへ行ってほしいそうだ
あっちは残業も少ないし実家も近い
向こうへ行っても頑張ってやれよ」

席に座る星野
片瀬「お前名古屋に異動願なんて出してたのか?」
星野「はい、2年ほど前に」
片瀬「ああ…そういえば言ってたなあのころ…
子どもの事を考えたら残業が少ない方がいいって…全くお前らしいよ
子どものためにわざわざ給料の安い支店に行きたがるなんて
どうした?希望が通ったのに浮かない顔だな」
星野「いえ…」

夜道を力なく歩いている星野
自宅のドアのノブに手をかけると中から常子の声が聞こえてくる
「じゃあ後片づけが済んだらお食後にしましょうか」
(大樹と青葉)「はい」
(常子)「じゃあこのお皿運んでもらえる?」
(2人)「はい」
(常子)「うん、ありがとう」
「ただいま~!」と星野が家に入っていく

ちゃぶ台の前に座る星野「2人とも随分おいしそうなのを食べてるじゃないか」
青葉「おばちゃまのお土産、チュクリームっていうの」
(ちゃぶ台の上には皿に盛られたシュークリームが残り4つほどと
オレンジジュースのグラスが2つ)
大樹「ハハハ、そうじゃなくてシュークリームね」
常子「フフフ…星野さんもおひとついかがですか?」(と小皿を前に置く)
星野「ありがとうございます」
常子「このお菓子のお店取次店のすぐ近くにあるんです
今日取次店に寄ったらそこの社長さんに
発行部数を増やしてみないかって言われて」
星野「発行部数を?」
常子「はい、売り上げも今のところ右肩上がりですし
商品試験もこれからもっと注目を浴びるはずだからって
まあ花山さんに相談してみないと分からないんですが
私はいいお話だと思っているんです」(と笑いが止まらない感じ)
星野「そうですか」
常子「すみません…仕事の話をしてしまって」
星野「いえ」
青葉「お兄ちゃん、甘くておいしいね」
大樹「うん、ふわふわだなあ」
常子「あ~食べちゃったね、もう一つ食べる?」
大樹「うん」
青葉「まだ食べてない私」
常子「ゆっくりでいいよ」
子どもたちの世話をする常子を眺めている星野

本屋で絵本を手にする星野
と、他の女性客たちの声が聞こえてくる
「ねえこれこれ!あなたの暮しの商品試験、知ってるでしょ」
「もちろんよ、今回は電気釜でしょ?」
「私もトースター買う時参考にしたんだけど、もう大正解だったわよ!」
「本当に役に立つのよねこの雑誌」
星野が「女の人の役に立つ雑誌を作りたかった…はい、私の夢です」
という常子の言葉を思い出す

絵本を読み聞かせしている星野「おかをのぼればあおいそら
森も林もちいさくみえる ちょうちょもいっしょについてきた おしまい」
星野の膝の上の青葉「面白かった、お父さんありがとう」
星野「どういたしまして」
大樹「今度は僕が読んであげる」
青葉「うん」
星野「じゃあ大樹読んであげて」

なみが洗濯ものをたたんでいる
その隣に座る星野「いつもすみません」
なみ「今日はお仕事早かったんですね」
星野「ええ、あとは僕がやりますからもう上がって結構ですよ」
なみ「そうですか、じゃあこれだけ畳んじゃいますね」
星野「はい」と、なみの手にあるものを見て「あれ?そのズボン…」
なみ「えっ、これですか?」
星野「はい」(とズボンを手に取り)「大樹長ズボンはいて行ってるんですか?」
なみ「ええ」
星野「おかしいな…もう暑いから毎朝半ズボンを用意しているのに」
なみ「そうなんですか?学校へは長ズボンで行ってますけど」

夜、青葉が布団で眠っている部屋の襖を星野が閉める
居間ではちゃぶ台で寝間着姿の大樹が図鑑のような本を見ている
星野「大樹」
大樹「何?」
星野「最近学校に長ズボンはいて行ってるのか?」
下を向く大樹「うん…」
星野「別にお父さん怒ってる訳じゃないんだよ…ただどうしてかなって…
…お父さんに話したくない事なのか?」
大樹「あのね…」
星野「うん」
大樹「隣の席の悦子ちゃんがね…
このやけどの痕見て気持ち悪いって言ったんだ…一回だけじゃないんだ」
星野「だから…見えないように長ズボンはいていたのか?」
大樹がうなずく
星野「…ごめんな…気付いてやれなくて」
首を振る大樹を見つめ何かを思う星野

小橋家
常子「ちょっと森田屋さんに行ってきます」
台所の君子(木村多江)「あら日曜日なのにお仕事?」
常子「いえ…あの…星野さんにお食事に誘われたもので」
君子「あらそう」
君子を手伝っている美子「ねえその口紅新しいのじゃない?」
常子「うん…前の使い切っちゃったから」
美子「とってもお似合いよ」
常子「そうかしら」(と機嫌よく笑う)
君子「ほらほら、遅れると失礼だから」
常子「あっ、はい、では行ってまいります」
(2人)「行ってらっしゃい」
常子が去ると美子と君子が顔を見合わせ幸せそうに笑う

玄関の戸を閉め微笑みを湛えた常子が森田屋へ向かう

森田屋
星野「ごちそうさまでした」
(常子と子どもたち)「ごちそうさまでした」
常子「おいしかったわね」
青葉「もうおなかいっぱい」
厨房から宗吉が出て来て「お~残さずきれいに食べたなあ」
星野「ここの料理はいつも残さず食べるんです」
常子「青葉ちゃんなんて私の分まで食べたんだよね」
青葉「うん、だっておいしいんだもん」
常子「フフフフ」
宗吉「おいおいうれしい事言ってくれるじゃねえか、ハハハハ…
お~そうだ常子」
常子「はい」
宗吉「悪いけど留守番頼まれてくれねえか」
常子「留守番?」
宗吉「ああ、ホウレンソウ切らしちまってなぁ、裏の八百屋までちょっとな」
常子「分かりました」
宗吉「戻ってきたらデザートサービスするからよ」
常子「フフフ、ありがとうございます」
「おう頼むな」と宗吉が出ていく
常子「デザート…星野さんデザート食べ終わったら
裏の公園まで遊びに行ってみませんか?」
星野「常子さん…今日は…お話があってお呼びしたんです」
星野の様子に少し不安気な顔になる常子

(つづく)

星野に発行部数の話をする件の常子は浮ついていて
久しぶりにバカっぽい常子を見た気がして懐かしかった
思えば娘時代の常子は間抜けでよく笑わせてくれたが
いつの間にかすっかりとしっかり者の社長になってしまったようだ

転勤を言い渡された星野が思い悩んだ末に出した答えを
次回で常子に告げる事になるのだろうが
今回常子が充実していて幸福の真っ只中にいる描写だった事を考えれば
星野の答えはそれとは逆
つまり常子にとって不幸なものである事は想像できる
ただ分からないのはその答えに大樹の長ズボンのエピが
影響しているはずなのだがどう関わっているのかという事だ
大樹にすまないという思いと改めて子どもたちの幸せを考えて
残業の少ない名古屋に行くというのか?
いや、子どもたちの幸せを考えれば常子と共にいるのが最良だとも思える
まさか常子に名古屋へ一緒に来てくれと言うつもりだろうか?
だが、それだと本屋のエピ(常子の夢)と矛盾してきてしまう
星野は一体何をどう語るつもりなのだろう?


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