2016年9月5日月曜日

とと姉ちゃん(133)更なる嫌がらせの対応に追われ星野一家との約束をキャンセルした常子は…

住吉ビル前 
新聞紙を広げあなたの暮し出版社を見上げる謎の男・国実(石丸幹二) 

タイトル、主題歌イン 

青葉がちゃぶ台で画用紙に象の絵を描いている 
なみ「青葉ちゃん上手に描けてるわね」 
青葉「象さん見られるかなあ」 
なみ「象さん?」 
青葉「動物園に行くの」 
なみ「あら~」 
大樹「今度の日曜に常子おばちゃんとお出かけなんだ」 
なみ「そう、いいわね」 
青葉(大樹に)「あと何回寝たらいいの?」 
大樹「木…金…土…あと3回寝たら動物園だよ」 
青葉「象さんどのぐらい大きいの?」 
大樹「う~ん…」 

常子(高畑充希)「変な男?」
テスターの女性・鈴木「しつこく商品試験の事聞いてきたんだけど
気味悪かったんで無視して帰ったんです」
美子(杉咲花)「その人鈴木さんがテスターしてるって…」
鈴木「分かってるみたいでした」
木立「そいつってハンチングかぶってませんでした?」
鈴木「そう、ハンチングでした」
木立「僕も会社の前で何度か見かけましたよ」
常子「分かりました、ちょっと調べてみますね…今日はご苦労さまでした」
鈴木が帰り美子「例の石投げてきたのってその男なのかな?」
と、桑原印刷から常子に電話が入る
桑原「ああ、常子さん?差し替え原稿ってまだなの?」
常子「差し替えって何の話ですか?」
桑原「何のって商品試験の原稿を差し替えるんだろ?」
常子「原稿の差し替えってどういう事ですか?」
桑原「いやいや、商品試験の原稿に重大な誤りがあったから
人目に触れないように原稿を捨ててほしいって言ってきたのそっちじゃない
土曜日までに差し替え原稿を提出するって…」
常子「土曜日って今日じゃないですか…誰がそんな事…」
桑原「お宅の藤野っていう人だよ、花山さんの代理だって電話してきて」
常子「藤野なんていう人間はうちにはいません」
桑原「はあ?」
常子「恐らく誰かの嫌がらせだと思います」
桑原「まさか…電話もらってあの花山さんならそういう事もありうるかと
思い込んじまって…」
常子「という事は商品試験の原稿は全て廃棄してしまったんですか?」
桑原「あぁ…申し訳ない…明日までに新しい原稿が入らないと
予定日での発売は難しいなぁ…」
常子「分かりました、社内で検討してまたご連絡差し上げます…失礼致します」
受話器を置いた常子に美子「ねえ、今のどういう事?」(扇田木立島倉もいる)
常子「手違いがあって商品試験の原稿が全て廃棄されてしまいました」
(一同)「はあ~?」
島倉「どうしてそんな事が…」
常子「とにかく明日までに全てやり直します
今すぐに作業に取りかかって下さい」
「分かりました」と男たちが動き出す
美子「とと姉ちゃんこれって…」
常子「このままだと発売日に間に合わなくなってしまうわ
すぐに取次店と書店に連絡お願いします」

編集長室
「すみません」と頭を下げる常子
花山(唐沢寿明)「仕方あるまい、明日までに書き直す、まだ頭に文面がある」
常子「ひょっとしてこれもアカバネが…」
花山「そんな事言っていても仕方あるまい…君はやるべき事をやりなさい」

夜、星野家
2着の洋服を吊り下げて見せる青葉「明日はどっちがいいかな?お父さん」
星野「う~ん…どっちもお似合いだからお父さん決めらんないなぁ
大樹はどう思う?」
大樹「う~ん…こっちがいいんじゃない?」(と赤い洋服を指さす)
青葉「じゃあこっちにする!」
大樹「僕はこの帽子かぶって行こうっと」(と白い野球帽をかぶる)
青葉「お兄ちゃん似合ってる!」
星野「うん、本当だなあ」
と、部屋の電話が鳴り受話器をとる星野「もしもし星野です…
常子さん(星野が笑顔になる)…ええ…はい…えっ?」

会社から電話している常子「本当にすいません…
予想外の事態が起こってしまって早急に動かないと
発売日に間に合わなくなってしまうんです
申し訳ないんですが明日の約束は…」

星野「ええ、もちろんです…動物園はまた行けばいいんですから」
(常子)「ごめんなさい…私も楽しみにしていたのに…」
星野「気にしないで下さい、それより平気なんですか?」

常子「はい、何とかしてみせます」

星野「そうですか…大樹と青葉には僕から言って聞かせますので」

常子「いや、そういう訳には…2人に代わって頂けませんか?謝りたいんです」
(星野)「分かりました、お待ち下さい…大樹おいで」
(大樹)「もしもし」
常子「大樹君…あのね…」

大樹「電話聞いてたから分かったよ…動物園行けなくなったんだね」

常子「ごめんね」

大樹「ううん、お仕事ならしょうがないよ…今度行こうね」

常子「うん…ありがとう…青葉ちゃんに代わってもらってもいいかな?」

大樹「ちょっと待ってて…青葉」(と青葉を見る)
青葉「やだ」
星野「青葉」

常子の受話器から青葉の声が聞こえてくる「やだやだ!そんなのやだ!
おばちゃまの嘘つき!」
(星野)「ほら青葉」
(青葉)「やだやだ!やだやだやだ!」
(星野)「またみんなで行けばいいんだから」
(青葉)「やだ!」
駄々をこねる青葉の言葉が常子の胸に突き刺さる

美しい満月

机に向かい作業する常子に寄り添う美子「今日できる連絡は全て終わりました」
振り向く常子「ご苦労さま」
隣に腰かける美子「残念だったわね動物園」
常子「うん…青葉ちゃん泣いてた…」
美子「また今度連れてってあげればいいじゃない」
常子「また今度か…またこんなふうに約束を破っちゃうかもしれない…
もちろん大樹君も青葉ちゃんもとっても大事よ
でも…今回みたいに仕事を優先しなければならない事があったら
また同じように2人を傷つけるような事もあると思う
…こんなふうに仕事をしながら家の事も子どもの事も十分にやるなんて
今の私には不可能だと思うの」
美子「…そんな事…星野さん最初から分かってるよ
とと姉ちゃんにとって仕事が一番って事は
星野さんも最初から知ってるはずでしょ?
まずはさ、自分ができる事をやればいいんじゃない?」
常子「…そうね…」
美子「うん…何でも背負い込んじゃ駄目だよ…ねっ?」
常子「フフフ…うん…ありがとう」
「片づけてくる」と美子が席を立つ
悩み深い表情の常子

<常子と花山は会社に泊まり込み夜を徹して原稿を作り直すための作業を続け
他の社員は取次店や書店への対応に向かっていました>

デスクで頬杖をつく常子に後ろから声をかける花山「常子さん」
花山が近づく「常子さん(反応なし)…常子さん」
常子が振り向いて花山を見上げる「はい」
花山「ろくに寝てないのは分かるがしっかりしてくれ」
常子「すみません」
花山「電気釜の耐久試験の資料が欲しいんだ」
「あ…あっ…はい、こちらにまとめてあります」と資料を花山に渡す常子
花山「ありがとう」
と、「ごめんください」と声が聞こえ入口にハンチング帽の男が立っている
花山「どちら様でしょう?」
歩み寄る国実「お忙しいところ突然すみません
大東京新聞の国実と申します」(と常子と花山に名刺を配る)
花山「新聞記者がうちに何の用だね?」
国実「何か不測の事態でもありましたか?
お二人とも夜を徹して仕事をしていらっしゃるようなんでね
入稿は終わっていい時期ですよね?
本来ならもっと落ち着いてるはずでしょう?
どうしたのかなあと」
花山「たとえ何かあったとしてもあなたに話す事ではない」
国実「出版業界であなたの暮しが何と呼ばれてるかご存じですか?」
花山「さあ…この業界にそれほど知り合いがいる訳ではないので」
国実「広告もとらずによくやっていける孤高の存在だ…とね
どういう人間がどんな決意でこの雑誌を作ってるのか
とっても興味があるんですよ私は
しかも社長が女性ときたもんだ
雑誌だけでなく小橋常子という作り手に興味がある人も多いと思いますよ
あなたは編集長の花山さんでしたっけ?
あなたたちの事を記事に書かせて頂ければと思いましてね」
常子「私たちの事を?」
国実「ええ」
花山「取材に関してはまた日を改めてもらおうか
今はそんな事をしている時間はない」
国実「ハハ!さすがは天下のあなたの暮し出版様だな
新聞の取材など受けてる暇はないっていう事ですか」
常子「そんな事は言っておりません」
国実「最近は商品試験とやらで消費者の支持を得てらっしゃるようじゃないですか
ねえ…自分たちだけで調査を行い商品の良し悪しを記事にする
消費者の味方として我々は実に頭が下がる思いです
しかしもう一方ではそのような閉鎖的な試験に公平性はあるのかという
疑問を持つ者もいるんです」
常子「疑ってらっしゃるんですか?」
国実「あなたたちの書いた記事でメーカーは売り上げが左右され
倒産の危機に陥るとこだってある
その辺の事はどうお考えですか?」
常子「どう…とは?」
国実「私には信じられないんですよ
消費者のため、読者のためとうたってますが得もないのに莫大な資金をかけて
長期間商品試験なんて事をするって事がね
…あっ、得はあんのか…売れてますもんねえ雑誌…フフッ
世間では時代の寵児ともてはやされてますが本当のところはどうなんですか?
結局はただの拝金主義者なんじゃないですか?」
花山「今日は取材は受けんと言ってるのが分からんのか?
仕事の邪魔だ、帰りたまえ」
国実「ああそうですか、ではまたの日に」(と帰っていく)
常子「あんなふうに私たちの事を見ている人がいるなんて…」
花山「気にするな、あんなやつの言う事を真に受けていたら身が持たんぞ」
「はい」と返事するも不本意な表情の常子

(つづく)

青葉を泣かせてしまい落ち込む常子を美子が慰めるシーン
「…家の事も子どもの事も十分にやるなんて今の私には不可能だと思うの」
と珍しく常子が弱音を吐く
124話の美子の「もっとぶつけてほしいの…弱音吐いちゃってよ」を受けての事だろうが
「何でも背負い込んじゃ駄目だよ」と言う美子に常子が「フフフ」と笑ってしまったのは
やはりとと姉ちゃんの常子にとっては
美子はいつまでも年の離れた頼りないはずの末妹という事なのかな
しかしこの件の2人の会話は常子が子どもたちの面倒をみていくという前提のもので
「結婚」という言葉が出てこないのが不思議な感じがするくらいだ

常子の頬杖のシーン
これにはどういう意味があったのだろう?
花山が3回も「常子さん」と呼びかけるのだがボーッとしてそれが耳に入らないほど
仕事と星野たちの事で悩んでいるという描写なのだろうか?
それともまさかとは思うが半目を開いたまま眠っていたわけじゃないよね…まさかねw

国実は嫌みっぽい喋り方だが言っている事の内容は普通に現実的かな
これはドラマだから常子と花山が理想を抱いて雑誌を起ち上げたのを
私たちは知っているが
現実だったならまずは自分なら疑ってみる
今まで常子たちに同調する熱血漢の編集部員ばかり見てきたので
国実のスタンスはホッとするぐらいだ
花山は雑に追い返さないでやましいところはないんだから
取材に協力して利用しちゃえばいいのになあと思った

0 件のコメント:

コメントを投稿